追跡鶴   作:EMS-10

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第17話・妖艶な姉鶴

 

 

side 提督

 

─提督私室─

 

朝。

 

 

「…はぁ」

地獄への片道切符…じゃなかった。榛名と山城がウチに異動してくる事が判明して2日が過ぎた。あまりのショックに矢矧にすがりつき、それを見た瑞鶴にノーザンライトボムを喰らった。それはいい。いいが。

 

「榛名と山城かぁ…」

あの2人が来るのか。胃袋吐き出しそうだ。

養成所で戦艦艦娘との合同訓練の時に、一緒に組んで訓練したのが出会いだった。

箱入り娘なのか、少し世間知らずな榛名。姉の後を追って艦娘になった山城。

 

「…山城は凄かったな」

流石の俺でも、思わず少しだけ引いてしまった記憶がある。だって、空気が負のオーラで歪んでたんだもん。目の錯覚じゃない、本当に歪んでいた。

 

「扶桑さんと俺が組んだ時なんて、空の木箱投げつけてきたもんな…」

何度か訓練で一緒に組み、少しだけ仲良くなった扶桑さんと談笑していたら、それを見た山城が演習用の弾を入れる空の木箱を数十個担いで、1つずつ戦艦のパワーで投げて来たのには驚いた。あれはガチで死ぬかと思った。クレしん映画の暗黒タ○タマのクライマックスで、オカマさんがキレて足場の鉄板?木板?を投げ付けるシーンを思い浮かべてくれ。あんな感じで投げ付けられた。全て避けたけど。

 

「長門教官も止めてくれよ…」

それを見た提督候補生達は全員安全な所に退避。扶桑さんは呆然としてた。普通それを止めるべき教官は腹を抱えて笑って見てるだけだった。

 

「駆逐艦娘見て暴走してた事、憲兵さんにバラしてやろうかな?」

俺は覚えているぞ、初霜を見て鼻息荒くして「お持ち帰りしてもいいかな?」って言ったのを。

 

「…おっと、そろそろ行かないと」

昔を思い出すのは後だ。今日は翔鶴…静流と出かけるんだった。

先日、摩耶の第二次改装を施し、慣らし運転をした際、艤装の性能を引き出す為に発破をかけ、わざと嫌われ役をしてくれた。その時のご褒美が欲しいと言ってた。んで、どんな物をプレゼントするか悩んでいると、静流から「一緒にスマホを選んでほしい」とおねだりされた。

 

『そんなんでいいのか?』

 

『えぇ。お願いします』

 

もっと他の物でもいいのに。というか、スマホ持ってなかったか?と聞いたら、スマホを落として壊してしまったと言ってきた。

 

「スマホ買って終わり、は流石になぁ…」

買い終わったら、ショッピングモール内をうろつくか。最近、静流は笑わなくなった。精神的に疲れてそうだから、気分転換になればいいんだが。

 

「…よし、行くか」

私服に着替え、車の鍵を持って部屋を出た。

 

 

………。

 

 

「待たせたな」

車を鎮守府正門まで運転し、そこで待っていた静流に声をかける。

 

「いえ、大丈夫よ」

 

満面の笑みを浮かべながらそう言った。思わずドキッとする。

 

(ホントに美人だな)

皆美人もしくは可愛い娘ばかりだが、特に静流は群を抜いていると思う。…おい、何邪な事考えてんだ。俺には瑞稀という大切な存在が居るだろ。頭を振って邪念を振り払う。

 

「どうしたの?」

 

「いや、何でもない。ほら、乗って」

俺の行動を不審に思ったのか、心配そうに声をかけられた。静流の服装は…すまん、ファッションについては無知だからなんて言えば分からん。とにかく可愛い、とだけ言っておく。

 

「ベルト締めたわ」

 

「おーう。んじゃ、行くか」

静流がシートベルトを締めたのを確認。車に乗る時は絶対締めろよ?俺との約束だぞ?

