追跡鶴   作:EMS-10

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※警告※
グロテスクな描写が含まれています
御都合主義有り
お前らの嫁だろ、早くなんとかしろよ




第75話・衝撃の事実

 

side 提督

 

 

 

──大本営・技術課、応接室──

 

 

09:25。

 

 

「どうぞ、こちらです」

 

「ありがとうございます」

 目の前の男性──技術課主任の野原さんが、応接室のドアを開けて入室を促してきた。

 応接室に入ると、高級そうなソファーと、これまた高級そうな木目の美しいテーブルが視界に入った。それだけじゃない。装飾品──壁に絵が掛けられていたり、高そうな花瓶に、花が生けられている。

 

(流石大本営。金がかかっている)

 ウチ(第603鎮守府)のソファーとテーブル、装飾品と比べて、明らかに質が違う。それもそうだ。技術課とはいえ、此処は大本営。お偉いさんの来客が多いから、良い物を使っているのだろう。

 

「只今、お茶をご用意致します。お掛けになってお待ちください」

 

「あ、ありがとうございます」

 言われた通り、ソファーに腰掛ける。うん。見た目だけでなく、質も凄くいい。これなら、座ったまま眠っても腰を傷めずに済みそうだ。寝ないけど。

 

 野原さんがお茶を用意すると言い、一旦退室。その間、俺は無心・無言で待つ。

 程なくして、応接室のドアが開けられ、トレイにコースターと、お茶──透明なグラスに、大きな丸型の氷と、緑茶が入れられている──を載せた野原さんが入室してきた。その顔は、応接室に案内してくれた時の真剣な顔から、最初に出会った時のような、ニヤニヤとした笑みを浮かべている。なんか、嫌な予感。

 

「おっ待たせしましたァ!アイスティーしか無かったけど、良いよね?(迫真」

 

「チェンジで」

 あのさぁ……。

 

「ギャハハハハ!ジョークですよ、ジョーク。渡良瀬少佐、眉間にすっげぇ皺寄せてるし、緊張してるみたいだから、解そうとお茶目なジョークを言っただけですよ」

 

「さいですか……」

 ニッコリ笑顔で楽しそうにそう言ってきた。

 マジでこの人なんなの……。いや、緊張を解そうとしてくれるのは有難いんだけど、もう少し、別のやり方は無いんですか?

 

「睡眠薬とか、アブナイ(・ ・ ・ ・)お薬は一切入っていない、S県(・・)の高級茶葉を使用した緑茶です。どうぞ」

 

「ありがとうございます」

 お茶を受け取り、一口飲む。美味い。喉が渇いていたから、余計に美味しく感じる。

 

「……さて、渡良瀬少佐。早速(さっそく)ですが、艤装について、お話をしたいと思います。宜しいですか?」

 

「……はい」

 先程までのふざけた態度から一変。野原さんは真剣な顔で俺を見、これまた真剣な声でそう言ってきた。

 

「まず、お願いが御座います。これから()が話す事は、他言無用でお願いします」

 

「約束します」

 以前、小嶋提督から艤装について色々教えてもらった時も、同じような事を言われたな。

 

「ありがとうございます。では、艤装についてお話します」

 

 思わず生唾を飲む。一体、どんな秘密があるんだ?

 

「今から約70年前。深海棲艦出現から2ヶ月後。妖精さんが出現し、人類に艤装の技術を伝えた。これは、ご存知でしょうか?」

 

「えぇ、存じております」

 養成所で教わったから知っている。しかし、口には出さない。

 

「では、次に。艤装が艦娘にもたらす恩恵については、ご存知ですか?」

 

「はい。艤装は、装着者──艦娘に、常人を遥かに超えた身体能力と、驚異的治癒能力を与えてくれます」

 身体能力は、プロの陸上競技選手よりも早く走れるようになったり。

 治癒能力は、負傷しても軽度な物なら。例えば、かすり傷なら、数分もかからずに完治する。

 

