追跡鶴   作:EMS-10

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第4話・覚醒する少女

 

「やめろ!」

 

「嫌です♪」

 

もうダメだ。諦めるか?いや、諦めたら終わる。受け入れたらダメだ。どうしてこうなっちまったんだ!

 

 

───────

────

 

 

「これで…終わったぁ~」

 

「いや~、キツかったぁ…」

 

「もう書類は見たくないや」

 

「俺も見たくない」

翔鶴(静流)の襲撃から2週間が経過した。あの時の報告書やら始末書やらを全て片付け、摩耶と一緒に背伸びをした。

 

「…にしても、正規空母ってのは火力凄ぇな。艦載機数機程度であそこまで破壊出来るなんて」

 

「その代わり、操作が複雑で難しいらしい」

 

「不器用なアタシにゃ無理だな」

 

 

──────────────

 

 

あの時の出来事は深海棲艦の襲撃によるもの、という事になっている。

シナリオはこうだ。あっち(第8492離島鎮守府)の艦娘達が何体か深海棲艦を取り零す。その中に空母ヲ級が居て、ここ(第603鎮守府)を爆撃される。うちには瑞鶴が居るが、漁船警護で離れていた為、被害が甚大になった。

流石に苦しい言い訳じゃないかと思ったが、大本営はアッサリ受け入れた。詳しくは知らないが、どうやら上層部の連中はあの提督(第8492離島鎮守府)が気に入らないらしく、汚点を与えられて大喜びらしい。理由はあっち(第8492離島鎮守府)の提督曰く「若いのに戦果をあげているから」との事。味方同士で啀み合うなよ。

大本営には「深海棲艦による襲撃」で通したが、民間にはそう伝える事は出来ない。では、どう伝えたかって?

艦娘達の練度向上の為に合同演習を行うも、【張り切りすぎて、鎮守府に誤射してしまった】と説明した。

運が良いのか分からんが、ここ周辺はド田舎で過疎地域だ(平均年齢50を超えているらしい)。住民達を集めて説明したら、「海を守る為に頑張ってくれてるんだ。ちっとくらい騒がしくったって構わない」と言ってくれた。勿論、クレームを付けてきた人達(比較的若い人が多い)も居たが、そこはド田舎。年寄りが偉い!理論で爺さん婆さん達に黙らされていた。今は良くても、時間が経てば再びクレーム付けられそうだ…。あとマスコミは色々言ってるが、大本営が圧力をかけてくれたのか今のところ必要以上に報道されていない。あんまり無理矢理(マスコミ連中を)押さえ付けると反動が怖いが、それを連中(大本営)は分かってるのかねぇ。

 

 

──────────────

 

「そういや提督、あそこ(第8492離島鎮守府)から送られてきた装備だけど、性能良すぎて笑いが止まらなくなったよ」

 

「そんなに凄いのか?」

 

「今までアタシが使ってた装備がオモチャに思える程にな…」

 

「そんなにか…」

摩耶がしょんぼりしている。レアな表情だ。

翔鶴(静流)の爆撃によって破壊された鎮守府の修繕費は、全てあそこ(第8492離島鎮守府)が出してくれた。それだけじゃない。各資材を数万単位、更には最新式の装備やそれに関する設計図(開発方法や整備方法が書かれている)を無償で幾つか譲ってくれた。後で何かありそうで怖い。しかも、それだけじゃなかった。

 

「そういや、例の嚮導艦、今日来るんだっけ?」

 

「そうだ。14:00に来てくれる」

なんと、向こう(第8492離島鎮守府)の最高練度の艦娘を1人、嚮導艦として派遣してくれる。至れり尽くせりだ。現在時刻は13:48。既に涼月に出迎える様頼んである。

 

 

───────

 

「そろそろだな」

摩耶と雑談していると、13:56になった。

 

「誰が来るんだろ?」

 

「艦種は軽巡だって言ってたな」

 

「へぇ~、軽巡かぁ。少し可愛がってやるか」

 

「失礼な事すんなよ」

 

「分かってるよ」

 

 

…ん?予定時刻を過ぎてるぞ。それなのにまだ来ないとは時間にルーズ(いい加減な性格)なのか?

