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…それにしても、彼女の人気凄い。コメント欄を見た瞬間、変な声出して笑ってしまった(小声)
side ?????
─食堂─
夜。
《……》
瑞稀を通して見える光景は、とても賑やかで、暖かい。
楽しそうに会話しながら笑って。
美味しそうに料理を食べて。
彼が、他の艦娘達に襲われて。
瑞稀達がそれを止めて。
…いいなぁ。
いつも、見ている事しか出来ない。
私という存在を知っているのは、瑞稀と彼、そして静流の3人だけ。
《…》
(…どうしたの?)
いけない。私の感情が瑞稀に伝わってしまった。
慌てて自分の感情や思考を止めようと思ったけど、遅かった。
(…そう、なんだ…)
伝わってしまった。
私が、寂しいと思っている事が。
皆と、接してみたいと思っている事が。
(…打ち明けちゃう?)
瑞稀が問いかけてきた。
ううん、今はダメ。今の主役は、阿武隈よ。彼女の着任祝いをしているから、後日、ね。
(…分かった)
《…》
それから、私は瑞稀を通して皆の様子を見聞きした。
…………。
─翔鶴・瑞鶴私室─
着任祝いが終わり、足柄達がお酒を飲み出したから、瑞稀と静流は自室に逃げた。瑞稀と静流の2人はアルコールに弱いから、仕方ない。ちなみに阿武隈は、ほろ酔いの由良に捕まり飲まされている。ご愁傷さま…。
部屋に戻り、入浴を済ませて寝る準備を整える。そう思った時だった。
「…あのさ、静流姉 」
「なぁに、瑞稀」
瑞稀が静流に話しかけた。
「近いうちに彼女を。私を助けてくれた彼女の存在を、此処の皆に打ち明けようと思うんだ」
瑞稀…。
「…そう。私は、いいと思うわ。いつまでも秘密にするわけにはいかないし」
「私もそう思う」
(いつまでも寂しい思いさせたくない)
《瑞稀…》
彼女の感情が伝わってきた。決して同情や哀れみのものでは無い。純粋に、私を想ってくれている。
「とりあえず、準に相談してみましょう?」
「そうだね」
(そうと決まれば、準の部屋に行こう)
「私も行くわ」
…………。
─提督私室─
……。
「…そうか。分かった。近日中に場を設けよう」
彼の部屋に行き、私という存在を、此処の皆に打ち明けたいと瑞稀達が説明すると、彼は快諾してくれた。
「ありがとう」
「気にするな」
…本当に、ありがとう。
「彼女も、ありがとうって言ってる」
「そうか…」
今の状態では私の言葉を彼に伝えられないから、瑞稀が代わりに伝えてくれた。
「此処の連中なら、きっと受け入れてくれる。もしそうじゃなかったら、俺が何とかする。だから、安心しろ」
うん。ありがとう。
「…さて、そろそろいい時間だ。部屋に戻りな」
「えー?もっとお話しようよ!まだ22時だよ?」
(そして、あわよくば押し倒したい)
…瑞稀、あんたねぇ。
邪な感情が伝わってきた。
(押し倒したくないの?)
押し倒したい。
(やっぱりアンタ、むっつりスケベね)
むっつりスケベちゃうわ!
「…瑞稀、どうした?」
ほら、彼が心配そうにこっちを見てるわ。変な顔してたんじゃない?
(アンタのせいよ!)
何でよ!
「瑞稀、何で怒った顔をしているの?」
あーあ、静流にまで心配かけてる。
「ううん、何でもない。彼女がむっつりスケベでガッカリしているだけ」
ちょっと待って!貴女、何言ってくれちゃってんのぉ!?
「むっつりスケベって…」
彼が呆れた顔で見てきた。違うからね?むっつりスケベじゃないからね?
「あら、そうだったの?」
違います。違いますからね、静流。私はむっつりスケベじゃないからね?
「エロい事には興味津々だけど、妄想するだけで満足するから、むっつりスケベよ」
ふざけるなー!
