追跡鶴   作:EMS-10

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 イベント攻略の進歩、ダメです!(燃料残り4桁突入寸前)(新艦堀終わってない)(虚ろな目)(ストロングゼロの摂取量増加)(圧倒的絶望感で差をつけろ)


※警告※
下ネタ及びR17.9発言多数
勢いしかない
とにかく頭の悪い内容
頭を空っぽにしてご覧下さい
お前らの嫁だろ、早くなんとかしろよ


※この小説内に登場する人物は全員、特殊な訓練を受けています。
 決して真似しないで下さい。

※この小説内の季節は、2月上旬頃となっています。



第175話・好感度調整をミスった結果がコレだよ!

 

side 加賀

 

 

──第603鎮守府、加賀私室──

漁(・)開始147日目。

21:30。

 

 

(……どんどん強くなっているわね)

 窓の外を見ると、凄まじい勢いで雪が降り、更に強風が吹いているのが見えた。まるで雪山に居るみたいね。

 

……雪山、か。

 大(・)本(・)営(・)に異動して数ヶ月が経ち、大本営の魔(・)境(・)っ(・)ぷ(・)り(・)に数え切れない程精神崩壊を起こし、多少耐性が付き始めた頃。龍(・)驤(・)姐(・)さ(・)ん(・)に真冬の蔵王へ強制連行されて、そこで猛吹雪の中道(・)具(・)な(・)し(・)で(・)登山をさせられ。

 更に猛吹雪の中、艦載機の発着艦をさせられ。そして、下山中に龍(・)驤(・)姐(・)さ(・)ん(・)が意図的に雪崩を引き起こして──

 

 

■□■

 

 

『ほーれ、雪崩さんがやって来たで〜!』

 

『なっ、何をしているんですかッ!?』

 

『何って、普(・)通(・)の(・)訓(・)練(・)や』

 

『絶対普(・)通(・)とは思えないのですがッ!?』

 

『愚痴ってる暇があったら、足動かせ〜。雪崩に巻き込まれるで〜』

 

『ひぃ!?すぐそこまで雪崩がッ!?』

 

『せや!巻き込まれれば来年の春まで合法的に有(・)給(・)休(・)暇(・)取(・)得(・)出来るから、ちょっくら巻き込まれよか?ここ暫く休み貰っとらんし』

 

『それ死にます!絶対死にますッ!!私嫌ですよこんな所で死ぬなんて──』

 

『あ、この先崖だ。加賀、飛び降りるで!なぁに、精(・)々(・)数(・)百(・)m(・)程(・)度(・)や。ちょっくら紐(・)無(・)し(・)パ(・)ラ(・)シ(・)ュ(・)ー(・)ト(・)無(・)し(・)バ(・)ン(・)ジ(・)ー(・)のギネス記録狙おうか!』

 

『──ちょっ!?高い!高過ぎ!こんなの飛び降りれませんというかそれバンジーではなくただの飛び降りなんじゃ待ってください死にたくない飛び降りたくない別ルートで行きましょう』

 

『アイ・キャン・フラ〜イ!』

 

『ギ゙ャ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ゙ッ゙ッ゙!゙!゙?゙』

 

 

■□■

 

 

「…………」

──やめましょう。思い出したら身体が震えてきた。 

 

 閑話休題。

 

 予報ではこの天候が一週間程続くと言っていた。

 イ(・)カ(・)れ(・)た(・)特(・)殊(・)訓(・)練(・)を受けていない娘がこんな中(天候)を出撃したら、確実に遭難して轟沈(死亡)するでしょう──

 

「全てを忘れて酒を飲むッ!」

『ス○ロングゼロ、行っちゃうぞ〜!』

 

「──ダメです」

 また彼(提督)が暴走し始めた。

 それとほぼ同時に彼の思(・)考(・)と(・)感(・)情(・)が頭の中に流(・)れ(・)込(・)ん(・)で(・)き(・)た(・)。

 

 貴方は私と同じ位アルコールに弱いのに、スト○ングゼロ(500ml)をポケットから取り出し、開けようとしている。没収です。そもそも何故ポケットにストロ○グゼロを入れているの?

 気になるけど、今はその事を追求するのは後回しにしましょう。

 

「飲ませろッ!飲ませろォ!」

『飲んでキュ○・ウォッカに、俺はなるッ!お酒の力を借りて全てを忘れるんだッ!!』

 

「ダメです。飲むならコレにしなさい」

 はい、の○ある気分。名前の通りアルコールが含まれていない。味がお酒っぽいから、コレを飲んでお酒を飲んだ気分を味わいなさい。

 あと、キ○ア・ウォッカになれるのは上○すみれさんだけよ?諦めなさい。

 

 

 

 

 夕食後。彼を私(・)の(・)部(・)屋(・)に(・)連(・)れ(・)込(・)ん(・)で(・)かれこれ一時間以上慰(・)め(・)て(・)い(・)る(・)けれど、相当ショックを受けているのか未だ立ち直りそうにない。

 

 無理もない。夕食前にあ(・)ん(・)な(・)事(・)が。ロリコン戦艦と化した長門さんと、提督絶対犯すウーマンと化した榛名さん。

 更に、騒ぎを聞き付けてエ(・)ロ(・)犬(・)もとい時雨さんが入渠室から脱走、彼に襲撃を受けた。

 

(言葉に出すと何時も通りに思えるけど、今回は酷(・)か(・)っ(・)た(・)……)

 長門さんは直ぐに正気に戻ってくれたけれど、例の二人は秋(・)津(・)洲(・)さ(・)ん(・)がマ(・)マ(・)になるかもしれない、という話を聞いた事で普段の8(・)割(・)増(・)の(・)変(・)態(・)行(・)動(・)をして彼を襲って──こら!ストロングゼ○を奪おうとしない!のん○る気分を飲みなさい!