 

『もーいーかーい?』

 

「「っ!?」」

突然声が聞こえた。摩耶の声じゃない、誰だ!

 

「やぁ」

 

「どぅわぁ!?」

 

「キャー!」

 

突然天井から誰か降ってきた!曲者!?

 

「天井に張り付いてたけど、なかなか気付いてくれないからつまんなかったよ」

 

目の前に現れたのは、忍者を彷彿とさせる様な衣装を纏った黒髪をツーサイドアップにした少女だった。いつの間に侵入してたんだよ。この鎮守府、セキュリティガバガバだな。

 

「だっ、誰だよ!」

 

おーおー、珍しく摩耶が慌てている。

 

「自己紹介まだだったね。私は川内型軽巡洋艦一番艦、川内。本日付で第603鎮守府に嚮導艦として着任しました。よろしくね!」

 

「あ、あぁ。俺は第603鎮守府の提督だ。よろしく頼む」

 

「ア、アタシは高雄型重巡洋艦三番艦の摩耶だ」

 

「うん、よろしくねっ」

 

元気な娘だな。ん?何だ、俺の顔を見て。

 

「…ふ~ん。あいつが瑞稀(瑞鶴)の…」

 

何か言ったみたいだが、声が小さくて聞き取れなかった。

 

「ねぇ提督、早速だけど摩耶と演習してきていい?」

 

「ん?いいぞ」

さっき書類を書き終えたし、やる事ないからな。

 

「よぉし!それじゃ、沖に出よ?」

 

「お、おぅ」

 

川内の勢いに圧されたのか、摩耶が戸惑ってる。

怪我しないようにな~。2人が執務室から出ていくのを見送った後、川内の履歴書を確認した。どれどれ…

 

「ハァ?練度165だと!!?」

摩耶の練度は現在82。摩耶、骨は拾ってやるよ…。約1時間後、桟橋で真っ白に燃え尽きた摩耶を見つけた。ヤムチャしやがって…

そういや何か忘れてるような。まぁいいか。

 

 

───────

 

「…まだ来ないのでしょうか?」

 

 

───────

 

 

出迎えに行かせた涼月の事を思い出したのは約4時間後の事だった。

 

 

 

 

─談話室─

 

「ひどいです!」

 

「ホントにすまん…」

現在時刻20:00。俺は頬を膨らませた涼月に頭を下げて謝っていた。言い訳じゃないが川内のインパクトが強すぎて忘れしまった。今後気を付けねば。

 

「私、存在感無いのでしょうか…」

 

いや、あるぞ。この鎮守府の癒しキャラとして物凄い存在感放ってるよ。だから落ち込まないで。涼月が落ち込んでるの見ると俺まで落ち込んじゃう。

 

「もっと頑張らないと。もっと頼られる様にならないと…」

 

顔を俯かせて何か言ってる。アカン、ラブリーマイエンジェル涼月を悲しませたらアカン。

 

「涼月は俺にとって(この鎮守府唯一の癒しだから)大切な存在だ」

 

「て、提督…本当ですか?」

 

「本当だ。信じてくれ」

 

「提督…」

 

これで良し。涙目だけど笑顔になってくれた。癒される…ッッッ!!!?この感じは!!!!

 

「(<⚫>)(<⚫>)」

 

「 」

談話室の出入口に(瑞鶴)が居た。まだ碌に動けないはずじゃ…。

 

「残念だったね、もう動けるわ」

 

心を読まないでください。

 

「酷いなぁ、提督さん。最近お見舞いに来てくれない。私を放置するだけでなく他の女の子と楽しそうにお喋りしてるし…提督さぁん…ダメじゃなぁい…提督さぁん…妻を放置して浮気しちゃあ…ダメじゃないかぁぁぁ…」

 

俺は未婚だ。というかお前(瑞鶴)と結婚する気なんて無いです。つーかゾンビみたいに足を引きずりながらこっちに来んな。安静にしてろ。んでもって部屋(医務室)から出てくんな。

 

「そんな…既婚者だったのですか!?」

 

「そうよぉ~?」

 

(涼月)は何を言っているんだ?あとお前(瑞鶴)は黙ってろ」

涼月、俺は結婚してないよ。バカ(瑞鶴)が妄言吐いてるだけだから気にしなくていいぞ。

 

