追跡鶴   作:EMS-10

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※注意※
いつも以上に頭の悪い内容になっています。
頭を空っぽにしてお読みください。



第58話・休養その12

 

side 提督

 

 

 

 

──第603鎮守府──

 

 

現在時刻20:30、気温31℃。

 

 

 

「点検終わり、っと」

 プールから鎮守府に戻り、夕食を摂った後。昨日のように、パラソルやブルーシートを点検。幾ら妖精さん達が特殊なコーティングを施してくれても、絶対壊れないわけじゃない。幸い、歪んだり溶けたりはしていない。これなら明日も安心して使えそうだ。

 さて、折り畳んでケースに仕舞ったら工廠に行こう。

 今日は平和だった。いや、平和過ぎた。足柄がアルコールを摂取して暴走したり、山城が何かやらかしたり、夕立や早霜がはしゃぎすぎて迷子になると予想していたんだが、そういった事は一切起きなかった。約一名(瑞鶴が)、発情して暴走していたが。幸い、誠意を持って説得(逆エビ固め)したからか、大人しくなってくれた。しかし。

 

(完全に納得していなかった)

 一瞬だけ見た。不満そうな顔をしていたと思ったら、ニヤッと笑ったのを。ありゃ、確実に何か仕掛けようとしている。恐らく今夜、夜戦(意味深)を仕掛けに来るだろう。

 

(申し訳ないが、我慢してもらおう)

 だから、妖精さん達から悪戯グッズを貰ってトラップを仕掛けて迎撃しよう。非殺傷の物ばかりだから、怪我をする危険は無い。

 俺はケースにパラソルとブルーシートを仕舞い、自室に運んだあと工廠へ向かった。

 今頃、瑞鶴は風呂に入っている。今のうちに仕掛けないと見られる恐れがある。急ごう。

 

 

 

………………。

 

 

 

「まさか妖精さんが協力してくれるとは思わなかった」

 俺一人で設置しようと思っていたが、休養状態に入り暇だから、妖精さん達は手伝うと言ってくれた。そのお陰で予定より早く設置が終わりそうだ。

 ちなみに、場所が場所だから、設置出来る数と種類は少ない。ある程度発動したら、逃げた方がいいな。

 

 

……。

 

 

 なんということでしょう。今まで何の変哲もない、木目の美しい床が。俺の部屋に続く廊下の床が、妖精さん達()の手により、矢印のパネルだらけになっています。

 妖精さん曰く、「メ○ロット2とポ○モンの仕掛けを参考にした」との事。うわぁ、アレを設置したのかよ。

 思うように進めない、強制移動させられる。確実にイラつくだろうな。

 

「あれ、提督さん、妖精さん達、何をしているんですか?」

 

「由良か」

 妖精さん達がトラップを仕掛けている様子を見ていると、由良に声を掛けられた。

 瑞鶴は「提督さん」呼びしてくるから、てっきり瑞鶴に見られたと思って焦っちゃったよ。まぁ、見られたら、性意……間違えた、誠意を持ってノーザンライトボムをぶちかまして説得すればいいや。

 

「実は──」

 俺は由良に瑞鶴対策の為にトラップを仕掛けていると説明した。すると、

 

「面白そう。由良もお手伝いしても良いでしょうか?」

 

 なんと、手伝いを申し出てくれた。いいぞ、是非とも頼む。君、前線に居た頃、トラップ仕掛けて野生動物捕まえたり、深海棲艦に嫌がらせした、って言ってたね。そのノウハウを生かしてくれ。

 

「まずドア付近には強烈なトラップを仕掛け、侵入者の心を挫く。それにより侵入する気を奪って撤退させます」

 

「ほう……」

 

「なので、ドア付近に近付くとキ○ラギ重工が開発したパイルバンカーが作動するようにします」

 

「待ちなさい」

 パイルバンカーって、とっつきって言われている、あのパイルバンカー?マズいですよ。しかもキ○ラギ重工が制作した奴でしょ?威力がとんでもない奴じゃん。大怪我、下手したら死んじゃうよ。もっと平和なの仕掛けよう?例えば氷水が降ってくる、とか。冷却スプレーが勢い良くぶっかかってくる、とか。

 

「次に、パイルバンカーを喰らって吹っ飛ばされそうな位置に只を設置しましょう」

 

「だから待ちなさい」

 只なんて設置したら、発情鶴(瑞鶴)の身体──四肢が吹っ飛んじゃうよ。大怪我しちゃうよ?あっ、只ってのは、クレイモア地雷の事だ。文字数増えるから、以降はクレイモア地雷を只って表記するぞ。

 

「そして、極め付けは只の爆発で吹っ飛んだ先にトラバサミを……」

 

「殺す気満々じゃねーか!」

 誰が殺す為のトラップを設置しろと言った!?つーか、トラバサミは法律で使用を禁止されているぞ?その前に、何でトラバサミがウチにあるんだよ!?

