追跡鶴   作:EMS-10

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涼月を励ましてくれる。
涼月を認めてくれた。
───嗚呼、嬉しい。



吠える防空駆逐艦

 

─5年数ヶ月前─

 

「何か原因がある筈だ。なら、それを突き止めよう」

 

「…」

彼がそう言いました。

そんな事を言われるとは思っていませんでした。だから、思わず彼の顔を見てしまった。

涼月の視線に気付いたのか、彼は私を見て微笑みました。

 

「ッ!?」

似ている。

涼月が困っている時、兄さんが見せてくれた微笑みに。

…何を考えているのでしょう。この人は兄さんではありません。気持ちを切り替えなさい、涼月。

 

「それじゃ、えーと。あー、とにかく、訓練を開始します!それぞれ海上に行って配置に就いてくれ!」

 

彼がそう言いました。涼月達は艤装を起動して、桟橋から海上に降り立ちました。そして、航行し配置に就きました。

 

『それじゃ、陣形を単縦陣にして航行してくれ』

 

無線から指示が聞こえてきました。私は最後尾に就けられました。砲雷撃だけでなく、航行も覚束無いから、いつも最後尾に就けられます。

それから暫く単縦陣で航行しましたが、案の定涼月はもたつき、転倒、落伍してしまいました。

 

『おーい、最後尾の…涼月、大丈夫か?』

 

「…申し訳ございません」

心配をかけてしまいました。いえ、きっと成績に影響するから、声をかけてくださっているんです。早く、皆さんの所へ行かなくては。しかし、焦ってしまい、戦速の操作が上手く出来ません。ああ。怒鳴られてしまう。もう、嫌。そう思っていました。

 

『涼月、俺の言う通りにしてくれ。まずはしっかり立ってバランスを取ってから第四戦速に入れて進んでくれ』

 

「えっ、あ、了解しました」

しかし、無線から聞こえたのは怒鳴り声ではなく、諭すような落ち着いた声でした。

今までは教本通り、完全停止から航行する際は第三戦速にしていましたが、言われた通り、しっかり立ってからバランスを取り、戦速を第四戦速にしました。すると、

 

「あ、あれ?」

バランスを崩さず、ゆっくりと、確実に前へと進みました。驚いていると、再び無線から指示が飛んできました。

 

『よし、ある程度進んだら、戦速を第一戦速にしてくれ』

 

「りょ、了解!」

指示通り、第一戦速にします。すると、先程より加速し、更に前へ進みました。

 

『よし、そろそろ第三戦速に上げてくれ。ギアがレッドゾーンに入る前(・ ・ ・)に、第四戦速に上げるんだ』

 

「は、はい!」

指示通りに計器を確認しながら航行します。いつもならレッドゾーンに少し入ってから上げていましたが、手前で第四戦速に上げる。一瞬、速力が落ちましたが再び加速。いつもならふらつき、バランスを崩していましたが、安定した状態で進めました。離れていた艦隊と徐々に距離を詰めます。やがて、前を航行する艦娘候補生の数メートル後ろまで近付きました。そろそろ第三戦速に下げて減速をしましょう。

 

『涼月、第四戦速のままでいい。少しだけ前屈みになって、踵で少しずつ海面を踏んでブレーキをかけてくれ。微調整は君に任せる』

 

「えっ?」

戦速を下げようとしたら、そう指示されました。とにかく、言われた通りにしましょう。少しだけ前屈みになって、踵を海面に当てて減速─あっ、少しだけ遅くなりました。これなら衝突しなくて済みそうです。それに、戦速を下げなかったので、離されずに済みました。

 

『よーし、いいぞ!戦速はそのままで、様子を見て踵で減速しながら艦隊に付いて行ってくれ』

 

「は、はいっ!」

それから、彼の指示通り航行しました。すると、今まで付いて行けず落伍し続けていた涼月が、ピッタリ後ろに続いて航行出来ました。

 

(で、できた!)

初めて上手くできた事で、涼月は喜びました。艦隊の皆さんは、涼月がピッタリ付いて航行している事に驚き、目を丸くしていました。

 

(やった!やりました!)

 

『よーし、いいぞ!やれば出来るじゃないか!』

 

「ぁ…」

褒めて貰えた。

いつもなら怒鳴られているのに。

罵られているのに。

──嬉しい。

 

(…あら?)

