追跡鶴   作:EMS-10

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第27話・キャプテン

 

side 提督

 

─執務室─

 

夕方。

 

 

「…よし、終わった」

 

「お疲れ様です、提督」

 

「お疲れ様、海風」

木曾と鈴谷が着任し、早霜に案内をさせて数時間後。本日分の仕事を全て終え、秘書官の海風に礼を言った。

時刻は16:43。この時間なら、失礼にはならないだろう。

 

「海風、俺はこれから、電話する。重要な話だから、席を外してくれ」

 

「了解しました!」

 

「あと、他の奴らにも緊急時を除いて入室しないよう、伝えてくれ」

海風にそう伝え、執務室から退室させる。

…緊張してきた。相手は大将。失礼のないようにしなければ。

受話器を取り、電話番号を入力。ワンコール。ツーコール。スリーコール。…出た。

 

『もしもし〜?』

 

「もっ、もしもし?」

電話から聞こえたのは、幼い感じの、間延びした声だ。緊張していたから、気が抜けそうになったが、再び気を引き締める。

 

「こちら、第603鎮守府の提督、渡良瀬準少佐であります。恐れ入りますが、藤原大将に…」

 

『司令官にお電話ですね〜?ちょっとお待ちくださ〜い。しれいか〜ん、お電話で〜す』

『あぁ、文月、電話対応してくれたのか、偉いぞぉ〜?』

『えへへ〜♪』

 

…すんげぇ、ほんわかする。文月って、確か睦月型駆逐艦の七番艦だったな。可愛らしい声だなぁ。癒される。

 

『…お電話代わりました。こちら、江ノ島鎮守府、藤原剛大将です』

 

厳つい声が聞こえてきた。頭を切り替えろ。失礼のないように、な。

 

「突然のお電話、失礼致します!自分は、第603鎮守府所属、渡良瀬準少佐であります!」

 

『む?渡良瀬少佐か。養成所以来だな。どうした?』

 

何度聞いても身体が震えそうになる声だなぁ。顔と身体も世紀末覇者みたいだから、迫力あるんだよ。失礼な事言ったら、天○奔烈されそうでマジで怖い。

 

「はっ!実は、藤原大将にお聞きしたい事が御座いまして、お電話を…」

 

『硬っ苦しい言葉は要らん。用件を言え』

 

「はっ!本日、我が鎮守府へ異動してきた艦娘についてお聞きしたい事が…」

 

『何か、問題でも起きたのか?』

 

「いえ、そうではありません」

 

『球磨型軽巡洋艦五番艦、木曾について、か?』

 

「はっ!そうであります!」

察しがいいのか、俺が聞く前にそう言ってくれた。

 

『ふむ。書類では第一次改装まで、とあるのに、何故、第二次改装になっているのか疑問に思い、こうして電話をしてきた、という所か』

 

「はい」

 

『うむ。それについてはこう答えよう。君の鎮守府の戦力を向上させるために、こちらで改装を施した。それだけだ』

 

「な、なるほど…しかし、」

 

『何だ?』

 

「その、何故、そこまでして頂けるのでしょうか?」

言っちゃ悪いが、俺の鎮守府はろくな戦果をあげていない。それなのに、莫大な資材と特殊な設計図を使って木曾を重雷装巡洋艦へ改装を施してから異動させるなんて。何かあるとしか思えない。

 

『…渡良瀬少佐』

 

「はっ、なんでありましょうか」

 

『ここからは、提督として、ではなく、1人の男。藤原剛として話す。聞いてくれ』

 

「は、はい」

藤原大将の声が少し、穏やかなものになった。

 

『少し待ってくれ。文月、すまんが、大事な話をするから、お外へ出て遊んできなさい。よし、いい娘だ…さて、話をしようか。何故、ここまでするのか。それは、私が君を気にかけているからだ。アイツの…悟の、息子だから』

 

「…えっ?」

悟…俺の親父の名前だ。爺ちゃんから教えてもらって名前だけは知っている。

 

『悟…君の父と私は、親友だった』

 