 

「大丈夫ですよ、提督さん。重傷を負いますが、入渠すれば直ぐに治りますから♪」

 

「いやいやいや、ダメだから。もっと平和な物にしなさい」

 ピ○ゴラスイッチもとい、ヒトコロスイッチするのは、やめなさい。

 

「平和な物……目ん玉にデスソースが勢い良くぶっかかる仕掛けとか、どうでしょう?」

 

「ダメです!全然平和じゃない、失明しちゃうよ!瑞鶴がム○カ大佐以上に目を押さえて呻くことになっちゃうよ!」

 入渠すれば治るけど、却下。

 

「う〜ん……それじゃあ、未だ工廠の最深部に封印されている磯風カレーを頭上から降るようにする」

 

「バ○オハザードが発生するからダメ!」

 横須賀鎮守府に所属している陽炎型駆逐艦十二番艦、磯風の適性を持つ少女が作ったカレーらしいが、あまりの劇物らしく、兵器として利用された曰く付きの物だ。昨年の夏頃、件の磯風が大量にカレーを作ったらしく、それを妖精さん特製真空パックに封して全鎮守府に支給された。

 横須賀鎮守府の提督曰く、「試しに離島棲鬼に艦載機で頭上に散布したら、離島棲鬼がゾンビ化した」らしい。ゾンビ化した離島棲鬼は暫く叫び続けたが、艤装ごと溶けてしまったそうだ。そんな恐ろしい物、使えるか!

 

(ゾンビで思い出したが、涼月にかけたらどうなるんだろう?)

 究極生物が誕生しそう。タ○ラントとか、ネ○シスとか、もしくはヴェ○ニカ……やめよう。ただでさえ厄介なのが、更に厄介になる。アホなこと考えていないで、トラップをどうするか考えよう。

 

「仕方ないですねぇ。それじゃあ、シュールス○レミングが頭上から掛かる仕掛けはどうでしょう?」

 

「あー……後処理が大変だから、却下」

 あれ、一度だけ匂いを嗅いだ事あるけど、冗談抜きで死ねる。あと、匂いが染み込んで中々消えてくれない。何度も、しっかり洗っても匂うくらい強烈だからやめておこう。あと壁とかにも匂いが染み込む恐れがある。だから却下。

 この後、由良と話し合ったが良い案が出なかった為、妖精さん達に全部任せることにした。暫く妖精さん達がトラップを設置する様子を見ていたが、手際が良い。僅か数分で設置が完了してしまった。

 

「さて、俺は風呂に入って部屋で寝る。もし何かあった時は由良に助けを求めるかもしれんが……」

 

「大丈夫ですよ、すぐに駆け付けます♪」

 

 本当は俺の部屋に一緒に居て護ってもらいたかったが、そうしたら発情鶴に誤解されて余計にややこしい事になりかねん。

 

「それじゃ、おやすみ」

 

「おやすみなさい」

 

 トラップのスイッチを切り、由良を自室へ帰らせた。それを見送り、姿が見えなくなったから部屋に戻った。

 

「風呂入ってトラップの位置や作動方法を覚えるか」

 現在時刻20:50。消灯時刻まで、あと1時間10分。願わくば、発情鶴が夜戦(意味深)を仕掛けて来ませんように。一応、妖精さん達が幾つも隠しカメラを廊下に設置してくれたから、部屋から外の様子を見ることが出来る。

 そうだ、今のうちにガ○プラを避難させておこう。確実にドッタンバッタン大騒ぎするから、壊れる恐れがある。ディープス○ライカーやEx-S、Sガ○ダム、ネオ・ジ○ング等が壊れたら、精神崩壊する自信がある。おっ、妖精さん、預かってくれるのか?んじゃ、頼むわ。

 

 

 

side 提督 out

 

 

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Another side

 

 

 へぇ、そうなの。瑞鶴が彼に夜戦(意味深)を仕掛けるの。へぇ?