『私は、むっつりスケベじゃない!』
…あ、思わず瑞稀の身体の制御、奪っちゃった。髪と肌の色は白くなり、瞳の色が紅に。額からは二本の角が生え、髪が逆立った。
《うわぁ、一瞬で身体動かせなくなった。ちょっとビックリ》
ご、ごめんなさい。
《別にいいよ。気にしないで?》
あ、ありがとう。
《それより、チャンスよ?》
チャンス?
《準を襲えるわ》
『襲うかっ!!』
「うおっ!?」
「きゃっ!?」
『…ごめんなさい』
いきなり叫んだから、彼と静流を驚かせてしまった。全く、瑞稀のせいよ!
《私のせい?》
そうよ!
《酷いわね、私は事実を言っただけなのに》
事実無根よ!
《なら、証明してみなさいよ》
証明?
《準を【バキューン】してみなさい》
できるかっ!
《ハッ。やっぱりアンタ、むっつりスケベじゃない》
だから、違うって…
《妄想ばかりで行動に移さない。どう見てもむっつりスケベですありがとうございました》
『やってやろうじゃねぇかよこの野郎おおおおおおお!!!』
「いきなり叫んでどうした!?」
彼は驚きながらそう言った。静流は…少し距離を取ってこちらの様子を見ている。
『私は、むっつりスケベではないと、今から証明してやるのさ!』
瑞稀、しっかり見てなさい。
「おい待て、何をする気だ!?」
『何って…な、な、ナニだ!』
腹決めた!突撃ィ!
彼の両肩を掴み、敷いてあった布団へ押し倒す。
「ちょ、瑞稀!?」
「な、なんてうらやまけしからん!」
彼、驚く。静流、私の行動を見てス○ナーKを取り出す。
『さきっちょどころか、根元までズップリいってやらァ!!!』
もう誰にも止められない!
《ちょ、ハジメテは私のものよ!そこは譲れないわ!》
えぇい、邪魔するな!むっつりスケベではないと証明するんだ!身体の制御を奪おうとしないで!
「離せ!離してくださいオナシャス!」
「……」
彼、必死に暴れるも、私のパワーには勝てず。静流、無言でスタンガンを放電。怖いわ!
「くっ…このぉ!」
彼、私の角を手で掴む…って、待って!待ってお願い!角は、角は!
『あぁん♡』
「」
「」バチバチバチ
角は、性感帯なの!彼に掴まれたせいで、思わず色っぽい声を出してしまった。肩ではなく、腕を掴んでおくべきだった。
部屋は、静寂に包まれた。…訂正。静流の持つスタンガンから放電の音だけが響く。
「…角は、ダメ…」
掴まれて時間が経っていないから、自分で言うのもなんだけど、かなり色っぽい声で言った。言ってしまった。きっと、顔も大変な事になっているでしょうね。絶対真っ赤だ。あと、目が潤んでいる。現に、視界がぼやけているし。
「…」
あ、あれ?彼の様子がおかしい。まるで…例えるなら、肉食獣が獲物を見るような…って、コラ!角に手を伸ばすな!
『何する気!?』
慌てて彼の腕を掴んで阻止。今はこれ以上、醜態を晒したくない。
「…角を触ろうとしました」
正直に答えてくれた。 嬉しい。それって、私の嬌声が聞きたいから、だよね?でもね。
『角は性感帯なの!ダメなの!』
注意をしておく。これで、彼は無理矢理触ろうとしない筈。彼の性格なら、きっとそうだ。
「…分かった」
良かった、やめてくれて。
「……」
あの、静流?何で無言のままス○ナーKチャージしているの?音、ヤバいわよ?もしかしてそれ、私や彼にぶっぱなすつもりじゃないよね?ね?
「こんのドスケベ野郎共がああああああああああ!!!」
口調!お淑やかな口調!キャラ崩壊してる!待って、私達に向けないで!
