side 提督
─提督私室─
昼。
『悪かった!アタシらが悪かったから開けてくれっ!』
『提督さん、本当にごめんなさい。由良達の事を、許してください何でもしますから』
『ん?今、何でもするって』
『ふざけてる場合か足柄ァ!』
『こうすれば提督がいつもの調子に戻ると思ったのよ…』
医務室の外から裏切り者達の声が聞こえるが、無視。
俺は忘れんぞ。結託して縛り上げて
俺は今日から引きこもりになる。俺はニートだ。提督じゃない。艦娘なんて知らない。
『…まだ、引きこもっているのかしら?』
『あ、翔鶴さん…』
翔鶴が来たか。厄介だな。昔、俺が翔鶴に追いかけられ自分の部屋に逃げ込み引きこもっていると、無理矢理ドアを壊して引き摺り出されたっけ。まさか、俺をここから連れ出すつもりじゃないよな?ふっ。甘く見るなよ。今の俺は昔の俺じゃない。お前が何をしようと俺はここから出る事は…
『提督?執務が滞ってしまいます。早く出てきてください。さもないと…』
出る事は…
『チ○コもいじゃいますよ♪』
「今出ます!すぐ出ます!」
瑞鶴と付き合ってた頃、何度ももがれそうになった。奴なら本当にやりかねん。
こうして、俺の引きこもり生活は僅か数時間で幕を閉じたのだった。というか翔鶴!女の子がチ○コもぐとか言っちゃダメでしょ!
───────
─執務室─
「気持ちは分かるけど、だからって職務放棄してはダメよ」
「あーい」
渋々。本当に渋々だぞ。仕事をする事にした。け、決して翔鶴の脅しに屈したわけじゃないんだからねっ!勘違いしないでよねっ!
「はい、白湯」
「おぉ、ありがとう」
最近ますます胃潰瘍が悪化してきたから暖かいお茶や、冷たい麦茶を飲むのが辛くなってきた。
「…何度でも聞くけど、本当に大丈夫?」
「んー、この程度、何ともない。それに」
「それに?」
「俺は椅子に座ってふんぞり返ってるだけ。お前達と比べればこんなの辛くない」
先日瑞鶴に言ったが、俺は安全な所で座っているだけ。対して彼女達は命懸けで戦っている。ここは戦闘が少ないが、それでも死が常に付き纏っている。
「そんな事無いわ。あなたが的確な指示を出してくれるから、私達は安心して戦う事が出来る。的確に指示を出せるよう、夜遅くまで戦術書を読んで勉強している。それに、上から色々言われたりしている。私達よりもあなたの方が辛い目に遭っているわ」
「…そうかぁ?」
「そうよ。だから、もっと自分を大切にして」
「…」
なんか、最近優しいな。昔みたいに俺の顔を見ただけで嫌悪感剥き出しにして突っかかって来るかと思っていたんだが。
「なぁ、俺の自惚れかもしれないが、最近妙に俺に対して優しくないか?」
「…昔の私は、今以上に意地っ張りだった。だから、あなたによく突っかかってしまった」
「続けてくれ」
「…最初は
「…」
「だから、あなたに対して暴力を奮ってしまった。何度も。何度も。そうすればいつか、化けの皮が剥がれると思っていたわ」
確かに。こいつは無闇矢鱈に暴力を振るう奴じゃない。接していくうちに分かった。だから、こいつに攻撃されても決して反撃しなかった。
「でも、あなたは妹を。瑞稀を利用する為に接していないと気付いた」
「誰が利用する為に接するかよ。俺はアイツと一緒に居たいと思ったから接したんだ」
本当は、ずっと一緒に居たかった。けど、あんな事が起きてしまった。あの頃の俺は今以上にガキだったから、逃げ出してしまった。
「…私は、どれだけ自分が傷付いても瑞稀の傍から離れず支え続けるあなたの姿が羨ましかった。私には、そんな事出来なかったから。だから…そんな自分に苛立って、その苛立ちをあなたにぶつけてしまった。私は…最低な女よ…」
そうだったのか…。そういや先日俺を殺そうとしただろ。アレはどんな理由があったんだ。それを聞こうと思ったがやめる事にした。何か理由があるに違いない。こいつが話したくなるまで待とう。
「…信じてくれないかもしれないけど、私、あなたの事、気になっていたのよ?」
「…はい?」
今、こいつはなんて言ったんだ?