「…いえ、例え既婚者でも…そう、略奪してしまえばいいんです」

 

涼月~、何か物騒な事言ってるぞ~。いつもの癒しキャラはどこ行ったの。

 

「涼月、俺は結婚なんかしていない。未婚だぞ」

 

「略奪婚…夜逃げ…二人の愛の逃避行…うふっ…うふふっ…」

 

「 」

俺は何も聞いていない。聞き間違いだ。きっとアレだ、モルダー的疲れからか幻聴を聞いたんだよ、うん。

 

「提督、2人で駆け落ちしましょう!」

 

「うん、落ち着いて涼月」

聞き間違いじゃなかった。お願いだからアイツ(瑞鶴)みたいにならないで。瞳をキラキラさせながら「私、いい事言いました!」みたいな顔しないで。可愛いけど。

 

「おぉっとぉ、逃がさないわよォ…」

 

オメー(瑞鶴)は部屋に戻って寝てろ。

それから涼月の誤解を解く事にしたが、アホ(瑞鶴)が何度も暴走したせいで時間がかかってしまった。頼む、涼月。唯一の癒しが無くなったら俺の胃にオゾンホール並の穴が開く。

 

 

───────

────

 

 

side 瑞鶴

 

 

「酒飲ませて酔わせて押し倒して【ピーーー】するしかないね」

 

「でも酔うと【ピーー】が【ピーー】って言うじゃない」

 

「媚薬を使えばいいんだよ」

 

「その手があったかぁ」

談話室から(提督さん)に首根っこを掴まれて引き摺られ、医務室のベッドに叩き込まれて渋々横になっていると、川内がお見舞いに来てくれた。こいつとは養成所からの付き合いで、同じ所(第8492離島鎮守府)で共に過ごしてきた親友(相棒)だ。

さっき食堂で涼月が(提督さん)に迫っている事を話すと色々アドバイスしてくれた。

 

「そうそう、またいい物が手に入ったんだ」

 

「なになに?」

川内が言う【いい物】は本当にいい物ばかりだ。盗聴器。ピッキングツール。スニーキングスーツ。etc。おかげで提督フォルダ(盗聴・盗撮した彼の写真や動画)が潤っている。

 

「じゃーん!小型カメラ~」(大○のぶ代声)

 

「ちっさ!」

 

「小指の爪に乗っかるほどの小型カメラ。自分の服に取り付けても良し。部屋に仕掛けるも良し。防水・防塵仕様。更に剛性も折り紙付き。最大連続稼働72時間。安心と信頼の変態印…じゃなかった、明石印の発明品だよ」

 

「言い値で買おう(迫真」

 

「5万円で」

 

「買った(即答」

うふふ…早速(提督さん)の部屋に取り付けよう。

 

「さて、そろそろ行くね。おやすみ」

 

「色々ありがとね。おやすみ」

彼女(川内)が退室するのを見送ると、部屋は静寂に包まれる。

あの時の事(• • • • •)を思い出してしまうから、(瑞稀)は静寂が大嫌いだ。急いで彼の服に仕掛けた盗聴器を起動させる。起動するのと同時に彼の声が私の鼓膜に響いた。

 

<私の事、どれくらい好きか教えて!

<…いっぱいちゅき

 

『はははっ、声優豪華過ぎだろ』

 

(嗚呼…落ち着く…)

盗聴器越しだけど、彼の声を聴くと耳元で囁いてもらっている様な錯覚に陥り、幸福感に包まれる。あはっ♪

 

<ゼロパーセント!ゼロパーセント!ズゥエ↑ルォ→プワァ↑スェン↓トゥオッッ!!!↑

 

…チッ。テレビの音が邪魔で彼の声が聴こえないじゃない。ぶっ壊したい。…ダメよ、そんな事したら彼が悲しむ。彼を悲しませたり、苦しめたり、怒らせたりするのは絶対ダメ。彼は幸せでなくちゃ。

 

「…絶対、幸せで居てくれなきゃダメ」

その為ならこの身を。この命を。私の全てを捧げてもいい。

 

「…ここ(第603鎮守府)に居る奴ら(艦娘)全員消したいなぁ」

けれど、それをやってしまったら確実に彼に嫌われてしまう。今度こそ彼に捨てられてしまう。だから我慢しなきゃ。

 

『…最近溜まってきたなぁ。そろそろ発散するか』

 

「ッッッ!!!???」

今、溜まってるって言ったわね!?発散するって言ったわね!?寝てる場合じゃない!

