《DANGER!DANGER!GENOCIDE!》
《Death The Crysis!》
《Dangerous Love Zombie!!!》
※この小説はフィクションです。実在する人物、施設、団体等とは一切関係ありません。
予め、ご了承下さい。
※この小説内の季節は、10月下旬頃となっています。
side 翔鶴
──第603鎮守府、執務室──
08:00。
「──了解です。引き続き哨戒をお願いします」
「……どうでした?」
「確認されなかったそうです」
哨戒を行っている加賀さんからの報告を聞き、無線を切ると秘書艦補佐の矢矧さんが声を掛けてきた。
「……なんだか不気味ですね」
「えぇ……何故出現しないのかしら?」
かれこれ1ヶ月以上経つというのに、第8492離島鎮守府と第603鎮守府が担当する海域に、深海棲艦が出現しない。
他所の鎮守府が担当する海域には出現するのに。何だか嫌な予感がするわ。
……色々気になるけれど、今は執務に集中しましょう。
気持ちを切り替えて、再び書類と向き合う。えっと、これは今月の光熱費で……これは今月使用した資材。それから──
彼を抱きしめて、
残念ながらあと一歩のところで彼は正気に戻り、失敗に終わってしまった。けれど、大分理性を壊す事が出来た。
私と
どんなに時間が掛かろうと、絶対に甘えてくるようにしてみせる。その為なら、文字通り何でもしてあげる。
……何故、甘えてくるようにするのか、ですって?
彼は母親が居ないせいで、母性に飢えている。
私と彼、
当時の私はそれを見聞きしても声を掛けず、その場から立ち去ってしまった。
もしあの時、もっと自分の気持ちに素直になって彼を慰めて傍に居続けていれば、彼の隣に立っているのは。彼の心に
閑話休題。
とにかく、彼は母性に飢えている。大人になった今でも、母性を。無条件で甘えられる
だから、私が彼に母性を感じさせて甘えてくるようにする。
今まで彼は沢山辛い思いをしてきた。だから、私が甘やかして、幸せにしてあげなきゃ。
(瑞鶴も甘やかそうとしているみたいだけど、上手くいっていない)
あの娘、甘えるのは得意だけど、甘やかすのは苦手だから、最終的には彼に甘えてしまう。
……瑞鶴で思い出したけれど、最近
自室で会話をしていたら、突然周囲を見渡したり。頻繁に耳を手で触ったり。時には顔を顰めて溜息を吐いたり。
具合が悪いの?と聞いても大丈夫と言ってくる──
「……翔鶴さん、どうかしました?」
「……えっ、な、なんでしょうか?」
「いえ、その……さっきからずっと、書類を凝視していたので……何か良い報せでも書かれていたのですか?」
「……ごめんなさい、少しボーッとしていたわ。この書類は今月の光熱費が書かれた物なの」
いけない、考え事をしていたせいで矢矧さんに不審に思われてしまった。気を付けないと。
「……そう、ですか。あまり言いたくはないですけど、しっかりしてください」
「はい、気を付けます」
怒られてしまった。しっかりしないと。
『──ったく。──で──もう形振──しかないわね』
(……また、聞こえた)
確か、一昨日のお昼頃から聞こえるようになった。
もしかしたら、耳に何か異常が起きているのかもしれない。そう思って皆には話さず、こっそり医療妖精さんに頼んで診てもらったけれど、結果は異常なし。
彼や瑞鶴に相談しようと思ったけれど、余計な心配を掛けたくないから、やめた。
そのうち聞こえなくなるでしょう。
(……私、どうかしてしまったのかしら?)
幻聴が聴こえる程、疲れてはいない。肉体・精神共に健康。それなのに、何故?
