追跡鶴   作:EMS-10

29 / 214
第9話・境界を破壊せよ!

 

 

side 瑞鶴

 

─執務室─

 

昼。

 

「この書類はこっち。これはあっち…資材の消費を纏めた書類は…よし、終わり」

皆さんこんにちは。メインヒロインの瑞鶴です。最近出番の少ない(ここ、重要)メインヒロインです。大事なことだから2回言ったわ。今、提督さんの代わりに執務をしているんだけど、向こうと比べると書類が少な過ぎてすぐに終わっちゃうわ。今日は2時間も掛からずに終わらせる事が出来た。昔のバカだった頃の私なら考えられない。

 

「ある意味、彼のお陰かな」

理想の女になる為に色々頑張ったから、自分で言うのもなんだけど、結構スペックが高くなった。

 

「…暇だなぁ」

今日は特に任務も無い。緊急出動要請に備えて待機しているだけ。向こうじゃ毎日、出撃遠征訓練でこんなにのんびりなんて出来なかった。

 

「まぁ、そのお陰で静流姉(翔鶴姉)とお話出来るようになったんだけどね」

あまりの忙しさ、そして人数の多さのせいでまともに会話すら出来ない日が何年も続いた。同じ部隊で一緒に出撃した事なんて1度も無い。

 

「…ここに来れたのは。静流姉とお話出来るようになったのは、運が良くなったからなのかな?」

瑞鶴は幸運の空母と呼ばれている。その運が(瑞稀)に影響を与えたのかな?

 

「もしそうなら、感謝しなきゃ」

神棚に飾って拝もうかな?

 

「そういえばそろそろ彼にお願いしなきゃ」

この鎮守府、規模の割に練度が高い娘が多くてビックリしちゃった。しかも殆ど未改装のまま。今の私も未改装、初期状態のままだ。

 

「練度は99なんだけどね」

何度も向こうの提督に改装を受けるよう言われたけど、断った。だって、私が最初に改装した姿を見せるのは彼だけだと心に決めていたから。

 

「確か、迷彩柄になるんだっけ」

1度、横須賀に行った際、第一次改装を受けた瑞鶴を見た事がある。金髪ロングヘアーのお淑やかな人だった。その瑞鶴の艤装や装束は昔の自衛隊の人が着ているような迷彩柄だった。

 

「あの柄はインパクトあったなぁ」

彼が見たら、どんな反応をするんだろう?

 

「最終的には装甲空母になれる、って言われてるけど、私に使いこなせるかなぁ…」

飛行甲板が非常に重くなって艤装とのシンクロ率が更に向上するから、移動や艦載機の操作が難しくなるって翔鶴姉が言っていた。でも、

 

「使いこなしてみせるわ。必ず」

そうと決まれば彼に改装許可を求めよう。まずは第一次改装をして、艤装とのシンクロ率に慣れなきゃ。

 

 

………。

 

─医務室─

 

 

「よし、分かった。許可を出す」

 

「さーんきゅ♪」

あっさりと許可を貰えた。あとは夕張に依頼して改装を受けるだけだけど、仕上がるのに時間がかかる。早く改装受けた姿を見せてあげた~い!

 

「それにしても意外だな。1度も改装を受けていないなんて」

 

「だって、私が改装した姿を1番最初に貴方に見てもらいたかったんだもん」

 

「…お前って奴は」

 

あ、顔赤くなってる。可愛いなぁ。

 

「楽しみにしてる」

 

「期待してて♪」

 

「…」

 

「…」

 

「…なぁ」

 

「なぁに?」

 

「何故退室しない?」

 

「え、なんで?」

 

「ここは物語的に退室して色々妄想しながらトラブルを起こす所だろ」

 

貴方は何を言っているの?なんか、メタいわよ?…メタいってなによ。謎の電波を受信したわ。

 

「選択肢は2つ。退室して自室に戻る。退室して翔鶴に会いに行く。どちらか選べ」

 

「せっかくだから、貴方を看病する、を選ぶわ!」

 

「んな選択肢ねぇよ!俺は2つって言ったよな!?なんで3つ目の選択肢を作り出して選んでんだよ!」

 

「残念だったわね、2周目特典のシークレット選択肢よ!」

ここからは私のルートよ!