盗聴器を仕舞ってカメラとピッキングツールを持って…瑞鶴(瑞稀)出撃(夜這いを仕掛けるわ)よ!!!

けど、身体が上手く動かないからゾンビの様に足を引き摺りながらの移動になる。廊下は暗く、月明かりを頼りに移動する。今度川内から暗視ゴーグル無いか聞こ。

 

………。

 

「…ハァ…ハァ…ハァ…」

数分かけて彼の部屋の前に辿り着いた。待っててね、今私が楽にしてあげるから。

 

「ヘヘッ…エヘヘッ…エヘヘヘヘ…ウヘヘヘヘ…」カチャッ…

 

『…おい、瑞稀(瑞鶴)。何してんだ?』

 

「貴方と夜戦するためよ」カッチャン…カチカチ…

これから私とナニするんだよ?私が相手になってあげるわ。

 

『空母は一部を除いて夜戦出来ないぞ?というかさっさと部屋に戻って寝ろ』

 

「え、私と寝ろ?」カチャカチャ…

 

『言ってねーよアホ!いいから、さっさと部屋(医務室)に帰れ』

 

「さっさと部屋に入れ?分かった!急いで開けるね!!」ガキャッ!ガガガガガッ!!!

 

『ダァホ!耳クソ詰まってんのか!』

 

「それじゃ、耳掃除して。膝枕で!」ゴギャギャギャギャ!!!ギャリギャリギャリ!!!

 

『聞こえてんじゃねーか!いい加減にしろ!』

 

「開いた~!」ガチャン

ドアノブを捻って…突撃ィィィ!!!

 

「…何で来た」

 

「溜まってるから発散する!って言ってたから手伝いに来たの」

 

「何故それを…まさか、盗聴器!?」

 

「うふふふふ…手伝ってあげるね?」

 

「無視ですか…なら、手伝ってくれ」

 

「…えっ?」

今、ナンテイッタノ?テツダッテクレ?今まで迫っても断られてきたのに。そんな…嬉しい…精一杯、優しくしてあげるね♪

 

「1人で見るより誰かと見た方が面白いだろうからな。んじゃ、再生すんぞ」

 

あ、アレ?リモコン弄って何を…。

 

<(ピロロロロロ…アイガッタビリィー)

 

「ガキの頃、よく一緒に俺ん家で見たよなぁ、仮○ライダー」

 

「……」

 

<宝生永夢ゥ! 何故君が適合手術を受けず(ry

 

「これ、面白いぜ」

 

「……」

 

<何故ガシャットを(ry

 

「この顔芸野郎(檀○斗)が特に面白くて、いつ見ても笑っちまう」

 

「……」

 

<何故変身後に頭が痛むのくわァ! (それ以上言うな!)

 

「顔だけじゃなくて声も演技もおもしれぇんだぜ?」

 

「……」

 

<ワイワイワーイ その答えはただ一つ… (やめろー!)

 

「歴代ライダー達と比べると変身後の外見がアレだけど」

 

「……」

 

<アハァー…♡

<宝生永夢ゥ!君が世界で初(ry

 

「ストーリーが秀逸で見ていて飽きない」

 

「……」

 

<(ターニッォン)アーハハハハハハハハハアーハハハハ(ソウトウエキサーイエキサーイ)ハハハハハ!!!

