追跡鶴   作:EMS-10

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 この小説に登場する娘は基本、チョロインだって一番言われてるから、それ(挨拶)


※注意※
ニッポンはニンジャの国です。いいね?
頭を空っぽにしてご覧下さい
お前らの嫁だろ、早くなんとかしろよ
グロテスクな描写が含まれています


※{ }は英語で話していると、脳内変換して下さい。

※この小説に登場する人物達は全員、特殊な訓練を受けています。
 決して真似しないで下さい。

※この小説内の季節は、10月上旬頃となっています。



第119話・ラッキーガール

 

side ????

 

 

──3年前、大本営──

 

 

(……まただ。また、視線を感じる)

 気の所為なんかじゃない。確実に私を見ている。

 正確には、私のカラダ(・ ・ ・)──脚や腰、胸を。

 昔から、他人からの視線に敏感だから、見られているとすぐに気付く事が出来る。

 念の為、視線を感じる方を盗み見すると──やっぱり。男の人達が私のカラダ(・ ・ ・)を、イヤラシイ目で見ている。

 

(最初は外国人だから、物珍しさから見ていると思ったけど、違った)

 同性──女性の場合は、私の髪や肌、瞳の色に興味を持ってそれらを見てくる。これはいい。そこまで気にならない。我慢出来る。

 けど、異性──男性の場合は、脚や腰、胸を見てくる。

 それも、ねっとりとした……って言えば良いのかな?とにかく、イヤラシイ(・ ・ ・ ・ ・)視線を向けてくる。ハッキリ言って、不快。

 

(どいつもこいつも、何でカラダ(・ ・ ・)見てくるのかな?) 

 祖国でもそうだった。盗み見される。時には、堂々とガン見してくる輩も居る。

 異国の地──ニッポンでも、同じ目に遭うとは……。

 一度、ビスマルク姉様(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)にこの事を話すと、

 

 

『それだけ自分に魅力があるという証拠。誇りなさい』

 

『恥じらうと、かえって喜ばせてしまう。毅然とした態度で居続けなさい』

 

『どうしても我慢ならない時は、服にカメラでも仕込んで証拠を残して、警察なり憲兵なりに提出して処罰してもらえばいい』

 

 

 そうアドバイスしてくれた。

 ビスマルク姉様(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)も、私以上に同性・異性問わずジロジロ見られる。

 それなのに、恥らわず。嫌悪感を一切顔に出さず、堂々としている。

 

……私も姉様のように在りたい(・ ・ ・ ・)

 けど、私は直ぐ顔や態度に出ちゃう。

 姉様曰く、精神的に幼いからか、難しい。

 

(……はぁ。嫌になっちゃう)

 もっと精神的に大人にならなくちゃ。

 そう思って精神に余裕を持たせられるよう、色々やっているけど、身体ばかり成長するだけで、精神の方は一向に成長しない。

 

 

 誰も私自身を(・ ・ ・ ・)見てくれない(・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

 私の外見(・ ・ ・ ・)だけ見て(・ ・ ・ ・)、判断してくる。

 

 人の第一印象は外見でほぼ決まる、と言われている。

 そのせいで、本当の私(・ ・ ・ ・)を知った時、失望されたり、嫌悪感を抱かれたりする。

 

 勝手に判断して、勝手に期待して、それは無いよ。

 

 何故、中身も外見と同じモノにしないといけないの?

 

 ねぇ、何で見かけだけでしか判断してくれないの?

 

 自分で言うと嫌味に聞こえるかもしれないけど、確かに私の見た目は良い。

 

 それだから、中身(・ ・)も外見と同じように、清楚で大人しい(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)娘だと思われてしまう。

 

 実際は、かなりアレ(・ ・ ・ ・ ・)なんだけど。

 

 本当の私(・ ・ ・ ・)を知ると、全員(・ ・)ドン引きする。

 

 何で分かってくれないの?受け止めてくれないの?

 何で?何で?何で?何で?何で?何で?

 

 

(…………あ、あれ?ここ、何処?)