 ……見事にトラップだらけね。けど、瑞鶴なら突破するでしょう。そして、部屋に侵入して彼を襲うでしょうね。そしたら、彼は逃げる。絶対に。

 彼は明日もプールに出かけるから、しっかり休みたい筈。だから、執務室の仮眠部屋に逃げ込むでしょう。

 

「先回りしましょう」

 仮眠室にエアコンはあるから、付けておいて直ぐに眠れるようにしておきましょう。それで、護衛をしてあげて好感度を稼ぐ。ふふっ、完璧だわ。

 さて、そろそろ瑞鶴がお風呂から戻ってくる頃だわ。寝ているフリをしてやり過ごしましょう。

 

 

 

Another side out

 

 

 

 

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side 瑞鶴

 

 

 

──第603鎮守府、翔鶴・瑞鶴私室──

 

 

 

現在時刻22:00。

 

 

「……」

 寝てる、よね?お風呂を出て部屋に戻ったら、既に静流姉(翔鶴姉)は寝ていた。今も規則正しい寝息を立てている。

 ……よし、行こう。今まで何度もお預けを食らったから、もう我慢出来ない。

 

《うぅ……眠い……》

 

 しっかりしなさい。夜はこれからよ?

 

《何処ぞの夜戦バカ(川内)みたいなこと言わないで……》

 

 うっさい!ほら、行くわよ!

 

《はいはい……ふわぁ~…》

 

 物音を立てないよう、ゆっくり立って……さっき用意した道具を持って……部屋の外に出て、静かにドアを閉めて……上手くいった!さぁ、夜戦(意味深)を始めるわよ!待ってて、準!今、ぶち犯しに行くわ!!!

 

 

 

………………。

 

 

 

「……何これ」

 

《あ艦○れ》

 

 彼の部屋に続く廊下の床に、矢印のパネルが設置してある。これ、見たことがあるわ。このパネルに乗ると、強制移動させられたり、自分の進みたい方向に進めなくなる奴だ。

 

《学生の頃、彼が遊んでたゲームにそういうの、あったわね》

 

 ゲームばっかりして私に構ってくれなかったから、ムカついてノーザンライトボムしちゃったんだよね。懐かしいなぁ。

 ……昔を思い出していないで、さっさと攻略しないと。自慢じゃないけど、こういった謎解きは得意なんだよね。ふふっ、ノーコンティニューでクリアしてやるわ♪

 

《はい、フラグが立ったわね。残機は99も無いわよ。慎重にね》

 

 うるさい、黙ってなさい。

 ……えっと、このパネルに乗ると、あっちまで強制移動させられて、壁に設置されたトリモチに突っ込んじゃう。こっちは元の位置に戻ってくる。そっちはス○ナーK(スタンガン)の所に向かっちゃう。

 ……どれもハズレじゃない!

 

《うわぁ、クリアさせる気無いわね……》

 

 こんなのバグよ!チートよ!修正してやる!私が世界のルールよ!矢印パネルは……

 

《ちょっ、瑞稀!?貴女、パネルを掴んで何を?まさか、剥がそうとしているの?やめなさい!剥がそうとすればトラップが発動するかもしれないのよ!?やめ──》

 

 

 

「絶版だあああああアアアアァァァァァッッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「《ぶるるっるああああああああぁぁぁっぁぁあああああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ッ"ッ"ッ"!!?》」

 

 

 

 

 

 

side 瑞鶴 out

 

 

 

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──第603鎮守府、提督私室──

 

 

 

現在時刻22:15。

 

 

 さぁ、瑞鶴選手が夜戦(意味深)を仕掛けてきました。

実況は私、提督がお送りします。

 まずは第一関門、パネルトラップ!瑞鶴選手、冷静に矢印パネルを観察しましたが、どれもハズレだと気付いたようです!

 ……なんか変なテンションだけど、アレだ。深夜テンションって奴だ。気にしないでくれ。……あっ、パネルに手をかけて剥がそうとしてる。おいおい、やめときな?無理に剥がそうとすると、電流が流れるよ?あーあ、強引に剥がしちゃった。

 

 

 

< ぶるるっるああああああああぁぁぁっぁぁあああああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ッ"ッ"ッ"!!?

