アカム武器なめんな。   作:糸遊

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お久しぶりです。




昔話~1~

「しかし何度見ても…奴が住んでいるにしては、随分と質素な作りに思えてしまうのぉ。らしいといえばそれまでなのじゃが…」

 

 村のはずれに位置する場所に建っている、何の変哲もない質素な家。その玄関先に佇む竜人族の老人が言葉を落とす。

 この老人、かつては伝説的な活躍をしたハンターであり、彼がモンスターを狩ることを生業としたことが現在のハンター業の始まりと言われている。つまり、この老人はハンター業の祖といった存在だ。

 ハンター業を引退してからは、後世のハンター達の拠り所を作りたいと考えこのココット村を興した。村人たちの協力もあり、今ではアイルーが営むキッチンやハンター業に役立つ資源を育てる農場、ハンターズギルドが管理・運営する集会所もある。新世代の狩人を養成する訓練所も設置され、見事にハンターが集う村としての役割を果たしている。

 

 そんなココット村の村長を務めているこの老人だが、今日はある理由からこの家を訪れていた。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「おぅ、お邪魔するぞぃ」

 

 

 既に家主とは旧知の仲である。村長は家の中へ躊躇なく足を踏み入れた。中には衣類を畳んでいる最中の麗しい女性が一人だけ。村長に気づき、口を開いた。

 

 

「あら、珍しい。ちょっと待ってて、今お茶でも…」

「いや、手短に済ませるから気にせんでいい。旦那はどうしておる?」

「ん~、寝てる…かな?寝てたら村長からもビシーッと言ってやってください、もうすぐお昼だぞーって」

「相変わらずだの…」

 

 

 軽く言葉を交わしながら、部屋を見渡す村長。そして溜息を吐いた。

 

 

「やはり、この勲章は凄まじいの…。何度見ても圧倒されるわい」

「そうですか?そろそろ慣れるころだと思ったけど」

「あれが2つ並んでいるなんぞ、いつまで経っても慣れまいよ」

 

 

 ハンターの祖であるからこそ、かつて『英雄』と謳われた村長だからこそ、気づくことの出来る勲章がそこにはある。

 

 『天地狩猟ノ覇紋』

 

 並ぶものが無いほどの高みに到達した狩人のみに贈られるという、黒い龍の彫刻が施された勲章。この広い世界を見渡してみても、この勲章を得た狩人は10人にさえ満たない。下手をしたら、5人いるかすらも怪しい。

 そんな勲章が一か所に2つ並んでいる。ハンターの世界を深く知っている村長だからこそ、この光景にはいつまで経っても慣れることは出来ない。

 

 

「さて…ちょいと話をつけてくる。オヌシには関係のない話…というわけではないのだが、くるかの?」

「いえ、ひとまずウチのに言ってみてください。結局彼次第ですかね~」

「旦那次第か…。夫婦仲はどうなのだ?」

「まぁぼちぼち楽しんでますね。時々ちょっとした喧嘩とかありますけど…」

「それくらいで丁度良い。いまのオヌシはいい表情をしているからの」

「あら、嬉しいこと言ってくれますね」

 

 

 少し言葉を交えた後、村長は本題に入る。

 

 

 

「では話をつけてくる。なに、家庭の時間を奪うような頼みではないからの」

 

 

 

 女性が畳んでいる子供用の衣服を目に入れつつ、言葉を落とす。旦那が寝ているであろう家の二階へ、足を運ぶ村長だった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「この部屋にしても、相変わらずとんでもない…」

 

 

 先ほどに続いて、またしても溜息を吐きながら村長は部屋を見渡す。目に入ってくるのは数々の武具であった。

 角竜系のモンスターの角を削り出して作られたのであろう大剣。砂漠に棲息する牙獣素材を用いたらしいハンマー。山の如き巨大龍の素材を使ったと思しきヘビィボウガンや弓。素材の主だったモンスターの、怒髪天を衝く怒りが伝わってくるような金色の鎧。

 中には目を逸らしたくなるほどに禍々しい雰囲気を醸し出す、暗黒や深紅、純白色の武具もあった。

 

 村長はこの場にいるだけで緊張する。だというのに、そんな中で呑気に寝息を立てる男がいた。

 

 

「おい、ツジ。用があって邪魔しておるぞ」

 

 

