追跡鶴   作:EMS-10

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 5月10日はゴトランドの日!って、誰かが言ってた。

 シーサイドラインに、翔鶴と村雨のシステム音声が実装される……だと!?仕事している場合じゃねぇ!聞きに行かなきゃ。
 シーサイドラインに乗って、翔鶴と村雨のシステム音声を聞くという事は、実質彼女達の胎内に居る事と同意義なのでは?(錯乱)

※注意※
グロテスクな描写が含まれています
勢いしかない
頭を空っぽにしてご覧下さい


※この小説に登場する人物は全員、特殊な訓練を受けています。決して真似しないで下さい。

※この小説内の季節は、12月中旬頃となっています。



第146話・その欲望、解放しろ

 

side 満潮

 

 

──第603鎮守府、母港──

漁(・)開始86日目。

11:20。

 

 

「脚を切り落として!早くッ!!」

「今やっていますッ!!」

「拘束具が千切れそうですッ!!」

「殴って気絶させましょうッ!!」

 

 千歳さんが指示を出し、それに対して五月雨が半ギレ気味に返答。

 名取さんが焦った顔で、拘束具が千切れそうだと悲鳴のような声で叫び、大鳳さんが装甲甲板を構えて、ズ(・)ワ(・)イ(・)ガ(・)ニ(・)の頭を殴り始めた。

 

(相変わらず容赦無いわね……)

 それに、迷いも無い。少し前まで、大鳳さんは近接戦闘を行う事に対し、強い拒否感を抱いていた。

 でも、司令官とお(・)出(・)か(・)け(・)してからは──

 

 

「次にど(・)た(・)ま(・)カチ割られたい奴は誰だァ!!!」

 

 

──と(・)て(・)も(・)楽(・)し(・)そ(・)う(・)に(・)近接戦闘を行うようになってしまった。

 それだけじゃない。司令官とお(・)出(・)か(・)け(・)した際、コンプレックスが完全に解消されたらしく、はっちゃけるようになった。

 

……まぁ、超えてはならないライン(一線)をちゃんと判断出来る理性があるから、瑞鶴さん達みたいに暴走しっ放しにはならないのが唯一の救い。

 

 閑話休題。

 

 さっき捕(・)獲(・)したズ(・)ワ(・)イ(・)ガ(・)ニ(・)を四(・)次(・)元(・)倉(・)庫(・)から取り出し、母港に並べて解(・)体(・)作(・)業(・)を始めようとしたら、生命の危機を感じ取ったのか、次々にズ(・)ワ(・)イ(・)ガ(・)ニ(・)が暴れ出した。

 

 一応、妖精さん特製の拘束具を鋏や脚に取り付けてあるけど、嫌な音を立てている。

 このままだと拘束具が引き千切られる恐れがある。

 もし、今ここに居るズ(・)ワ(・)イ(・)ガ(・)ニ(・)達全部の拘束具が外れたら……想像したくない。

 

(焦らず、慌てず、冷静に、妖精さん特製チェーンソーで脚を切り落としましょう)

 切断する際、殻の破片が飛び散るから、目や肌を守る為にフェイスガードマスクと、防護服を装着。

 更に、体液等が掛かる恐れがあるから、エプロンを装着。

 チェーンソーを地面に置き、スターターロープを引き、エンジンを始動。

 何度か引くと、チェーンソーのエンジンが始動し、低いエンジン音が鳴り始めた。

 準備完了。解(・)体(・)作(・)業(・)を始めましょう。

 

「ホッケーマスク被ってチェーンソーを持てば、ジェ○ソンになるね。……あ、ステ○サムじゃなくて、13日の金曜日の方だよ?」

 

「冗談を言っていないで、さっさと解(・)体(・)するわよ。あと、13日の金曜日の方のジェイ○ンは、劇中一度もチェーンソーを使っていないわ」

 隣で秋雲が冗談を言い出したから、注意をする。ついでに、ツッコミも入れておいた。

 

