追跡鶴   作:EMS-10

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誤字脱字だらけで、だらしねぇな…。
毎回誤字報告をして下さり、ありがとうございます。
こんなだらしねぇ作者ですが、見捨てないでやってください。なんでもしまかぜ



第25話・使徒、襲来

 

side 提督

 

 

─工廠─

 

朝。

 

 

「ポ○トロンライフルは完成したか?」

 

「作れませんって!」

 

「なら、ロ○ギヌスの槍…」

 

「無理ですって!」

 

「じゃあ、エ○バスターT25」

 

「既に横須賀鎮守府で使用されています」

 

「嘘やろ?」

初耳だぞ。

俺は今、工廠で夕張と、使徒(扶桑さん)へ対抗する為の武器をどうするか相談していた。

此処に所属する全員で対処に当たりたかったが、翔鶴と葛城、摩耶、足柄、満潮、海風はタンカー警護でここに居ない。天気予報では朝から大雨。こんな状態では空母は発艦出来ないのでは?と思ったが、翔鶴曰く、『大雨・大雪だから発艦・操作出来ないのは甘え』らしく、嬉嬉として出撃して行った。翔鶴はともかく、葛城の顔、絶望に染まっていたぞ。頑張れ、葛城。帰ったら美味しい鍋焼きうどん作って食わせてやる。山城は体調が悪く、部屋で休んでる。女性の日って奴だ。これ以上は言わん。

初霜と早霜は本日休み。2人は隣県のショッピングモールへ遊びに行っている。最初はここに残る、と言われたが、せっかくの休みを奪ってまで戦わせたくないから、出かけさせた。

 

「というか、ドンパチやったらマズいですって」

 

「確かに」

翔鶴が此処にカチコミした際、あれだけの騒ぎになったんだ。あの時は小嶋提督が上手く誤魔化してくれたから助かったが、2度目は無理だろう。確実に大騒ぎになる。先日、医務室を爆破したが、あれは見かけだけで音はそこまででも無かったから、問題になっていない。

 

「倒す、のではなく、無力化する、というのはどうでしょう?」

 

「出来るのか?相手は戦艦、しかも改二だぞ?」

ただでさえタフな戦艦。しかも第二次改装を施され、装甲や妖精さんの加護が更に強化されている。無力化出来るのか?

 

「これを使いましょう」

 

「そ、それは!」

ブ○イザー・アグニ!

 

「小嶋提督の所から送られたきた設計図を元に、人間用に改造した物です」

 

「そんなに資源争奪戦争がしたいのかよ、小嶋提督…」

 

「向こうの工作艦、明石が趣味で作ったらしいです」

 

「趣味で作った」

工作艦ってスモイ(錯乱)。クー○ーは素晴らしい機体です。S型出た時は衝撃受けたなぁ。

 

「妖精さんの素敵技術と工作艦明石の女子力により、殺傷力はゼロの安心安全な乙女ビームで、直撃しても全身が痺れるだけです」

 

「乙女ビーム」

 

「ビームのエネルギーは、ニュー○です」

 

「細胞が壊死しちゃうよ!」

全然安心安全じゃないよ!

 

「大丈夫ですよ、提督。この小説はギャグ小説ですから、当たっても無害です」

 

「ギャグ小説なら、大丈夫だな」

 

「ただ、反動が凄いので、このスーツを着てください」

 

「こ、これは!?」

夕張がコンテナにかかった幕を取ると、メカメカしい、男心をくすぐるスーツがコンテナの中に鎮座していた。

 

「このスーツは、ス○ィールスーツ、高機動型Ver.3です!」

 

「おおっ!」

まさか、現実で目にする事が出来るとは。生きていて良かった。…待てよ?

