追跡鶴   作:EMS-10

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第6話・戦闘狂

Another side

 

 

─10年前─

 

 

 

船で移動中、深海棲艦に襲われた。

安全と言われている海域なのに。

鯨のような化け物が見えた。

そして、船が撃たれた。

あちこちから悲鳴が聞こえる。

『死にたくない』『助けて』『痛い』『苦しい』

けれど、すぐに聞こえなくなる。

 

ハッ…ハッ…ッ…ハッ…

 

爆発音。

銃声。

怒号。

悲鳴。

私のすぐそこで聴こえる。

近くで聴いてしまったからか、聴力が落ちてしまった。

 

ッ…ハッ…

 

どれだけの時間が過ぎたのだろう。

まともに呼吸ができない。

それでも、酸素を求め呼吸を行う。

 

ハッ…ハッ…ハッ…

 

何故、私がこんな目に遭わなければならないの?

ふざけるな。

普通に過ごす事すら許されないの?

 

何故?何故?何故?

何故?何故?何故?

何故?何故?何故?

何故?何故?何故?

 

何故だッ!

ふざけるなッ!

私が何をしたッ!

 

…………。

 

気が付くと私は綺麗なベッドに寝かされていた。

 

…………。

 

いつの間にか、私の周りに人が居た。

全員、スーツを着ていた。

…海軍?保護?

…遅すぎる。

…お父さんと母さんは、もう居ない。何処にも居ない。

…私を庇って死んでしまった。

…何?艦娘?私が?

…深海棲艦を倒すとお金が貰える?

…ふぅん、面白そうじゃない。

…適性検査、受けてあげる。

…へぇ、私に適性あったんだ。

…これ、なんて読むの?

…ながりょうがた…ながらがた?けい、じゅん?ようかん、よんばんかん…ゆ…りょう…?…ゆら…?

 

 

Another side out

 

───────

────

 

 

side 提督

 

 

「翔鶴型航空母艦一番艦、翔鶴です。本日付で第603鎮守府所属となりました。よろしくお願いします!」

 

「こちらこそ、よろしく」

やって来ました、白い悪魔(翔鶴)。前回は鬼の様な形相でここ(カチコミ)に来たが、今回は申し訳なさそうな表情をしている。いつまでも引き摺られても困るからな。仕方ない、やるか。

 

「そういえば、お礼を言うのがまだだったな。」

 

「お礼…?」

 

怪訝そうな顔してるけど、構わず続けよう。

 

「先日、当鎮守府(第603鎮守府)が深海棲艦の奇襲を受けた際、真っ先に救援に駆けつけてくれた。お陰で被害が拡大せず、轟沈者を出さずに済んだ。改めてお礼を言うよ。ありがとう」

俺が言いたい事を理解したのか、苦笑いしてるよ。これでいい。

 

「秋雲、翔鶴を連れて鎮守府の案内をしてくれ」

事前に秋雲から「翔鶴さんとお話してしこりを解消したい」と頼まれたから、案内を頼む事にした。

 

「分かったよ~。あ、自己紹介まだだった。陽炎型駆逐艦の十九番艦、秋雲だよ。よろしくね、翔鶴さん」

 

「え、えぇ、よろしくお願いします」

 

あ~、爆撃して怪我負わせたからか、ぎこちないな。

 

「案内終わったら、自由に過ごしてくれて構わない」

 

「えっ、でも書類結構あるけど…」

 

「大丈夫だ、問題ない」

ここは俺に任せて、お前達は休め。

 

「けど…」

 

「はいはい、大丈夫だから出て行った出て行った」

秋雲と翔鶴を執務室から追い出す。…ああは言ったが、書類がかなり多い。だがやるっきゃない。

 

 

……。

 

「…徹夜コースだな」

数時間書類と睨めっこしたが、半分も終わっていない。瑞鶴が来る前と比べて書類が増えたせいもあるが、元から書類仕事が遅いからまだまだ時間がかかりそうだ。この仕事して数年経つのにだらしねぇな。ん?ノックされた。

 

『翔鶴です。提督にお話があって参りました』

 

翔鶴?話したい事って何だろう。入室させよう。

 

「どうぞ」

 

「失礼します」

 

随分と真剣な顔してる。この顔をしている時はふざけられない。

 

「どうした?」

 

「先日の件についてお話したい事が」

 

