いつもの頭の悪い内容
お前らの嫁だろ、早くなんとかしろよ
一部、実際の物と異なる描写が含まれています
予め、ご了承下さい
「ぱぱ~♪」
「」
「あはははっ♪あはははははははははっ♪」
なんということでしょう。俺は、大鳳──
……現実逃避はこの辺にして、目の前の現実をしっかり受け止めろ。
「
「ぱぱ!」
「うん、違います」
俺は君のパパじゃないよ?君の提督だよ?
しかし、
一旦、医務室の外に出て、この原因を作った娘達に注意しよう。
「ぱぱ!行っちゃヤダ!」
「大丈夫だよ、飲み物を。
泣きそうな顔で袖を掴まれてしまった。振り払ったら、号泣する恐れがある。だから、飲み物を買ってくると言って落ち着かせた。
「ほんと?」
「ホントだよ。提督、嘘つかない」
「ていとく?なにそれ?」
「……とにかく、すぐに戻るから、いい娘にしてくれ。いいな?」
「分かった!いいこにしてる!」
……よし、大人しくなってくれた。今のうちに外に出よう。
大鳳に不安を与えないよう、ゆっくり医務室を出る。
ドアを開けると、
……落ち着け。大声を出さずに叱ろう。
「オメーらが調子に乗ってドンパチやったから、
「も、申し訳ございません!」
「ちょっと、やり過ぎてしまいました……」
「深く反省しているっぽい──反省しています」
俺が叱ると、三人は謝罪してきた。
「……はぁ」
どうすりゃいいんだよ……。
何故、
───────
────
─
side 提督
大鳳が精神崩壊する数時間前。
──第603鎮守府、執務室──
08:00。
「大鳳のメンタル、フィジカル。共に異常なし、と」
妖精さんに調べてもらったが、両方とも異常なし、と診断された。
「大鳳さん、大変な目に遭われましたね……」
「一時はどうなるかと思ったよ……」
本日の秘書艦、海風が苦笑しながらそう言った。
昨日、ゾンビ化した涼月と演習し、精神崩壊しかけた大鳳だったが、俺や、涼月以外の艦娘達によるメンタルケアにより、復活。若干怯えているが、普段の凛々しい大鳳に戻ってくれた。
「
慣れ過ぎて、普通の事だと認識していたが故に起きた事故。今後、このような事故が再発しないよう、認識を改めねば。
「あ、あはははは……」
「……そういや、海風も、此処に来たばかりの頃は、ヤベー奴の動きや戦い方を見て、寝込んだっけ」
誰とは言わないけど、イイ笑顔で高笑いしながら、
「はい。最初は信じられなくて、思考が追い付かなくなって、寝込んでしまいましたが、今は慣れたので大丈夫ですよ?」
「……ごめんよ、辛い目に遭わせて」
「い、いえ!お気になさらないで下さい!」
花の咲くような笑顔を見せてくれた。可愛い。
「第08鎮守府に所属していた時、瑞鳳さんや荒潮さんが色々やっていたのを見たので、耐性が付きました。ですが、由良さんや
「お、おぅ……」
海風、苦労かけてすまない。
あっ、結構前に説明したと思うが、海風と時雨、夕立は従姉妹同士だ。だから、時雨と夕立の事を「姉さん」と呼んでいる。
「私も、夕立姉さんのような戦い方が出来るようになりたいなぁ……」
「やめてください」
やめて?お願いしますから、やめてください。
海風、君は第603鎮守府の数少ない癒し枠なんだ。頼むから、バーサーカーにならないでください。なったら、俺の精神が崩壊しちゃう。
現在残っている癒し枠は、海風だけだ。
……初霜?以前、休養状態の時──プールでやらかしたから、除外している。
満潮?彼女は癒し枠と言うより、矢矧のような叱咤激励してくれる存在だから、除外。
木曾?彼女は悪友の様な存在だから、除外。
鈴谷は、下ネタを結構な頻度で言うから除外。下ネタ言わなけりゃ、間違いなく癒し枠に入るんだが……。
「だ、ダメですか?」
「海風、君は君のままで居てくれ」
俺より歳下なのにしっかりしていて、花の咲くような笑顔を見せて癒してくれる。まるで姉。いや、母親の様な安心感を与えてくれる。
そんな娘が、夕立みたいにイイ笑顔を浮かべ、「ヒッャッハハハハハ!」って高笑いしながら変態軌道で海上を
だから、
「頼む、海風。変わらないでくれ。俺は今の
心の底から思っている事を、彼女に言った。
……あれ?今の、告白じゃね?確実に告白じゃね?