 

「ぶっ!ははははっ!!!」

 

「……」

 

「あーおもしれぇ。さて、次話を…」

「って、おいコラ!リモコン掴んで何を…投げるな!」

「どうしたんだよ………あの、どうされました、瑞稀(瑞鶴)…さん?」

「瑞稀さん?瑞稀さーん…ちょ、待て、無表情!無表情だそお前!無言で来るな!やめ!アッー!!」

 

 

side 瑞鶴 out

 

 

───────

────

 

 

side 提督

 

 

翌朝。

 

─執務室─

 

「この鎮守府にはショットガンが必要だ」

 

「何と戦う気よ」

 

ゾンビ(瑞鶴)だ」

 

「黄色い救急車呼びましょうか?」

 

「俺はマトモだ」

足柄の奴、黄色い救急車知ってるのか。意外だ。

 

「そう言う人ほどマトモじゃないわ。もしかして昨晩叫んでた事と関係あるの?」

 

バイオハザード(瑞鶴襲撃事件)が発生した」

 

「救急車呼ぶわね」

 

やめろ、受話器を取るな。119番押そうとするな。

 

「…瑞鶴(瑞稀)が部屋に来た」

 

「そしてケツドラムされた、と」

 

「されてねぇ!」

というか、した。ゾンビの様な動きで迫られ、押し倒され身動きが取れなくなったから、最終手段でアイツのケツを思い切り引っぱたいてやった。いいか、やりたくてやったんじゃないぞ。そしたら…なんか…その…色っぽい声出して悶えだしたから急いで逃げた。

その後、執務室内にある仮眠室に逃げ込んだ。幸い奴は追って来なかったが、いつピッキングされるか分からない恐怖で一睡も出来なかった。

 

「瑞鶴のお尻、柔らかかった?」

 

「どっちかって言うと引き締まっ…んんっ!!」

危ねぇ、余計な事言いそうになった。

 

「今朝、瑞鶴本人が嬉しそうに言ってたわよ?提督さんにお尻触られちゃった~♪って」

 

あンのヤローーー!!!

 

「あなたは欲に任せてそういう事する様な人じゃないと皆知ってるから、セクハラ扱いしていないわ。安心して?」

 

「…そうか」

 

「あと、提督がようやく瑞鶴と致したと盛り上がってたわよ?」

 

盛り上がるな!致してねぇ!

ちくしょう。面倒な事になる前に誤解を解かなきゃならん。

というか、何でアイツはキレたんだ?それに何故(録画したアニメやドラマが)溜まってるから発散(視聴)する、って言ったのを聴いて発情したんだ?わけがわからないよ。とりあえず今度の休みに盗聴器発見器買いに出かけよう。あと妖精さんに頼んでドアチェーン付けてもらおう。

 

 

side 提督 out

 

───────

────

 

Another side

 

「そんな…」

提督が、瑞鶴さんと致した…?嘘です。そんなの、嘘です!

 

「こうなったら…」

以前夕張さんが悪ふざけで作った睡眠スプレーを使いましょう。

 

「うふっ…うふふっ…」

 

 

Another side out

 

───────

────

 

side 提督

 

 

「…ったく、あいつら」

執務を終え夕食を摂る際、誤解を解こうとしたが誰も耳を傾けてくれなかった。最終的に瑞鶴が説明してくれたお陰で解く事は出来たが物凄く疲れた。

 

「そういや涼月が居なかったな」

料理当番の早霜が部屋に行って声をかけたが、具合が悪いから部屋で休むと言われたらしい。様子を見に行くか。

 

 

……。

 

 

「おーい、涼月?俺だ、提督だ」

ドアをノックし声をかけると、すぐに反応があった。

 

「少々お待ちください」

 

そしてドアが開かれた。

 

「具合が悪いって聞いたから、様子を見に来たんだ。大丈夫か?」

無言で顔を俯かせている。あまり長話はしない方が良さそうだな。

 

「あの、提督…お話したい事が…」

 

「涼月の具合が悪そうだから、あまり長くは付き合わないぞ。それでいいなら聞こう」

 

「…ありがとうございます」

 

うーん。目を合わせてくれない。余程辛いのか?

 

「…ごめんなさい!」

 

「ッッ!!」

部屋に入ったと同時に涼月が顔に何か吹きかけてきた来た!いきなり何を…何だ、急に…眠……

 

……。

 

…………。

 

………………。

 

「…うぅ…」

な…んだ…頭…ガンガン…する…

 

「あ、お目覚めですか?」

 

涼月!?って、オイオイオイ。手足縛られてるよ。昔アイツ(瑞鶴と付き合っていた時)によくやられたなぁ…じゃない!嘘だろ。涼月がこんな事するなんて。

 

 

「ごめんなさい、提督。涼月をお許しください」

 

うん。許す。許すよ涼月。だから今すぐ「これはドッキリです♪」って言ってくれ。そろそろ看板持ってスタンバイしてる秋雲が飛び出すタイミングを伺っている筈だ。もういいだろ。秋雲は大変我慢弱い奴だ。ブシドーさんもビックリするくらいにな。だから言ってくれドッキリだと!

