アカム武器なめんな。   作:糸遊

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お久しぶりです。


第10話 はぴーならできる。そう、はぴーならね。

 

 

「3ヶ月放置ってどういうことだァァァァ!!」

 

 

 

そう叫びながら、ウラガンキンの顎に向かって狩猟笛の振り下ろしをブチかます。

弾かれ無効効果を持つ旋律を自分にかけているので、ウラガンキンの硬い顎でも弾かれることはない。

 

そして、顎に振り下ろしを喰らったウラガンキンはスタン。横に倒れ込み、もがき始めた。

 

 

 

「1話平均3000文字なんだから、サッサと書けやァァァァ!!」

 

 

 

納刀継続からの後方攻撃、さらに納刀継続へと繋げてまた後方攻撃。

強力なコンボをガンガン頭部に叩き込む。

連撃を喰らったウラガンキンの顎は、とうとう砕け散り、弱点が露出した。

 

 

 

「あのクソ作s……」

「おい待てウルス!それ以上はいかん!お前のキャラがおかしくなる!

そーゆーのは俺のポジションなはずだぞ!?」

「ハッ……!? わ、私は一体何を口走って…?」

 

 

 

カルムに呼び止められ、ふと我に帰る。

な、何を叫んでいたのだろう私は…。何かこう…『3ヶ月も放置された鬱憤を晴らしてやる!』的な一心で叫んでいた気がするけど…。よく覚えていない…。

 

 

 

「それ以上攻撃すると、俺のアカム笛の出番がないまま終わる!それだけは作品のテーマぶち壊しだからやめてくれ!」

「え、えぇ…わかったわ…」

「おっしゃ!俺のターン!

はぴーの圧倒的物理火力を受けてみろや、顎野郎がァ!」

 

 

 

カルムが叫びながら、ウラガンキンの顎に連続攻撃を叩き込む。

ビカビカと会心の一撃が発生し、カルムが最後の叩きつけを放ったところでウラガンキンは動かなくなった。

 

……うん、終わってしまったみたい。

アカム笛のいい所は見せずじまいだったような気もするけど…。

 

 

 

「カ、カルム?大丈夫…?」

「ふぐっ……」

 

 

 

そっと横からカルムを覗き込むと、目には薄っすらと涙が浮かんでいた。

……いや、そんなにか。

いくら出番が少なかったとはいえ、そこまでか。大の男が泣くほどか。

 

 

 

「3ヶ月ぶりなのに!3ヶ月ぶりなのに!

こんな扱いはあんまりだろ!?

アレか!?アレなのか!?作者はアカム武器が嫌いなのか!?」

「好きな方だけど、使用頻度はそこまででも無いらしいわよ?」

「クソッタレがぁぁぁああ!!」

 

 

 

カルムが吠える。

あーあー、本当にやかましいやつだ。

1を聞かれて10返す…というよりは、0でも勝手に10喋ってるイメージ。

1を聞いた日なんかには100くらい返してくる事だろう。

 

だけど、私もこういうのには慣れてしまった。

たしかにうるさくて疲れるのは確かだけど、飽きることがない。

以前はソロで活動してることが多かったけれど、パーティを組むとここまで飽きないものなんだなと改めて認識させられた。

ルファールがパーティを組むことをやたら勧めてきていたのも今ならわかる。

 

 

「おいウルス!この後続けてまた別のクエスト行くぞ!」

「えぇ〜…。もう休みたいのだけれど…」

「知るか!アカム笛はアカム武器の中でも数少ないメジャーどころなんだ!

それをこんな扱いにされてたまるかぁ!」

「はいはい……。わかったわよ……」

 

 

ウラガンキンの剥ぎ取りを終え、そんな会話を交わす私達。

別に次のクエストに行くのは構わないのだけれど、都合よくクエストは来ているのだろうか?

 

 

「ねぇカルム。クエストを続けるのはいいんだけれど、いい感じのクエストは来てたわけ?」

「おう!確か宝纏ウラガンキン2頭のクエストが…」

「却下」

「なんでじゃ!?」

 

 

当たり前だ。前に片手剣で宝纏に行った時も地獄を味わった。

あんなのは2度とゴメンだ。

 

 

「当たり前じゃない!

