誤字報告をして下さった、
神羅様。紅月鬼様。MWKURAYUKI様。CB様。
この場をお借りして御礼申し上げます。
由良さんは可愛い。いいね?ねっ?
side 提督
─工廠─
「ハァ…ハァ…やっと、捕まえた」
瑞鶴がハァハァしてる。汗ばんでてエロい。
「ふふっ…随分と手古摺らせてくれましたね…」
翔鶴が鋭い目で俺を睨む。汗ばんでて少し色っぽい。
「ダメですよ、提督」
涼月が満面の笑みを浮かべながらそう言う。いつも通りだ。汗はかいていない。
「…なぁ、これ、外してくれよ」
どうも、皆さん。間違えた。ドーモ、ミナ=サン。テイトク=デス。今、俺は全身をアニメや漫画みたいにロープでぐるぐる巻きにされ、工廠のクレーンに吊るされています。何でこうなってるかって?聞いてくれ。実はな。
「山城達が来るからって、逃げようとしないで!」
そう。瑞鶴が言ってくれたが、今日、ついに地獄が始まる。
佐世保鎮守府から、金剛型戦艦三番艦榛名と、扶桑型戦艦二番艦山城が、第603鎮守府に異動してくるのだ。どんな奴らかって?
本日異動してくるイカれたメンバーを紹介するぜ!
箱入り娘故、少し世間知らずな、俺の貞操を虎視眈々と狙う妄想全開な暴走超特急お嬢さん、榛名!
お姉様一筋、俺をお姉様と結婚させて俺の妹になりたい、クレイジー・サイコ・シスコン、山城!
以上だ!
「本当に貴方、人間なの?」
失礼な事言うな翔鶴。俺はれっきとした人間だぞ?…人間だよね?今度実家に帰省したら爺ちゃんに聞いてみよう。
「バイクで崖を登るなんて。素敵です、提督」
うっとりした顔で俺の股間を凝視しないで、涼月。
このまま鎮守府に居たら胃袋を吐き出す自信があった俺は、逃走を図った。本日の秘書艦、由良にノーザンライトボムをかました後、車で逃走しようとしたんだ。しかし、すぐに復活した由良に瑞雲ラリアットをかまされて、車は大破。慌てて車から飛び出し、車の爆煙に紛れて軍用バイクに乗って車庫から脱出。車とバイクの鍵両方持って来といて正解だった。
「どこぞのデビルハンターみたいに、崖をバイクで登った時点で人間じゃないと思うよ、翔鶴姉」
だって、そこ以外逃げ道無かったんだもん。
バイクで鎮守府からサラダバー!しようとしたが、そうは問屋が卸さない。正門前で俺が逃げ出さない様に待機していた瑞鶴に爆撃され、慌てて逃げ道を探したら崖があった。登るしかねェだろ!という事で崖を登ったんだが、翔鶴の操る艦載機にタイヤを撃ち抜かれ、バイクは大破。そこからロッククライミングして崖を登りきり、駅に向かって走ろうとしたら、崖を登って追っかけてきた涼月に捕まった。なんだよ、あの速度。反則だろ。普段の3倍以上の速度が出てたぞ?普段俺を追っかける時は本気じゃないのか?
「舌を噛み切って死んでやらァ! 」
こうなったら、潔く逝ってやる!
「ダメです」
「オゴォ!?」
口に何か突っ込まれた!?魚雷?げぇっ、由良ァ!
「提督さん、死んじゃダメですよ。いいですね?ねっ?」
チキショウ…。
という訳で、俺はこうしてロープでぐるぐる巻きにされ、吊るされています。
………。
─執務室─
「あっ、そろそろ実家の爺ちゃんが寂しさのあまりキュ○ピースに変身しちゃいそうだから、帰るね」
「ダメですよ」
クソァ!!