……気になるけれど、今は仕事に集中しましょう。
気持ちを切り替えて、再び書類と向き合う。えっと、これは──
side 翔鶴 out
───────
────
─
side 提督
──某県、某ショッピングモール──
09:30。
「だ、大丈夫ですか?」
「……大丈夫。俺は大丈夫だから、気にしないでくれ」
なんだよ。これからデートするというのに、出鼻くじかれた。
……しっかりしろ。何時までも引き摺るな。じゃないと
何故声を掛けられたのか簡単に説明すると、誘拐犯と勘違いされたからだ。以上。
いやぁ、驚いたよ。突然お巡りさん達が走ってきて囲まれるなんて。初めての経験だったから、ビビって一瞬だけ思わず身構えちゃったよ。
まぁ、身分証を提示して色々お話をして、最終的には誤解を解けたから良いんだけど。
余談になるが、何故俺達に声を掛けてきたのかお巡りさん達から話を聞くと、涼子はマジギレ寸前になり、
『詳しく……説明してください。
今、私は、
冷静さを欠こうとしています』
瞳孔をカッ広げ、ハイライトの消えた目でそう言った。
お陰でお巡りさん達、めっちゃ怖がっていた。
……ねぇ、何でそんな簡単にハイライトさん行方不明になるの?あと、威圧するのやめよう?俺が犯罪者だと勘違いされて怒ってくれるのは嬉しいけど、やり方がマズいよ?
……とまぁ、こんな事があり、少し落ち込んでいたら涼子が心配そうな顔をしながら声を掛けてきて、今に至る。
これ以上職質された事を考えるのはやめよう。今はデート中なんだ。気持ちを切り替えて、楽しまないと。
「ほら、行こうぜ?」
軽く微笑みながら、涼子に明るい声でそう言い、手を差し出す。すると、
「はい!」
察してくれたのか、笑顔で返事をして手を握ってくれた。
「ふふっ♪」
手を繋ぐと、少しだけ顔を赤らめ、何度も手を見て嬉しそうに微笑んでいる。……可愛い。
……おっと、観察している場合じゃない。時間は有限なんだ。楽しむぞ!いや、楽しませてやる!
───────
「準さん!見てください、お店のあちこちに南瓜が置いてあります!」
「はしゃぐのは良いが、人が多いからあまり余所見するなよ?」
「はい!」
……にしても、平日の昼間なのに凄い人だ。しっかり手を繋いでいるが、何度かはぐれそうになった。
まぁ、手が離れそうになる度に涼子が凄まじい力で俺の手を握ってくるから、逸れずに済んだが。
「あ、あの、手を強く握ってしまってごめんなさい……」
「んー?気にしなくていいぞ?」
確かに、少しだけ痛かったが気にしなくていい。
「で、ですが……」
「俺なら大丈夫だから、気にするな」
「あっ……」
繋いでいた手を一旦離し、指と指を絡める。さっきまでは普通の繋ぎ方をしていたが、今は恋人繋ぎをしている。すると、
「こっ、これは……恋人繋ぎッ!?」
涼子は驚いたような声を出し、何度も繋がれた手と俺の顔を交互に見ながらそう言った。なんか、慌てている。どうしたんだ?
「えへへっ……♪」
疑問に思っていると、少しずつ落ち着き、嬉しそうに笑った。しかし、顔がどんどん赤くなっている。顔だけじゃない。耳まで真っ赤だ。
おいおい。そんなに赤くして大丈夫か?血管切れない?
「憧れていた事が出来て、嬉しいです♪」
おーおー、可愛いなぁコンニャロウ。
熟れた林檎のように顔と耳を真っ赤に染めた涼子は、天使のような可愛らしい微笑みを浮かべている。
(普段の。ゾンビ状態とのギャップが凄まじい……)
何処から出しているのか分からない、野太い声で咆えたり。
ハイライトが完全に消えた瞳で、瞳孔をカッ広げて凝視してきたり。
とにかく、見るだけで本能的恐怖に襲われる顔をしたり、行動を取る。
……まぁ、今は慣れたから、それらを見聞きしても何とも思わなくなったけど。
……訂正。何とも思ってはいないな。
閑話休題。
今目の前で天使のような頬笑みを浮かべ、可愛らしい声を出して浮かれている涼子を見ていると、普段とのギャップが凄まじい。
なんだよ、これ。可愛いじゃないか。天使じゃないか。同一人物とは思えないぞ?