 

 

 

 廊下からバ○バトスの断末魔が聞こえてきたぞ。夜遅いんだから、静かにしなさい。

 

『あ゙あ゙…あ゙あ゙あ゙……』

 

 端末を見ると、電流を喰らって廊下に倒れ、ピクピクしている瑞鶴の姿が。そして呻き声が聞こえた。あれま、身体中から白煙が出てる。衣服は破けていない。妖精さん達が言うには特殊な電流だから人体に害は無いそうだが、少し心配になる。大丈夫だろうか?

 

『……くふふっ。絶対、ぶち犯してやるんだからァ…』

 

 大丈夫みたいですね。さて、瑞鶴選手、次はどうする?矢印パネルは何処を進んでもハズレ。剥がそうとすれば電流が流れる。所謂詰んだ状態です!このまま諦めてしまうのでしょうか?いや、諦めてほしい!

 

『道が無いなら……』

 

 おや?瑞鶴選手、電流のショックで倒れたままですが、懐から何かを取り出しました。……あの〜、それ、41型強化手榴弾ですよ?まさかとは思うけど、それ、起爆なんてしませんよね?あっ、ピンを抜いた!反則!反則です!瑞鶴選手、それはいけません!ルール違反です!やめろォ!

 瑞鶴選手、41型強化手榴弾を矢印パネル目掛けて投げたァ!

 リミッターが掛けられていたから爆発音はしなかったが、軽く揺れた。あーあ、一掃されちゃったよ。悪戯グッズだから爆発物には弱い、って妖精さん達が言ってたっけ。やられた。けど、大丈夫。まだトラップはある。

 瑞鶴選手、トラップを一掃して悠々と提督私室へ這って向かって来ます。その姿は、さながらゾンビだァ!ゆっくりと、確実に前に進みます。そして、提督私室のドアの前に辿り着いたァ!

 

『……えっ?』

 

 おぉっと、瑞鶴選手、目の前のトラップに気付いた!

 続いてのトラップは、提督私室のドアに蜘蛛の巣のように張り巡らされた糸が、行く手を阻む!ここを抜ければ、提督私室に侵入出来る!しかし、そこへ行くには目の前のトラップをどうにかしなければ行けません。さぁ、どうする?

 

『ぐっ……手榴弾はさっき使っちゃったから、排除出来ないわね』

 

 瑞鶴選手、電流のダメージが抜けたのか、ふらつきながらではありますが、立ちました。そして目の前の糸を睨みます。

 ちなみに、ドアには「触るな、危険」と書かれた張り紙があります。さぁ、瑞鶴選手、これをどうやって切り抜ける?

 

『……』

 

 考えている。願わくば、諦めて撤退してくれると嬉しいのですが。

 

『ふふふ……こうなったら、トラップを作動させてやる。ズタボロになろうが、最終的にぶち犯せればそれでいい!』

 

 ……ちょっと待って、まさかとは思うけど、わざとトラップ発動させる気?おいおい、待てよ、それは想定外だぞ?ねぇ、やめよう?諦めよう?大人しく部屋に帰って?

 

『トラップを仕掛けたくらいで、勝った気でいるの?残念だったね』

 

 おーい、瑞鶴?瑞鶴さーん?落ち着いて?素数を数えよう?それか大泣きして冷静になろう?だからドアに仕掛けられたトラップを強制作動させないで?

 

『退かぬ!媚びぬ!省みぬ!』

 

引いて!媚びて!省みて!

 

『艦娘に撤退の二文字は無いわッ!』

 

 撤退して!?くそっ、窓を開けて逃走経路を確保しておこう。

 

『だらっしゃああああああいっっっ!!!』

 

気合い入った声出しながら糸を一気に引きちぎったァ!

ドアの前に張り巡らせた糸が切れた事で、トラップ発動!瑞鶴選手の頭上から、大量のGが降り注ぐ!あっ、勿論おもちゃです。

 

『ぎゃあああああああ!!!?』

 

 瑞鶴選手、悲鳴をあげる!彼女はGが苦手だと言っていました!効果は抜群だァ!

 

『お、オモチャ?』

 

 しかし、オモチャだと気付き冷静になったァ!

 今のうちに次のトラップを発動だァ!リモコンを操作して、ドアを開けると同時にトラップが発動するように設定。これで良し。さァ!次はどんなリアクションをしてくれる!!