「えっ?マジ!?」

 

「マジよ。芝刈り機を使った事はあるけど、チェーンソーは一度も使っていない。それどころか、ターゲットにチェーンソーで反撃されているわ」

 

「く、詳しいね……」

 

「シリーズ全てのDVDを持っていて、暇(・)さ(・)え(・)あ(・)れ(・)ば(・)鑑(・)賞(・)し(・)て(・)い(・)る(・)からよ。今度貸してあげる」

 

「う、うん……ありがと……」

 

「?」

 何で引いているの?……まぁいいわ。今は解(・)体(・)作(・)業(・)に集中しましょう──

 

 

「ぬゥんッッッ!!!」

 

 

──長門さんの気合いの篭もった声が聞こえてきた。

 それとほぼ同時に、バキッと何かを砕いたような乾いた音と、ブチブチと何かを引き千切るような音が鼓膜に響いてきた。

 

 思わず音の聞こえた方を見ると、長門さんが素手でズ(・)ワ(・)イ(・)ガ(・)ニ(・)の脚を解(・)体(・)している光景が視界に入ってきた。

 

(相変わらずデタラメな人ね)

 幾ら艦娘の力を使っているとはいえ、素手で解(・)体(・)出来るって……。

 此処(第603鎮守府)のヤ(・)バ(・)い(・)人(・)達(・)でも、素手で引き千切る事は出来ないと言っていたし──

 

 

「わァはッッッ!!!」

 

 

──山城さんの奇声が聞こえてきた。

 それとほぼ同時に、乾いた音と、何かを引き千切る音が聞こえてきた。

……訂正。もう一人、素手で解(・)体(・)出来る人が居た。

 

「……どう鍛えれば、素手で解(・)体(・)出来るようになるの?」

 

「……さぁ?」

 非現実的な光景を目の当たりにし、硬直していると、

 

 

「満潮!秋雲!ボーッとしていないで、さっさと解(・)体(・)作(・)業(・)をして!!」

 

「いけねッ!?了解ですッ!!」

 

「りょ、了解ッ!!」

 山城さんに注意されてしまった。

 何時までもボーッとしていたら、ズ(・)ワ(・)イ(・)ガ(・)ニ(・)の拘束が外れてしまう。現に、拘束具が今にも壊されそうだ。

 

(さっさと解(・)体(・)しよう!)

 頭を切り替えて、素早くズ(・)ワ(・)イ(・)ガ(・)ニ(・)に近付き、チェーンソーの刃を脚に当てて切り落とす。

 

(……なんか、気(・)持(・)ち(・)い(・)い(・))

 チェーンソーの刃が回転する音。

 硬い殻が、チェーンソーの刃に削られる音。

 脚を切る感触。

 それらが、とても心(・)地(・)よ(・)く(・)感(・)じ(・)る(・)。

 

(殻や体液が飛び散る光景が、見ていて楽(・)し(・)い(・))

 私の手で壊(・)さ(・)れ(・)て(・)い(・)く(・)。

 砲撃や雷撃と違い、自分の手で壊(・)し(・)て(・)い(・)る(・)のだと、強く実感出来る。

 

 

楽(・)し(・)い(・)。

 

と(・)て(・)も(・)、(・)楽(・)し(・)い(・)。

 

 

(──あはっ♪あははっ♪)

 あはははははははっ♪楽(・)し(・)い(・)!!

 これ、良い!!最高ッ!!

 楽(・)し(・)い(・)!

 楽(・)し(・)い(・)!

 楽(・)し(・)い(・)!!

 

 これならストレスを発散出来て、自(・)前(・)の(・)睡(・)眠(・)薬(・)に頼らなくても、夜はぐっすり眠れそう!!

 あはははっ♪さぁ、どんどん切り落とすわよ!!

