side 加賀
──第603鎮守府、母港──
漁開始162日目。
10:50。
本日の天気、曇。
気温3℃。ほぼ無風。
昨日まで雲一つ無い晴天だったから、肌寒く感じる。
閑話休題。
漁を終え、帰還後。手の空いている娘達で捕獲した魚介類を解体・箱詰めにして。
つい先程、母港に散らばった魚介類の殻や体液を片付けた。
(あとは業者の人に渡して、その後報告書を纏めて提督に提出。昼食を摂って小休止したら、自主練しましょう)
今日はどのような鍛錬をしようかしら──
『野生解放して皆を襲いそう……。あと、幼児退行しそう……』
──執務室に居る提督の思考と感情が流れ込んで来た。
どうやら相当マズい状態みたいね。
(無理もない。先日ヤベー奴らと話し合い(時々物理)をして、しっかりコミュニケーションを取るようになってから、彼の理性は削られっぱなしになっている)
幸い、茂さんにしっかり教育されたからか、今の所は本能に任せて行動せず理性を保っている。
けど、海風さんに薬を盛られてソレを摂取した影響で、何時理性が壊れて本能に忠実になるか分からない状態に陥っている。
現にここ数日、皆とコミュニケーションを取り、その後一人になる度に、彼は“何度も本能に忠実になって手を出しそうになった”と考えている。
(何度も薬の使用を阻止しようとしたけど、全て失敗に終わっている)
海風さんの思考を読み取ろうとしても、遮断されてしまうから、何をしようとしているのか予測出来ず。
勘を頼りに何とかしようとしても、後手に回ってしまう。
海風さんは警戒心と自制心が非常に強い。
他の娘達と違って、リスクのある行動を一切取らず。
彼に対する想いは、此処の誰よりも強いのに、どんな事があろうと決して欲に負けたりせず。
それでいて、彼に好意を抱いている事を皆に一切悟られないよう振る舞う。
ハッキリ言って、相当手強い。お手上げ状態。
……私の力──読み取れる力を持っている事が皆にバレるのを覚悟して、海風さんに面と向かって“薬を使うのをやめろ”と言おうかしら?
けれど、そんな事をすれば彼や皆に精神的ショックを与えてしまう恐れがある。
隠してきた事に対して彼や皆に色々言われたり、思われたりして、最悪今の関係が壊れてしまう恐れが──
「加賀さん、顔色が悪いですよ?具合でも悪いのでしょうか?」
『顔色が悪いだけでなく、身体が震えている。大丈夫ですか?』
「──大丈夫よ。魚介類の臭いに少し参っていただけよ」
いけない。初霜さんに不審に思われてしまった。いえ、心配を掛けてしまった、と言うべきね。誤魔化しておきましょう。
……初霜さん。彼女も最近、色々とマズい事になっているのよね。
皆とコミュニケーションを取っている彼を見て、心がモヤモヤしたり、イラついたりしている。
(思考と感情を読み取った所、提督に対して特別な感情を抱くようになっている)
けれど、初霜さんは何故心がモヤついたりイラつくのか分かっていない。
そのせいで、最近の初霜さんは不安定になっている。
(自力で気付いて欲しいけど、恐らく初霜さんは自力で答えを出す事は不可能でしょう)
彼女は恋愛感情というモノを知らない。
その為、例え周囲の人達──此処の娘達が提督とイチャついている様子を見ても、“仲が良い”程度にしか認識しない。
閑話休題。
もし、このまま放置したら初霜さんは確実に歪む。
彼と再会するまでの私みたいな事になりかねない。
いいえ。下手したら、もっと酷い事になりかねない。
…………。
(ここは、私が一肌脱ぐ必要があるわね)
本来ならば彼がやるべき事だけど、残念ながら彼は他の娘達の対応でいっぱいいっぱい。代わりに私がやりましょう。
