追跡鶴   作:EMS-10

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第24話・よろしい、ならば爆撃だ

 

side 提督

 

 

─某県、某所─

 

 

「…はぁ」

扶桑さん襲来まで、あと1日。ついに明日だ。

精神的にボロボロだったせいで、一昨日からまともに仕事が出来ない。そんな俺を見かねた瑞鶴が、気分転換に出かけたら?と提案してくれた。提督が居なくちゃ、成り立たないだろ!と反論したが、

 

『仕事をまともに出来ない人が居ても、無意味』

 

と言われてしまい、強制的に休みを与えられた。なので、気分転換に1人で出かけている。勿論私服だ。逃走したい。だが、それは無理だ。何でかって?それは。

 

ジ〜…

 

俺のショルダーバッグに、監視役として瑞鶴の艦載機妖精さんが居るからだ。その他、GPS付き盗聴器も仕掛けられている、との事。いや、あの、盗聴器発見器使ったのに見つけられないって、どういう事なの?結構いい値段した奴なんだよ?何で見つけられないの?

 

「…はぁ」

何度目か分からない溜息を吐く。こんなんじゃダメだ。休みを貰ったんだ。楽しまなくては。胃潰瘍は昨日、瑞鶴の唾液を摂取したから回復している。艦娘の唾液って凄い(小並感)。

現在、俺は隣県のショッピングモールに来ている。先日、涼月に壊されたディー○ストライカーを再び作る為、プラモ屋に向かっている。ネットで買えばいいだろって?その手もあるが、直接プラモ屋に行って店内のプラモを見ながら探す、という楽しみを味わいたいから来ているんだ。分かる?この、ドキドキワクワク感。子どもの頃に戻った様な感覚って言うの?とにかく、楽しみたいから、来ている。

 

「…ん?」

プラモ屋に向かう途中、見覚えのある後ろ姿が見えた気がする。あれは。

 

「小嶋提督?」

第8492離島鎮守府の提督、小嶋英雄准将がいた。私服姿だが、見間違いじゃない。プラモ屋に入って行く姿が見えた。

 

「小嶋提督、プラモに興味あるのか?」

もしそうなら、語りたい。俺は後を追った。

 

「ふむ…エ○オンは素晴らしい。飛び道具を持たぬのに、あの活躍。いいものだ」

 

エ○オンのプラモを見ながら、呟いている。小嶋提督の声、子○武人さんっぽいから、少しシュールな気がする。周りの人達も、小嶋提督の声に反応してざわついてる。

 

 

<あれ、子○さん?

<いや、違う人みたいだ

<声似すぎわろた

<めっちゃイケメン。抱かれたい

 

 

最後の人、やめとけ。その人、ロリコンで若干ホモだから。マジでヤられるぞ?

 

「…ん?」

 

やべっ、目が合っちゃった。

 

「あぁ、渡良瀬さん、お久しぶりですね」

 

「ど、どうも」

渡良瀬提督、と呼ばれない事に違和感を覚えるが、そうか。今、俺達はプライベートだったんだ。

 

「渡良瀬さんも、プラモを見に?」

 

「えぇ、小嶋ていと…小嶋さんも、でしょうか?」

あっぶね、思わず小嶋提督って言いそうになった。提督適性者って少ないから、俺達が提督だとバレると色々厄介な事になる。気を付けよう。

 

「はい。先日、MGエ○オン【EW版】を壊してしまいまして…」

 

「うわぁ…」

キツい。精神的ショック受けただろうな。現に、めっちゃ落ち込んだ顔してるし。

 

「渡良瀬さんは?」

 

「俺…私は、ディー○ストライカーを壊されまして…」

 

「うわぁ…」

 

めっちゃ同情的な視線向けられた。

 

「…ん?壊された?」

 

「はい、壊されました…包丁で」

 

「包丁」

 

小嶋提督、顔、青ざめていますよ?

 

「…実は、私も包丁で壊されたんです」

 

マジかよ。誰に?