……そういや最近忘れかけているが、涼子は昔、天使だったっけ。
甲斐甲斐しく世話を焼いてくれて、俺を支えてくれた。癒しを与えてくれていた。
けど、今は堕天してしまい、何故かゾンビになって俺を襲うようになって──
「うふふっ♡えへへへへっ♡」
「……涼子、落ち着いて?」
あのぉ、俺の手に頬擦りしないで?甘えてくれるのは嬉しいんだけど、場所がマズい。周囲に沢山人が居るから、視線がぶっ刺さりまくっています。恥ずかしいです。やるなら人の少ない所にして?
あと、お顔。某嵐を呼ぶ幼稚園児みたいな顔で笑っているよ?顔芸しないで?
……ダメだ、聞こえていない。
「嗚呼……幸せです……♡」
「涼子、一旦落ち着いて?じゃないとデートを中止にするぞ?」
あまりやりたくないが、切り札を切らせてもらう。じゃないと、不審者だと思われて通報され、再びお巡りさんのお世話になりかねない。
「分かりました、落ち着きます」
おぉう……効果抜群。
デートを中止するぞ、と言ったら直ぐにやめて、真面目な顔で返事してくれた。聞き分けが良いのか悪いのか、分かんねーなコレ。
─────
「まぁ!とても大きい……」
「……あの、涼子さん?そろそろ良いかな?」
「もう少し!もう少しだけ時間をください!!」
「さっきもそう言ってたよね?」
まぁ、夢中になる気持ちは分かる。分かるが、そろそろやめよう?あと、何枚写真撮っているの?容量大丈夫?
「お願いします!あと5分!本当にこれで終わりにします!!」
「……分かった、5分な」
しゃーない。待ってあげよう。
……さて。俺と涼子は何をしているのか説明するぞ。
現在俺達はショッピングモール内で行われている、ハロウィンのイベントエリアに来ている。
そのイベントエリアでは、ハロウィンの由来等について書かれた資料が展示されていたり。
世界各地のハロウィンで配るお菓子等が売られていたり。
仮装する為の仮面や服、小道具等が売られていたり。
小学生以下のお子さん限定で、調理師の人と一緒に南瓜を使ってお菓子を作るコーナーがあったり。
更に、夕方頃から何か大きなイベントをやるらしい。
話を戻そう。イベントコーナーで色々見て周り、一番奥に行くと、涼子を夢中にさせるモノがあった。
それは──
「これが、ギネス認定された世界最大の南瓜……重さ、約1020kg。凄い……大きい……」
世界最大級の南瓜が展示されたコーナーがあり、そこにはとんでもなく巨大な南瓜が複数置かれている。
その中でも、ギネス世界記録に認定された南瓜があるんだが、それを超が付くほど南瓜が好きな涼子は、かれこれ10分以上も眺めたり、写真を撮ったりしている。
幸い、そこまで人が居ないから迷惑を掛けていないが、少しずつ見学者が増えてきている。
なので、そろそろ移動するよう言ったが、あと5分だけ見たいと言ってきたので待っている。
……あ、俺自身は幾らでも見ていて良いと思っている。スタッフの人も、幾らでも見て良い、って言ってくれた。
ただ、さっきも言ったが見学者が増えてきたので、そろそろ移動した方が良いと思って声を掛けた──
「お待たせしました」
「──ん?もういいのか?」
まだ5分経っていないぞ?
「はい。流石に人が増えてきたので……すみません、夢中になってしまって」
「そうか。気にしなくていいぞ」
本当に気にしていないから、そんな申し訳なさそうな顔しなくていいぞ?しかし、涼子は顔を俯かせている。
「……ほら、そんな顔すんな」
涼子の
「……あっ」
「俺は本当に気にしていない。だから、そんな顔をしないでくれ」
精一杯優しく微笑みながら、声を掛けてやった。しかし、
「……ありがとうございます」
悲しそうな顔をしたままだ。……頭でも撫でて励まそう。
そう思い、涼子の頬に添えた手を離そうとした。が、凄まじい速さで手を掴まれてしまった。
その為、涼子の頬から手を離す事が出来なくなってしまった。
「あ、あの……涼子?」
戸惑いながら声を掛けると──涙目になっている。何故!?俺、何かしたか!?