涼月が喜んでいると、身体と艤装に奇妙な感覚が生じました。なんと言えばいいのでしょう?例えるなら、今まで厚手の手袋をして針の穴に糸を通していたのが、手袋を脱いで糸を通す様な───本当になんと表現すればいいのか分かりませんが、煩わしさが無くなった気がします。

 

 

 

…………。

 

 

 

それから、単縦陣から複縦陣、輪形陣、梯形陣、単横陣。全ての陣形を一通り行いました。その度、彼から的確な指示が飛ばされ、言われた通りに航行すると、一度のミスもなく成功しました。

 

(できた。できました!)

今まで落伍ばかりしていたのに。

艦隊の皆さんも驚いていましたが、一番驚いたのは、涼月自身だと思います。

 

(教本通りにやっていたのに、できなかった。それなのに、彼の指示のお陰でできるようになった)

他の娘達は教本通りにやってできていました。だから、涼月も教本通りにやっていたのに。

 

(教本はアテにしない方がいいのでしょうか?)

それに、彼に褒められてから、艤装を細かく動かせるようになりました。一体、何故?

 

『さて、次は砲撃訓練を行う。各員、配置に就いてくれ!』

 

「りょ、了解!」

いけない、今は訓練中。考え事をするのは後にしましょう。

配置に就いて、砲撃の準備を整えます。

 

『全員配置に就いたな。俺が一人ずつ名前を呼ぶから、呼ばれた娘から砲撃を行ってくれ。__』

 

彼が艦娘候補生の名前を呼びました。呼ばれた娘は前に出て、的へ砲撃しました。砲声。風切り音。命中。

的は粉々に砕けました。

それが暫く続き、涼月の番が来ました。大丈夫、落ち着いて。けれど、当てられるのでしょうか?不安になりながらも、的の前に立ちます。的との距離は、およそ25メートル。たった10メートルからでも外すのに、倍以上離れた的を撃ち抜けるのでしょうか?

 

『涼月、砲撃を開始してくれ』

 

「了解しました」

足を肩幅と同じ位に水平に広げ、膝を少しだけ曲げ、長10cm砲を構えて、狙いを定めて。

 

「…撃てッ!」

砲声。反動。少しだけ身体がふらつく。風切り音。そして。

 

「…」

涼月が放った弾は、的から数メートル横に弾着。外してしまいました。しまった。叱られてしまう!

 

『涼月、もう何発か撃ってくれ』

 

「りょ、了解」

しかし、無線から聴こえたのは、怒声ではなく穏やかな声でした。

指示通り、何度か砲撃を行いました。しかし、どれも外してしまいました。

 

「…」

やってしまった。きっと、怒鳴られる。慣れてしまいましたが、何とも思わないわけではない。怒鳴られれば、気分が落ち込みます。怒鳴られたくない。身体を強ばらせていると、

 

『距離は届いている。ただ、的の左右にズレて弾着しているな…よし、涼月、足を肩幅位に広げたまま、右足を少しだけ前に、左足を後ろにしてくれ』

 

「えっ、あっ、了解しました」

彼からそう指示されました。言われた通り右足を前に、左足を後ろにしてバランスを取りました。

 

『よーし、それじゃ、その状態から砲撃してくれ』

 

「はい」

今までは足を肩幅位に広げて砲撃をしていましたが、今は違う。足の位置を変えただけで当てられるようになるのでしょうか?疑問に思いながらも、照準を合わせます。よく狙って──撃てッ!

砲声。

反動。

風切り音。

そして。

 

「あ、当たった…?」

涼月が放った弾は、的の真ん中に命中。的は砕けました。ま、まぐれです。他の方達も、そう思っているのか顔に出ています。

 

『よし、そのまま、何発か撃ってくれ』

 

 

…………。

 

 

「ぜ、全弾命中…」

信じられません。今まで外していたのに、全弾命中するなんて。私だけでなく、周りの方達も驚いた顔をしています。

 

『さて、時間だな。今日の訓練はここまでだ。お疲れ様。悪いけど、的の回収を頼むわ』

 

 

…………。

 

 

「…」

訓練が終わり、的を全て回収し部屋に戻りました。

今までは落ち込んでベッドに横たわっていましたが、今日は違いました。

 

(全て、上手くいった)

未だ信じる事ができません。夢でも見ているのでしょうか?試しに頬を抓ってみます。

 

(痛い)

夢ではありません。

 

(でも、何故、上手くいったのでしょう?)

