追跡鶴   作:EMS-10

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第52話・休養その6

 

side 提督

 

 

──休養状態7日目、第603鎮守府、執務室──

 

 

午前。

 

 

「あっちぃ…」

本日の天気、雲一つない快晴。最高気温は35℃を超えている。予報だと35℃超えの日が数日続くそうだ。余程の理由がない限り、外出は控えた方がいいな。それくらい暑い。

 

「クーラー点けたら?」

 

「そうすっか」

矢矧の提案に乗るか。窓と執務室の扉を閉めて、えっと、クーラーのリモコンは何処だっけ?引き出しに仕舞っているから……あった。冷房27℃に設定して、スイッチON。あ"〜、冷たい風が吹いてきた。最高だ〜。少し前にフィルターとか掃除したから、嫌な臭いはしない。

 

「ふぅ、生き返るぅ〜」

 

「ほら、書類を片しましょう?」

 

「分かった」

だらしない返事をしたら怒られるから、しっかり返事をする。よーし、今朝大本営から送られてきた書類と睨めっこを再開しますか。

何の書類かって?そりゃ、色々だ。今月使用した運営資金や資材の残りを記載して提出するよう促す書類とか、此処(第603鎮守府)に所属する艦娘達のメンタル・フィジカルの状態とか。とにかく色々書かなきゃならない書類がある。休養状態だけど、書類は届くから片さないと後々苦労する。はたらきたくないでござる。

最初は俺一人でやるつもりだったんだが、たまたま執務室の前を通りかかった矢矧に見られ、手伝うと言って今に至る。

えーと、この書類はこうで、これはこう。んで、これは──

 

「書類捌き、早くなったわね」

 

「どっかのスパルタ女帝のお陰でな」

 

「誰がスパルタ女帝よ」

 

「冗談だ」

ジト目で見ないで、冗談だから。まぁ、矢矧も冗談だと分かっているからそんなに怒っていない。

 

 

…………。

 

 

書類を捌いて約1時間後。矢矧が手伝ってくれたから、かなり早く終わった。

 

「手伝ってくれてありがとう」

俺の事なんか気にせず休養を満喫してくれても良かったのに。本当にありがとう。

 

「どういたしまして」

 

「さて、あとは俺がやっとくから、自由に過ごしてくれ」

自室に戻って過ごすも良し、皆とゲームとかして遊ぶも良し。好きに過ごしてくれ。

 

「そう言われても、やりたい事が無いのよ…」

 

「そうなのか?」

まぁ、休養状態に入って7日が過ぎたんだ。やりたい事とか、殆どやっちまっただろうし。

 

「ねぇ、あなたの趣味を教えてくれない?」

 

「えー…」

いや、教えるのは構わないんだが、アレだよ?オタ趣味ばっかだよ?この歳になってそればかりってどうなの?って言われそうだけど、それ以外の趣味に手を出した事があるけど、どうも俺には合わなくてなぁ。長続きしないんだよ……。それに矢矧、君はそういった趣味を、言葉は悪いが苦手だ、って養成所の時言ってたじゃん?

 

「大丈夫よ、慣れたから」

 

「慣れた、って…なんか、ごめん」

俺のせいで慣れたんだよね?悪影響与えてごめんよ?

 

「謝らないで。あなたの影響もあるけど、向こう(舞鶴鎮守府)に居た時、慣れたから…」

 

向こう──舞鶴鎮守府に居た時に慣れた?どういう事?

 

「……舞鶴の提督も、そういった趣味を持っていたのよ。下手したら、あなた以上よ?」

 

「マジで?」

舞鶴鎮守府の提督って、確か、あの人(・ ・ ・)だったな。俺が提督適性検査を受けた時に立ち会ってくれた人。「俺は面倒が嫌いなんだ」が口癖の、あの人がまさかのオタ趣味持ちとは。意外だ。声が速○奨さんぽかったから、一瞬スティ○ガーかよ!と思った記憶がある。

 

「最初は嫌だったけど、向こうの提督から色々教えてもらって興味を持ったし、面白い文化だと思うようになったわ。それに──」

 

「それに?」

 

「……うん。とにかく、良い物だと思うようになったわ」

 

なんだよ、気になるな。けど、深く聞くのはやめておこう。なんか話したくなさそうだし。

 

「……聞かないの?」

 

「聞いてほしいのか?」

話したいのなら、しっかり聞くよ?けど、話したくないのなら話さなくていい。視線でそう告げると、俺の考えが伝わったのか、矢矧は苦笑いした。

 

「……そのうち話すわ」

 

「あいよ、気長に待ってるよ」

これ以上追求するのはやめよう。はい、終わり。

 