 

「…この話は、やめにしません?」

 

「…そうですね」

これ以上は壊された時の事を思い出しそうだから、やめよう。

 

 

…………。

 

 

「渡良瀬さんは、本日お休みで?」

 

「あー、そうです」

プラモ屋で、それぞれ探していた物を見つけ購入し、俺達は近くの会員制バーに来ていた。このバーは会員でなければ入る事が出来ないが、小嶋提督がここの常連らしく、連れとして俺も入る事が出来た。個室なので会話が他人に聞かれる心配が無い。妖精さんと盗聴器?知るか!瑞稀に聞かれて困る事なんか話さない。だから大丈夫だ。

俺は、小嶋提督に、どうして休みなのか話した。

 

「その、本当にお疲れ様です」

 

休みの理由を話すと、そう言われた。いやいや、俺よりも小嶋提督の方がお疲れなんじゃないですか?作戦指揮やら書類仕事やらが俺よりも大変な筈。

 

「私も、似たような事がありまして…」

 

「似たような事?」

 

「はい。その…彼女、阿武…鈴木くんの対応が…」

 

艦娘の名前を言うのはマズい為、本名を言う小嶋提督。

鈴木…つまり、阿武隈だ。あいつ、俺にご執心だからなぁ。小嶋提督曰く、あれから数ヶ月経つけど、未だ暴走しているそうだ。

 

「川…長瀬くん達が抑えてくれていますが、最近は手が付けられなくなってきました」

 

長瀬とは、川内と神通の苗字だ。最高練度の川内や神通が抑えられないって、どんだけだよ。

余談だが、川内と神通は姉妹だ。更に、川内達にはもう1人、妹が居る。その娘は横須賀鎮守府所属だ。海軍のアイドル艦娘、那珂ちゃんとして世間に知られている。彼女の歌は聴くと元気になる。

 

「なんか、その、すみません」

高校時代の後輩が。阿武隈が迷惑かけて。

 

「…渡良瀬さん、お願いがあります」

 

「何でしょうか?」

嫌な予感。俺の予感は的中しやすいんだ。

 

「鈴木くんを、そちら(第603鎮守府)向かわせ(異動させ)てもいいでしょうか?」

 

はい、的中。勘弁してください。いや、気持ちは分かりますよ?分かりますけど、こっちはゾンビやサキュバスの対応。そして明日、使徒が襲来するんです。これ以上危険物が増えたら、俺の胃袋がブレイクしちゃうよ?

 

「お願いします!このままでは、私の胃袋が、暴走した土星エンジンの如く爆発してしまいます!」

 

「落ち着いてください!」

肩掴まないで!揺すらないで!

 

「長瀬くん達には監禁されそうになるわ、子ども達(駆逐艦娘)を愛でようとすれば、(川内)くんにナニをペンチでもぎ取られそうになるわ、鈴木くんに早くそちらに向かわせろと空手チョップされるわ、子ども達を愛でようとしたら、(神通)くんに包丁でエ○オンを滅多刺しにされて壊されるわ。とにかく、大変なんです!」

 

エ○オンェ…包丁で滅多刺しって…小嶋提督、苦労されているんですね。…というか、

 

「小嶋さんは、長瀬さん達と婚約されているんですよね?」

 

「え、えぇ…」

 

「なのに、何で子ども達を愛でようとするんですか?」

疑問に思っている事を聞いてみた。

 

「…あの、無邪気にはしゃぐ姿、笑顔を、見たいからです」

 

先程までのふざけた雰囲気から一変。真面目な顔になった。決して、駆逐艦娘について語ろうとする雰囲気じゃない。これ以上は聞くべきじゃないな。

 

「聞いて、頂けませんか?」

 

「…よろしいのですか?」

本人が話したさそうだが、一応、確認を取る。

 

「はい」

 

「…お願いします」

俺がそう言うと、真剣な表情のまま話し出した。

要約すると、

・小嶋提督が10歳の時に両親は事故死

・小嶋提督と涼月は孤児院に入る

・当時の孤児院では、子ども達の中で小嶋提督が年長者

・孤児院で子ども達の面倒を良く見ていた

・笑顔を見ると元気になれる

・子ども好きになる

・孤児院に川内達が来る

・面倒を見ている間に川内達に好かれる

・色々あって提督になる

・お世話になった孤児院に毎月お金を振り込んでいる

 

