アカム武器なめんな。   作:糸遊

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のんびり更新です。




第11話 物理がダメならフルバーストでいいじゃない。

 

 

「ククク……!」

 

 

 ………一体今度は何だ。

 戦いの最中だというのに急に笑い出した。それもいつものようなクソうるさい大笑いではなく、何か悲願を達成した時の悪者のような感じで。

 

 

「クックック……!」

 

 

 猛烈に突っ込みたい衝動に駆られるけど、今は我慢。

 目の前ではグラビモスがダウン中。ラッシュをかけてこのまま一気に終わらせたいところ。

 

 

「クックック……!イャンクック……!」

「だあああああ!なんなのよそのクソ寒いギャグは!?もう黙りなさい!この後に宝纏2体が控えてるんでしょうが!?」

 

 

 あぁうん、ダメだ。もうツッコまずにはいられなかった。すぐにアホに向かって砲撃をぶっ放す。

 忌々しいことに、アホはそれをイナした。なんて反射神経してんのよ…。

 

 

「フハハハハッ!!俺は今、最高に機嫌がいいのだァ!!」

 

 

 私の砲撃をイナしたカルムはすぐさまグラビモスへと攻撃。

 クイックリロードから叩きつけ。そして、凄まじい威力の爆風がグラビモスを襲った。

 頭部の甲殻が弾け飛び、グラビモスは動かなくなる。

 

 アイツが今回担いでいるのはアカムガンランス。たしか砲撃タイプは通常型Lv5だから、フルバーストの威力は眼を見張るものがあるけど……最後を持っていかれたのは少々癪だ。

 

 

「あっ…終わった…。

 ……で?どうしてアンタはそんなに機嫌がいいのよ?」

「フッフッフッ…聞きたいかね?

 いいだろう、本来なら高級お食事券3枚で手を打つところだが俺とお前の仲だ。タダで教えて…

「ああ、じゃあ別にいいわ。どうせロクなことでもないでしょうし…」

「あっ、ごめんなさい。聞いてくれたら嬉しいです」

 

 

 最初から言いなさいよ…。

 

 

「……で?何があったのよ?」

「フハハハハ!聞いて驚け!なんとだな…。

 

 作者がメインで書いていた作品が遂に完結したのd

「ごめん、ちょっと待って」

 

 

 待て待て。確かに前回は私もメタいことを喋ったけれど、今回もそんなノリか?

 流石に勘弁願いたい。そういう発言してると、この作品の趣旨であるアカム武器が二の次になってしまうことをコイツは理解しているのだろうか。

 

 

「長かった……!

 感想の数とかだとこっちの方が上だし、アカム武器とか10種類しかないんだからパパッと書いて終わらせろよとか思ってたけど、遂にこの話も終わりが見えて

「待って!ホント待って!」

 

 

 ヤバい、このままだと収拾つかなくなる。

 

 確かにこっちの方の更新に力が入るようになるのは嬉しいけれども、それをこうも露骨にアピールするのはいかがなものだろう?

 

 どうすればこの暴走を止められる……!?

 

 

「活動報告見たか?

 俺とウルスって、あの冴えない操虫棍使いよりハンターとしての力量は上っぽいぞ?

 いやぁ〜アカム武器みたいなキワモノ使いがそんないい身分についていいもんだろうk

「お願い!ちょっと黙れ!」

 

 

 ヤバいヤバいヤバい…!どうする!?

 一体どうやってコイツを止めれば…!?

 

 

 なんて私が焦っていると……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 高笑いしているカルムを、宝纏が転がり攻撃で吹き飛ばしていった。

 正直ビックリした。だっていきなり来るんだもの。反応ができなかった。

 

 

「ぶれぁぁああ!?

 おいゴラァ!?てめぇ俺が話してる途中だろうがよォ!

 おーし、わかった。 てめーもアカム銃槍のフルバーストで燃え尽きやがれゴラァァ!!」

 

 

 咆哮をあげる宝纏に向かって啖呵を切るカルム。転がり攻撃を喰らったのなんてなんのその。元気いっぱいに宝纏へと突っ込んでいった。

 うん、なんとか乗り切った。

 メタい話は対応に困るので、正直勘弁して欲しいのだ。

 

 

「あっふぅ……。ウルスさぁん!? 睡眠ガスを喰らいそうだから助けて欲しいな〜〜!?なんて思って、ぶふっ…」

 

 

 おっと、いつのまにか突っ立ってしまってたみたい。 カルムが私に助けを求めてきた。

 どうやら睡眠ガスを喰らったようで地面に突っ伏している。

 

 

「っと、ぼんやりしてる場合じゃないわね…。私だって戦わないと…」

 

 

 突っ伏しているカルムへ駆け寄って抜刀。

 私が担いでいるのは、『ウィルギガンキャノン』

 矛砕の素材を使った、凄まじい物理火力と高い砲撃性能を両立させた逸品。ただ、アイツの武器程ではないけど斬れ味には少々難があるガンランス。

 即座に砲撃へ繋げ、カルムを吹っ飛ばす。少々手荒だけど…まぁ丁度いいだろう。

 

 

「おふっ……ナイスゥゥ!!」

 

 

 ほら、やっぱりこれくらいで丁度いい。

 宝纏は頭を大きく振り上げる。そこへ私はバックステップで近づく。

 宝纏はそのまま顎を地面に叩きつける。発生する振動をクイックリロードのガードポイントでガード。そして叩きつけ、フルバーストへと繋げる。

 

 狙うは前脚。

 クソ肉質と名高い宝纏の中では比較的柔らかい部位。そこへ斬撃を叩き込む。

 続けて、銃槍から青い爆炎が迸った。

 

 カルムも通常型Lv5のガンランスだけど、こっちだって通常型Lv5。ブレイヴフルバーストの威力なら負けてない。

 凄まじい勢いの爆炎を浴びた宝纏は堪らず怯んだ。

 

 

「怯んだなクソ肉質野郎!