「そうです。身体能力は、自身の体重を遥かに超える重い物を軽々と持ち上げる事が可能になったり、視力や聴力を向上させたり。

 治癒能力は、グロテスクな話になりますが、深海棲艦との戦闘で、骨折しようが、手足を吹き飛ばされようが、内臓破裂しようが、妖精さん達が生成した特殊な液──我々が「入渠液」と呼称する液体に浸かれば、度合いにもよりますが、数時間~十数時間。どんなに長くても一日以内で元通りになります。ただ、頭部と心臓を破壊(・ ・)されると、流石に元には戻りませんが」

 

「……」

 ごめん、俺、グロテスクな話とか苦手だから、ちょっと気持ち悪くなってきた。

……しっかりしろ。この適度で参っているんじゃねぇ。

 

「身体能力と治癒能力を高めてくれる他にも、あります。それは、ご存知でしょうか?」

 

「えっと、恩恵以外では、艤装から装着者に、記憶や感情が流れ込む、という事しか知りません」

 

「ふむ。……を知らないのか

 

「何か、仰いましたか?」

 

「……実は、身体能力と治癒能力を向上させる以外にも、恩恵があるんです」

 

「……えっ?」

 そうなの?初耳だぞ?身体能力と治癒能力を上げる以外にも、恩恵があるの?

 

「恩恵については後程説明します。まずは、何故、艤装から装着者(艦娘)に記憶や感情が流れ込むのか、お話します」

 

「はい。お願いします」

 

「研究の結果、艤装と装着者との同調率が高いと、艤装が装着者の魂に干渉しやすくなる為、記憶や感情を流し込んで【戦争の悲惨さと愚かさを伝えようとする】、という事が判明しました」

 

「……」

 

「少し話を脱線させますが、二度に渡る、世界を巻き込んだ大戦争。それは、今となっては資料しか残っていません」

 

 今から約170年前に、第一次世界大戦。そして、約140年前に起きた、第二次世界大戦。人類史上最悪と言っても良い、大戦争。野原さんが言った通り、当時の出来事は資料しか残っていない。だが──

 

「しかも、その貴重な資料は深海棲艦が出現し、本土を襲撃された事により、資料を保管している建物等に被害が出て、殆ど消滅してしまいました」

 

 そう。深海棲艦が出現し、日本に侵攻。砲撃や艦載機の爆撃により、日本本土を攻撃され、甚大な被害を受けた。それにより、当時約1億2000万人居た日本の人口が、半分以下の約5500万人にまで減少してしまったが、現在は出生率が上がり、約7000万人にまで増えた。

 

 話を戻そう。野原さんが言ってくれたが、貴重な資料を保管する建物を尽く破壊され、殆ど消滅してしまった。

 

「しかし、艤装が当時の出来事を、装着者に記憶と感情を流し込み、伝えてくれたお陰で、ある程度資料を復元する事が出来ました。どうやら艤装は、人類に当時の出来事を忘れて欲しくなくて、記憶や感情を装着者に流し、後世に伝えさせる為にそういった事をするようです。

 これだけを聞けば、良い事に思えますが、当時の出来事はあまりにも残酷で、衝撃的な事ばかり。そのせいで、記憶と感情を流し込まれた装着者は耐え切れず、精神を崩壊させてしまう恐れがある。それを防ぐ為。装着者を守る為、艤装が装着者の人格をわざと歪めるそうです」

 

 そう……だったのか。

 

「……現在、分かっていることは、ここまでです」

 

「……」

 

「……あっ、いけね!」

 

「?」

 突然、野原さんが焦った顔をして、壁に掛けられた時計を見た。どうしたんだ?

 

「10:00から仕事しなきゃならないんで、すみませんが、次の話──恩恵について話をさせていただきますね?」

 

「分かりました」

 現在時刻は09:40。あと20分──いや、準備とかあるだろうから、10分~15分程度しか、話す時間が無い。

 もっと知りたい事。聞きたい事があるが、仕方ない。何時になるか分からんが、機会があるときにまた話を聞く事にしよう。

 

「こちらから誘っておいてなんですが、慌ただしくて申し訳ございません」

 

「いえ、お気になさらないでください。寧ろ、貴重なお時間を頂いてまで、お話を聞かせてもらっているので、こちらの方こそ申し訳ございません」

 なんか、悪いことしちゃったな。今度。何時になるか分からないけど、お詫びしよう。

 