 色々考えながら歩いていたからか、自分でも気が付かないうちに外に出ていた。

 周りを見ると、誰も居ない。人目につかない所へ行きたいと思っていたからか、無意識のうちに今居る所へ来てしまったのかもしれない。

 

(ど、どうしよう!?お、落ち着かなきゃ)

 深呼吸して、心を落ち着かせ、腕時計で時間を確認。集合時間には、まだ余裕がある。

 けど、集合場所に向かうのに時間が掛かる恐れがある。

 

(げ、現在地は──そうだ!ケータイを使って調べよう!)

 急いでポケットからケータイを取り出して起動しようとしたけど、電源が入らない。あ、あれ?何で?

……もしかして、故障?そ、そんなわけ無いよね?

 

 何度も起動させようとしたけど、結局電源は入らなかった。

……マズい。マズいマズいマズい。

 

(あわわわ……ど、どうしよう!?)

 頼みの綱のケータイは使えない。なら、インフォメーションを見て現在地を確認すればいい。けど、

 

(ニホン語(・ ・ ・ ・)、完全に理解出来ていないから、読めないんだよね……)

 急遽、姉様達(・ ・ ・)とニッポンに派遣される事になったから、日常会話を大急ぎで勉強して頭に詰め込んだ。

 そのお陰でニホン語はある程度話せるけど、字を読む事は出来ない。

 

 姉様達(・ ・ ・)は何度もニッポンに行っているからか、ニホン語を読み書き出来るし、意味も理解出来る。けど、私は出来ない。

 

(誰かに声を掛けて道を教えてもらいたいけど、誰も居ない……)

 本当にどうしよう?

 この時の私はパニックに陥っていたから、その場から動く事が出来なかった。

 

 途方に暮れていた時だった。

 

 

 

「──あの、どうかされました?」

 

 

「──えっ?」

 一人の男性に声を掛けられた。

 

 

 

──────────────

 

 

───────

 

 

────

 

 

 

 

──現在。大本営──

 

 

 

(……此処、だったなぁ)

 3年前に迷子になり、パニックに陥った所に来て、そんな事を考えながら、あの日の出来事を思い出していた。

 

(あの時、名前を聞いておけば良かったなぁ)

 あの時はパニックに陥っていたせいで、冷静な思考・判断を下せなかった。

 それに、色々あったせいで精神的に余裕が全く無くて、満足にお礼を言えなかった。

 

(とても親切で、良い人だったなぁ……)

 私が迷子になっている事を知ると、すぐさま集合場所まで案内をしてくれた。

 それだけじゃない。パニックになっていた私を落ち着かせる為、慣れないドイツ語(・ ・ ・ ・)で励ましてくれた。

 

 正直言って、()ドイツ語(・ ・ ・ ・)は酷かった。

 私の母国の5歳児の方が、まだマシ。こう言えば、どれだけ酷いか分かるかな?

 けれど、不快だとは思わなかった。

 

 何故なら、()は今まで出会ってきた人と違い、初対面にもかかわらず、私のカラダ(・ ・ ・)ではなく私自身を(・ ・ ・ ・)見てくれた(・ ・ ・ ・ ・)から。

 

 それだけでなく、思わず本当の私(・ ・ ・ ・)を出してしまっても、嫌悪感を一切抱かれなかった。否定されなかった。寧ろ、受け止めてくれた。

 

 僅かな時間だったけど、一緒に居た時間は楽しかった。嬉しかった。

 

 ()は集合場所まで案内してくれると、すぐに何処かへ行っちゃった。

 

 それ以来、気が付けば()の事を考えるようになっちゃった。

 

 ハッキリ言うと、淡い想いを抱くようになってしまった。

 

……たったそれだけの事で?そう思うかもしれない。でも、私にとっては──あっ、メールだ。

 

(もう……せっかく思い出に浸っていたのに)

 内心で毒づきながら、メールの着信音を鳴らしたケータイを取り出して、メールを確認。

 内容は、20分後に再び試験稼働を行う(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)というものだった。

 

(まだまだ時間が掛かりそうね……)

 最近出現するようになった、異常に巨大化した魚介類対策の為に、試作兵器(・ ・ ・ ・)試験稼働(・ ・ ・ ・)をするようフジワラ提督(・ ・ ・ ・ ・ ・)から命令され、こうしてダイホンエイ(・ ・ ・ ・ ・ ・)に来ている。

 

……はぁ。あと何回、試験稼働をすればいいの?