 

「もう、我慢するのをやめます。自分に素直になります」

 

嘘だよね…嘘だと言ってよ涼月ィ!

 

「拙いですが、精一杯ご奉仕させて頂きますね♪」

 

何でだよ。信じていたのに。

 

「あぁん、もう、暴れないでください」

 

暴れなきゃ色々不味いんだよ!憲兵さん案件になっちまうよ!

 

「暴れないで…暴れないで…貴方の事が、好きだったんです!」

 

「やめろ!」

マズいですよ!色々と!

 

「嫌です♪」

 

「どうして…」

 

「どうして、ですか?それは瑞鶴さんに負けたくないからです」

 

「……」

 

「昨晩、瑞鶴さんと致したと聞いて、負けたくないから…」

 

「え?してないけど?」

 

「…え?で、でも、その、おし…臀部(お尻)に触れたって」

 

「拘束されたから逃げる為に引っぱたいたんだ」

 

「……」

 

口みたいな栗(ポカーンと)してる…じゃない、可愛い。

…ん?何の音だ?

……ッッッ!!!や、(瑞鶴)が…来た!

ゆっくりと開くドア。顔を俯かせたままゾンビの様に歩いてくる。そのまま俺の所…ではなく、涼月の方へ向かっていく。何をする気だ?

 

「ヒッ!」

 

「……」

 

ドアを背にしてたから、涼月はゾンビ(瑞鶴)に気付くのが遅れた。もう遅い。逃げられない。

ゾンビ(瑞鶴)は左腕で涼月の首を巻き込むように掴み、 涼月の左腕を自分の首に巻きつけた。 ってオイ。まさか、アイツ、あれをやる気じゃ…。

そして自分の右手を相手の股下に差し入れ、涼月の体を垂直になるように持ち上げ…

 

「えっ、何を…」

 

戸惑う涼月。骨は拾ってあげよう。アレは…あの技は…

 

「一つ、私は(提督さん)に盗聴器を仕掛けた。二つ、(提督さん)の部屋に監視カメラを無断で設置した。三つ、入浴中に(提督さん)の使用済パンツを盗んだ。」

 

いきなり何を言い出すんだ、コイツ(ゾンビ)は。

 

「…私は自分の(欲望)を数えた」

 

あっ、決め台詞言いたかったのね。コイツWがライダーシリーズの中で一番好きって言ってたな。

 

「さぁ、お前の罪を数えろ」

 

持ち上げた涼月の頭を畳へ、叩き付けた。

決まったァ~!ゾンビ(瑞鶴)選手の十八番(得意技)、ノーザンライト・ボム!涼月選手、一撃でノックアウト!!昔よく喰らったなぁ…っておい、ゾンビ(瑞鶴)?俺の首に左腕巻き付けて何を…イヤイヤイヤ、待ってくれ話を聞いてくれ俺は無実だ無言で右手を股に入れるな…オイさり気なく揉むなバカ野郎。じゃない待ってお願いだから待って!!!

 

「いかなる理由があろうと、ギルティ」

 

「何でだよ…ふざけるな!ふざけるな!!バカヤローーーー!!!!」

 

「だらっしゃあああああああい!!!」

 

なんでこんな目に遭わなきゃならないんですか。救いはないんですか…。

直後、頭に強烈な衝撃が走って視界が暗転した。

 

side 提督 out

 

───────

────




次回予告


この彗星一二型甲凄いよォ!流石、彗星の強化改良機ィ!…忘れてください。全ては徹夜明けテンションのせいなんです。
修理?いいわよ、夕張さんにまっかせて!え?今じゃなくていいから休めって?うーん…そうね、このまま続けても効率悪くなりそうだし、シャワー浴びてちょっと仮眠取るね。


第5話・病まない雨は無い


「やっと僕に興味を持ってくれたね。ずっと待っていたんだよ?」
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