「君にはあっても俺には無いぞ」

 

「でも!」

 

「あーもう、終わった事いつまでもほじくり返すなよ。やった事を反省しているんだろ?なら、もういい。」

 

「で、でも…」

 

「俺が気にするな、って言っているんだから気にするな。いつまでも抱えて悩み苦しむ。あんた(静流)の昔っからの悪い癖だ」

 

「うぅ…」

 

「抱えて辛そうにしているのを見ると、気が滅入っちまう。本当に悪いと思うなら、いつも通りのあんたでいてくれ」

 

「いつも通りの、私…」

 

「妹大好き、妹にちょっかい出す奴は相手の年齢性別問わず戦うバイオレンス(シスコン)お姉ちゃんだろ?」

 

「何よ、それ」

 

あ、やっと笑ってくれた。この笑顔に見惚れた時期があったんだよなぁ。すぐに絶望する事になったけど。

 

 

「話は終わりか?」

 

「…はい」

 

「ん。それじゃ、今日は特にやる事ないから自由にしてくれ」

さて、再び書類を片付けますか。

 

「…書類、まだ残っているわね」

 

「あぁ。けど、すぐに終わる」

 

「私が来た時に見たけど、少ししか終わってないじゃない」

 

バレテーラ。

 

「いや、この程度なら大丈夫」

 

「手伝うわ」

 

「けど…」

 

「お姉ちゃんに甘えてくれてもいいのよ?」

 

妖艶な笑みを浮かべるな。というかお前、甘えさせてくれた事無かっただろ。けど、手伝うって言ってくれたんだ、甘えるか。

 

「…頼む」

 

「はい♪」

 

…しっかし、いつ見ても美人だよな。物腰も声も柔らかいから見た目以上に歳上に見える。俺や瑞稀(瑞鶴)と歳は1つしか違わないのに。高校じゃ大人びていたから成人していると勘違いされてたっけ。おまけに髪の色が白いからおばあちゃ…

 

「私はおばあちゃんじゃないわ。うふふふ…」

 

「 」

この笑顔は攻撃的な奴だ。何故俺の考えている事が分かるんだ?時雨に単純だから考えてる事が分かる、って言われたけど。

 

「あなたは単純だから、手に取る様に考えている事が分かるわよ?」

 

オンナノコッテコワイ。そんなに俺って単純か?

 

「裏表が殆ど無いから簡単に分かるわ」

 

割と真面目に女性という存在が怖くなってきた。

 

 

………。

 

「確認して」

 

「お、おう…」

嘘だろ。10分足らずで終わったぞ。渡された書類はどれも完璧。ミスは1つも無く字も綺麗。俺、いらない子だな。提督辞めようかな。

 

「辞めたら地獄の果まで追いかけて首にワイヤー巻き付けて引き摺ってでも連れ戻すわよ」

 

瞳孔かっ広げて一息に言わないで。あとハイライトさん仕事して。なんで俺に関わる女ってハイライトさんが簡単に職務放棄するのでしょう?反抗期ですか?ストライキですか?ハイライトってのはな、人をまともに見せる重要な役割があるんだぞ!ちゃんと給料払うからお仕事してください。つーかワイヤー首に巻いて引き摺られたら首と胴体が離婚しちゃう。せめてロープにして。

 

「ワイヤーだと、引き摺ってる最中にマミってしまうわね。ロープにしましょうか?そうすれば苦しみ藻掻くあなたを見れるし」

 

やめてください。あとマミるを何故知っている!?

 

「あなたは次にこう考える。瑞稀(瑞鶴)に教えられたのか?ま○マギを見たのか?と」

 

瑞稀(瑞鶴)に教えられたのか?ま○マギを見たのか?…ハッ!

 

「ふふっ♪」

 

「 」

…あ、胃が痛くなってきた。

 

「はい、太○胃散。いい薬です♪」

 

…そろそろ本気で泣いていいですか?

 

 

───────

 

─食堂─

 

「あ、あの、司令官、お粥です」

 

「…ア゛ア゛」

 

「白湯だね、待ってて提督」

 

「…ア゛ア゛」

呻いているだけなのに、早霜と時雨が俺の求めるものを用意してくれる。ありがてぇ。けど怖いよ君ら。心読まないで。

 

「本当に大丈夫?」

 

「…有給使って静かな所でキャンプしたい」

山梨の某所に行ってゆるーくキャンプしたい。

 

「お供します!」

 

「ゴフッ!」

涼月ィ!テーブルの下から出てくるな!いつから居た!あ、ちょっと血が出た。

 

「提督が食堂に来られた時からです♪」

 

誰か危険物処理班呼んで。さらっと心読まないで?