 

 三ヵ月近く深海棲艦をブ(・)チ(・)殺(・)せ(・)て(・)い(・)な(・)い(・)し、先日野原主任と夕張さんに、私の艤装にギ(・)ミ(・)ッ(・)ク(・)を搭載してもらったのに、殺(・)傷(・)力(・)が(・)非(・)常(・)に(・)高(・)い(・)から、魚介類や演習相手──艦娘には満(・)足(・)に(・)使(・)う(・)事(・)が(・)出(・)来(・)な(・)い(・)。

 

 それに、最近司令官と仕事の時以外、まともに会話出来なくてイ(・)ラ(・)つ(・)い(・)て(・)い(・)た(・)。

 仕事はそこまで忙しくないのに、瑞鶴さん達変(・)態(・)組(・)が色々やらかすせいで、中々私に構ってくれない。

 

 お(・)出(・)か(・)け(・)してからは、一人(榛名さん)を除いて、瑞鶴さん達はとても大人しくなってやらかさなくなったけど、代わりに今度は時雨がやらかすようになってしまった。

 

 おまけに、瑞鶴さん達がニュータ○プのような力に目覚めた事を知らされ、そのせいで司令官の精神が壊れかけて、昔みたいに逃走するようになってしまった。

 

 何度か慰めてあげようと思ったけれど、私も衝撃的過ぎる事実を知らされたせいで精神的に余裕が無くなってしまい、実行する事が出来ない。

 

 他にも沢山あるけど、とにかく色々あり過ぎて結構ストレスが溜まっていて、発(・)作(・)が起きそうになっている。

 だから、これで思い切りストレス発散してやるッ!!

 

「……満潮」

 

「なぁに?」

 全ての脚を切り終え、別のズ(・)ワ(・)イ(・)ガ(・)ニ(・)の脚を切り落とそうとしたら、秋雲が声を掛けてきた。

 邪魔しないで?私、早く切り落としたいの。

 

 見た所、秋雲が担当するズ(・)ワ(・)イ(・)ガ(・)ニ(・)の脚は数本残っている。ほら、さっさと切り落とさないと、拘束具が壊されるわよ?私が代わりに切り落とすわよ?

 

「その……めっちゃイ(・)イ(・)笑(・)顔(・)で脚を切り落としていたから、その……気になって……」

 

 イ(・)イ(・)笑(・)顔(・)?私、嗤(・)っ(・)て(・)いるの?

 疑問に思っていると、秋雲が手鏡を取り出して見せてきた。

 手鏡を見ると、そこには瞳孔をカッ広げ、口角を吊り上げて嗤(・)う(・)私が映されていた。

 

(……へぇ、中々イ(・)イ(・)笑(・)顔(・)ね)

 瑞鶴さん達が良くする顔ね……じゃなくて。やってしまった。発(・)作(・)が起きかけている。

 

「……満潮。辛い事があるなら、遠慮なく言って?力になるよ?」

 

「……うん」

 普段のおちゃらけた雰囲気は一切無く、真剣な表情と声で秋雲がそう言ってきた。

 ありがとう。どうしようもなくなったら、相談するわ。

 

「……とりあえず、解(・)体(・)作(・)業(・)をしよっか?」

 

「……そうね」

 何時までもこうして作業の手を止めていたら、拘束具が壊れてズ(・)ワ(・)イ(・)ガ(・)ニ(・)が暴れ出してしまう。

 あと、他の人達に叱られる。集中しよう。

 

 

 

 

 この後、私達は気持ちを切り替え、黙々と解(・)体(・)作(・)業(・)を行った。

 そして、全てのズ(・)ワ(・)イ(・)ガ(・)ニ(・)を解(・)体(・)すると、箱詰めを行い、引き取りに来てくれた業者の人達に渡した。

 

(あと何日、こういった事を。漁(・)や解(・)体(・)作(・)業(・)を続ければ終わるのかしら?)