「では、恩恵の話をしますね。……渡良瀬少佐、ここから先は、聞いたら後には戻れません。知れば、きっと貴方は後悔するでしょう。それでも、知りたいですか?」

 

「……知りたいです」

 野原さんは、目付きを鋭くして問いかけてきた。

 覚悟は出来ている。例え、どんな事だろうと、しっかり受け止めてやる。

 

「……もう一度聞きます。本当に、宜しいですね?」

 

「はい。教えてください」

 真っ直ぐ目を見つめ返す。さっきも思ったが、どんな事だろうと、しっかり受け止めてやる!

 

「……分かりました。さて、身体能力と治癒能力を向上させる以外に、どんな恩恵が与えられるか。それを説明する前に、渡良瀬少佐に一つ、質問させて頂きます。正直にお答えください」

 

「何でしょうか?」

 

「あなたが運営する第603鎮守府。そこに所属する艦娘達は、少佐に好意を寄せている。これに、間違いは無いでしょうか?」

 

「えっ?あっ、はい。そうです。けど、何故それをご存知なのでしょうか?」

 

「元、佐世保鎮守府所属、扶桑型航空戦艦一番艦、扶桑。同じく二番艦、山城。金剛型高速戦艦三番艦、榛名」

 

「……」

 

「元、第8492離島鎮守府所属、翔鶴型航空母艦二番艦、瑞鶴。長良型軽巡洋艦六番艦、阿武隈」

 

「……」

 

「この5名の共通点。なんだと思います?」

 

 うん。5人とも、俺に会いたくて異動願を出しまくった(と、それぞれの提督から聞かされた)娘達だ。

 

「少佐の運営する鎮守府に異動する為、異動願を出しまくった艦娘達です。大本営じゃ、結構有名らしいですよ?」

 

「……」

 

「特に、元、佐世保鎮守府所属の三人が提出した異動願の数は凄かった。桁がヤバかったから、よく覚えているよ」

 

「えっと、何故、野原主任(・ ・)がその事を。誰が何処の鎮守府に異動した、とか。異動願の提出数をご存知なのでしょうか?」

 

「ん?あぁ、理由は二つ。一つは、異動先にその艦娘の艤装パーツになる部品や素材を届ける為。艦娘は一人一人、体格や、戦い方の癖が異なるから、それぞれの艦娘に合ったサイズや形にする必要がある。正確に、何処に居るか把握する為に、そういった情報を本部から知らされるんだ」

 

「成程。して、二つ目の理由は?」

 

「あ~……愚痴られたんですよ」

 

「愚痴られた?」

 

「異動願を処理した、事務課の艦娘に、愚痴られちゃったんだよ」

 

「は、はぁ……」

 

「今でもハッキリ覚えてるよ。昼休憩を取っていたら、事務課の艦娘──大淀ちゃんに、「ふざけた枚数の異動願が届いて、それを処理するのに徹夜続きで辛い!」って」

 

「お、大淀?」

 もしかして、その大淀の適性を持つ女性って……。

 

「うん。大淀。適性者の本名は、笹川(ささかわ)っていう、ラスボス臭のする、メガネが似合う女性だよ」

 

 知ってる人でした。笹川さん、ご迷惑をおかけして、申し訳ございません。今度、お高い菓子折り持ってお詫びに行きます。

 あと野原さん。笹川さんをラスボス臭がする、とか言わない。確かにラスボス臭がするけどさぁ。

 

「ともかく、()が異動先や異動願の提出数を知っているのは、さっきの二つの理由があるからなんだ」

 

「は、はぁ……」

 

「おっと、話が脱線しちゃったね。何処まで話したっけ?……あ、思い出した。少佐に好意を寄せる艦娘が多い、って話だったね」

 

「はい、そうです」

 野原さんの口調が砕け、ニヤニヤ笑っている。お陰で先程までの真剣な空気が壊れている。そう思ったら、野原さんは再び真剣な顔になった。

 

