side ??
──第603鎮守府、??私室──
─────私のコトバが、ココロに届かなかった
失踪しようとした提督を捜す為、木曾さんと涼月さん。そして、私の三人で捜索に出て。
近くの無人島で黄昏ていた提督を見付け、捕獲し。
提督の全身をロープで縛り付けて、鎮守府へ連行している途中。
提督は“帰りたくない”と泣き出した。
だから、私は何度も優しい声で。
何度も、微笑みを見せて説得をした。
しかし、提督は。渡良瀬さんは落ち着かず、泣き叫び続けた。
木曾さんも説得をしたけど、結果は私と同じ。
しかし、涼月さんが説得をした途端、急に大人しくなった。
─────羨ましい
私も、涼月さんと同じ位に。
いいえ。涼月さん以上に優しい声で。
そして、涼月さん以上に優しく微笑みながら説得をした。
──────何故?
なのに、渡良瀬さんは落ち着いてくれなかった。
涼月さんが説得すると、渡良瀬さんは落ち着き。
涼月さんを頼り。
最終的には涼月さんに甘え出した。
私を頼ってくれなかった。
私に甘えてくれなかった。
それを見た時、思わず感情が爆発して、色々な事を思考しそうになったけれど、抑えた。
そんな事を。感情を爆発させ、色々な事を思考していたら、恐らく私は狂乱して、私のみっともない姿を提督に見せる事になり。
涼月さんに思考を読み取られて、私の計画が台無しになる。
決して、誰にも悟られてはならない。
幸いにも、涼月さんには気付かれていない。
………………。
私の艤装に第二次特殊改装を施された影響か、以前と比べて私のカラダは、明らかに大きく成長した。
同い歳の娘達と比べれば、元々大きかった背丈や胸。
そして、渡良瀬さんの大好きなお尻も、一回り以上大きくなった。
顔付きも、以前は多少大人びていたけど、何処か幼さがあった。
けれど、今はオンナの顔付きになった。
背丈は、涼月さんとほぼ同じ。
胸とお尻は、涼月さんより大きくなった。
大きさだけじゃない。カタチも良い。
───────それなのに、何故?
何故、私ではなく涼月さんに頼ったのですか?甘えたのですか?
──────分からない
私は今まで。此処に移動してからは、一度たりともナニや何もヤらかさなかった。
一度たりとも、渡良瀬さんが嫌がる事──下ネタを言ったり、過激な発言や行動をしなかった。
渡良瀬さんにとっての、常識の範囲内に収まる行動を取り続けてきた。
とても良い娘で居続けた。
常に渡良瀬さんを支え続けてきた。
───────分からない
一体何が足りないというの?
アレですか?ずっと真面目な人より不良がたまに良い事をすると凄くいい人に見えるのと同じような心理が働いて以前はヤベー奴だったのに今はとても良い娘になった涼月さんにギャップ萌えを感じていいえ魅力を感じ私に見向きもしなかったのですか?