 ……なんか、このテンション疲れる。持たねぇ。すまんが次から通常テンションで解説するわ。

 

『《ふふふ……絶対、逃ガサなイからぁ……》』

 

 アカン、スーパーモード(仮名)になりやがった。

説明しよう!スーパーモード(仮名)とは、愛と怒りと哀しみに包まれた瑞鶴が覚醒した姿の事である!

 肌の色が真っ白になって、額から二本の角が生えて声が二重音声(?)になる。スーパーモード(仮名)になると、身体能力が跳ね上がる。これはヤバい。逃げても楽々追い付かれる。どうする?そうだ、由良に助けを求めよう。スマホを持って、由良に通話。

 ワンコール。ツーコール。出た。

 

『戦争ですか?』

 

「いいえ、プランDです」

 あの、由良さん。第一声が「戦争ですか?」は怖いよ。とりあえず、救助要請しよう。

 そうそう、プランDってのは、

 

『プランD、いわゆるピンチですね?ねっ?』

 

「あぁ。すまんが、助けてくれ」

 由良が言ってくれたが、ピンチって意味だ。

 

『お任せ下さい。発情鶴を焼き鳥にしてやります♪』

 

「いや、焼き鳥にしなくていいです。平和的解決してください」

 焼き鳥って、何する気だよ。火炎放射器で汚物は消毒だー!する気じゃないよね?やめよう?……あっ、由良と通話してたから、瑞鶴がドアを開けようとしてる。

 軽く軋んだ音を立てながら、ドアが開く。それと同時にトラップ発動。今度のトラップは──

 

「《──えっ?》」

 

<ヤァ

 

ドアを開けると、妖精さん達が製作した、SCP-173 The Originalが目の前にスタンバイする仕掛けだ。あーあ。瑞鶴の奴、ガッツリ目を合わせちゃってる。いいか、瞬きするなよ?瞬きすると──あっ、瞬きしちゃった。

 次の瞬間、微動だにせず棒立ちしていたSCP-173は、目にも止まらぬ速さで瑞鶴に覆いかぶさり。

 

「《んぎゃあああああああ!!!》」

 

 コブラツイストをし始めた。ゲームだと首をへし折ったり、絞殺されるが、そこは妖精さん作のSCP。プロレス技をかけられるだけで殺されたりはしません。但し、痛い目には遭う。

 

「《何処触っとんじゃあああああああ!!!》」

 

 瑞鶴選手、SCP-173に身体を触られ激怒!身体能力を活かして無理矢理バックドロオオオオォォォッッップ!!!

 鈍い音と共に、SCP-173は床に叩き付けられたァ!それにより、煙となって消滅してしまったァ!

 

「《ククク……この程度で私を止められると思っていたのォ?》」

 

 思っていません。だから、次のトラップを発動させよう。えっと、確か次のトラップは──

 

「《こんばんは。犯す!》」

 

 こんにちは、死ね!みたいなこと言うな。おっと、部屋に瑞鶴が侵入してきました。ちゃんと靴を脱いでいる。偉い偉い。ゆっくりと俺に向かって歩いてきます。ピンチです。このままだと犯されてしまいます。

 でも大丈夫。俺の目の前の畳を踏むとトラップが発動するから、犯されません。残念だったね。

 

「《──あっ》」

 

 俺まであと1m。しかし、目の前の畳を踏んでしまった。それにより、トラップ発動!部屋の天井に吊るされたホームランバットが瑞鶴に襲いかかる!

 

「《アッー!?》」

 

 カキーン!と非常に良い音と共に、瑞鶴のケツにホームランバットが直撃!そして開け放たれた窓から外へ勢い良く吹っ飛んで行ったァ!

 ……さて、トラップは品切れだ。あとは由良に任せて、今のうちに避難しよう。誰かの部屋に逃げ込もうかな?それとも仮眠室に行くか?