そして、俺は隣県のショッピングモールへと車を走らせた。

 

 

side 提督 out

 

───────

────

 

 

side 瑞鶴

 

「あーあ。いいなぁ」

瑞鶴です。最近、涼月より影が薄いメインヒロインです。私もゾンビになろうか本気で悩んでいるメインヒロインです。…何を言ってるの、私。

 

「…まぁ、いいけど」

最近、静流姉の元気が無いから、気分転換になればいいんだけど。…私も行きたかったな。

 

「それにしても、ココの規模を拡大かぁ」

詳しい理由は機密につき教えられない、って準が言ってたけど、気になる。深海棲艦の出没する頻度が増えたのかな?

 

「…気になるけど、今は」

 

「提督ぅ…涼月は…涼月は…」

 

「…はぁ」

ゾンビ退治しないとね。

 

《そろそろ、この鎮守府にショットガンを支給するべきね》

 

私もそう思う。夕張に頼んで作ってもらおうかしら?

 

「…この、匂いは…提督の、下着?」

 

やばっ、準のボクサーパンツ穿いてたんだっ!

 

「提督♪」

 

「私は提督じゃないわ!って、こら!スカート捲るな!ちょ、待っ、待って、脱がすな!やめろおおおおお!!!」

 

「キマシタワー!」

 

「見てないで助けなさいよ、秋雲ォ!!!」

スケッチするな!爆撃するわよ!?あ、コラ!涼月!そこに手をかけるな!やめろおおおおおお!!!!

 

 

side 瑞鶴 out

 

 

───────

────

 

 

side 提督

 

「ほい、到着」

鎮守府を出て約2時間後。トラブルも無く、無事ショッピングモールに到着した。1人だと長く感じるが、静流と雑談しながらだったからか、あっという間に着いた気がする。

 

「ありがとう。運転、お疲れ様♪」

 

「どういたしまして」

うん、いい笑顔。本来笑顔は攻撃的な意味があるそうだが、この笑顔は癒される。こんな美人さんにしてもらえるなんて、俺は幸せ者だ。…だから、何ドキドキしてんだよ。心に決めたヒト(瑞稀)が居るだろ。

 

「さて、いい時間だが、今行ってもフードコートは混んでるだろうから、先にスマホ選ぶか」

 

「そうね。そうしましょう♪」

 

今日はよく笑うな。この様子なら、大丈夫…いやいやいや。油断するな。もしかしたら、無理に笑っているかもしれん。今日1日よく様子見ておこう。

 

「さ、行きましょう?」

 

「ぬぉっ!?」

車から降りてケータイショップに行こうとしたら、腕を組まれた。あ、アカン!俺の腕に、俺の腕に、柔らかい物が直撃してるうううぅぅぅ!!!?

 

「うふっ♪」

 

こ、こいつ、わざとやってらっしゃいますよ、奥さん。確信犯って奴ですよ!アカンですよ、こりゃ。あの、その、ここだけの話なんですけどね、ここ数ヶ月、アレをね、そのですね、ハッスルさせてないんですよ。だから、色々アレなんですよ、うん。だから反応するな!起きるな!寝てろ!

 

「あらあら、どうしたの♪」

 

ヤメテェ!そんな、耳元で囁かないでぇ!

 

「うふふっ♪相変わらずオンナとの接触は慣れていないみたいね?」

 

「ンゴォ…」

やべ、変な声出た。落ち着け、落ち着くんだ俺。そうだ、隣に居るのは長門教官だと思えばいい!隣に居るのは長門教官。隣に居るのは長門教官。

 

『ふははははは!駆逐艦たちの安全は、この長門が護ってやるぞぉ〜!』

『んはああああああ〜!睦月ちゃん可愛い!択捉ちゃん可愛い!』

『…あ、違うんだ陸奥、これは決して変な事をしているわけではなくてだな!』

 