 

「時雨さん」

 

「うん」

 

「何をするんですか!離して、離して!提督!涼月が、涼月がお護りします!いつでも、いつまでも!何処でも!」

 

いえ、結構です。

 

「心配しないでください。私は。涼月は、必ず、帰ります!提督の元に!」

 

土に還ってください。さて、危険物(涼月)の処理は2人(時雨と早霜)に任せてお粥を食べるか。

 

「随分賑やかですね」

 

怒りの日(Dies irae)が脳内再生される。神は俺の胃を完膚無きまでに破壊したいのですか?ルサルカ可愛い。おっと、謎の電波を受信したぞ。

 

「ゆ…由良…」

 

「突然お声掛けした事をお許しください、提督」

 

「き、気にしなくていいぞ」

我が鎮守府最強の艦娘(戦闘狂)様のご登場だァ!もうダメだ、おしまいだぁ…。

 

「相席してもよろしいでしょうか?」

 

「ど、どうぞ」

 

「ありがとうございます。失礼しますね」

 

優雅に一礼すると静かに席に着いた。

やべーよやべーよ。何話せばいいんだ?瑞鶴が来てから約1ヶ月、任務の指示を与える時以外まともに会話してない。

由良は唯一オタクに染まっていない。決してオタク文化を嫌ってる訳では無い。むしろ理解を示しているがネタを振っても首を傾げるだけで会話を繋げられない。くそっ、コミュ障でボキャ貧なのがここで響くとは。

 

「提督さん、最近お疲れの様ですが大丈夫ですか?何かお困りの事が御座いましたら、なんなりとお申し付け下さい」

 

「あぁ、うん。最近賑やかになったから、少し忙しくてね。でも大丈夫だ」

約2名(瑞鶴と涼月)のせいで胃に深刻なダメージを負っているが、それ以外は平和だ。…平和だよね?

 

「…そういや、川内とよく演習をしているが、身体は大丈夫か?」

鍛錬の時以外にも個人的に川内とよく演習をしていると足柄から聞いている。川内の練度は165。対して由良の練度は98。

 

「大丈夫ですよ。とても殺り甲斐のある相手です♪」

 

うわーお、すっげぇイイ笑顔。あと字が違う気がします。物騒な気がします

 

「腕の関節を外した時の声がとても素晴らしいです♪」

 

「 」

 

「それに、顎の関節が柔らかいから簡単に単装砲の砲身を口に捩じ込む事が出来て満足です♪」

 

キミハナニヲイッテイルノ?格上相手をねじ伏せるとか、どんだけだよ!こんなの絶対おかしいよ!(わけがわからないよ)

 

「流石はあそこ(第8492離島鎮守府)の最高練度艦娘。動きが洗練されています。私も見習わなくちゃ♪」

 

「…ガハッ」

 

「提督さん?…提督さん、吐血しちゃった。医務室にお運びしなくちゃ」

 

 

………。

 

 

「…という夢を見たんだ」

 

「ところがどっこい、現実よ」

 

「…分かってるよ」

逃避くらいさせてくれ。

 

「ふざけ抜きだけど、本当に大丈夫?」

 

「…あんまり大丈夫じゃない」

胃潰瘍になったのか、少し吐血しちまった。ストレス耐性ある方だと思ってたんだが。

 

「俺よりお前の方こそ大丈夫なのかよ」

 

「私はもう大丈夫。明日から復帰出来るわ」

 

「そうか」

隣のベッドでうつ伏せのまま顔だけこっちに向けて瑞鶴が話しかけてくる。

あの時、許容範囲を超える恐怖(由良劇場)を味わったせいか吐血、気絶してしまった。由良が医務室に運んでくれたのか、ベッドに寝ていた。

 

「…ねぇ、準」

 

「…なんだ?」

提督ではなく名前で呼んできたって事は、プライベートな話だな。あんまり変な事聞かないでくれよ。洒落抜きで胃が痛いんだ。

 

「暫く提督業休んだら?」

 