(海風さんの問題があるけど、それは一先ず保留にして、比較的難易度の低い初霜さんを何とかしましょう)
今なら未だ間に合う。簡単に片せる。簡単とは言ったけど、それは海風さんと比べた場合であって、決して簡単な問題ではない──
「あ、あの、加賀さん?私、何か気に障るような事を言ってしまったのでしょうか……?」
『うぅ……険しい表情をしている。怒らせてしまったのかしら?』
──いけない。思考していたから、それが表情に出てしまったようね。誤解を解かないと。
side 加賀 out
───────
────
─
side 初霜
──第603鎮守府、加賀私室──
13:30。
「し、失礼します!」
「緊張しないで。自分の部屋に居る感じでリラックスして頂戴」
「は、はい!」
そう言われましても、無理ですよ……。
昼食を摂り、小休止をした後。加賀さんに言われた通り、誰にも気づかれないよう細心の注意を払って加賀さんのお部屋に来たのだけど……うぅ、緊張する。
そもそも、何故加賀さんの部屋に行く事になったのかしら。
漁を終えて、帰還して。
母港で魚介類を解体・箱詰めして。
道具や魚介類の破片を片付けて、入渠しようとしたら加賀さんが棒立ちしているのが見えて。
気になったから様子を見ていると、突然顔色が悪くなって震え始めて。
具合が悪くなったのでは?と思い、声を掛けたら“大丈夫”と言われて。
(それから……何を話したんでしたっけ?)
加賀さんに真剣な顔と声で、“昼食後、小休止したら他の人に気付かれないよう、私の部屋に来て”と言われて。
疑問に思っていたら、“私の悩み事について話がしたい”と言われて。
そのせいでショックを受けてしまい、会話した内容の一部を忘れてしまった。
そもそも、何故加賀さんは私の悩み事を知っているの?誰にも言っていないし、誰にも悟られないよう振舞っていたのに。
(…………もしかして、加賀さんは瑞鶴さん達みたいに思考や感情を読み取れるのかしら?)
けど、加賀さんは“読み取れない”と言っているし、そんな素振りを一切見せていない──
「緑茶でいいかしら?」
「──あっ、はい!ありがとうございます!」
色々疑問に思う事があるけど、今はやめて加賀さんとの会話に集中しましょう。
考え事をしながら会話するのは、相手に失礼ですし。
「……ごめんなさい、急に誘ったりして」
「い、いえ!お気になさらないでください!」
「ふふっ。そんな畏まらなくていいわ。リラックスして?」
お茶を淹れて私に差し出してくれた。
それに対し恐縮していると、私を安心させる為か、加賀さんはとても優しい微笑みを見せてくれた。
言葉は悪いけど、加賀さんは殆ど表情が変わらない。常に無表情で居る。それだから、ギャップが凄い。
(…………何でしょう。加賀さんの微笑む顔を見ていると、とても落ち着く)
まるで、母親が愛しい我が子に向けているような微笑みだ──
(──母親、か)
私の母親は、一度たりとも私にこんな微笑みを見せてくれなかった。
なのに、何故母親が愛しい我が子に向けているような微笑みだ、なんて考えたの?
…………やめよう。思い出したら胸糞が悪くなる。
閑話休題。
一先ず、何故私の悩み事を知っているのか聞きましょう。
「あの、加賀さん……」
「何かしら?静か過ぎるから、BGMにデスメタルでも流しますか?」
「是非お願いします!!!
……じゃなくて。あの、その──」
「お茶請けが欲しいのかしら?安心しなさい。格納領域に仕舞っておいた、私が大本営に居た頃、龍驤姐さんと一緒に食堂にこっそり侵入してかっぱらった──頂いた間宮羊羹があるわ。どうぞ」
「──今、かっぱらったって言おうとしませんでした?」
あと、食堂にこっそり侵入したと聞こえましたよ。それ、犯罪じゃありません?