…あ、少し落ち着いてきた。

 

『私の敵は性犯罪者たちであり、その性犯罪者たちの代名詞であるロリコオオオオォォオオン!!!貴様なのだッッッ!!!』

 

小嶋提督がログインしました。…なんでだよ!?落ち着け。落ち着け俺。

 

『『駆逐艦娘はいいぞ』』

 

黙れ!2人して変な事言うな!長門教官は憲兵さんに連れてかれてろ。小嶋提督は川内と神通にシバかれてください。

 

『『(`0言0́*)<ヴェアアアアアアアアアアア!!!!』』

 

うるせぇ!2人して木組みの家と石畳の街にある、喫茶店で下宿している女子高生みたいな声で叫ぶな!

 

「どうしたの?」

 

「孤独な戦いを強いられていた」

めっちゃ心配そうに見つめられてるよ。しっかりしろ、俺。

 

「…なぁ、何で腕組むんだ?」

 

「私がやりたいからよ♪」

 

「そうですか」

悪戯が成功した子どもみたいに笑ってる。解いて欲しいが、そうしたらコイツは悲しむかもしれん。だって。

 

「行きましょう?」

 

「あいよ」

こんなに楽しそうなんだもん。

それから俺達はケータイショップへ行き、時間をかけてスマホを選んだ。流石にスマホを選ぶ時は腕を解いてくれた。余談だが、店員さんに素敵なカップルですね。とからかわれた。少し。ほんの少しだけ、優越感を感じた俺が居た。

…馬鹿野郎。何度でも言うぞ。俺が好きなのは、瑞稀だ。

 

 

………。

 

 

「お、空いてる」

スマホを買い、フードコートに行くとピークを過ぎたのか、人は少なかった。それでも多いが。

 

「何食べたい?財布に余裕あるから、何でもいいぞ?」

以前ここに時雨と買い出しに来た時、牛丼を食べたんだよな。

 

「…私以外の女性を考えていたわね?」

 

えっ、何故分かった…ああ、顔に出てたのか。

 

「顔に出てたか?」

 

「そんな顔する時は、他の女性を考えてる顔だもの」

 

うわーお、正解。良くわかるな。

 

「分かるわよ。貴方の事、よく見てたから」

 

「そ、そうか」

女性凄い。ん?よく見ていた?

 

「10年以上一緒に居たから分かるわ。…当時は、酷い事をしてしまったけど」

 

あぁ、そうなんだ。だから、表情だけで的確に考えてる事当てるのやめて。怖いです。

 

「怖がらないで、私は貴方の味方よ?」

 

仮面でも付けようかな。

バカな事考えてないで、席を確保しよう。おっ、あそこが空いてるな。荷物を置いて。

 

「何にする?」

席に置いてあるメニューを見て、どれにするか考える。

 

「うーん…ナポリタンにするわ」

 

「分かった。荷物頼む」

そう言って席を離れ、店の方へ向かう。俺は…カレーにするか。

店員さんに注文して料金を払い数分後、渡された料理をトレイに載せて静流の所へ向かう。

 

「お待たせ」

 

「ありがとう♪」

 

笑顔。今日はホントによく笑うな。無理している感じじゃない。心から楽しそうだ。

 

「冷めないうちに食べるか。いただきます」

 

「いただきます」

 

食材と調理してくれた人達に感謝し、料理を食べる。うまい。

 

「あら、おいしい」

 

どうやら喜んでくれたみたいだ。…あーあ、口周りがケチャップで汚れてる。

………。

 

 

『美味しー♪』

『男の料理だぞ。かなり適当に作ったんだが…』

『美味しいよ。だって、準が作ってくれたんだから♪』

『お前なぁ…あーあー、口周り汚れてるぞ?』

『えー?じゃあ、拭いて?』

『おいおい…仕方ねぇな。ほら、じっとしてろ』

 

 

「…」

 