──────なら、私も涼月さんのように、ヤベー奴になればいい
一度だけ。たった一度だけ。それもほんの数分だけヤベー奴になって、あとはまともになれば、きっと私に魅力を感じて振り向いてくれる可能性が微粒子レベルで存在──
(──何を考えているのよ)
却下よ。そんな事をすれば、渡良瀬さんのココロを完全に手にする事が出来なくなってしまう。
例えたった一度。ほんの数分だろうとヤベー奴になれば、渡良瀬さんの記憶を改竄しない限り、一生警戒心を抱かれてしまう事になる。
──────辛い
私も、ヤベー奴らのように渡良瀬さんに迫りたい。
沢山、愛したい。
いいえ。どちらかというと、愛されたい。
………………我慢よ。今はどんなに辛く苦しくても、我慢して耐えるのよ。
今は、皆さんの好きなようにさせて。
その間に、私は渡良瀬さんの望む事をして、彼のココロを掴む。
どんなに時間が掛かろうと、絶対に手にしてみせる。
渡良瀬さんと出逢えたから、私は今も生きている。
あの日、渡良瀬さんと出逢い。
私の両親だった人達の素性を明らかにしても。
私という存在を一切否定せず、私という存在を受け入れてくれた。
私を見てくれた。
生まれて初めてだった。
私の両親だった人達の素性を、思わず明かしてしまい。
それを聞いても、反艦娘団体の娘ではなく、私個人を見てくれる人と出会ったのは。
最初は警戒した。どうせ、最後には裏切られる。
けれど、何度会っても渡良瀬さんの態度は全く変わらなかった。
ずっと、私という存在を見てくれた。
一切、否定してこなかった。
そして、何度か会って会話をし。
ある日、この御守り──アプリコットの花を加工したネックレスを手渡してくれた。
『知ってるか?アプリコットの花言葉には、不屈の精神って意味があるんだぜ?』
そう言いながら屈託の無い笑みを浮かべ、コレを手渡してくれた。
その御守りのお陰で、今の私が在る。
……………………。
彼が居なきゃ、私は生きる意味が無い。
彼の全てが欲しい。
彼の視線や感情、そして欲望。
それら全てを、私だけに向けて欲しい。
逃がさない。
絶対に逃がさない。
絶対に手に入れてみせる。
でも、もし。万が一逃げられたら。
手に入らなかったら。
彼が、私以外の女性のモノになる位なら。
私が彼にとって一番の存在になれないのなら、
壊しちゃいます♪
side ?? out
───────
────
─
side 提督
──第603鎮守府、工廠──
漁開始135日目。
13:50。
「…………んで?オメーは何をしていたんだ?何故こんなモノを造ったんだ?ほら、早く言え。言いなさい。
詳しく説明……はしなくていいや。簡潔に説明してくれ。俺は今、冷静さを欠こうとしている」
詳しく聞いたら、ただでさえ崩壊寸前に陥っている俺の胃袋と精神が、確実に崩壊する。だから、詳しく聞くのはやめておこう。
今から十数分前。名取さんから、“野原主任が廃棄予定の資材とジャンク品を使って、何やら怪しげなモノを造っている”と報告してきた。
それだけなら何時もの事だから、放置安定と判断していたが、名取さんが“野原主任は狂気じみた高笑いをしながら、アー○ード・コアのハン○ドマンに似たパワードスーツを造っている”と言ってきた時、俺の第六感的ナニかが「阻止するべき」と告げてきた。
少し話を脱線させるが、此処に派遣されて来てから、名取さんは一度もそっち系──オタク特有の気配や発言等をしていない。
同じ鎮守府に所属する能代さんも、“オタクではない”と言っていた。
なのに、何故、名取さんは○ーマード・コアを知っているのか。
何故、ハング○マンの形を。そして、名前を知っているのか。
色々疑問に思ったけど、突っ込んだら俺の胃袋と精神に被害が及ぶ恐れがあるから、流した。
俺は学習した。不用意にツッコミ等を入れたりすると、知りたくも無い事を知るハメになり、胃袋と精神に被害が及ぶ。
だから、スルースキルを身に付け──話が脱線するから、この辺でやめよう。
閑話休題。
なので、執務を本日の秘書艦・瑞鶴に丸投げして急いで工廠へ向かうと、名取さんの報告通り、野原主任が工廠の隅っこで高笑いしながら、ハ○グドマンに似た──いや、ハングドマ○そのものと言うべきだな。