 そう思った時だった。複数の足音が鼓膜に響いてきた。それと同時に、英語で何やら叫ぶ声も聞こえてきた。

 

(英語。あまり得意じゃないから、何言ってるか分からないや)

 今私が使える言語は、ドイツ語(・ ・ ・ ・)と、()としっかりコミュニケーションを取れるように勉強したニホン語の二つのみ。

 

 

 

 

{止まれ!止まってください!!}

{何故逃げるのですか!!}

{アイオワ(・ ・ ・ ・)さん!早く戻らないと、我々まで(・ ・ ・ ・)サラトガ(・ ・ ・ ・)さんにシバかれて(・ ・ ・ ・ ・)しまいます(・ ・ ・ ・ ・)!!}

 

{嫌よ!戻りたくない!!!}

 

 

(……うるさいなぁ。私の思い出の場所(・ ・ ・ ・ ・ ・)で騒がないでよ)

 文句言ってやろうかな?……いや、やめておこう。無用なトラブルを起こしたくない。無視だ。無視しよう。

 

 けど、少し気になるから、星条旗のマークを付けた艦娘と、ダイホンエイの職員達の様子を見よう。

 

 

{追い詰めたぞ!!}

{ここまでです!!}

{さぁ、大人しく捕まってください!!}

 

 

……壁際に、アメリカの艦娘が追い詰められた。周囲は壁しかない。

 終わったね。そう思った時だった。

 

 

{だが断る}

 

{{{なん……だと……!?}}}

 

 

「!!?」 

 突然、アメリカの艦娘は壁に向かって走ったと思いきや、そのまま垂直にそびえ立つ壁──目測約十数mを、一切傷付けずに走って登って行ってしまった。

 

(今のは、カベノボリ(・ ・ ・ ・ ・)ジツ(・ ・)!?)

 バカな……カベノボリ=ジツはニッポン人──ニンジャ(・ ・ ・ ・)しか使えない筈。なのに、何故アメリカの艦娘が使えるの!?まさか、彼女はニンジャだった……?

 

(痕跡を残さぬよう、壁にダメージを一切与えずに走って登った。間違いない。彼女はニンジャだ!!)

 外国人でも、ニンジャになれる。なら、私もシュギョー(・ ・ ・ ・ ・)すれば、きっと──

 

 

「くそっ!逃げられた!!」

「我々もやるぞ(・ ・ ・)!!」

「了解です!!」

 

 

「!!?」

 こ、今度は職員達が壁に向かって走って行った!?まさか、彼らもカベノボリ=ジツを……違う!あれは──

 

(か、カベケリ(・ ・ ・ ・)ジツ(・ ・)!!?)

 カベノボリ=ジツと同等以上の難易度を誇るカベケリ=ジツを、艦娘でもない生身の人間(・ ・ ・ ・ ・)が、軽々とやっている(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)!!?

 

「す、凄い……ニンジャだ……」

 感動している間にも、彼らは壁と壁を蹴り、上へ上へと登って行ってしまった。

……私も、真似してみようかな?

……やめておこう。ビスマルク姉様(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)ですら、習得するのに数年かかり、何度も大怪我を負った、と言っていた。

 

(……エノシマ鎮守府(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)に帰ったら、姉様に教えてもらおう)

 今までは憧れていただけで、真似しようとは思っていなかったけど、あんなに鮮やかな物を見てしまったら、真似したくなる。絶対、習得してみせるんだから!!

……その前に、試作兵器(・ ・ ・ ・)の試験稼働を行って、しっかりデータを取らないと。

 

(あと15分後か……)

 技術課の所に向かう時間を考えると、休憩時間は10分も無い。

 どうしよ?もう少しだけ思い出の場所に居て、彼の事を思い出そうかな?

……ちょっと喉が渇いてきたから、何か飲もう。その前に、念の為アラームを設定しておこう。

 私、あまり時計を小まめに確認しないから、気が付いたら時間が過ぎていた、なんて事になりかねないし。

 

(ドイツと違ってニッポンは時間に厳しいから、気を付けなきゃ)

 初めてニッポンに来た時は、あまりにも時間に厳し過ぎて驚いたなぁ。もっとのんびり生きようよ。

 

 そんな事を考えながら、アラームを設定して、一旦思い出の場所から離れ、自販機を探す。

 今回は何処に何があるか把握しているし、ニホン語も読めるから、迷子にはならない。

 

 少し歩くと──あった。自販機発見。けど、人が居る。

 

(何で棒立ちしているんだろう?)