「だった…」

過去形。つまり…

 

『ああ、言葉が悪かったな。今でも親友だ。時々、向こうから連絡が来る。非通知で、毎回別の所から連絡をしてくるから、こちらから連絡は出来ないが。ともかく、死んではいない。安心しろ』

 

「そ、そうですか…」

生きている。その言葉を聞き、俺は安心した。

 

『アイツは色々あって、君を育てる事が出来なくなった。父親失格な奴だと思うかもしれんが、理由があるんだ』

 

「その、理由とは…?」

 

『…すまん、私から話す事は出来ない。茂さん…君のお爺さんから聞いてくれ』

 

「わ、分かりました」

理由を聞きたかったが、そう言われたのでは聞く事は出来ない。今度、実家に帰省した時に聞き出そう。

 

『ともかく、木曾を重雷装巡洋艦へ改装してからそちらに送ったのは、私が君の事を気にかけているからだ。鈴谷にも第二次改装を施したかったが、時間が足りなかった。後で鈴谷の第二次改装用のパーツと設計図を送ろう。資材はそちらで何とかしてくれ。

…話を戻す。君を気にかけているのもそうだが、小嶋准将から、近頃、深海棲艦の出現頻度と規模が強大化したと報告を受けている。この2つの理由により、こうしたのだ。疑問は解けたか?』

 

「は、はい。ありがとうございます」

そう、だったのか。未だ話の展開が急過ぎて頭が追い付かない。

 

『うむ、それなら良かった。…なぁ、渡良瀬』

 

「はっ、何でありましょうか」

 

『今は1人の男として話をしている。堅苦しくならなくてよい』

 

「は、はい…」

 

『1つ、これだけは確認したい』

 

「何でしょうか?」

藤原大将の声が真剣なものになった。

 

『君は、付き合っている女性はいるか?』

 

「へっ?あっ、はい、います」

瑞鶴…瑞稀と付き合っています。

 

『その人は、一般人か?』

 

「いいえ、艦娘です」

 

『…そうか。なら、早く籍を入れろ』

 

「…はい?」

籍を入れろ。つまり、結婚しろって事か?

 

『養成所で見ていたが、君は、随分艦娘達に好かれていた。このままでは、修羅場が起きるぞ!』

 

「えっ?」

 

『付き合っているだけではダメだ!今すぐに籍を入れろ!そして、子をつくれ!ケッコンカッコカリの書類なら、私が用意してやる!』

 

「いきなり何を言い出すんですか!?」

あ、思わず怒鳴っちゃった。

 

『女って生き物はな…とっても怖いんだぞ!手遅れになる前に、早くするんだ!』

 

「いやいやいや、そう言われましても、貯金が少なくて…」

 

『あー…いや、君一人の貯金だけならそうでも、付き合っている女性と協力すれば、なんとかなる筈だ。だから早く!手遅れになっても知らんぞォ!』

 

「そんな事言われましても!」

話が急展開過ぎない?

 

『…私はこの目で見たんだ。悟が修羅場に巻き込まれ、地獄を体験する姿を。君までそんな目に遭ってほしくない!だから!』

 

「ちょ、親父が、なんですって!?」

親父が修羅場に巻き込まれた?どういう事?

 

『…君の父は、モテていた。モテすぎていた。まるで、君のように』

 

「…はい?」

 

『…悟は、悩んだ末に1人の女性を選んだ。そして、その結果…』

 

「そ、その結果…どうなったのですか?」

 

『…そこから先は、君のお爺さんに聞いてくれ』

 

声がやつれてる。声がやつれてるって何だよ。とにかく、藤原大将の声が疲れ切った様な感じのものになった。気になる。というか、何となく予想できるけど、言わない。…ん?電話の向こうが騒がしいぞ?

 

『…あ、待て、落ち着け、千歳!違う、違うぞ?私は、他所の提督と電話をしていてだな…悟じゃない!違う!違うと言っている!違うんです、本当です!本当なんです!信じてください!やめ、やめてくれ!頼む!君のタンスみたいな艤装で殴るのは…やめっ…ぬわああああああああああ!!! 』

 

「大将?藤原大将おおおおおおおお!!!」

何が起きた!?もうわけがわからん!