この場合の好きは「恋愛的な意味」の好きじゃなくて、「部下として」「癒し枠として」好き、という意味だ。
しかし、海風が「異性として好き」という意味で捉え、告白された、と勘違いする恐れがある。言い直そう。
「(<⚫>)(<⚫>)」
「ッ!?」
誤解されないよう、「部下として好き」と言おうとしたら、海風がお目目をかっ広げて俺を見つめていた。
(お、おいおい、嘘……だよね?)
瑞鶴達がよくするお目目→(<⚫>)(<⚫>)で、海風が俺を見ている。
「今、好きって、言いました!?
(<⚫>)(<⚫>)」
ヤメテェ!そんなお目目→(<⚫>)(<⚫>)しないで!?
何故!?何故そんな目をするんだよ!?
……あっ、分かった。きっと、「提督の事は上司として好きだけど、異性としては眼中に無い」。だから、「告白されて驚き、嫌悪感が込み上げ、思わず目をおっ広げて」しまったんだろう。
待ってな、すぐに誤解を解くから。
「あぁ。但し、部下として好き、って意味だ」
よーし、言ったぞ。これで誤解を解け──
「……」
(──あ、あれ?)
お目目は元に戻ってくれたけど、今度は真顔になった。
きっと、安堵して真顔になったんだろう。そうに違いない。
「……そう、でしたか」
ほら、声が低い。きっと、「驚かせやがって」とイラついて、声が低くなったんだろう。
「……提督、こちら、今月の光熱費及び食費を纏めた書類になります」
「お、おう」
真顔で低い声。うん、怒ってるね。間違いなく怒ってる。「眼中に無い奴に告白されて、ムカつく」と思っているんだろうね。本当にごめんなさい。
(セクハラにならない……よね?)
もしセクハラ認定されたら、憲兵さんのお世話になっちまう。それだけは避けたい。
───────
告白された。そう思ったら、嬉しさのあまり、瞳孔を開いて彼を凝視してしまった。それに、思わず凝視してしまった自分を内心で責めていたら、低い声を出してしまった。
幸い、彼は勘違いをしてくれたので、私の本当の気持ちに気付かれる事は無かったけど──
(まだ、バレるわけにはいきません)
彼の周囲には、好意を寄せる方達ばかり。その方達は堂々と「好き」とアピールし、積極的に攻めています。
そして、彼はそれに対し、やや引き気味になって受け止めています。
(彼は優しいから、アプローチをかけている方達を面と向かって「嫌だ」とは言いませんが、「鬱陶しい」と思っている筈)
私は、ガツガツ攻めない。着実に外堀を埋めていき、精神的に弱った時に軽くアプローチをかけて、私という存在を彼の心に刻む。それを何度も繰り返し、そして──
「海風、どうした?」
「──へっ?」
い、いけない!彼が不審がっている!誤魔化さなきゃ!
「あ、そ、その……少し、頭がぼんやりとしてしまいまして……」
「そうか。今、飲み物を用意してくる。水分不足が原因かもしれん」
「えっ?あっ……」
彼が席を立ち、飲み物を用意しに行ってしまいました。
(……上手く誤魔化せた、よね?)
