追跡鶴   作:EMS-10

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 イベント、夕立が夜戦カットイン&旗艦スナイプして花(・)火(・)にしてくれた。最高や。沢山愛でなきゃ(挨拶)
 なお、時雨は……次、頑張ろうな……

※警告※
勢いしかない
こまけぇこたぁいいんだよ!
頭を空っぽにしてご覧下さい
お前らの嫁だろ、早くなんとかしろよ


※この小説内の季節は、12月中旬頃となっています。



第154話・深海棲艦逃げて!超逃げて!!

 

side 矢矧

 

 

──第603鎮守府・工廠、屋根──

漁(・)開始97日目。

08:20。

 

 

 しんしんと雪が降り続けている。

 此処(第603鎮守府)に戻って直ぐ、工廠の屋根に登り、かれこれ三十分以上居るから、私の頭や身体に雪が積もっている。

 

 艦娘の装束を纏っているから、妖精さんの加護と艦娘の力が働いているお陰で、そこまで寒さは感じない。

 けれど、このままずっとこうしていれば、体調を崩す恐れがある。下手したら、死ぬ恐れもある。でも、

 

(このまま死にたい……)

 凍死したい。でも、妖精さんの加護と艦娘の力のせい(お陰)で、直ぐには死ねないでしょう。

 きっと、凍死する前に誰かが私を見付け、入渠槽に叩き込まれる。

 

……首を吊って死のうかしら?それか、身体中に重りを括り付けて、海に飛び込むか。

 この気温なら。雪が降っているから、水はとても冷たい筈。

 重りを付けなくても、準備運動をせずに飛び込めば、心臓麻痺を起こして死ねるかな?

 けど、実行する覚悟と勇気は無い。

 

(……死んだら、渡(・)良(・)瀬(・)と触(・)れ(・)合(・)う(・)事が出来なくなる)

 それだけは嫌。絶対に嫌。でも、死にたい。死ぬしかない。

 

 何故なら、昨(・)日(・)。パ(・)ニ(・)ッ(・)ク(・)に(・)陥(・)っ(・)て(・)あ(・)ん(・)な(・)事(・)を(・)ヤ(・)ら(・)か(・)し(・)て(・)し(・)ま(・)っ(・)た(・)から。

 

(渡(・)良(・)瀬(・)は笑って許してくれたけど、絶対ヤ(・)ベ(・)ー(・)奴(・)だと認識されたわ……)

 何度も優しい声で。優しく微笑みながら慰めてくれたけど、内心では絶対警戒されているわ。間違い無い。

 

 これから抱(・)か(・)れ(・)る(・)と思ったら、極(・)度(・)の(・)緊(・)張(・)状(・)態(・)に陥って。

 

 更に、胸(・)の(・)底(・)か(・)ら(・)羞(・)恥(・)心(・)が(・)湧(・)き(・)上(・)が(・)っ(・)て(・)き(・)た(・)事で頭(・)が(・)パ(・)ニ(・)ッ(・)ク(・)になってしまって。

 

 その結果、何を血迷ったのか、室内に備え付けられてあった冷蔵庫からお酒──ウォッカを取り出して、飲み干して。

 

 ただでさえ、極(・)度(・)の(・)緊(・)張(・)状(・)態(・)に陥り、羞(・)恥(・)心(・)が(・)湧(・)き(・)上(・)が(・)っ(・)て(・)き(・)た(・)事で正常な思考や判断が出来なくなっていたのに、酔いが回った事で完全に思考・判断能力が無くなって。

 

 謎の高揚感に支配されていた時。ふと、クローゼットが視界に入り、何となくクローゼットの中を物色して。

 

 物色すると、何故かクローゼットの中に○A-91の衣装があって。

 

 それを見た私は、コスプレすれば恥(・)ず(・)か(・)し(・)い(・)気(・)持(・)ち(・)を(・)紛(・)ら(・)わ(・)せ(・)る(・)か(・)も(・)し(・)れ(・)な(・)い(・)!と思い、急いでそれを着て。

 