 

「何でダメなんですか……飲ませてくれよォ……酔って忘れたいんですよォ……」

『危うくパ(・)パ(・)にさせられる所だったんだ……思い出したら死にたくなってきた。飲まなきゃ』

 

「落ち着きなさい」

 相当ショックを受けている。何とかしないと。とりあえず、抱き締めて優しく声を掛け続けて落ち着かせましょう。

 

「…………閃いた!」

『これならもう、襲われなくて済む!』

 

「……何を閃いたのかしら?」

 抱き締めて頭を撫でていると、突然彼はそんな事を言い出した。とても嫌な予感がする。

 

「俺が男だから、襲われる。それなら俺(・)が(・)女(・)に(・)な(・)れ(・)ば(・)、(・)襲(・)わ(・)れ(・)な(・)く(・)て(・)済(・)む(・)!!性転換すりゃ、皆ドン引きして襲わなくなる筈だッ!!」

『逆転の発想って奴だ!俺は男を辞めるぞ、ジョ○ョォ!!!』

 

「…………無駄だと思うわ」

 そんな事をしても、彼女達は襲うのをやめないと思うわ。というか、何故そのような結論に至ったのかしら?

 SAN値ピンチ状態に陥っている事で正常な思考・判断が下せなくなって、このような事を言い出したのかしら?

 

「何故無駄だと言えるんですか?」

『妖精さん達に頼めば、その程度簡単にやってくれる筈!だから無駄じゃないッ!妖精さん達の可能性を、俺は信じるッ!』

 

「例え性転換しても、皆から襲われると思うわ。夕張さんを襲うさ(・)淫(・)れ(・)……もとい、五月雨さんみたいに。

 寧ろ、皆も性転換して艦娘ならぬ漢(・)娘(・)になって、股間にネオアームス○ロングサイクロンジェットアームストロング砲を生(・)や(・)し(・)て(・)ぶ(・)っ(・)刺(・)さ(・)れ(・)る(・)未来しか見えないわ」

 準、落ち着いて。あなた、支離滅裂な思考・判断をしているわ。

 

「」

『』

 

…………物凄く絶望したような顔をしている。おまけに思(・)考(・)と(・)感(・)情(・)が完全に消えている。大丈夫?

 

「…………うぅ。何で襲われる日々を送らなきゃならないんだよ……俺は普(・)通(・)に(・)接(・)し(・)て(・)い(・)た(・)のに、何で……」

『何でこんなにも好意を寄せられているんだよ……』

 

「よしよし。いい子だから泣かないの」

 泣き出してしまった。それと同時に私の胸に顔を埋めてきた。やりました。襲(・)い(・)ま(・)し(・)ょ(・)う(・)。

……何を考えているのよ。私はもう二度と彼の負担になるような事をしないと心に誓ったでしょ。しっかりしなさい。

 

「…………男がダメで、女がダメなら、その中(・)間(・)になれば襲われなくなるんじゃね?」

『オカマさんになりゃ、ワンチャンあるんじゃね?いや、ある。ネットか何かで見たけど、“男は度胸、女は愛嬌、オカマは最強!”って言葉があるくらいだし』

 

「落ち着きなさい」

 あなたはなにを言っているの?もしオカマさんになったら矯(・)正(・)してやります。

 

 

────

 

 

「スゥ……スゥ……」

 

「…………」

 一頻り泣いたり愚痴を吐くと、彼はようやく落ち着いてくれた。落ち着いてくれたのは良いのだけど、眠ってしまうとは思わなかった。

 今すぐ起こして彼の部屋に帰したかったけど、もしかしたらまたヤ(・)ベ(・)ー(・)奴(・)ら(・)に襲われる恐れがある。今日は私の部屋に泊めてあげましょう。

 

 まずは抱きついて眠っている彼を離して、床にそっと横たわらせて、布団を敷いて、そこに運んで、毛布をかけて……これで良し。

……相変わらず可愛い寝顔ね。昔から変わっていない。

 

(……本当に何とかしないと)

 今のような生活が続いたら、何れ彼の精神は限界を迎えて壊れてしまう。

 

 榛名さん達は表(・)立(・)っ(・)て(・)行(・)動(・)を(・)起(・)こ(・)し(・)て(・)く(・)れ(・)る(・)だ(・)け(・)マ(・)シ(・)。対処もしやすい。

 しかし、裏(・)で(・)コ(・)ソ(・)コ(・)ソ(・)や(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)輩(海風さん)の対処はとても難しい。

 

 彼女は表では彼の理想の言動をして、着実に好感度を稼いでいる。現に、彼は海(・)風(・)さ(・)ん(・)に無意識の内に依(・)存(・)し始めている。

 

(どうすればいいのよ……)

 海風さんだけじゃない。満(・)潮(・)さ(・)ん(・)も相(・)当(・)ヤ(・)バ(・)い(・)状(・)態(・)になりかけている。

 

 こ(・)っ(・)そ(・)り(・)読(・)み(・)取(・)っ(・)た(・)所(・)、満潮さんの場合は他の娘達と違って彼に対して依(・)存(・)し(・)て(・)い(・)る(・)。それも、と(・)び(・)き(・)り(・)。

 彼(・)女(・)の(・)出(・)自(・)を考えれば仕方がない。ただ、し(・)っ(・)か(・)り(・)話(・)し(・)合(・)え(・)ば(・)分(・)か(・)っ(・)て(・)く(・)れ(・)る(・)。そこが救いね。

 