「…どうしたの?」

 

「…何でもない」

瑞稀と付き合っていた頃、俺の家に遊びに来たアイツにナポリタンを作って食べさせてやった時の事を思い出していた。今度、アイツに作ってやろう。アイツと別れてから料理する様になったから、あの時より美味しい物を食わせてやれるはずだ。喜んでくれるかな。その前に。

 

「ほれ、口周り汚れてるぞ?」

 

「えっ、やだ!」

 

「じっとしてろ」

紙ナプキンで拭いてやった。ん?何だ、そんな不満そうな顔して。

 

「うー…私の方がお姉ちゃんなのに…」

 

「1つ違いだろ」

拗ねるなよ。

 

「でも…」

 

「気にすんなって」

見た目は超が付く美人でしっかり者に見えるが、実は少し抜けている所がある。簡単なミスをする所を見た奴らは信じられない物を見た様な顔をするが、完璧な人間なんて居ないと思っている俺はミスした所を見ても驚かなかった。逆にフォローしてやらなきゃ、って思ったね。

 

「うぅ〜…」

 

「そんな顔すんなって」

まったく。可愛い奴だよ。こんな顔を見ると、歳上とは思えない。こんな顔を見た奴、瑞稀と俺以外居ないんじゃないか?そう思っていると、何か閃いた様な顔をした。そして上品にフォークでナポリタンを巻いてスプーンに乗せて…

 

「はい、あーん♪」

 

「…は?」

俺に差し出してきた。ってオイオイオイ待て待て待て、待ちなさいって。

 

「あーん♪」

 

「な、なんで?」

戸惑う俺の顔を見て、益々嬉しそうに笑う。

 

「お姉ちゃんの口を拭いてくれたお礼よ?」

 

そんなお礼だなんて…うーん。断りたい。断りたいがそうしたら悲しむだろう。しゃあねぇ。

 

「あ、あーん…」

恥ずかしい。恥ずかしいぞ。あの、隣の席の奥さん方、ニヤニヤしながら見ないでください。数メートル離れてるけど、そんなに見られると恥ずかしいです。

 

「あーん♪」

 

無心だ。無心で食べろ。うん、美味い。ケチャップの酸味がいい。

 

「間接キスしちゃったね♪」

 

「ゴホッ!?」

キミィ!気にしない様にしてた事言わないで!あー、奥さん方、キャーキャー騒がないで。

 

「お前なぁ…」

 

「うふふっ♪」

 

そんなに嬉しそうにしちゃって。何がそんなに嬉しいんだ?

 

「あ、私、カレー食べたい。1口欲しいなぁ…」

 

…本当にどうしたんだ?とりあえず、食べさせるか。スプーンでライスとルーを掬い、静流に差し出した。

 

「あーん♪」

 

「…」

 

「あー♪」

 

「…」

 

「…」

 

無言。あの、なんで睨むんですか?

 

「…あーんって言って」

 

頬を膨らませながら言うな。上目遣いやめてください。恥ずかしいんだよ。

 

 

<ヘタレ

<ヘタレね

<キ○タマ付いてるのかしら?

 

 

奥さん方、ヤジ飛ばさないでください。あと、ここ、公衆の面前でキ○タマとか言わない。

 

「キ○タマ付いてるの?」

 

「おいコラァ!」

君まで言わないの!あーはいはい、言えばいいんでしょ、言えば!

 

「…ほら、あーん」

 

「あーん♪」

 

結構大きく口開けられるんだね。あれか?鍛錬の時に由良に魚雷口に突っ込まれまくってるから、顎の関節が柔らかくなってるのか?ちょっと由良さんとお話しなきゃ。

 

「ん〜♪」

 

「ちょ、おい」

スプーンを口に入れたと思ったら、なんて言うの?カレーじゃなくてスプーンを味わっている?