 

『…もしもし?』

 

「あ、はい、もしもし?」

呆然としていたら、受話器から女性の声が聞こえてきた。

 

『私、江ノ島鎮守府所属、千歳型航空母艦一番艦、千歳と申します』

 

「じ、自分は、第603鎮守府、渡良瀬準少佐であります」

声が震えたけど、なんとか最後まで言えた。

 

『渡良瀬?渡良瀬って、もしかして、渡良瀬悟大佐のご親戚の方ですか?』

 

「えっ?」

大佐。という事は、親父は軍属なのか?

 

『違うの?』

 

「あ、いえ、渡良瀬悟は、自分の父です」

千歳という女性の言葉に戸惑っていると、再び問いかけられたので答えた。すると。

 

『…そう。彼の…息子…ククッ…アッハハハハハ!!!』

 

「ッッッ!!?」

底冷えするような笑い声を出した。涼月達なんかと比べ物にならない本能的恐ろしさを感じた。 こいつは…ヤバい。でも、話してみないと人となりは分からない。声だけで決めつけるな。

 

『ククククク…あぁ、ごめんなさいね、思わず笑ってしまって』

 

「い、いえ…」

 

千代田…許さない…絶対に許さないわ…

 

「」

こわい。ぼく、なきたい。

 

『…ねぇ、渡良瀬くん』

 

「は、はひっ!?」

声ェ!声がァ!千歳さんの声が狂気に満ちているゥ!

 

『お父さん、今何処にいるか知らない?』

 

「し、知りません」

本当に知りません。連絡先も知りません。

 

『嘘、言ってなぁい?』

 

「誓って!」

だから声!どっからそんな狂気に満ちた声出してるの!?

 

『…ふぅん?嘘じゃなさそうね』

 

あ、声から狂気が無くなった。

 

『怖がらせてごめんなさいね?』

 

「い、いえ、大丈夫です」

大丈夫じゃない。全身冷や汗ダラダラです。

 

『藤原大将との電話、邪魔してごめんなさい。それじゃ、代わるね?』

 

「アッハイ」

千歳さんはそう言うと、藤原大将に受話器を渡した。

 

『…渡良瀬少佐』

 

「ふ、藤原大将、ご無事ですか?」

声がもう、なんて言うの?とにかく疲れ切っている。

 

『…辛うじて致命傷で済んだ』

 

ダメじゃん。

 

『…渡良瀬少佐、女性は男が思っている以上に怖い。だから、修羅場になる前にケリをつけろ。まだ間に合う。いいな?』

 

「は、はい…」

よぉく分かりました。

 

『…すまんが、切るぞ。もう、精神的に疲れた…』

 

「その…なんと言いますか…お疲れ様です」

 

『…機会があれば、飲もう。色々話したい』

 

「はっ!喜んで!」

 

『うむ。では』

 

そして、通話は切れた。

 

「…女って怖い」

あんなに怖くなるんだね。まだまだウチは平和なんだね。

それから暫く椅子に座ったまま動くことが出来なかった。

 

 

………。

 

 

「提督さん、夕飯の支度が整ったよ…って、どうしたの?部屋の電気点けないで椅子に座って」

 

「…ん?瑞鶴か…」

あれ、いつの間にか外が真っ暗だ。何時間このままでいたんだろう?

 

「…何かあったの?」

 

物凄く心配そうに俺の目を見つめながら瑞鶴は言った。うん、あった。色々ありすぎた。

 

「…今は話したくない」

 

「…分かった。話したくなったら、何時でも話して?力になるよ?」

 

俺の顔を見て何かを察したのか、それ以上聞いてこなかった。

それから瑞鶴に連れられて食堂へ行ったが、精神的ショックを受けた俺は、殆ど食べる事ができなかった。

 

(早いうちに、瑞鶴とケッコンカッコカリしよ)

俺は決意した。涼月達の事は…その時考えよう。今は、何も考えたくない。

 