「なぁ由良、逃げないから、せめてこの鎖外してくれよ」
首輪付けられて鎖に繋がれてる。俺は猛獣じゃないぞ。
「外したら、由良のお股触るでしょ?」
「触んないよ!」
ノーザンライトボムかまされた事根に持ってるな。
「…分かったよ、逃げねぇよ。逃げないから鎖と首輪を外してくれ。これ見た榛名と山城が暴走するかもしれん」
榛名はチャンスとばかりに襲い掛かってくるだろう。山城は虐待を受けていると勘違いして鎮守府を更地にしかねん。
「うーん、仕方ないですね、外します。信じてますからね?ねっ?」
「腹決めたよ。だから逃げない」
本当だよ?テイトク、ウソツカナイ。
手際よく鎖と首輪を外す由良。さて、待ちますか。
現在時刻、13:55。悪魔達が来るのは14:00。さぁ、どっからでもかかってこいや!
「…遺書書いとこ」
やっぱ怖いから、念の為。えーと、瑞鶴は俺の嫁、と。
「由良がお護りします。だから、書かなくていいですよ」
「由良ぁ…」
そうだ。こいつは我が鎮守府最強の艦娘様なんだ。何をビビってんだ。…いや待て、涼月かもしれん。だってあいつ、瑞雲ラリアットを数百発喰らっても立ち上がるんだもん。今度、由良とガチの演習させてみるか。
「戦艦って頑丈ですけど、艦底に穴が開けば沈みますよね?なら、爆雷ぶち込めば倒せますね?ねっ?」
何処ぞのMMDドラマの由良みたいな事言わないで!続編、心よりお待ちしております。おっと、ノックされた。戦う理由は見つかったか?
『提督さん、本日着任された方達をお連れしました 』
瑞鶴が連れて来てくれた。
「帰ってもらって」
…あ、やべ、思わず言っちゃった。
『は?何言って…ちょ、山城?艤装展開して何を…』
あ、聞こえてたみたい。ボクちょっとポンポンペインだから帰…
「C'moooooooooooooon!!!!!」
「ぬわーーーーーーー!!!」
吹っ飛んだ!結構いい値段した執務室の扉が!チキショウ、次からは安いヤツにしてやる!じゃなくて、やばいよコレ。由良、戦う準備は…出来てるみたい。めっちゃイイ笑顔で艤装展開してるよ。
「…提督、まだ生きてますか?」
君のせいで死にかけました。
「久々の再会なのに、酷いじゃない。不幸だわ…」
あぁ、うん。不幸だね。主に俺が。黒煙から悠々と歩いてくる。艤装デカイな。流石、和製デン○ロビウム。少し男心をくすぐられる。
「あんたは扶桑姉様と結婚して私のお兄様になってくれなきゃ…困るのよ」
相変わらず意味不明な事言わないで。あ、決して扶桑さんの事が嫌いとかじゃないからね?
「あらあら、元気のいい方ですね?ねっ?」
「…誰よ、あんた」
おぉん、眼光鋭すぎィ!チビりそう。
「申し遅れました。第603鎮守府所属、長良型軽巡洋艦四番艦の由良です。以後、お見知りおきを」
「扶桑型戦艦二番艦、山城よ」
自己紹介し始めたぞ。まぁ、山城はあんなんだが、俺や扶桑さんが絡まなければ基本礼儀正しい娘だ。家で厳しく躾られたって言ってたもんな。それなら、もう少し穏やかな性格になってもいいんじゃない?とりあえず、ここでドンパチされると迷惑だから表でやってね。あ、俺のせいでこうなったか。反省してまーす。…ん?そういや榛名が大人しいな。佐世保で大人しい性格になったのか?
「ハァ…ハァ…」
「」
なってなかった。いつの間にか俺のすぐ側に居てズボンのベルト外してた。あ、コラ、チャック下ろそうとしない。力強いな。離れないぞ。こうなったら。
「瑞鶴ゥ!助けてぇ!」
困った時のメインヒロイン。必ず助けてくれる!って、アレ?
「」
ウソダドンドコドーン!瑞鶴が!メインヒロインの瑞鶴が!うつ伏せになって尻突き出して白目剥いて倒れてるゥ!あ、白…何見てんだ。違うだろ!もっと見ていたいけど、今はその時じゃない。山城の砲撃の余波でダウンしたのか?
「はい、榛名が締め落としました♪」
お前ー!自分が何したか分かってんのかーーー!!!満面の笑み浮かべながらなんて事してくれちゃってんのーー!?あ、山城、砲弾装填しないで!由良、甲板に瑞雲セットしないで!ここじゃなくて表!表でやって!!