 それから、短(・)期(・)交(・)換(・)派(・)遣(・)でやって来たプ(・)リ(・)ン(・)ツ(・)・(・)オ(・)イ(・)ゲ(・)ン(・)さ(・)ん(・)。彼女の場合はヤ(・)ベ(・)ー(・)奴(・)ら(・)と(・)違(・)っ(・)て(・)ち(・)ゃ(・)ん(・)と(・)良(・)識(・)が(・)あ(・)る(・)

 今は少し浮かれていて軽く暴走──例えるなら、久しぶりに大好きな飼い主に会えて、嬉しさのあまりはしゃいでいる犬みたいな状態──しているけど、満潮さん同様、し(・)っ(・)か(・)り(・)話(・)し(・)合(・)え(・)ば(・)分(・)か(・)っ(・)て(・)く(・)れ(・)る(・)。

 

 

…………。

 

…………。

 

…………。

 

 

(寝ましょう)

 やらなければならない事が沢山あるけど、今は何も考えずに寝ましょう──そういえば、私の部屋には布団は一組しか無い。その布団は現在、準が使っている。

 

 

…………。

 

…………。

 

…………。

 

 

 ナ(・)ニ(・)もしなければ一緒の布団で寝てもなんの問題もないこれはセーフ誰がなんと言おうがセーフよ合法同衾よヤ(・)ベ(・)ー(・)奴(・)ら(・)に知られたらエラい事になるけど事前にヤ(・)ベ(・)ー(・)奴(・)ら(・)をシバき倒しておいたから襲撃をかけられる心配は無い──

 

(──横になってさっさと眠りましょう。というわけで、失礼します)

 電気を消して、布団の中に入る。あっ、彼の匂いがすっごいする。いい。興奮してきた──落ち着きなさい。

 

 

………………。

 

………………。 

 

………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「気分が高揚します」

 少しだけ。少しだけなら大丈夫。バレなきゃ犯罪じゃないんですよ。

 起こさないよう細心の注意を払って、彼の右(・)手(・)を持ち、彼(・)の(・)指(・)を私の下(・)腹(・)部(・)へ──

 

 

side 加賀 out

 

 

───────

────

─

 

 

 

side 提督

 

 

──第603鎮守府、執務室──

漁(・)開始148日目。

09:00。

 

 

(…………凄い雪と風だ)

 爆弾低気圧の影響か、猛烈な勢いで雪が降り、これまた猛烈な勢いの風が吹いている。

 少し前も大雪が降り、強風が吹いていたが、アレとは比べ物にならない。 

 

(予報だと、この状態が一週間ずっと続くんだよなぁ……)

 昨日のうちに買い出しをしておいて良かった。

 買い出しをした際にも思ったけど、もしかしたら一週間以上続く恐れがある。

 念には念を入れて大量に食糧等を買い込んだから、例え一ヶ月間この天気が続いても枯渇する心配は無い。

 

 けど、なるべくなら一週間後には晴れて欲しい。晴れた空を見ないと気が滅入りそうになる。

 

 閑話休題。

 

 こんな中、出撃や哨戒、漁(・)になんて出たら確実に遭難する。

 現に、あの千歳さんや加賀さん、長門さんですら“こんな中を出るのは自殺行為”と言っていた。

 それだから、緊急事態──深海棲艦が出現した時を除いて全員に待機するよう命令した。

 

 余談になるが、向こう──第8492離島鎮守府も出撃等を全て中止にして、待機状態になっている。

 

 幸い……と言っていいのか分からんが、深海棲艦達もこんな大雪と強風の時は活動を全くしなくなる。

 しかし、絶対という保証は無い。今まではそうでも、もしかしたら……なんて事もある。

 

 念の為、もし深海棲艦達が出現した時に備えて、この悪天候でも出撃出来る娘達──千歳さんと加(・)賀(・)さ(・)ん(・)、長門さん、能代さん、由良、吹雪の六名──には緊急出撃組として待機してもらっている。

 

 そういや加賀さんで思い出したけど、昨夜は迷惑を掛けてしまった。今度何かお礼してあげよう。

 

(錯乱した俺を慰めてくれただけでなく、護ってくれたんだよな……)

 しかも、俺を襲(・)わ(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)。以前は事ある毎にヤ(・)ら(・)か(・)し(・)て(・)き(・)た(・)けど、それが今では全(・)く(・)無(・)く(・)な(・)っ(・)た(・)。

 眠っている間にナ(・)ニ(・)かされた……なんて事も無く、とても平和に過ごせた。

 

 何故断言出来るのか。俺のア(・)レ(・)がス(・)ッ(・)キ(・)リ(・)していなかったから。

 ここ最近欲(・)望(・)解(・)放(・)していないから、少しア(・)レ(・)気味になっている。処(・)理(・)したいけど、そんな事したら血の匂いを嗅ぎつけたピラニアまたはサメの如く、ヤ(・)ベ(・)ー(・)奴(・)ら(・)や嫁さん達が襲い掛かって来る。

 

……これ以上考えたらフラグが回収されそうだからやめよう。

 

 閑話休題。

 

 ちなみに、朝起きた時。俺の右(・)手(・)の(・)指(・)か(・)ら(・)消(・)毒(・)用(・)ア(・)ル(・)コ(・)ー(・)ル(・)の(・)匂(・)い(・)が(・)し(・)た(・)。

 何でだろう?気になって加賀さんに聞いたら、

 

 

『夜中、寝惚けていたのか貴方が私(・)の(・)口(・)の(・)中(・)に(・)指(・)を(・)突(・)っ(・)込(・)ん(・)で(・)き(・)た(・)のよ』

 

 