《し、静流姉、やめて!》
瑞稀もやめてって言ってるわ!だから、やめ…
「うるああああああああああっ!!!」
「『《ぎゃあああああああああああああああ!!!》』」
3人仲良く、ス○ナーKのフルチャージされた電撃を受けました。私と瑞稀は辛うじて致命傷で済んだけど、彼は人間だから死ぬんじゃ…
「あばばばばばば…」
アフロヘアーになってピクピクしているけど、無事だった。後日、彼から聞かされたけど、提督は艦娘達を取り纏める存在だから、特殊な訓練を受けさせられるらしい。提督って凄いわね。
───────
─会議室─
数日後。
静流と彼の2人に相談してから数日が過ぎた。日に日に暑くなってきて辛い。
今日、彼が事前に告知して、此処に所属する艦娘達全員を会議室に集めてくれた。ついに、私という存在を、皆に明かす。緊張してきた。
(大丈夫よ、私が。私と準、それに、静流姉が居る。何があっても、私達は貴女の味方よ?だから、安心して?)
瑞稀…。
そして。提督が説明を始めた。瑞稀の意見で、私が瑞稀に憑依した事全てを話すことにした。
提督が説明を始めて数分が経過。会議室は騒めき出した。それもそうだ。突拍子も無いから。でも、彼女達は提督を信用…いや、信頼しているからか、直ぐに受け入れ静かになった。
「…さて、瑞鶴。彼女と変わってくれ」
「了解よ」
…いよいよ、だ。緊張する。
私が瑞稀の身体のコントロールを得ると、姿形が変わる。その見た目は、深海棲艦にそっくりだ。拒絶されないか不安だ。
(…よし、行くぞ)
いつまでも恐るな。ここまでしてくれた瑞稀達に失礼だ。
覚悟を決め、瑞稀の身体のコントロールを得る。
少しずつ変わる髪と肌。
瞳の色が変わる。
額に角が生える。
ツインテールだった髪型が変わり、逆立つ。
「「「「「「おおっ!?」」」」」」
『……』
姿の変わった私を見て、皆は驚きの声をあげた。
覚悟は、出来ている。罵られようが、拒絶されようが、構わない。私は、私は…
「かっけー!」
『…は?』
摩耶が目をキラキラさせながらそう言った。
「まるで、NT-Dが発動したユ○コーンみたい。スケッチしていい?」
『あー…いい、かな?』
《いいわよ?》
「秋雲、あとにしなさい」
瑞稀に確認を取ると、許可を与えてくれた。だけど、彼はあとにするように、と言った。
「あら、面白そう。…ククッ…クククク…」
由良、目が笑ってない。怖い。
「強そう!演習!夕立と演習しましょう!?」
夕立、犬歯剥き出しにしながら言わないで。怖い。
それから、彼女達は様々な反応をしたが、どれも肯定的なものだった。
…認められた、のかな…。
《此処の皆は、いい奴らばかりよ。言ったでしょ?》
…そう、ね。緊張していたのが馬鹿らしく思えてきたわ。
それから、彼女達に様々な質問をされた。そして。
「お名前は…なんとお呼びすれば、よろしいのでしょうか…」
彼女、早霜の一言で会議室は更に騒がしくなった。
沢山の名前の候補が挙げられた。しかし、どれもしっくりこない。
「…名前については、また後日、考えよう。名前は一生使うものだ。慎重に考えよう」
彼の一言で、一先ず私の名前を考えるのは保留となった。
…………。
《パワフルな娘達ね》
(此処は娯楽が少ないから、楽しんでいたのかもしれないわ)
そうかもしれない。ともかく、私という存在は認められた…のかな?
(大丈夫よ。それに、何度も言っているけど、私や準、静流姉が居るわ!だから、安心しなさい?)
…ありがとう。本当に、ありがとう。
嗚呼、暖かい。
彼女に。瑞稀と出会えて良かった。
…そういえば、私は何故、瑞稀に憑依したのかしら?
………。
思い出せない。何度も思い出そうとしたけど、ダメだ。
…ま、いっか。
(そろそろお昼ね)
そうだった。今日のメニューは何だろう?