「…だから、私は子ども達を笑顔にしてあげたい。戦士(駆逐艦娘)になる娘達は、大なり小なり理由がある。少しでも不安を取り除いてあげたい。だから、わざとふざけた態度を取り、接しているのです」

 

「…そう、だったのですか」

やり方はアレだが、効果はあったと思う。向こう(第8492離島鎮守府)に行った時。阿武隈に案内されて娯楽室に行った時、駆逐艦娘達が言っていた。小嶋提督のお陰で毎日が楽しい、と。

 

「…暗い話をして、申し訳ありません」

 

「そんな、頭をあげてください!」

俺より立派じゃないか。俺は、瑞稀から逃げる為という最低な理由で提督になった。マジで馬鹿だろ、俺。

 

「…あの、渡良瀬さん。私は、あなたが思う程、立派な人間ではありません」

 

「何を仰るんですか!」

充分立派な人間でしょ!何言っているんですか!

 

「この職に就いたのは、長瀬くん達から逃げる為だったんです」

 

「逃げる為?」

女の子から逃げる為、提督になった。どっかで聞いた事があるぞぉ?

 

「…先程も話しましたが、孤児院で長瀬くん達と接していくうちに、彼女達に好意を向けられる様になりました」

 

「え、えぇ…」

 

「そして、私が20歳の時、当時14歳。中学生だった彼女達に告白されました」

 

「な、なるほど」

 

「1つ2つ違いならともかく、6つも歳が離れているんです。更に相手は当時中学生。流石にマズいと思い、高校を卒業するまでは付き合わないと、断りました」

 

「おぉう…」

確か、川内は俺と瑞稀と同い年。だから…今○○歳か。女性の年齢を明かそうとするのは処刑レベルのものだから、敢えて明かさんぞ。

 

「しかし、世間は少子化。更に、男児の出生率が年々減ってきています」

 

そう。今は男女比4:6と発表されているが、3:7になるのは時間の問題と言われている。それだけじゃない。今から約70年前。深海棲艦が出現した際、妖精さんが現れるまでイージス艦とかで対応したそうだ。

深海棲艦に通常兵器は効かない。妖精さんの力が込められた、女性にしか扱えない艤装の加護が込められた攻撃でなければ倒せない。今となっては常識だが、深海棲艦が出現したばかりの当時はそんな事など知らない。結果、一方的に殺られ、自衛隊の人達が。多くの男性が戦闘で亡くなり、男性の数が激減。そこで政府は。

 

「政府は数年前、特定の条件を満たしていれば、多少歳の差があろうが、互いの保護者が合意の上ならば、学生と婚約を結べる政策を出しやがりました。お陰で、私は…いや、俺は…俺は…」

 

小嶋提督の口調が崩れてる。そっちが素なのね。あ、特定の条件ってのは、職に就いて一定の収入を得ている、という物だ。その他にも色々あるが、職に就いていれば大抵は適用される。

 

「当時14歳だった長瀬達に襲われそうになった!勿論!性的な意味で、だ!孤児院の母と父代わりの人達は、いいぞ、もっとやれと笑っていたのを今でも覚えている!」

 

「…」

何も言えない。というか、俺も似たような事を経験したな。瑞稀とか、瑞稀とか、瑞稀とかに。

 

「日に日に目付きが怪しくなっていく。怖くなった俺は、21歳の時、当時務めていた会社を辞め、逃げる為に提督になった。しかし…」

 

「し、しかし?」

あ、その先の展開が読めた。

 

「今から5年前、ウチに着任しやがったんだっ!今でも覚えている。ねっとりした視線。舌なめずりする2人。思い出しただけで口から胃袋を吐き出したくなる!」

 

「お、落ち着いてください」

血涙流しながら叫ばないで。気持ちは分かるけど。

 

