追跡鶴   作:EMS-10

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 気が付けば、投稿から1年が経過していました。
 ここまで続ける事が出来たのは、全て皆様のお陰です。本当にありがとうございます。
 社畜度がどんどん上がってきている為、投稿ペースが以前よりも低下しますが、失踪せず執筆を続けたいと思っております。
 今後とも、宜しく御願い致します。


※警告※
若干のシリアス
まともに読んだら頭がどうにかなる
頭を空っぽにしてご覧下さい
お前らの嫁だろ、早くなんとかしろよ


※この小説内の季節は、12月上旬頃となっています。



第143話・覚醒者

 

side 加賀

 

 

──第603鎮守府、執務室──

()開始83日目。

12:30。

 

 

「……瑞鶴達、行っちゃいましたね。悪い結果が出ないと良いんだけど」

『神様なんて信じていないけど、お祈りしておきましょう。どうか、悪い結果が出ませんように……』

 

 数分前。幻聴が聞こえる(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)娘達──瑞鶴達が診察を受ける為、大本営へ向かうのを見送り、執務室に戻ると、足柄さんがそう言った。

 

「無事、元に戻ってくれると良いんだけど……」

『何でかな?元に戻らない気がする……』

 

 そして、午後から哨戒に出る足柄さんに代わり、執務室にやって来た時雨さんが、心配そうな顔をしながらそう言った。

 

(足柄さん。残念ながら、時雨さんが思考(・ ・)したように、元に戻らないわ)

 足柄さんと時雨さんのやり取りを聞きながら、私はそう思った。

 勿論、口には出さない。

 

……何故、お前も幻聴が聞こえる(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)のに、診察を受けに行かなかったのか、ですって?色々事情がある(・ ・ ・ ・ ・)のよ。

 話すと長くなるから、割愛させてもらうわ。

 

 閑話休題。

 

(幸いと言って良いのか、瑞鶴達は赤城さん(・ ・ ・ ・)酷くならない(・ ・ ・ ・ ・ ・)から、そこまで苦しまないでしょうけれど……)

 全く苦しまないわけではない。

 きっと、最初は錯乱して自暴自棄になる恐れがある。支えてあげなくては。

 

(……それにしても、意外ね。提督に抱かれた(・ ・ ・ ・)娘達の中にハーフ(・ ・ ・)、またはクォーター(・ ・ ・ ・ ・)5人(・・)も居るなんて)

 その中に、瑞鶴──いいえ、瑞稀ちゃんと静流ちゃん(翔鶴)が含まれているとは、思いもしなかったわ。

 

(ハッキリ聞こえる(・ ・ ・ ・)と言っていたから、瑞稀ちゃんと静流ちゃんはハーフ(・ ・ ・)で確定。あと、涼月さんも。

 次に、由良さん。彼女は時々聞こえる(・ ・ ・ ・ ・ ・)と言っていたから、クォーター(・ ・ ・ ・ ・)で確定。

 最後に、榛名さん。彼女は祖母と母親が元艦娘(・ ・ ・)だと言っていた。赤城さんと同じ(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)ね。幸い、榛名さんは艤装との同調率(・ ・ ・)がそこまで高くないから、赤城さん程苦しまないでしょう)

 以前、綾波さん(・ ・ ・ ・)から教えて頂いた情報を基に、そう考える。

 

(葛城さんと阿武隈さん、扶桑さん、大鳳さんは純粋な人間(・ ・ ・ ・ ・)だから、聞こえていない(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・))

 代わりに(・ ・ ・ ・)身体能力が向上(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)したり、勘が鋭く(・ ・ ・ ・)なった。

 可能性は低いけれど、場合によって(・ ・ ・ ・ ・ ・)は瑞稀ちゃん達のように聞こえる(・ ・ ・ ・)ようになるかもしれない。そうなったら──

 

「──さん?──賀さん?加賀さーん?」

 

「──何でしょうか?」

 何時の間にか、目の前に足柄さんが立っていた。

……いけない。思考していたせいで、ボーッとしていたようね。

 