(足柄が担当だから、恐らく揚げ物ね)
揚げ物か。足柄の料理は美味しいんだけど、カロリーがね…
(うん…でも、食べた分運動して消費すればいいじゃない)
それもそうね。
私達は食堂に向かった。
…名前、どうしようかな。彼に付けて貰おうかな?
side ????? out
───────
────
─
side 提督
─執務室─
数日後。朝。
「……」
瑞稀を助けた存在を、此処の皆に打ち明けてから数日が過ぎた。色々懸念していたが、杞憂に終わった。だって…
<チッ…仕方ないなぁ…全力でシバいてあげるよ!
<防空駆逐艦は、伊達ではありません!
<いけー!やっちゃえ、裏瑞鶴!
執務室の外から、裏瑞鶴(仮名)達の声が聞こえる。
ゾンビがやらかそうとして、それを止める為に彼女が奮闘している。その実力は凄まじく、毎回ほぼ一撃で仕留めてくれる。そのせいか、此処の皆から救世主扱いを受けている。
<アッハハハハハ!もう終わりかい?
<お"、お"の"れ"ぇ"…
<さすが裏瑞鶴!シビれる!あこがれるゥ!
おい阿武隈、俺達に…いや、私達か。できないことを平然とやってのけるッ、が抜けてんぞ?ちゃんと言わなきゃダメだぞ、ファンの人達にズキュウウウンされちゃうよ?
「…平和だ」
「相変わらず現実逃避してんなぁ」
「平和ったら平和なんだ」
摩耶に言われたが、反論する。俺が平和って言うなら平和なんです。
「…此処も随分、賑やかになったな」
「だな」
瑞鶴が来るまで、艦娘は8人しか居なかった。
最初は、涼月、時雨、早霜、夕張の4人。
第603鎮守府の運営開始から約1週間後、艤装のトラブルにより、遅れて秋雲と摩耶が着任。この6人で約2年間、共に過ごした。
そして今から約4年前。足柄が他所の鎮守府から異動してきた。来たばかりの頃は、俺と目を合わせてくれない、話を聞いてくれないで苦労したなぁ。しかし、最終的には和解できて、今のような悪友的存在になってくれた。足柄は元来、明るくおふざけ大好きな性格だから、心を許した相手には、とにかくハジける。素を出した足柄を見た時、驚いた記憶がある。
そして、約1年前。由良が着任した。彼女は曰く付きの艦娘だ、だの。頭がイカれている、だの。色々言われていた。実際、言動が今より怖いわ危ないわで軽く引いた記憶がある。でも、接していくうちに、とてもいい娘だと分かった。由良も俺の事を認めてくれたのか、少し大人しくなってくれた。
小規模な第603鎮守府。それが今では21人。
「もう、小規模とは言えないな」
「…だな」
「どうした?」
摩耶の声が疲れた感じの物になった。賑やか過ぎて疲れているのか?摩耶は賑やかなのが好きだ、って言っていたから喜んでいるかと思ったんだけど。
「…もっと、賑やかになるかもしれないぞ?」
「はい?」
もっと賑やかになる?どういうこと?あれ、摩耶が秘書艦用の机から封筒を持ったぞ。その封筒の色と形、すんごい、見覚えがあるんですけど。えぇ〜?
「…ほい。今朝、大本営から届いた」
「…」
俺の執務机に置かれる。誰が来るんだ?
恐る恐る封を開け、書類を見る。直後、俺は硬直した。
「…な?賑やかになるだろ?」
「…あ、夢か」
…とんでもない名前が書かれてた。きっと夢だ。
「ところがどっこい、夢じゃありません。現実です。これが現実です」
「ウソダドンドコドーン!」
ナスェダ!ナズェダ!大本営!俺が何をしたってんだ!?夕立けしかけて、ケツ穴に魚雷突き刺して奥歯ガタガタ言わせんぞワレェ!もしくは涼月をカチコミさせてバイオハザード起こしてやるぞコンニャロウ!