「…そして、「どちらを選ぶの?」と言われた。怖くて、どっちも選びたくないよ!」

 

「うへぇ…」

キツいな、そりゃ。

 

「どちらも選ばず、暫くしたら、大本営からケッコンカッコカリの指輪と書類が届きました。そして、それを巡って、2人はガチの殺し合いを始めました。今から2年前の事です」

 

あー、霞が言ってたな。小嶋提督を巡ってガチの戦闘が起きた、って。

 

「…2人が殺し合いをしていたら、再び大本営からとんでもない書類が届きました。それは…」

 

「そ、それは…?」

怖い。けど、聞きたい。

 

「ジュウコンカッコカリの許可書だった…」

 

「ひでぇ…」

説明しよう。ケッコンカッコカリとは、それをした艦娘と提督が、夫婦(仮)となる証だ。法的な効力もあり、艦娘と提督を辞めた後、役所にその書類を提出すれば正式に夫婦になれる。艦娘と提督は軍属である為、(仮)と名を付けているそうだ。その理由は話すと長くなるから割愛する!

ジュウコンカッコカリとは、その名の通り重婚(仮)である。これをすると、重婚が可能になり、何人と重婚しようが罰せられる事は無い。ただし、重婚(仮)には特殊な条件が必要らしく、その条件を満たすのはとても難しい、と養成所で教わった。まず、最低条件として提督の場合、年収が1000万円以上、階級は准将以上。艦娘の場合は練度が100以上、同じ提督、同じ鎮守府の元で3年以上過ごさなければ許可されない。他にも、提督や艦娘の素行や人格に問題が無い、前科が無い等、百以上の項目がある。俺には関係無い話だな。瑞稀一筋だから。

余談だが、ケッコンカッコカリをすると、艦娘の身体能力及び艤装の性能が上がるそうだ。更に、艤装と艦娘の練度が上がりやすくなる、という報告があるそうだ。

 

「…色々ありましたが、私は2人と結婚しました。決して、2人の事が嫌いというわけではありません。むしろ、好きです。好きですが…」

 

「ですが?」

あ、口調がいつものに戻った。

 

「料理や飲み物に媚薬を盛るな!下着を俺の私室のベッドに目立つ様に置くな!毎晩寝室に飛び込んで来るのは勘弁してくれ!死ぬ!主に、腰が!あと!睡眠時間が減る!」

 

「生々しい事言わないでください!」

小嶋提督の口調、再び崩れる。

とんでもねぇ事聞かされちまったぜ。…ん?バイブ音?小嶋提督のスマホが震えてる。誰だ?

 

「すみません、電話が…」

 

「どうぞ」

俺に許可を求めたので、通話に出るよう促した。あれ、画面見てガタガタ震えてる。どうしたんですか?震える手で画面をタッチすると、

 

『ふふっ…全部、聞きましたよ、小嶋提督…いえ、英雄さん?』

 

「」

 

あ、神通の声だ。小嶋提督、めっちゃ震えてる。

 

『今、姉さんと2人で、そちらに向かいますね』

 

「 」

 

小嶋提督の顔、真っ青になってる。ご愁傷さまです。

 

『ふふっ…あはははははは!!!』

 

神通は笑うと、通話を切った。

 

「…は、ははっ」

 

引き攣った顔で笑ってらっしゃる。小嶋提督逃げて、超逃げて!というか、神通はどうやって聞いたの?盗聴器?最近の艦娘は提督に盗聴器を仕掛けるのが流行りなの?

 

「迎え撃とう」

 

「はい!?」

何言い出すの!?

 

「ここで逃げても、あそこに戻れば色々ヤられる。なら、今ここで迎え撃ってやらァ!!」

 

叫びながら上着を脱ぐな!ここ、バー!個室だけど、バー!