「あ、気付いてくれた。時間なので、私、これから哨戒に出ます」

『またボーッとしてる。今朝、盛大に鼻血を噴き出したから、血が足りていないのかしら?』

 

「了解しました。気を付けて行ってらっしゃい」

 足柄さん、大丈夫です。血は足りています。

 綾波さん(・ ・ ・ ・)島風さん(・ ・ ・ ・)龍驤姐さん(・ ・ ・ ・ ・)()に毎日身体に()を開けられ、血を抜かれ(・ ・ ・ ・ ・)まくった(・ ・ ・ ・)お陰で、耐性が付いています。

 あの程度の失血(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)では、私はビクともしません。だから、大丈夫です。

 

「はい!じゃあ、時雨。後を頼むわ」

『やっぱり私は書類仕事より、身体を動かす方が性に合うわね』

 

「うん。任せて?」

『しっかりお仕事をして、提督に褒めてもらわなきゃ』

 

 足柄さんは時雨さんにそう言うと、執務室を出て行った。

 それを見送ると、執務室には私と時雨さんの二人だけになった。

 

「……さて、執務を始めようか」

『深海棲艦が出現していないから、書類はそこまで多く無いね』

 

「……えぇ、そうしましょう」

 そして、時雨さんが椅子に腰掛け、書類を捌き始めた。

 こっそり時雨さんの顔を盗み見すると、とても真剣な顔をしている。けれど、

 

「………………」

『昨日、加賀さんは提督に抱かれた(・ ・ ・ ・)んだよね。どうな風に抱かれた(・ ・ ・ ・)のだろう?気になる』

 

(脳内が真っピンクに染っているわね……)

 表情と思考(・ ・)が全く一致していない。

 

「………………」

抱かれた人達(瑞鶴さん達)にも聞いたけど、誰も教えてくれなかった。少し位教えてくれたっていいじゃないか』

 

(…………時雨さん、お願いだから真面目な顔で執務をしながら、真っピンクの思考(・ ・)をしないで?)

 しかし、時雨さんは真っピンクな思考(・ ・)をし続けた。

 

 何度も無心になって執務に集中しようとしたけど、強烈過ぎる思考(・ ・)のせいで、何度も強引に頭の中に入り込み、心を酷く乱されてしまった。

 

(今まで何度かそれっぽい言動をしていたから、ムッツリスケベな娘だというのは知っていたけど、この娘(時雨さん)、こんなにもムッツリだったの?驚いたわ。予想よりもヤバいわね──ちょっ!?なんて事を考えているの!?)

 アブナイ(・ ・ ・ ・)!この娘、私よりアブナイ(・ ・ ・ ・)わ!早くなんとかしないと!!

 

「…………ねぇ、加賀さん。聞きたい事があるんだけど、いいかな?」

『まだ加賀さんには聞いていなかったから、聞いてみよう。加賀さんは結構単純だから、煽れば簡単に教えてくれる筈』

 

「…………何かしら?」

 教えない。絶対に教えてやるものですか。何ですか、私は単純って。私は単純な人間ではありません。しっかりしています。

……しょっちゅう暴走しているお前が言うな?あれは私のせいじゃない。艤装のせいよ。私は普通よ。誰がなんと言おうが、普通です──

 

「単刀直入に聞くね?昨晩、提督とどんなプレイ(・ ・ ・)をしたのか教えて──」

 

「ノーコメントです」

 教えません。

 

体位(・ ・)は?普通だった?それとも──」

 

「ノーコメント」

 最初は正常位(・ ・ ・)で、次は後背位(・ ・ ・)を──やめなさい。思い出さない。執務に集中しなさ──

 

「加賀さんの事だから、提督の事を縛って【自主規制】したと思うんだけど、どうかな?」

 

「していません」

 一瞬だけやろうと思ったけど、嫌われる恐れがあったから、やめました──

 

 

「その立派な胸部装甲(・ ・ ・ ・)で提督の主砲(・ ・)扱いた(・ ・ ・)?」

 

 

扱いて(・ ・ ・)いません」

 ハジメテ(・ ・ ・ ・)だったから、そんな事をする余裕がありませんでした。やれば良かった──じゃなくて。しっかりしなさい、私。

 ムッツリスケベ(時雨さん)の質問に答える必要は全く無いわ。執務に集中しなさい──

 