本当に、何で…。
書類には、こう書かれていた。
【□月○日を以て、江ノ島鎮守府より第603鎮守府に、千歳型航空母艦一番艦千歳を異動させる】
「俺、あの人怖い!1分くらいしか会話しなかったけど、滅茶苦茶怖かったもん!」
しっかり会話し接するまで、その人となりを決め付けるな。そう肝に銘じて生きてきたけど、今回だけは決め付けさせてくれ。千歳さんは怖い!僅か1分程度の会話で分かった。あの人はヤバい。本能的にヤバいと分かる。
「なぁ、そんなにヤバいのが来るのか?」
俺の尋常じゃない様子を見た摩耶が、恐る恐る声をかけてきた。
「ヤバいなんてレベルじゃねぇ。マジでやべぇよ…」
頭を抱える。その時だ。執務机に置かれた固定電話が鳴った。
「…はい、こちら、第603鎮守府、渡良瀬準少佐です」
頭を切り替えて電話に出る。一体誰だ?
『…こちら、江ノ島鎮守府、藤原剛大将だ』
「ふっ、藤原大将!?」
まさかの藤原大将からの電話。大将の声は物凄く疲れきった感じのものだ。まさか…
『…渡良瀬少佐、その声から察するに、書類を見たな?』
「…はい」
あ、もしかしなくても…
『…すまん、彼女を止められなかった』
「あ、あはははは…」
やっぱり。これ、ドッキリや間違いじゃなくて確定ですか。思わず笑っちゃったよ。
『…渡良瀬。気をしっかり持て。困った事があれば、遠慮なく電話してこい。私の出来る範囲ならば、何でもしてやる』
「今すぐ千歳さんの異動を取り消してください」
ん?今、何でもしてやるって言ったよね?なら、取り消してもらおう。
『すまん、無理だ』
「即答!?」
何でもしてやる、って言ったじゃん!嘘吐き!…あ、出来る範囲って言ってたか。範囲超えちゃってるのね。
『…ともかく、事実を受け止め…ま、待て、千歳!違う!渡良瀬少佐との電話だ!悟ではな…ぎゃああああああああああああああ!!!!』
「大将おおおおおおお!!!」
あれ?デジャブ。やめてよね、このあとの展開が、先日藤原大将に電話した時と同じなんて。
『…もしもし?』
「でゅるわぁあああああぶるわっひゃあひゃひゃひゃひゃどぅるわっはあああああああああぎゃあああああうわああああああああ」
『あっ、渡良瀬くん…じゃなかった。渡良瀬少佐でしたか。ごめんなさいね、驚かせちゃって♪』
「アッ、ダイジョウブデスヨ?ビックリシテナイ。ホントデスヨ?」
カタコトになったけど、仕方ないよね。
『うふふっ♪私、渡良瀬少佐の所に異動する事になったの。よろしくね?』
「ヨロシクオネガイシマス」
『ふふっ…うふふふふっ…』
「」
…。
「…胃薬と白湯、どうぞ」
「…アリガトゴザマス」
気が付くと通話は切れていた。摩耶は胃薬と白湯を用意してくれた。お礼言ったけど、カタコトで所々言葉が抜けた。
「…実家に帰ろう」
「は、はぁ!?」
予定では明後日から三日間、実家で過ごす。しかし、予定を前倒ししよう。今から実家に帰る。そしてそのまま、逃走してやる。今回はマジで逃げてやる。瑞稀を連れて愛の逃避行してやる!ちなみに、
「最後のガラスをぶち破れぇぇぇええええ!!!」
見慣れた景色なんざ蹴り出してやらァ!
「覚○ヒロイズム!!?」
ガッシャーン!
「何事!?」
「あ"…提"督"♪」
「んんっ!?提督ぅ!?」
窓ガラスをぶち破って外に出ると、裏瑞鶴(仮名)と涼月、阿武隈が驚いた顔でこちらを見る。…訂正、涼月だけ、嬉しそうな顔で俺を見てきた。ボロボロの状態で笑っているから、ちょっと怖い。
「ずううううういかあああああああくうううつううっっっっ!!!!」
「ひいっ!?」
思い切り叫ぶ。驚き硬直する裏瑞鶴(仮)。…あ、驚いたからか、元に戻った。
そのまま、硬直する瑞鶴に向かって走り、お姫様抱っこをする。
「ひゃんっ!?」
「お゙姫゙様゙抱゙っ゙ごな゙ん゙で羨゙ま゙じずぎ゙で゙ずゴン゙ヂグジョ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!!!」
「ん"ん"っ"!?ずるい!!!」
突然のことに驚き、可愛い悲鳴をあげる瑞鶴。押し倒したい。だが今は逃げる!押し倒すのは後だ!