「……もう少し。もう少しだけ、こうしてください……」
「……分かった」
涙目のまま震えた声で懇願された。てっきりふざけて手を掴んできたと思ったが、違った。
そんな顔をして頼まれたんじゃ、断れない。いいぜ、気が済むまでこうしてやる。
それから暫く、俺は涼子の頬に手を当て、撫で続けた。
どれ程そうしていたのだろう。暫くすると、無言で手を離してきた。立ち直ってくれたのかな?そう思ったけど、未だ悲しそうな顔をしている。
……こりゃ、しっかりケアしてやらないと。
……良し!イベント開始まで、まだまだ時間はある。それまで、涼子を楽しませてあげよう!!
「なぁ、涼子。ゲーセン──ゲームセンターに行ってみないか?」
「ゲーム……センター?」
「あぁ。先日、デートをする際に行ってみたい!って言ってただろ?」
「……はい。行きたいです」
おっ、元気になってきた。けど、まだ悲しそうな顔をしている。こうなったら、最終手段だ!
「……えっ、あ、あのっ、準さん──ッッ!!?」
俺は涼子に歩み寄り、無言で手を掴み、
最初は驚き、硬直していたが優しく頭を撫で続けていると次第に身体から力が抜けていき、やがて俺に寄りかかってきた。
「……温かい」
涼子は俺の胸に顔を埋めながら、小声でそう言った。
……震えている。本当にどうしたんだ?
「……準さん」
「なんだ〜?」
頭を撫でながら、態とおちゃらけた風に返事をする。
「お願いです……暫く……このまま……」
「……あいよ」
───────
「……先程は失礼しました」
「んー?何の事だ?失礼な事なんてしたか?」
「……いえ、何でもありません」
まだ少しぎこちないが、笑顔を見せてくれた。
涼子を抱きしめて十数分後。落ち着いたのか俺から離れると、謝罪してきた。
俺は全く気にしていない。というか、俺、何かやらかしたのか?そう聞くと、
「……昔の事を思い出してしまって……それで……その……」
「……無理に言わなくていいぞ?」
辛そうな顔をしてまで、話さなくていい。しかし、
「……いいえ、聞いてください」
涼子は真剣な顔でそう言ってきた。
涼子が言うには、
知らなかったとはいえ、悪い事をしてしまった。自己嫌悪に陥っていると、
「準さんは何も悪くありません。私が勝手に昔を思い出して泣いたのが悪いんです……」
俺の顔を見て、そう言ってきた。また、悲しそうな顔をしている。
……こんな時、どう声を掛けてやればいいか分からない。くそっ!どうすればいい?
「……ごめんなさい。不快な思いをさせてしまって──」
「不快になんて思ってない。だから、気にしなくていいぞ?」
本当に不快に思っていない。気にするな。
「……ありがとうございます」
「……なぁ、涼子」
こうなったら、俺の
他に方法があるかもしれないが、残念ながら何も思い付かない。
「……なんでしょうか?」
「俺は、何処にも行かない。居なくならない」
「準さん?」
「俺は、勝手に居なくならない。もう、逃げたりしない。ずっと、お前の傍に居てやる」
「…………」
「だから、安心しろ。絶対に居なくならないと約束する。俺を信じろ」
……すっげぇ臭いセリフだけど、これしか思い浮かばなかった。
「準……さん……」
「なんだ?」
「私……信じます……だから……居なくならないで?」
「あぁ。居なくならない」
「……沢山、我儘を言うかもしれません」
「どんどん言え。全部叶えてやる」
法や倫理に反しなければ、文字通り全部叶えてやる。
「……沢山、甘えてしまうかもしれません」
「どんどん甘えろ。沢山甘やかしてやる」
思いっきり甘やかしてやる。
「……時々、理性を捨てて襲うかもしれません」
「……TPOを
常時捨てられたら困るが。もしそうなったら、申し訳ないが
「…………」
「…………どうした?」
急に無言になったぞ。それに、顔と耳が真っ赤になっている。
疑問に思っていると、
「…………その、お願いが……あるのですが……」
「お願い?」
涼子は恐る恐ると言った風に口を開き、そう言ってきた。なんだ?言ってみな。俺が出来る事なら、何でも叶えてやるぞ?