教本通りにやってきたら、失敗が続いた。

渡良瀬と名乗った提督候補生の指示通りにしたら、成功した。

 

(色々疑問がありますが、今は休みましょう)

休養も立派な仕事。教官役の艦娘に教わりました。

涼月は考えるのをやめ、目を瞑り眠りにつきました。

 

 

 

───────

────

 

 

「─以上が、秋月型防空駆逐艦三番艦、涼月に関する解析結果です」

 

「うむ、ご苦労」

目の前の椅子に座る、青髪の艦娘、工作艦明石の適性を持つ女性から端末を手渡される。

 

「まさか、同調率440%の適性者が現れるとは思いませんでした」

 

「そうだな。今から70年程前から今まで様々な艦娘適性者が居たが、初めて艤装を接続して、一時的とはいえ同調率が440%に達した艦娘は、たった5人しか居なかった」

 

「今回の涼月さんで6人目になりますね」

 

「そうだな」

記録によると、今から約70年前。深海棲艦出現から数ヵ月後に妖精さんが現れ、艦娘という技術が伝えられた。

そして、艦娘の適性を持つ少女達が集められた。その中で、初めて艤装を接続した際、同調率440%に至ったのは。

 

吹雪型駆逐艦一番艦、吹雪。

吹雪型駆逐艦五番艦、叢雲。

綾波型駆逐艦九番艦、漣。

白露型駆逐艦六番艦、五月雨。

暁型駆逐艦四番艦、電。

 

この5人だと記録されている。

それ以降、初めて接続した際に同調率が440%へ至った艦娘は居なかった。

 

「艦娘としてある程度活動して、同調率が上昇したというケースは山ほどあるが…」

 

「最初の接続で440%に到達したケースは、約70年前の時と、今回の涼月さんのケースのみ、ですね」

 

「…はぁ」

とてつもないレアケースに当たってしまったようだ。

大本営の上層部になんと報告すればいいんだ?気が重い。

ふと、涼月の訓練成績を見る。お世辞にも、良いとは言えない成績だった。

 

(平均同調率は70%。他の艦娘候補生達より10%近く低い)

しかし、動けないわけではない。現に、同調率が60%前後なのに驚異的成績を叩き出している艦娘候補生が居る。

その候補生の適性艦は、白露型駆逐艦四番艦、夕立という少女だ。

 

(一体、何が原因なんだ?)

このままでは、涼月という艦娘候補生は落第してしまう。座学は問題ない。しかし、実技が壊滅的だった。

 

(ほう?)

本日の実技の成績を見る。そこには。

 

(まともに動けている)

言葉は悪いが、今までまともに艦隊行動に就いて行けず、落伍ばかりしていたが、今日の訓練では途中からしっかり就いている。それだけではない。砲撃訓練も、後半からは的に全弾命中させている。

成績の改ざんを疑ったが、涼月の艤装に宿る妖精さん達から送られたデータの為、それは無いと判断した。妖精さん達はイタズラが大好きだが、決して虚偽の申告をしない。つまり、この成績は紛れもない事実ということになる。

 

(一体、何があったんだ?)

端末を弄り、調べていくと。

 

(渡良瀬、か)

本日、涼月達の指揮を執った提督候補生の名前を見る。そこには、渡良瀬準と記されていた。

 

(此奴のお陰か?)

渡良瀬準。私の親友、渡良瀬悟の息子。此奴は他の提督と違い、必要以上に艦娘候補生達を叱らない。怒鳴らない。教官役として来ている提督達からは「甘い」と言われているが、

 

(いくら軍属となっても、艦娘候補生達は10代前半〜20代前半、それも数ヶ月前まで一般人として生活していた)

必要以上に叱責すると萎縮し、それにより、本来の実力を引き出せなくなる恐れがある。

 

(少し、気にかけてみるか)

適性者の少ない、防空駆逐艦。妖精さんによって艦娘の技術が齎されて70年程経つが、防空駆逐艦の適性者は少ない。その為、防空駆逐艦の艤装に関するデータが他の駆逐艦と比べ少なく、修理に膨大な時間がかかり、運用方法も模索している。それでも、以前よりマシになったが。

そして、悟の息子。悟には色々恩がある。それを少しでも返そう。

 

(だからと言って、贔屓はしないがな)

しかし、今回の提督候補生達は若いな。下は18歳。上は22歳。そのせいか、感情的になる輩が多い。

 

(それを何とかするために、私達が居るんだがな)

普通は教官役の提督達がそれを注意するべきなのだが、運が悪いのか、今回の教官役は体育会系な考えの提督ばかり。こんなんでも優秀だからタチが悪い。

 

(…はぁ)

根性論を掲げる奴ばかりで、頭が痛くなってきた。根性だけでは、解決出来ないというのに。

 