 寝息を立てる男に声をかける村長。決して大きくはない声であったが、その一声で男は目を覚ました。

 

 

「んぁ…、えっ、村長じゃないですか。こんな朝早くにどうしたんです?」

「なにが朝早くか…昼まで起きてこないとオヌシの女房が小言をこぼしておるわい」

「あ~もうそんな時間か…。まぁ勘弁してください。ハハ…」

 

 

 寝ぼけ眼で喋るツジを横目に見る村長。黒髪もボサボサの状態で、威厳なんてものは微塵も感じられない。だが、この部屋に置かれている屈強な武具は全てこの男が自らの力で作成したものだ。

 つまり、このツジという男も、あの『天地狩猟ノ覇紋』を受け取るに相応しい実力を備えたハンターということになる。しかし、目の前にあるどこか力の抜ける光景から、そんなことが想像できるはずもない。

 

 

「さて、クレールは飯作ってくれてるかな。村長は朝飯…というか昼飯どうします?俺は今から食べますけど」

「話があるといっておろうに…。まぁいい、頂くことにするかのぅ」

「自分で言うのもなんですけど、アイツの料理はかなり美味いんでご堪能あれ。なんつって」

「どの口が言えたものか…」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「で、話ってなんです?シュレイドで何か動きがあったりしましたか?」

「安易にその言葉を口にするな…。安心せい、モンスター相手にどうこうしてほしいという話ではないからの」

 

 

 昼食を終え、ツジの自宅の庭で話を始めた二人。周りには人気もなく、ツジが口にした言葉を耳に入れることが出来る人物もいるはずがなかった。

 

 

「話…というよりは頼みじゃな。ツジに…いや、オヌシら夫婦に預けたい者達がおっての」

「預ける…?えっ、養子的な?いや、勘弁したいっす。息子のセフィで手一杯なんで」

「違う違う」

 

 

 若干焦った様子のツジに村長が続ける。

 

 

「預けたいのは、ハンター見習いの少年少女達なのだ。三人がすでにこの村に滞在しておる」

「いや…そういうのは訓練所の仕事でしょ。面倒なんですけど…」

「最後まで話を聞け」

 

 

 面倒な様子を見せるツジに、村長はまだ言葉を続ける。

 

 

「その三人なのだが…凄まじい逸材なのだ。正直、訓練所の教官の手には余る程でな…。訓練過程で相手にできるモンスターどころか、ちょっとした飛竜程度なら相手にならんらしい」

「ほうほう」

「そこで、白羽の矢が立ったのがオヌシ達だ。なに、長期間家を空けろ等といった話ではない。オヌシ達の息子に対しても申し訳ないしの。ただ、次世代の狩人育成の為に少しばかり協力してほしい。儂の顔に免じて、承諾してもらえないだろうか?

 

 

 ツジは黙り込み、少しばかり考えた。本当に少しばかりだった。

 

 

「わかりました。ただ、その金の卵達と会ってみないことには始まらないです。今からそいつ等と会うことってできますかね?」

 

 

 ほぼ即答といえる返事に、村長はニヤリと笑った。

 

 

「オヌシならそういうと思っていた。安心せい、その者達ならすぐ近くに待機させておるよ」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「で、あそこで息子と戯れてるのがそうなんですかね?」

「う、うむ。オヌシの息子もなかなかの器量がありそうだの…」

 

 

 

 ハンター見習い達が待機している場所へやってきたツジと村長の目に入ってきたのは、追いかけっこをしている少年少女達の姿だった。

 追いかけっこといってもなかなか異様な光景であり、四つん這いになって獣のようにそこいらを駆け回る少年。その背中に特に幼い男児が乗っていた。そして、それから逃げる二人の少女。なかなかのインパクトだった。

 

 

「あっ、とーさん!みてみてー!ケルビごっこしてるんだー!ひとをあごでうごかすのってたのしいんだね!」

「おー、それはいいな。その年にして人の上に立つ悦びを知ってしまったか息子よ。お前は将来有望だ」

 

 

 父親と嬉しそうにお喋りをする男児。その横では三人の少年少女達がぜぇぜぇと息をあげていた。

 

 

「「な、なんなんだこのクソガキ…」」

 

 

 黒髪の少年と銀髪の少女が口を揃えて呟く。瞬間、ツジはその二人の頭を儂掴みにした。

 

 