 

 

………………。

 

 

 

「あっつ!」

矢矧を退室させ、ファイルに書類を纏めて引き出しに仕舞ったあと、やる事が無くなったからクーラーを止めて自室に向かおうとしたんだが、執務室から出たら熱風が襲い掛かって来やがった。こりゃ、外に出たらヤバいな。皆は大丈夫だろうか?熱中症や脱水症状起こしていないよね?心配だから見て回ろう。部下の体調管理も立派な仕事です。艦娘の皆の様子を見たら、妖精さん達の様子を見よう。

まずは談話室に行くか。あそこ、クーラーあるけど皆遠慮して使わないんだよね。気にせず使ってくれていいのに。

 

……。

 

おっ、談話室の扉が閉まってて、そこから涼しい風が吹いてくる。クーラーを点けているみたいだ。そうそう、それでいい。電気代とか気にせず使いな。

 

(誰が居るんだろう?)

外出届は4人分──早霜と満潮、摩耶、鈴谷──出てるから、そいつら以外の娘達が居るはず。ゆっくり扉を開けて中に入──

 

「ですので、無理な力を入れる必要は全くありま──提督!?」

 

ると、ホワイトボードの前で扶桑さんが何か説明していた。しかし、俺が入室すると焦った顔をした。どうして焦ってるの?

ちなみに、談話室には扶桑さん以外にも翔鶴、由良、時雨の3人が居た。

 

「邪魔するぞ〜」

本当に邪魔なら、すぐ退室するぞ。

何を説明していたの?ホワイトボードを見ると何か書かれているけど、光が反射していて良く見えない。少し近付くか。……見えてきた。何何、日本刀の扱い方?へぇ、面白そう。俺にも教えて?……違うでしょ。そうじゃないでしょ、俺。

 

「あの、扶桑さん?何をしているの?」

ホワイトボードに日本刀の扱い方って書かれてるから、翔鶴達に日本刀の扱い方を教えているのは分かるけど、一応聞いておこう。

 

「あ、あの、その……」

 

めっちゃ焦ってますね。どうしてそんなに焦っているの?提督に教えて頂戴?ああ、勿論怒ったり失望したりなんてしないから安心して?返答次第では怖がるけど。

 

「翔鶴さん達に、日本刀の扱い方を教えていました……」

 

「そうなんだ」

正直に言ってくれた。うん。正直な娘は大好きだよ?でも何で教えようと思ったんだ?視線で問うと、

 

「昨日遊んだゲームの影響で、皆さん、日本刀を扱ってみたいと申されまして……」

 

「そうですか」

確かに、メ○ルギアラ○ジングの技とかカッコイイもんね。真似したくなる気持ちは分かる。真似するのはいいよ。いいけど、

 

「一応聞くけど、扱い方を覚えてどうするの?」

巻藁とか斬る為に覚えるのなら構わない。雷○の真似をするのも許そう。ただね、扶桑さんみたいに深海棲艦の首を斬ったりしないよね?そんで首を持ち帰ったりしないよね?ねっ?……いかん、由良の口癖が移っちゃった。

……あのさぁ、何で全員、気まずそうに目を逸らすのかなぁ?

 

「──思いました」

 

「うん?」

すまん、翔鶴。声が小さくて聞き取れなかった。もう一度、大きな声で言ってくれない?

 

「……扶桑さんみたいに、深海棲艦をぶっ殺ゲフンゲフン殲滅出来るようになりたいと思いました」

 

「」

翔鶴さん、君、今なんて言ったの?聞き間違えじゃなければ、ぶっ殺せるようになりたい、って言おうとしませんでした?

 

「なので、日本刀の扱い方を教わっていました」

 

「お願いしますからやめてください」

もし覚えたら、毎日首を持って帰る気でしょ!?扶桑さんみたいに!扶桑さんみたいに!持ち帰らないのなら許可するよ。斬ってもいい。いいが、何度でも言うけど首を持ち帰ってこないで!首以外にも、手足とか。とにかく身体の一部を持ち帰らないで!お願いします!