少し。いいえ。かなり危うかった。まだ。まだ知られるわけにはいかない。
遅効性の毒のように、じわじわと。そして、確実に。
私という存在しか考えられないようにしてあげます。
「……ふふふふ」
覚悟してくださいね?渡良瀬さん。
───────
11:00。
「──はい。……はい。了解しました!──いえ、こちらこそ。はい。……ありがとうございます。……では、失礼致します!」
……ふぅ。何時になっても電話は緊張する。
「どうかされましたか?」
「ん?あぁ、
「成程」
例の件──レ級の大量出現に関する事──と言うと、海風はそれ以上聞いてこなかった。
(レ級の数が、少しずつ増えている)
さっき、第8492離島鎮守府を運営する小嶋提督から連絡が入った。
話によると、第8492離島鎮守府から東に約500km先の海域に、深海棲艦の大部隊が集結しつつあるそうだ。
その中には、通常種──駆逐イ級から戦艦ル級までの、通常種と呼称される深海棲艦──だけでなく、
鬼・姫級──
それだけじゃない。その中にレ級も居る。その数、確認されただけでも50隻以上。約二週間前は20隻前後だったのが、二倍以上に増えた。
(ヤバいなんてレベルじゃない)
あのレ級が。一隻居るだけで、並の艦娘だと全く歯が立たない、あのレ級が、少なくとも30隻居る。まともにやり合ったら負ける。
(大本営には知らせて、他所の鎮守府に応援を要請したそうだが、他の海域の対応で手一杯)
小嶋提督が言うには、横須賀や江ノ島鎮守府。その他の鎮守府が受け持つ海域に、深海棲艦の大部隊が確認され、その対応で手一杯で、俺達の所に増援を回す余裕が無いそうだ。
(マズいぞ。あのレ級だけでなく、鬼・姫級や通常種も居る。一気に攻め込まれたら、物量差で潰される)
小嶋提督の受け持つ海域に、今の所深海棲艦の大群は押し寄せていないが、何時来てもおかしくない。
(装備も、今現在大急ぎで手配している)
工廠の妖精さん達から、砲身が摩耗して不足している、と報告を受け、機械をフル稼働させて増産している。
他にも、爆雷や艦載機、特殊弾薬──徹甲弾や三式弾なども用意させている。
……一応、最終手段用に、以前、横須賀鎮守府から支給された、
これを使うと、冗談抜きでバイオハザードが発生する代物だから、本当にどうしようもなくなった時に使わせよう。
(しかし、いくら武器・弾薬を用意しても、艦娘が少ない)
大鳳が着任してくれたから、現在24名の艦娘が居るが、大群を相手するには人数が足りない。
しかも、現在榛名は不調で、出撃させるわけにはいかない。どうすりゃいい?……待てよ?
(言葉は悪いが、千歳さんという最終兵器が居るから、大丈夫かもしれな──楽観視するな!)
幾ら昔、深海棲艦の大群をたった一人で殲滅した事があると言っても、今回も殲滅出来るとは限らない。
(考えろ。考えるんだ)
少人数でも大群を相手出来る方法を考えろ。
……ん?ノック?
「誰だ?」
『ふ、扶桑です』
扶桑さん?声が焦っている。どうしたんだ?
「入ってください」
話を聞けば分かるか。入室を促す。
「し、失礼します」
「何かあったんですか?」
声だけでなく、顔も焦った感じのモノだ。
確か、実戦を想定した訓練──演習を、大鳳とする、って言ってたな。……嫌な予感がする。
「あの……その……」
「……どうしました?」
もしかして、大鳳に何かあったのかな?
「……大鳳さんが」
「大鳳が、どうしました?」
予想通り、大鳳に何かあったようだ。
まさかとは思うけど、昨日のゾンビ・ショックみたいな事が起きたんじゃないよね?
「……幼児退行してしまいました」
「……は?」
side 提督 out
───────
────
─
side 大鳳
09:50。
──第603鎮守府、埠頭──
「──チェック完了。異常なし」
艤装を纏い、異常が無いか確認。……よし、出ましょう。
埠頭に設けられている階段を降り、海上に立つ。
両足は沈むこと無く、地面のように海面を踏む。
……さぁ、やるわよ!