 

side 提督 out

 

───────

────

 

 

Another side

 

 

「…まさか、彼に子どもがいたなんて」

知らなかった。まだ、子作りなんてしていないと思っていた。

 

「千代田の行動力を甘く見すぎたわね…」

だから、彼に子どもが。息子が居るなんて知らなかった。千代田が産んだ子ども。殺してしまおうかしら?…いや、ダメだ。彼の息子に罪は無い。あるのは、産んだ千代田だ。彼はきっと、千代田に無理矢理犯されたのよ。可哀想に。

 

「何処にいるの、悟…」

あの時、彼を縛り付けて襲っておけばよかった。でも、後悔しても遅い。

 

「艤装の加護のお陰で、外見が昔と変わらないから、まだチャンスはある」

艤装から一定以上の加護を受け続ければ、肉体の老化は止まる。しかし、いつまで持つか分からない。最近、以前よりも回復が少しだけ遅くなった。

彼は私と違って老いている。でも、そんなの関係ない。彼は彼だ。どんな姿形になっていても愛せる。愛してみせる。

 

「必ず、見つけ出してみせる」

…あ、いけない。拳を強く握り過ぎて、爪が皮膚を突き破って出血しちゃった。

 

「…彼の息子の所に異動しようかな?」

そうすれば、彼と会う確率が高くなるかもしれない。

 

「そうと決まれば、藤原大将に頼まなきゃ」

渋ったら、艤装の艦載機格納箱を頭に叩き付けてやればいい。

 

「アッハハハハハ!!!」

そうと決まれば、荷物を纏めましょう。

拘束具やら薬やらが多いから、選別しなくちゃ。

 

 

Another side out

 

 

───────

────

 

 

side 提督

 

 

─執務室─

 

朝。

 

「…相棒、生きてるか?」

 

「……」

 

「…冗談抜きで大丈夫か?」

 

「……」

 

「…しっかりしろよ。何があったか知らんが、相棒は俺が護ってやるよ」

 

木曾、励ましてくれてありがとう。けど、今、色々考え事していて返事出来ないんだ。すまん。

藤原大将から衝撃的な事を教えてもらってから一夜が明けた。色々ボロボロになったが、頭を切り替えて仕事をしようとしたが、ふと気になった事を調べた。

 

(千歳さんってどんな艦娘なんだろう)

木曾が執務室に来るより前に、執務室に行って端末で調べた。しかし、俺の権限では調べることが出来なかった。あと、俺の親父について調べようとしたが、同じく権限のせいで情報を得られなかった。

 

「…ダメか」

 

「何がだ?」

 

俺の呟きに反応して、木曾が聞いてきた。

 

「あぁ。千歳さんについて調べたんだ」

 

「千歳…さん…」

 

…あれ、木曾、どうしたの?顔青いよ?身体震えてるよ?

 

「その、千歳さんって、何処の鎮守府の千歳さんだ?」

 

「江ノ島鎮守府」

 

「ヴェアアアアアアアアア!!!」

 

どうした、木曾。真顔で直立不動になって、ラ○ットハウスで働く女子高生みたいな、変な声出して。すんごい似てた。もういっかい聴きたいなぁ。

 

「あの人は…ヤバい。一度部屋の中を見たんだが…」

 

「見たんだが…?」

気になる。

 

「…壁中、一人の男性の写真が、一部の隙もなく貼り付けられていた」

 

「一部の隙もなく貼り付けられていた」

 

「手作りと思われる、その男性の人形も沢山あった」

 

「手作りの人形」

 

「全ての写真と人形の心臓部分に、赤く塗られた針が突き刺さってた」

 

「針が突き刺さってた」

 

「…この話はやめよう」

 

「そうだね」

ぼく、は、なにも、きいていません。

涼月達が可愛く見えてきた。

 

「お仕事しよう」

 

「…だな」

 

それから木曾と2人で滅茶苦茶書類を捌いた。

 

 

────────

 

1週間後。

 

 

─執務室─

 

 

朝。

 

 