(階級と戦果を上げて、発言力を得られるようにならなければ)

このままでは、ブラック鎮守府が出来てしまう恐れがある。どうにかしなければ。

 

 

───────

────

 

 

「早霜さん!満潮さん!涼月さん!散開してください!」

 

「了解しました」

 

「分かったわ!」

 

「はい!」

本日の演習は、今までと違い戦艦の艦娘候補生が相手です。同じ艦隊の初霜さんに声をかけられました。彼女は涼月の成績を知っても見放さず、普通に接してくれる一人です。

 

「夕立、突撃するっぽい!」

 

「ゆ、夕立さん、ダメですよ!」

 

驚異的成績を叩き出し続ける艦娘候補生、夕立さんが独特の口癖と共に、猛スピードで演習相手へ突撃して行きました。それを旗艦の初霜さんが止めようとしましたが、ダメでした。

 

「おー、元気だねぇ。んじゃ、私も行きますか!」

 

「秋雲さんまで!」

 

「はいだらああああああああ!!!」

 

謎の雄叫びを上げながら、秋雲という適性を持つ少女が夕立さんの後を追って突撃して行きました。もう、滅茶苦茶ですね。

 

『うおぉい!突撃してどーすんの!戻って!戻りなさい!カムバーック!クァアアアムバアアアアッッック!!!』

 

無線から、渡良瀬という提督候補生の悲鳴にも似た叫び声が聞こえてきました。

 

「渡良瀬提督候補生、どうしましょう!?」

 

『あー…どうすっかねぇ…とにかく、4人で夕立と秋雲の援護をして!』

 

「了解!」

 

初霜さんが指示を仰ぎ、そう返されました。

 

「皆さん、行きましょう!」

 

「「「「了解!」」」」

 

───────

 

 

「安易に突撃しちゃダメでしょ!」

 

あれから数十分後。夕立さんと秋雲さんは渡良瀬提督候補生に叱られていました。叱る、と言いましたが、他の提督候補生と違い、表情は険しくありませんでした。

 

「いいか、今後、安易に突撃しちゃダメだぞ。分かったな?」

 

「…ぽい」

 

「反省してまーす」

 

「君達ねぇ…」

 

手を頭に当て、溜息を吐いています。夕立さん、秋雲さん、そんな態度を取ると、怒鳴られてしまいますよ?しかし、

 

「ともかく、今後気を付けてくれよ?演習弾でも、当たると痛いから」

 

彼は怒鳴らず、夕立さんと秋雲さんを心配するような事を言いました。

不思議な人だ。普通なら怒鳴る所なのに。いえ、きっと内心呆れて馬鹿にしているに違いありません。

 

「さて、今日の訓練はここまでだ。お疲れ様」

 

そう言って、本日の訓練は終わりました。

 

 

…………。

 

 

「この俺に喧嘩を売るバカは、どいつだ!」

 

『長門教官だよ!』

 

「…はっはっは!」

 

『冷や汗流しながら笑ってる場合じゃないよ!』

 

ある時は、木曾と呼ばれる艦娘候補生にツッコミを入れたり。

 

 

…………。

 

 

「姉様と組ませなさいよ!」

 

『んな事言われても…クジの結果だから我慢してくれ』

 

「キ○タマ踏み潰すわよ!」

 

『女性がそんな事言っちゃダメです!』

 

ある時は、山城と呼ばれる艦娘候補生に脅され、慌てたり。

 

 

…………。

 

 

「私は駆逐艦じゃない!正規空母よ!」

 

『知ってる。知ってるから落ち着け!』

 

「貧乳で悪かったわねコンチクショー!」

 

『俺に八つ当たりしないでください!』

 

ある時は、葛城と呼ばれる艦娘候補生に愚痴を吐かれたり。

 

 

…………。

 

 

(この人は、違う)

渡良瀬提督候補生と何度か組み、確信しました。他の提督候補生とは違う。全く怒らないわけではない。叱る時はしっかり叱る。でも、頭ごなしに叱ってこない。ちゃんと、理由を聞いてから叱っている。

 

(優しい人なんですね)

教官役の提督達からは「甘い」と怒られていますが、それでも、涼月達への接し方は変わりませんでした。

それから暫くして、全ての提督候補生達と組むと、藤原准将から艦娘候補生全員に、こう指示されました。

 

 

希望する提督候補生と共に、1ヶ月間過ごせ。

 

 

藤原准将は、異性と共に過ごす事に慣れろ、と説明されました。後で分かったことですが、毎年、不埒な事をする提督候補生が居るらしく、それを見極める為に共に過ごさせるそうです。

 

……。

 

部屋に戻り、椅子に座り、渡された紙を見ます。そこには、3つの空欄がありました。第一希望、第二希望、第三希望。涼月は、第一希望の欄に、迷わず渡良瀬提督候補生の名前を書き込みました。

 

(第二、第三希望はどうしましょう?)