 

「仮眠室にするか」

 少しだけ悩んだが、仮眠室に逃げ込む事にした。あそこならクーラーあるし、隣が重要な書類とかがある執務室だから、暴れられる心配が無い。そうと決まれば急いで逃げ込もう。……おっと、自室の窓を閉めて、クーラーのスイッチを切っておこう。

 

 

 

side 提督 out

 

 

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Another side

 

 

 

「《──ぐべっ!?》」

 

 提督私室からホームランバットで弾き飛ばされた瑞鶴は、海岸に顔面から着地したみたいだ。普通なら首の骨が折れて死ぬけど、艦娘だから無傷だ。

 おっと、ここから先は私、キャットが実況しよう。

 

「《う"ぅ"〜、あと少しだったのにぃ……》」

 

 とても残念そうな顔をしている。おや?立ち上がって身体に付いた砂を払って彼の部屋に再び向かってる。おいおい、まだ諦めてないのかい?

 

「《絶対、【自主規制】してやるんだから!》」

 

 夜遅いから大声出さない。あと卑猥なこと言わない!

 ……おや、誰か歩いて来るぞ?月が雲に隠れているから、暗くて誰だか分からない。

 

「あらあら、随分遠くまで吹っ飛ばされましたね?ねっ?」

 

 この特徴的な声。そして口癖。どうやら──

 

「《……由良?》」

 

「はい、由良です」

 

 本人が名乗ったけど、由良みたいだ。

 

「どうやら夜這いは失敗したみたいですね?」

 

「《……邪魔する気?邪魔するなら……ノーザンライトボムぶちかますわよ?》」

 

 一触即発。今すぐドンパチ始まりそうだ。ねぇ、頼むからもっと平和的解決しようよ?ここの鎮守府、バイオレンスな娘ばっか。嫌になるよ。

 

「いいえ、邪魔なんてしません」

 

「《えっ?》」

 

 ……えっ?どゆこと?由良、君、渡良瀬提督の味方でしょ?何言ってるの?

 

「瑞鶴さんに提案があるんですが、聞いて頂けないでしょうか?」

 

「《……何?》」

 

「由良と瑞鶴さんの二人で、提督さんに夜這いを仕掛けませんか?」

 

 由良ァ!オンドゥルルラギッタンディスカー!!?ちょっと待って、何で?

 

「一人なら逃げられてしまう。でも、二人で襲えば上手く行くかもしれません」

 

「《……》」

 

「なので、提案です。二人で夜戦(意味深)を仕掛けませんか?」

 

 渡良瀬提督、逃げろォ!超逃げろォ!裏切り者が居るぞオオォォォ!!!

 

「《……何が目的?》」

 

 頼む瑞鶴、由良の提案に乗らないでくれ。

 

「目的ですか?由良の目的は唯一つ。提督さんに抱かれたい。それだけです。しかし、先程も申しましたが、一人だと対応され逃げられてしまいます。そこで、瑞鶴さんに協力してもらいたいんです。由良と瑞鶴さんなら、確実に提督さんを仕留められます。なので、協力しないか提案しました。あっ、勿論、一番手は瑞鶴さんに譲ります。如何ですか?」

 

「《……》」

 

 おぉう。こりゃあヤバいんじゃないの?第603最強クラスの艦娘様と発情鶴(覚醒中)のコンビに襲われたら、流石の渡良瀬提督でも喰われるんじゃ……。

 

「《……いいわよ、乗るわ》」

 

 オワタ。渡良瀬提督、今のうちに子供の名前を考えておきなさい。御祝儀は5万くらい包んでおくよ。

 さて、そろそろ眠くなってきたから私は帰って寝るとしよう。

 

「ふふっ。交渉成立ですね」

「《ふふっ……アッハハハハハハ!!!》」

 

 

「「《ハハハハハハ!!!》」」

 

 

 ……渡良瀬提督、強く生きろ。

 さて、そろそろ私は失礼するよ。サラバだ。

 

 

 

Another side out

 

 

 

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side 提督

 

 

「ッ!?」

 なんか、物凄い嫌な予感がしたんだが。気のせいか?気のせいだな、うん。

 薄暗いから足元に気を付けて……ここを曲がって……あれ、誰か執務室の前に立ってるぞ?誰だ?

 

(まさか、瑞鶴か?)

 嘘だろ、もう来たのか?いや、髪の色が違う。月明かりのお陰でぼんやりとだが白っぽい髪が見える。涼月か?いや、髪の長さが違う。涼月の髪は背中まで届かない。あれは──

 

「翔鶴か?」

 腰まで届く白っぽい髪。その持ち主は、第603鎮守府には一人しか居ない。

 

「あら、こんばんは」

 

「翔鶴か。何で此処に?」

 

「そろそろ来る頃じゃないかと思って、待っていたのよ」

 

 待っていた?どういう事だ?まさか、瑞鶴とグルになって襲いに来たのか!?

