アカム武器なめんな。   作:糸遊

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第8話 物理がダメなら榴弾ビンでいいじゃない。

 

 

 

 

 

 

地底火山のエリア8。

灼熱の溶岩が流れるそのエリアで、2人の狩人と1匹の竜が戦いを繰り広げていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「俺なりのォォォ! エーリアールスタァーイル!!」

 

 

う、うざい…。

私は頭上から聞こえてくる声に我慢しながら、地道にグラビモスの脚を斬り続ける。

今回はアイツも私もチャージアックス。

アイツはいつも通りアカムの武器だけれど、私が使っているのは『角王盾斧ジオブロス』

圧倒的な物理攻撃力を誇り、切れ味もなかなかに鋭い。さらにその物理攻撃力から繰り出される榴弾ビンの威力は凄まじい、という銘品だ。実際、コレを愛用する狩人も多いみたい。

 

 

「おいコラグラビモスゥ! てめぇ、さっきはよくもマグマの中に引きこもりやがったな!? 一方的にグラビームぶっ放しやがって! お陰で覇壊斧の属性強化状態が切れちまったじゃねぇか!

ノコノコ陸に出てきた今、お前は覇壊斧の榴弾爆発の前に散るしかないのだぁ!

オラァ!とっとと爆発の前にひれ伏せ…あっ、ちょっ…ガスはやめっ…アッツゥ!? 」

 

 

………何をしているんだろうアイツは。

本当にクエスト途中の口数が多すぎる。最近のアイツなら、採取ツアーで時間切れになるまでずっと喋ってるとかしそうで少し恐ろしい。

 

 

「んにゃろう! 背中破壊されたお返しってか!? 俺はもうブチギレたからな!?

ォォォオレナァァリノォォォンヌゥゥエリゥァルストゥァァァイル!!」

 

 

………せめてちゃんとした言葉を喋ってほしい。何と言っているのだろう…ヌルヌルスタイル? 本当に訳がわからない。

 

 

「ナーッハッハッハ! 見ろ!この爆発の嵐をォ!」

 

 

…というか結構強いのがまた困る。アイツはひたすらにジャンプ高出力属性解放斬りを繰り出している。

榴弾ビンの爆破エネルギーがグラビモスの背中に蓄積され、爆発するのだけど…これが強い。 下手したらジオブロスを凌駕する威力の榴弾爆発なんじゃないだろうか? ともかく、あれほどの威力の榴弾ビンは見たことがなかった。

そのおかげでグラビモスはほぼ怯みっぱなし。 私もグラビモスの足下でひたすら攻撃を続けることができた。

 

 

「おーい、ウルス! 腹の部位破壊は終わりそうか!?」

「え? あ、ええ! 今終わるわ!」

 

 

いきなり声をかけられたので少しだけ驚いてしまったが、すぐに正気に戻る。

さっきも言ったけどグラビモスはかなりの頻度で怯んでいる。 そのおかげで私はグラビモスの腹部に攻撃を叩き込めた。 結果、腹部は部位破壊寸前。 肉質の柔らかい甲殻の内部が露出し始めていた。

 

 

「いち、にの……さんっ」

 

 

私は壊れかけの腹部の甲殻へ高出力属性解放斬りを放った。 攻撃は無事腹部にヒット。 遅れて、榴弾ビンの爆発がグラビモスの腹部を襲う。 そして、腹部の甲殻は見事に弾け飛んだ。 よし…破壊完了。

 

 

「カルム!破壊したわ!」

「ナイッスゥ〜! オラァ!クソ肉質野郎! イクセエムカムの必殺の一撃をその豆腐みてーな腹で食らいやがれやぁぁあ!!」

 

 

そう叫びながら、カルムはジャンプしながらの超高出力属性解放斬りをグラビモスの腹部に叩き込んだ。

凄まじい榴弾爆発の嵐がグラビモスの体で巻き起こり、その後グラビモスは動かなくなった。

ふぅ…あっさりおわったかな…。

 

 

「おっし!いっちょあがり!腹減った!帰る!」

「え…ちょ、待ちなさい!置いてくな!」

 

 

剝ぎ取りを恐ろしいほどの速さで終えたカルムは、よほど腹が減っていたのかすぐさまベースキャンプに走り出した。

 

 

「なんだよ〜、俺は腹が減ってるんだよ〜…。 奢ってもいいから早くしてくれよぉ〜…」

「あら?奢ってくれるの? 言質は頂いたわよ?」

「おう、最近景気がいいからな! メシの少しくらいかまわねぇさ!」

 

 