「なんでだよ」

真面目な顔でそんな事言うとは。よほど心配してくれてる様だ。

 

「シフト表確認したんだけど、半年以上休み無く働き続けてるじゃん」

 

「ここは仕事が少ないから、半日休みたいな日が続いている。だから大丈夫だ」

書類仕事は俺の処理速度が遅いから自業自得。

 

「ダメだよ!」

 

「うおっ!」

いきなり大声出すなよ。

 

「…大声出してごめん。でも、そんなんじゃ休んだ事にならないよ。しっかり休むべきよ」

 

「そうは言ってもな。皆が頑張ってるのに俺が休んでたんじゃ申し訳ない気が」

 

「何言ってるのよ。貴方は提督。重役よ、重役。私達を顎で使って好きな時に好きな様に休んでいい存在よ?」

 

「そんなのは御免だね。お前らは文字通り死と常に隣合わせで戦っている。それなのに俺は椅子に座ってふんぞり返っているだけ。そして書類の処理が遅い無能な木偶の坊だ」

 

「そんな事ないッッ!!!」

 

「ッ!?」

 

「貴方は無能なんかじゃない!貴方は決して無能じゃない!

他の誰がなんと言おうが有能だと答えてやる!

他の奴らが出来ない事を、貴方は出来る!

他人の評価を決して鵜呑みにしない!

自分で見聞きするまで決して評価しない!

自分で接するまで決してその人の価値を決めつけない!

自分の価値観を決して押し付けてこない!

相手の価値観を決して頭ごなしに否定しない!」

 

「み、瑞稀?」

 

「そんな貴方に、私は惹かれた!

いつも否定されてきた私を!

いつも静流姉と比較されてきた私を!

周りの言葉を気にせず、私を見てくれた!

周りから無視されていた私という存在を認めてくれた!

周りから嫌がらせを受けても、私と接してくれた!

周りに何を言われても傍に居てくれた!」

 

「瑞稀…」

 

「…でも、私は…私は…貴方を否定してしまった。

嬉しかったのに。我儘を沢山言ってしまった。素直になれなかった。だから…だから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私を(ワタシヲ)置いていったんだよね…(ウラギッタンダ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!?」

一瞬。一瞬だったが、

 

 

 

 

 

 

瑞稀(瑞鶴)の瞳の色が、紅くなった。

 

 

 

 

「わタし…は…ワた…シ…ハ…」

 

「っ!お、おいっ!」

いきなり倒れた。慌てて抱きとめたが、バランスを崩してベッドから転がり落ちてしまった。

 

「いったい、どうちしまったんだよ…」

とりあえず、ベッドに運ぶか。

 

「…俺は…」

なんて事をしてしまったんだ。

あの頃の俺は考えが今以上にガキだった。

後先考えず、軽率な行動を取ってしまった。

後悔しても遅い。

 

「…覚悟、決めるしかないな」

抱き締めている瑞稀は、さっきまでの鬼気迫る様な表情は無い。安らかな寝顔だ。

 

「…もう少し。もう少しだけ、待ってくれ。瑞稀」

必ず、答えを出す。

 

(それにしても、さっきのは何だったんだ?)

一瞬だけ瞳の色が紅くなった。泣いていたから、なんて理由じゃ説明出来ない。

 

(琥珀色の瞳が、真紅になるなんて…)

艦娘になった影響なのか?少し調べよう。

 

「…今日くらいは、一緒に寝てやるよ」

 

 

side 提督 out

 

 

───────

────

 

side ?????

 

…アーア、モウ少シダッタノニ。

マァ、イイヤ。時間ナラ、マダマダ余裕ガアル。

 

「…アハッ♪」

早ク、コッチニ来ナイカナァ。

 

 

side ????? out

 

 

───────

────

 

 

 

side 提督

 

─演習海域─

 

「これより、対空射撃訓練を行う。内容は翔鶴型航空母艦一番艦、翔鶴が発艦させた航空機を迎撃し、護衛目標を護り切ること。ダメージは今俺が持っている端末に表示される。情報を随時無線で連絡するから、聴き逃さないようにしろ。準備が出来次第、各員配置に付き艤装の安全装置を解除しろ!」

 

「「「「「「了解!」」」」」」

 

「……」

集中しろ。今は仕事中だろ。

昨晩の出来事だが、瑞鶴は全く覚えていなかった。

二人一緒に同じベッドで寝ていたからか、ナニをしたと勘違いしたのか顔を真っ赤にしてテンパっていた。

 

『あ、その…私の身体、どう…でしたか…?』

 

しおらしく、モジモジしてたなぁ。可愛かった…じゃない!