「大鳳さん、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします、扶桑さん」
腰まで届く、濡れ羽色の美しい黒髪を風で靡かせ、どこか恐ろしさを感じさせる程に美しい顔で、微笑みながら私に挨拶してくれた扶桑さんに、挨拶を返す。
元佐世保鎮守府所属。扶桑型戦艦もとい、扶桑型航空戦艦一番艦、扶桑の適性者。
呉鎮守府に居た頃、様々な噂を耳にした。
曰く、単独で佐世保鎮守府近海の深海棲艦を殲滅した。
曰く、単独で敵棲地を壊滅させた。
曰く、驚異的身体能力の持ち主。
そして──
(日本刀で次々に深海棲艦の首を斬り落とした艦娘)
常人──普通の艦娘では、決して出来ないことを軽々とやってのけた、怪物。
それにより、西日本側の鎮守府に所属する艦娘達と提督達から、畏怖を込めて、こう呼ばれている。
そんな、文字通り化け物のような艦娘が、言葉は悪いけど、何故片田舎の
……まぁいいわ。きっと、理由があって、此処に異動したのでしょう。
(上の決定は絶対。疑問を持たず、私は私に与えられた役割を果たしましょう)
軽く
今日は対戦艦を想定した戦闘訓練を
「では、所定の位置に就きましたら、無線で知らせてください」
「はいっ!」
……。
「こちら、大鳳。所定の位置に就きました」
『こちら、扶桑。私も所定の位置に就いたわ。何時でも始められるわ』
「では、よろしくお願いします!」
『はい。よろしくお願いします』
準備は整った。
素早くボウガンに、艦載機が内蔵されているマガジンを装填。風向きと波、太陽の位置を確認し、ボウガンを構え──
「第一次攻撃隊、全機発艦!」
トリガーを引き、艦爆隊を発艦。
ボウガンから放たれた矢は、炎を纏って飛び、やがて艦載機に姿を変えた。
すかさず、マガジンを装填し、艦攻隊を発艦。
(さて、どう出るかしら?)
艦載機を操る妖精さんの視界とリンクし、射程圏外の上空から扶桑さんを確認しながら、頭の中で作戦を練る。
相手は、あの
どう攻めるか考えていた時だった。
「ッッッ!!?」
何よ!この声!?
演習開始前に聞いた、穏やかな扶桑さんの声が、今は地獄の底から響くような低い声になっている。どこからそんな声出してるのよ!?
思わず無線機を殴りそうになってしまった。
『この高さでは、対空射撃を行っても届きませんね』
再び無線機から扶桑さんの声が聞こえてきた。今度は、普通の声だった。
(聞き間違い──いいえ、確かに聞いたわ)
思わず動揺してしまった。しっかりしなさい!今は演習中よ?
気を引き締め、妖精さん達に指示を出し、攻撃体制に入るよう、指示を出す。
艦載機は編隊を組み、一気に高度を落とし、
艦攻隊は一部を除いて上空に待機させ、残りを目標の背後に回らせ、雷撃体制に入らせる。
真上から艦爆隊。主砲・副砲では射角が足りない。
背後から艦攻隊。回避しようとすれば、爆撃される。
お世辞にも、扶桑さんの航行速度は早くない。ハッキリ言うと、遅い。
さぁ、どう対処するのかしら?
『あらあら、囲まれてしまいましたね』
穏やかな声。何故そんなに落ち着いていられるの?
幾ら第二次改装を施された戦艦でも、直撃すれば大ダメージは免れない。何か策があるのかしら?
そう思った時だった。
突然、扶桑さんは両足を開き、左足を後ろに。右足を前にし、腰を落として左腰に装備した日本刀に手をかけた。
「──えっ?」
何をする気なの?
思わず困惑してしまった。しかし、すぐに気持ちを切り替え、艦載機の操作に集中。
「ッッッ!!?」
再び、地獄の底から響くような声が聞こえた。
次の瞬間、扶桑さんに向かっていた艦載機が、撃墜された。
それだけじゃない。上空に待機させた艦載機まで、撃墜されてしまった。
爆発。
それにより、爆炎が扶桑さんを包み、彼女の姿が見えなくなってしまった。
「──は?」
思わず間抜けな声が出た。何!?何が起きたの!?
まさか、日本刀で斬り墜としたの!?
困惑し、呆然と立ち尽くしていると、再び無線から扶桑さんの声が聞こえてきた。
『中々良い動きですね。素晴らしいです。感動的です。
だが、無意味だ』
「」
『ふふふふ……大鳳さん、お代わりを要求します』
「」
『……お代わりは無しですか?なら……
こちらから行きます♪』
次の瞬間、扶桑さんが抜き身の日本刀を右肩に担いで、私に向かって海上を
「────!!?」
ちょ、はぁ!?速い!貴女、低速艦でしょ!?何でそんなに速いのよ!?