 

「私は此処だァ!!」

 

「落ち着いてください!」

ミ○アルドさんログイン。ちょっとカッコイイ。

 

「ふははははは!!闘争本能の赴くままにィ!」

 

ミ○アルドさん、ログアウト。御大将がログインしました。ここに居たら、俺まで巻き込まれそう。帰ろう。

 

「何処に行く、兄弟ィ?」

 

「あ、ボク、お家に帰る時間なんで、帰りますね?」

ショルダーバッグ背負って、ディー○ストライカーの入った紙袋持って…

 

「貴様も一緒に戦うんだよ、兄弟ィ!!」

 

「なんでだよ!?」

タメ口になっちゃった。けど、許して?

 

「分隊は兄弟ィ!分隊は家族ゥ!運命共同体って奴なんだよォ!」

 

「嘘を言うな!」

最低野郎になれってか?やだよ!俺は異能生存体じゃねぇぞ!?

 

「俺の為に死ねェい!!」

 

「絶対嫌だ!」

何で巻き込むんですか!

それから数分間、小嶋提督と押し問答をしていたら、夜叉達がやって来た。川内と神通の顔を見た時、頭の中で殺陣のテーマが流れたのは内緒だ。大の大人が、泣き叫びながら小柄な少女2人に楽々担がれて運ばれる様は、何処か、シュールだった。

 

「…帰ろう」

瑞稀に膝枕してもらいたくなった。帰ったら頼んでみよう。

 

<タイヘンダネッ

 

あ、妖精さんだ。ショルダーバッグから出てきた。そういや、今の会話、バッチリ聞かれてたのか。別に困らないからいいけど。

 

 

side 提督 out

 

───────

────

 

side 瑞鶴

 

─第603鎮守府、演習場─

 

「ケッコンカッコカリ、か…」

準と小嶋提督の会話を聞いていた私は、思わず呟いた。

準なら、私を選んでくれる。絶対に選んでくれる。もう、二度と離さない、って言ってくれた。私は、彼を信じる。

 

「ま、まだまだぁ!」

 

「…はぁ」

全く、しぶといわね。あれだけ爆撃したのに、まだ立てるなんて。まぁ、その諦めの悪さは嫌いじゃないわ。でもね!

 

「提督さんは、絶対に渡さない!」

そう。葛城は、私に勝負を挑んで来た。提督さんを、準を寄越せと。勿論断った。でも、言葉では引かなかった。だから、こうして演習場で戦っている。

何度目か分からないけど、弓に矢をつがえ、艦載機を発艦させる。放たれた矢は炎を纏い、やがて数機の爆撃機に姿を変える。対する葛城は、既に艦載機を失い、逃げる事しか出来ない。

 

「ヌヴォオオオオオオオオ!!!!」

 

葛城が、女の子が出しちゃいけない声を出しながら必死に避けるけど、私は艦載機達にフェイントをかけ、的確に爆撃した。

 

「うわらばっ!?」

 

彗星一二型甲から放たれた爆弾が直撃。あーあー、ボロボロじゃない。もう諦めたら…って、まだ立ち上がるの!?

 

「へっ、へへっ…この程度で諦められるか!来いよ瑞鶴さん!艦載機なんか捨ててかかって来なさい!」

 

「何、あんた。挑発?」

引っ掛からないわよ?

 

《フラグね》

 

うっさい。

 

「怖いんですか?」

 

「怖がる理由が無いわ」

艦載機の無い空母は、ただの的よ?それにしても、くびれ凄いわね。女の私が見ても惚れ惚れする。準はあのくびれに惹かれたんだよね。…イラついてきた。

 

「私は胸はありません。でもね、このくびれがある。瑞鶴さんはどうなんですかぁ?」

 

「…2回目の挑発?乗らないわよ?」

落ち着け、落ち着くのよ、瑞鶴。こんなカラダでも、準は私を選んでくれた。

 

「あ、分かりました。くびれに自信が無いから、そんな道着なんて纏っているんですね、分かります」

 

…落ち着きなさい。KOOLになるのよ。

 

《KOOLはタバコよ?》

 

……。

 

《…全然落ち着いていないじゃない》

 

「来いよ、くびれのない貧乳!艦載機なんか捨てて、素手でかかって来なさい!」

 

「やってやろうじゃねぇかよこの野郎おおおおおお!!!」

 

《…フラグだったわね》

 

知るか!