「少佐、恥ずかしがらずに正直に答えてください。好意を抱かれている艦娘達に、迫られた事はありませんか?」

 

「……あります」

 めっちゃあります。寝ていたら、部屋にピッキングツールを使って、鍵をこじ開けて侵入してきたり。

 風呂に入っていたら、突入されたり。

 

「迫られた際、抱きましたか(・ ・ ・  ・ ・ ・)?」

 

「ブフォ!?」

 野原さん、何聞いてくんのぉ!?……あっ、笑っていない。真剣な顔してる。

 気持ちを切り替えろ。真剣に答えろ。

 

「……いいえ、抱いていません」

 危うく手を出しそうになった事があったけど、未だ手を出してはいない。

 

「……マズいですね。非常にマズい」

 

「えっ?」

 真剣な顔したまま、マズいと言っている。あの、何がマズいんですか?

 

「少佐、再び話を脱線させますが、人間の三大欲求をご存知ですか?」

 

「えっと、食欲。睡眠欲。それと……性欲。この三つです」

 

「そうです。この三つは、決して抑えられない。一応、性欲は理性である程度抑える事が可能ですが、完全に抑える事は不可能です」

 

「……」

 

「話を戻しましょう。少佐、最近、艦娘達がおかしな言動を取ったりしませんでしたか?」

 

 おかしな言動?……うん。ほぼ毎日取っている。

 三尺様みたいなお目目で、俺を見つめてきたり。

……あっ、こんな目→(<⚫>)(<⚫>)の事だよ?

 

 話を戻そう。

 盗聴器や隠しカメラを設置したり。

 本気で犯そうと襲ってきたり。

 

「その顔。心当たりがあるみたいですね?」

 

「……はい」

 心当たりしか無いです。

 

「……それ、艤装の影響です」

 

「……はい?」

 えっ?嘘?艤装の影響なの?

 

「……まず、艦娘の適性を持つ女性が艦娘になると、適性の無い女性と比べて、性欲が強くなります」

 

「……は?」

 

「決して、推測なんかではありません。膨大なデータを元に、実証されています」

 

「」

 

「何故、艦娘になると性欲が強くなるのか。先代の技術課所長──この方は、既に亡くなられていますが、話によると、深海棲艦出現により、激減した人口を増やす為、艤装の(コア)適性者(艦娘)の生存本能を刺激し、子孫を残そうと性欲が強くなるそうです」

 

「な、成程。……ん?ちょっと待ってください。その先代の所長さんは、何故艤装の核について知っていたのですか?」

 艤装──特に核と呼ばれる部分は、ブラックボックスと化している。今まで大勢の研究者達──人類──が、核にどのような力が秘められているか解析しようとしたが、全て失敗に終わったと養成所で教わった。

 

 ちなみに、現存する妖精さん達は艤装の整備・製造法を知るのみで、核に秘められた力については知らない上に、解析不能と匙を投げている。それなのに、何故?

 

「……先代の所長曰く、艤装の(コア)に秘められた力を知る妖精さん。艤装を作り上げ、人類に技術を提供した妖精さんとコンタクトを取る事が出来、教えてもらったと言っていました」

 

「……」

 

「その妖精さんは「キャット」と名乗ったそうです。その「キャット」と名乗る妖精さんは、先代所長に核に秘められた力について教えると、姿をくらましてしまったそうです。今現在も、大本営の人達が必死に「キャット」を探していますが、未だ見つかっていないそうです」

 

「……」

 

「話がややこしくなってきましたね。ここからは簡単に説明させて頂きます。質問は、その後にお願いします」

 

「は、はい」

 それから、俺は野原さんの話を黙って聞くことにした。

 話の内容を簡単にまとめると、

 

 

・艤装の核に秘められた力を知るのは、「キャット」と名乗った妖精さんのみ

・核は人類及び、現存する妖精さん達では複製出来ない

・核は「キャット」が無数に生産し、当時の自衛隊に提供。現在、大本営が保管・管理している

・引退した艦娘の艤装は、特殊な処理を施し、核ごと消滅させている

・消滅させる技術だけは「キャット」から伝えられた

・核は再利用出来ない

・年々、核が減少している

・艤装に宿された核は、適性者──艦娘に様々な恩恵を与える

・その中に、激減した人口を増やす為、生存本能を刺激し、適性の無い女性よりも性欲を高める(先代所長曰く、「キャット」のお節介との事)