大きさは違うけど、形が完全に○ングドマンと同じパワードスーツを造っている姿が視界に入ってきた。
ソレを見た瞬間、再び俺の第六感的なナニかが、「阻止ではなく破壊するべきだ!」と告げてきた。
俺は自分の第六感的なナニかを信じ、気配を消しながら背後から忍び寄り、野原主任にノーザンライトボムをぶちかまして作業を強制的に止めて、何をしているのか詳しく聞く為、今に至る──
「す、既に欠いていると思うんですが……」
「──もう一発欲しいって?分かった」
言う気が無い。どうやら野原主任は、ノーザンライトボムのおかわりを所望しているみたいだ。なら、望みを叶えてやろう。
もう一度野原主任にノーザンライトボムを……いや。ここは加賀さん直伝の、ツームストンパイルドライバーをご馳走してあげよう。
ノーザンライトボムは中々の瞬間火力を叩き出してくれるが、ツームストンパイルドライバーの瞬間火力には遠く及ばない。
正座している野原主任に近寄り、両足を掴んで持ち上げ、そのまま勢いを付けて頭をコンクリ製の地面に──
「来週短期交換派遣でやって来る秋津洲に対抗する為、特殊なパワードスーツを造っていました!!!」
「──成程」
それでコレを造った、と。
俺がガチで殺る気配を察知したのか、真剣な顔と声で白状してくれた。
顔と声を見聞きするに、嘘は言っていないようだ。信じよう。ツームストンパイルドライバーはやらないでおきます。
けどな、
「…………野原主任」
「な、なんです?」
「とりあえず、コレはぶっ壊しますね?」
こんなのがあったら、新たなトラブルの元になりかねん。平和な日常が遠のく。だから、ぶっ壊す。
……お前も似たようなモノ──パワードスーツを所持しているだろ?アレは先日廃棄……破壊というべきだな。破壊した。
ちゃんと俺の目の前で完全に破壊されたから、この世には存在していない──
「ヤメロォ!(建前)ヤメロォ!(本音)」
「──暴れるな!暴れるな!俺は平和な日常が、好きなんだよ!!」
くそっ!釣りカエルで釣り上げられたガノ○トスみてーに暴れやがって!!
……しゃーねぇ。ツームストンパイルドライバーをぶちかまして、大人しくさせよう。
なぁに、野原主任は特殊な訓練を受けているから、首が180°反転する程度で済む。
死ぬほど痛い目に遭うが、死にはしない。多分。
「本当にやめてくれ!俺にノーザンライトボムや、ノーザンライトボム以外のプロレス技をぶちかますのは構わない!けど、コイツを。ハン○ドマンを壊すのだけはやめてくれ!コイツが無きゃ、俺はただのか弱い技術者なんだ!!
手持ちの武器で対抗しても、武器を破壊されたら、途端に俺は弱体化しちまう!!だから、コイツを造った!!
コイツを破壊されたら、アイツに。来週此処に来る秋津洲に対抗する事が出来なくなっちまう!!後生だ!俺は何をされてもいい!!だから、コイツだけは破壊しないでくれ!!!」
何がか弱い技術者だ!あんた、強いでしょ──いや、待てよ?そういや野原主任って、色々得物を開発してソレらを使いこなしているけど、生身の戦闘力や身体能力は、そこまで高くない。
俺みたいに海上を長時間、疾走して失踪出来ないし、壁や崖を走って登れない。
得物があれば艦娘と対等に渡り合えるけど、得物を壊されると瞬殺される。
ボロボロになっても、俺より回復速度が遅い。
確かにか弱い。
…………なら、仕方ない──仕方なくねーよ。
あなた、何時だか千歳さんに発破かけられて、逃げも隠れもしないで受け入れる!寧ろ、迎撃してやる!みたいな事言ってたじゃん。なのに何故弱気になってんの──
『ほあたッ!!』
『ひでぶっ!?』
『たわばっ!?』
───工廠の外から、ケ○シロウが殴る時に出す声と、サキュバスと発情犬の断末魔の叫び声。
そして、人が殴られた時に鳴るような、鈍い殴打音が聞こえてきたぞ。なんだ?何が起きてる?
とうとうウチは核の炎に包まれて、暴力が支配する世紀末と化し。ヒャッハー!言いまくるモヒカンみてぇな奴がのさばるようになったのか?