「自慢じゃないけど、私、結構モテていたの。よく声をかけられたわ。でも、そいつらは
確かに。こいつは超が付くほどの美人だ。同じ男だからそいつらの気持ちは分かるが理解は出来ない。
「色んな男に声をかけられたけど、あなただけは他の男と違った。私の外見ではなく、私自身を見てくれた」
「普通、外見じゃなくてそいつ自身を知ろうとするもんだろ?」
「それを普通って言えるなんて。やっぱりあなた、変わってるわね」クスッ
「うっせ」
爺ちゃんによく教えられたからな。外見じゃなくてそいつ自身を見ろ!って。物理的に。
「初めてだったのよ。初対面で外見ではなく中身を見ようとしてくれた人は。男は皆、外見しか見ないと思っていた私の価値観を、あなたは壊してくれた。けれど、素直じゃなかった私は、あなたを傷付けてしまった。本当は仲良くしたかったのに。あの頃に戻れるのなら昔の私の頭をカチ割ってやりたいうふふっそうよそうするべきだわもっと素直になっていれば今頃仲良く一緒に過ごせていたかもしれないだけど瑞稀から彼を奪ってしまうわそれはダメだけど私も一緒に居たいそうだ姉妹丼という手があるわあとは瑞稀から許可を貰わなくちゃ…」
あ、あれぇ?何か小声でブツブツ言い出したと思ったら少しずつ。少しずつだけど翔鶴さんのハイライトが消えてってるぞぉ?あれれ~?おかしいぞぉ~?高校生探偵くん、この状況を推理してくれ。
「うふっ♪」
うわーい、ものすっっっげぇ妖艶な笑み浮かべてらぁ。ハッキリ言ってエロい。そろそろこの鎮守府の名前、第603鎮守府じゃなくてヤンデレ量産鎮守府に改名するべきじゃない?あ、そうか、俺が原因か。俺が居なくなれば改名せずに済むしヤンデレが量産されずに済む。よし、そうと決まれば逃げ…
「逃げたら手足をもいで達磨さんにしちゃうかもしれないわ♪」
爺ちゃんに一言。あんたのせいで俺はこんな目に遭っています。ふざけんな!爺ちゃんなんか大っ嫌いだバーカ!
───────
「…ひでぇ目に遭った」
あのあと仕事をしたんだが、翔鶴の仕草が一々エロくて精神的ダメージ受けまくった。唯一の救いは、妖艶なお色気は何故か胃潰瘍にダメージを与えないのか、胃が痛む事が無かった。代わりにムラムラするハメになったが。
「…どうすりゃいいんだよ」
皆俺の性格のお陰で救われた、って言っている。なら、セクハラしまくればいい!そうすりゃ嫌われて平和になる。あたいってば天才ね!そうと決まれば誰かにセクハラしなければ。俺は変態になるぞ、爺ちゃんんんん~!!
「あっ、提督♪」
そう思っていた時期がありました。
「涼月、只今復帰致しました♪」
よし、逃げよう。セクハラ?んなこと涼月にしたら憲兵さんとキャッキャウフフすることになっちゃうよ!駆逐艦は違法!なのです!…いや、待てよ?そうなった方がいいのか?よし、今から俺は男好きになるぞ!憲兵さん達の所へ行く為に、艦娘達にセクハラしまくるぞ!ワハハハハハハ!!!!←錯乱中
「おう、お疲れ様、涼月」
俺は男好き。だから涼月に迫られてもピクリともしないぜ!
「今日も涼月は可愛いなぁ!」
特別サービスだ、頭を撫でてやろう!
「えっ、あの、提督?」
「はっはっは!」
あはははは!
「て、提督? 」
あらま、怯えてる。そろそろやめるか。セクハラってのはなァ!相手が不快だと思った瞬間に成立するんだよ!なら、これ以上する必要は無い!
「あんまり無理はすんなよ」
さぁて、風呂場に行って覗くぞォ!今の俺は誰にも止められない!
「ふははははは!!」
「て、提督が…提督が…お疲れなのでしょうか?」
………。
「脱衣場にドーン!」
さぁて、誰かいないかなぁ!?
「て、提督っ!?」
おっと、第2村人…じゃない。時雨を発見!しかも服を脱ごうとしている。これはチャンスだぞぉぉぉ!!!
「時雨ぇぇぇぇ~!!」
「ひゃいっ!?」
そこそこ色気のある身体。そして何よりもおおおぉぉ~!!
「ナイス、黒下着!」
色っぽい黒下着。パンツ!パンツです!
「えっ、なっ、はぁっ!?」
「クハハハハ!!」
さぁ、次だ!どんどん行くぞォ!身体が軽い。こんな気持ちでセクハラするなんて、初めて。もう、何も怖くない。
「て、提督が…壊れた?」
………。
「ゆっうばっりさぁーん!」
「どぅおわぁ!?」
突撃、隣の夕張さん!今、俺は夕張の工廠へ来ています!んん?あれは!