 

「ギャルゲーじゃねぇんだぞ!」

 

「じゃあエ○ゲー」

 

「おい」

 

喘ぎ方や知識、プレイを勉強する為に買ったわ。いい教材よ。

 

「貴方はもう、私のルートに突入しているのよ?」

 

「今すぐアンインストールしてやる」

 

「そんな事したら、私以外のルート消滅するわよ?」

 

「セーブしてあるから大丈夫だ、問題ない」

 

「唐突にゲームが強制終了。勝手に開かれるコンソール画面」

 

「そのゲームの話はやめよう?精神的ダメージ半端無いから」

 

あれは凄まじかったなぁ。笑うしかなかった。隣で見ていた漣が真顔で固まってたのが印象的だったわね。

 

「とにかく、看病するわ」

林檎持ってきたから、食べさせてあげる♪

 

「…おい、どっから取り出した?」

 

「どこって、私のスカートからだよ?」

 

「うん。知ってる。スカートのどこから取り出した?言ってみなさい」

 

「私の太股に挟んどいたわ。私の愛が沢山詰まってるわ♪」

 

「その愛は農家の人達が込めた物であって、オメーの物じゃない」

 

「蜜が沢山詰まっています♪」

 

「詰まってるじゃなくて、かかってるの間違いだろ!…おい待てやめろその林檎を食べさせるな無言で近づくなやめろ来るな来るなぁ~!」

 

「うふふっ♪」

慌てちゃって。可愛い♪ 沢山召し上がれ♪

 

 

あ、蜜は一滴もかかってないから安心して。冗談で言っただけよ?変な想像した人は、後で爆撃。

 

 

side 瑞鶴 out

 

───────

────

 

side ?????

 

『アハハハハッ!』

ヤッパリ楽シイナァ!モット…モットダ!

 

『艤装トノ、シンクロ率ガ上ガレバ、私ハ…』

瑞鶴(瑞稀)ニナレル!

 

『ハヤク…ハヤク!』

ココハ…暗イ…サミシイ…

 

side ????? out

 

───────

────

 

side 提督

 

 

「…美味いな」

 

「農家の人と私の愛情が沢山詰まってるからね」

 

「農家の人達に感謝だな」

 

「私には~?」

 

「普通に持ってくれば感謝した」

 

「普通に持って来たよ?」

 

「普通の意味を辞書で調べなさい」

100万回位調べなさい。…まぁ、こんなやり取りのお陰でいつもの調子が出せるから有難い。

 

「改装するで思い出したんだが、摩耶の艤装も改装するんだっな」

 

「そうね。しかも、第二次改装。対空性能が飛躍的に向上するわ」

 

「あいつ、対空射撃好きだって言ってたから喜ぶだろうな」

シューティングゲームが大好きで、特に何かを撃ち落とすのが好きって言ってた。どんなリアクション取るか楽しみだ。

 

「はい、あーん♪」

 

「あーん」

すり下ろされた林檎は美味い。美味いが同じ物ばかりだと飽きが来るな。胃潰瘍だからお粥とか、すり下ろした林檎位しか食べられない。カツカレーとか食いたいな。早く治さねば。

 

「林檎、飽きちゃった?」

 

「ん?あぁ、少しな」

俺の顔を見て察したのか、そんな事を聞いてきた。

 

「次来た時は別の物にするね。ヨーグルトとかは?」

 

「いいな。それで頼む」

ヨーグルトなんて久々に食べる。…いや、待てよ?確か胃潰瘍の時は脂肪が多い物は良くないって聴いた事がある。調べてみるか。

 

「…んっ…んっ…」

 

…瑞鶴?剥いた林檎を食べて一体何を…おい、何で顔を近づけて来るんだ?おい?オイィ!?

 

「何っ、をっ、するっ、気だっ!」

コイツの頭を掴んで接近を阻止するが、力が入らない!

 

「んぅ~…あははひ、ひんほほはへはへふはへほ?」

 

「日本語喋れ!」

 

「んっ…んぐっ…貴方に林檎を食べさせる為よ?」

 

「なら、すり下ろしてくれ」

 

「なんか、面倒になっちゃったから、私が噛み砕いて直接口移しで食べさせてあげればいいかなぁ、って…」

 

も○のけ姫みたいな事しなくていい!俺はア○タカじゃねぇ!待てよ?胃潰瘍で力が入らないから、今の俺はア○タカみたいな状態だな。瑞鶴、そなたは美しい…黙れ小僧!あああああ、もう!やめてくれ…そんな事されたら…

 

「興奮しちまうだろ…」

 

「興奮してくれるの!?」

 

やべっ、思ってる事を口に出しちまった!やべぇよ、やべぇよ…

 

「待ってて!今咀嚼して食べさせてあげるから!」

 

「やめろォ!」

 

「唾液には鎮痛効果があると言われてるわ!胃潰瘍なんてすぐに治るわ!艦娘になった私の唾液なら、相乗効果で100倍増しよ、100倍増し!」

 

「落ち着け!落ち着くんだ瑞鶴!」

これ以上気を高めるな!ま、待て、待ってくれ、お願いだァァァ!!!