正直、渡良瀬提督候補生以外とは組みたくない。しかし、第一希望の欄だけ書いて提出は出来ない。

 

(そういえば、加藤という提督候補生はマシでしたね)

加藤浦樹提督候補生。彼もまた、渡良瀬提督候補生と似て必要以上に怒鳴らない方でした。しかし、

 

(胸をチラ見するのは、困ります)

そう。加藤提督候補生は、涼月の胸をチラ見してくるのです。涼月だけでなく、艦娘候補生の皆さんにも同じ事をします。

 

(それが無ければ、とても良いお方なんですが)

ですが、他の候補生よりはマシです。第二希望に、加藤提督候補生の名前を書き込みます。

第三希望はどうしましょう?それから暫く悩み、比較的まともな候補生の名前を書き込みました。

 

 

…………。

 

 

希望した紙を提出した翌日。結果は、第一希望が通りました。噂によると、渡良瀬提督候補生を第一希望にした艦娘候補生が「そこそこ」多く、抽選になった(・ ・ ・ ・ ・ ・)そうです。

運良く第一希望が通り、内心喜びました。これから、彼と共に過ごせる。嬉しい。そうだ、兄さんにこの事を報告しないと!

 

…………。

 

そして、それから何日か過ぎました。今日は、先日行われた実技試験の結果が発表されます。

渡良瀬提督候補生と組むまで、実技は最低の成績でしたが、

 

「凄いです、涼月さん」

「やるじゃん、涼月」

「流石だね、涼月」

「涼月、デキる女っぽい!」

「おめでとうございます、涼月さん」

「へぇ、やるじゃない。おめでとう」

「ふふっ…おめでとう、ございます。涼月さん」

 

「ありがとうございます、皆さん」

張り出された実技の成績表。その上位に涼月の名前が載っていました。それを見た、涼月が落ちこぼれだった時でも見下さず。見放さず接してくれた初霜さん、秋雲さん、時雨さん、夕立さん、海風さん、満潮さん、早霜さんが祝福の言葉をかけてくれました。彼女達も私と同じく、渡良瀬提督候補生と組む事になった人達です。

 

(一度突き放したというのに、優しく接してくれる)

とても、いい人達です。

余談になりますが、私を見下していた艦娘候補生達は、悔しそうな顔をして涼月を睨むようになりました。涼月の実技の成績が向上してからは、私物を壊されたり隠される事が少なくなりました。時々、陰口を言われますが、気になりません。だって。

 

「流石だな、涼月」

 

「渡良瀬提督候補生!」

彼が、居るから。

 

 

───────

 

 

『相手に涼月が居る!』

『しかも、指揮してるのって、渡良瀬提督候補生でしょ?』

『甘ちゃん提督候補生なんかの、何処がいいのかしら?』

 

「…」

ダメですよ、そんな事を言っては。渡良瀬提督候補生は、素晴らしいお方なんですよ?確かに、甘いかもしれません。軍人らしさがありません。ですが、

 

「許せませんね」

これは、痛い目に合わせないといけませんね。

航行しながら、合戦、用意。

照準、良し。

撃つ瞬間だけ、身体を演習相手に向ける。

足を肩幅に広げ、右足を少しだけ前に。左足を後ろに。膝を少し曲げて、反動に備える。

準備完了。

 

「────撃てッッッ!!!」

涼月の声と、長10cm砲の砲声が、演習場に響いた。

 

 

───────

────

 





Last Page「デンジャラス・ラブ・ゾンビ涼月」

涼月が、必ず、お護りします!







※現在、活動報告にてアンケートを行っています。
よろしければ、ご協力お願いします。

Q:明石の髪ってピンク色じゃないの?
A:艦娘は人間の適性者がなるもので、その為、例え同じ艦種・艦名でも外見や性格が異なります。

Q:約70年前に同調率440%を記録した5人は、艦○れの初期艦と同じ外見・性格?
A:いいえ、全く別です。艦名が同じだけで、外見・性格は艦○れ初期艦とは全く異なります。

Q:どうして涼月の実技の成績が良くなった?
A:次話で明らかになります
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