 と言われた。

 その為、唾(・)液(・)ま(・)み(・)れ(・)になった俺(・)の(・)指(・)をウェットティッシュで拭いてくれたらしい。成程、それだから消毒用アルコールの匂いがしたんだ──

 

「あーあ。せっかく雪掻きしたのに台無しだよ、クソがッ!」

 

──思考していると、先程執務室に突然やって来た摩(・)耶(・)が執務机の端に腰掛けて窓の外を見ながら悪態をついた。一旦思考を中断しよう。

 

 摩耶の言う事は尤もだ。昨日、頑張って雪掻きをしたのに、この天気のせいで水の泡と化したのだから。

 それはそれとして──

 

「屋根に積もった雪は妖精さん達が何とかしてくれるからいいけど、地面に積もった雪はアタシらが片さないといけないんだよなぁ……めんどくせぇ」

 

「摩(・)耶(・)、行儀悪いぞ。座るなら椅子かソファーにしろ」

──愚痴りたい気持ちは良く分かる。分かるが、机に腰掛けるな。降りろ。降りなかったら背中を突っつくぞ。

 お前、背中が弱いから突っつけば確実に降りてくれる筈。ただ、突っついたら確実に殴られるから、突っつくのは最終手段にしておこう。

 

「あいよ」

 

 俺が注意すると、摩耶は素直に言うことを聞いて秘書艦用の椅子に座ってくれた。

 というか、何故摩耶は執務室に来たんだ?今日は仕事もそこまで無いから秘書艦を外して一人で仕事する気だったのに。聞いてみるか。

 

「何しに来たんだ?」

 摩耶の事だから、変な目的があって来た……んじゃないと思いたい。

 普段の言動から誤解されがちだが、摩耶は意外と根は真面目で、ヤ(・)ベ(・)ー(・)奴(・)ら(・)のように進んで規律を乱す事はしない。

 

「んぁ?暇だから提督と雑(・)談(・)する序(ついで)に、仕事を手伝ってやろうと思って来たんだ」

 

「……そうか」

 成程。そういう理由で来たのか。

 本当は自室に戻るよう言いたかったが、やめた。

 ここ暫く、摩耶とは事務的な会話しかしていなかったから、久々に雑(・)談(・)をしよう。コミュニケーションは大事だ。

 

(それにしても、相変わらず優(・)し(・)い(・)な(・)) 

 雑(・)談(・)する序に仕事の手伝いに来た、と言ったが、本音は逆だろう。摩耶は所謂ツンデレだからなぁ。

 かれこれ6年近く共に過しているから、分かる。

 

「榛名もお手伝いします!」

「僕も手伝うよ!」

 

「大鳳、夕立、掃(・)除(・)を頼む」

 おっと。サ(・)キ(・)ュ(・)バ(・)ス(・)と発(・)情(・)犬(・)のお出ましだ。天井裏と執務机の引出しから飛び出して来たけど、SAN値が回復しているから驚かない。

 そのお陰で出現とほぼ同時に、冷静に掃(・)除(・)部(・)隊(・)に内線で連絡を入れられた。

 

 本当は千歳さんと加賀さんを呼んで、一片の慈悲も容赦も無くシバき倒してもらいたかったが、二人は緊急出撃組として待機しているから余計な体力を消耗させない為、やめた。

 

 他の娘達。例えば瑞鶴や翔鶴に頼む、という手もあったが、瑞鶴はグ(・)ラ(・)ー(・)フ(・)さ(・)ん(・)に付(・)き(・)纏(・)わ(・)れ(・)ているせいでメンタルがアレな事になっている。

 そして翔鶴は俺に代わり、瑞鶴のメンタルケアをしてもらっている。それだから呼ばなかった。

 仕事が終わったら、瑞鶴のケアをしなきゃ──

 

「お待たせしました!」

「お掃除ならお任せっぽい!」

 

「また貴女達ですか?(精神)壊れるなぁ!」

「ぬわあああん邪魔入ったもおおおおん!」

 

──早いな。呼び出してから10秒も経たずに、大鳳と夕立が到着した。早いだけでなく、二人とも執務室の扉から入室してくれた。常識的な入室方法で安心する。

 サ(・)キ(・)ュ(・)バ(・)ス(・)と発(・)情(・)犬(・)がなんか汚(・)い(・)こ(・)と(・)言っているが、無視だ無視。

 

 

「80%の私を見せてやろう!」

 

 

 大鳳選手、戸○呂・弟の名言を言い放ちながらサ(・)キ(・)ュ(・)バ(・)ス(・)に向かって駆けるッ!そしてタックルするように抱き着いたァ!百合の花が咲く展開になるのかッ!?

 いや、違うッ!ブレーンバスターの形で抱え上げたッ!大鳳選手とサ(・)キ(・)ュ(・)バ(・)ス(・)はそこそこの身長差があるが、大鳳選手はそんな事お構い無しに軽々と抱え上げているッ!なんてパワーだ!サ(・)キ(・)ュ(・)バ(・)ス(・)は大鳳選手の拘束から逃れようと暴れるが、ビクともしないッッ!!

 見た所、艦娘の力は一切使っていないッ!生身のパワーで持ち上げているッ!毎日ストイックに筋トレをしている成果が、現れているッ!一寸の虫にも五分の魂、山椒は小粒でもぴりりと辛い、という事かッ!?

……おおっと!大鳳選手、リバース・パイルドライバーのようにサ(・)キ(・)ュ(・)バ(・)ス(・)を床目掛けて落としたァ!これはッ!この技はッ!スタイナー・スクリュードライバーだああああああッッ!!