……じゃなくて、何故私の悩み事を知っているのか聞かないと──
「羊羹は苦手?なら、綾波さんと島風さんに捕まったら最期、砲撃とパイルバンカーで全身を穴あきチーズにされて空いた穴という穴に酸素魚雷と爆雷をブチ込まれて花火にされるゲームで見事30秒間逃げ切ったけど逃げ切るなんてムカつくという理由で結局砲撃とキサラギ製パイルバンカーで全身を穴あきチーズにされて酸素魚雷と爆雷で花火にされて死にかけたけど最終的には報酬として貰えた伊良湖モナカの方が良いかしら?」
「──すみません、何を言っているのか全く分かりません」
日本語なのに、意味を理解する事が出来ない──
「伊良湖モナカもダメ?なら、バレンタインデーに向けてこっそり作った私特製チョコレートケーキは如何?これの他にも作ってあるから、遠慮なく食べて」
「──あ、可愛い。猫ちゃんだ」
ツッコミを入れるべきか否か迷っていると、加賀さんは空きスロットからチョコレートケーキを取り出した。
そのチョコレートケーキには、猫ちゃんの顔を描いたクッキーが飾られている。
「…………犬なんですが」
「…………失礼しました」
申し訳ございません。てっきり猫ちゃんだと思いました。
…………加賀さんが顔を俯かせ、物凄く落ち込んでいる。
真顔のせいで、パッと見では分からないけど、雰囲気で落ち込んでいるのだと分かる──
「…………私、昔から絵を描くのが苦手なの。私が小学生の頃、図工で犬の絵を描いた時も、皆から猫だと言われて──」
──あ、何か語り始めました。止めるべきかしら?いいえ、やめておきましょう。
何となくだけど、止めたらマズい事になりそうだと私の本能が言っている──
「──さて。初霜さんの緊張が大分解れた所で、そろそろ本題に入りましょうか」
「──ッ!」
ちょ、ちょっと待ってください!心の準備が済んでいません!
しかし、加賀さんは待ってくれなかった。
────
「──つまり、私は提督に対して、特別な感情を。恋心を抱いている、という事ですか?」
「えぇ、そうよ」
「そんな……こと……」
加賀さんが本題を切り出してから十数分後。私はショックを受けていた。
今まで提督が艦娘の誰かとコミュニケーションを取っている姿を見て、心がモヤモヤする原因が恋心を抱いているとは。
────そんな事、有り得ない
本題について切り込まれた時は、そう思っていた。
でも、加賀さんに色々指摘される度に、私は提督に対して特別な感情を。恋心を抱いていると納得するようになってしまった。
────確かに、私は提督の事が好き
────好きだと思うようになった切っ掛けは、提督の傍に居ると落ち着くから
────私の趣味や嗜好を一切否定せず、受け入れてくれたから
────理解を示すだけでなく、私の趣味・嗜好に興味を持ってくれたから
────だから、好きになった
「………………」
────私は、友愛的な意味で好きになったのだと思っていた
────でも、加賀さんにソレは異性に対して抱く感情なのだと指摘された
────指摘されてから、幾つか気付いた事がある
────提督が、誰かとお話をしているのを見たり
────提督が、誰かに迫られるのを見たり
────その他にも色々あるけど、ソレらを見ていると、心の何処かで羨ましいと思ったりした
「………………」
「初霜さん、難しく考えないで。もう一度言うわ。あなたの心の中で思った事を。提督にどんな事をしたいか。また、どんな事をされたいか、そのまま言葉にして吐き出してみなさい。
ここには私と初霜さんしか居ません。防音もしっかりしているから、誰かに聞かれる心配はありません。
そして、私は誰にも言わないと誓うわ」
「…………わたし……は……わた……し……は……」
提督に、どんな事をしたい?どんな事をされたい?
…………。
…………。
…………。
…………。
「…………提督に、頭を撫でて貰いたい」
「素直になりなさい」
「…………提督に、その……ギュッと抱きしめられたい……です……」
うぅ……恥ずかしい。
「もっと素直になるのよ」
「…………提督と一緒に、二人きりでお出掛けしたいです」
そして、沢山お話して。提督の好きな物を知って。提督がどんな人か、もっと詳しく知りたい。
「それだけで満足なの?」
「…………うぅ……」
加賀さん、容赦が無い。
言われた通り、自分に素直になって考えた。その結果、ある願望が出て来たけど……こんな事、恥ずかしくて言えません!