……頭痛くなってきた。あとでバファ○ン飲もう。そのあと瑞鶴に甘えよう。それか天使に戻りつつある涼月に甘えよう。最近誰かに甘えたい衝動に駆られるんだよなぁ。

 

「うぅ……覚えたかったのにぃ……」

 

何度でも言うぞ。覚えるのは構わない。深海棲艦を斬るのも構わない。だが首を狩って持ち帰るのはやめてください。

 

「日本刀を持った翔鶴になれば、ソシャゲの翔鶴の真似が出来るのに……」

 

「やめなさい」

もし君があっちの君(アズー○レーンの翔鶴)みたいになったら、色々大変です。腹黒いから毒を吐きまくったり、煽ったり。鎮守府が今以上にドロドロしちゃうよ。……待てよ?既に腹黒いし、毒吐くし(主に扶桑さんに)、煽る(これも主に扶桑さんに)。あっ、もう手遅れみたいですね。

 

「(<⚫>)(<⚫>)」

 

ごめんなさい翔鶴さん腹黒いとか考えて本当にごめんなさい謝りますからそんな血走った目で俺を見つめないでください。

 

「……というか、何でそんなに近接戦闘に拘るんだ?砲雷撃、航空攻撃で仕留めればいいじゃん」

君達、艦娘なんだよ?艤装の武器──主砲や副砲、魚雷、艦載機があるんだから、それで戦いなさいよ。

 

「提督さん、発言の許可を」

 

「気にせず自由に発言していいぞ?」

今は仕事中じゃないんだ。そんな堅苦しくなる必要は無いぞ、由良。

 

「武器を。艤装の主砲等を使用すると、弾薬が消費されます。そして、使用を続ければ必ず弾薬が尽きます」

 

「続けてくれ」

 

「弾薬だけでなく、砲身も摩耗します。更に、被弾すれば砲塔が歪み、発砲出来なくなる恐れがあります」

 

仰る通りです。ゲームじゃないから、使用を続ければ。被弾すれば、いずれ限界が来て使用出来なくなる。そうなれば戦えなくなる。

 

「もし、艤装の武器が使用不能になって抵抗する手段が無くなれば、待っているのは死です」

 

確かに。(由良)は最前線に居たから、艤装は動いても武器が全部ダメになって戦えなくなる事態に何度も陥った、って言ってたもんね。

 

「なので、生き残る為に。負けない為に近接戦闘を覚えようとしました」

 

成程。そういった理由で、近接戦闘を覚えようと思ったんだ。

 

「昔と比べ、深海棲艦の数は減りましたが、その分、質が上がり始めています」

 

そう。由良の言った通り、ここ十数年、深海棲艦の質──性能が上がってきている。以前はflagshipと呼ばれる(人類側。海軍が名付けた)、黄金色のオーラを纏った深海棲艦が最上位だったが、今はflagshipを上回る、片目から蒼いオーラを放つ改flagshipが出現するようになった。

 

「艦娘の艤装の性能も上がっていますが、砲雷撃や航空攻撃だけでは限度があります。だから、近接戦闘を覚える必要があると思います」

 

「……」

ふざけた理由だと思っていたが、意外とまともだった。

確かに、ここ数年近接戦闘を行う艦娘が増えたと大本営から発表されている。特に、あの横須賀鎮守府。日本最強と言われている鎮守府の艦娘達は近接戦闘を多用しているらしい。以前、第08鎮守府で演習をしに行った際、加藤中佐(浦樹)に教えられ端末で見せてもらったが、本当だった。

 

(これは、覚えさせるべきなのか?)

割と真面目に近接戦闘を教えて、武器を用意するべきなんじゃないか?

 

「……分かった。扶桑さん、御手数ですがコイツらに日本刀の扱い方を教えてやってください」

 

「よ、宜しいのですか?」

 

「お願いします」

まさか許可されるとは思っていなかったのか、驚いてる。あっ、そうだ。

 

「皆、扱い方を覚えるのはいいが、首とか持ち帰るなよ?それだけは守ってくれ」

持ち帰らないのなら、近接戦闘を覚えていいぞ。

……なんだよ、その不満そうな顔は。ダメなものはダメ!提督の言うことを聞きなさい!

 

「提督、いいかな?」

 

「なんだ、時雨」

頼むから変なこと言うなよ?フリじゃないぞ?

 

「深海棲艦の艤装を持ち帰るのはダメかな?」

 

「……少し考えさせてくれ」

敵の武器を持ち帰る、か。これも加藤中佐から聞いたが、横須賀の艦娘達は深海棲艦の艤装を持ち帰って改修して使用しているそうだ。艦娘達の扱う艤装と違い、軽くて少しだけ脆いそうだが性能が高いと報告されている。そして、工作艦と妖精さん達が解析し、新たな武具を開発しているそうだ。

 

(一番有名なのは、震電改という艦載機)

空母棲姫と空母ヲ級改flagshipの使用している艦載機を奪取して解析した結果、産み出されたと言われている艦載機。従来の艦載機と形状が全く異なり、桁外れの性能を持つ。量産したいが、技術的な問題──主に整備。材質が特殊な為、専用の整備施設が無いとまともに運用出来ない──により、横須賀鎮守府の艦娘達にしか支給されていない。

 

(例え持ち帰ったとしても、使用出来るのか?)

