……えっ、動機が不純?確かに。最初は、やる気無かったよ。
けど、今は違う。やり甲斐ある仕事だと思っている。
ただ、アイツの相手だけはしたくない。この間だって…
「ね~ぇ~、開~け~て~よ~!」
どうしてこうなった!?アレか?日頃の行いが悪いからバチが当たったのか?
「開けてって言ってるでしょ!」
あぁもう、どうすりゃいいんだよ!窓から逃げるか?
いや、無理だ。防犯の為、外側に鉄格子が付いている。
なら誰か助けを呼ぼう。そうだ、そうしよう!
スマホを取り出して…あ、充電切れてる。ダメだこりゃ。
「ふ~ん、開けてくれないんだ…」
ドアを叩く音が聴こえなくなった。諦めたのか?
「…なら、こうしてやる!」
前言撤回。奴の辞書に【諦める】という文字は無い。それは俺自身がよく知っている。
「全機爆装!目標、目の前のドア!やっちゃって!!」
鼓膜が破れそうになる程の爆音が響くと同時に、ドアが吹き飛んだ。
……ははっ、やりやがったよ。修繕費、幾らかかるかなぁ。なんて現実逃避気味に考えていると、煙の向こうから足音が聴こえた。
「えへへっ、ちょっとやり過ぎちゃったかな?」
あぁ、うん。やり過ぎだと思うよ。そう言いたかったが声は出なかった。
「でも、ドアを開けてくれなかった貴方が悪いんだからね?」
いや、開けたくないよ。
「まぁいいや。これから末永く、よろしくね♪」
数年前に振った幼馴染の元カノが…
「うふふ…もう…ニガサナイカラ…」
独占欲が非常に強い元カノが…
「(<⚫>)(<⚫>)」
瞳孔をこれでもか!って位に広げ、口角を吊り上げて笑いながら俺を見つめていた。
どうしてこうなった。俺はこうなった原因を思い出す事にした。
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──数日前──
「提督、大本営から書類が届いたぞ」
「ありがとう」
本日の秘書艦、摩耶から書類を受け取った。
どれどれ…
「その書類の内容は何だ?」
「先日、空母を送ってくれって頼んだんだ。その返事だ」
「へぇ。んで、どうなんだ?」
「1人送ってくれるってよ。しかも、正規空母を」
「ホントか!?」
「嘘言ってどうすんだよ。ホントだ」
「よっしゃ!これで索敵が楽になる!!」
よほど嬉しいのか、ガッツポーズしてるよ。
さて、少しこの鎮守府について説明しよう。
この鎮守府は規模が小さく、所属する艦娘は摩耶を含めて8人しか居ない。更に軽空母、正規空母が居ない。あと間宮と伊良湖も居ません。
そんな少人数で大丈夫かって?大丈夫だ、問題ない。
何故なら、この鎮守府から数十km離れた島に規模の大きな鎮守府がある。出没した深海棲艦は殆どそこの艦娘達によって沈められる。
極稀に撃ち漏らす事があるそうだが、その時は俺達の出番だ。
大抵、瀕死の深海棲艦が2、3体来るか来ないか。それだからか、この人数でもやっていけてるんだ。時々、無傷の奴が侵入してくる事もあるが。
そんな敵を探す為、摩耶達は目視やレーダーの他に索敵機を使う。
しかし摩耶達の使う索敵機では航続距離が短く、速度も空母達の使う物と比べて遅い。
その為、敵を見つけるのに時間がかかり、何度かデッドラインギリギリまで侵入されそうになった事があった。
それを解決する為に大本営へ空母艦娘配属の申請をした。そして今回ようやく申請が通った。
「しっかし、よく通ったな」
「俺もそう思う」
「んで、新たに配属される正規空母の名前は何なんだ?」
「えーと、翔鶴型航空母艦二番艦、瑞鶴だとさ」
「マジかよ。翔鶴型って、適性ある奴少ないって言われてるのに」
「しかも幸運の空母と呼ばれる瑞鶴だ。本当に何故ここに送ってもらえるんだ?」
「さぁな。もしかしたら、とんでもない問題児だったり?」
「そしたら、対応は摩耶に任せる。問題児同士上手く行くかもしれないしな」
「誰が問題児だコノヤロー」
「冗談だ。さて、書類も片付いたし、お昼にするか」
「おっ、もうそんな時間か。今日は涼月が担当だっけ。かぼちゃ料理楽しみだなぁ」
摩耶と他愛ない会話をしながら執務室を後にする。
食堂に行くと涼月が作ってくれた料理を食べ、腹を満たす。うん、かぼちゃの煮物美味しい。
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この時、もっとよく瑞鶴の履歴書を見るべきだった。
そうすれば、あんな目に遭わずに済んだのに。
──てな事があったわけよ。もう勘弁してくれ。
……あ、瑞鶴、あの、何で艤装を纏って…あの~、瑞鶴…さん?弓を構えて何を…俺は的じゃないよ?ねぇ、何で無言で俺に矢を向けてるのかな?かな?
とりあえずビールでも飲んでリラックス…危ねぇ!テメェふざけんな!
……あ?何してたかって、彼女と話をして…だから矢を飛ばすなバカヤロー!あぁもう、壁に矢が刺さってる。修繕費、お前の給料から天引きだアホ!