「ぼく、海外留学してくるね?ねっ?」

 

「いきなり何言ってんの?」

 

「アメリカ行ってくるね!」

 

「ダメだよ!仕事しなきゃ!」

 

「アメリカに持って行ってやる!」

 

「何でアメリカなの!?というか、深海棲艦がうじゃうじゃいて無理だよ!」

 

「諦めたらそこで終わりでしょうが!やってみようぜ!」

 

「提督が壊れた…」

 

…はい、どうも、提督です。俺の親父や、千歳さんの事を知ってから1週間ほどが経過しました。あれから俺の精神状態は瑞鶴に膝枕してもらった事で回復した。回復したんだが、一昨日、地獄の宴が開催されるお知らせが来た。何があったって?

来るんだよ、アイツが。後輩が!阿武隈が!此処に!!!

一昨日、小嶋提督から電話が来て、『外洋に出て深海棲艦の対応を頼む』と言われた。それはいい。だがな、その後の一言が、俺の胃袋と精神に大打撃を与えた!

 

 

『戦力は多い方が良いです。なので、そちらに阿武隈くんを送りますね。ああ、拒否権はありません。頑張ってください』

 

 

そう言って俺が何か言う前に、一方的に切られた。クソァ!!

そして今日。阿武隈が!やって来るんだよ!だから海上を、とっとこ走るよ提督ゥ!してアメリカ辺りに逃げようとしたんだ。しかし、秘書艦の鈴谷にアームロックかけられて逃げ出すのに失敗。ちきしょう…。

 

「まぁまぁ。鈴谷がなんとかするから、だいじょ〜ぶ♪」

 

「…マジで頼む」

最近平和だったから、ドンパチして欲しくないの。…え?平和だと思い込んでいるだけで、全然平和じゃないって?俺が平和って言うんだから平和なんだよ!

ゾンビがネオジ○ング壊そうとして初霜に鉄血メイスでシバかれたり!

榛名が俺のボクサーパンツ頭に被ってトリップしてる所を、瑞鶴がLM-ジ○オスで斬ったり!

由良と夕立が演習をして、マジ○チスマイル浮かべながら互いの腕をぶっこ抜いたり!

この程度のお茶目な出来事しか起きていない!だから平和だ!平和なんだ!千歳さんと比べりゃ、可愛いもんだよ!

 

「…あ、来たみたい」

 

「じーざす」

思わず悪態ついちまった。仕方ねぇ、受け入れよう。

幸い、瑞鶴は出撃でいない。修羅場は起きない。瑞鶴が帰ってきたら起きるって?言わないで!

 

『木曾だ。本日着任した艦娘を連れてきた』

 

「…入れ」

言いたくなかったが、入室を促す。そして扉が開き、木曾と阿武隈が入室。

 

「本日付で第603鎮守府に着任しました、長良型軽巡洋艦六番艦、阿武隈です!よろしくお願いします!」

 

「ようこそ、阿武隈。歓迎しよう」

…うん。目がヤヴァイ。ハイライト完全に消えてる。おまけに、顔がメッチャやつれてる。しかし髪はツヤツヤのサラサラ。不気味さを感じる。

 

「えへっ…えへへへ…あははははは!!!」

 

「オープンコンバアアアアアァァッッット!!!」

阿武隈選手、挨拶終了と同時に飛びかかって来たァ!

まるで、L4D2のハンターだァ!

提督選手、これを華麗に避ける!

 

「ぶべらっ!?」

 

おおっと、阿武隈選手、提督選手に避けられて、顔面から執務机に突っ込んだァ!

そして派手にパンモロ…じゃない、スパッツだからスパモロォ!新しい単語を作ってしまったァ!

顔は乙女の命の1つ!それを傷付けた提督選手、ゲスだなぁ!!

 

「…うへへへ。ていとくぅ〜?」

 

おおっと、阿武隈選手、顔面を強打したにもかかわらず、何事も無かったように瞳孔をかっ広げ、満面の笑みを浮かべゆっくりと立ち上がったァ!

その瞳に光は無い!