誤解を解くのに時間がかかったせいで朝飯食いそびれたんだよなぁ…

 

『あれ?あれ?処○膜ある。どうなってるの!?え?あれっ?』

 

…違和感があったのか、突然目の前で調べだした時は心臓が止まるかと思ったよ。少し…ほんの少しだぞ。…興奮した。

 

「……」

アカン、ムラムラして…ドアホッ!忘れろ!!!

 

(後で様子見に行くか)

瑞鶴には大事をとって、もう一日休むよう命令しておいた。

 

 

───────

────

 

side 由良

 

「……」

まだかなぁ。早く殺りたい。

 

『報告!』

 

『こちら摩耶。準備完了!いつでも行けるぜ!』

『こちら夕張。準備完了しました』

『こちら時雨。準備いいよ』

『こちら早霜。いつでも行けます』

『こちら秋雲。いつでもいいよ~』

『こちら翔鶴。準備整いました』

 

……。

 

『由良、準備は出来たか?』

 

「はい。軽巡、由良。準備完了です」

久々の対空射撃だけど、カンは鈍っていない。

 

「戦場に敗北は無い」

敗北は即ち死を意味する。生きていれば負けることは無い。始めましょう。戦争(私の戦い)を。

 

Aut mors aut victoria(死 か 勝利 か)!」

 

 

………………。

 

 

『摩耶、夕張、秋雲、早霜、大破相当のダメージを確認。至急離脱せよ』

 

『ちっくしょー!』

 

『何あの動き!ファンネルなの!?』

 

『ありゃ、パイロットはアムロだね』

 

『ふふっ…ハイな方のμかしら…』

 

開始数分で4人脱落。護衛対象は無傷。

 

「確かに、いい動きね。だ・け・ど♪」

横須賀のあの人(正規空母)には遠く及ばない。あの程度、あの人ならカロリーメイトを食べながら出来る。

 

「普段はおっとりした人なのに」

戦闘になると人格が変わったのかと錯覚する程に冷酷になる。

 

『うわぁっ!!』

 

『時雨、大破相当のダメージを確認。離脱せよ』

 

『了解。ごめんなさい、由良さん。あとは頼みます』

 

あら、時雨さんもやられちゃったか。あの娘、中々センスがいいから最後まで残ると思っていたんだけど。

 

「まぁ、いいわ」

いつも1人でやってきたから、何の問題もない。

 

 

…………。

 

 

『そ、そんなっ!』

 

あら、もう終わりなの?

 

「どうやら殆ど撃ち落とせたみたい」

由良の艤装は…無傷。護衛対象も…うん、無傷。翔鶴さんは…発艦準備に手こずってるみたい。面倒だからそろそろ終わらせましょう。

 

「残弾は…残り僅か」

なら…

 

「殴りに行かないとね?ねっ?」

艤装出力、全開!

船速、一杯!

 

「ひっ!」

 

あはっ。イイ顔。

 

「改二甲って、装甲を大幅に強化して耐久性が向上してるんでしょ?なら、簡単に壊れないでね?ねっ?」

 

「い、いやっ!」

 

あはっ。アハッ♪

イイ声で鳴いてね?ねっ?

 

 

side 由良 out

 

───────

────




次回予告


最近、暇を潰す方法を探しているんだけど、何かないかな?…これは?ゲーム?「ぎあーず・おぶ・うぉー?」戦争の歯車?へぇ、面白そうなタイトルじゃない。え?カバーアクションしながら銃撃戦をするゲームなの?面白そう♪……あはっ♪いいね、これ。気に入っちゃった。特に銃に付いたチェーンソーで敵を挽肉にするの、とっても楽しいなぁ♪ねぇ秋雲さん、もっと教えて?ね?ねっ?…あれ、なんで怯えているの?何もしないから、もっと由良に教えて?ね?ねっ?


第7話・ゆるいってレベルじゃねーぞ!


「松ぼっくりはよく燃えます。自然の着火剤です。しばし人工的に作られた着火剤に遅れを取りましたが、今や巻き返しの時です」
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