・その結果、好意を寄せる異性に。心の底から「愛したい」と思った相手が居た時のみ、積極的になる

稀に(・ ・)性欲が高まり過ぎて理性が崩壊し、おかしな言動を取るようになる

・発散すれば、一定期間(・ ・ ・ ・)は大人しくなる(実証済)

・女性しか艤装を扱えない理由は、未だ不明

 

 

「……」

 野原さんから話を聞き、頭の中で、今まで第603鎮守府で起きた事を思い出す。

……うん。どれも心当たりがある。あり過ぎる。

 

 例えば、涼月。瑞鶴が異動してくるまで天使だったのに、ゾンビになって俺を追い回すようになった。

 例えば、榛名。本人曰く「ある日を境に犯したくて」仕方なくなり、俺を追い回すようになった。

 例えば、瑞鶴。普段は大人しいが、スイッチが入ると犯そうと襲いかかってくる。そんで追い回してくる。

 

 他にも沢山あるが、割愛する。

 

「少佐、大真面目に言わせて頂きます。鎮守府に帰ったら、あなたに好意を寄せる娘達を抱いて(・ ・ ・)あげてください。放置していると、エラいことになりますよ?」

 

「え、エラいこと、とは?」

 何?集団逆レ○プされちゃうの?パパにされちゃうの?俺の名前を、渡良瀬からパパ良瀬(・ ・ ・ ・)に改名するハメになるの?

 

「昔、とある小規模の鎮守府を運営する提督は、複数の艦娘達に迫られる程、モテていました。しかし、その提督は憲兵さんのお世話になるのが怖かったのか、仕事以外では艦娘と接しないようにしていました。

 ある日、好意を寄せる艦娘達に、涙ながらに迫られましたが、その提督は「正式にケッコンカッコカリもジュウコンカッコカリもしていない。憲兵さんのお世話になるから断る」と言い、相手にしませんでした。その結果……」

 

「そ、その結果……?」

 どうなったんだ?

 

「好意を寄せる艦娘達が、暴走しました(・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

「ぼ、暴走!?」

 

「はい、暴走です。暴走した艦娘達は、ある日の夜。自室で眠る提督を集団で襲い、【夜戦(意味深)に突入する!】しました」

 

「」

 

「騒ぎを聞き付けた憲兵達が駆け付けると、衣服を身ぐるみ剥がされ、両手足を手錠で拘束された提督と、今まさに【アッー!】しようとする艦娘達が視界に入ったそうです」

 

「」

 

「尚、襲われた提督は女性恐怖症になり、提督を辞めてしまいました」

 

「」

 

「他所の提督──どれも小規模~中規模の鎮守府を運営していた(・ ・ ・ ・)提督の話になりますが、好意を寄せる艦娘達を無視。または放置した結果、拉致・監禁されたり。ナニ(・ ・)をもがれそうになったり。色々トラブルが起きました」

 

「」

 

「特にここ数年 、そういったトラブルが多発していて、無理に抑えようとすると更に暴走するので、敢えて憲兵を鎮守府に常駐させず、鎮守府外の近くに詰所を設営するようになりました。勿論、例外はありますが」

 

「そ、それじゃあ、提督が何か悪事を働こうとしたら、止められないんじゃ……」

 

「あー、そこは憲兵の友人。警備隊長(・ ・ ・ ・)から聞いたんですが、特殊な訓練を受け、これまた特殊な通信機と武器──友人曰く、「ベ○ターキャノン(非殺傷)」を装備した憲兵妖精さんがこっそり潜入・監視しているらしいので、大丈夫みたいですよ?」

 

「○クターキャノンって、あの(・ ・)○クターキャノン?」

 

「えぇ。あの(・ ・)ベク○ーキャノンです」

 