 

「そう警戒しないで?私は貴方の味方よ?」

 

「味方?」

 

「ええ。実は──」

 

 

…………。

 

 

「そうだったのか」

 翔鶴の話を聞き、俺は警戒を解いた。翔鶴が言うには、盗聴器で瑞鶴が俺に夜這いを仕掛けている事を知り、私室から仮眠室に逃げ込むと予想して先回りし、仮眠室のクーラーをつけて待機していたそうだ。気遣いありがとう。けどな、

 

「盗聴器仕掛けるのはやめてくれないかな?」

 俺のプライバシーを侵害しないでください。まぁ、今回は許すけど。

 

「ふふっ。善処します♪」

 

「絶対善処しないな……」

 まぁ、聞かれても特に困ることは……あるよ。自室でハッスル(自家発電)出来ないじゃん!困るよ!かれこれ数ヶ月我慢してるから、マジで辛いんだよ。けど、それを言ったら翔鶴に襲われそうだし、言わないでおこう。

 

「とりあえず、寝よう。明日寝不足でプールに行ったら倒れちまう」

 寝不足の状態で泳ぐのは非常に危険だ。下手したら溺れる。時刻は既に23:00。最低でも6時間は寝ないとマズい。……あの、翔鶴さん?何で一緒に仮眠室に入ろうとしているんですか?目で問いかけると、とてもいい笑顔でこう言った。

 

「いつ瑞鶴が侵入してくるか分からないから、護衛の為に一緒に寝るわ。大丈夫、私から(・ ・ ・)は絶対にナニもしない(・ ・ ・ ・ ・ ・)わ♪」

 

「……さいですか」

 追い出したかったが、いざという時の保険だ。隣に居てもらおう。まぁ、由良が負けるとは思わんが、絶対に負けない保証は無いし。

 執務室の中にある仮眠室のドアを開けると、涼しい風が吹いてきた。おお、気持ちいい。これならグッスリ眠れそうだ。仮眠室に入り、念の為、鍵をかける。

 

「いいか、絶対に何もするなよ?絶対だからな?フリじゃねーぞ?」

 

「えぇ、分かってるわ♪」

 

 本当に大丈夫だろうか。前科があり過ぎで、少し不安だ。不安だが、寝よう。は〜、疲れた。

 

「んふふっ♪」

 

 あの〜、翔鶴さん。近い。近いです。俺の背中にピッタリくっつかないで?布団は二人が寝ても余裕があるんだから、もう少しだけ離れて……おーい、抱き着かないで?君、立派な胸部装甲を持っているから、背中に二つの柔らかい物が直撃してて色々マズいんですよ。おいコラ、足を絡めるな。俺は抱き枕じゃねーぞ?一旦起き上がって翔鶴の顔を見て注意しよう。

 

 

 

(<⚫>)(<⚫>)

 

 

 

 月明かりのお陰で翔鶴の顔が見えたんだけど、お目目パッチリ開いて俺を見つめています。うん、怖いです。そんなに見つめないで?……ん?足音?

 

「なぁ、翔鶴」

 

「えぇ、聞こえたわ」

 

 執務室の床が軋む音が聞こえた。

 やがて、音は聞こえなくなったが、ドアの前から人の気配を感じる。そして、ドアノブが捻られた。しかし、鍵がかかっているから開かない。

 この時点で俺は確信した。用があるならドアをノックして名乗る筈。しかし、それが無い。つまり、

 

(瑞鶴か)

 もう来たのかよ。それじゃあ、由良は負けたって事か?そう思っている間にも、ドアノブは捻られていた。残念、鍵がかかっているから開かないよ。

 しかし、そう思った直後、鍵穴を弄るような音が聞こえてきた。え、もしかしてピッキングツール使ってるの?