 

このあと、ズキュウウウンされました。とだけ言っておこう。…アカン、本格的にムラムラしてきた。

余談だが、この後妖精さん達に診て貰ったら胃潰瘍が少し回復し、出歩いても問題ないと言われた。どうやら、彼女の唾液のお陰らしい。艦娘の力ってすげぇな。もう二度とごめんだがな。理性が持たなくなる。

 

(可愛い奴だよ)

こんなに健気で。真っ直ぐで。俺には勿体無い。

 

(…何で逃げ出してしまったんだろう)

後悔しても、過去は変わらない。

やっぱり…なんだかんだ言っても、好きなんだろうな。コイツの事を…

 

「なぁに、じっと見つめて…あっ、分かった!パンツが食べたいんだね?」

 

「いらねぇ!」

 

「待ってて!今脱ぐから!」

 

「脱がなくていい!」

 

「それじゃ、洗いたてを持ってくるね!」

 

「いらん!」

…ははっ。賑やかで飽きねぇ。

 

 

side 提督 out

 

───────

────

 

side 瑞鶴

 

─数日後─

 

工廠。

 

「あっ、瑞鶴さん!こっちです!」

 

「夕張、お疲れ様」

改装申請から数日が経った。ついに、この時が来た。夕張に呼ばれ艤装を保管している工廠に行くと、私の艤装が既に改装を終えた姿で様々な機械やケーブルに繋がれた状態で鎮座していた。

 

 

「これが…私の艤装…」

主機やタービン、内蔵火器。そして飛行甲板が大幅に変わっていた。特に飛行甲板は今までの物と違い、美しい木目のある甲板から迷彩柄をした物に姿を変えていた。

 

「これは凄いわね」

 

「えぇ。史実の迷彩柄を再現した結果、こうなりました」

 

確か、史実の瑞鶴は迷彩塗装を施した後、沈んだ。つまり、

 

「瑞鶴の死装束、って事か」

 

「ちょっ、瑞鶴さん!」

 

「ごめんごめん。でも、事実でしょ?」

史実では囮になって沈んだ。でも、私は沈まない。絶対に。沈んでたまるか。私は彼と一生一緒に居ると心に決めている。打ち破ってやる。史実の出来事なんて!

 

…事実を受け入れて前に進まなきゃ、何も変わらない

 

「何か言いました?」

 

「ううん、なんでもない。それより、装着してもいい?」

 

「はい、いいですよ!」

 

よし!…と、その前に。

 

「提督さん連れてくるねっ!」

 

 

………。

 

 

「…」

艤装、起動。

接続、開始。

 

─《接続開始》─

 

頭の中で声が響く。少しずつ。少しずつ(瑞稀)(瑞鶴)が同調していく。

 

─《護りたい》─

─《自由を求めたい》─

─《平和を手にしたい》─

 

艤装を通して様々な感情の様な物が私に流れ込んで来る。嗚呼…暖かい…

 

─《…アハハハッ!!!》─

 

「ッッッ!!?」

何!?今のは!!?

 

─《接続完了。稼働可能》─

 

「…」

一瞬。ほんの一瞬だけど、言葉に出来ないほど恐ろしい何かを感じた。今のは一体?

 

『瑞鶴?』

 

彼が心配そうな声をかけてきた。…今の事は忘れよう。

艤装を纏ったまま、装着部屋から出る。

 

「…ほぉ」

 

興味深そうに私を見ている。

 

「…どう、かな?」

今までの白の道着ではなく、紺色の道着。紅い袴のようなスカートは茶色の物へと変更された。

 

「…」

 

無言。ダメ…なのかな…以前の紅白の道着の方が、彼の好みなのかな…。

 

「…いい」

 

「…えっ?」

 

「いい。それ以外の言葉は無い」

 

「提督…さん…」

…そうだったね。貴方はいつも、褒める時は多く語らない。それに、外見で判断しない。…ありがとう。

 

「…さて、お次は摩耶よ!彼女、どんな姿になるのか楽しみ♪」

 

 

side 瑞鶴 out

 

───────

────

 

 

side 摩耶

 

「こ、これが…アタシの、艤装…」

目の前には、ハリネズミの様に突き出た対空砲が装着されている艤装があった。圧倒的!そう!圧倒的!存在感ッ!以前までの物とは!違うッ!存在感が!違うッ!段違いだッ!対空火器がッ!ギンギンに突き出していやがるッ!犯罪的だァ!