 数十m先に、目当ての自販機を発見したけど、その前には、男性が立っていた。

……ん?あれ?何処かで見たような気がする。

 

 少しずつ自販機に近付くにつれ、その人の容姿──後ろ姿がハッキリ見えてきた。

……あの後ろ姿、似てる。

 

 

 3年前。迷子になっていた私に声をかけ、拙いドイツ語(・ ・ ・ ・)で励ましてくれた彼に。

 

 

……人違いかもしれない。でも、もしかしたら、()かもしれない。

 

……声を掛けて、顔を見てみよう。

 もし違ったら、人違いだと適当に言えばいいや。

 

 

Guten Tag(こんにちは)

 ニホン語ではなく、敢えてドイツ語で挨拶。

 すると、目の前の男性はゆっくりと振り返ってきた。

 そして、その顔が見えた。

 

 

 

 

(奥二重に、赤茶色の瞳(・ ・ ・ ・ ・)。左瞼に付いたホクロ。間違いない)

 ()だ。

 ただ、疲れているのか顔色が悪い。目元に深い隈が出来ている。

 

 

「…………」

 

 

 彼が、驚いたように目を見開いて私を見ている(・ ・ ・ ・ ・ ・)カラダ(・ ・ ・)ではなく、私自身(・ ・ ・)を。3年前から変わっていない。

 

「…………」

 

……無言。もしかして、覚えていないのかな?なら、声を聞かせてあげよう。

 ()は、私の声を綺麗な声だと褒めてくれたし。

 

「……私の事、覚えていませんか?」

 

「……あー、その、もしかして、3年前、此処で。大本営で迷子になっていた人でしょうか?」

 

 私の声を聞くと、彼は恐る恐るそう聞いてきた。

……覚えていてくれてた。

 

 

side ???? out

 

 

───────

────

 

 

side 提督

 

 

「……あー、その、もしかして、3年前、此処で。大本営で迷子になっていた人でしょうか?」

 声を掛けられたから振り返ると、見覚えのある少女(・ ・)が視界に映った。

 最初は似ている娘かな?と思ったけど、小○亜李さんに激似の声を聞いて確信した。

 

「ッッ!!はいッ!そうですッッ!!!」

 

 おー、元気いいねぇ。髪の色と同じように、眩しい笑顔を浮かべてらァ。3年前と同じ(・・ ・ ・ ・ ・)だ。

 

(まさか、出会うとはな……)

 偶然にしては出来過ぎてない?まるでギャ○ゲーやエ○ゲ並の遭遇率だよ。

 

 今の所、辛うじて(・ ・ ・ ・)R18な展開に突入していないからギ○ルゲー状態だけど、もう間もなく淫乱鶴(瑞鶴・翔鶴)やらゾンビ(涼月)やら、サキュバス(榛名)やら薩人大和撫子(扶桑さん)やら、etc......そいつらに襲われるから、○ロゲ状態になる──

 

(……アホな事考えるな)

 最近忙し過ぎて、ただでさえおかしい頭が余計におかしくなっているから、良くアホな事を考えちまう。しっかりしろ。

 

「あ、あの、大丈夫ですか?」

 

「……ん?あぁ、大丈夫です。気にしないでください」

 イカン、顔に出てた。そのせいで、心配をかけてしまった。マジでしっかりしろ。不安を与えるな。

 

「そ、そうですか……」

 

 

…………。

…………。

…………。

 

 

……か、会話が続かん。何を話せばいいか、分からん。

 目の前の少女(・ ・)も俺と同じ気持ちなのか、何を話せば良いか分からない、といった顔をしている。

 

「……あー、その……自分は、渡良瀬準と申します。階級は少佐です」

 とりあえず、自己紹介しよう。

……あっ、日本語で自己紹介しちゃった。つーか、今までずっと日本語で話してる。

 ドイツ語でやるべきだった。けど、俺、ドイツ語サッパリなんだよなぁ。日常会話とかでも、殆ど出来ないし。

 そう思っていると、

 

「私は、ドイツより日本に派遣されて参りました、Liddi Fromm(リディ・フロム)──じゃなかった。

 Admiral Hipper級重巡洋艦三番艦、Prinz Eugenです」

 