 

「ふふっ♪」

 

「っ!?」

一瞬だけ、恍惚とした顔になった気がした。

 

「とっても美味しかったわ。ありがとう♪」

 

「あ、あぁ…」

見間違い、か?いや、でも…。

 

「はい、あーん♪」

 

「あ、あーん…」

疑問に思う俺を他所に、静流は再びナポリタンを差し出してきた。とりあえず、食べる事に集中するか。間接キスの事は考えるな。

それから、互いの料理が無くなるまで食べさせ合うという、ある意味罰ゲームを続ける事になったと言っておく。

…これ、浮気になるのかな。

 

 

…………。

 

 

「ふふっ♪」

 

凄く楽しそうにしてるよ。

フードコートを出た俺達は、皆のお土産を買う事にした。形の残る物より、食べ物の方がいいと静流からアドバイスを貰い、少しお高いお菓子を買った。これなら、あいつらも喜んでくれるだろう。

 

「さて、そろそろ帰りましょう?」

 

「もういいのか?」

 

「えぇ、満足よ。それに、そろそろ帰らないと道が混むかもしれないから、拙いわ」

 

時刻は16:45。確かに。そろそろ帰らないと、夕飯に間に合わなくなる。駐車場に向かい、車の鍵を開け、トランクに荷物を入れる。

 

「帰りは私が運転するわ。付き合ってくれたお礼って訳じゃないけど」

 

「そうか。頼む」

車に乗り、ベルトを締める。

それから、順調に鎮守府へ向かった。

 

「楽しかったか?」

信号で停車した時にそう聞いた。

 

「えぇ、とても♪」

 

「そうか」

この様子なら、大丈夫そうだな。最近、元気が無かったり思い詰めた顔をするから心配だったんだ。

 

「そういや、フードコートでの事なんだが…」

 

「フードコート?」

 

「あぁ。なんで、あんな事したんだ?」

疑問に思ったので、思い切って聞いてみた。

 

「…貴方を試したのよ」

 

「試した?」

 

「そう。貴方は瑞稀と再び付き合う事にした。だから、デレデレしないか試したの」

 

真剣な顔でそう言った。

 

「少し恥じらったり、戸惑いはしたけど、デレデレしなかった。だから、合格よ」

 

「は、はぁ」

そういう意図があったのか。

 

「ふふっ、この様子なら、大丈夫そうね」

 

「お姉ちゃんから合格貰えて良かったよ」

軽く茶化す。くっそぉ…やられたぜ。

 

「ねぇ」

 

「ん?」

なんだよ、そんな、妖艶な笑みを浮かべて。

 

 

 

 

 

 

「オンナの身体に、興味ある?」

 

 

 

 

 

 

「…は?」

いきなり何を言い出すんだ?

 

「貴方、耐性が無さそうだから、簡単に堕ちそうで心配なの。私が腕を組んだだけで、顔赤くして物凄い慌ててたから」

 

確かに。コイツに腕を組まれた時、めっちゃテンパった。それに、その…興奮してしまった。

 

「そういった事にも少しくらい耐性付けなきゃダメよ?ああいった反応を見ると、益々からかわれる恐れがあるわ」

 

うーん…言われてみれば。

 

「だから…」

 

ん?なんだ?夕陽を帯びた美しい白髪が、神々しく見える。それに、妖艶な笑みを浮かべている。そんな姿に思わず見とれていると。

 

 

 

 

「私で少し、お勉強してみない?」

 

 

 

 

優しい声で、俺の目を見ながらそんなことを言った。

 

「…あー、授業料は幾らだ?」

心臓の鼓動が煩い。物凄くドキドキする。それに、興奮した。けど、駄目だ。俺が好きなのは、瑞稀なんだ。これは決して変わらない。

きっと、俺をからかっている。いや、試しているんだ。そう思うと冷静になれた。だから、ふざけた口調で言い返してやった。

 

「授業料?そうね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方のカラダで」

 