改修するには高い技術と施設が必要。最近中規模鎮守府になったウチじゃ、施設はお世辞にも立派とは言えない。解析するのがもやっとかもしれない。けど、夕張なら可能かもしれん。あいつ、機械に滅茶苦茶強いからな。

 

「……よし、許可しよう。ただし、あまり多くは持ち帰るなよ?」

沢山持ち帰ったら、置き場が無くて邪魔になるからな。

 

「ありがとう、提督」

 

時雨の奴、嬉しそうな顔してる。そんなに持ち帰りたかったの?

 

「あ、あの、提督」

 

「どうしました?」

物凄く申し訳なさそうな顔してどうしました、扶桑さん?もしかして、俺が知らないうちに持ち帰ったりしたの?休養状態になる前、出撃した際持って帰ったの?はっはっは、まさかそんな事──

 

「実は以前、空母棲姫一匹(・ ・)と装甲空母姫二匹(・ ・)、その護衛艦隊達を翔鶴さんと由良さんの三人で殲滅した際、奴らの艤装の一部を、その……」

 

「お持ち帰りした?」

わーい、既に持ち帰ってきてたんだぁ。扶桑さんに無言で申し訳なさそうに頷かれた。翔鶴と由良を見ると……あっ、君らも頷いた。頷いちゃった。あのね、そういう事はちゃんと報告して?つーか俺、何度か工廠に寄ってるけど気付かなかったよ。ダメダメじゃん。確認不足、職務怠慢じゃん。今日からどんなに時間が掛かっても隅々まで確認しよう。

 

「そ、それで……」

 

「なんだい?」

どうした、由良。もう何があっても俺は驚かないよ?

 

「夕張さんに頼んで、提督に内緒で解析してもらって、その……」

 

「その?」

解析に成功して、新しい武具開発のヒントを得られた、なんて言うんでしょ?提督知ってるよ?

 

「N○LIS-TXPという兵器が作れるようになったそうです」

 

「今すぐ中止させよう」

お前らはニュード争奪戦争をする気か!?というかどうやればそんな物騒なモンが作れるようになるんだよ!意味が分からない。そのうち霧の艦隊の超重力砲でも作りそうだ。……待てよ?深海棲艦との戦いが早く終わるから、作らせた方がいいのか?いやいやいやダメでしょ、深海棲艦との戦いが終わったあと、人類が戦争に利用するかもしれん。止めよう。

 

「あ、あの、提督?どちらに?」

 

「工廠に行って全てを破壊してくる」

武器があるから戦争は無くならないんだ!えぇい、離せ翔鶴!羽交い締めするな!俺はこれから工廠に武力介入(素手)して武器を全て破壊しなくちゃならないんだ!提督、目標を破壊する!爺ちゃんから教わった明鏡止水の境地に至ってぶっ壊してやる!おいコラ、離しなさい!背中に柔らかい物が直撃してて興奮しちゃう!じゃなくて、工廠に行きたいから離して!由良、扶桑さん、あなた達も止めるな!時雨、さり気なくズボンのベルトに手をかけないで。ナニする気?脱がすの?ねぇ、あっ、ベルト外すな!ちょっと待て、奪ったベルトで手を縛るな!くそっ、くそっ、くそおおおおおおぉぉぉおおお!!!

 

 

………………。

 

 

 

──第603鎮守府、食堂──

 

 

現在時刻、16:30。

 

 

「切って刻んですり潰す。切って刻んですり潰す」

 

「物騒なこと言わないの」

 

「あいよ」

ウィンナーとピーマンはこれくらい切ればいいか。次は玉ねぎだな。何をしてるか、って?今日の夕飯担当は俺だから、料理を作っているんだよ。

そうだ、あの後どうなったか簡単に説明すると、

 

俺、暴走。

翔鶴達に必死の説得をされる。

俺、正気に戻り武力介入(素手)を中止する。

 

以上。

武器は正しく使えば問題は起きない。だから破壊するのは見送ろう。

 

「それにしても提督の料理、久々ね」

 

「言われてみればそうだな」

瑞鶴が着任するまでは仕事が少なくて余裕があったから作ってたけど、今は仕事が忙しくてあまり作らなくなったなぁ。

 

「ナポリタン?」

 

「ナポリタン」

足柄、正解だ。勿論、それ以外にもサラダとかスープも作るぞ。流石にナポリタンだけじゃ、栄養バランスが偏るからな。うあ〜、涙出てきた。玉ねぎはこれだから嫌いなんだよ。食べるのは好きだけど、調理するのは嫌いだ。水に漬けたりゴーグルしたりしてるんだけどなぁ。さて、スープを作ろう。

 

「まだ時間がかかるから、好きに過ごしていいぞ?」

それに、火を使っているからかなり暑いぞ?部屋か談話室にでも行って涼みな?しかし、足柄は食堂を出て行かなかった。どうした?