 

「ス○ィールスーツって、N○HANシステムで遠隔操作する物じゃなかったか?」

 

「流石にアレの再現は無理でした。なので、直接着るタイプにしました」

 

そうなんだ。

 

「2014年夏は、いつになれば来るのでしょうか…」

 

「その話はやめよう」

悲しくなるだけだ。今でも待ってるよ、KO○AMIさん。

 

「と、とりあえず、装着してみてください」

 

「おう!」

それから、スーツを装着して色々試した。

 

 

…………。

 

 

「…こんなもんか」

 

「慣れるの早過ぎですって!」

 

スーツの試運転を開始して数時間後。慣れてきたので飛び跳ねたり、ローリングしたり、移動しながらアグニを撃ってみたりしていたら、夕張に驚かれた。ゲーマー舐めるなよ。あと、身体能力と動体視力には自信があるんだ。この間だって海上走ったんだ。どうやって走ったのか、必死だったから覚えていないけど。

 

「それにしても、スーツで衝撃を緩和してもあの反動とは…」

ブ○イザー・アグニのフルチャージの反動が凄まじい。腕の反動吸収E位なんじゃね?そもそもブ○ストランナーじゃないから仕方ないか。

 

「さて、あとは扶桑さんが来るのを待つだけだな」

山城が言うには、今日のお昼頃に来るそうだ。

 

「それにしても、凄い雨ですね」

 

「バケツひっくり返したみたいだ」

 

「…この雨なら、来ないんじゃない?」

というか、来ないでください。お願いします。

 

「提督、それは、フラグです」

 

「俺、扶桑さんが来たら、瑞鶴にプロポーズするんだ」

フラグを重ねる。

 

「だから、それ、死亡フラグですって」

 

「温泉宿も予約してあるんだ」

死亡フラグを重ねるとな、生存フラグになるんだよ。知らないのか?

 

「アカン」

 

「一緒の部屋で、枕投げするんだ」

 

「枕投げ」

 

「枕投げ楽しいだろ?」

中学の頃、修学旅行で同室の奴らと枕投げして騒いだなぁ。先生に見つかってゲンコツされたけど。

 

「ふふっ、枕投げ、楽しそうですね?」

 

「そうだろ?」

 

「ぁ…ぁぁ…」

 

ん?どうした、夕張。そんなに顔を青くして震えて。雨降ってるから寒いのか?へそ出しの制服だもんな。毛布でも持ってこようか?

 

「温泉。私も、行きたいです」

 

「すまん、瑞鶴と俺の2人で行くから、連れて行け…な…い…」

…あれ、俺、誰と会話しているんだ?スーツのせいで少し聞き取りづらい。涼月か?榛名か?それにしては違う。なんて言うの?色気のある声だ。あいつらじゃない。

 

「ふふふ。素敵なスーツですね、渡良瀬さん」

 

「…」

おっおおおっぉっ落ち着け、俺。きっと、幻聴だ。扶桑さんの声が聞こえたが、きっとスーツが謎の電波を受信したに違いない。そうだよな、夕張…夕張?どうした?地べたにへたりこんで。スカートだからそんな格好しちゃダメだぞ。

 

「て、てててててってて提督」

 

どうしました、夕張さん。恐ろしいものを見たような顔して。俺の後ろを指さしてるけど、どうしたの?

 

「ふふふふ…うふふふふふふふ…」

 

 

ガシッ

 

 

わぁい、凄い強さで腕掴まれたぞぉ?スーツがミシミシ言ってる。このスーツ、ガ○ダニウム合金で出来ているのに、軋んでるよ。凄いパワーだ。あ、夕張の奴、泡吹いて気絶しちゃった。

 

「こちらを向いてください、渡良瀬さん?」

 

よーし、提督、振り向いちゃうぞ?きっと、山城がふざけて扶桑さんに似た声出して驚かそうとしているんだろう。あの2人、声が似てるからね。それか涼月かな?山城と声が似てるもんね。振り向いたら叱るんだ。悪ふざけにしては度が過ぎているぞ、提督怒っちゃうぞ、って。だーるーまーさーんーがー、転んだっ!

 

「うふふふ♪」

 

「」

扶桑さんでした。

…あ、分かった!山城だな?艦娘用の装束ではない、私服…いや、私用の和服を着て、雨で濡れた赤い和傘持って、ウィッグ被って、俺が扶桑さんに買ってあげた髪飾りを付けているんだな?全く、お茶目だなぁ山城は。

 

「はははははは」

 

「うふふふふふ♪」

 

…。

 

「使徒襲来いいいいぃぃぃぃぃ!!!!」

叫ぶ。

N○RVは何やってんのぉ?警報出してよ!N○RV本部に使徒が侵入しているよ!セキュリティ、ガバガバじゃねーか!