 

「本能に任せて、貪り付いた?」

 

 

「逆に貪られました──あ」

 やってしまった。思わず答えてしまった。

 

「……ふぅん?そうなんだ」

『やっぱり加賀さんはチョロい。真面目で堅物そうだけど、煽られると乗りやすいね。瑞鶴さん達よりもアッサリと吐いてくれた』

 

 

「表に出ろ、エロ犬(・ ・ ・)

 頭にきました。9割9分9厘殺しにしてやる。執務?そんなの後回しよ。

 今はニタニタ笑っているエロ犬(・ ・ ・)を躾けるのが先よ。

 

 

side 加賀 out

 

 

───────

────

 

 

side 提督

 

 

──大本営、カウンセリング課──

16:05。

 

 

「どうぞ、お掛けになって下さい」

 

「は、はい……」

 瑞鶴達の診察が始まってから約1時間後。待合室で待っていると、診察が終わったと石上(・ ・)先生に呼ばれ、こうして診察室に来た。

 予想だと、5人も診るからもっと時間が掛かると思っていたけど、かなり早く終わったな。

 

 閑話休題。

 

 診察室に入ると、瑞鶴と翔鶴、涼月、榛名、由良の5人が、緊張した面持ちで椅子に腰掛けていた。

 いよいよだ。診察結果を告げられる。やべぇ、緊張してきた──

 

「渡良瀬少佐、そう緊張なさらないで下さい」

 

「──あっ、は、はいっ……」

 いけね、顔に出ていたみたいだ。落ち着け。落ち着くんだ。

 

 椅子に座らず、立ち続けていると、瑞鶴達を診てくれた、艶のある黒髪を腰まで伸ばした20代前半位の外見年齢の女性──石上(・ ・)先生に、緊張しないよう言われてしまった。

 

(俺よりも、瑞鶴達の方が何倍もドキドキている筈だ。俺が冷静で居なくてどうする?しっかりしろ)

 石上(・ ・)先生に緊張しないよう言われた事で、多少だが冷静になれた。

 軽く深呼吸をして心を落ち着け、俺はゆっくりと椅子に腰掛け、先生の話を聞く姿勢を取った。

 

「…………では、診察の結果をお伝えします」

 

「よろしくお願いします」

 いよいよだ。どうなんだ?元に戻ったのか?

 少しだけ前のめりになりながら、先生の口から診察結果を告げられるのを待つ。

 

「診察の結果ですが……今後も、幻聴(・ ・)聞こえ続ける(・ ・ ・ ・ ・ ・)でしょう」

 

「────ッッ!?」

 嘘……だろ……?

 石上(・ ・)先生から診察結果を聞いた俺は、言葉が出なかった。いや、出せなかった。

 今までカウンセリング課には何度もお世話になり、診察してもらい、治してもらって元に戻った。

 だから、今回も治る。そう楽観視していたから、ショックを受けてしまった。

 

 瑞鶴達もショックなのか、目を見開き、軽く口を開け、俺と同じく言葉を出せずに硬直している。

 

「何故、今後も幻聴(・ ・)聞こえ続ける(・ ・ ・ ・ ・ ・)のか、についてご説明させて頂きます」

 

 驚愕していると、石上(・ ・)先生が真剣な顔をしながらそう言ってきた。

 色々気になるが、今は専門家の。先生の話を聞こう。

 

 

──

 

 

「──という理由で、幻聴(・ ・)が。いいえ。他者の思考(・ ・ ・ ・ ・)が聞こえる(・ ・ ・ ・ ・)のです」

 

「「「「「………………」」」」」

 

「………………」

 石上(・ ・)先生から一通り説明を受けると、俺と瑞鶴達全員、ポカーンとした顔をして硬直してしまった。

 

……ちょっと待って?頭が追い付かない。

 今まで散々第603鎮守府で、頭のぶっ飛んだ(精一杯のマイルドな表現)出来事に遭遇しまくった事で耐性が付いていた筈なんだけど、流石に今、先生から告げられた事は受け止められなかった。

 

 今まで瑞鶴達が聞いていた(・ ・ ・ ・ ・)のは、幻聴(・ ・)じゃなくて他者の思考(・ ・ ・ ・ ・)

 

 今はノイズ(・ ・ ・)が走って所々聞き取れないけど、そのうちハッキリと聞き取れるようになる?