 着替えると、自分は私(香苗)ではなく、○A-91なんだ!と暗(・)示(・)を(・)掛(・)け(・)て(・)。

 

 次第に暗(・)示(・)が(・)掛(・)か(・)っ(・)て(・)き(・)た(・)のか、羞(・)恥(・)心(・)が(・)消(・)え(・)て(・)き(・)て(・)。

 

 羞恥心がほぼ消えた頃。渡良瀬がシャワーを浴び終えたのか、脱衣場から出て来て。

 

 湯上りの彼の姿を見た途端、私(・)の(・)中(・)の(・)ナ(・)ニ(・)か(・)が(・)壊(・)れ(・)て(・)。

 

 気(・)が(・)付(・)け(・)ば(・)、ロシア語で愛の告白をして飛(・)び(・)掛(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)。

 

(…………何故、飛び掛ったのよ)

 そんな事をすれば、渡良瀬は怖がる。現に、彼は私を抱き止めず、回避した。

 

 結果、私は顔面から床に激突するハメになった。結構痛かったなぁ。

 

……激突した後は、私を抱き止めず避けた事に怒り狂ってしまって、彼に詰め寄ってしまったっけ。

 

 彼は今まで何度もヤ(・)ら(・)か(・)す(・)人(・)達(・)に飛び掛られているから、そんな事をすれば恐怖を感じて避ける筈。

 

 普段の冷(・)静(・)な(・)フ(・)リ(・)を(・)し(・)て(・)い(・)る(・)私なら、詰め寄る前に気付けた。

 

 けど、アルコールが回り。更にポ(・)ン(・)コ(・)ツ(・)化(・)していたから、そういった事を考えられず、彼にベ(・)ア(・)ハ(・)ッ(・)グ(・)をかましてしまった。

 

 その後は、痛みのせいでまともに動けなくなった彼をベッドに投げ飛ばして、それから……そ、それ……から…………────

 

 

「────ぁ……ぁ…………ぁぁぁぁぁあああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

 思い出してしまったああああああああ!!!

 恥ずかしい!恥ずかしい!恥ずかしいッッッ!!!

 

(これ以上思い出すな、私!無心になりなさい!!)

 思い出したら、恥(・)ず(・)か(・)死(・)する!絶対する!!!

 

 必死に昨(・)夜(・)の(・)出(・)来(・)事(・)を忘れようと、頭を振った。

 けど、私の願い虚しく、私の脳は昨(・)夜(・)の(・)出(・)来(・)事(・)を鮮明に再生してきた。

 

 

 

 ベ(・)ア(・)ハ(・)ッ(・)グ(・)された事で背骨を痛め。結果、満足に動けなくなり、ベッドの上に横たわる彼の姿。

 

 

 嬉々とした表情をしながら、彼のお腹の上に乗っかる私。

 

 

 一切躊躇わずに、彼のズボンとパンツを脱がす私。

 

 

 彼のナ(・)ニ(・)を手で握って、優(・)し(・)く(・)声(・)を(・)掛(・)け(・)な(・)が(・)ら(・)シ(・)ゴ(・)く(・)私。

 

 

 次第に大きくなるナ(・)ニ(・)を見た私は、少しずつ興奮して。

 

 

 暫くシ(・)ゴ(・)き(・)続(・)け(・)る(・)と、彼は可(・)愛(・)ら(・)し(・)い(・)悲(・)鳴(・)を(・)上(・)げ(・)て(・)、ナ(・)ニ(・)から欲(・)望(・)を(・)吐(・)き(・)出(・)し(・)た(・)。

 

 

 吐(・)き(・)出(・)さ(・)れ(・)た(・)欲(・)望(・)を見た私は更に興奮して、彼に我(・)慢(・)の(・)限(・)界(・)だと伝えて。

 

 

 彼から同意を得て、彼のナ(・)ニ(・)にカ(・)バ(・)ー(・)を付けてあげて。

 

 

 そして、騎○位でそれを私のナ(・)カ(・)に────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………見付けたわ」

 