 魚介類の出現数が減ってきたと思ったら、今度は異常に巨大化したズ(・)ワ(・)イ(・)ガ(・)ニ(・)が大(・)量(・)に(・)出現するようになってしまった。

 その為、最近、私は艦娘ではなく漁(・)師(・)なのでは?と思うようになってしまった。

 

(私、深海棲艦を殺(・)し(・)た(・)く(・)て(・)艦娘になったのに……)

 ねぇ、深海棲艦達。お前らは何処に行ってしまったの?早く出て来てよ。

 他所の鎮守府が担当する海域には、毎日出現しているのに、何故此処の担当海域には出現しないの?殺(・)し(・)た(・)く(・)て(・)仕(・)方(・)な(・)い(・)のに。

 

……それなら、他所の鎮守府に異動すればいいだろ?

 それは嫌よ。司令官から。渡(・)良(・)瀬(・)から離(・)れ(・)た(・)く(・)な(・)い(・)から、嫌。絶対に嫌。

 

(アイツ(渡良瀬)の居ない場所なんて、考えられない)

 アイツは、私がどれだけ毒を吐いても頭ごなしに否定して来ない。見捨てたりしない。

 ウザくない程度に干渉し、さり気なくフォローしてくれる。

 他にも沢山あるけど、長くなるから割愛。

 

 とにかく、アイツの傍はとても居心地が良いから、離れたくない。

 

 アイツと出会った事で、私は大分ま(・)と(・)も(・)になれた。

 

 姉(・)妹(・)以外の他人と接する事に、抵抗を感じなくなった。

 

 だから、アイツが傍に居ないと、何時また発(・)作(・)が起きてや(・)ら(・)か(・)す(・)か分からない。

 

 以前居た第08鎮守府では、養成所で撮ったアイツの写真を見る事で、辛(・)う(・)じ(・)て(・)抑(・)え(・)き(・)れ(・)た(・)。

 

 此処に来てからは、全くと言って良い程発(・)作(・)が起きていない。

 

…………けど、さっき。ズ(・)ワ(・)イ(・)ガ(・)ニ(・)の脚を切り落としていたら、起(・)き(・)か(・)け(・)て(・)し(・)ま(・)っ(・)た(・)。

 

(ダメよ。抑えなきゃ、ダメ……)

 もし発(・)作(・)を起こしてしまったら、アイツに迷惑を掛けちゃう。

 アイツの事だから、頭ごなしに叱らず、否定せず、私(・)と(・)向(・)き(・)合(・)っ(・)て(・)くれる。

 けど、甘え過ぎると、アイツに負担を掛けてしまう。

 

(今まで甘えてきたから、甘(・)や(・)か(・)し(・)て(・)あ(・)げ(・)よ(・)う(・)かな?)

 でも、どうやって甘(・)や(・)か(・)せ(・)ば(・)良いの?

 瑞鶴さん達みたいに、抱き締めてあげれば喜んでくれるかな?

 

……私、小柄だし、アイツより歳下だから、逆に気遣わせるわけにはいかない!とか考えて、素直に甘えてくれない気がする。

 

……やる前から不安になってどうするのよ。やってみなきゃ分からないわよ!

 

 私と同い歳の夕立は、普通にアイツを抱き締めて頭を撫でたりして、アイツを甘(・)や(・)か(・)し(・)て(・)癒してあげている。

 それに対してアイツは、素直に甘(・)え(・)て(・)い(・)る(・)。

 

(何時だか翔鶴さんが言っていたわね。アイツは母(・)性(・)に(・)飢(・)え(・)て(・)い(・)る(・)って)

 今までアイツは沢山私を。私達を甘(・)や(・)か(・)し(・)て(・)く(・)れ(・)た(・)。

 なら、今度は私が甘(・)や(・)か(・)し(・)て(・)あげなきゃ。

 

 私、やられっぱなしは嫌なのよ。

 だから、やり返して(甘えさせて)あげなきゃ。

 