いや、核の炎に包まれていなくても、とっくに世紀末と化しているな。
ヒャッハー!言わないけど、モヒカンみてぇな思考や言動をするヤベー奴らがのさばっているな。
ほぼ毎日、拳での殴り合いをしたり。
ほぼ毎日、麻酔銃の弾が飛び交い。
ほぼ毎日、プロレス技をぶちかまし。
他にも沢山あるけど、例に挙げると行数がエラい事になりそうだから、割愛。行数って何?相変わらず快調に謎電波受信してるなぁ──
『な……ぜ……勝て……ない…………』
『こっち……二人……なの……に……』
『相変わらず姿勢は滅茶苦茶で、拳に信念が込められていない。それに、殺気がダダ漏れだから、何処から攻撃が来るか丸分かりよ。そんなんじゃ、私には勝てないわ』
──山城がサキュバスと発情犬になんかレクチャーしてる。
ねぇ山城。レクチャーなんかしなくていいよ?そんな事したら、またサキュバスと発情犬の戦闘力等が上がっちゃう。
現に、君が第二次特殊改装を施されてからほぼ毎日、サキュバスと発情犬の二人と殴り合いをしているせいで、二人は色々学習して近接戦闘能力や先読み能力が日に日に向上しちゃっているんだ。
お陰で襲われた際、以前のように楽に逃げられなくなっちゃった。
まぁ、代わりと言ってはなんだけど、二人がヤらかそうとする度に、山城が何処からともなく出現。
お手々を爆熱させて処理してくれるから、喰われてパパ良瀬にはなっていない。
閑話休題。
(山城で思い出したけど、第二次特殊改装を施されて、埠頭でキスをされから、なんつーか……素直になったんだよなぁ)
具体的には、以前は素っ気なかった。
しかし、今は俺と目が合う度に微笑んだり。
会話──仕事関連の話や、仕事後に雑談等をする際、声が優しいモノになり。
そして、甘えてくるようになった。
他にも色々あるが、長くなるから割愛。
ちなみに、ヤベー奴らみたいに、ナニや何かをヤらかしたり。アブナイ発言等は一切していない。
もしするようになったら……想像しただけで胃袋と精神が崩壊するから、やめよう。
頼むから、ヤベー奴らみたいにならないでくれ。本当に頼む。
……フラグが立った?今度ふざけた事を言ってみろ。その口ん中にヅ○が使っている対艦ライフルを突っ込んで、奥歯ガタガタ言わせるぞ──内線が入った。
山城に関して他にも色々説明したい事が沢山あるけど、それはまた今度にする。
「はい、こちら工廠」
さて。誰が内線を入れたんだろう?
頼むから、トラブルのお知らせだけは勘弁してくれよ?ただでさえ胃袋と精神がヤベー状態なんだ。トラブル追加だったら、壊れるぞ?
『あ、提督さん?丁度良かった。さっき大本営から封筒が届いたの。とても重要な物みたいだから、執務室に戻ってきてくれない?』
「大本営から?分かった、直ぐに戻る」
内線を入れてきたのは、瑞鶴か。
大本営から封筒が届いた……なんだろう?とても嫌な予感しかしない。本音を言えば戻りたくない。
ぜってートラブルの種になる事が書かれた書類が届いた。俺には分かる。
……ボヤいてないで、執務室に戻ろう。ボヤいたって、結果が変わるわけじゃいんだ。受け止めよう。
とりあえず、野原主任が造ったモノについては、一旦保留だ。
今は執務室に戻って、封筒を開封して書類を確認しないと。
───────
──第603鎮守府、執務室──
14:15。
「…………瑞鶴、大丈夫か?」
「…………だいじょうぶじゃない」
あれま。余程ショックなのか、秘書艦用の机に突っ伏してらァ。
おまけに、声が掠れてる。こりゃ、立ち直るのに時間が掛かりそうだ。
内線が入り、十数分後。俺は今、執務室で瑞鶴を慰めている。
……何が起きたのか説明するとだな、大本営から封筒が届き、その内容を確認した。
瑞鶴から内線で聞かされた時点で嫌な予感しかしなかったが、開封して書類を確認したら、その予感は的中した。
書類に何が書かれてあったのか。勿体ぶらずに言うと、短期交換派遣についてだった。
なんでも、短期交換派遣でウチに来る艦娘──ドイツ所属の艦娘が一人、増えるそうだ。
なんで一週間前になって報せが届くの?迎え入れる準備とか色々あるから、もっと早く報せてよ。
大本営のお偉いさん方、何時も俺らに言ってんじゃん。連絡・相談・報告。略して連相報をしっかりやれ、って。お偉いさん方、全然出来てないよ?悔い改めて?