 

 思考(・ ・)だけでなく、感情(・ ・)も読み取れるようになる?

 

 最終的には自らの意思で、他者の思考(・ ・ ・ ・ ・)遮断(・ ・)出来るようになる?

 

……ナニソレ、イミワカンナイ。

 

「完全に判明していませんが、何故そのような()を得られるのかについては、幾つか分かっている事があります」

 

「ドンナ事ナンデスカ?」

 疑問、多数。我、混乱。原因詳細、求ム。

 

「まず、聞こえる(・ ・ ・ ・)人達には共通点があります。その共通点とは、艦娘となった女性の母親、または祖母が元艦娘(・ ・ ・)だった、という事が判明しています」

 

「母親、または祖母が元艦娘(・ ・ ・)だった」

 確か、つい数ヶ月前になるが、瑞鶴──瑞稀と翔鶴──静流の母親は、元艦娘(・ ・ ・)。夕雲型駆逐艦一番艦、夕雲の適性者だった、という事実を知った。

 

 次に、榛名──陽菜は、母親と祖母が元艦娘(・ ・ ・)だったと教えてくれたな。

 

……うん。条件に当てはまっている。

 ただ、涼月と由良については分からない。もしかしたら、先生が説明してくれたように、ハーフ(・ ・ ・)もしくはクォーター(・ ・ ・ ・ ・)なのかもしれない。

 

 念の為、ハーフ(・ ・ ・)もしくはクォーター(・ ・ ・ ・ ・)でない娘でも聞こえる(・ ・ ・ ・)のか質問した所、今現在確認されていない、との事。

 

 

……マジかぁ。提督さん、展開が急過ぎて頭がどうにかなりそう。元からどうかしてるか。なら、なんの問題も無いね。

 

 

 

 

 それから、俺達は先生から色々説明を受けた。

 急展開過ぎて頭が追い付いていない状態で聞いたから、所々聞き逃して(・ ・ ・ ・ ・)いるかもしれないが、要約すると以下の通りだ。

 

 

幻聴(・ ・)他者の思考(・ ・ ・ ・ ・)

 

他者の思考(・ ・ ・ ・ ・)を読み取れる理由は、未だ完全に判明していない。

 

・判明している事は、最低条件として、聞こえる(・ ・ ・ ・)艦娘──女性の母親、または祖母が元艦娘(・ ・ ・)である事。

 

・母が元艦娘(・ ・ ・)──ハーフ(・ ・ ・)の場合、祖母が元艦娘(・ ・ ・)の女性──クォーター(・ ・ ・ ・ ・)よりもハッキリと聞き取れる(・ ・ ・ ・ ・)

 

・祖母、母親共に元艦娘(・ ・ ・)だった場合、ハーフ(・ ・ ・)クォーター(・ ・ ・ ・ ・)の女性よりも、聞き取れる範囲(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)距離(・ ・)が広く長い。

 

・今はノイズ(・ ・ ・)まみれで聞き取れないが、そのうちハッキリと聞き取れる(・ ・ ・ ・ ・)ようになる。

 

思考(・ ・)だけでなく、感情(・ ・)も読み取れるようになる。

 

・個人差があるが、基本、視界に入った(・ ・ ・ ・ ・ ・)存在(・ ・)思考(・ ・)感情(・ ・)流れ込んで来る(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

・一定範囲内の存在(・ ・)全て(・ ・)の、思考(・ ・)感情(・ ・)流れ込んで来る(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)場合がある。

 

・最終的には、自らの意思で遮断(・ ・)出来るようになる。

 

ココロ(・ ・ ・)が不安定だと、激しいノイズ(・ ・ ・)となって、頭の中に濁流の如く流れ込んで来る。

 

・逆にココロ(・ ・ ・)が満たされていると、流れ込まなくなる。

 