 なんだよ、非殺傷のベ○ターキャノンって。

 ぜってー非殺傷じゃねぇだろ。殺す気満々じゃねーか!つーか、こっそり潜入してるのかよ!ウチの鎮守府にも潜入しているのかな?怖いんですけど!俺やだよ?突然「行けーっ!」や「終わりにしようぜ」、「こいつでトドメだ」されるの。

 

「あっ、そうそう。大本営の一部の(・ ・ ・)お偉いさん達や、憲兵さん達。あと、憲兵妖精さん達は、「互いに合意の上」で「避妊をちゃんとする」なら、「つまみ食い(・ ・ ・ ・ ・)してもいい(・ ・ ・ ・ ・)」と、黙認しています」

 

「」

 

「少佐の所、好意を寄せる艦娘が多いから、そのうち徒党を組んで、ガチで犯しに来るかもよ?」

 

 既に何度も犯されそうになっています。プロレス技ぶちかまして大人しくさせたり。海上を文字通り走って逃げたりしたから、なんとか犯されずに済んでいるけど、瑞鶴達が徒党を組んで本気で(・ ・ ・)襲ってきたら、逃げられる自信が無い。

 

「艦娘達の理性が完全崩壊して避妊を忘れて、パパにされちゃうかもよ?あ、パパになったら、渡良瀬じゃなくて、パパ良瀬に改名したら?ギャハハハハ!!!」」

 

 野原さん、笑い事じゃないです。マジで俺、このままだとパパ良瀬になっちゃいそうです。

 

「少佐?先程から白目剥いて無言ですけど、大丈夫ですか?」

 

「はい、てーとくは、らいひょうふです(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

「……全然大丈夫じゃなさそうだね」

 

 すいません、ちょっと、受け止めきれない。最初、話を聞く際、何があってもしっかり受け止める、って思ったけど、無理。

 

「とにかく、あまり好意を寄せる艦娘達を放置または無視すると、エラい目に遭います。よぉく覚えておいてください」

 

「」

 

「あらま、口から泡吹いてる」

 

 

 

………………。

 

 

 

「復活しました?」

 

「えぇ、何とか」

 衝撃の事実を知り、放心してしまった。

 深呼吸を繰り返して落ち着いてきた頃、野原さんに声をかけられた。

 

「さて、他にも艤装についてお話──したいのですが、そろそろ行かないとマズいので、すみませんが、今回はここまでです」

 

 壁に掛けられた時計を見て、野原さんがそう言ってきた。

 もっと知りたい事があるが、流石に引き止めるわけにはいかない。

 

「これ、()の連絡先です。もし、艤装について知りたいことがあれば、遠慮なく連絡してください」

 

「どうも」

 胸ポケットから名刺入れを取り出し、名刺を差し出してきた。俺も慌てて名刺を出して手渡した。

 

「……あっ」

 

「ん?どうしました?」

 

「そういえば、物凄い今更なんですが、何故艤装の秘密について教えて頂けたのですか?」

 普通なら、教えたりしない。それなのに、何故?疑問に思ったので聞いてみた。

 

「あぁ、それはですね

 

 

 

 ()の祖父から、あなたの事を色々聞かされていて、どんな人物か知っているからですよ」

 

「……は?」

 野原主任の祖父から、俺の事を聞かされている?

 俺、自分で言うのもなんだけど、知り合いとか少ないんだよ?ましてや、歳上の知り合いなんて、江ノ島鎮守府を運営する、藤原大将しか居ない。

 

「ヒントその1。祖父の歳は90歳」

 

 90歳?かなりのご高齢だな。俺の爺ちゃんとおない(同じ)歳だ、

 

「ヒントその2。祖父は少佐と同じ出身地に住んでいる」

 

 俺と同じ出身地に住んでいる。そして、年齢は90歳……あっ、まさか!

 

「おやおやぁ?気付いたみたいですねぇ?んじゃ、大ヒント!祖父の愛称は【ゲンさん】」

 

「ッッッ!!?」

 ゲンさんだと!?あの、ゲンさんか?