 とても流暢な日本語でそう言ってくれた。

 3年前はカタコトで、あまり日本語の意味を理解出来ていなかった感じだったけど、今は違うようだ。

 

「あの、ニホン語、合っていますか?」

 

「え、えぇ、合っています。大丈夫ですよ?」

 すげぇ。たった3年でここまで日本語を。目の前の少女(・ ・)──オイゲンさん(・ ・ ・ ・ ・ ・)からすれば、外国語を、ここまで流暢に話せるとは。

……真面目に外国語、しっかり勉強しよう。

 そう思っていると、再びオイゲンさんが心配そうな顔をしながら声を掛けてきた。

 

「顔色が良くありませんが……本当に大丈夫ですか?」

 

「あー……あはは……本当に大丈夫ですよ?この程度、何時もの事なんで」

 嘘です。大丈夫じゃないです。けど、言えない。激務が続いているから、肉体的にも精神的にもヤベーなんて。

 そんな事を言ったら、心配をかけてしまう。

……ん?あの、オイゲンさん?何で近寄って来るのですか?

 

 さっきまで2m程離れていたのに、今は1mあるか無いかの距離まで近寄られた。

 知らない人同士ではないけど、俺とオイゲンさんはそこまで親しい間柄じゃない。3年前に、少し会話(・ ・ ・ ・)をしただけ。

 

(……確か、日本文化について色々話したんだっけ?)

 道案内がてら、日本文化。正確には漫画やアニメといった、オタク文化について話したんだっけ?少し記憶があやふやだから、思い出せない。

 

 閑話休題。

 

 普通に会話(・ ・ ・ ・ ・)して、道案内をしてあげた。ただの顔見知り。

 それなのに、何故こんなに近寄って来るのですか!?パーソナルスペース狭過ぎじゃない?嫌悪感とか無いの?女性って、そういうのに敏感なんじゃないの?

 

(アレか?外国の人って、積極的だから、日本人と違ってこの距離に居ても嫌悪感とか無いのかな?)

 そんな事を考えていると、ようやくオイゲンさんは足を止めてくれた。

 その距離、約70cm前後。

 

「ちゃんと休んでいますか?」

 

「え、えぇ。しっかり休んでいますよ?」

 嘘です。ここ一週間ほど、まともに睡眠とってなくて、休めていません。

 昨日は試験に備えて6時間近く眠ったから、ある程度楽になりましたが。

 

 オイゲンさんの身長は俺よりも低い。恐らく、160cm有るか無いか。それに対し、俺の身長は約180cm前後。

 それだから、オイゲンさんは見上げるように俺の目を見ている。少しだけ、上目遣いしているように見えるが、気の所為だろ。

 

……綺麗な青い瞳(・ ・ ・)だな。思わず見とれてしまった。

 

「…………」

 

「…………」

 イカン。凝視しちまった。幾ら瞳の色が珍しいからって、凝視すんな。失礼だぞ。

 

「あの……何処を見ていた(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)んですか?」

 

 オイゲンさんの瞳から目を逸らそうとしたら、そう言われた。

……正直に言おう。

 

「あー……オイゲンさんの瞳の色に見とれて、思わず瞳を凝視(・ ・ ・ ・)してしまいました……」

……きっと、引かれるだろうな。物珍しさから、瞳を凝視していたのだから。

 そう思っていると──あのっ、あのあのあの!?何故更に近寄って来るのですか!!?しかも、嬉しそうな顔してるし!!?

 

「やっぱり。この人は、私を見てくれる(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

「えっ!?」

 小声で何か言ってきたけど、近寄られた事でパニクってて聞き取れなかった。

 おーい、オイゲンさん?何故近寄るの?30cmも離れていないよ?この距離はマズいですよ?