「さぁ、提督、榛名と【自主規制】しましょう!」
「やめろおおおおぉぉぉ!!!」
「待ちなさい、榛名!提督の貞操は扶桑姉様に捧げるものなのよ!」
「由良の瑞雲ラリアットは、108式までありますよ?簡単に壊れないでくださいね?ねっ?」
ああああああ!カオスだああああああああああ!!!
──────────────
─第603鎮守府、演習場─
執務室がカオスに包まれた時、ゾンビがやって来た。更なるカオスへ包まれるかと思いきや、榛名と山城を長10cm砲ちゃんストライクでぶちのめし、気絶させてくれた。ホントに君、駆逐艦なの?と疑いたくなる火力だ。横須賀に、駆逐艦の皮を被った重巡と呼ばれる、【狂犬】の2つ名を持つアイツが居るんだ。涼月が出来ても不思議に思わん。
ああ、そうそう。2人が目を覚ました後、このままだと埒が明かないから演習で決着をつける事にした。山城が勝てば、扶桑さんの居る佐世保に連行されて結婚カッコガチさせられる。由良が勝てばそれを無しにする、と勝手に決められた。あの、俺の意見を聞いてからにしてくれませんかね?何で勝手に決めてるの君達。とにかく、彼女達は沖に行った。なら、チャンスだ。
「さて、今のうちにコンビニ行くか」
そして逃げる。
「ダメよ、提督さん」
そう言わずに、行かせてくれよ瑞鶴。腕組まないで、嬉しいけど。
「私も一緒に行きたい」
「分かった。一緒に行こう」
そうと決まれば車…大破してるんだった。バイクも。なら、自転車だ。後ろに瑞鶴を乗せて自転車を漕ぐ。昔を思い出すな。
「自転車なら、涼月が壊しておきました♪」
自転車の前輪とハンドルを持った涼月が微笑んでいた。
貴様〜ッ、許さんッ!君、最近バイオレンスになってきてない?
逃げ道は絶たれた。ここから最寄りのコンビニまで、徒歩だと片道2時間以上かかるぞ。無理だ、諦めよう。
「貴方と一緒なら、徒歩でも苦じゃないわ」
「よし、行くか」
そうだ。俺と
「逃がしません♪」
邪魔しないで涼月。俺は瑞鶴と愛の逃避行するの!
『こちら、由良。提督さん、準備整いました』
『こちら、山城。いつでもいいわ。あと、逃げたら砲撃するから』
無線から2人の声が聞こえた。仕方ない。やるか。
「瑞鶴、愛の逃避行はまた今度だ。次の休み、俺と一緒に温泉行くぞ」
先日、スマホで良さげな所見つけたんだ。楽しみだ。
「うん!楽しみにしてるね♪」
両手を後ろに組んで足をクロスし、少し前屈みになって俺を見つめ微笑む。可愛い。
「温泉宿って、砲撃で壊せますよね…」
涼月、やめなさい。長10cm砲ちゃんが申し訳なさそうに俺と瑞鶴に頭下げてる。可哀想。
「…ゴホン。では、これより、由良VS山城の演習を始める!ルールは、どちらかが先に大破したら終了だ。使用武器に制限は無いが、目潰し、噛み付き等の過剰な攻撃を行った場合、それらを行った者を即敗北とする。では、演習始め!」
さて、由良。勝ってくれ。でないと、俺は山城に拉致られて扶桑さんの居る佐世保へ連行される。
「榛名、縛りプレイなんて初めてで…少し、興奮してしまいます」
榛名?瑞鶴と涼月に鎖で拘束されてる。何度鎖で拘束しても戦艦のパワーで引きちぎるから、大人しくしないと嫌いになる、と脅して大人しくさせた。拘束しなくても良かったが、いつズボンを脱がされるか分からんから念の為。気休めにもならないと思うが。ちなみに、さっきの瑞鶴との会話はヘブン状態になってたから聞かれていない。聞いてたら真っ先に反応して襲いかかって来てる。
side 提督 out
───────
────
─
side 由良
「さて、久々の戦艦ね」