「────えっ?」

 彼との情(・)事(・)を思い出して悶えていると、背後から呆れたような声が聞こえてきた。

 幻聴なんかじゃない。ハッキリと聞こえた。

 お陰で情(・)事(・)の映像が途切れてくれたけど、代わりにパ(・)ニ(・)ッ(・)ク(・)に陥り始めてしまった。

 

 情(・)事(・)を思い出している間、私の顔は大変な事になっていたと思う。

 だから、もし誰かにその顔を見られたら、私は一切躊躇わずに、ここから海に向かって飛び込んでやる。

 

 見られていない事を祈りながら、急いで振り返ると──

 

 

「……ったく。探したわよ?」

 

「──望実(のぞみ)姉……?」

 傘をさした望実姉が、呆れたような顔で私を見ていた。

 良かった。望実姉には、艦娘になる前から散々私のア(・)ブ(・)ナ(・)イ(・)顔(・)を見られた。

 それに、私のア(・)ブ(・)ナ(・)イ(・)顔(・)を見ても、引かれたりしない。

 

 私に声を掛けてきたのが望実姉だと分かると、パ(・)ニ(・)ッ(・)ク(・)に陥りかけていた精神が少しずつ落ち着いてきた……じゃなくて。何でここに望実姉が居るのかしら?

 

「此処(第603鎮守府)に帰ってきたと思ったら、急に居なくなったから心配したのよ?」

 

「ねぇ……さん…………」

 そうだ。私、鎮守府に帰ってきたと同時に、部屋に全力疾走して向かって、荷物を部屋に置いて、逃げるようにここ(工廠の屋根)に来たんだっけ。

 

「私だけじゃない。派遣されてきた人達や、第603鎮守府の人達。野原主任。そして、渡良瀬少佐も心配しているわ」

 

「…………」

 やってしまった。幾ら身の置き所のない羞恥に置かれていたとはいえ、軽率な行動を取ってしまった。

 ちゃんと皆に謝らなくちゃ。

 

「あーあー、全身雪まみれじゃない。それに、身体が冷えきっている。このままだと体調を崩すわよ?」

 

「姉……さん……」

 罪悪感に苛(さいな)まれていると、望実姉は──今は仕事中だから、能(・)代(・)姉(・)って呼ばなきゃ。

 能代姉は私に歩み寄り、私の頭上に傘を差し出してくれた。お陰で雪が身体にかからなくなった。

 そして、呆れたような顔は心配するような顔になり、手際良く身体中に積もった雪を手で払ってくれた。

 

「まずはお風呂に入って、身体を温めてきなさい。その後、ちゃんと皆に謝るのよ?」

 

「…………うん」

 そう言うと、姉さんは私の手を引いてきた。

 抵抗したかったけど、やめた。これ以上ここに居たら、皆に。渡良瀬──提督に迷惑を。心配をかけてしまう。

 

「足元、気を付けなさい?」

 

「…………うん」

……なんか、こうして能代姉に手を引かれていると、昔を思い出す。

 昔、学(・)校(・)で(・)や(・)ら(・)か(・)し(・)て(・)し(・)ま(・)っ(・)て(・)落ち込み、一人で隠れて泣いていると、何処に居ようがこうして私を見付け出してくれたっけ。

 

(変わらないなぁ……)

 それに、普通なら「何があったの?」と聞いてくる所なのに、能代姉は何も聞かず。何も言わずに私の手を引いて、帰るべき場所へ連れて行ってくれる。

 

 どんな事があろうと、私の味方をしてくれた。

……普(・)段(・)は長(・)女(・)並(・)み(・)に(・)だ(・)ら(・)し(・)な(・)い(・)のに、こういう時だけは頼もしくなる──

 

「──いたたたたたたたッッ!!?」

 手ッ!骨が砕けるッ!?