驚いている間に、私と扶桑さんとの距離がどんどん縮まってきている。に、逃げなきゃ!?い、いいえ、艦載機に余裕はある。急いで迎撃を──
「ぎゃああああああああああああああああ!!!」
無理無理無理!迎撃なんて無理!
普段の私なら、逆にやる気を出して迎撃していたけど、昨日
距離が縮まったせいで、扶桑さんの顔が見えた。
距離、約10.000m。普通なら顔なんて見えないけど、艦娘の力で視力を強化しているから、見えた。見てしまった。
三日月のように口角を上げて微笑み。
瞳孔を限界まで広げ。
血走った目で私を見つめる、扶桑さんの顔が。
「やってられっかあああああああああああああああ!!!」
バカヤロウ!私は逃げるわ!全力で逃げるわよ!!
主機の出力を限界一歩手前まで上げ、戦速一杯にして逃走。
しかし、徐々に距離が詰まり始めた。
おかしいでしょ!?私、約33ノットも出しているのに、何で低速艦に追い付かれているのよ!?
『何処へ行こうと言うのですかァ?』
「ひいいいいぃぃッ!?」
嫌ァ!嫌ァァァァ!!!
頭おかしい!絶対頭おかしい!!この鎮守府、頭おかしい人ばっかなの!!?
「──あっ!?」
し、しまった!慌てて航行していたから、波に足を取られ、転倒してしまった。
そのせいで、一気に距離を詰められてしまった。
「ぁ……ぁぁぁ……」
来る。
日本刀を右肩に担ぎ。
マジ○チスマイルを浮かべ。
私を殺しに薩人大和撫子が、来る!
「助けて!
思わず、彼の名を叫び、助けを求めてしまった。
薩人大和撫子との距離、約500m。
走る速度は一切落ちていない。
嗚呼。短い人生だったわね。
走馬灯が見えた。
……ここまで、なのね──
「ヒャッハハハハハ♪」
「ごほぁ!?」
「────へ?」
と思ったら、突然扶桑さんが吹っ飛び、海面を転がった。
な、何が起きたの!?
「扶桑さん、やり過ぎっぽい」
いつの間にか、私の前に艤装を纏った夕立さんが背を向けて立っていた。た、助けたくれたの?
「大鳳さん、大丈夫ですか?」
「──えっ?あっ……」
今度は、艤装を纏った由良さんが私に声をかけ、手を差し伸べてくれている。
迷わずその手を掴み、立とうとしたけど、腰が抜けて立てない。
「あらあら。随分こっぴどくやられちゃったみたいですね?ねっ?」
苦笑いしながら、由良さんが言った。
「大鳳さん、ちょっとだらしないっぽい」
「うぐ……」
夕立さんが、呆れた顔でそう言ってきた。し、仕方ないじゃない!
「夕立さん、何故邪魔をしたのですか?」
あっ、薩人大和撫子が復活した。日本刀は既に納刀している。
「いきなりマジキ○スマイル浮かべて追っかけたら、大鳳さんビビって精神崩壊しちゃうっぽい」
「ですが、此処のやり方に慣れてもらうには、アレが一番手っ取り早いと思うのだけど……」
夕立さんの提案に、扶桑さんは難色を示す。
慣れたくないです。
「最初は、無言・真顔で
「確かに。いきなりはダメですね?ねっ?」
……なんか、マズイことになりそう。
さっき逃げたから、埠頭までの距離は近い。急いで逃げた方が良さそうね。
立たなきゃ。
けど、腰が抜けて立てない。
「では、20ノット以内で追いかけて慣らしましょう?ね?ねっ?」
「分かりました、そうしましょう」
「了解っぽい」
あっ、ヤバい。死ぬ。殺されちゃう。
「大鳳さん。辛いと思いますが、この先、第603鎮守府で生き残る為です」
「頑張ってくださいね?ねっ?」
「大丈夫!皆、最初は精神崩壊して寝込むけど、すぐに復活して慣れるっぽい!」
「」
「では、」
「逃げる準備をしてくださいね?ねっ?」
「グルルルル……♪」
「べ、別の日にお願い出来ないかしら?」
「「「ダメです(迫真」」」
「」
このあと、私はキ○ガイ三人に追われた。
腰が抜けていたから、這って逃げた。
やがて、私の中で何かが壊れる音がした。
(あは……あははははっ♪あははははははははははっ♪)
あはっ♪
……あれ?わたし、なにをしているんだろう?
