アカム武器なめんな。 作:糸遊
進行に支障をきたすことはないですが、報告です。
それでは本編どうぞ。
「ハイハイハイハイハイハイハイハイ、ハイッ!」
「やかましい!斬りつける度にハイハイ言ってんじゃないわよ!」
「えぇっ!? みんな言わない!? なんかそっちの方が…アレじゃん、アレだって。」
アレが何なのかは知らないけれど、斬りつける度にハイハイ言うのは双剣使ってる時だとうるさすぎる。もっと静かにできないのだろうか。
「よっしゃ。 オラオラオラオラオラオラオラオラ、オラァ!」
「このアホは…もう…。」
コイツとクエストに出ると、私はいつも頭を抱えてる気がする。 アレなの? コイツの頭はもうどうにもならないの?
「おっ!ダウンゲットォ! おい、ウルス!チャンスなのに何ボサッとしてるんだ!」
そんなことを考えてたら、あのアホがガムートからダウンを奪ったみたい。 むむ…、案外やるじゃない…。
「はいはい…。今行くわよ…。」
私はダウンをしてもがいているガムートへ向かって駆け出した。
早い所ガムートを終わらせて、ベリオロスの狩猟にも向かわないとね。
「それにしても…無属性双剣ってどうなのよ…。」
ガムートを倒し終わった私は、カルムにそう尋ねる。
今回コイツが担いでいるのは『覇尖爪イクセアムカム』。 双剣というカテゴリーで無属性、切れ味悪いのデメリットはかなりの物だと思うのだけど…。
「ん? まぁ悪くはないんじゃないか? なんか工房のオッチャンが言ってたけど、『鬼人化してれば斬り方補正が〜』とかなんとかで切れ味黄色でもなんか弱くないらしいぞ。俺にはよくわからん!」
き、斬り方補正…? なんだろうそれは…。
武器のプロフェッショナルはやっぱりいろんなことを知ってるなぁ…。
「ふ〜ん…。でもさぁ、同じ無属性双剣でも鎧裂双剣の方が切れ味もいいし使いやすいんじゃ…。」
「はい静かに。手数武器使ってる前で鎧裂の名前を出すんじゃねぇ。頼むから、お願いだから…。」
あっ…。 なんか泣きそうだ…。 やっぱりアカム武器の特徴がマッチしない武器種ってあるよね。
「うわぁぁぁああん! 俺だってどうにかしてコイツを強くさせてやりたいよぉぉぉぉおお!
だけどぉ!ドヤツザキとかいう目の上のたんこぶがどうにもならないんだよぉぉぉおお!」
うわぁ…なんか泣き出したわ…。めんどくさいなぁ…。
「大体なんでアカム片手剣は開発されたのにアカムハンマーは出てこないんだ!武器工房なんとかしろやぁ!」
あ〜、確かにアカムハンマーとか出たら案外使えそうだ。
大剣が結構強いんだから、ハンマーもなかなかの強さになりそう…。いや、それでも何とも言えないような…。
「……まぁ、モンスターを倒せないってわけじゃないからいいんじゃない? 別に1番優れた武器で来い、って強制してるわけじゃないんだしさ。」
「……どうしたよ。 今日はなんだか尖ってないな?」
カルムが訝しげに聞き返してきた。 ……何よ、いつもの私は尖っているというのだろうか?
「いや、アンタはよくアカム武器を使い続けれるなぁって思ってさ…。 私、ウカム武器が好きで一時期使ってたんだけどさ。あまりの扱い難さに放り投げちゃったんだよね。」
私の脳裏に苦い思い出が蘇る。 以前は私だってコイツと同じようにお気に入りの武器を使っていた。 だってその武器が好きだったから。
白き神の力を宿すという武器。 その肩書きに心を惹かれて使っていた時期もあった。
けれど、そんな武器を使っているハンターは少ない。 あの頃は私だけだったのかもしれない。
「なんでそんなナマクラ武器使ってるんだ、って言われちゃった。 その言葉を言われてから、もうなんか嫌になってウカム武器は放り投げちゃったわ。 今ではボックスの奥で眠ってる。
だから、アンタは凄いなぁって思っただけよ。」
「ほ〜ん。お前にもそんな時期があったんだなぁ〜。なんかいっつも王道の武器使ってるイメージあったけど…。」
まぁそうでしょうね。 普段からコイツのアカム武器に文句を垂れてるハンターが、似たような武器を使ってたとは思わないでしょう。
「でも……、勿体ねぇなぁ…。」
………勿体ない?
「………どういう意味よ?」
「いや、お前って相当強いハンターじゃんか。
そんなハンターが愛用してる武器が一癖も二癖もあるウカム武器!とかだったらなんかロマン溢れてないか?