ここに来る前はよく相手にしていたけど、最近殺ってないから感覚が少し鈍っていそう。でも、そんな事言っていられない。負ければ、彼が佐世保に連れて行かれてしまう。異動する、という意味ではなく、山城さんのお姉さんの所に連れて行かれ、結婚させられてしまうかもしれない。
「提督さんは、由良の大切な人なのに…」
大切な人、とは言ったが、恋愛感情のソレではなく、相棒的な意味だ。周りから狂人だのキ○ガイだの言って、疎ましく扱う輩とは違う。
「奪わせない」
奪われてたまるか。
ここに移動する前、チラッと山城さんの艤装を見たところ、飛行甲板を装備していた。砲塔は3つ。どうやら第一次改装の様ね。第二次改装を受けていると、砲塔は4つになる。第一次改装は初期状態より火力は下がるけど、その分、瑞雲による航空支援を行う事が可能になる。更に砲塔が減った事により、旋回などの足回りが改善されている。第二次改装は足回りをそのままに、火力を初期状態より大幅に向上させた物。だから、今回は死ぬ気で戦う必要はなさそう。
「それでも、油断しちゃダメ」
油断は死に繋がる。どんな相手でも、決して油断してはダメ。油断した奴から死体になる。今まで数え切れないほど見てきた。…いつも通り。いつも通りやるのよ、由良。私は長良型軽巡洋艦四番艦の由良。
『演習、開始!』
彼の声が無線から聞こえた。
さぁ、
「
『喰らえっ!』
山城さんの勇ましい声が無線越しに聞こえる。それと同時に砲声。戦艦の長射程を生かしての開幕砲撃か。音を聞くに、41cm砲ね。少し感覚を取り戻す為に、暫く撃たせよう。
轟音。
風切り音。
弾着。
大体、20,000m。由良の数十m近くに弾着。
「だからって、油断しないんだけど、ねっ!」
そう。例えどんな相手だろうと、油断すれば死ぬ。油断するのは、あの鎮守府で、彼や彼の部下達の傍に居る時だけ。
「あっ」
エンジン音が聞こえた。瑞雲を飛ばしてきたみたい。気を引き締めなきゃ。
砲撃に加え、瑞雲からの爆撃が始まった。砲弾や爆弾の風切り音が聞こえてから回避したのでは、遅い。予測しなきゃ、直撃を回避出来ても海面に叩きつけられて破裂した鉄の破片を浴びる事になる。1、2発なら大した事ないけど、何度も喰らえば致命的になる。
「よっ、と」
うん、ドンピシャ♪
風切り音。
弾着。
破裂音。
何度も何度も聞こえる。
艤装の加護のお陰でそこまで煩く聞こえないけど、私が艦娘になる前に聴力を殆ど失ってしまったから、加護が無くても耳を痛める事は無い。普段は艤装の力で彼や彼の部下達の声を聞こえる様にしているから、日常生活を問題なく過ごせている。艤装様様ね。
「大分距離を詰められた」
私と山城さんとの距離は10,000mを切った。ここからは勘や予測だけでは避けられない。フェイントを織り交ぜながら接近する度胸と覚悟が必要になる。
「っ!」
機銃も撃ってきた。けど、駄目ね。この距離から当てようとしてる時点で駄目。もっとバラ撒いて動きを阻害させなきゃ。焦ってるの?それとも、誘い込む為の演技?心理戦は苦手だから、またアノ戦艦から教わりたいなぁ。今、何処に居るんだろう?おっと、いけない。考え事をしてる暇は無いわ。山城さんと殺り合っているのだから。相手をよく見なきゃ。
「ッッッ!!!」
強化された視力が捉えた。山城さんの顔。それに、あの殺気。
直感で分かった。一斉射撃をしてくる!
「艤装、動力停止!」
自分の勘を信じ、艤装の動力を停止させ、その場に完全静止する。艤装の動力を動かしたままだと、急停止できない。だから、一時的に停止させる。
直後、由良を中心に、数十m先に次々と砲弾と瑞雲から投下された爆弾、機銃の雨がゲリラ豪雨の様に降り注いだ。…うん、ドンピシャ♪
艤装を再起動。ごめんね、負担かけちゃって。しっかり整備してあげるから、許してね?ねっ?
『なっ!?』
焦った顔してる。演技?それとも、素?