・ここ最近、こういった症状を発症する艦娘が増えてきている。

 

・何故発症するのかについては、現在調査中。

 

・これらの()発症(・ ・)した艦娘を、覚醒者(・ ・ ・)と呼称する。

 

・尚、機密の為、不用意に口外する事を固く禁じている。

 

・詳細については、後日大本営から通達される。

 

……所々抜けている(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)かもしれないが、こんな感じだ。

 とりあえず、一言。

 

 

 どうやら俺は、自分でも気が付かない間に二次元の世界へ転生していたようです。

 

 

「残念ながら、現実ですよ?渡良瀬少佐」

 

 嘘ォ……現実なの?絶対、二次元の世界でしょ?神様とかに会っていないし、トラックに──

 

「轢かれていませんよ?ちゃんと生きていますよ?」

 

──轢かれていないけど、最近の小説とかだと、気が付かないうちに転生していた!なんて展開が……ってアレ?石上(・ ・)先生が「トラックに轢かれていませんよ?」とツッコミ入れて来た。もしかして、俺、言葉に出してました?

 

「出していませんよ?」

 

 あ、良かった。もし出していたら、瑞鶴辺りに「何アホな事言っているの?」みたいなツッコミを入れられていたかもしれない──ちょっと待って?

 

「はい、待ちます」

 

………………気付いちゃった。もしかして、石上(・ ・)先生。あなた、俺の思考(・ ・)を──

 

「はい♪ご想像の通り(・ ・ ・ ・ ・ ・)です♪」

 

「」

 

「信じられていないご様子でしたので、実演しました♪

……あ、言うのが遅くなりましたが、私も瑞鶴さん達と同じ読み取る力(・ ・ ・ ・ ・)を持っています♪」

 

……はっ。ははっ。あははははっ。

 マジだ。マジみたいだ。……待て待て。夢だ。きっと夢なんだ。俺は夢を見ている。睡眠時間が2時間程度(・・ ・ ・ ・)と短かったから、寝惚けて夢を見ているんだ。そうに決まっている──

 

「大丈夫です。睡眠時間は2時間程度(・・ ・ ・ ・)みたいですが、渡良瀬少佐はちゃんと起きていますよ♪」

 

 わーお!睡眠時間を言い当てられちゃった!あははははっ。あははははははっ!

 

「えっ?えっ!?」

「な、何が起きているの!?」

 

 なんか、瑞鶴と翔鶴が驚いている。

 

石上(・ ・)先生、もしかして……」

「先程から、提督の思考(・ ・)を……」

 

「はい。読み取っています(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

 涼月と榛名が先生に質問してる。んで、答えを聞くと──なんか、嬉しそうな顔をしているぞ?何で?普通、ビックリするか混乱すると思うんだけど。

 

 あと、さっきまで驚いていた瑞鶴と翔鶴。何で冷静になっているの?そして何故、涼月と榛名のように嬉しそうな顔をしているんですか?教えて?──いや、教えなくていい。俺の勘が「聞くべきではない」と告げている。やめておこう。

 

「…………先生。由良──いいえ。()も、先生のように読み取れる(・ ・ ・ ・ ・)ようになるのでしょうか?」

 

「はい。最終的には私のように、ハッキリと読み取れる(・ ・ ・ ・ ・)ようになりますよ?」

 

「…………へぇ?」

 

 由良さん、何その顔。何で獲物を見付けた時のような、獰猛な笑みを浮かべて俺を見ているの?ねぇ、何で?

 

…………というか、

 

「お前ら、なんつーか、こう……混乱したりしないの?」

 普通(・ ・)他人の思考(・ ・ ・ ・ ・)読み取れる(・ ・ ・ ・ ・)ようになった!なんて言われたら、発狂したりするモンじゃないの?何でそんなに冷静なの?教えて?現に俺、今すぐにでも頭抱えて叫びそうなんだけど?