 

「香(・)苗(・)。あなた、余(・)計(・)な(・)事(・)を(・)考(・)え(・)て(・)い(・)る(・)でしょ?」

 

 しまった。気付かれた。

 能代姉──いいえ。望実姉は結構勘が鋭い所があるから、こうして余(・)計(・)な(・)事(・)を(・)考(・)え(・)る(・)と直ぐに気付いて制裁を加えてくる──

 

「今度私と演習する時、覚(・)悟(・)し(・)て(・)お(・)き(・)な(・)さ(・)い(・)」

 

──終わった。

 

 

 

side 矢矧 out

 

 

───────

────

─

 

 

side 提督

 

 

──第603鎮守府、執務室──

08:45。

 

 

「温かい麦茶です。どうぞ」

 

「ありがとう」

 

「どういたしまして♪」

 

 執務室に戻ると、本日の秘書艦、涼月が湯呑みを執務机に置いてくれた。

 少し前まで矢矧を探し回って、全身雪まみれになったからシャワーを浴びたけど、身体の中までは温まっていないから有難い。

 

(……美味い)

 口に含むと、麦茶の香ばしい香りが口全体に広がり、心が安らぐ。

 

「お口に合って良かったです♪」

 

 俺の思(・)考(・)を(・)読(・)ん(・)だ(・)らしく、涼月は微笑みながらそう言ってきた。

 ホント、便利だねぇ。能力が目覚めたばかりの頃は混乱していたけど、今じゃ皆、普通に受け入れて使いこなしている。

 ちなみに、俺も前と比べれば受け入れられるようになっている、と言っておく。

 

 閑話休題。

 

 最初は、“言わぬが花”という言葉があるように、知りたくもない事。本(・)音(・)を知ってしまい、傷付いてしまうのでは?と思っていた。

 

 ウチの娘達や派遣されて来た娘達は皆、良い娘ばかりだから酷い事を考(・)え(・)な(・)い(・)と信じている。

 けど、心のある生き物だから、多少黒(・)い(・)事(・)を考(・)え(・)た(・)り(・)す(・)る(・)筈。これは仕方のない事だと思っている。

 

 世の中には、全くそういう事(黒い事)を考えない人も居るだろうけど、そういった人は希少だ。

 

 閑話休題。

 

 一応、完(・)全(・)に(・)読(・)み(・)取(・)れ(・)る(・)よ(・)う(・)に(・)な(・)っ(・)て(・)から、何度か「苦労していないか?」と聞いたが、

 

 

『そこまで苦労はしていないので、大丈夫です!それに、皆さんとても良い方ばかりなので、そ(・)こ(・)ま(・)で(・)黒(・)い(・)事(・)を考(・)え(・)て(・)い(・)ま(・)せ(・)ん(・)』

 

 

 と言ってくれた。様子を見る限り、嘘はついていない。無理もしていない。

 なら、その言葉を信じよう。

 

……何時までも思考していないで、仕事しよう。

 仕事量はそこまで多くないけど、のんびりして良い理由にはならない。さっさと終わらせないと。

 そして、矢矧のケアをしなきゃ。

 

(相当落ち込んでいたなぁ……)

 ハ(・)ジ(・)メ(・)テ(・)の経験をする、と思ったらパ(・)ニ(・)ッ(・)ク(・)に(・)陥(・)っ(・)て(・)ポ(・)ン(・)コ(・)ツ(・)化(・)して。

 思考・判断能力がアレな事になった結果、アルコールを摂取して気を紛らわせて。

 そして、コスプレして…………これ以上は考えるな。考えたら、隣で書類を捌いている涼月に読(・)み(・)取(・)ら(・)れ(・)る(・)。

 そうなったら、矢矧のプライバシーが──

 

「提督、お仕事しましょう?」

 

「──はい」

 思考していると、涼月がそう言ってきた。

 恐る恐る顔を見ると……少しだけ呆れたような顔をしている。

 

「あまりそういった事(情事)を考(・)え(・)な(・)い(・)で(・)下(・)さ(・)い(・)。その……変(・)な(・)気(・)分(・)になってしまいます……」

 

