アカム武器なめんな。 作:糸遊
以前出さないと言いましたが、やっぱりルファールさん出すことにしました。
それではどうぞ。
「えっ…?いい人が見つかった…?」
「ああ!ついに私の人生にも春が来たぞ!このまま寂しくハンター生活を1人で歩んでいくのかと思っていたけれど神は私を見捨てていなかった!」
龍識船の酒場で少し興奮気味にまくし立てる、知り合いである女性ハンター。
『英雄』と呼ばれるパーティの一員で、副リーダーさえ勤めているその女性の口から衝撃的な言葉が飛び出した。
「いや…、えぇ…? どんな人なのよ?」
正直、目の前にいるハンター…ルファールにいいお相手が見つかるとは思えなかった。
半年ほど前に、ベルナ村にある彼女のマイハウスにお邪魔した時にはあまりの酷さに頭を抱えた。その時には一応片付けてあげたけど、その後にもまた散らかしてしまってるんだろう。服とかをそこら辺にほっぽり出して半年くらい放置させてそうだ。
腕っぷしは生半可な男なら敵わず、生活はガサツそのもの。 そんな女性にくっつく物好きな男性がいるとは…。どんな人なんだろう。
「う〜んとな…。 怒り喰らうイビルジョーをソロで倒したと聞いてるな…。 あとは料理とかの家事全般ができちゃう! これは素晴らしすぎる!一目見た時にこの人しかいないと思ったさ!」
コ、コイツ…。 その人に自分が出来ないことを任せるつもりだ…。 女としてそれはどうなのだろうか?
ルファールの家事は悲惨の一言に尽きる。 キノコのパスタを作り、それをカルムが食べたら痺れてぶっ倒れたのは記憶に新しい。
……というか怒り喰らうイビルジョーをソロで? とんでもないハンターじゃないか…。
私やカルムだって出来なくは無いだろうけど、そんなハンターはそうそういるもんじゃ無い。
目の前にいるルファールやそのパーティのメンバー…。 いや、その中でも経験豊富な赤髪の子や黒髪の子ぐらいだろう。
「と、とんでもない人がいたもんだわね…。
………というかさ、そんな優良物件を他の人が黙って見ていたの?
たしか貴女のパーティのリーダーさんとかも、まだ若いとはいえ独り身よね?」
そうルファールに尋ねると彼女はピタッと身体を硬直させた。
………これは何かあるな。
「え…えっとだな……。
実は…その…レイリスとかクルルナとかとはもう出来てたんですよね…アハハ…。」
「………は? えっ? じゃあ…どうゆうことなのよ?」
「………だから……その。 彼女達の仲間に入れてもらいました……。」
………マジか。
「………なんなのよ、その話。 みんなその男に騙されてるんじゃない?」
「あっいや、それはないと思う。 むしろ彼が騙されているというか…。」
………んん? 男の方が騙されてる?
「いや…3人で彼の事を襲ったからさ…エヘヘ…。」
……とんでもない悪男に誑かされてるのかと思ったらそんなことはなかった。むしろその人は被害者だった。
女性3人に襲われると書けば野郎にとっては夢のようなのかもしれないけれどそれは相手が可憐な女性の場合。 今回は見た目は可憐だけれど、その中身は豪傑とも言える女性ハンター3人。 まるでイビルジョーのような女性3人に襲われるなんて悪夢以外の何物でもないだろう。
あれか、これが最近話題のイビル嬢か。
「……もう深くは聞かない。とりあえずその彼が無事な事を祈るわ…。」
「あっ。それについては大丈夫。 彼がヤバくなったら秘薬とかをぶち込んで無理やり起こしてるからな!」
………秘薬をそんなことに使うな。 それは精神的に大丈夫じゃないって。
「………ゲッ。なんで行き遅れ女がいるんだよ…。」
そんなしょうもない話をしていると後ろからいつもの声が。
そちらの方を向くと、案の定アカム武器を担いだカルムがいた。今日は太刀なのか。
「おい!行き遅れとはなんだ!私にはもういい人が見つかったんだ!二度とそんなことは言わないでもらいたいね!」
「んな!? お前に男だと!?