「……初霜さん。股間に素直になるのよ」
「…………はい?」
あ、あの、加賀……さん?いきなり何を言い出すのですか?
ある願望が出て来て、恥ずかしさのあまり内心で悶えていると、加賀さんが真顔のまま感情を感じさせない平坦な声で“股間に素直になるのよ”と言ってきた。
「聞こえなかったのかしら?股間に素直になるのよ」
「すみません、何を言っているのか全く分かりません」
何を言っているのか全く分からない、とは言ったけど、ちゃんと意味は理解している。
加賀さんの言った、股間に素直になるって……つ、つまり──
「分からない?なら、単刀直入に言うわ。提督──準に【バキューン!】されたい?」
「加賀さんッ!」
いきなり変な事言わないでくださいッ!
……想像してしまった。
提督──渡良瀬さんに、そ、その……【ズギャーン!】される光景を。
…………。
…………。
…………。
…………いい、かもしれない。
…………わ、私、なんて事を考えているのッ!?
「初霜さん。大事なことだからもう一度言います。
股間に従えッ!然すれば自ずと答えは出るッッッ!!!【ズッコン!】【バッコン!】したくないの?されたくないの?」
「加賀さんッッッ!!!」
だからッ!そういう事ッ!言わないでくださいッッッ!!!
……最近まともだったからすっかり忘れてしまったけど、加賀さんってこういう人でしたね。
────
「…………はぁ」
酷い目に遭いました。
……なんだか、身体が重い。まるで、厳しい訓練をした後のような感じがする。
それなのに、肉体的疲労は感じない。不思議な感覚。これが、所謂“精神的に疲れている状態”というモノなのかしら?
加賀さんに私の悩みについて色々話をし、アドバイス……アレをアドバイスと言って良いのかしら?
とにかく、アドバイスを頂き、何故心がモヤモヤするのか原因が判明した。
まさか、私が提督に対して……その……特別な感情を抱いているとは思わなかった。
今まで私は、提督に対して兄のような存在だと認識していた。
でも、加賀さんに色々指摘されてから、違うのだと気付かされた。
何時からだろう?私が提督に対して特別な感情を抱くようになったのは。
────養成所で出会った時、親身になって接してくれた
────舞鶴鎮守府に所属する事になり、離れ離れになると知った時、悲しかった
────数年後、提督が運営する此処へ異動する事を知った時、とてつもなく喜んだ記憶がある
────此処に異動してからも、提督は養成所の時と全く変わらず接してくれた
────昨年の夏頃、私の趣味・嗜好がバレてしまっても、否定して来なかった
────寧ろ、理解しようとしてくれた
………………。
………………。
………………。
………………もしかしたら、私は養成所で提督と。渡良瀬さんと出会い、一緒に過ごしていくうちに抱くようになったのかもしれない。
けど、私はそういった事──恋愛感情について、全くと言うほど分かっていなかった。
正確には、知識としては知っていても、ソレがどういうモノか経験した事が無いから、分からなかった。理解しようとも思わなかった。
私が学生だった頃。クラスの女子達が“誰が好き”等という会話を聞いていても。
恋愛物の漫画や小説なんかを見せられても、全く興味を持たなかった。理解出来なかった。
何故、好きになるの?
何故、そんなに夢中になれるの?