(今現在、アイツが心(・)の(・)底(・)か(・)ら(・)安(・)心(・)し(・)て(・)甘(・)え(・)ら(・)れ(・)る(・)相手は、夕(・)立(・)位しか居ない)

 矢(・)矧(・)さ(・)ん(・)や海(・)風(・)、木曾さん、葛城さんといった真(・)面(・)目(・)で(・)や(・)ら(・)か(・)さ(・)な(・)い(・)人達が居るけど、アイツは遠慮しているのか、素直に甘えようとしない。

 その他の人達は色々やらかしたり、茶化したり、ふざけたりするから安(・)心(・)し(・)て(・)甘(・)え(・)ら(・)れ(・)な(・)い(・)。

 

(心(・)は(・)一(・)度(・)壊(・)れ(・)る(・)と(・)、決(・)し(・)て(・)元(・)に(・)は(・)戻(・)ら(・)な(・)い(・))

 立ち直る事が出来ても。表面上は何の問題も無さそうに見えても、一生引き摺る事になる。

 

 

私(・)や(・)、(・)私(・)の(・)姉(・)妹(・)の(・)よ(・)う(・)に(・)。

 

 

 だから、

 

 

護ってあげなきゃ

 

 

 

 

side 満潮 out

 

 

───────

────

─

 

 

side 提督

 

 

──第603鎮守府、執務室──

13:30。

 

 

(発情犬(時雨)の艤装パーツが届く、か。……はぁ)

 つい先程、大本営から届いた封筒を開け、中に入れられていた書類を確認し、内心で溜息を吐いた。

 

「何が書かれてあったんだ?」

 

「……明日、時雨の艤装パーツが届くんだと」

 書類を確認し終えると、本日の秘書艦、木曾が声を掛けてきた。

 

「そ、そうか……」

 

 あーあ。届くのかぁ。憂鬱だなぁ。

……良し。

 

「シュレッダーにかけよう」

 そうすりゃ、手続きが出来なくなって発(・)情(・)犬(・)に艤装を与えずに済む。

 

 もし発(・)情(・)犬(・)に艤装を与えたら、砲撃や雷撃をブッ離して壁を壊して追っ掛けて来たり、俺にブチ当てて身動きを取れなくして、捕(・)食(・)される恐れがある。

 

 だから、この書類はシュレッダーにかけよう!

 俺の精神(心)と身体(胃袋)を守る為に!!

 あと、貞操──は既に捧げてあるから、別にいい。

 犯されたら、瑞鶴に上(・)書(・)き(・)してもらえばいいや。

 

「いや、かけちゃダメだろ……」

 

「何で?」

 書類を手に持ち、椅子から立ってシュレッダーにかけようとしたら、木曾がツッコミを入れてきた。

 

「何で、って……相棒、気持ちは分かるが、やめよう?」 

 

「やだ」

 コイツ(書類)を殺らなきゃ、発(・)情(・)犬(・)に犯(ヤ)られちまう。

 

「やだ、って……頼むから、落ち着いてくれ。艤装が届いて、時雨がナ(・)ニ(・)かやらかそうとしたら。いや、時雨だけじゃない。榛名とか、他の奴らがやらかそうとしたら、俺が必ず相棒を護ってやる。だから、シュレッダーにかけるのをやめてくれ」

 

「……分かった、やめる」

 めっちゃ真剣な顔で説得されたから、俺は書類をシュレッダーにかけるのをやめる事にした。

 木曾が必ず護ると言ってくれたんだ。信じよう──視線を感じる。気の所為とかじゃない。本当に視線を感じる。

 

(このねっとりとした視線は……サキュバス(榛名)だな)

 何故か分かる。視線は、天井から感じる。

 ゆっくりと視線を感じた方を見ると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(<(((⚫)))><(((⚫)))>)」

 

 

 

 

 わーお!ス○イダーマンみたいに、指だけで天使に張り付くサキュバスさんが居たァ!ガッツリ目が合っちゃったァ!!