装甲甲板と矢筒、弓を放り捨て、この後、葛城に滅茶苦茶爆撃(ノーザンライトボム)した。

 

《カラダじゃなくて、私達自身を見てくれる人だから、貧乳とか気にしなくてもいいのに…》

 

 

side 瑞鶴 out

 

───────

────

 

 

side 提督

 

─談話室─

 

「元気な奴らだよ」

 

「元気が無いよりは、いいんじゃない?」

 

「そりゃそうだけど…あ、そのパーツくれ」

小嶋提督が川内達にドナドナされた後、鎮守府に帰ると顔中青アザだらけの葛城が医務室に運ばれていてビビった。何があったのか瑞鶴に聞くと、演習場で戦った結果、ああなったそうだ。頼むから、昔みたいに暴走しないでね?

 

「ネオジ○ング程じゃないけど、パーツ多過ぎ」

 

「仕方ないだろ」

秋雲と2人でディー○ストライカーを作る。作る。ひたすら作る。嗚呼、楽しい。こんな日がずっと続くといいなぁ。

 

「いよいよ、明日だね提督」

 

「明日って何かあったっけ?(すっとぼけ)」

明日は予報だと大雨。洗濯物は部屋干しだな。

 

「扶桑さんが来る」

 

「ふそう、さん?車が来るのかい?」

誰かがトラックでも買ったのかな?誰だ、そんなもん買った奴は。

 

「…提督、現時逃避したい気持ちは分かるけど、認めよう?」

 

「認めたくないものだな。これが、若さ故の過ちというものか…」

 

「というか、提督、結構好かれる様な事してたじゃん?」

 

「はぁ?俺、養成所で扶桑さんに何かしたっけ?普通に会話して、普通に飯を一緒に食べて、普通に目を見て接して、普通に休日一緒に買物に付き合って荷物持ってあげたり、普通に怪我した扶桑さんを背負って医務室に連れて行ったり、普通に壊れた髪飾りの代わりに新しい髪飾り買ってあげたりして…あれ?普通じゃね?」

なのに何で好かれたんだ?

 

「…気付いてないね」

 

「ジト目で見るな」

マジで好かれる要素無いじゃん。なんで好かれたの?誰か教えてくれ。

 

「…とりあえず、提督は鈍感ヤンデレ量産系主人公だね。刺されるといいよ」

 

「なんでだよ!?」

俺は鈍感でも、ヤンデレ量産系主人公でもないぞ?ちゃんと好意には気付く。先日も言ったが、アレだろ?男女の恋仲、異性として好き、って奴の好意だろ?気付いてるよ?

 

「まぁ、頑張ってね」

 

「助けてくれないのかよ…」

 

「マジでヤバくなったら助けるけど、それ以外は傍観するね」

 

「優しいのか薄情なのか分かんねぇな、オイ…」

ヤバくなったら助けてくれる、ってだけでも有難い。

それから、秋雲と他愛ない会話をしながら、滅茶苦茶ディー○ストライカー作った。勿論、完成なんてしない。1日で完成させられるかっての。

扶桑さん襲来まで、あと12時間後。

…あ、ヱ○ァンゲリオンは作れませんでした。妖精さん達に頼んだけど、時間と資材が幾らあっても、無理だって言われた。代わりにブ○ストランナーならすぐに作れるって言われたけど、断った。俺、資源戦争なんてする気無いもん。

 

 

side 提督 out

 

───────

────





次回予告


パターン、青。使徒です!
…言ってみたかっただけです。とりあえず、扶桑さん襲来のどさくさに紛れて、提督を連れ去りましょう!はい、榛名の計画は大丈夫です!…あ、翔鶴さん?ちょっ、ちょっと待ってください!スタンガン構えないでください!チャージしないでください!榛名は、榛名は、感電死なんてしたくないです!


第25話・使徒、襲来


「逃げちゃダメだ…逃げちゃダメだ…逃げちゃダメだ…」
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