あっ、うみの、うえにうかんでる!
うみにおよぎに、きたのかな?
あはははっ♪たのしい♪
あれ?おねえちゃんたち、だれ?
side 大鳳 out
───────
────
─
Another side
──大本営、技術課──
「おいおい。おいおいおい、マジかよ!?」
「あ、あの……」
「……あっ、これ、やり直しね?」
スペックが全然足りないよ!
「わ、分かりました!」
「……」
俺達技術屋は、武器を作る事しか出来ない。
作った武器で
代わりに、艦娘達が戦ってくれている。
だから、俺達に出来ること──最高の武器を用意し、使ってもらう。
半端な物は渡せない。
「……やるからには、全力で」
じゃないと、艦娘達に申し訳が立たない。
「……よぉし!新人くん、お金あげるから、モ○エナ(緑)全員分買ってきて?余ったお金は懐に入れるなり、好きにしていいから」
財布から諭吉さんを五枚取り出して、今年配属してきた新人くんに声をかける。
「へっ?あ、あの、主任、これだと、三万円以上余るのですが……」
「ん?そうだね。余るね。余ったら、新人くんにお釣り含めて全部あげるよ?」
「し、しかし!」
「いーの、いーの。ほら、早く買ってきて?」
「りょ、了解しました!」
……よし、行ってくれた。
若いのを育てるのは、先輩や上司の仕事。フィジカルだけでなく、メンタルもケアしないとダメだ。
「……よぉし、おじさん、すんごく頑張っちゃうぞぉ~!」
気持ちを仕事モードに切り替えろ。でないと、良い結果を出せない。
「無理言って納期を伸ばしてもらったんだ。最高の武器を作り上げてやる!」
Another side out
───────
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─
次回予告
鳳さんが幼児退行してしまいましたね。
私も幼児退行していいかしら?
……ダメ?ちぇ。私も幼児退行して、準に甘えたいのになぁ?
たまにはお姉ちゃんの事、甘やかして欲しいなぁ?
……そんな歳じゃないだろ?
……ふっ。ふふふっ。
なら、貴女の妹になるわ。準おにいちゃ~ん♪
……歳を考えろ?……ぶち犯すわよ?
第74話・パパって呼ばないで?
「パパが居るなら、ママも居ないとダメよね?私がママになるわ!」
【補足的なナニか】
・大鳳…第603鎮守府所属の艦娘達に洗礼を受け、精神崩壊。
果たして、彼女の精神は元に戻るのか?戻ったとしても、まともなままで居られるのか?
・扶桑…普段は大和撫子の様な女性。
戦闘になると、「首を置いて逝け」と、日本刀を振り回す薩人大和撫子と化す。
今日も元気にマジ○チスマイルを浮かべ、日本刀で立ち塞がる存在を斬り裂く。
・夕立…狂犬。普段は愛玩犬の様な癒しを与えてくれる可愛い娘。
しかし、戦闘になると豹変する。
今日も元気に高笑いしながら格上の敵を屠る。
・由良…戦闘狂。普段はお淑やかだが、戦闘になると過激になる。戦争にやり過ぎは無いのだよ!
・技術課主任…「まぁ、やるんなら、本気でやろうか!」
決して妥協を許さない。しかし、部下を労う優しい心を持っている。その為、部下からの人望は非常に厚い。
・磯風カレー入り砲弾…横須賀鎮守府所属、陽炎型駆逐十二艦番艦、磯風の適性を持つ少女が作ったバイオ兵器カレー。それを砲弾に入れた物を指す。
件の磯風が作ったカレーは劇物以上の存在で、試しに横須賀鎮守府の空母艦娘が、爆弾に詰めて離島棲鬼に攻撃した所、離島棲鬼はゾンビ化。僅か数分で艤装ごと溶けて消滅してしまった、と報告している。
大量に磯風カレーが余っていた為、横須賀鎮守府の提督が、他所の鎮守府にプレゼントした(という設定)。
以上、補足終了。