宝纏に切れ味悪い無属性武器って選択が頭沸いてるわ!?」

「切れ味は関係無いしぃー!?

弾かれ無効があるから無理やり攻撃通せますしぃー!?

顎が壊れたら弱点になりますしぃー!?」

「そういう問題じゃないって言ってるでしょうが!あんたそこまでアホなの!?」

「『あんたそこまでアホなの!?』とかいう人の方がアホなんですぅー!てめー、攻撃370に会心40、さらに攻撃防御強化小アップ吹けるアカム笛なめんなよ!?アカム笛ならできる!そう、アカム笛なら!」

「宝纏の笛だって攻撃370で攻撃大吹けるの知ってんのよ!?」

「ぶぁぁぁぁあああ宝纏武器の話はやめろやぁぁぁぁああ!!」

 

ギャーギャーと喚く私達。

まぁ……飽きないことは確かなのだけれど、ストレスが溜まることだってある。

その辺りを、このアホにはよくわかってもらいたいのだけれど……まぁ無理な話なんだろう。

 

 

結局、喚き合いはギルドの迎えの人達が来るまで続いたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クエストを終え、龍識船のマイハウスで仮眠をとる私。

………なんだかんだで次のクエストにも行っちゃうだろうし、しっかり体力は回復させておかないといけない。

 

 

 

「はぁ……たまにはアカム武器以外も使えばいいのに……。ほんとアホね……」

 

 

 

ブツブツと独り言を垂れ流す私。

頭のなかでは、どのように宝纏のクエストへ臨むか考えていた。

 

 

 

「やっぱり属性はいるわよね…。

毒か水か……。あのアホのことをしっかりサポートできるようにか……」

 

 

 

………今、私はアイツとペアでパーティを組んでいる。

私は真面目な装備で、アイツはアカム武器。

1人はふざけているようだけれど、それくらいが騒がしくてちょうどいいのかもしれない。

実際私だってそんな心地は悪くない。

 

 

 

「……ふふっ、本当に飽きないわね。

なんだかんだで、顎を破壊とかしちゃうんだろうなぁ」

 

 

 

そんなことを呟いていると、玄関からノックが聞こえた。

なんとなく相手は予想できたけど、玄関に向かう。

ドアを開けると、そこにはニンマリと眩しい笑みを浮かべるカルムがいた。

う〜ん、少し嫌な予感。

 

 

 

「おいウルス!いい知らせだ!」

「……何?内容次第では殴るけど?」

「おぉふ……まぁこれはきっといい知らせだ!」

 

 

 

満面の笑みを浮かべたまま喋るカルム。

いい知らせか…。宝纏2頭が宝纏単体クエストになったとかだったらうれしいのだけれど…。

 

なんてことを考えていたら、カルムは言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんと、宝纏2頭のクエストにグラビモスが現れたらしい!

お陰で宝纏2頭、グラビモス1頭の3体狩猟になっちまったぞ!

こりゃ腕がなるな!アカム笛の威力をモンスター達に……ウルス?」

 

 

 

右手の拳をグッと握りしめる。

狙いは満面の笑みが浮かんでいる顔面。

このアホには一発ぶち込んでやらないといけないという使命感に駆られた。

 

 

 

「カルム……?

せめてチャージアックスかガンランスを担いで来なさい?」

「えっ……ちょっ、顔が怖……ぶごぉぉ……」

 

 

 

満面の笑みを浮かべているカルムに、私も満面の笑み。

そして、握りしめた拳でカルムの顔面をぶち抜いた。

 

 

 

これで少しは反省してくれれば……いや、無理だろうなぁ。

望み薄の期待をしながら、私はマイハウスのドアを閉めた。

 

 

 





実に3ヶ月ぶりでした。
彼らにしばらく我慢させてしまい、申し訳なく思っています。
ただ、残念なことに更新頻度が上がるというわけではないと思うのでご了承ください。
ですが、今回のように3ヶ月空けるようなことはできるだけ避けていきたい所存です。

感想など気軽にどうぞ。お待ちしてます。

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