「アッハイ」

 ごめんなさい。考えません。変(・)な(・)気(・)分(・)にさせません。もし変(・)な(・)気(・)分(・)にさせたら、襲われるかもしれないからね。

 あと、昨日。俺(・)の(・)本(・)音(・)を聞いたから、マ(・)マ(・)になろうと色々仕掛けて来る恐れがある。

 

(最近大(・)人(・)し(・)い(・)から忘れかけていたけど、この娘、ヤ(・)ベ(・)ー(・)奴(・)組(・)に含まれているんだよね……)

 抱(・)い(・)た(・)後(・)は、全くナ(・)ニ(・)もヤ(・)ら(・)か(・)し(・)て(・)い(・)な(・)い(・)。日(・)常(・)生(・)活(・)では、一(・)切(・)ゾ(・)ン(・)ビ(・)化(・)もしない。

 

 けど、ふとした拍子に娼(・)鶴(・)達(・)みたいに、スイッチが入って襲(・)っ(・)て(・)く(・)る(・)可能性があるから、気を付けないと──あ、考(・)え(・)ち(・)ゃ(・)っ(・)た(・)。読(・)み(・)取(・)ら(・)れ(・)ち(・)ゃ(・)う(・)──

 

「…………確かに、涼月はヤ(・)ベ(・)ー(・)奴(・)です。今まで提督に。いいえ。準(・)さ(・)ん(・)に対して色々ヤ(・)ら(・)か(・)し(・)て(・)きました」

 

「…………」

 俺(・)の(・)思(・)考(・)を(・)読(・)み(・)取(・)っ(・)た(・)涼月は、申し訳なさそうな顔をして俯き、そう言ってきた。

 あれ?てっきりキレて、抱(・)く(・)前(・)みたいにゾ(・)ン(・)ビ(・)化(・)して襲いかかって来ると思っていたんだけど──

 

「今までは構(・)っ(・)て(・)も(・)ら(・)う(・)為(・)、(・)ヤ(・)ら(・)か(・)し(・)て(・)き(・)ま(・)し(・)た(・)。寂(・)し(・)い(・)気(・)持(・)ち(・)を(・)紛(・)ら(・)わ(・)せ(・)る(・)為(・)、(・)襲(・)っ(・)て(・)い(・)ま(・)し(・)た(・)。

 ですが、涼月は。私(・)は、もう二度とヤ(・)ら(・)か(・)さ(・)な(・)い(・)と。襲(・)わ(・)な(・)い(・)と。準(・)さ(・)ん(・)の負担になる事をしないと、心に決めました」

 

「涼月……」

 やっぱり、か。何となくそうだろうと思っていたけど、寂(・)し(・)さ(・)を(・)紛(・)ら(・)わ(・)す(・)為(・)。構(・)っ(・)て(・)も(・)ら(・)う(・)為(・)にあんな事をしてきたのか。

 

「何度もヤ(・)ら(・)か(・)さ(・)な(・)い(・)と。襲(・)わ(・)な(・)い(・)と言ってきましたが、尽く破ってきたので信用が無いかもしれません。……いいえ、かもしれない、ではなく皆無です。なので、疑い続けて下さっても構いません。

 どんなに時間が掛かっても、少しずつ信用を取り戻せるよう、行動で示し続けます──ッ!」

 

「……?」

 ん?どうしたの?真剣な顔をしていたと思ったら、急に険しい顔になったぞ?

 

「……申し訳ありません、提(・)督(・)。お話の途中ですが、少し席を外します」

 

「え?あ、うん。分かった」

 本当にどうしたの?……格納領域(空きスロット)からスタンロッドを取り出したぞ。何をする気?

……無言で壁の方に向かって行った。そして、スタンロッドのスイッチを入れた。

 

 あのぉ、涼月?何でスタンロッドのスイッチを入れたの?そして、何でそれを振り上げているの?君が振り下ろそうとしている所、壁だよ?壁に向かって振り下ろしたら、壁が大変な事になっちゃう──振り下ろすなッ!!

