赤色カンタービレ   作:蒼華

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後半になるにつれて残酷な描写が強くなるので、理解した上で読み進めてください。でも一番最後でシリアスになりきれませんでしたと明記します


私の独白

白状すると、以前の私は可もなく不可もなく、平均を極めているような人間だった。特別になにかに優れているというわけでもなければ、なにかが恐ろしいほど劣っているわけでもない、ある意味悪意を感じるほどの平均値を保持し続けた一般人女性ではあった。ただ一つ、普通ではなかったことは私の死因が殺人であったということだ。

 

なんてことない、何処にでもありそうな男女間の痴情のもつれ。愛していたからこそ、名も知らぬその女の悲哀と憎悪の矛先は、文字通り何も知らない私に向けられたのだ。当時大学生の私はシフト制のバイトをやり繰りしていて、事件はその帰りに起こる。

 

数日前から感じる視線と帰り道聞こえる背後の足音。最初は勘違いだろうと思っていたけれど、それが二日、三日、一週間と頻度が増していくにつれて自分が狙われていると確信せざるを得なかった。明日の朝に警察に届出を出そうとバイト先の先輩に話をしたその日、自宅前で待ち伏せをしていた女に突きとばされ、その直後に足を踏みつけられ、明確な殺意の色に染まった瞳で睨みつけられながら、首を絞めてきたのだ。

 

最初は何が起きたのかよくわからなかったけれど、唯一つわかったのは自分が殺されかけているという事実。逃げなければという焦燥感と、なぜ自分がこんな目に遭うのかという困惑が徐々に意識と共に薄れていく感触。耳に最期まで流れてきたのは怨嗟の呪いの羅列。

 

あなたに彼は渡さない、私から奪うなんて許さない、お前が憎い、お前が、お前の、お前のせい、認めない、許さない、なんで、どうして、お前が、お前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前が

 

そして私の生命活動は停止した。

 

今の私が予想するに、間接的とはいえ事件の引き金となったそもそもの諸悪の根源、元凶となった男というのはおそらくバイト先の先輩の事だろう。

 

顔がいい、性格もいい、まさに好青年と呼ばれるあの人の趣味はゲームにアニメと実はその手の趣味の人だった。どこからどこまでが範囲内だったのかまではわからないが時々私とゲームの話題でそれなりに盛り上がる程度の関係で、愛だ恋だとそんな甘い関係では無かったと言いきれる。

 

きのこたけのこ戦争もよく勃発したし源平(パイ)合戦もしたし、甘酸っぱく蕩けるような爽やかな青い春を謳歌していたというよりは、炭酸ジュース一気飲みをカッコよく感じる小学生男子のような関係だったのではなかろうか。少なくとも私はそういう風に感じていた。

 

それはもう過ぎ去りし日々の過去の話ではあるけれど、確かにそこにはあったのだ。

 




はじめまして、蒼華(あおか)です。
小説投稿は人生初のためわからないことが多くありますが、これからよろしくお願いします。
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