特に理由のない転生が主人公を襲う! ###ただの自己満足小説。笑って切り捨ててください。

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性悪が調子に乗った結果

私は今、猛烈に後悔をしている。“後悔先立たず”とはよく言ったものである。先人よ、あなたは正しい。

 

さて、私が一体何に対して後悔しているか疑問に思う方もいるだろが、今から順に追っていくため、その疑問はすぐに解消される筈だ。

 

まず前提として、私は転生者である。そう、現代では馴染み深いであろう“神様転生”。私は神様には会わなかったがな。自分で殺しておいて特典つけて異世界に送ってあげる、なんてとんだ鬼畜ではないか。そんな輩と会った曉には私はそいつの顔面を人に見せられないようにするだろう。罰など知らん。…話が逸れてしまった。

 

次の点だが、私は元は女である。つまり今は男。転生者の更に上のステップ、TS転生者という事になる。幸い、私はそこまで取り乱しはしなかった。精々、皮下脂肪が薄いなくらいしか思わない。女性の身体は柔いのだ。

 

3つ目、顔は良いがほぼ身の着のまま森に放り出された。大変運のいい事にすぐに近くにいた者に保護されたが、もしあのまま森を彷徨っていたと思うとおぞましい。精神面は無事としても身体が持たない。私を送り込んだ奴は死ねばいいのに。

 

話を聞いているうちに気付いた方もいるだろうが、私はお世辞にも性格がいいとは言えない。捻くれているとも言うな。しかしこれは私の過去から成り立っていて、一朝一夕でどうにかなる物では無い。

 

どこまで話したものか…ああ、保護されたところまで話したな。私が保護された後、親切な事に服と食事を見繕ってくれた。ちなみに当の親切な人の名前はロイラ・ヒュークスという少女だった。他人に借りを作っている状態はとても気持ちが悪いため、早々に恩を返してしまおう。

 

そして、体調が万全に整ったらさっさと出て行った。彼女は引き留めたが振り切った。何も言わずにいるのは印象最悪なため、恩は返す、困った時はなんでもする、的なことを言い去った。私は物心ついた頃から猫被り良い子ちゃんなのだ。

 

その後私はこの世界の戸籍を得るために冒険者ギルドへ向かった。冒険者ギルドについてはあなた方が思っているものと概ね一致するだろう。相違点があれば追って説明する。

 

戸籍を得て、ランクを上げまくった私は『強く、高ランクの冒険者なのに鼻にかけず、周りの者に対して平等に優しい』という優等生になった。少し悪意を抑え、親切にしただけでこれだ。本当にチョロい。

 

 

 

ここまでは良かった。ここまでは計画通りだったのだ。だがしかし。

 

私は彼らのチョロさ具合を軽く見ていた。彼らは私を神聖視し始めたのだ。いや、それ自体はなんら問題はない。むしろ好都合ですらあった。

 

でも度が過ぎていたのだ…!

 

例を挙げよう。天気の良いある朝、私は内心陽射しの強さに舌打ちをしながら着替えをする___近くの窓で私の信者が覗いていた。最初に気付いた時は恐怖の叫び声をあげるところであった。私は猫を着ぐるみレベルで被っていたから叫ぶことはなかったが。

 

だが怖い。何でいるんだ、ここ3階だぞ。どうやって覗いている。

 

しかもその信者の顔に見覚えがあった。私に恩を売ったロイラ・ヒュークスである。

 

この世界に来て初めて会った人物な事に加え、本人の表情が恍惚の感情に染まっているのが恐怖に拍車を掛けた。もはや生命の危機を感じる。

 

もちろんこれだけではない。私の私有物がなくなる事が多々あった。ただの泥棒であれば捕まえてボコボコにする所だが、なくなるのは決まって金目ではないものと、私が普段使う回数の多いものだった。私は真っ先に頭のおかしい信者たちを疑った。当然である。

 

予想は当たっていた。犯人を特定しようと気配を辿って…まあ、色々したのだが、私はその先の光景で更に恐怖を覚える事となった。

 

物を盗んだ犯人は子供達で、盗ってきたものを見ると周りの人々は大層喜んだ。子供達もキャッキャと興奮していた。誰か咎めろ、喜ぶな。何が「よくやった、今日はご馳走だな」だの「ああ、御神体がお増えに…」だ。特に前者、何がご馳走なんだ? 私の所有物か? 食うのか?!

 

しかも気持ち悪いほどの感知能力でみな一斉で私が隠れている方を見てきた。泣くかと思った。

 

さっさと家に帰った後、私はとある決意をする。___この街から逃げようと。

 

逃げる事が恥ずかしくないのかと言われても別に恥ずかしくはない。むしろ小さなプライドの所為で命の灯火が消える方が馬鹿じゃないか。それに私にプライドなど無い。

 

善は急げと荷物を纏めて家から出ると、私は背後からの轟音に気付く。殺気では無い。敵意でも、ない。ならばこれは? 私は後ろを振り向いた。そして後悔する。

 

 

轟音の正体は大勢の私の信者達だった。頰が引き攣る。誰にも言っていないのに。なんなら今考えた事なのに、何故。

 

1人の信者が走りながら叫んだ。「ユウキ様、盗聴器で知りました! 何故この街から出て行くのです!」と。

 

盗聴器付けてんじゃねえよとか当たり前だろこんな街とはおさらばしてやるなどの思いはあったが、とりあえず私はこいつらから距離を取るために走った。このとき私の目は死んでいただろう。

 

早く逃げなければ。奴らのことだから私をこの街から出さないためだけに閉じ込めなり禁術なり使ってくることだろう。なんでこの街冒険者ギルドあるんだ。住人だけでモンスターなど容易に倒せるだろうに。

 

猫被りをもう少し緩くしておけば、こいつら怖い、恩など気にせず早々に街から出ておけば、逃げなければ、………この世界に来ていなければ。

 

次々に言葉が浮かんでは消えて行く。ここまで激しい感情を抱いたのは生まれて初めてかもしれない。

 

 

 

 

私は今、猛烈に後悔をしている。“後悔先立たず”とはよく言ったものである。先人よ、あなたは正しい。

 

そして、私をこの世界に送り込んだ奴は出てこい、ボコボコにしてやる。今すぐにだ! 永遠に苦しんで死んでしまえ!

 


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