 

「使徒だなんて…酷いじゃないですか」

 

酷い、って言っておきながら、何でそんなに嬉しそうな顔してるの!?

 

「使徒襲来と聞いて!」

 

瑞鶴!メインヒロインの瑞鶴じゃないか!勝った!

 

「提督の貞操の危機と聞いて!」

 

榛名来た!扶桑さんと同じ戦艦!これならパワー負けしない!

 

「3号機、スクランブル!」

 

涼月来た!これで勝つる!

 

「戦争の匂いがして」

 

「やって来たっぽい!」

 

ギャアアアアアアアア!由良と夕立がログインしやがったあああああああ!やめて!ここを廃墟にしないで!!!

 

「あらあら、団体さんのお出ましね」

 

扶桑さん、何でそんなに冷静なの?知らないな?コイツらのヤバさを。とりあえず。

 

「テメーらあああぁぁぁ!此処(第603鎮守府)を廃虚にせず、近接武器で扶桑さんを必要以上に傷付けずに無力化しろおおおぉぉぉぉ!それが出来た奴は、俺がなんでも1つ、言う事を聞いてやらあああああぁぁぁぁ!!!」

叫ぶ。何でもする、って言ったけど、本当に何でもやってやる!

 

 

ドドドドドド…

 

 

おぉん。皆、変なオーラ放ち出したぞ。おいおい、色々武器取り出した。どれも近接武器だ。俺の言葉が届いたみたいで安心した。

さて、使徒迎撃の為に集まった、イカれたメンバーを紹介するぜぇ!

狙った獲物は決して逃さない!土星エンジン全開で地獄の果てまで追っかけて来る追跡鶴、瑞鶴ゥ!

勘違いと妄想力は他の追随を決して許さない、暴走系箱入り娘なスタイリッシュサキュバス、榛名ァ!

自慢の対空砲火で俺の心を撃ち落としたい、脅威のタフさを誇るデンジャラスラブゾンビ、涼月ィ!

心と身体は常に闘争を求める、泣く子も黙る素敵な笑顔の狂乱ピンク、由良ァ!

犬?いいえ、狂犬です。見た目で騙されるな、そいつは危険で危ない、ソロモンの悪夢、夕立ィ!

オタライフを満喫しつつ仕事をする、リア充だけど胃痛持ち、ヤンデレ量産系提督、俺ェ!

以上だ!

…誰だよ、俺の紹介文考えた奴!俺はヤンデレ量産系提督じゃねぇぞ!?

 

「なぁ、首、あるんだろ…置いてけよ…その首…置いてけよおおぉぉぉぉ!!!」

 

瑞鶴選手、扶桑選手に斬りかかったァ!獲物はLM-ジ○オスだァァァ!って待てィ!刀身部分発光してる!殺す気満々じゃねーか!

 

「甘い!」

 

扶桑選手、掴んでいた俺の腕を離し、突き飛ばす!俺は戦艦のパワーで壁に叩き付けられるゥ!…スーツ着てなかったら、大怪我負ってたぞ。あーあ、壁が凹んでる。

急いで起き上がり、瑞鶴たちの方へ視線を戻す。

おお、扶桑選手、瑞鶴選手の斬撃を軽々と避けたァ!そして隙だらけの瑞鶴選手の後頭部に鋭い手刀!瑞鶴選手、ダウウウウン!恐ろしく早い手刀、俺じゃなきゃ見逃してたね。

 

「瑞鶴さんがやられました」

 

「ふふっ、瑞鶴さんはメインヒロイン最弱。当然の結果です」

 

榛名、涼月。瑞鶴は空母なんだぞ。インファイト苦手なんだから仕方ないだろ。

 

「所詮は空母。戦艦には戦艦です!」

 

続いて榛名選手が前に出た!獲物はスタンロッドだァ!

 

「…あれ、スイッチは何処ですか?」

 

おおっと、ここでトラブル発生!榛名選手、スタンロッドのスイッチを探している!スイッチを押さないと、スタンロッドは、ただの鉄の棒だ!