「この彗星一二型甲凄いよォ!流石彗星の強化改良機ィ!」
「ちょ、提督!?どうしたの!!?」
「クックック…」
まだまだ行くよぉ!AC-マ○チウェイX、起動。
ステンバーイ…ステンバーイ…ステンバーイ…GO!
「ヒャア!我慢出来ねぇ、
「あわわわわ…提督が…」
SP供給はS+!ダッシュS+!セットボーナス?キメラだからねぇよ、んなモン!重量超過無しだから、誰も俺を止められないいいぃぃぃ!!!
…………。
「いあ!いあ!いあ!」
「なんなんだよ提督!どうしちまったんだ!」
摩耶たん可愛い!摩耶たんのおへそぺろぺろしたいお!
「Ураааааааааааааааа!!」
「やっ、やめっ、やめてえええええぇぇぇぇ~!!」
へっへっへ。姉ちゃんイイ声で鳴くじゃねぇかぁ…フヒッ。
…………。
「ぶるああああぁぁぁああああ!!!」
「やめなさい!そんな、デスソース一気飲みなんて馬鹿な真似はやめなさい!」
デスソース飲んでも…ンッツゥブゥレンナァイッ。
テイトクゥ×デスソースゥ=ブェストゥオムアァァァッチィィイ!!(CV.若○規夫)
「足柄ァ!俺だー!カツカレー作ってくれー!」
「だから落ち着きなさいっ!」
こりゃ、明日あたり尻が大変な事になるな。ははっ!
…………。
「私、提督さん。今あなたのお部屋で物色してるのぉ~!」
「ど、どうしちゃったの提督さん!?いや、準!ホントにどうしたの!?」
おぉう!紐パンだー!瑞鶴ったら、おませなフレンズなんだねっ!
…………。
「発想がデルタ!」
「お、落ち着いて、提督さん!由良が、由良が悪かったからぁ~!」
お前に出来るなら、俺にも出来る!
「瑞雲・ルァアアアアルィアアァァアアアアッッットォオオオオゥゥゥ!!!」(CV.千○繁)
「きゃああああああああああ!!!!」
俺の瑞雲は、天を突く瑞雲ダアアアアアアアア!!!
…………。
「ドーモ、川内=サン。提督=デス。ハイクを詠め」
「鍛錬中いきなり瑞雲ラリアットかましてきといて何言ってんだアンタはあああぁぁぁぁ!!!?」
「イヤーー!!!」
「ドゥエりながら近寄るな!アンタ本当に人間かああああああぁぁぁ!!!」
俺はあと1段階、進化を残しているんだぜ?俺は、進化する
…………。
「ローアンゴォー!!」
「提督がいきなり部屋に来たかと思ったら、スタイリッシュにフィギュアの確認作業を始めた件」
いやっふぅー!最近のフィギュアは精巧だなァ!理世さんの紫ぱんちーはセクスィ~!あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~!!3期お待ちしておりまぁす!
「ダッシュ!(Lv1)」
「おわああああああ!提督が残像残してスタイリッシュ退室したあああ!!」
…………。
「君の視線を釘付けにする。ZUI☆UN!!」
「ど、どうしたのよ急に!」
「今の俺は、阿修羅すらも凌駕する存在だァ!!」
付いてこれるかなァ?翔鶴ゥ!!殺人的な加速だァ!!
「…ゴハッ!」
やべっ、吐血した。あ…頭が…グラグラ…す…る…
「てっ、提督…?準!準ーー!!!」
───────
─医務室─
「……」
どーも、どーもどーも、提督でーす。私は今、医務室に来ていまーす。さて、私はどこに居るでしょうか!
…。
ここー!こっこでーす!正解はこ↑こ↓、ベッドの上で横になっていまーす!さて何で私がこうなっているかと申しますと、
「本当に悪い。アタシが悪かった…悪かったです。もう二度と悪い事しません。口調も丁寧にします。態度を改めます」
「誠に申し訳ございません。由良は…私は…私は…」
「お願いします、提督。僕…私は二度と提督様に迷惑をかけません。ですから…」
「今後二度と巫山戯た態度を取らない事を、私、足柄は誓います」
「涼月は…私は全責任を取って、ここで腹をカッ捌きます」
「死んで償えると思っているの?あと、ここをあんたの血で穢すな」
「瑞鶴、その言い方はあんまりよ。せめて硫酸の中に顔を突っ込ませてあげましょう?」
「あんな提督、初めて見たよ。秋雲さんビックリだ」
「何か辛い事でもありましたか?流石の私でも、心の修理は出来ません…」
「テイトクコワイ…テイトクコワイ…ヤセンコワイ…チノチャンカワイイ…シスターコンプレックス…」
翔鶴に殺人的な加速を見せつけようとしたら、身体の限界が来たのか盛大に吐血、意識を失って倒れたそうだ。現在、皆に物凄い心配されている。約1名、放心状態だぞ…。ちょっと。いや、かなり暴走してしまった。いつもの俺に戻ろう。
「…すまん。なんか、色々耐えられなくなって暴走してしまった。本当にすまん」
それにしても、皆口調や態度が普段と全く違うから新鮮だなぁ。あと翔鶴。さらっと物騒な事言わないで!