 確か、ゲンさんの苗字は「野原」だった。まさか──

 

「ふふふふ。ここまで言えば、分かりましたか?」

 

「まさか、野原元太さん(ゲンさん)のお孫さん……」

 

「ピンポンピンポン!だいせいか~い!」

 

 おいおい、マジかよ。あのゲンさんのお孫さんなのかよ。

 

「あれれ?驚いちゃった?」

 

「……えぇ。というか、俺と野原主任(・ ・)って、一度も面識ありませんでしたよね?あそこ(俺の出身地)なら、一度くらい面識があってもいい筈なんですが……」

 俺の出身地は、はっきり言って田舎だ。それだから、コミュニティが狭い。あそこに住んでいたのなら、面識がある筈なんだが、野原さんとは今日、初めて面識を持った。

 その事を聞くと、

 

「家庭の事情で、少佐の出身地ではなく、別の県に住んでいたので、面識が無かったんだと思います」

 

「成程」

 それなら納得だ。

 

「さて、そろそろ行かないとマズいんで、俺はこれで失礼します」

 

「貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」

 

「いえいえ、どういたしまして。んじゃ、時間があったら何時でも連絡して?」

 

 そう言い、野原主任は少し慌てた様子で空のグラスとコースターを片し始めた。俺も手伝おうとしたが、「お客様のお手を煩わせるわけにはいきません」と、断られてしまった。

 

「さて、外までご案内します」

 

「はい。本日は本当にありがとうございました」

 応接室を出て、改めて野原主任にお礼を言う。

 幾つか聞きたい事があったが、衝撃的過ぎることを知り、何を聞きたいのか忘れてしまった。

 鳳を連れて鎮守府に帰ったら、それらを思い出してメモに残し、後日電話して聞こう。

 

「お気になさらず。……では、俺はこれで失礼します」

 

「ありがとうございました」

 技術課の建物の外に案内され、もう一度お礼を言い、野原主任と別れた。

……さて、鳳の診察は終わったかな?スマホを確認したが、未だ連絡は来ていない。

 

(まだ時間を潰す必要があるな)

 何処で時間を潰そう?……ん?レシプロ機のエンジン音?向こうからだ。

 

 

……。

 

 

 

(訓練中か)

 エンジン音の聞こえた方に行くと、艦娘の装束と、艤装──飛行甲板と矢筒、弓を装備しているから、恐らく空母だろう──を纏った艦娘が訓練をしていた。

 大本営に所属する艦娘は、あの横須賀鎮守府の艦娘達を超える戦闘力を持つ、化け物集団だと聞いた事がある。

 

(どんな動きをするのだろう?)

 少しだけ興味が湧いてきた。邪魔にならない所で、見学しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 数分後、見学した事を後悔するのだが、この時の俺は、そんなことなど知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

side 提督 out

 

 

 

───────

────

 

 

 

 

Another side

 

 

 

『……それ、艤装の影響です』

 

……嘘……でしょ?

 彼が大本営に向かう直前、見送りに行った際、こっそり服に取りつけた盗聴器から声が聞こえた。

 無事大本営に着き、カウンセラーに時間を潰すよう言われ、彼は適当に彷徨いて時間を潰そうとした。

 そして、技術課に立ち寄り、野原と名乗る男に、艤装に秘められた力について、話を聞く事にした。

 

 ここまではいい。

 ここからが問題。

 艤装が、適性者──艦娘に様々な恩恵を与える。私が知るのは、身体能力と治癒能力を向上させる。この二つだけ。それ以外にも、恩恵があったなんて、知らなかった。それも、

 

「生存本能を刺激して、性欲が高くなるなんて……」

 信じられない。

 

 

──【ルート分岐。正規ルート】── 

 

 

 

『あっ、そうそう。大本営の一部のお偉いさん達や、憲兵さん達は、「互いに合意の上」で「避妊をちゃんとする」なら、「つまみ食い(・ ・ ・ ・ ・)してもいい(・ ・ ・ ・ ・)」と、黙認しています」』

 

 

「なん……だと……!?」

 衝撃的過ぎる事実を受け止めきれず、呆然としていたら、再び衝撃的な言葉が聞こえてきた。

 危うく(・ ・ ・)聞き逃す所だった(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

 