 

 

「ンゴッッッ!!?」

 

 

 決まったああああああアアアアッッッ!!!スタイナー・スクリュードライバーが綺麗に決まったああああああああアアアアアッッッ!!!

 サ(・)キ(・)ュ(・)バ(・)ス(・)の上半身が、頑丈な床にめり込んでいるッッッ!!!一体、どれ程の勢いで叩き付けたんだッッッ!!?そしてサ(・)キ(・)ュ(・)バ(・)ス(・)が犬○家の一族状態になり、盛大にパンモロしているッッッ!!!全然嬉しくねぇパンモロだァ!!!微塵も興奮しないッッッ!!!色は皆様のご想像にお任せしますッッッ!!!

 

…………実況している場合じゃねーよ。つーか何故脳内で実況したし。注意しなきゃ。

 

「大鳳、執務室内でドンパチやらないで?やるなら廊下でやって?」

 追撃しようとしないで?これ以上執務室で暴れられたら、執務室が壊れちゃ〜う!夕立を見習って?夕立は発(・)情(・)犬(・)にアルゼンチンバックブリーカーをぶちかましながら廊下に連れ出してから調(・)教(・)しているよ?

 

「……あ、ごめんなさい。外でやるべきだったわね」

 

 素直に言う事を聞いてくれた。よしよし、いいぞ。良い娘だ。後で褒めてあげなきゃ。

 

「…………相変わらず榛名と時雨は元気だなぁ。アタシにもあの元気を分けてくれねーかな?」

 

「元気過ぎるから、少し大人しくなって欲しい。あと、アイツらの元気は危険なモノだから、貰わない方がいいぞ」

 大鳳がサ(・)キ(・)ュ(・)バ(・)ス(・)を引っこ抜いて廊下に出ると、摩耶が苦笑しながらそう言ってきた。

 少しどころか、思い切り大人しくなって欲しい。思い切り大人しくなって欲しいって日本語おかしいな。まぁいっか。ニュアンスが伝わればいいんだよ。

 

「…………気を取り直して。仕事手伝うぞ。これをやればいいのか?」

 

「あぁ、頼む」

 軽く現実逃避をしていると、摩耶が書類を手に持ってそう聞いてきた。

 気持ちを切り替えて、仕事しよう。その前に家具職人妖精さんを呼んで床を修繕してもらわなきゃ。

 

 

────

 

 

「──んで、提督は誰のケ(・)ツ(・)が(・)好(・)み(・)なんだ?」

 

「ノーコメント」

 いきなりオメーは何を聞いてくるんだ?答えんぞ。答えたら戦争になりかねん。いや、なる。断言出来る。

 

 

 

 

 

 摩耶と仕事を開始して数分後。家具職人妖精さん達がやって来て、壊れた床をあっという間に修繕して執務室を去ると、突然摩耶が書類に必要事項を書き込みながらとんでもねぇ質問を投げてきやがった。

 危うくずっこけて書き直す所だったぞ。

 

「んじゃ、質問を変える。何で胸じゃなくて下半身が好き(尻フェチ)になったんだ?」

 

「言い方」

 おーい、その言い方はマズいよ。確かにケツは下半身にあるけどさ。

 

「恥ずかしがる事無いだろ?既に複数の女とヤ(・)る(・)事(・)ヤ(・)ッ(・)て(・)ん(・)だ(・)か(・)ら(・)、純情ぶるなよ。で、誰の下半身が股間にキた?」

 

「だから言い方」

 ニヤニヤすんな。何一つ間違っちゃいないが、もう少し……なんというか、こう……手心というか……オブラートに包んで言いなさいよ。

 

「わーったよ。何で提督は尻(・)フ(・)ェ(・)チ(・)になったんだ?」

 

「教えねーよ。教えたら足柄辺りにリークする(バラす)だろ?」

 俺の知らない所でポロッと暴露する気だろ。絶対そうだ。

 

「しねーよ。多分」

 

「おうコラ。今、多分って言ったな?ぜってー教えねぇ。つーか、何でそんな事聞くんだ?」

──おっと、思考中断。ついでに仕事も中断だ。今は摩耶との会話に集中しよう。じゃないと、ポロッと暴露しちまいそうだ。

 

「何で、って……普通、男って女の胸に興味持つモンなのに、何で尻に興味を持つのか聞きなるんだ。なぁ、教えてくれよ」

 

「ダメだ」

 何度お願いされても教えんぞ。教えたら、足柄だけでなく他の娘達にもリークされて、確実に大惨事大戦になる。

 あと、興味を持つのは人それぞれ異なる。尻に興味持ってもいいじゃん。世の中には太腿が好きな人とか、脇が好きな人とか居るんだし。男は皆、胸に興味を持つと思ったら大間違いだ。勿論口には出さないけど。

 

「ダメかぁ。ちぇ。提督の性癖のルーツを知って、事ある毎に弄ってやりたかったのに、残念だ」

 

「一生残念がってろ」

 ニヤニヤすんな。……ったく。

 

「さぁて。提督の性癖のルーツを知れなかったから、話題を変えるとすっか!」

 

「嫌な予感しかしない件。あと、仕事を手伝ってもらっている立場でこう言うのもなんだけど、仕事しようか?」

 今度は何を聞いてくる気だ?摩耶の事だから、確実に下の話題だろうな。経験上、絶対そうだ。

 止めようと思ったけど、やめよう。内容はアレだが、俺と雑談したいと言ってここに来たんだ。聞いてあげよう。最近あんまり摩耶と雑談していないし。

 ただ、覚悟を決めておいた方がいいかもしれない。

 

「仕事ならさっきからやってんぞ。ほら」

 

「……んで、なんの話題で話す?」

 コイツ、会話しながら書類を仕上げてやがる。

 差し出された書類を確認するが、誤字・脱字、記載漏れは一切無い。おまけに字が綺麗と来た。

 

……何時も思っているけど、どう生きてりゃこんなに綺麗な字を書けるの?もっと文字ドリル買って練習しないと──

 

「んじゃ、前から聞きたかった事を聞くかな。嫁さん達とヤ(・)っ(・)た(・)際、誰が一番締(・)ま(・)り(・)具(・)合(・)が良かった?」

 

「オイ」

──このやろう!覚悟決めたけど、予想斜め上の事を聞いてきやがったぞ!?