そう思うばかりだった。
此処の人達が提督に対して過激なアプローチをしているのを見ても、“賑やかだな”程度にしか思わなかった。
でも、今なら何となく分かる……気がする──
「──お、初霜。……どうした?随分疲れているみたいだが」
──提督だ。
加賀さんに色々言われて精神的に疲れてしまい、目的も無くただ鎮守府内を彷徨いていたら、提督と遭遇してしまった。
(…………なんだか、恥ずかしい)
提督の顔を見ていると、急に羞恥心が込み上げて来た。
今までは提督の目を見ても、普通に会話出来た。
でも、今は違う。
────提督の顔を見ていると、鼓動が早くなる
「顔が赤いぞ?具合でも悪いのか?」
────身体が熱くなってきた
「呼吸が荒いぞ?風邪でもひいたのか?」
────お臍の下辺りがとても熱く感じる
「おーい、初霜?聞こえてるか?」
────目がチカチカする
────視界が赤い
「とにかく、医務室に連れて行く」
─────あはっ♪
加賀さんにアドバイスされた通り、もっと自分に素直になろう。
「初霜?……あの、初霜さん?なんか、雰囲気がおかしいんですけど?どうしたんだ?」
「初霜さん?何で抱きつくの?別に抱きつくのは構わないんだけど、何でヤバそうな笑みを浮かべながら呼吸を荒くしてるの?なんか、少し前の榛名達みたいな顔と雰囲気になってるよ?……何で俺の胸に顔を埋めて匂いを嗅いでるのかな?あの、初霜さん?ねぇ、聞いてる?」
「初霜が壊れたァ!誰かァ!助けてええええけぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
────あっははは♪あっははははははははは♪
「ドーモ、渡良瀬=少佐。ロリコン=スレイヤーDeath。見たぞ……現行犯だッッッ!!!」
「俺は無実だッ!俺は何もしてないッ!俺は悪くねぇッ!俺は悪くねぇッッッ!!!」
────ロリコンが邪魔してきた
────けど、気にしない
────今は、提督に。渡良瀬さんに私の想いを伝えるのが先よ
────あっは♡あっはははははは♡
────すっごく最高の気分♡
side 初霜 out
───────
────
─
side ??
「──それで、初霜に襲われた、と」
「そうです……」
出撃を終え、帰還すると、提督──渡良瀬さんが瑞鶴さん達に詰問されている姿が視界に入ってきた。
一体何が起きたのかしら?
さり気なく会話を盗み聞きすると、初霜さんが提督を襲った事が判明した。
────油断していた
「それで?初霜をどうするの?」
「きちんと責任を取ろうと思っている次第であります……」
話によると、私が出撃している間に初霜さんがあちら側に堕ちてしまったらしい。
詳細については残念ながら分からなかった。後で情報収集しましょう。
────初霜さんは今まで、渡良瀬さんに対してそういった感情を抱いていなかった
今まで一切そのような発言をせず、素振りすら見せなかった。
それなのに、何故特別な感情を抱くようになり、渡良瀬さんを襲ったのか。
色々疑問があるけど、重要なのは初霜さんが渡良瀬さんに特別な感情を抱くようになった事。ただそれだけ。
────ふざけるな
────今まで貴女は“恋愛に興味無い”と言っていた
────今まで貴女はそういった事に対して、全くと言って良い程に興味・関心を示さなかった
────それなのに、何故急に示すようになった?
────分からない
────落ち着きなさい。冷静になるのよ
────分かる必要はありません
────先程も考えたように、ソレは重要じゃない
────渡良瀬さんに対して特別な感情を抱く人が一人増えただけ
────気にする必要は無い
────何人増えようと、最後に私が笑えればいい
────どれだけ時間が掛かろうと、構わない
────最後に笑えればいい
────今はまだ、仕掛ける時ではない
────我慢する事は慣れている
「……………………」
────我慢する事は慣れている
────それなのに、何故かしら
────何時もより、冷静になるのに時間が掛かる
────中々冷静になれない
「…………明後日、バレンタインデーですね」
ふと、カレンダーが視界に入ってきた。
日付を見ると、バレンタインデーが明後日だという事に気付いた。
………………。
………………。
………………。
……………………お薬を使って、少し。ほんの少しだけ揺さぶろうかな?
side ?? out
───────
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─