「あの……その……もう一度……てくれませんか?」
「ん?すまん、聞こえなかった」
あまりにも小さい声だったから、聞き取れなかった。悪いがもう一度言ってくれ。
「で、ですから、その……もう一度、抱きしめて……くれませんか──キャッ!?」
涼子が言い終わる前に、俺は歩み寄って抱きしめてあげた。その際、軽く悲鳴をあげたが直ぐに大人しくなり、俺の胸に顔を埋めた。
この後、暫く抱き合い、優しく頭を撫でてあげた。
どうやらトラウマが蘇り、ナーバスになってしまったようだ。
普段、ドッタンバッタン大騒ぎを起こす涼子だが、もしかしなくても寂しさを紛らわす為に、態とゾンビになって俺に迫ったり、騒いだりしているのかもしれない。
……今後、迫られたら逃げたり拒絶せず、しっかり構ってあげよう。甘やかしてあげよう。
───────
19:30。
「…………」
こっそり隣に座る涼子の顔を盗み見ると──すんげぇ真っ赤だ。昼間に見た時よりも真っ赤だ。
……気まずい。物凄く気まずい。車に乗ってからずっと無言だ。声を掛けたいが、何を話せば良いか分からない。
涼子を抱きしめて、慰めてあげた後。立ち直ってくれたのか、普段の明るい涼子に戻ってくれた。
立ち直ってくれた後、昼食を摂り、イベント開始まで余裕があったから、ゲームセンターに寄ってゲームをしたり、プリクラを撮ったり。
ゲームセンターを出て、ショッピングモール内にあるペットショップに寄って癒されたり。
洋服店に寄ったりして時間を潰した。
そして、ハロウィンイベントに参加し、楽しんだ後。お土産を購入してショッピングモールを出て、車に乗って最後の目的地──ホテルに向かっているんだが、涼子は緊張しているのか赤面し、ずっと無言のまま俯いている。
(……もうそろそろ到着する)
ナビを見ると、あと数分でホテルに到着すると表示されている。
ちなみに、ラ○ホではなく普通のホテルだ。ラ○ホなんかに行ったら、通報される恐れがある。
(幾ら大人びた外見をしていても、涼子は未成年なんだ。確実に捕まる──おっと、赤信号だ。止まらなきゃ)
考え事をしていたせいで、危うく信号無視をしそうになった。
考え事をするのはやめろ。今は運転に集中しよう。
───
「…………大丈夫かな?」
ニュース番組を見ていると、かれこれ一時間近く経っている事に気付いた。のぼせていないといいが。
無事、ホテルに到着した俺達は部屋に入り、荷物を置いて交互にシャワーを浴びる事にしたんだが、涼子はとてつもなく緊張していた。
もうね、顔は真っ赤で目がグルグルしていて、壊れたラジオのように「あばばばばば……」って言い続けていた。
……このままだと、涼子の精神が耐え切れなくなって壊れる恐れがある。
そう判断した俺は、何もせずただ寝ないか?と提案したが、物凄い剣幕で「私を
そして、先にシャワーを浴びるよう言われ、身体と頭をしっかり洗った。
その後、新しい服と下着に着替えて浴室から出ると、涼子は強ばった顔をしながら浴室に向かい、シャワーを浴び始めたんだが、かれこれ一時間近く経っても出てこない。
……もしかしたら、何かあったのかもしれない。例えば、のぼせていたり。足を滑らせて頭を強打して意識を失っていたり。
もしそうだったらマズい。俺はテレビの電源を切り、浴室に近付いて声を掛ける事にした。
「おーい、涼子、大丈夫か?」
シャワーの音が聞こえるから、少しだけ大きめの声を出す。
……反応が無い。もしかしたら、緊張のあまり俺の声が聞こえていないのかもしれない。
もう一度声を掛けて反応が無かったら、浴室に入ろう。
「涼子、大丈夫か?」
浴室のドアを軽くノックしてから、さっきよりも大きな声を出す。これなら聞こえる筈──
『ヴ゙ェ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!゙!゙』
……すんげぇ返事だなぁ、オイ。濁音塗れの野太い咆哮で返事されるとは思わなかったよ。
『──じゅ、準さん!?な、なんでしょうか!?』
「……驚かせてすまん。一時間近くシャワーを浴びているから、何かあったのかと思って声を掛けたんだ」
「えっ!?そ、そんなに経っていたのですか!?も、申し訳ございません!!私、ボーッとしていて……」
「いや、気にしなくていい」
とりあえず、大丈夫そうだ。
『すっ、すぐに出ます!!』
「いや、ゆっくりでいい」
なんか、急かしてごめんね?