い、いや!そんなはずはねぇ! どうせ迷子になってそうな男の鳩尾に1発ぶち込んで無理矢理に迫ったとかそんな感じなんだろ!俺わかるからな!」
……このアホの頭でも大方正解なのが恐ろしい。
つまりルファールにはそれくらいしかいい人を見つける手段がないということに…いや、今は関係ない話か。
「はいはい、喧嘩はそこまで。 私達、これからライゼクスの狩猟があるから。」
「おっ!ライゼクスか! ついていってもいいか? ちょいとブレイヴ太刀でスパーンとカウンターをしたい気分でな!」
まぁ、こうなるだろうとは予想してた。 彼女は本当に戦闘狂だからなぁ…。
「残念でしたぁ〜!!今回のブレイヴ太刀は俺1人十分だ!二つ名カエル刀の出る幕なんざ無い……痛ったぁ!?」
ギャーギャーうるさいカルムの頭に拳骨を落とす私。
「うるさいわね…。2人より3人の方が楽に決まってるでしょうが。
それじゃあルファールも一緒にいくことにするわね。」
「やっぱりウルスは話がわかるなぁ!下克上の力を見せてやるぞ!」
というわけでライゼクスの狩猟へこの3人で行くことになりましたとさ。
「カエル刀になんざ絶対負けないからな……!」
カルムは未だにブツブツ言っている。うるさいわね…。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
遺跡平原のエリア7。
高低差の激しい断崖地帯となっている場所で、私たちはライゼクスと戦っていた。
「「アーッハッハッハ!これがブレイヴ太刀の力だぁッ!」」
………カルムのアホもうるさいけれど、ルファールもこれまたうるさいなぁ。
ブレイヴ太刀の何が彼らをあそこまでハイテンションにさせるのだろう。いや、確かにカウンターが楽しいのはわかるっちゃわかるけど…。
「おっしゃあ!ダウン! 見たかカエル刀め!これがアカム太刀の底力じゃあ!」
「うるさい!さっき尻尾をぶった切ったのは下克上だろう!」
ライゼクスの攻撃をバンバン捌きながらも軽い口喧嘩をする2人。 ちょっとやかましいけれど見てて楽しいかもしれない。
ライゼクスは尻尾を地面に突き刺して放電をする構え。 そこへ太刀の2人は素早く駆け寄った。
「「鏡花の構えぇぇ!」」
そして2人同時に狩技を発動。 辺りに綺麗な衝撃波の様なものが舞い散った。
ライゼクスはたまらず墜落。 2人は更に連撃を加える。
「おーいウルスー。 ぼーっとしてないで早い所終わらせようぜー。」
カルムにそう言われて、初めて自分がぼーっとしていたことに気づく。 いや、アンタ達が強すぎるからじゃないの…。
……まぁ私も一発くらいぶち込んでやらないとね。
私はダウンしているライゼクスの頭部へと駆け寄る。
そしてブレイヴ大剣特有の抜刀強溜めの構えを取る。 両手で握るのは、白く巨大で異質な形をした大剣。
その大剣を全力で振り下ろす。
「もう一丁……!」
そこから全身で大剣を捻るように引っ張りあげる。
そして、大剣を横薙ぎに渾身の力で振り抜いた。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
「ふうっ! いい狩りだった! まぁ…今回は引き分けとしておいてやるか。見せ場を作ったのは同じくらいだったしな。」
「ちょいと納得できないけど、まぁ今回はそうしておいてやるよ…。 次は絶対にギャフンと言わせてやるからな!」
無事にライゼクスの狩猟を終えた私達は、龍識船の酒場で一杯あげていた。
ルファールとカルムも機嫌がいいようで険悪なムードにもなってない。普段からずっとこうなら、面倒じゃないからいいんだけれど…。
「さてと……。それじゃあ私はベルナ村へ戻ることにするよ。 他のみんなもそろそろクエストを終わらせて帰ってきてる頃だろうしな。」
「ん?帰るのか。 それじゃあ俺もちょいと工房のオヤジさんのとこに行ってくるよ。 アカム武器運用の研究は日々続いてるんだぜ?」
「ほほう?言うじゃないか。 それじゃあ次に会う時を楽しみにしているよ。」
ルファールのその言葉を聞くとカルムはニヤリと笑い、そして工房の方へと歩いていった。
「さて…と。それじゃあ飛行船が出るから私も行くよ。是非今度はベルナ村に来てほしい。 ウルス達にも彼にあってほしいからな。」
「えぇ、気が向いたら行くことにするわ。 楽しみにしてる。」
私がそう言葉をかけるとルファールは笑い、そのまま飛行船の発着場へと歩いていった。
だけど、途中でなにかを思い出したような顔で帰ってきた。どうしたんだろう?
ルファールは私の傍へ来ると、耳元で囁いた。
「早い所、ウルスも自分の気持ちを伝えないとだな! がんばれよ!」
「…………ンなッ!?」
「ハッハッハ! それじゃあまたな!」
ルファールはそう言い、笑いながら去っていった。
………よくも最後に1発ぶち込んでくれたな?ベルナ村に行った時は覚えてなさいよ?
「…………自分の気持ちねぇ。 ……どーなるんだか。」
私の口からは思わず溜息が漏れた。
私がアイツに抱いている気持ちはよくわからない。好きなのか嫌いなのかもよくわかってない。
でも……一緒にクエストに出ている今の生活は悪くない。
とりあえず今はこのままやっていけたらいいのかな…?
酒場の真ん中で立ち止まった私は、1人そんなことを思った。
戦闘シーンが短いのは仕様です。ご了承ください。
アカム太刀は…どうでしょう。 使おうと思えば全然使えるんですが太刀には業物が多いので…。 ドヒキサキとかメルセゲルとか下克上とか…。
まぁそれでも自分はソロの時にちょくちょく使います。
なんで使うのかって? 愛とロマンだよ。
感想など気軽にどうぞ。お待ちしてます。