 

「時雨から聞いたんだけど、近接戦闘を覚えようとするの、許可したんでしょ?」

 

「ああ」

色々ツッコミどころ満載だが、許可した。少しでも生き残れる確率が上がるのなら、覚えてほしい。

 

「ただでさえ戦闘力が高くてヤバいのに、更にヤバくなるわね」

 

「言わないでくれ……というか、何でウチの鎮守府の娘達はこんなに強いんだ?」

提督ビックリだよ。瑞鶴が来る前は普通だったのに。あっ、由良は除くよ?初めてあの強さを知った時は度肝を抜かれたな。今でもハッキリ覚えている。

 

「きっとアレよ、汚染されたのよ」

 

「汚染?」

 

「ミーム汚染」

 

「おい」

ミーム汚染って……。 ミーム汚染とは何かって?詳しく説明するとやたら長くなるから簡単に説明すると、常識が書き変わる、って事だ。もっと簡単に分かりやすく説明するなら、そうだな。例えば、

 

 

《七面鳥》という言葉を聞いて、あなたは「翔鶴型航空母艦二番艦、瑞鶴(艦○れ)」だと思いましたか?食べ物ではなく?

《卵焼き》という言葉を聞いて、あなたは「祥鳳型航空母艦二番艦、瑞鳳(艦○れ)」だと思いましたか?食べ物ではなく?

 

 

早い話がこういうことだ。普通の文脈や言葉がネットスラングなどに見えてならない、というのがミーム汚染の一種だ。あくまで一例だが。

 

「きっかけは由良だと思うわ。あの娘、滅茶苦茶強いし」

 

「あー……」

言われてみれば。由良が着任してから、皆の戦闘力が上がったなぁ。それに、戦い方も少しずつ変わっていった。

 

「更に、瑞鶴や翔鶴、その他大勢が着任してきた」

 

「その他って……」

ちゃんと名前を言ってあげなさいよ。失礼だぞ?

 

「そして、トドメは扶桑さん。あの人がポン刀(日本刀)で深海棲艦達を殲滅するから、その影響で皆動きが変わったわ」

 

「妖精さん達から報告受けた時は驚いて変な声出したよ」

扶桑さんの艤装に宿る妖精さん達が提出してきた映像映像を見たんだが、あんな動き、初めて見たよ。いや、正確には横須賀の艦娘達がやっていたのを見た事があるが、ウチの娘達が出来るとは思っていなかった。なんだよ、放たれた艦載機や砲弾を足場にして移動するって。雷○かよ。この世界は艦○れではなく、メ○ルギアライ○ングだったのか?

今のところ、それが出来るのは扶桑さんと夕立、由良の三人だけだが、そのうちみんなやりそうで怖い。恐らく翔鶴はすぐ習得するだろう。とりあえず、スパッツ穿いてね?色々アレだから。映像見る度に赤面なんてしたくない。

 

「元に戻らないかな?」

 

「ミーム汚染された艦娘が続出している。残念ながら手遅れです、って奴だ」

 

「無駄に渋い声を出すな」

大佐みたいな声出せるんだ。声帯優秀だね。……いけね、火が強過ぎた。少し弱めよう。よし、こんなんでいいか。

この後、足柄と雑談しながら夕食の準備をした。途中、榛名が来て手伝うと言ってくれたが、断った。今日の担当は俺だ。任せろ。

 

(明日はどうすっかな?)

昨日買ったガ○プラを作ろうと思っていたけど、なんか気分じゃない。それに、先日水着を買ったんだ。泳ぎに行きたい。近くのプールにでも行こうかな?

 

 

side 提督 out

 

 

 

───────

────

 

 





次回予告


暑い。暑過ぎる!流石の俺でもこれはキツい。団扇じゃ無理だ、扇風機をつけよう。
あ"〜、これこれ、これだよ。これぞ夏の風物詩!生き返るぜ。
……あれ、夕立、何やってるんだ?暑いから素潜りする?待て、やめろ!ここ周辺は潮の流れが複雑で早いんだ、流されちまうぞ!あっ、言ってるそばから!待ってろ夕立、今助ける!


第53話・休養その7


「ギ○ノト榴弾砲だ!ギ○ノト榴弾砲を持ってこい!巨乳を一つ残らず燃やしてやる!!!」
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