 本当、凄いね。良く指だけで張り付けるね。あと、髪の毛や装束が重力に逆らって垂れていない。重力さん、仕事して?

 

「どうした?天井なんか見て──うおッ!?」

 

 俺の視線の先を見た木曾が、天井に張り付くサキュバスを見て驚いた。

 しかし、直ぐに冷静になり、表情を引き締めてサキュバスを睨み出した。

 

……さて。ここは木曾に任せて、俺は逃げよう。

 今までのパターンだと、サキュバスは存在に気付かれたら直ぐに襲いかかって来る。

 モタモタしていたら、捕(・)食(・)されちまう。

 

 素早く書類を引き出しに仕舞い、鍵を掛ける。

 逃走経路は……窓からにしよう。

 素早く椅子から立ち、窓を開け──

 

 

 

「執務室の天井からこんにちはッ!榛名ですッッッ!!!」

 

 

「木曾ォォォォッッッ!!!」

 サキュバスが飛び掛って来たァ!助けてェ!護ってェ!!

 

 

「任せろおおオオオッッッ!!!」

 

 

 

──

 

 

 

──第603鎮守府、応接室──

20:30。

 

 

「──次に、時雨さんですが……バイタルデータを確認した所、確実に艤(・)装(・)の(・)影(・)響(・)を受けて、暴(・)走(・)していますね」

 

「やっぱりか……」

 薄々感じていたけど、暴(・)走(・)しているのかぁ。

 そうなると、解決する方法は一つしか無い。

 

「二人きりでお(・)出(・)か(・)け(・)して、抱(・)い(・)て(・)あげれば、瑞鶴さん達のように大人しくなると思います」

 

 野原主任が言ってくれたが、時雨を大人しくさせるには、望(・)み(・)を(・)叶(・)え(・)て(・)あ(・)げ(・)る(・)しか無い。

 野原主任曰く、今の時雨は抱(・)く(・)前(・)の瑞鶴達と同じ状態らしい。

 

……榛名は既に抱(・)い(・)て(・)いるのに、何故暴走しているのか、だと?

 野原主任が言うには、ただ単に性(・)欲(・)が(・)溜(・)ま(・)り(・)過(・)ぎ(・)て(・)暴(・)走(・)し(・)て(・)い(・)る(・)、との事。

 榛名も、時雨同様抱(・)い(・)て(・)あげれば大人しくなると言うが……すみません、大人しくなってくれるビジョンが全く見えません。

 

 

 

 

 

 

 

 サキュバスの襲撃から数時間後。俺は今、応接室で野原主任と二人で、ウチの娘達について話をしている。

 

 何故、野原主任と話をしているのか。

 理由は、時雨の奇(・)行(・)を見て、「もしかしたら、艤(・)装(・)の(・)影(・)響(・)を受けて暴(・)走(・)しているのでは?」と思い、野原主任に相談し、説明を受けて今に至る。

 

 余談になるが、最初は俺の部屋。もしくは野原主任に宛てがわれた部屋で話をしようと思ったが、機密──艤装に関する話の為、応接室を使う事にした。

 

 私室だと侵入される恐れがあるが、応接室なら重要な話──機密が含まれる話をする際に使用する、と知られているから、侵入される心配は無い。

 

 現に、サキュバスや発情犬は襲撃して来ない。

 今後、精神を休ませたくなったら、野原主任を連れて応接室に逃げ込もう。

 

 閑話休題。 

 

 結果は、俺の予想通りだった。

 なら、さっきも言ったが、やるべき事はただ一つ。逃げずに受け入れる。責任を取る。

 

 明日朝一で時雨を呼び出して、この事を。時雨と二人きりで出掛け、そ(・)う(・)い(・)う(・)コ(・)ト(・)をしないか話そう。

 