 

「スイッチはこれじゃない?貸してみて?」

 

「あ、はい」

 

「ふんっ!」

 

「ヴォエッ!?」

 

榛名選手、扶桑選手にスタンロッドを手渡したァ!そして扶桑選手、それを使ってヘッドロオオオオック!榛名選手、女性が出しちゃいけない声を出してダウウウウン!箱入り娘故、戦闘が苦手な様だあああああ!!!

 

「情けないですね」

 

今度は涼月選手が向かったあああああ!獲物はシ○ーシールド、鉄血ペンチだアアアアア!

 

「この距離ならァ!」

 

と思ったら、シ○ーシールドを投げ捨てて、サ○ードコングを構えた。

 

「何してんのォ!」

アグニ、チャージ!

 

「あォん♪」

 

自爆覚悟でサ○ードコングを撃とうとしたゾンビに、ヘッドショオオオオット!涼月は駆逐艦で装甲薄いから、一段チャージで落とせる!!!

俺、言ったよね?此処を廃墟にするな、近接武器を使え、って!あと、クッソ汚い喘ぎ声出すな!

 

「あらあら、援護、感謝しますね♪」

 

…あ、思わずやっちゃった。利敵行為だ、これ。

 

「裏切ったな…裏切ったなああああああああ!!!」

 

「ぎゃあああああああああ!!!」

由良、由良さんが!壮絶な笑みを浮かべながら、大乱闘でスマッシュなブラザーズのハンマー振りながらこっちに走ってきたああああああ!君、裏切り行為を死ぬ程嫌ってたもんね。

 

「ふんっ!」

 

「がっ!?」

 

向かってきた由良の腹に、ブ○イザー・アグニの銃口を突き刺す!

 

「この距離なら、バリアは張れないな!」

アグニ、フルチャージ!零距離射撃!!!

 

「ぬわぁん!?」

 

由良、ダウン。君もクッソ汚い声出さない。

 

「どいつもこいつも、だらしないっぽい」

 

残るは夕立選手、ただ1人!

 

「提督さん、ここは夕立に任せて、早く逃げるっぽい」

 

「ゆ、夕立…」

ヤバい、惚れそう。お言葉に甘えて、逃げよう。

 

「提督さん」

 

「何だ、夕立?」

俺に背を向けたまま、顔だけこちらに向けた。

 

「別に、倒してしまっても構わないっぽい?」

 

あ、フラグが立った。ちょっと様子見よう。

 

「武器なんて必要無い!夕立には、この肉体がある!」

 

夕立選手、素手で扶桑選手に向かったあああああ!!!

 

「いらっしゃい」

 

扶桑選手、両手を広げたああああ!何をする気だ!?

 

「でええぇぇぇい!」

 

夕立選手、気迫の篭った声と共に、扶桑選手の鳩尾に右ストレートオオオオ!!

 

「何ですかァ?今のはァ?」

 

しかああああし!効いていない!

 

「捕まえた♪」

 

「ぽいっ!?」

 

扶桑選手、両手で夕立選手を抱き締めたぁ!そしてェ!そのままァ!

 

「ぎゅ〜」

 

「ギィヤアアアアアアアアア!!!」

 

戦艦のパワーでベアハアアアアアアッグ!骨の軋む音が工廠に響くうううううぅぅぅ!!!

…よし、見届けたから、逃げよう。俺はスーツのブースターを蒸して逃げ…

 

「逃がしません」

 

ガシッ

 

「あっ…」

 

肩を掴まれた。オワタ。

 

「随分と賑やかな歓迎でした。ありがとうございます」

 

「ど、どういたしまして…」

あー、こりゃ、どうしようもないですね。これまでか。いや、戦え、俺。せっかくこんなスーツを着ているんだ、戦え!

 

「逃げちゃダメだ…逃げちゃダメだ…逃げちゃダメだ…」

 

「うふふ♪」

 

わぁい、ステキな笑顔だァ!

…逃げよう。怖い。でも、肩掴まれてるからなぁ。どうする?