 オメー!さっきヤ(・)ら(・)か(・)さ(・)な(・)い(・)って言ったじゃん!嘘なの?ねぇ?早速嘘言ったよ──

 

 

 

 

 

 

 

「ア゙ビ゙ビャ゙バババババ!゙!゙?゙」

 

 

 

 

 

 

──壁から、断(・)末(・)魔(・)の(・)叫(・)び(・)が聞こえてきた。

 えっ?何?何が起こっているの?

…………あ、壁から時雨が飛(・)び(・)出(・)し(・)て(・)き(・)た(・)。

 壁から飛(・)び(・)出(・)し(・)て(・)き(・)た(・)、って日本語おかしいかもしれない。いや、おかしいけど、そうとしか言いようがない。

 

……じゃない。あの、時雨?何で居るの?何時から居たの?

 

「……どうやら、涼月と提督が執務室に入る前から隠れて居たようです」

 

 えっ?マジ?全然気付かなかった。

 

「壁に隠れていた理由ですが、どうやら提督のマ(・)マ(・)になろうと待機していたようです」

 

 あっ、そうなんだ。ありがとう、時雨。けど、間に合っています。ごめんなさい。

 君の場合、変な事してきそうだから、丁重にお断りします。勿論、口では言わない。言ったら発(・)情(・)犬(・)モ(・)ー(・)ド(・)に突入して襲ってきそう(小並感)

 

「な……なぜ……気付かれ……た…………」

 

「無(・)心(・)になって隠れていたので、気付くのが遅くなりましたが、匂(・)い(・)のお陰で気付く事が出来ました」

 

 涼月、お前は犬か?

 

「……どうやら、ま(・)だ(・)居(・)る(・)ようです」

 

 えっ?えっ?えっ???

 

「天(・)井(・)裏(・)に二(・)人(・)居ますね」

 

……誰だろう?淫乱鶴(翔鶴)と迷惑迷彩戦艦(榛名)かな?

……胃が痛くなってきた。ツッコミ入れるのやめよう。流せ。考えるな、感じろ。

 とりあえず、胃薬を飲もう──電話だ。

 

(何処からだァ?……第8492離島鎮守府からだ)

 ナンバーディスプレイを見ると、向こうの電話番号が表示されている。何だろう?何かあったのかな?

 

「はい、こちら第603鎮守府、渡良瀬準少佐です」

 まぁ、聞けば分かるか。

 疑問に思ったが、受話器を取る。胃が痛いけど、我慢だ。

 

……そうだ。おーい、涼月。それから駄(・)犬(・)。あと天(・)井(・)裏(・)に居る変(・)態(・)共(・)。少し大人しくしていろ。いいな?

 

『こちら、第8492離島鎮守府、小島英雄准将です。突然のお電話、失礼します』

 

「いえ、大丈夫ですよ。して、小島提督。如何なされましたか?」

 小島提督、相変わらずいい声してんなぁ。子○武人さんの声に激似だから、何度聴いても惚れ惚れする……じゃねーよ。しっかりしろ。

 定時連絡とか報告は未だ先の筈。何か起きたのかな?

 

<グゲッ!?

 

……駄(・)犬(・)の変な声が聞こえた気がしたけど、気のせいだね。

 

『実は、つい先程私共の哨戒部隊が、深(・)海(・)棲(・)艦(・)を(・)確(・)認(・)しました』

 

「──ッ!?」

 深(・)海(・)棲(・)艦(・)を(・)確(・)認(・)し(・)た(・)?マジ?約三ヶ月ぶりに出現したのか。

……今は余計な事を考えていないで、小島提督の話を聞く事に集中しろ。

 

<ガアアッ!?

 

……駄(・)犬(・)、静かにしなさい。何騒いで──涼月がアイアンクローしてる。やるのは構わないけど、騒がないで?