「見かけは派手だけど、当たらなきゃ意味が無い」
気分は倍返しされたグ○カスタムね。ノ○ス大佐の胆力凄いわね。由良、冷や汗ダラダラになっちゃった。もっと鍛えなきゃ。
「この距離なら!」
無駄弾を撃たない様、今まで我慢してきた。けど、もう我慢する必要は無い。狙うは、砲身。山城さんに直撃させても、軽巡の砲じゃ火力が足りない。
獲物との距離は、約1,000m。
『やったわね!』
第2砲塔に直撃。判定はカスダメ。駄目ね。なら、何度もぶち当てればいい。
軽巡の機動力を生かし、山城さんを翻弄しながら砲撃。
撃つ。
直撃。
撃たれる。
避ける。
それを繰り返す。
獲物との距離、約500m。
「うっ!」
あーあ、機銃の弾が当たっちゃった。けど、大した事ない。当たったのは胸。アノ戦艦に倣って強化装甲パッド付けてたけど、衝撃で一瞬呼吸が止まっちゃった。骨と内臓に異常は無い。まだまだ戦える。
『ちょこまかと!』
あらあら、撃つのに夢中で…
「棒立ちですよ?」
棒立ちと言ったけど、山城さんは移動している。けど、私から見ればその動きは棒立ちも同然。砲塔に砲撃し、1つを使用不能判定にした。
『こ、んのぉ!』
怒りは正常な判断が出来なくなりますよ?どんな時も冷静に。むしろ、ボロボロになる事を楽しまなきゃ!
「くくっ…」
嗚呼、駄目よ、由良。楽しんじゃ、駄目。抑えるのよ。
「くくくっ…」
あはっ、あははは。
「クハハハハハッッッ!!!」
駄目だ。抑えられない。楽しい。楽し過ぎて笑っちゃう。
砲声が。
怒号が。
硝煙の匂いが。
『ひっ!』
艤装によって強化された視力で、由良の顔を見て悲鳴をあげた。失礼なヒト。蜂の巣にされた死体よりはマシな顔よ?
獲物との距離、約100m。
「全弾持っていけ!釣りは、要らない!!」
主砲、副砲、魚雷を思い切りぶっ放す!
正確に狙いを定める必要は無い。
相手に殺意を叩き付ける事が出来ればいい。
ただ、心をへし折る。
1発1発全てに殺意を込め、叩き付ける。
演習弾だから沈まないけど、それでも恐怖は感じる。
痛い?
怖い?
頭がおかしくなりそう?
でも、大丈夫。これは演習だから、死体にはならない。
良かったですね、これが演習で。
『ぁ…ぁぁ…』
震えてる。まだ小破ですよ?あなた、戦艦ですよね?
戦艦なら、軽巡の由良より、
ズダボロになってからが本番なのに。
何故心が折れてるんですか?
おかしいなぁ。
甘いなぁ。
そんな覚悟で戦場に立つなんて。
「甘々ですね?ねっ♪」
砲塔は1つ潰した。まだ2つ残っている。戦える筈ですよ?あらあら、腰抜かしちゃった。
『ま、待って、待って!』
待ちません♪
さっき全弾撃ち尽くしちゃったから、アレで決めちゃいましょう♪
残弾ゼロの主砲を投げ捨てる。
飛行甲板を水平に構えて。
甲板上に瑞雲をセット。
今回は特別サービス♪
瑞雲を全機、ご馳走します♪
『な、何を!?』
艤装出力、全開!
主機が唸りをあげる。
もっと。もっとだ!
暴走する一歩手前まで出力を上げる。
これ以上は艤装が爆発する。それ程まで出力を上げる。
一歩間違えれば大爆発。でも、上手くすれば普段の倍近くの速さで動き回れる。
…よし、行きましょう。
カタパルトから射出される戦闘機の如く、海面を走る。
『くっ、来るな!』
やぶれかぶれの砲撃。当たらない。何処を狙っているの?
機銃を撃たれる。
直撃するけど、構わない。コイツを倒せば終わるから。
損傷軽微。小破程度。問題無い。
あなたには、特別な瑞雲ラリアットを御見舞してあげますね?ねっ?
左手を真横に伸ばす。
推定40ノット超えのまま、山城さんの首目掛けて、飛行甲板を叩きつける!