「おい、お前ら。人様の可愛い息子に向かってクソガキ呼ばわりはあんまりじゃないか?よーし、セフィ。この兄ちゃんはお前から見てどうだった?」

「うーん。かんがえることができないおばかってかんじ!」

 

 

 屈託ない笑顔で容赦のない言葉を放つセフィ君。それを聞いた少年はカンカンに起こり叫んだ。

 

 

「いで、いでで…。ふっ、ふざけんじゃねー!お前がケルビごっこしたいとかいうからつきあってやったんじゃねーか!そしたら、そのステップはケルビじゃないだの抜かしやがって!」

 

 それに続けて銀髪の少女も叫ぶ。

 

「そうだそうだ!挙句の果てに『今からキリンね』とかいって私達に攻撃を始めたじゃないか!」

「あっ、このおねえちゃんはざんねんなひとってかんじだったよ。おかあさんがよくいってる『けっこんできないおんな』ってかんじー。おっぱいおおきいけど、あせくさかったし…」

「はああああああ!?おぼえてろよ!?このクソガキ!」

 

 

 ギャーギャーと騒ぐ少年少女の頭を掴みながら、二人を観察するような目で見るツジ。そして、すぐに頭から手を離した。

 

 

「「あ…ありがとうございます?」」

「よし。こんなもんだろ。しっかりお礼を言えるのは偉いぞ君たち。

それじゃあセフィ、俺はこの未来ある若者たちと話をしていくから村長と家に帰ってなさい。いいね?」

「はーい!」

 

 

 父親からの指示をまぶしい笑顔で返すセフィ君。

 

 

「そんじゃ村長。この件は前向きに検討するんでセフィお願いします」

「うむ、期待しておるぞ」

 

 

 軽くやり取りをした後、二人は自宅へと戻っていった。

 

 

 

「うし…じゃあ自己紹介といこうか」

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 自己紹介つっても…とりあえず自分からか。

 

 

「ではまず俺からいこう。俺の名前はツジ。今はあんまり活動してないけどハンターだ。ハンターとして、お前たちにハンターとしての力を養わせるくらいの力はあると思ってる。あと、結婚もしている。そこの少女達には悪いが、先生と生徒の禁断の恋なんて展開はありえないと思っておいてくれ」

「「そんなもんあるか!」」

 

 少女二人が鋭く返す。うん、元気がよさそうで何よりだ。

 

「まあ今のは冗談だ。というかそんなことあったら嫁に消されるからな。

では、次に君たちから自己紹介をしてもらおう。とりあえず名前だけで構わない。ではそちらのケルビボーイから順にいくか」

「誰がケルビボーイじゃ!」

 

 

 いやぁ、若いっていいね。元気と気力に満ち溢れている。

 

 

「ったく…。俺の名前はカルムだ!いずれ世界中のモンスターを制する男だからな!覚えとけ!」

 

 

 いいね、それくらいの気概があるなら教えがいもあるってもんだ。よし、次。

 

 

「私はルファール。強くなれると教えられてここに来た。さっきのはまだ若干根に持ってるけど…。まぁよろしく頼む」

 

 

 うん、よろしくね。俺の指導があればその期待には応えられると思うから。はい、ラスト。

 

 

「えっと、ウルスと言います。ちょっと二人の影に隠れがちだけど…精一杯頑張るのでよろしくお願いします」

 

 

 この子が一番常識ありそうだなぁ。三人ともキャラが濃いと大変だし、これはありがたい。

 

 

「よーし。それじゃあ、本格的な指導は明日以降にする。いきなりで悪いがそれくらいは我慢してくれ。

 

 自分で言うのもなんだが、俺の指導はかなり風変わりだ。まるで()()()()()()()()()()ように感じてしまうかもしれない。

 だから三人には今までの常識を捨てて臨んでもらいたい。君たちのハンターライフの糧になることは保証するよ。

 それでは…カルム!ルファール!ウルス!明日からよろしくな」

「「「よろしくお願いします!!」」」

 

 

 

 うん、いい返事。いやぁ、この3人にはかなり期待できる。

 

 思いがけない出来事だったけど、これから楽しくなりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





リハビリがてら、過去編です。
いろいろ書きたいこともあるので昔話で書いていけたらと思います。
時間軸的にはMHP2Gの後くらいです。武器とか懐かしいですね。




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