 

「…木曾、鈴谷、頼んだ」

もう、疲れた。休む。俺は扉に寄りかかり、様子を見る事にした。逃げる気力は無い。

 

「了解だ、相棒」

 

「まっかせて〜♪」

 

「皆さん、私の邪魔しないでください!んんっ!邪魔しないでくださァい!」

 

「さぁて、相棒に要らん苦労をかけるなら、ここでおねんねしてもらうぜ?」

 

「悪い娘には、お仕置きしないとね!」

 

木曾は猛獣用麻酔の弾をピー○ックスマッシャーに装填。

鈴谷はマ○ン棒を取り出し構えた。

 

「この一撃は痛いぞ…死ぬ程なッッッ!!!」

 

木曾、側転しながらラ○ダムシュート!全弾直撃!…いい腕だ。というか、一撃どころか十撃位入ってるよ。

 

「ぬうぅ!!」

 

お、効いてるみたいだ。

 

「麻酔!?ううっ、クラクラ…する…」

 

「うりゃ!!」

 

フラついている阿武隈の頭に、鈴谷が重巡のパワーでマ○ン棒を叩き付けた。うわ、真っ二つに折れたぞ。どんだけ力込めたんだよ、容赦ねぇな…。

 

「ふ、ふぉくす…ダイ…」

 

あーあ、阿武隈、ダウンしちゃったよ。とりあえず、医務室に運ぶか。…さっき、何か呟いた気がするが。気のせいだな。

「なんだ、呆気ない」

 

「木曾、それフラグ」

 

「おっと、すまんすまん」

 

「許す」

助けてくれてありがとう。

 

「大したこと無かったね」

 

「だから鈴谷、フラグ立てないで」

 

「だいじょーぶだって。思い切り力入れてぶっ叩いたんだから♪」

 

ニシシって笑いながら言わないで、怖いです。さて、阿武隈を運ぶか。うつ伏せに倒れている阿武隈に近付いて…

 

 

「じゃなーい!」

 

 

「りきっどおおおおおおおおお!!!」

起きた!阿武隈が起きた!腕掴まれたァ!木曾ォ!鈴谷ァ!おめーらがフラグ立てたから、回収されちゃったじゃない!!!

 

「あの程度の攻撃で、この阿武隈がやられると思っていたのかァ?」

 

どこの伝説の超野菜人だよ!くそっ、離れない!

 

「えへへ〜、つ〜かま〜えた〜♪」

 

「木曾ォ!鈴谷ァ!助けてぇ〜!」

 

「ふひっ…ふへへへへ…」

 

「ひいいいぃぃぃ!!!」

目ェ!完全にイッちゃってるゥ!あとヨダレ垂らしながら笑うなァ!女の子がそんなアヘ顔しない!

この後、木曾と鈴谷が俺を助けようとしてくれたが、本気を出した阿武隈に軽々とノされ気絶。これまでか。そう思った時、待機していた山城が騒ぎを聞きつけ助けに来てくれた。

いやぁ、それにしても戦艦のパワーと重量を生かした瑞雲ラリアットは凄かった。由良のと威力が桁違いだ。

…あ、ひとつ言っておくが、山城は決して重くなんてないぞ?むしろ軽い。艤装が重いのであって、山城の体重は…

 

「スリーサイズと体重をバラしたら、キ○タマをバールで引っこ抜くわよ?」

 

…何も言いません。

あの、山城。助けてくれたのは有難いけど、女性がキ○タマ言わない。あとバールで引っこ抜くってなんだよ。具体的過ぎてちょっと怖い。

 

 

side 提督 out

 

 

───────

────





次回予告

…ねぇ、なんであんたが此処に居るの?…はぁ!?着任した!?冗談でしょ!提督さん、嘘だよね?…本当なんだ…あ、コラ!準から離れなさい!彼は、私の彼氏よ!…えぇ、復縁したの。だから、邪魔しないで!…納得できていないみたいね?なら、勝負よ!


第28話・隠し味は愛情?いいえ、媚薬です!


「ヤモリを鍋にぶち込まないでください」
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