 

「残念だったね」

 

「キャア!?」

 

「ッ!?」

肩を掴んでいた手が離れた!

 

「時雨!」

いつの間にか、俺の目の前に時雨がいた。

 

「経○秘孔の一つを突いて、一時的に握力を奪った。暫く物を掴めないよ、扶桑」

 

時雨、何処で習得したの?すっごく気になるけど、

 

「すまん、時雨。俺は逃げる」

せっかく時雨が助けてくれたんだ。このチャンスを無駄にするな。

 

「いいよ、気にしないで。ここは僕に任せて、早く行って」

 

「ありがとう」

今度こそ逃げる。俺は工廠から逃げ出した。

 

 

side 提督 out

 

───────

────

 

 

side 時雨

 

「時雨、そこを退いて?」

 

「それは無理な相談だね」

僕は扶桑と対峙する。さて、そろそろ話そうか。

 

「ねぇ、扶桑。いい話があるんだ」

 

「話?」

 

「そう。扶桑は、提督が欲しいんだよね?」

提督は気付いていなかったけど、僕は知っている。養成所で、扶桑が提督にアプローチをかけている事を。

 

「えぇ。彼ほどの男性は居ないわ。だから、邪魔しないで」

 

僕を排除しようと、扶桑は構えた。落ち着いて、扶桑。僕は君と戦いに来たんじゃないんだ。

 

「邪魔なんてしないよ。寧ろ、協力する」

 

「えっ?」

 

僕の言葉に驚き、扶桑は目を見開く。そりゃそうだよね。邪魔してくると思ったら、協力する、なんて言われたのだから。

 

「け、けど、あなたは今、提督を逃がした」

 

「うん。逃がしたよ。この話を聞かれない為に」

 

「…どういう事?」

 

「まず、提督に好意を抱いている人が多過ぎる。しかも、彼は瑞鶴さんと付き合っている」

 

「そうみたい。山城から教えてもらったわ」

 

「うん。彼は一途で誠実であろうとする人間だ。だから、例え扶桑が佐世保に彼を連れて行っても、心を手にすることは出来ない」

 

「…」

 

「だから…」

僕は、扶桑に計画を話した。

 

 

………。

 

 

「…いいでしょう、その案に乗りましょう」

 

「ありがとう」

良かった。計画に乗ってくれて。断られたら、どうしようかと思ったよ。

 

「とりあえず、ここは一旦引いてくれないかな?」

 

「分かったわ」

 

「ありがとう。それじゃ…」

 

「えぇ、時雨にやられて改心したフリをしましょう」

 

「それじゃ、行くよ?」

僕はポケットから41型手榴弾・改を取り出し、起爆した。直後、僕と扶桑は爆風に包まれた。

 

 

side 時雨 out

 

───────

────

 

 

side 提督

 

 

─執務室─

 

夕方。

 

 

「誠に、申し訳ございません」

 

「あー…もうしないなら、許すよ」

使徒襲来から数時間後。どうやら時雨が分からせてくれたお陰で、扶桑は俺の事を諦めて大人しくなってくれた。時雨には感謝しないとだな。

工廠から逃げ、執務室で篭城していると小さな爆発音が聞こえた。気になるが篭城する事を決め震えていると、時雨から内線で連絡が来た。どうやら上手く解決する事が出来たらしい。そして負傷した…といっても、妖精さんの素敵技術により服が破れアフロヘアーになった時雨達を入渠させ、完治させてから執務室に呼び、今に至る。スーツは脱いで工廠に戻しておいた。

 

「相変わらず、優しいんですね」

 

「優しいか?」

厳しくする時は厳しくするよ?