「──とにかく、このままだと確実に時雨さんはヤ(・)ら(・)か(・)す(・)ので、な(・)る(・)早(・)でお願いします」

 

「分かりました。お疲れの所、時間を割いて頂きありがとうございます」

 

「いえいえ。お気になさらないで下さい。というか、俺よりも少佐の方が疲れているんじゃないですか?今日も全(・)力(・)逃(・)走(・)したんでしょ?」

 

「……はい」

 途(・)中(・)ま(・)で(・)は(・)、逃走しました。

……逃走した際、かなりや(・)ら(・)か(・)し(・)ち(・)ま(・)っ(・)た(・)なぁ。

 精神的に限界だったらしく、ぶっ飛んだ思考をしてしまい、実行してしまった。

 

……何をしたのか、って?

 

 

 

 

襲(・)い(・)返(・)し(・)た(・)。

 

 

 

……はい。ここから説明タイムに突入すんぞ。

 昼間。執務室にサキュバスが襲来した後どうなったか、話す。 

 

 木曾がサキュバスを抑えている間に執務室から逃走し、何処か安全な場所を探していたら、運悪く発情犬とバッタリ遭遇してしまった。

 

 幸いな事に、発情犬のすぐ傍に夕立が居たから直ぐに止められたけど、襲われそうになった事で俺の中で何かが弾け、

 

 

 夕(・)立(・)の(・)目(・)の(・)前(・)で(・)、(・)発(・)情(・)犬(・)を(・)襲(・)っ(・)て(・)し(・)ま(・)っ(・)た(・)。

 

 

……何故、あんな事をしちまったんだ?

 何故、襲われそうになった際、「襲って良いのは、襲われる覚悟のある奴だけだ!」という謎のフレーズが浮かんだんだ?

 

 閑話休題。

 

 気が付けば、夕立に飛び膝蹴りを喰らわされ、ふらついている発情犬を押し倒し、靴を脱いで電(・)気(・)あ(・)ん(・)ま(・)をぶちかましていた。

 

 どれ程の時間が経ったのか分からないが、暫く電(・)気(・)あ(・)ん(・)ま(・)をぶちかますと、発情犬は白目を剥き、気絶していた。

 念の為確認すると、完全に気絶しているのか、全く反応が無かった。

 

 やり過ぎた。しかし、後悔の念は一切無かった。

 そう思っていると、今度はサキュバスが襲い掛かって来た。

 

 後で分かった事だが、どうやらサキュバスは木曾から逃走したらしい。

 木曾曰く、扶桑さんから剣術を教わっていて、サーベルで抵抗したら逃げ出した、との事。

 

 何時の間に教わっていたの?全然気付かなかったよ。

 ツッコミどころ満載だけど、やめよう。考えるな、感じろ。

 

……話を戻そう。

 サキュバスが襲って来て、夕立が阻止しようとしてくれたけど、俺は迷わずサキュバスに突撃し、襲(・)っ(・)た(・)。

 

……あの時の俺は完全に理性を捨てていたから、迷いが一切無かった。

 普段なら逃走していたのに、迷わずサキュバス目掛けて突撃したら、夕立がめっちゃ驚いていたなぁ。

 

 んで、突撃してそのままサキュバスにウェスタンラリアットをぶちかまし、サキュバスを押し倒した。

 恐らく、火事場の馬鹿力的な物が働いていたからか、殴られた位じゃ怯まないサキュバスを怯ませる事が出来たのだと思う。

 

 んで、押し倒した後は、色々イ(・)タ(・)ズ(・)ラ(・)してい(・)じ(・)め(・)た(・)。内容についてはR18指定の内容になる為、割愛。

 

 イ(・)タ(・)ズ(・)ラ(・)している間、サキュバスは「やめて!」と懇願してきたが、聞く耳持たずにイ(・)タ(・)ズ(・)ラ(・)をし続けた。

 