 

『現在、私共が担当する海域以外には出現が確認されていないようですが、何時そちらの担当する海域に出現するか分かりませ──「血(・)の(・)雪(・)を降らせエエェェェッッッ!!!」──すみません、少々お待ち下さい。川内くん!静かにしてください!……お待たせ致しました』

 

「アッハイ、大丈夫デスヨ?」

 今、川内の雄叫びが聞こえたけど、気のせいだね、うん。

 

『現在、私共が担当する海域にのみ出現しているようですが、何時そちらの担当する海域に出現するか分かりません。充分警戒してください』

 

「了解しました!態々ありがとうございま──」

 

 

『新(・)鮮(・)な(・)深(・)海(・)棲(・)艦(・)だアアアアァァァ!!!囲めッ!!囲めえええええええエエエエエエエエエエエエッッッ!!!』

 

 

「」

 

 

『江(・)風(・)く(・)ん(・)!静かにしなさい!…………渡良瀬提督、大変失礼致しました』

 

「──アッ、大丈夫デスヨ?オ気ニナサラナイデ下サイ」

 俺は何も聞いていない。狂気にまみれた雄叫びなんて、聞いていない。聞いていないと言ったら、聞いていない。

 

<ヌヴォオオオオオオッッッ!!?

 

 おい、駄(・)犬(・)。うるさいぞ──涼月が逆エビ固めしてらァ。いいぞ、そのままトドメ刺しちゃって。

 

『…………本当に申し訳ございません』

 

「いえ、大丈夫です。大丈夫ですので、本当にお気になさらないで──」

 

 

『解体♪解体♪うわぁ~い♪』

 

 

……橋○ちなみさんに似た、ダウナーな感じの声が聞こえてきた。この声、確か山(・)風(・)って艦娘だな。

 一度だけ会ったけど、声が特徴的だったから覚えている。

 

 なんか、人理修復するゲームに登場する、切り裂きジャックの台詞を。物凄く物騒な事を楽しそうに言っていたような気がするけど、気のせいだね──刃(・)物(・)同(・)士(・)を(・)擦(・)り(・)合(・)わ(・)せ(・)る(・)音。擬音で例えるなら、シャラン……って感じの音が聞こえてきたけど、気のせいだね、うん。

 

『…………渡良瀬提督。重ね重ねになりますが、大変失礼致しました』

 

「いいえ、お気になさらないで下さい。……あの、小島提督。その……大丈夫ですか?」

 声が死にかけていますよ。洒落抜きでヤバい声してる。

 

『えぇ、大丈夫ですよ。今(・)の(・)所(・)平(・)和(・)なので、大丈夫です』

 

 全然大丈夫じゃないと思います。何ですか、今(・)の(・)所(・)は(・)平(・)和(・)って──あ、受話器の向こうが騒がしくなってきた。

 

……この声は、金(・)剛(・)さ(・)ん(・)だな。相変わらず元気だなぁ。

……破砕音が聞こえてきた。

……羽(・)黒(・)さ(・)ん(・)がダ(・)イ(・)ナ(・)ミ(・)ッ(・)ク(・)入(・)室(・)したみたいだ。

……確か、向こうに所属する羽(・)黒(・)の適性者って、那智さんと足柄の実(・)妹(・)なんだよな。

 姉二人は羽(・)黒(・)さ(・)ん(・)の狂(・)行(・)を知っているのかな?今度聞いてみよう──

 

 

『提督、提督と…………

そんなに提督が好きかああああアアアアアアァァァァァァ!!!』

 

 

──小島提督が壊れたようです。御大将になっちゃってる。

…………あ、電話が切れた。

…………なんというか、うん。凄かったね。

…………小島提督、苦労しているなぁ。

…………言葉は悪いけど、向こうの艦娘達、ウ(・)チ(・)の(・)娘(・)達(・)よ(・)り(・)ヤ(・)バ(・)そ(・)う(・)。

…………胃が痛くなってきた。さっさと胃薬飲もう。

 

「……提督、白湯です」

 

「……ありがとう」

 思(・)考(・)を(・)読(・)ん(・)だ(・)のか、涼月が白湯を用意して差し出してきた。ありがとう。

 天井裏から翔鶴と榛名が頭を出して、心配そうな顔でこっちを見ているけど、無視。

 駄(・)犬(・)が泡吹いて、白目を剥いて床に倒れているけど、何も言わない。何も考えない。ツッコミ入れない。

 