 

「3年前から、変わっていない……」

 

 再びオイゲンさんが小声で何か言ったけど、聞き取れない。なんて言ったのか聞きたいが、今はそれどころじゃない。

 誰かに見られたら、確実に勘違いされる──

 

 

「いやぁ、疲れた。無事に捕まえられたから、これでサラトガ(・ ・ ・ ・)さんにシバかれ(・ ・ ・ ・)ずに済むな」

「誰だよ、アイオワ(・ ・ ・ ・)さんにカベノボリ=ジツを教えたの……」

「先日、綾波さん(・ ・ ・ ・)が教えているのを見ました──って、あ」

 

 

 

 そう思って周りを見ると──あっ、さっきアイオワ(・ ・ ・ ・)さんを追いかけていた職員さんと目が合っちゃった。ヤベー。

 

(憲兵さんに通報されたら、確実に捕まるな)

 今の所、職員さん達は俺達を見ているだけだが、何時通報されるか分からない。

 

……もし、憲兵さんに捕まったら、下手したら提督の資格を剥奪される。嫌だよ、そんなの。

……落ち着け。ちゃんと理由を話せば、分かってくれる筈。

 

 俺は何も(・ ・ ・ ・)していない(・ ・ ・ ・ ・)

 俺はオイゲンさんと、普通に会話(・ ・ ・ ・ ・)していただけだ。

……今、俺のス○ホからLIN○のメッセージ受信音が聞こえた気がする。

 確認したいが、今はそれどころじゃない。今はオイゲンさんに離れてもらわなきゃ──

 

Ich denke nur an dich(貴方の事ばかり、考えています)

 

「すまねぇ、ドイツ語(・ ・ ・ ・)はサッパリなんだ」

 日本語で頼む。あと、距離。近いよ。この距離は、恋人とかの距離だよ?おーい、何故俺の胸に手を当てるの?

 

 外国の人って、日本人と違って積極的だ、ってテレビで言っていたけど、本当なんだね。

……アホな事考えている場合じゃないよ。離れてもらわなきゃ。勘違いされちゃう。

 

 

「イチャついてる」

「イチャついてますね」

「どうします?処す?処す?」

 

 

(違う。違うんです。イチャついてなんて、いません)

 処さないで?マジでお願いします。それだけはやめてください。あっ、職員さんの1人が、ス○ホを取り出した。やめて──ん?電子音?アラームだ。

 

 

So ein Mist(畜生め!)!」

 

 

「うおっ!?」

 

「あっ……と、突然叫んでごめんなさい!」

 

「い、いえ、気にしないでください」

 アラームが鳴ったと思ったら、突然オイゲンさんがドイツ語で何やら叫び、俺から離れてくれた。

 

「うぅ〜……せっかく覚悟決めたのにぃ〜……」

 

……また何か小声で言ってる。けど、聞き取れなかった。俺の耳、難聴過ぎない?何で聞き取れないの?もしかしたら、聴力が下がったか?耳鼻科に行って診てもらおうかな?

 

「すみません……時間が来てしまって……もう行かなきゃダメみたいです……」

 

「そ、そうですか……」

 

「本当にごめんなさい!」

 

……行っちゃった。なんか、展開が急過ぎて頭が追い付かない。

…………。

…………。

…………。

 

(……帰るか)

 ツッコミどころ満載だが、ツッコミ入れないぞ。

 考えるな。感じろ。頭を切り替えろ。……良し、切り替えた。さっさと帰って、仕事しないと。

 その前に、LIN○来たみたいだから、確認を──

 

 

「ドーモ、提督=サン。憲兵=デス」

 

「ドーモ、憲兵さんサン。提督=デス」

 アイエエエエエ!!?憲兵=サン!?憲兵=サン、ナンデ!!?

 

 ス○ホをポケットから取り出そうとしたら、背後から憲兵さんに声を掛けられてしまった。

 叫びそうになったけど、なんとか耐えて、挨拶返し出来た。誰か褒めてくれ。

 

……じゃなくて。何故声を掛けられた?もしかしなくても、職員さん達が通報したのかな?おのれ、職員さん達ェ……。

 

 

 

 この後、俺はセクハラ容疑をかけられ、憲兵さんに詰所へ連行。事情聴取された、と言っておく。

 幸い、防犯カメラの映像があったらしく、すぐにシロ(・ ・)だと判明し、無罪放免となった。

 

……事情聴取されたせいで、予定よりも第603鎮守府に到着するのは遅くなりそうだ。瑞鶴達に連絡──あ、電池切れ。やっちまった。

 

 更新したら、さっさと帰る予定だったから、バッテリーや充電器を持ってきていない。

……急いで帰ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時の俺は知らなかった。

 