 

「…夜更かししなきゃよかった」

興奮で眠れそうになかったから、秋雲から借りた漫画を読んだせいか、クズな男の声で脳内再生されちまった。

 

『どん゙でも゙ね゙ぇ゙艤゙装゙だあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙っ゙っ゙っ゙!゙!゙狂゙っ゙でや゙がる゙っ゙っ゙っ゙!゙!゙!゙!゙』

 

…落ち着け藤○竜也。じゃない。落ち着け摩耶(アタシ)

 

 

………。

 

「…よし!」

 

「どうですか、何か不調はありませんか?」

 

「今の所大丈夫だ」

夕張が声をかけてくれた。艤装との接続は完了したけど、同調率が今一つだ。以前の艤装なら85%を超えてたけど、今は40%未満だ。お陰で重く感じる。

 

「それじゃあ、慣らし運転を始めましょうか。演習場で思いっ切り振り回してきてください」

 

「おうっ!」

楽しみだ!早速演習場へ突撃だ!

 

「ふわぁぁ…ちょっと、仮眠取りますね。流石に徹夜で二人分の艤装弄るのはキツかった…」

 

 

………。

 

 

「…んん~、よく寝た。ん?摩耶さんの艤装状態を確認出来る端末にエラーランプ付いてる。えっと、…嘘っ、まだ最終調整が始まってない!摩耶さんに連絡入れなきゃ!」

 

 

………。

 

 

「くっ、そぉ!どうなってやがる!」

慣らしを始めて数時間が過ぎた。シンクロ率が低いまま慣らし運転をしたけど、結果は散々だった。

今まで軽々と出来たパイロターンをすると派手にすっ転び。

今まで当てられた距離から砲撃すれば殆ど外す。

今まで目で追うことが出来た艦載機を、何度も見失う。

今まで当たり前に出来ていた事が、出来なくなっていた。

 

「なんで…なんでだよ…」

こんなの…こんなのって…

 

『…摩耶さん』

 

インカムから訓練相手の翔鶴さんが呼びかけてきた。いつもの優しい声ではなく、どこか冷たく、見下すような声だった。

 

『…これ以上は無駄みたいですね』

 

…なんだと?

 

『どうやら摩耶さんには、その艤装は重過ぎたみたいです』

 

…なんだと!

 

『貴女に、その艤装は』

 

…やめろ。

 

『相応しくない』

 

…やめろ。

 

『とんだ期待外れですね。残念です』

 

「やめろおおおおお!!!」

 

───────

 

『ハッ!やっぱりお前には無理だったな!』

『さっさとやめたら?』

『口だけは一丁前なだけじゃん。ダサッ』

『期待外れだね』

 

───────

 

「ふっざっけんじゃねえええええ!!!」

アタシは…アタシは…

 

「期待外れな存在じゃねえええええ!!!」

 

『…では、証明してください』

 

「ッ!!」

艤装で強化されたアタシの耳が、艦載機のエンジン音を捉えた。また…来る!撃ち落とさないと…でも、また失敗したら…

 

「…もう、ダメだ…」

力無く俯く。やっぱり、アタシは…ダメな奴だ…

 

『摩耶アアアアア!!!』

 

「ッッッ!!?」

な、なんだ!?提督?

 

『諦めてんじゃねーぞ!お前は、簡単に諦める奴か!』

 

提督…

 

『いつも言ってたじゃねぇかぁ!諦めの悪さなら、誰にも負けないと!』

 

「…」

 

『お前は出撃前、よく言ってるじゃねぇか!恐怖なんか鼻で笑ってやれ!出来ないと思うな!最後まで諦めるなと!』

 

「提…督…」

 

『お前は誰だァ?天下無敵の摩耶様ダルルォォォ!?』

 

…ハハッ。そう、だな。そうだ。アタシは…アタシは…!

 

「アタシは…摩耶様だああああぁぁぁぁ!!!」

 

─《艤装、再接続》─

 

「ッ!?」

頭の中に、何かが流れ込んで来た。

 

─《高雄型重巡洋艦、三番艦、摩耶》─

─《第二次改装、情報再接続》─

─《第一次改装時のデータ、接続》─

─《主機、情報更新》─

─《バランサー、情報更新》─

─《主砲、情報更新》─

─《対空火器、情報更新》─

 

 

「なっ!?」

次々に情報が更新され、最適化を施されていくのが分かった。それと同時に、あれだけ重かった艤装が軽く感じる様になる。…おいおいおい。

 

「アップデート無しで動いてたのかよ、アタシは」

思わず苦笑いしちまったよ。夕張ェ…もしかして、最終確認怠ったなぁ?