 幸い、嫁さん達とそ(・)う(・)い(・)っ(・)た(・)コ(・)ト(・)をしたお陰で耐性がついてあまり狼狽え無かったけど。

 

 それはそれとして。

 摩耶さんや、完全に男子高校生がするような話題になってるよ?別に女性が下の話をしてもいいけど、異性にしちゃマズいと思います。同性同士でして?そういった話が大好きな足柄や千歳さん、由良、大鳳辺りとして?

 

「予想だと、大鳳が一番キ(・)ツ(・)い(・)と思う。言っちゃ悪いが小柄だから、その分マ──」

 

「やめーや」

 言わせねーよ。放送禁止用語なんて、ぜってー言わせねーぞ。

 

「──んだよ。ちょっとくらいいいじゃねーか」

 

「別の話題無いの?」

 全然良くねーよ。

 

「嫁さん達とズ(・)ッ(・)婚(・)バ(・)ッ(・)婚(・)……パ(・)イ(・)○(・)ダ(・)ー(・)オ(・)ン(・)する際、下(・)の(・)毛(・)を巻き込んだりしたか?」

 

「何故言い直した。パ○ルダーオン言うな。マ○ンガーZファンの人達が聞いたら激怒不可避だぞ。別の言い方にしなさい。あと、別の話題にしてくれ」

 翔鶴とシ(・)た(・)際、そうなりかけたっけ。あいつ、結構下の毛が……やめろ。考(・)え(・)る(・)な(・)。バレたら翔鶴に連続ジャーマンスープレックスからの連続ストンプの刑に処される。俺は未だ死にたくない。

 

「あいよ。次からは気を付けるよ。別の話題……誰の喘ぎ声が一番股(・)間(・)に(・)キ(・)た(・)?」

 

「次」

 全員だな。……何考えてんだよ。やめろ。

 

「阿武隈とは先輩後輩プレイをしたらしいけど、どんな風にやったんだ?」

 

「なんじゃそりゃ。誰がそんな事言った?」

 したけど、内容は絶対教えん。というか、何故摩耶が知っている?俺、誰にも言っていないし思(・)考(・)していないぞ?阿武隈が言ったのか?いや、アイツは結構口硬いからそれは無いな。

 恐らく、カマをかけているのだろう。その手には乗らんぞ。とぼけよう。

 

「先日阿武隈とサシで飲んだ際、本人が教えてくれた。ちゃんと裏も取れているから言い訳は通用しねーぞ」

 

「あんにゃろう!何暴露してんだよ!!」

 カマかけじゃなかった!!ちくしょう!!後で阿武隈をシバかなきゃ。

 

「あ、そうそう。他の連中はとっくに知ってるぞ。安心しろ」

 

「安心出来る要素が微塵も無い件」

 そうなの?なら安心……は全く出来ない。下手したら先輩後輩プレイをさせられる恐れがある。そうなったら俺の理性が破壊されて野(・)生(・)解(・)放(・)してカ(・)バ(・)ー(・)無(・)し(・)で(・)誤(・)射(・)する恐れが……落ち着け。思考がアレな事になってんぞ。冷静になれ──

 

「扶桑さんはブレザーも良さげだけど、セーラー服の方が似合いそうだな。提督はどう思う?」

 

「──俺はブレザーの方が良いと思う」

 勿論セーラー服も良さそうだが、ここは敢えてブレザーを選択する。

……あの、何で扶桑さんの名前が出たの?俺が思考している間に話が進んでたの?

 

「扶桑さんはブレザーが良い?その心は?」

 

「扶桑さんは大和撫子という言葉が似合う女性だからセーラー服の方が生えそうだけどブレザーを着れば何処ぞのお嬢様って感じがしてそそる勿論セーラー服もお嬢様っぽく見えるが──あ」

 ど阿呆!何言ってんだよ!思考しながらだったから、思わず俺の欲望を暴露しちまったじゃねーか!

 さっき気を付けよう、って考えたのに早速やらかしてんじゃねーか!フラグ回収早いなオイ!

 

「へぇ〜?ほぉ〜?そうかそうか。扶桑さんに教えていい?」

 

「ダメです」

 ニヤニヤすんな。教えんな。

 

「扶桑さんなら大丈夫だって。きっと笑って受け入れてくれるって」

 

「絶対教えるな」

 幾ら包容力が高く、戦闘(首)や年齢の話題が関わらなければお淑やかな扶桑さんでも、引かれる可能性が高い。顔では笑っていても、内心ドン引き、なんて事も有り得るんだぞ。

 他の娘達なら精神に致命傷を負うけど、辛うじて立ち直れる。けど、扶桑さんはダメだ。扶桑さんに引かれたら、俺は立ち直れなくなる。

 

「扶桑さんで思い出したけど、あの人、胸デケーよな。それに形もいいし。何を食ってどう生きてりゃあんな風になるんだ?」

 

「ノーコメント」

 これ以上不用意な発言をして爆(・)死(・)したくないから何も喋らん。爆死って何?日本語おかしいぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 この後、暫く摩耶と雑談をしたが……結論だけ言う。全部下の話だった。