 

「「「「「しない(しません)」」」」」

 

「あっそう。聞きたくないけど、一応聞くね?何でそんなに冷静なんだい?」

 即答しやがったよ、こいつら。

 

「何でって……私の場合は、提督さんの事を。準の事をもっと深く知る事が出来るから、良いかなぁ、って思ってる。だから、冷静で居られるの」

 

「そうなんだ。瑞鶴以外の奴らは、何で冷静なの?」

 おーい、瑞鶴。今は一応仕事中だ。役職名(提督)で呼びなさい。

 

「「「「瑞鶴(さん)と同じ理由です」」」」

 

「あっ、そうですか。けど、俺以外の人の思考(・ ・)とかが流れ込んで来るんだぞ?不安なんじゃないの?」

 悪意とか、様々な負の感情だの思考だのが流れ込んで来て、不快な思いをするかもしれないんだぞ?

 

「大丈夫よ。そうなったら、準の事だけを考えて気を紛らわせるわ♪」

 

「さいですか」

 翔鶴。今は仕事中だから、役職名で呼んで?

 

「なんだか、不公平ですね」

 

「不公平?何が?」

 涼月、真剣な顔してどうしたの?

 

「涼月達だけが、準さんの思考(・ ・)感情(・ ・)を読み取れるというのに、準さんはそれらを私達から読み取る事が出来ません」

 

 成程。けど、別に不公平とは思わないよ?

 あと涼月、今仕事中だから役職名で呼んで?

 

「なら、榛名達は全てを(・ ・ ・)隠さず、曝け出して提督に伝えれば良い!そうすれば公平になります!」

 

「無理に曝け出して伝えなくていいよ」

 榛名、自分が何を言っているか、分かってる?榛名の事だから分かっていないね。

 君の場合、CAST OFF(脱衣)的な意味で曝け出してきそうだから怖い──やめよう。今は大丈夫だけど、何れ読み取られるようになるから、こういった事を考えると、確実にトラブルの元になる。

 今から気を付けて、こういった思考をしないよう、意識しよう。

 

「…………」

 

……由良は黙っている。けど、顔がね、もうね、アレだから、きっと碌でもない事を考えている──だから、やめよう?考えないようにしよう?無心になろう?

 

 

 

 

 

 この後、皆に色々質問したが、全員「大丈夫だ、問題ない(意訳)」と答えてくれた。

 

……とりあえず、一言。

 お前ら、冷静過ぎない?何でそう簡単に受け入れられるの?

 

……そうだ。最近まともだったから忘れていたけど、こいつら、色々ヤベー奴らなんだよね。だから、受け入れられたのかもしれない。

 

…………さて。皆は受け入れているようだが、俺は受け入れられていない。

 そろそろ発狂してもいいかな?ずっと我慢していたんだ。もういいよね?よし、発狂しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この後、滅茶苦茶発狂した。

 

 もうね、みっともなく泣き叫んだ。

 

 ただ、瑞鶴にノーザンライトボムをぶちかまされた事で、強制的に大人しくさせられた。

 

……とっても痛い。あと、意識が薄れてきた

 

……このまま、寝よう。正確には気絶だろうけど。

 

 

 

side 提督 out

 

 

───────

────

 





次回予告


 今日()渡良瀬少佐は海上を疾走(・ ・ ・ ・ ・)して、失踪(・ ・)しようとしているわね。私と名取の所の提督みたい。
……どうしたの?矢矧。複雑そうな顔をして。悩みがあるなら、お姉ちゃんに話してみなさい?
……気にするな?分かったわ。話したくなったら、何時でも言って?
……あ、渡良瀬少佐が、大鳳さんに装甲甲板ラリアットかまされて捕まっちゃった。


 第144話・考えるな、感じろ!


「困った時は筋トレよ!筋トレをすれば、なんとかなるわ!

 筋肉はッ!決してッ!!裏切らないッッッ!!!」


【補足的なナニか】

・石上先生…大本営、カウンセリング課所属のカウンセラー。声が「石上静香」さんにそっくりの女性らしい。

・覚醒者…詳細については、次話以降。

以上、補足終了。






※お仕事楽しいめぅ。胃潰瘍になりそうめぅ。
 気分転換に、MG Ex-Sガンダム/Sガンダムを組み立てなきゃ。
 瑞鶴の胎内に還って、瑞鶴の子になりたい。いや、なる。
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