 数時間後、瑞鶴達(・ ・ ・)に、あんな事(・ ・ ・ ・)をされるとは。

 

 

 

side 提督 out

 

 

───────

────

 

 

 

Another side

 

 

──大本営・技術課、???──

 

 

課長(・ ・)例の艤装(・ ・ ・ ・)の稼動準備が完了しました」

 

「……分かった。オイゲンさんとサラトガさん(・ ・ ・ ・ ・ ・)は?」

 もう時間か。集中していると、時間が経つのがあっという間だな。体感じゃ、10分も経っていない気がするんだが。

 

サラトガさん(・ ・ ・ ・ ・ ・)さんは既に準備が完了。オイゲンさんはたった今、到着しました」

 

「そうか。んじゃ、行ってくる。此処は任せたぞ」

 

「了解です!」

「お任せ下さい!」

 

(……さて。名残惜しいが、彼らに任せて、試験稼働を行おう)

 もっと一緒に居てやりたいが、仕事なんでね。悪いな、海蛇(・ ・)

 そう思いながら、()が入れられた特殊培養槽(・ ・ ・ ・ ・)に手を当てると──

 

 

『………………』

 

 

 身体の(・ ・ ・)7割が溶け(・・ ・ ・ ・)頭が無い(・ ・ ・ ・)のに、俺の感情を察知(・ ・ ・ ・ ・)したのか、反応してくれた(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

「こんなになっても、まだ生きている(・ ・ ・ ・ ・)とは……」

「本当に凄いな……」

 

「あんまりジロジロ見てやるな。ほら、作業してくれ」

 そんな事したら、海蛇(・ ・)不機嫌に(・ ・ ・ ・)なっちまう(・ ・ ・ ・ ・)ぞ。

 軽く注意をしていると、

 

「か、課長!?今、海蛇(・ ・)が!?」

 

「落ち着け。慌てるな」

 ドクペでも飲んでリラックスしな?……いや、ダメだ。コイツはドクペ苦手だと言っていたしな。

 無理矢理勧めるの、ダメ、絶対。

 

「で、ですが──」

 

「同じ事を2度言わせるな」

 他の2人は慣れているから動じていないが、コイツは未だ、海蛇達(・ ・ ・)のような始原種(・ ・ ・)を解析した事が無い。そのせいで、軽くパニックに陥っている。

 

(経験を積ませる為、解析班に入れたんだが……早過ぎたかな?)

……いや。ここは心を鬼にして、関わらせよう。

 ビビる気持ちは分かる。俺も最初はそうだったからな。

 とりあえず、軽くアドバイスをして、試験棟へ向かうか。

 

必要以上に(・ ・ ・ ・ ・)嫌悪感を抱くな(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)。平常心で居続けろ」

 始原種(・ ・ ・)は、こちらが必要以上に嫌悪感を(・ ・ ・ ・)抱かなければ(・ ・ ・ ・ ・ ・)友好的に(・ ・ ・ ・)接してくれる(・ ・ ・ ・ ・ ・)

 南方棲戦姫(・ ・ ・ ・ ・)や、港湾棲姫(・ ・ ・ ・)

 防空棲姫(・ ・ ・ ・)駆逐水鬼(・ ・ ・ ・)

 そして、水母棲姫(・ ・ ・ ・)

 

 彼女達(・ ・ ・)のように、海蛇(・ ・)信念(・ ・)を持っている。

 

 

……説明タイムに突入したいが、時間が無いからまた今度教えてやろう。

 今は海蛇を解析(・ ・ ・ ・ ・)した結果を基に試作した兵器(・ ・ ・ ・ ・ ・)の稼動テストをしなきゃならない。

 

 ただでさえ、覚醒種(・ ・ ・)が出現するようになって忙しいというのに、巨大化した魚介類の対応もしなきゃならない。

 ボケっとしている暇は無い。

 

 そんな事を考えながら、俺は早歩きで試験棟へ向かった。

 

 数分後、目的地に到着。目の前には、試験棟へ続く扉がある。

 

……気持ちを切り替えろ。

……良し。行くぞ!