 お陰で疲れた。まぁ、内容はアレだったが摩耶とコミュニケーション取れて良かった。そのお陰か、摩耶は満足そうな顔をしていた。

 

……最近、仕事だのヤ(・)ベ(・)ー(・)奴(・)ら(・)の対応が忙しくて、コミュニケーションを取れていない娘が多い。

 今の所大丈夫っぽいが、このままだとメンタルに影響が出る恐れがある。

 

……既に何人も出ているな。榛名とか、時雨とか。買い出ししてた時も思ったけど、今後、襲われたりしても逃げたり拒絶せずちゃんとコミュニケーション取ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Ia! Ia! Cthulhu fhtagn!」

 

 

「さぁ沢山コミュニケーションしよう今すぐしよう遠慮は要らないよだから僕とコミュニケーションを取ろうさぁさぁさぁ!!!」

 

 

「大鳳、夕立、助けて」

 うん。ごめん、やっぱ無理。怖い。逃げる。超逃げる。

 

 二人とも瞳孔をカッ広げ、ハイライトが完全に消えた目で見つめてきながら追い掛けられたら、本能的恐怖を感じちゃう。

 

 お前、その程度で逃げるなよ、と思った奴は是非とも体験してくれ。この怖さは実際に体験しないと分からない──

 

 

 

(<(((⚫)))><(((⚫)))>)
(<(((⚫)))><(((⚫)))>)

 

 

 

 

──顔は笑っていても目が一切笑ってないから、怖さの倍率ドンだよ。

 ヤバさを数値に表したら、200はあるんじゃないかな?

 

 サ(・)キ(・)ュ(・)バ(・)ス(・)と発(・)情(・)犬(・)のコンビだと、1+1=2じゃなくて、1+1=200。10倍だぞ10倍!になる──何言ってんのか分かんなくなってきた。とりあえず思考を中断して、掃(・)除(・)部(・)隊(・)が到着するまで逃げる事に集中しよう。

 

 つーかこの二人、つ(・)い(・)さ(・)っ(・)き(・)大鳳と夕立にボコボコにされて全身複雑骨折してたのにもう回復したのかよ。

 回(・)復(・)速(・)度(・)が(・)日(・)に(・)日(・)に(・)早(・)く(・)な(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)気がするんだけど、気のせい?

 

 

side 提督 out

 

 

───────

────

─

 

 

side 摩耶

 

 

──第603鎮守府、工廠──

 

 

────あーあ、やっちまった。

 

 

 久々にゆっくりと仕事以外の会話を出来たから、浮かれ過ぎた。

 

 

 それに、いざ会話を始めたら何を話せばいいのか分からなくなった。

 

 

 そのせいでまともな話題が思い付かなくて、下の話ばかりしちまった。

 

 

────もう、まともに会話してくれないだろうな

 

 

 もっと素(・)直(・)に(・)な(・)り(・)た(・)い(・)。

 

 

 女(・)の(・)子(・)ら(・)し(・)く(・)振(・)る(・)舞(・)い(・)た(・)い(・)。

 

 

 でも、ガサツで男勝りな性格をしているアタシには、出来ない。

 

 

 何度も変わろうとしたけど、全て失敗に終わった。

 

 

────いや。あいつの事だから、ちゃんとすればソレに応えてくれる。

 

 

────ネ(・)ガ(・)るな

 

 

────今まで通りのアタシで在(・)り(・)続(・)け(・)ろ(・)

 

 

────提督は。渡(・)良(・)瀬(・)は、あの程度じゃ見(・)捨(・)て(・)た(・)り(・)し(・)な(・)い(・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーと、整備用のグリスは──あったあった……って、摩耶じゃない」

 

「────ッッッ!!?……夕張か」

 いけね!思(・)考(・)し(・)て(・)い(・)た(・)!あっぶねぇ。瑞鶴達読(・)み(・)取(・)れ(・)る(・)組(・)だったら、厄介な事になっていた。

 

「夕張さんですよー。んで、こんな所で何してたの?」

 

「…………」

 

「…………ごめん。今の忘れて」

 

 なんて答えれば良いのか分からず、無言でいると私の顔を見て察してくれたのか、夕張はそれ以上何も聞いてこなかった。

 あーあ、顔に出てたか。やっちまったなぁ。

 

「……幾ら艦娘の装束を纏っているとはいえ、長時間此処(工廠)に居たら身体が冷えて風邪ひくわよ」

 

「……あぁ、気を付けるよ」

 

「ん。りょーかい!私は艤装の整備があるから、行くね?」

 

「……おう」

 

「……私は何も見ていない。誰とも会っていないわ」

 

「……ありがとよ」

 夕張が少しだけおちゃらけた風にそう言い、再び工廠の奥へ行ってしまった。ホント、良い奴だよ。

 それに、夕張は普段の言動から誤解されがちだけど、意外と女子力が高い。

 

 

……夕張みたいに女子力が高ければ、渡(・)良(・)瀬(・)はアタシを異(・)性(・)と(・)し(・)て(・)意(・)識(・)し(・)て(・)く(・)れ(・)た(・)の(・)か(・)な(・)?