コイツが自分からメシに誘うなんて珍しいなぁ…。

まぁ悪い気はしないし、ありがたく頂くことにしよう。

 

そう考え、私達は少し急ぎでベースキャンプへ駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「え゛っ……?私に用事ですか?」

「えぇ、そうなの。 これから2人でお食事だというのに本当に申し訳ないわ…」

 

 

酒場に戻った途端、私は酒場のマスターに捕まってしまった…。

くそう、少しだけ楽しみにしてたのに…。

 

 

「あ〜…。じゃあ今回は無しだな…。 ちっくしょう、覇壊斧の魅力をたっぷり話してやろうと思ってたのにな…」

「カルムくんもごめんなさいね…。これだけはどうしても外せなくって…」

「じゃあ、俺は1人で食うことにするよ。 腹が減ってしょうがねえや」

 

 

カルムはそう言って立ち去っていった。

う〜ん、今回は私も少し残念だなぁ…。 最近忙しくて2人でクエストに出るのも久しぶりだというのに…。

 

 

「それで…マスター。急用ってなんですか?」

「えっ?……あぁ、それなんだけどね…?」

 

 

んん?なんか様子がおかしくないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「はい、ギガントミートお待たせしました」

「おう!ありがとな! しかし、受付のおっちゃんとこうしてのんびり話せるのも久しぶりだな!」

「えぇ、そうですね。ですが 『覇王』の肩書きを持つ程のカルムさんなら各地に引っ張りだこなのでしょうがない話ですよ」

「う〜ん…。そうやってチヤホヤされるのはそんなに好きじゃないんだけどなぁ…」

 

 

目の前に出されたギガントミートを頬張りながら、俺は酒場クエスト受付のおっちゃんとお喋りをする。

 

 

「そういえば今日はウルスさんとお食事の予定だったとか…。 残念でしたね」

「まぁしょうがないさ。 アイツだって一流のハンターなんだ。 急に嫌な依頼が入ったって何も不思議じゃないって」

「おや?まるで自分も経験したことがあるような言い草ですね」

「ハハッ、どうだかな」

 

 

うん、やっぱり受付のおっちゃん…ウェーナーさんは話してて楽しいな。 加工屋のおっちゃんに並ぶくらいだ。

 

 

「そういえば、なかなかの武器をお持ちですね。 アカムトルムのチャージアックスとは、強力な逸品だ…」

「おっ!? この武器の魅力がわかるのか!?」

「えぇ、それはもちろん。 うまく使いこなせれば相当な業物ということも知っていますよ?」

 

 

これは驚いたな…。

おっちゃんがアカム武器の魅力をわかってくれる人だとは思ってなかった。

よし…こうなったらカルムさん、アカム武器の魅力を余すことなく喋っちゃうぞ?

 

こうして、俺と受付のおっちゃんとのアカム武器談義は始まった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、カルムさんは本当にアカム武器が好きですね。 覇竜の武器…私も現役なら使ってみたいものです」

「おっちゃんは現役引退しちまってるのがもったいないなぁ〜。 おっと…もしかしてあんまり触れられたくない話だったか?」

「いえ、昔の話ですので…。

そういえばカルムさん。 最近『雪姫』の彼女さんとはどうなんですか? 相変わらず仲は良いみたいですが…」

「どうなんですって言われてもなぁ…」

 

 

おっちゃんから少し難しい質問をされてしまった。どうなんですってどういうことだよ…。こっちが聞きたいわ。

 

 

「まぁ楽しくやれてるんじゃないか? 最近アイツがいきなり慌てだしたりするけどさ。 ともかくアイツが楽しけりゃ俺はそれで構わないよ」

「ふむ…そうですか…」

 

 

な、なんなんだ…? いつもと様子が違う感じだぞ…?普段ならこんな質問はしてこない人だし…。

 

 

「こう…お付き合いしたいな〜なんて思ったりはしないんですか?」

「ブフッ…ゴッ…ゲハッ……」

 

 

そんなことを考えてたらおっちゃんから爆弾を落とされた。 飲み物噴き出しちまったじゃねーか。

 

 

「なななな…何を言いはじめるんだよ…」

「いや…お2人がなかなかお似合いだったもので。 この受付に立っていると、そういったことにも興味は湧いてくるものなのですよ。で、どうなんですか?」

 

 

お、おっちゃんの押しがすごい…。これは逃げられそうにないかもな…。

 

 

「アイツねぇ…。まぁ確かにべっぴんさんだよなぁ。アイツとお近づきになりたい!なんて野郎はそこいらじゅうに溢れてるんじゃないか?