「もう大丈夫だ。いつも通りの俺に戻る」
しかし、彼女達は納得しなかったのか、ごねてきた。本当に戻るから。…そういや、早霜が居ないな。何処に居るんだ?まさか、天井に居るとか?ははっ、そんなまさか…
「(<⚫>)(<⚫>)」
「」
天井に伽○子が居た。
…………。
「…ごめんなさい」
「ダイジョーブ、ダイジョーブ、ダイジョーブ博士ネ」
ボクハダイジョーブダヨ。ホントダヨ?テイトク、ウソツカナイ。
「…林檎、摩り下ろしました。食べます?」
「食べる」
「はい、あーん」
「あ、あーん」
スプーンに摩り下ろし林檎を乗っけて差し出してきた。少し恥ずかしいが有難く頂こう。
あの後、一先ず解散する事になったが誰が看病するかで揉めた。そこで妖精さん特製、瑞雲危機一髪で決めた。結果、早霜が勝利し看病してくれている。
「随分と無茶をされた様ですね」
「自分でもどうやって動いたか覚えてない」
トー○ギス並の速度で反復横跳びしたり、ダ○テみたいにスタイリッシュ入退室したり、来○蒼真の様に変態移動したり。その他色々。もう滅茶苦茶じゃねぇか。俺は本当に人間か?艦娘と人間のハーフなんじゃないか?
艦娘だった女性が産んだ子は、人同士で結ばれ産まれた子より身体能力が高かったり頑丈だったりする。俺のお袋と親父は俺が物心つく前から居なかった。今度爺ちゃんに聞いてみるか。お袋は艦娘だったのか、って。
「いってててて…」
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ。胃よりも膝が痛てぇ…」
屈伸キャンセルしまくったからな。慣性あれば高速で空中移動出来たんだが。ブ○ア市街地B…凸祭…おっとイカン、謎の電波を受信しちまった。
「…ふふっ」
「どうした?」
「いえ、懐かしいなって…」
「懐かしい?」
「養成所で…時々、こんな風に…二人きりで、林檎を食べたなぁって…」
「…」
「…ごめんなさいね、変な事言ってしまって」
「…俺は全く気にしてねぇよ」
「…ありがとうございます」
「…あれからもう少しで6年か」
「あっという間でしたね」
「そうだな」
最初は俺を含めて5人だった。それがいつの間にか11人になった。川内は嚮導役として一時的に所属しているだけだから除く。
「ふふっ。司令官の顔、いつ見ても飽きないわ」
「そんなに整った顔じゃない。見るなら他のイケメンを見た方がいいんじゃないか?」
「いいえ、司令官の顔じゃなきゃ、ダメなんです…」
「そうですか。なら、好きなだけ見な。…見るだけでいいのか?」
「ふふっ…ただ、見るだけ…見ているだけで、いいんです…ふふっ…ふふふふふ…」
「…そうか」
「…ふふっ♪」ニコッ
養成所じゃ、早霜の笑い方が不気味だとか気持ち悪いとか言う輩ばかりだった。良く見てみろ。年相応の可愛らしい笑顔じゃないか。そこに気付けないなんて、勿体ない。
「司令官」
「なんだァ?」
「ふふっ、呼んでみただけ、です♪」
全く。可愛らしいなぁ。
「…そろそろ部屋に戻れ。いい時間だぞ」
「分かりました。何かあったら呼んでください。では、おやすみなさい」
「おやすみ」
…さて、電気消して寝るか。
side 提督 out
───────
────
─
次回予告
向こうの鎮守府から新たに設計図が送られて来たみたい。どんな装備なんだろう?…えっと、機動力を大幅に上昇させる装置?あさると…ちゃー…じゃー…良く分からないや。えっと、こっちは…ぶぉ…ヴォるぺ…すこー…ぴお?横文字は難しいや。…あ、夕張さん、その手に持っている緑色の物体は…41型強化手榴弾?とんでもない爆発範囲と火力がある代わりに、自爆しやすい?…あ、僕、ヨウジヲオモイダシター…やっ、やめて!僕は、僕は絶対装備しないからね!
第9話・境界を破壊せよ!
「アタシの実力を。新装備の性能を試してやる!さぁ、カーニバルだぜっ!」