 最低な事を言うけど、興奮した。

 襲う側って、こんなにも楽しいんだね。お陰で調子に乗り過ぎて、色々イ(・)タ(・)ズ(・)ラ(・)してしまった。

 

 暫くイ(・)タ(・)ズ(・)ラ(・)していると、騒ぎを聞き付けて瑞鶴達がやって来て、瑞鶴に「理性を働かせて!」と注意されたんだけど、

 

 

『理性?マ(・)マ(・)の(・)胎(・)内(・)に(・)置(・)き(・)忘(・)れ(・)て(・)き(・)た(・)ッ!瑞鶴ッ!!お(・)前(・)の(・)胎(・)内(・)に(・)なァッッッ!!!』

 

 

 と言って、聞く耳を持たなかった。それどころか、気が付くと瑞鶴を襲っていた。

……あの時の俺、本当にヤバかった。今は物凄い後悔している。反省もしている。

 

 閑話休題。

 

 その後は、皆が俺の狂(・)行(・)を止める為、殴り掛かって来て、抵抗して、襲(・)っ(・)て(・)、それから……すまん。その後の事は良く覚えていない。

 

 気が付くと、医務室のベッドの上に居た。

 恐らく。いや、ほぼ間違い無く、皆にシバかれたんだろうな。

 

 目を覚ました後、俺は後悔した。幾ら精神状態がアレな事になっていたとはいえ、とんでもない事をやらかしてしまった。

 

 すぐさま医務室を出て、襲(・)っ(・)て(・)し(・)ま(・)っ(・)た(・)娘達に謝罪しに行ったんだけど……発情犬とサキュバスを除いて皆、顔を赤らめて、目を合わせてくれなかった。

 

……死にたい──ん?……おいおい。ダース○イダーのテーマが流れ始めたぞ?ベ○ダー卿が登場すんの?

……じゃなくて。ダー○ベイダーのテーマが流れた、という事は──

 

「アォン……」

 

 突然、野原主任が白目を剥き、両手で頭を抱えて俯きながら、奇声を出した。

 ダースベイ○ーのテーマが流れた、という事は、野原主任の部(・)下(・)──秋(・)津(・)州(・)の適性者からの電話だな。

 今まで何度も聞いたから、分かる。

 

「……すみません、少佐。席を外します……」

 

「アッハイ」

 野原主任は憔悴しきった顔をし、絞り出すような声でそう言いながらソファから立ち、震える手でポケットからス○ホを取り出し、応接室から出て行ってしまった。

 

(野原主任……苦労しているなぁ……)

 もしかしたら、俺以上に苦労しているかもしれない。

……イカン、胃が痛み出してきやがった。胃薬飲まなきゃ。

 

(とにかく、明日また皆に誠心誠意謝罪して、許しを乞おう)

 もし許してもらえなかったら、腹を切って詫びよう。

 

 

side 提督 out

 

 

───────

────

─

 





次回予告


……昨日、提督が錯乱して皆を襲(・)っ(・)た(・)際、私には一(・)切(・)手(・)を(・)出(・)し(・)て(・)く(・)れ(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)。
 やっぱり、今までの行いのせいで、未だ未だ私に手(・)を(・)出(・)す(・)事に抵抗があるみたいね。
 私は全(・)然(・)構(・)わ(・)な(・)い(・)のに──あら、時雨。そんな嬉しそうな顔をして、どうしたの?
……近日中に、提督とデートをする?
……ふふっ。
……うふふっ。
……あはっ♪


 あははははははははははッッッ!!!


第147話・狂(・)行(・)策


「うふっ……うふふっ……アッハハハハハ!面白いわね。そ~いう事なら──


私からも仕掛けてもイイのかしら、ねっ?」


【補足的なナニか】

・13日の金曜日…1980年にアメリカで公開されたホラー映画、「13日の金曜日」を指す。
 2001年までに10作品が作られた。

以上、補足終了。
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