……まぁきっとそん中にいい人がいるだろうよ」

「おや? カルムさんが雪姫…ウルスさんのことをどう思ってるか聞いたつもりですが…」

「お、俺? いやぁ…どうったってなぁ…」

 

 

一体今日のおっちゃんは何なんだ…。実は酔ってたりするんじゃないだろうな?

 

 

「いえ、別に酔ってなどいないですよ」

「読心術かよ…。 アイツをどう思ってるか、ねぇ…」

 

 

俺がウルスのことをどう思ってるか。 改めて考えるとなかなか難しいことに気づいた。

ぬぬぬ…これはどう答えるべきだ…?

 

 

「………まぁ、こんな俺とクエストだけでも付き合ってくれて感謝してるかな。普通なら俺みたいな奴は願い下げ、って奴らの方が多いからアイツみたいに存在がそばにいてくれるのはそれだけでありがたいよ」

「ふむふむ…やっぱり美人で綺麗な方がそばにいてくれるのは嬉しいものなのですね」

「なんかズレてないか…?」

 

 

相変わらずどこか様子のおかしいおっちゃんだけど、俺が足りない頭で考え抜いた結果を口に出してみた。 まぁ…ありのままを答えただけなんだけどさ。

 

 

「好きか嫌いかで言えばどちらですか?」

 

「な、なんだよその質問…。

 

 

……………アイツの事は……ま、まぁ…す、好きだよ」

 

「ふむ、ありがとうございます。いいデータが取れましたよ」

「アンタは一体なんのデータを集めてるんだ…。

……疲れたから俺もう帰っていいか?」

「おや、結構な時間を奪ってしまったみたいですね。ほんのお詫びですが、代金を割引して起きますよ」

「おっ、サンキュー! まぁ割引してくれるなら悪い時間じゃなかったかもな!

そんじゃおっちゃん! またメシ食いに来るからな!」

 

 

なんだか少し落ち着かない食事だったけれど、まぁ気分は悪くない。

メシを食ったから、あとはゆっくり休んで英気を養うことにしよう。

そう考えると、多少なりとも疲労の溜まっていた足も軽くなった。

俺は軽くなった足でマイハウスへの帰路を急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……………」

 

「……マスター、これは流石にあんまりな仕打ちなんでは…?」

「ふっ…ふふっ…あっはっは! 何よ!彼も案外ピュアな心の持ち主じゃない!

『アイツの事は好きだよ』ですって!ふふっ…あぁ可笑しい! 貴方達両想いじゃない!」

 

 

私は真っ赤な顔になりながら、酒場のマスターに散々イジられ、煽られていた。

急用だと聞いて着いてきたらこれだ…。 なんでアイツの本音をクエストカウンターの裏で聞かないといけないのだろうか…。

 

 

「これはもう貴女が勇気を出して突撃しちゃいなさいよ! 彼だってあんな感じなんだからきっと成功するわよ!」

「だーっ! マスターさんは黙っててください! これは私の問題なんです!」

「そういっていつまでも進展しないじゃないの…。せっかく助け舟を出してあげたんだからこの機会にアタックしてみたら?」

「ぬ、ぬぐぐ……」

 

 

なんで私がこんな恥ずかしい思いをしないといけないんだ…!?

 

 

「き、今日は帰ることにします! アイツにも変なこと教えないでくださいよ!?」

「あっ、ウルスさん少々お待ちを…。 荒れた心を沈めるのにはセレブリティーを飲むのが1番です。 お持ち帰り用をご用意させて頂こうと思ったんですがどうしますか?」

「いただきます!とっとと帰りたいので出来るだけ速くお願いします!」

 

 

ともかく、こういう時はマイハウスのベッドの中で丸くなるのが一番だ。

 

 

「はい、セレブリティーお待ちどうさまです」

「ありがとうございます! コラァ! マスターさんはいつまでも笑ってるんですか!?」

 

 

ちなみに、酒場のマスターは私が酒場から立ち去るまで笑い止むことはなかったみたい。

本当にやめてほしい。 恥ずか死してネコタクのお世話になってしまいそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………でも、

 

 

 

 

アイツが直接ではないにしろ、『好き』と言ってくれたのは嬉しかったかな?

 

 

 

 

 

 

 




おい、アカム武器要素がねーぞ。どーなってやがる。

集会酒場のマスターと受付さんの名前はそれぞれ『ラヴァンダ』『ウェーナー』のはずです。

アカムチャアクは普通に強武器だと思ってます。
実際、上手い方のプレイ動画でちょくちょくアカムチャアクを見かけることがあるくらいです。


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