…………さて。ツッコミの代わりに放送を入れよう。

 その前に、外洋へ哨戒に向かった山城達に無線で深海棲艦が出現した事を伝えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放送と無線で深海棲艦が出現した事を皆に伝えたら、お祭り騒ぎになった、と言っおく。

 

 かれこれ三ヶ月近く深海棲艦と戦う事が出来なかったから、相当ストレスが溜まっていたみたいだ。

 

……皆の様子を見ていて思ったけど、なんというか、ヤバかった。

 

 派遣されてきた娘達はそこまででも無かったけど、ウチのヤ(・)ベ(・)ー(・)奴(・)組(・)は、ヤバかった。殺気とか、狂気とか、顔とか。

 ちなみに、瑞(・)鶴(・)と(・)涼(・)月(・)は(・)含(・)ま(・)れ(・)て(・)い(・)な(・)い(・)。この二人は何故か、ま(・)と(・)も(・)な(・)ま(・)ま(・)だった。

 

 余談になるが、ヤ(・)ベ(・)ー(・)奴(・)組(・)の殺気と狂気に充てられた鈴谷と葛城、木曾が、半べそかく程ビビっていた。後でちゃんとケアしてあげなきゃ。

 ケアで思い出したけど、矢矧の事もケアしてあげなきゃ。

 

 それはそれとして。

 深海棲艦達、大丈夫かな?玩(・)具(・)にされないか心配だ。

 

……深海棲艦を心配してどうすんだよ。

 

……アカン。また胃が痛くなってきた。また胃薬飲まなきゃ。

 

 

side 提督 out

 

 

───────

────

─

 





次回予告


 うっへぇ……魚介類と深海棲艦を同時に相手するの、結構キツいなぁ。秋雲さんは皆みたいに戦闘力無いから、全然活躍出来ないや。
……提督に呆れられたりしない……よね?もし呆(・)れ(・)ら(・)れ(・)た(・)り(・)し(・)た(・)ら(・)、どうしよう?見(・)捨(・)て(・)ら(・)れ(・)た(・)ら(・)、どうしよう?
 提督の事だから、そんな事は絶(・)対(・)思わないだろうけど、不安──ん?摩耶さん、どったの?そんなに慌てて。
……野原主任が突然発狂して、失踪した?は!?何でッ!?


第155話・嘘だと言ってよ、二式大艇ちゃん!


「残念だけど、俺には味方なんて居ないんだ。そう、居ないんだ……と思っていたけど、渡良瀬少佐。貴方が居る。貴方は。貴方だけは、俺の味方をしてくれますよね?してくれますよね?
してくれよオオオオッッ!!少佐アアアアアアァァッッッ!!!」




【補足的なナニか】

・橋本ちなみ…声優。「艦○れ」では、「アイオワ」と「山風」の声を担当している。

・人理修復するゲーム…ソーシャルゲーム、「Fate/GrandOrder」を指す。

・解体♪解体♪…上記の「Fate/GrandOrder」に登場する「切り裂きジャック」こと、「ジャック・ザ・リッパー」の台詞を指す。

・御大将…「∀ガンダム」に登場するヒロイン「ギム・ギンガナム」を指す。声は「子安武人」さんが演じている。
 とにかくうるさい。声だけでなく、顔(・)も(・)う(・)る(・)さ(・)い(・)。

以上、補足終了。


Q:第153話の次回予告で、千歳が時雨たちの事を「ヤ(・)ら(・)か(・)さ(・)な(・)く(・)な(・)っ(・)た(・)」。「提督に負担を掛けなくなった」、って言っていた。
 それなのに、ヤ(・)ら(・)か(・)し(・)て(・)んじゃん。負担掛けてんじゃん。嘘予告かよ!

A:千(・)歳(・)基(・)準(・)では、ヤ(・)ら(・)か(・)し(・)て(・)い(・)な(・)い(・)。そして、負担を掛けていないと判断した模様。
 だから、嘘予告ではない(迫真)
 なお、提督基準では完全にアウトな模様。

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