 

「後でとっちめてやる!」

今は迫る艦載機達を何とかしないと。

 

「よぉし。見てろよ?」

対空射撃、用意!

目標、敵艦載機!

…落ち着け。アタシなら、出来る。

 

─《艤装シンクロ率、80%》─

 

アタシは、もう、期待外れな存在じゃない。

 

─《艤装シンクロ率、90%》─

 

…よく見てろよ?アタシの実力を?

 

─《艤装シンクロ率、95%》─

 

アタシは誰かって?アタシは…

 

─《艤装シンクロ率、100%》─

 

「アタシは、摩耶様だぜええぇぇぇ!!!」

 

─《艤装シンクロ率、120%。シンクロ率限界突破》─

 

「墜ちろ、カトンボ!!!」

撃つ。墜とす。

撃つ。墜とす。

撃つ。墜とす。

見える。聴こえる。感じる。

敵の動きが。アタシの艤装の鼓動が。《摩耶》の存在を。

行ける。行けるぞっ!はははっ!楽しくなってきやがった!

視界に入る全ての艦載機を墜して暫くすると、再び艦載機が飛んで来た。おいおい、さっきの倍じゃないかよ。でも、大丈夫。アタシとコイツ(摩耶)なら、負けない!

 

「アタシの実力を。新装備の性能を試してやる!さぁ、カーニバルだぜっ!」

 

 

side 摩耶 out

 

───────

────

 

side 提督

 

─執務室─

 

「…んで。何か言う事は?」

 

「確認を怠ってしまい、誠に申し訳ございませんでした…」

 

「あー…艤装の大規模改装は初めてだったから大目に見るが、今後気を付けてくれよ?」

 

「は、はい…」

 

「ん。下がってくれ。…あぁ、改装作業をしてくれたお礼ってわけじゃないが、今度欲しかったパソコン買ってやる」

 

「本当ですか!?ありがとうございます!」

 

おーおー、元気になっちゃって。さて、報告書を纏めるか。

 

「相変わらず、飴と鞭の使い方が上手ね」

 

「そうかぁ?」

からかうな。さっさと報告書まとめるぞ?

 

「…ねぇ」

 

「どうした?」

 

「私、わざととはいえ、嫌われ役になりました」

 

そう。あの時翔鶴はわざと摩耶に否定的な言葉を投げかけ、発破をかけた。翔鶴曰く「第二次改装を受けると艤装が装着者の感情に反応し、力を発揮してくれる」らしい。

 

「だから、私にも何か欲しいなぁ…」

 

えぇい、流し目で見るな。しなだれかかるな!

 

「…よく考えておく」

 

「楽しみにしてます♪」

 

…やれやれ。

 

(そろそろ、覚悟決める必要があるな)

俺は…

 

(いつまでもフラフラするのは、好意を寄せてくれる皆に失礼だ)

俺は…

 

 

side 提督 out

 

───────

────

 

side ?????

 

『マダナノ…マダ、ダメナノ…?』

ドレダケ待ッタノカ。自分デモ分カラナイ。

 

『アノ男ニ…逢イタイ…』

彼女ヲ通シテ見テキタ。ソシテ、惹カレタ。

 

『…フフッ。アハハハッ!!!』

今ノ艤装ノシンクロ率ガ上ガレバ、第二次改装ヲ受ケル。ソウスレバ…ヤット…

 

『長カッタナァ…待ッテテネ…準♪』

 

side ????? out

 

───────

────

 






次回予告


ハッハッハァ~!圧倒的弾幕ゥ~!!!…お前は何も見ていない。いいね?…んんっ。それにしてもスゲーな、第二次改装って。今まで出来なかった事が簡単に出来る。けど、調子に乗ったらダメだ。足元すくわれる。アニメやゲームで力を手にして身を滅ぼす奴らを沢山見てきたから、自分がそうならないか怖い。…あん?アタシらしくない?ガサツでイケイケじゃないアタシはアタシじゃない?んだとぉ?穴あきチーズにしてやる!そこに直れ!あっ、逃げるな!待てっ!


第10話・あたし的には、オッケーです!


「俺はヤンデレ量産系主人公になった覚えは無いぞ!?」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。