 【互いに合意の上で】

 【避妊をちゃんとするなら】

 【つまみ食いしてもいい】

 【これを守るなら、大本営と憲兵達は黙認する】

 

 

「……あはっ♪」

 いいこと聞いちゃった♪

 

「準は、かれこれ数ヶ月、発散していない」

 時々、とても辛そうにしている。なら、楽にして(・ ・ ・ ・)あげなきゃ(・ ・ ・ ・ ・)

 

 

「そういえば、先日スマホを壊されちゃったのよね」

 だから、近日中に買いに行く、と言っていたわね。

 

「私も、スマホをぶっ壊そう(・ ・ ・ ・ ・)かしら?」

 そうすれば、彼と一緒に買いに出かけられる。

 壁に叩き付けて──いいえ、わざと水没させようかしら?

 

「ついでに、約束も果たしてもらいましょう♪」

 休養状態の時、時雨(・ ・)からお宝画像(・ ・ ・ ・)を送られて、その事を言いふらさない代わりに、二人で出かける約束をした。お願い(脅迫)すれば、きっと聞いてくれる。

 

「うふふふ♪」

 出かけたら、色々仕掛けて理性をぶっ壊して(・ ・ ・ ・ ・)あげましょう♪

 さて、どう仕掛けようかしら?

 

「……その前に、スマホを壊さなきゃ」

 今回ばかりは本気よ。本気で(・ ・ ・)ぶち犯してやる(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

 

 

 

Another side out

 

 

 

───────

────

 





次回予告


 今月の書類、多過ぎです。なんなんですか、あの数。
……はぁ。足柄と清霜さん、朝霜さんと一緒に、霞ちゃんを愛でたい。一緒にプール行ったり、お祭りに行って霞ちゃん成分摂取したい。
 あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!゙!゙!゙霞゙マ゙マ゙ー゙ー゙ー゙ー゙ッ゙!゙!゙!゙
……あら?あそこに居るのは、渡良瀬少佐?訓練の様子を見ているようですね。今の時間は、あの人が訓練をしている筈。渡良瀬少佐、ショックを受けなければ良いのですが。
 

第76話・鉄面被


「私の体温と、艤装の排熱で焼いていきますか?」



【補足的なナニか】

・技術課主任…「ところがギッチョン!」
 主人公の祖父、渡良瀬茂の親友、野原元太(愛称はゲンさん)の孫。
 祖父から、主人公の事を色々聞かされていた為、気にかけていた(という設定)。
 休憩時間中に主人公を見かけ、艤装の秘密について話した。
 今後、また登場する……かもしれない。

・警備隊長…私の邪魔をする者は、皆死ねばいい!
 憲兵隊に所属する男。主任とは友人関係……らしい。
 声が最上嗣生さんに似ているとか、似ていないとか。

・野原元太…愛称は「ゲンさん」。本編33話の最後辺りに少しだけ登場。
 昔、提督をやっていたらしいが……。

・艤装…多くの謎が残る存在。
 様々な力を秘めている。

・異動願…異動する為に書く書類。
 元、佐世保鎮守府所属の、とある艦娘達が、【異常としか言い様のない数】の異動願を提出した事がある、と大本営で噂になっている。
 艦娘Yは114514枚。
 艦娘Fは364364枚。
 そして、艦娘Hは1919810枚も提出した。
 合計2398688枚。この、とんでもない数の異動願を処理するのに、大本営事務課のとある艦娘は、過労で死にかけたとか。

・ベクターキャノン…説明しよう!ベクターキャノンとは!剛強無双の浪漫兵器である!
……真面目に解説すると、元ネタは「Z.O.E」シリーズ2作目、「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS」で登場した
サブウェポン(特殊武器)の一つにして「空間圧縮破砕砲」の事。
 男の浪漫が「これでもかっ!」というほど詰まった武器。




 以上、補足終了。


 




※目の前で瑞鶴と翔鶴のタペストリー完売した。
 ははっ……あははは……
 ずい……かく……しょう……かく……
 通販で入手出来るけど、再販されるまで正気を保てるか不安。
 ずいかくまま……どこ……?しょうかくまま……どこ?

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