「ぐおっ!?」
直後、大爆発。
飛行甲板を切り離し、離脱。
由良の損傷は、中破。山城さんは…。
『そこまで!山城、大破!由良、中破!よって、勝者は由良!』
彼の声が聞こえた。良かった、殺れて。
いつもの倍以上の瑞雲でかましたから、大破しないか冷や冷やしたけど、上手くいって良かった。
「たまには、博打もしてみるものですね?ねっ?」
戦場では決して博打はしない。でも、これは演習。死体になる心配が無いから出来た。
「これが本当の、瑞雲ラリアットよ!」
…あっ、いけない。素が出ちゃった。気を付けなきゃ。
とりあえず、このボロ雑巾を引き摺って行かなきゃダメですね。ねっ。…死体と気絶した人間は相変わらず重い。
side 由良 out
───────
────
─
side 提督
「久々に出たな、由良劇場」
いつ以来だろう。山城が少し、ほんの少しだけ気の毒に思った。由良劇場を見せられて正気を保てる奴って居ないんじゃない?
「由良劇場って、何?」
瑞鶴が質問してきた。
説明しよう!由良劇場とは、由良の、由良による、由良の為の劇場である。以上!
…真面目に説明するとだな、マジキ○スマイル浮かべて、狂った様に高笑いしながら、頭がイカれてるとしか思えない行動をしてくる由良の様子をそう呼ぶ。足柄が名付けた。
ちなみにだが、顔は狂乱状態の我妻○乃さんを思い浮かべてくれ。分かる人には一発で分かるはずだ。分からない人はニ○ニコ大百科で「狂乱ピンク」と検索してくれ。ただし、調べる時は覚悟しておけ。精神的ダメージ負っても責任取らないからな?
「…あの娘、怖い」
まぁ、そうなるな。けど、根はとってもいい娘なんだぞ?ただ、艦娘になった経緯と、その後の扱いのせいで壊れてしまった。あの娘は。由良は。ただ、愛されたいだけなんだ。自分を理解し、傍に居てくれる人が欲しくて。自分の居場所が欲しくてああなった。
「…」
由良がここに来て、もうじき1年か。何か、プレゼントしてやろうかな。
「は、榛名は…放置されても…大丈夫…です…」
そういや、コイツが居たんだった。
さて、事後処理しますか。
side 提督 out
───────
────
─
Another side
「貴様!何度言えば分かるんだ!」
分かりたくないよ。私は、アンタに従う為にここに来たんじゃない。
「強いからって調子に乗るな!」
アンタの為に強くなったんじゃない。あの人に尽くす為に強くなった。
「いつまでもふざけた態度を取るなら、解体するぞ?」
「出来るものならしてみれば?」
「なっ!?」
私の言葉に面食らってる。何その顔。
それに、私を解体すれば、大騒ぎになる。それ程までの貢献をしてきた。
「話は終わり?じゃ、私帰るね」
「おい、待てっ!」
後ろから雑音が聞こえたけど、無視して執務室を出る。
「…はぁ」
何でこんな所に配属されちゃったの?何で?
「つまんない」
時雨になったお姉ちゃんは、彼の所に居る。羨ましい。
週に一度、必ず連絡が来るけど、最近はそれを疎ましく感じる様になっちゃった。
「以前は、絶対行ってやるんだ!って気持ちになって頑張れたんだけどなぁ…」
つまんない。つまんない。つまんなーい!
何度も配属変更届を出してるのに、一向に受理されない。
「うぅ〜ッ!」
最近、口癖も減っちゃった。ストレス溜まってるのかな?
「ちょっと、トレーニングでもして憂さ晴らしするっぽい」
逢いたいよ…渡良瀬さん…
Another side out
───────
────
─
次回予告
この鎮守府も、賑やかになりましたね。司令官は…胃袋を吐き出しそうな顔をしていますが。ふふっ、心配しないで、司令官。早霜が、お支えしますから。うふふっ、うふふふふ…榛名さん、司令官のズボンを脱がそうとしないで。…なに、私と殺る気なの?いいわ。お相手します。
第19話・提督は大丈夫じゃないです
「提督は、榛名の初めてを奪ったお方なんです!」