 

 

 仮に意(・)識(・)してくれても、既(・)に(・)遅(・)い(・)。

 

 

 渡(・)良(・)瀬(・)には、嫁さん達が居る。

 

 

 渡(・)良(・)瀬(・)の事だから、ア(・)タ(・)シ(・)の(・)気(・)持(・)ち(・)を(・)ぶ(・)つ(・)け(・)れ(・)ば(・)、必ず応えてくれる。

 

 

 アタシを、嫁さんにしてくれる。

 

 

 けど、アタシは……嫌だ……。

 

 

 渡(・)良(・)瀬(・)には、ア(・)タ(・)シ(・)だ(・)け(・)を(・)見(・)て(・)欲(・)し(・)い(・)。

 

 

 独(・)占(・)し(・)た(・)い(・)。

 

 

 例え条件を満たせば重婚が可能になるとはいえ、嫌(・)だ(・)。

 

 

 一夫一妻で。

 

 

 二人で。二人きりで愛を育みたい。

 

 

……………………。

 

 

……………………。

 

 

……………………。

 

 

……………………こんな事になるなら、もっと早く行動を起こすべきだったな。

 

 

 瑞鶴が異動して来る前に。

 

 

 もっと自分の気持ちに素直になっていれば。

 

 

 そうすれば、渡(・)良(・)瀬(・)の(・)隣(・)に(・)立(・)て(・)た(・)の(・)か(・)な(・)──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────やめだ、やめ」

 これ以上考えたら、益々ネ(・)ガ(・)る。

 はい、気持ちを切り替える。こんなの、アタシらしくない。

 

 渡(・)良(・)瀬(・)から瑞鶴と復縁したと言われた時に、決めたんだ。

 

 アタシは、渡(・)良(・)瀬(・)を見守ると。

 

 渡(・)良(・)瀬(・)と瑞鶴を祝福すると。

 

 暫く経ってから、重婚する事を聞かされても。

 

 今まで通りの悪友ポジで在り続けるんだ、と。

 

 だから、何時までもネ(・)ガ(・)るな!!

 

……けど、何か憂さ晴らししなきゃまたネ(・)ガ(・)りそうだ。

 

 

…………。

 

…………。

 

…………そういや、そろそろバ(・)レ(・)ン(・)タ(・)イ(・)ン(・)デ(・)ー(・)だな。

 

 アタシ、甘いモンは苦手だから今までスルーしてきたけど、作るか!

 

 ただ作るだけじゃアレだから、ロ(・)シ(・)ア(・)ン(・)チ(・)ョ(・)コ(・)レ(・)ー(・)ト(・)にしてみよう。

 

 確か昨日、渡(・)良(・)瀬(・)達が買い出しをした食料品の中に、チョコレートの塊があったな。

 

 恐らく嫁さん達がそれを使って作るだろうから、今のうちに確保しよう。

 

 さて。チョコの中に何を入れよう?ハバネロでも入れてやるか。

 

…………ふふっ。覚悟しとけよ、渡(・)良(・)瀬(・)。

 

 女の気持ちを弄んだ罪は、重いんだぞ?

 

 

side 摩耶 out

 

 

───────

────

─

 





次回予告


……あんな顔をした摩耶を見たの、初めて。大丈夫かな?摩耶の事だから直ぐに立ち直りそうだけど、暫くの間不自然にならない程度に気に掛けておこう。
…………さぁて、気持ちを切り替えてお仕事お仕事、っと!
 まずは野原主任と秋(・)津(・)洲(・)さ(・)ん(・)が開発した新(・)型(・)武(・)装(・)のメンテナンスを──執務室の方が騒がしい。またナ(・)ニ(・)か起きたのかしら?まぁ、何時もの事だからなんとかなるでしょ。お仕事に集中しちゃおう!
 

第176話・Ich sehe nur dich. (あなたしか見えない)


「キミに対する私の想(・)い(・)はとても大(・)き(・)い(・)!大き過ぎてコテーシサンゼイ(固定資産税)が掛かりそうな位にッッッ!!!」


【補足的なナニか】

・蔵王…正式名称、「蔵王連峰」。読み方は「ざおうれんぽう」。宮城県と山形県の両県南部の県境に位置する連峰を指す。
 「蔵王連峰」は山々の集まりの総称であり、「蔵王山」という単独峰があるわけではない(by.Wikip○dia)。
 
・イカれた特殊訓練…その名の通り、魔境大本営に所属する艦娘達が行うイカれた特殊訓練を指す。
 詳細については現段階では何も語れない。
 尚、真冬の蔵王で行われる特殊訓練は、国から特別な許可を得て、一般の利用者等の立入りを制限してから行っている(という設定)。

・キュア・ウォッカ…全てを忘れて酒を飲むッッッ!!!

 とあるラジオでヤべー声優「上坂すみれさん」が「キュアウォッカ惨状参上!」と発言(?)したのが元ネタ。
 詳細については各自でお調べ下さい。

・80%の私を見せてやろう!…「幽遊白書」に登場する「戸愚呂・弟」の台詞、「80%の俺を見せてやろう!」が元ネタ。
 尚、大鳳の身体はムキムキにはならなかった模様

・犬神家の一族状態…映画「犬神家の一族」のワンシーンに、「波立つ水面から人間の足が突き出ている」シーンがあり、その状態を指す。
 詳細についてはネタバレ等が含まれている為、割愛。

・1+1=200。10倍だぞ10倍!…プロレスラー「天山広吉さん」と「小島聡さん」の二人が雑誌インタビューに回答した際の発言の一部、「1+1は2じゃないぞ。オレたちは1+1で200だ!10倍だぞ10倍」が元ネタ。

・Ia! Ia! Cthulhu fhtagn!…クトゥルフを讃える時に使われる言葉を指す。

・主人公のフェチ…尻フェチ。尻フェチになった理由は主人公が中学一年生の時、近(・)所(・)に(・)住(・)む(・)歳(・)上(・)の(・)幼(・)馴(・)染(・)の着替えを偶然目撃した事で、目醒めた……らしい。


以上、補足終了。


※R18版の執筆しているけど、中々上手くいかない。書き方勉強しなきゃ…。
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