閑話休題。
何故、一週間前になってこの報せが届いたのか。
書類によると、その艦娘は日本に来てからとある理由で体調を崩してしまったらしい。
とある理由については明記されてなかったから、割愛させてもらう。
恐らくだが、日本の気候や食事等が合わなくて、体調を崩してしまったのだろう。
閑話休題。
その為、療養していたが先日復帰し、短期交換派遣に急遽参加……でいいのか?参加出来るようになり、ウチに来る事が決まった、との事──
「なんでよ……なんでアイツが来るのよ……勘弁して……」
──瑞鶴、しっかりしろ。今にも死にそうな声を出してんぞ。
机に突っ伏してるから顔は見えないけど、恐らく死にそうな顔をしてんだろうな。
…………さて。短期交換派遣云々についてはこの辺にしておいて。
次に、何故瑞鶴がこうなっているのか、説明しようと思う。
詳細を語ると長くなるから簡潔に纏めると、
・短期交換派遣で新たに追加された艦娘は、瑞鶴の知り合い
・瑞鶴が第8492離島鎮守府に所属していた頃、何度も短期交換派遣に来て、会った事がある
・その艦娘は、空母艦娘
・瑞鶴曰く、変人
・瑞鶴の戦い方に興味を持ち、付き纏われるようになった
・付き纏われた際、色々やられてトラウマになっている
との事。
…………聞いただけで泣きたくなってきた。
瑞鶴の話を聞く限り、言い方は物凄くアレだけど、まともな娘じゃないね。嫌な予感しかしない。
……最近、俺の性格がどんどん悪くなってきているなぁ。
以前は、他人の評価なんて当てにせず。自分の目で見て、接してからどんな人なのか決めていたのに、今は……うん……噂だけでヤベー奴か否か、判断するようになっている。
このままじゃダメだ。以前のような性格に戻らなきゃ。……戻せるかな?
閑話休題。
こりゃ、俺の胃袋と精神に甚大な被害が及びそうだ。今のうちに医療妖精さんに頼んで、胃薬を大量生産してもらおう。
ついでに、瑞鶴の分も用意してもらおう──内線だ。なんか今日、内線入る頻度多くね?
……ボヤいてないで、取らないと。
「はい、こちら執務室──」
『少佐ァ!助けてくれェ!!千歳さんが、千歳さんが──』
『男には、最終兵器があるわ。女性に対して特効のある最終兵器が。
チ○コって名前の最終兵器が!!!』
──千歳さん、まだ昼間です。自重してください。
下ネタ発言するな、とは言いません。言いませんが、せめてそういった発言は仕事が終わって、そういうのが好きな人達と居る時にしてください。
…………じゃなくて。なんだなんだ?穏やかじゃねぇな?
というか、何で工廠に千歳さんが居るんだ──そういや、少し前。執務室に戻ったのとほぼ同時に、出撃組が帰還したって報告が入ったな。
恐らく、艤装を整備する為に工廠に行って、それで何かトラブル?が発生して、こうして野原主任が内線を入れた──
『ちょっ!?やめっ!?壊さないでくれ──』
『アイテムッ!!なんぞにッ!!頼ってんじゃあッ!!ねェッッッ!!!』
『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!俺のハ○グドマンがあああああああアアアアアアアアアッッッ!!!』
「──野原主任?野原主任ッ!?」
今、千歳さんの声が若○規夫さんになって、何かを殴打する音──金属を殴ったような音が聞こえてきたぞ。
それとほぼ同時に、野原主任が泣き叫び出した。
“俺のハ○グドマンが!”って言ってたから、恐らく千歳さんがアレを破壊しようとしたのだろう。
…………行きたくないけど、様子を見に工廠に行こう──
「アイツが来る。スツーカ従え、やって来る。高笑いしながら×××××してくる。……あは。あははははっ。あっははははははははははは!!!」
──瑞鶴、しっかりして?血涙流して高笑いしながら、赤べ○みたいに頭ガクガクさせないで?怖いよ?