 見てな!今からブレイヴフルバからのブレイヴ竜撃砲をかましてやるぜいくぜいくぜおおぉぉぉおおあああああああFOOOOOOOO!!!」

 

 

 …………宝纏を挟んだ向こう側では謎テンションのアホが爆炎の爆ぜる中で絶叫していた。

 以前も似たようなことがあったのだけど、聞いたところによると

『アカム武器のロマン×ガンランスのロマン』

 が成せる御業らしい。まぁ野郎の考えることはよくわからない。

 

 と、まぁそんなこんなでチクチクバンバンしていたら宝纏は5分もしないうちに脚を引きずり始めた。なかなか順調だ。

 

 

「なんか随分あっさり終わりそうだな。

 もうちょい歯応えあるもんだと思ってたけど…」

「別にいいでしょ。 早く終わって悪いことなんてないわ? 宝纏と延々と戦うなんてごめんだし…地底火山の地形はストレス溜まるし…」

「まぁそんなもんか!うし、ちゃっちゃと終わらせよう!」

 

 

 カルムの一言と同時に、アカム銃槍の放熱板が格納された。

 ……うん、これは宝纏が寝てるところに龍撃砲ぶっぱフィニッシュだろうなぁ。

 

 ものすごくワクワクした顔をしながら走るカルムを見ながら、そんなことを思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、聞いた? ルファールのパーティ、なんかギルドの方から推薦かなんか来たみたいよ?なんか…新しい大陸の調査?みたいな…」

「ふーん。どうでもいいや。アカムトルムがいないなら行きたくもないな」

 

 

 なんだ……反応悪いなぁ……。

 ちょっとくらいアカム以外のことに耳を傾けたっていいだろうに…。

 達人ビールをちょびちょびと飲みながらそんなことを考える。

 

 

「……そういえば、最近アカムトルムの依頼とかないわね」

「そうなんだよ!そろそろ戦いたくてウズウズしてんのにサッパリ出てこねぇ!

 もう宝纏とグラビモスはウンザリだ!」

 

 

 たしかに宝纏にはウンザリしてきている。

 肉質もクソだし、地形もクソだし…。

 あんまり戦いたくないのだけれど、酒場のマスターはどうも私達に宝纏のクエストばかり回してきている気がする…。正直やめて欲しいなぁ。

 

 なんてことを思っていた時だった。

 

 

「ハローお二人さん。宝纏2頭とグラビモスの狩猟お見事だったわ、お疲れ様。

 これは私からの奢りよ?」

 

 

 宝纏のクエストを出してくる元凶、酒場のマスターが登場。その手にはサイコロミートらしき、いい匂いを漂わせるステーキの皿があった。

 

 

「肉!マジですか!?それじゃあいただくぜ!」

「ふふっ、遠慮なく食べて?

 

 で、食べながらでいいのだけれど、何個か話したいことがあってね…。

 ウルスちゃん、聞いてくれるかしら?」

「えっ、あ、はい」

 

 

 私もお肉欲しかった……。

 まぁしょうがない。ちょっと重要そうな話だし…。

 

 

「ウルスちゃんなら、彼女達…。『英雄』パーティが新大陸に行くことになったって知ってるでしょ?」

「えぇ、ルファールから聞きました。

 それがどうかしたんですか?」

「それに、貴方達2人はどうかしら?って思ってるんだけど…」

 

 

 ………推薦、か。

 新大陸ってことは、今まで見たことのないモンスターもいるんだろう。

 それらを相手取れるようになるなら、ハンターとして是非とも受けたい話だ。

 

 

 ………だけど。

 

 

 私は、此方の話になんて全く耳を貸さずに夢中で肉を頬張っているカルムを見た。

 

 

「ルファールから聞いたんですよ。

 聞いたところによると、新大陸の方ではアイツの好きな相手……『覇竜』は確認されてないんですよね?

 そうなら、アイツは行かないっていうと思います。 で、そうなったら私もその話はお断りさせてもらおうかな…なんて思ってます」

 

 

 私はハッキリと酒場のマスターに言った。

 

 なんだかんだで私はまだアイツと組んでいたい。

 正直うるさいし大変な時もあるけれど、それ以上に楽しいから。

 

 だからハッキリ言った。

 

 

 マスターはそれを聞くと…微笑んだ。

 

 

「そう……。まぁ、なんとなく予想はしてたわ。

 あまり期待しないで聞いたものだから、気にしないで?貴方達は2人がお似合いだものね」

「お、お似合いって……」

「ええ、とってもお似合いよ?」

 

 

 思わず顔を伏せてしまう。カルムに聞かれたり見られてないのが幸いだ。

 

 

「それじゃ、このことについては終わりにしましょう。

 で、もう一つ相談……というか、依頼があるのだけれどね…?」

 

 

 マスターは少し深刻そうな顔に。

 こんなマスターの顔を見る機会はなかなかない気がする。そんなに厄介な依頼なのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「溶岩島にちょっと手のかかるアカムトルムが現れたのよ…」

 

 

 

 

 

 




用語解説

・『英雄』
この世界でも有名な、めちゃんこ強いパーティ。
男1に女5というアンバランスなパーティだそうです。
女性に囲まれて、男は羨ましそうですね。

・ルファール(人名)
カルムさん、ウルスさんの知り合いで、英雄パーティの一員。
めちゃんこ強いです。


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