 

 

 

 

 

 

 

世界混沌化計画(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)は達成に近づいたと言えよう!フゥーハハハハハ!!!」

 キャラ作り完了。

 今の俺は、マッドサイエンティスト。真面目な技術課課長ではない。

 ふざけろ。とにかく、ふざけまくれ。

 悟られない為(・ ・ ・ ・ ・ ・)に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オトーフ(豆腐)の角に股間を強打して、Sch✕✕✕z(ち○こ)もげればいいのに」

 

 

「真顔でなんてこと言うの、オイゲンちゃん(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

 女性がそういう事(ち○こ)言うの、良くないと思うよ?

 あと、色々ごっちゃになってるよ?

 豆腐の角に頭をぶつけて死ね、と言うのが正しい使い方だよ?

 

「開始時間があと5分遅ければ……私は……私は……」

 

……すんごい不機嫌そうな顔してる。何があったんだ?

 気になるけど、聞かない方が良さそうだ。今のオイゲンさん、俺の娘(秋津洲)似た状態(・ ・ ・ ・)っぽいし。

 

 

Another side out

 

 

───────

────

 





次回予告


……鎮守府の空気が完全に死んでいる件。
 まぁ、無理もないよね。大規模反攻作戦が終わって一息つけると思ったら、今度は巨大化した魚介類が出現して、毎日その対応をしているんだから。
……はぁ。何時まで続くの?早く平和にならないかなぁ。秋雲さん、そろそろ原稿やらないと、冬○ミ間に合わなくなりそうなんだよねぇ。
……あれ?瑞鶴さん、どったの?
……な、なんか、殺気だだ漏れなんだけど。何があったの?
……あのぉ、瑞鶴……さん?その拘束具の山やら道具は……何でしょうか?
……提督を拷問(・ ・)する?足腰立たなくなっても犯し続ける?

 提督逃げて!超逃げて!!帰ってきちゃダメ!!!
 マジでパパにされちゃう!!!


第120話・第一次、貞操死守戦争


「知らないの?艦娘は艦娘って職業(・ ・ ・ ・ ・ ・)だから、()をしたり、魚介類を捌いたり、箱詰めにしたりするのよ?」


【補足的なナニか】

・カベノボリ=ジツ…ジツ()の1つを指す。
 ニッポンでは(いにしえ)より現代まで、「壁は移動手段」と長く伝えられてきた。壁とは、決して行き止まりではない。道なのだ。
 尚、登る際は痕跡を残さぬよう、壁にダメージを与えてはならぬ。古事記にもそう書かれている。

・カベケリ=ジツ…上記のカベノボリ=ジツの派生=ジツ。壁を蹴り、飛び上がる動作を指す。
 壁に向かってキックをする事では無い。
 尚、蹴り上げる際は痕跡を残さぬよう、壁にダメージを与えてはならぬ。古事記にも(ry

・大本営の職員達…特殊な訓練を受けている変態集団。
 大本営って、重要拠点だから、そこに居る人達は強くなければならない。だから、カベケリ=ジツの一つや二つ、出来て当然。

・プリンツ・オイゲン…Admiral Hipper級重巡洋艦三番艦、Prinz Eugenの適性者を指す。出身地はドイツ。
 本名、Liddi Fromm(リディ・フロム)。
 現在、日本へ派遣され、江ノ島鎮守府所属となって日本を支援している。
 プリンツ・オイゲン以外にも、ドイツから日本へ派遣された艦娘が居る(という設定)。
 3年前、渡良瀬準少佐と出会い、彼の人柄に惹かれ、淡い想いを抱いている。
 日本文化を色々間違えて認識している為、時々とんでもない発言をしたりする。尚、本人は間違った事を言っている事に気付いていない。

・海蛇…【解析率、30%】
 


以上、補足終了。


※プリンツ・オイゲンの適性者の名前の元ネタですが、
・リディ…「機動戦士ガンダムユニコーン」に登場する「リディ・マーセナス」のリディ。
・フロム…「株式会社フロム・ソフトウェア」のフロム。
 これらからパクリました(超小声)
 リディとフロム。どちらも、ドイツで実際に姓名として使用されています。






※朝7時。ロー○ンに凸したんだけど、既に提督達が長蛇の列を作っていた。
 結局、グッズだけでなく、由良と鬼怒、阿武隈のクリアファイルもしゅんころ(・ ・ ・ ・ ・)されて、何の成果も得られませんでした(真顔)
 ははっ……笑えよ、ベ○ータ……。
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