 

「扶桑さんは明日まで休みでしたっけ?」

 

「はい。有給を使って来ました」

 

そこまでして来るとは、女性の執念って凄いね。怖い。

 

「とりあえず、この雨だ。良ければここに泊まっていきます?」

佐世保から此処まで来たんだ。結構移動費がかかっている筈。それに、山城に会わせてやりたい。姉妹だから、会えないと寂しいだろう。

 

「ねぇ、提督さん」

 

「何だ、瑞鶴」

膨れっ面の瑞鶴が俺に声をかけてきた。

 

「何で、扶桑さんの事、さん付けで呼んでるの?」

 

「何でって…失礼な気がして。あと、歳上だから」

それから、呼び捨てして、馴れ馴れしいと思われたくない。

 

「そうなの?」

 

「そうだ」

 

「ふぅん…けど、歳上って言っても、1つか2つ違い位でしょ?」

 

「…」

女性の年齢については、話せない。タブーだ。男の俺からは、何も言えない。

 

「5つ違いよ?」

 

「嘘ぉ!?」

 

扶桑さんがカミングアウト。驚く瑞鶴。そらそうだ。肌がピチピチで若々しいもん。

 

「ふふっ。女ってのはね、三十路辺りが一番色っぽくなるのよ?」

 

そうなの?初耳だぞ?

 

「ちなみに、明日誕生日よ」

 

なんだと?

 

「…冷蔵庫に食べ物、あったかな?」

食糧はある。あるが、お祝いになりそうな食べ物は無かった筈。ひとっ走りして七面鳥でも買ってくるか?

 

「七面鳥ですって?冗談じゃないわ!」

 

「いきなりどうした?」

 

「…謎の電波を受信しちゃった」

 

「そ、そうか…」

今度夕張に頼んで、謎の電波の発生源を調べてもらおうかな(錯乱)。

それから俺達は、扶桑さんと色々話をした。とりあえず、丸く収まった…のかな。

余談だが、任務から戻って来た葛城達と、出かけていた初霜と早霜がここに戻り、扶桑さんを見て戦闘態勢に入り、第二次使徒迎撃戦が開催されそうになった。誤解を解くのに時間はかかったが、平穏に済んだ、と言っておく。ただ、翔鶴だけは親の敵を見るように扶桑さんを睨んでいたのが気になった。大丈夫だと言っても、扶桑さんが帰るまで険しい顔のままだった。あと、時雨の事も睨んでいた。どうしたんだ?

 

「とりあえず、買い出しするか」

雨はだいぶ弱くなってきた。俺は瑞鶴に買い出しに行くことを伝え、車に乗って近所のスーパーへ向かった。七面鳥は無かったから、マグロの頭とマグロの切り身を買った。

 

 

side 提督 out

 

 

───────

────

 

 

side 翔鶴

 

 

…聞いてしまった。見てしまった。

彩雲妖精に彼を監視するよう指示し、後を追わせていた。

任務中だけど、構わず視界を共有し、一部始終を見聞きした。

 

「…許さない」

許してなるものか。

 

「時雨さんが…時雨が、彼を狙っているなんて…」

見ているだけで満足している。そう言ってアプローチをかけずに大人しくしていた。私が此処に来て、彼への想いに気付いてから様子を見ていたけど、本性を隠していたとは。

第二次改装を受けて、大人っぽくなった時雨。それにより、彼にアプローチをかけると決めたらしい。

…ふざけるな。

 

「沈めてやろうかしら?」

…ダメだ。完全犯罪をするのは難しい。どうすれば。

 

「…もう少しだけ様子を見ましょう」

焦ったら負ける。まだだ。まだ、行動を起こす時ではない。

 

「…また、彼にアプローチかけないと」

最近大人しくしていたから、彼の心を私に向けなくちゃ。

 

「絶対に、手にしてやる」

逃がさない。

彼の心を掴んでみせる。

時雨の計画なんて、潰してやる。

 

「拉致監禁して、記憶をあやふやにさせて、婚約者だと刷り込ませるなんて、させるものですか」

 

 

side 翔鶴 out

 

───────

────





次回予告

…大変だったわね。でも、丸く収まったんでしょ?なら、いつまでも引き摺らない!仕事するわよ!
…はぁ?私が心配してくれて、嬉しい?な、なな何言ってんのよ!ウザイのよ!…怒鳴ってごめん。と、とにかく、仕事するわよ。はい、大本営からの書類。…嬉しそうな顔しちゃって…し、嫉妬なんかしてないわよ、バカっ!あぁもう、からかうなー!


第26話・イケメンとギャル


「魚雷の押し売りに来たぜ、相棒!」











※あと4話位で書き溜め無くなりそう…時間下さい
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