「…」

何を言っているんだ?ホントにどうしたんだ?疑問に思っていると。

 

「…ふふっ、何その顔」

 

「…ぁ」

突然噴き出したあと、そう言った。おいおい、またからかわれたのかよ。

 

「少し危なかったわね。気を付けなさい」

 

「…ああ」

気が付くと、車は再び走り出していた。

それから静流と会話をしたが、内容は殆ど覚えていなかった。数時間後、鎮守府に着き談話室に居た皆にお土産を配った。とても喜んでくれた。瑞鶴は料理当番で居なかった。涼月は工廠のクレーンに吊るされていた。何をしたんだ、お前は…。

 

………。

 

(静流…)

廊下からぼんやりと海を眺める。気が付くと、静流の事を考えていた。

俺は何をやっているんだ。こんな事で揺らぐな。静流は俺を思ってあんな事をしたんだ。惑わされるなよ。

 

「準、おかえり」

 

「た、ただいま」

ボーッとしていると、瑞稀が声をかけてきた。

 

「そろそろ夕飯出来るから呼びに来たんだけど…どうしたの?」

 

「夕飯が何か、考えていたんだ」

 

「そうなんだ?今夜は私特製の肉じゃがよ♪」

 

「そうか、楽しみだ」

確か、コイツが俺に初めて作ってくれた料理も肉じゃがだったな。ダークマターだったが。

 

「あー、私が初めて作ってあげた時の事、考えてるでしょ!あの時と違って美味しく作れたから安心して♪」

 

「そうか。楽しみにしとく」

頭を切り替えろ。

嬉しそうに笑う瑞稀と会話しながら、俺は食堂へ向かった。

 

 

side 提督 out

 

───────

────

 

 

Another side

 

「…くくっ」

あの顔。あの驚いた顔。あんなに目を見開いて。

 

「とっても可愛かったな♪」

それに、貴方を試したという嘘を簡単に信じてくれた。

 

「うふふっ♪うふふふふふふ♪」

楽しい。

楽しい。

楽しい!

 

「とっても楽しい!」

今まで沢山頑張ってきた。

今まで妹の見本になる様振舞ってきた。

今まで沢山我慢してきた。

そろそろ、ご褒美を貰ってもいい筈だ。

そうよ。そうじゃなきゃ、生きてきた意味が無い。

 

「労働には対価が必要な様に、今まで頑張ってきた私にもご褒美が無くちゃ♪」

少しくらい、我儘してもいいでしょ?神様?

 

「あはっ♪あはははははははははは!!!!」

気持ちいい!

気持ちいい!

気持ちいい!!!

こんな気持ちになるの、初めて!!!

 

「あはぁ…彼の、唾液が…」

私の身体に入り、私と1つになった。それだけじゃない。私の唾液も、彼の中に入って1つになってくれた。

 

「嬉しさのあまり、思わず舐めてしまったわ。気を付けないと」

彼にあーんして貰った時、嬉しくて興奮のあまり彼が口を付けたスプーンを舐めてしまった。そのせいで彼に不審に思われてしまった。まだよ、まだ悟られてはいけない。

 

「まだまだ、これからなんだから」

そう。まだ早い。もっと、もっとゆっくり、たっぷりと、彼の心に私を刻んであげる。

覚悟しててね、準♪

 

Another side out

 

───────

────






次回予告


提督、大丈夫か?顔色が真っ青だけど。…え?は?嘘…だろ…榛名さんと山城さんが、来るのか?ここに?…あー、用事を思い出したから実家に帰るわ…離せ!あたしだってまだ死にたくないんだ!流石のアタシでもあの2人、特に山城さんは無理だって!泣くな!離せー!


第18話・瑞雲を崇めよ!


「これが本当の、瑞雲ラリアットよ!」
















GW終わっちゃった…瑞鶴の紐パン食べたい…食べたくない?食べたいでしょ?食べたいって言え(迫真
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