後でちゃんとケアするから、それまで正気保って?
「《ハッ……冗談じゃないッ!!好き勝手出来ると思ウナヨ……!好き勝手サセナイ……カラ……!》」
裏瑞鶴(仮名)さんがログインしました。
君も瑞鶴同様、死にそうな顔と声して血涙流して頭ガクガクさせてるけど、大丈夫……じゃなさそうだ。君も後でちゃんとケアしてあげるから、落ち着いて?
髪と肌の色が白くなって、瞳の色が真紅に変わって、角が生えてるよ?
一部の娘達は君の存在を知っているけど、知らない娘達が今の君の姿を見たら、エラい事になるから元に戻って?
…………胃袋と頭が痛くなってきた。
有給取って何処か遠くに行って、何も考えずにボーッと過ごしたい。
このままじゃ、精神崩壊して幼児退行しちまいそうだ。
side 提督 out
───────
────
─
side ?????
──某県某鎮守府、埠頭──
「…………はぁ」
本日何度目か分からない溜息を吐く。
曰本に来てから、明らかに溜息を吐く回数が増えた。
何処かで、“溜息を吐くと幸せが逃げる”と聞いた事があるけど、吐いても吐かなくても変わらないと思う。
閑話休題。
(アークロイヤルとは別の鎮守府に来れたから、私の胃袋と精神に平和が訪れると思ったんだけど……)
結果は、訪れなかった。
このままじゃ、胃袋と精神が壊れそう。
ただでさえ、数週間前にお邪魔した大湊警備府で、偶然同じ時期に短期交換派遣に来ていたアークロイヤルと鉢合わせ。奴に襲われ続け。
現在お邪魔している鎮守府で、プリンツとグラーフがヤーパン式の戦い方を覚えてしまい。
更に、ココ最近。次に私達がお邪魔する鎮守府──第603鎮守府に、気になる人が居るからと、プリンツとグラーフが荒ぶっていて。
彼女達を抑えるのに私は色々消耗するハメになって、胃袋と精神が崩壊寸前に……やめましょう。考えるな、感じろ。流すのよ。
(頼むから、これ以上トラブルが起きないで?)
起きたら、そろそろ私、壊れるわ。
……カミダノミでもしようかしら?
日本にはヤオヨロズの神が居る、と言われてるから、頼めば一人……間違えた。ヒトハシラ位は私の願いを聞き入れて叶えてくれるかもしれない。
丁度、この近くにジンジャがあるから、明後日のオフの日に行って頼んでみましょう──
「ビスマルク、ここに居たのか」
──はぁ。トラブルメーカーに声を掛けられてしまった。
まだ休憩時間はあるのに。勘弁して。
「……なんの用?グラーフ」
頼むから、またトラブルを起こしたんじゃないでしょうね?
「いや、なに。さっきオイゲンが──」
「プリンツは何処に居るのかしら?」
何をしていた、とは聞かない。あの娘の事だから、十中八九何かやらかしたに違いない。
今度は何をやらかしたのかしら?
「──工廠で、妖精さん達が悪ふざけで開発した試作兵器を──」
「工廠ね、了解よ」
グラーフも分かっているのか、私が話の途中で言葉を被せても、不快な顔をしたりしなかった。
(……さて。急いで行かなきゃ)
そして、物理的に止める。
あの娘には言葉で説得するよりも、物理的に説得して止めた方が早い。
…………はぁ。胃が痛い。
あとで胃薬を飲まなきゃ。
(早く、次の鎮守府に行きたい……)
此処の鎮守府は、Admiralはまともだけど、一部の艦娘達がアレ過ぎるから……だから、考えるな。やめなさい。
(……次にお邪魔する鎮守府──第603鎮守府は、まともだといいわ)
此処みたいに、一部の艦娘達が集団で提督を性的な意味で襲ったりしない、規律のしっかりした鎮守府である事を期待したい。
一週間後。私の希望や胃袋と精神は、グスタフとドーラの砲に一斉射されたかの如く粉々に壊される事になるとは、この時の私は予想だにしなかった。
side ????? out
───────
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─