『いいえ!出ます!!何時までもお待たせするわけにはいきません!!』
「そ、そうか……」
本当に、その……ごめんなさい。
心の中で謝罪し、俺は浴室から離れてベッドに腰掛ける。
……恐らくだが、俺がリードしてあげないとダメかもしれない。
二度
十数分後。髪を乾かし終え、浴室から新しい服を着た涼月が出てきたが、もうね……あまりにも緊張しているのか、ずっと硬直していた。
普段、ガツガツ攻めて来るのに、何でこんなに大人しいのだろう?
……色々気になるが、ツッコミ入れるのはやめよう。
優しく抱きしめ、何度も頭を撫でてやり、緊張を解してあげた。お陰で大分落ち着いてくれた。
ベッドに押し倒し、一枚ずつ衣服を脱がせていった。
今、俺の目の前には大人びた黒い下着だけを纏った涼子が、仰向けになってベッドに横たわっている。
「あ、あの……準……さん……」
「なんだ?」
顔を真っ赤にして瞳を潤ませながら、消え入りそうな声で俺の名前を呼んできた。
「私……覚悟は出来ています。抵抗しません。逃げません。なので、私の
「……分かった」
なら、奪わせてもらう。
お互い、生まれたままの姿になり、時間を掛けて
何度も優しく声を掛け、限界まで高め合い、そして、俺は涼子の
言わなくても分かると思うが、ちゃんと
最初はとても痛がっていたが、最終的には甘えるように抱きついてきて、何度も俺を求めてきた。
途中、涼子が
……あっ、言い忘れたが、ゾンビ化して襲われなかった。
てっきり暴走して
「準さん♡」
「……なんだ?」
「うふふっ♡呼んでみただけです♡」
「……そうか」
……可愛いな、コンニャロウ。
……あっ、抱きついてきた。まったく、甘えん坊だな。
……眠くなってきた。少し眠ろう。
side 提督 out
───────
────
─
次回予告
……相棒は榛名とデート、か。無事に終わると良いんだが。まぁ、相棒なら何かトラブルが起きても対応出来るだろう。
……にしても、最近皆の様子がおかしい。一体、どうしたんだ?
瑞鶴と翔鶴さんは突然耳を手で塞いで顔を顰めたり。
涼月は怯えた顔で周囲を見るようになるし。
他にも、摩耶や時雨、満潮の様子が──ん?夕張と野原主任、そんな所で何を……オイ!何を造っている!?言え!言うんだ!!
第130話・サキュバス、アンリミテッド
「
※涼月編は純愛でお送りしました。
※次話は榛名とのデートです。
……嫌な予感がした人は逃げて下さい。
【補足的なナニか】
・嵐を呼ぶ幼稚園児…「クレヨンしんちゃん」に登場する「野原しんのすけ」を指す。
・涼月…第603鎮守府所属、秋月型防空駆逐艦三番艦、涼月の適性者、
幼少期に交通事故で両親を失い、孤児院に引き取られ、そこで育てられる。
兄が居て、その兄は第8492離島鎮守府で提督をしている。
自分の大切な存在を失う、または奪われる事を極端に嫌う性格の持ち主。
以上、補足終了。
デート編、もっと細かく描写するべき?
-
するべき
-
簡略化しろ