涼月、キャラ崩壊してるよ…あ、元からか。
阿武隈、すまん、許してくれ。緊急事態なんだ。
瑞鶴をお姫様抱っこしたまま、車庫へ向かう。車…いや、小回りの利くバイクにしよう。後ろに瑞鶴を乗せ、フルフェイスのヘルメットを被せる。
「ちょ、提督さん!?」
「説明は後だ!しっかり掴まれ!」
俺の尋常じゃない焦りようを見た瑞鶴は、素直に従ってくれた。急いで。しかし、慌てずバイクに鍵を挿し、エンジンをかける。俺はバイクの事はあまり詳しくないが、バイク好きの摩耶曰く、鎮守府に支給されているバイクはプロのレーサーすら真っ青になる程の、とんでもないパワーを持っているそうだ。確か、名前はダッ○・トマホークだったな。先日壊されたが、夕張に完全修復してもらった。あれから何度か試運転したが、問題は起きていない。
「ひとっ走り、付き合えよ!」
車じゃないけど、某仮面のライダーさんの決め台詞を言う。同時にアクセル全開!インド人を右に!
「きゃああああああ!!!」
急発進した事で、後ろの瑞鶴が悲鳴をあげる。ごめんよ、我慢してくれ。
カタパルトから射出された戦闘機並みの速度で車庫を飛び出し、鎮守府正門へ向かう。
「キェァァァェェェェァァァァァァァァァァ!!!」
しかぁし!そこにはゾンビが待ち構えていた。避けるか?…いや。
「人生とバイクはなぁ…前にしか進まねぇんだよおおおおおおおおおおおお!!!」
何処かの掲示板に書かれていた名言を叫びながら、構わずフルスロットル。
「ッッッ!!?」
ゾンビ、俺の気迫の篭った叫び声を聞き、慌てて回避。轢いてもギャグ小説だから死なないけど、涼月嫁提督達に怒られそうだから、涼月は回避した、と描写しておこう。ただでさえ色々キャラ崩壊させてるからね。仕方ないね?
「提督が逃げたぞおおおおおお!!!」
「逃がすなあああああああああ!!!」
「お姉ちゃんも連れていきなさい!!!」
「仕事を放ったらかして、何処に行くの!?」
後ろから摩耶、阿武隈、翔鶴、矢矧の声が聞こえたが、無視。…あ、艦載機の音。あれは…烈風改!
「ぬおおおおおおおおお!!!」
機銃(ゴム弾)が降り注ぐ。だが止まらない!
艦載機の機銃やら、ブ○イザー・アグニの青紫の弾やら、コ○マライフルの弾やら、ポ○トロンライフルの弾やら。色々飛んでくるけど知ったこっちゃねぇ!
「俺はっ!俺はっ!瑞鶴と愛の逃避行をするんだああああああああああああああああ!!!」
「止まって!止まって!準!死ぬ!死んじゃう!!!」
「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!」
俺はもう、誰にも止められない!止まってたまるか!瑞鶴…いや、瑞稀。すまんが、暫く我慢してくれ。
「イ゛ェ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!」
ギアを入れ替え、アクセル全開。更に加速!タコメーターの針は、既にレッドゾーンに突入。速度計を見ると、時速600kmを超えている!
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「ふははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」
ギャグ小説特有の、ノリと勢いでこのまま逃げ切ってやらァ!バカヤロー!!!
side 提督 out
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────
─
次回予告
…お前が提督になって、6年近く経つのか。それに、剛から話を聞いた、か。
…いいだろう、教えてやる。
お前の両親は…
第30話・両親
「意味が分かりません」
※もう、過去編は彼女のでいいよね?ねっ?(諦観)