こう…、そんな武器を使いこなせるのか!って目で見られて尊敬されると思わない?」
「それに、俺だってただアカム武器を使ってるわけじゃない。アカム武器を使って、活躍してこそ意味があると思ってる。 それこそ、この武器をバカにした奴らを見返せるようにさ。
そんな思いで頑張ってたら、いつのまにか『覇王』なんて称号持ちさ。」
「だから、お前が好きな武器を手放したのは勿体ないなぁ…って思った。ただそれだけ。」
……このアホからこんな言葉をかけられるなんて思ってなかった。
脳裏に好きだった武器達が思い浮かぶ。私のお気に入りで、手入れも丁寧にしてた。 いつかこの武器で高みに辿り着けると思ってた頃を思い出した。
「………俺みたいなへっぽこハンターがアカム武器を使って頑張れてんだ。 今ならお前がどんな武器を使ったってバカにされやしないさ。」
……ああもう、自分でもよくわからない気持ちになってしまった。
「………とりあえず、アドバイスとして受け取っておくわ。」
そう返すと、カルムはいつものアホっぽい顔で笑った。
「おう!ハンターやるなら楽しんでナンボだろ!
ほれ、ベリオロス来たぞ! パパッと狩って打ち上げだ!」
「ちょっ、先走るな!」
ベリオロスに向かって突っ込んでいくアホの後を追って私は駆け出した。
……ウカム武器か。 久々にアイツらを使ってみるのもいいかもしれないかな?
カルムの後を追いながら、私はそんなことを思った。
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「G級個体の紅兜アオアシラ…。 これはあの2人位しか頼めないわね。」
腕の立つハンターが集まる、空飛ぶ集会酒場『ホーンズ』。
そこのマスターである女性が、流れてきたクエストの処理に追われていた。
「あら、噂をすれば…。丁度いいわ。」
そう呟くと、酒場の隅の一角に設置されたテーブルに近づいていった。
そして、そこに座っているウカムルXシリーズを身に纏った女性に話しかける。
「『雪姫』さん、ご機嫌いかがかしら?
ちょっと受けてもらいたいクエストがあるのだけれど…。」
「はいはい…。どうせ、獰猛化モンスターか二つ名なんですよね? 1人だとキツイのであのアホ呼んできますよ…。」
「それなら話が早いわ。よろしく……。
あら?随分と珍しい武器を担いでるじゃない。」
酒場のマスターは、彼女が持っている武器をみて少し驚いた。
その白く巨大な武器は大剣というにはあまりに異質な形状。
切るというよりは、「叩く」「潰す」「削り取る」ことに適したような形をしていた。
「ああ、これですか? 久し振りに使ってみようかなって…。
私、この武器好きなんですよ。」
「フフッ、素敵な武器じゃない。 それなら今回も簡単にクリアできそうね。」
そう言葉を送ると、彼女は笑った。
そして、いつもの相棒を呼びに歩いていった。
「あの様子なら、今回も大丈夫ね。
本当に頼もしい2人だわ…。」
どこか晴れやかな笑顔を見せていた彼女の背中を見ながら、酒場のマスターは言葉を落とした。
好きな武器を使うのは楽しいです。
ですが、ただ『好きだから使う』…ではなく、『好きだから強い使い方を見つけ出して使う』という人が増えてくれたらなぁ…なんて思ってます。
適当な装備でアカム武器なんて担いでオンラインに行った日には、蹴られても文句は言えません。 一癖ある武器だからこそ、専用のスキルを組んであげて使いこなす…、その必要があると思ってます。
この小説を読んで、そういったモンハンの楽しみ方をする人が増えてくれたら作者は幸せです。
さて、少しだけ用語解説を…。
・『斬り方補正』
名前の通り、『斬り方』によって発生する補正です。 『切れ味補正』ではないのでご注意を。
モンハンにおいて近接武器で攻撃する際には、攻撃の「振り始め」「中間」「振り終わり」の3種類のタイミングがあります。
このうち「振り始め」「振り終わり」には、切れ味を減算する補正がかかります。
シリーズによって異なりますが、この補正は元の0.3〜0.7倍という尋常じゃない程のダメージ減につながります。更に、切れ味も減算されるので弾かれやすくなるという踏んだり蹴ったりの仕様です。
ここまでダメージに影響があるならもっと話題になってもいいんじゃないか?と思われる方もいるかもしれませんが、まず話題には上がりません。
なぜかというと、この補正。
切れ味ゲージが緑色以上なら一切無視してしまえるという性質があるのです。
つまり、この補正に苦しめられるのは緑ゲージが少ないゲーム最序盤のみということになります。 上位以降なんてあって無いようなものですね。
ですが、アカム武器などで鈍器運用をする場合は注意しないといけません。
黄色ゲージで鈍器運用する場合、この斬り方補正をしっかり考えながら、攻撃をベストのタイミングで当てるという制約が加わります。
正直言って全く安定しないので、アカム武器を鈍器運用する際でも緑ゲージは維持した方がいいかと。
また、緑ゲージ以上なら補正を無視できると言いましたが、それ以外にも斬り方補正を無視できる方法があります。
例えば今回出したように、双剣の鬼人化中は斬り方補正を無視できます。 この性質を活かして、クロス時代にアカム双剣でタイムアタック記録を打ち出した猛者がいるとかなんとか…。
と、まぁこんなところです。
簡単にまとめると、鈍器運用する場合でも緑ゲージは維持した方がいいよってことですね。
感想など気軽にどうぞ。お待ちしてます。