 やべっ、仮眠室は目の前のドア以外、脱出出来る所がない。一応、窓はあるが、防犯用に鉄格子が付けられているから、窓から脱出は出来ない。あっ、詰んだわ。翔鶴、あとは頼む。今は君だけが頼りです。マジで頼みます。俺、嫌だよ?「お前がパパになるんだよォ!」な展開になるの。

 アホなことを考えていたら、ドアがゆっくりと開いた。怖いなぁ。まるでホラー映画みたいだ。心臓がバクバク言ってらぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんばんは、提督さん」

 

「《ぶち犯しに来──えっ?》」

 

 

 

 

 

 

 

 

「何故翔鶴さんが居るんですか?」

「《何で翔鶴姉が居るの?》」

 

 

 

 

 

 

 

 

 あっれぇ〜?何で由良が瑞鶴と一緒に居るんだ?何でぇ?おかしくない?由良、君は俺の味方をしてくれたんじゃなかったの?色々言いたいことがあるけど、とりあえず落ち着いて?部屋に入る前はニッコリ笑顔だったのが、今じゃ般若みたいな顔になってるよ?と、とにかく、翔鶴!説明してくれ!翔鶴にアイコンタクトをする。おっ、真剣な顔で頷いてくれた。よしよし、これで誤解を──あの、翔鶴?何でニッコリ笑顔になったの?ねぇねぇねぇ?何を言う気なの?

 

 

 

 

 

 

 

「彼と夜戦(意味深)する為よ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (*・∀・)凸ファッキュー!!ファッキュー!!

 

 

 

side 提督 out

 

 

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次回予告


 あぁん?何か騒がしいな。摩耶様はプール行って泳いだから疲れてるんだ、静かにしてくれ。……ん?誰かが走って行く音が聞こえる。何だァ?って、提督!?それに、由良と瑞鶴、翔鶴さんが追っかけてる!?
 ……あっ、提督が生身のまま海上走ってどっか行っちまった。
 ……。
 寝るか。アタシは何も見ていない。聞いていない。おやすみ。



第59話・休養その13



「パパ嫌ァ!パパ嫌ァ!まだパパにはなりたくないいいぃぃぃ!!!」







【解説的なナニか】
・矢印パネル…元ネタは、ゲームボーイ用のゲーム、「メダロット2」の終盤に登場する仕掛け及び、「ポケモン」に登場する仕掛け。
「メダロット2」の矢印パネル。あれ、思った方向に進めないから、イラついた人は多い筈。攻略本があれば楽にクリア出来たけど、持ってなかった作者は相当苦労した記憶がががが。ちなみに、矢印パネルを抜けた先には、更なる地獄が待っている。

・絶版だ!…瑞鶴が叫んだセリフ。元ネタは「仮面ライダーエグゼイド」に登場する「檀正宗(だんまさむね)」の台詞、「○○は絶版だ!」。○○の所には名前が入る。

・SCP-173…説明すると長くなるので、各自でググッてください(震え声)

・ホームランバット…大乱闘スマッシュブラザーズに登場するアイテム(武器)。
 通常攻撃では相手を殴るだけだが、とあるコマンドを入力すると、バットを持ったキャラが構えて振り抜く。それに当たると思い切り吹っ飛ばされる。
 この小説内では64の性能を参考にしています(というか、作者は64以外のスマブラをやった事が無い)
 瑞鶴のケツは意外と大きいから、ホームランバットが直撃してもピンピンしていた、という設定。

・ホーム・アローン…8歳の少年が、知恵と勇気を振り絞って泥棒をトラップで撃退する映画。
 ガスバーナーで泥棒の頭を燃やしたり、ダンベルを頭に叩き付けたり、果ては素足に釘をぶっ刺したりする、結構バイオレンスな映画。流石にそれを瑞鶴にやるとシャレにならない為、マイルドなトラップにしました。

・キサラギ重工…元ネタはアーマード・コアに登場する架空の変態企業、キサラギ社。
 この小説内では、キサラギ重工は工事用具や宇宙船等を製作している。
 余談だが、キサラギ重工の社長には娘が居て、艦娘になっているらしい。適性艦は「睦月型駆逐艦二番艦、如月」。今日も元気に、何処かでキサラギ重工が開発したパイルバンカーを装備して深海棲艦を打ち砕いている。
 彼女が登場するかは、今のところ未定。

・磯風カレー…触るな、危険。以上。

・究極生物…バイオハザードシリーズに登場する架空の生物。ここで取り上げたのは、タイラント、ネメシス、ヴェロニカの三体。詳細は長くなる為、各自で調べて下さい。

・シュールストレミング…スウェーデンで生産・消費される世界一臭い食べ物。いいか、密室で開けるなよ?死ぬぞ?(経験談)
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