「いやあすまん!ついうっかり可愛いポケモンたんを見るとこうなってしまうんだよ!」
黙っていれば紳士的なロマンスグレーのおじさまもとい、ポケモンだいすきクラブの会長さんは恥ずかしげにそう話しながら紅茶を優雅に飲んでいた。時々その可愛らしく凛々しい目付きの見目麗しく可憐なピカチュウたんを触らせてほしいと視線を向けられるが、如何せんあの子が部屋の隅からまっっったく動かず時々頬袋からばちりと火花を放出して威嚇してくるので無言で首を横に振り「無理」としか言えなかった。
ちなみにボールの中身の皆様は絶対出すなオーラが出てるのでこっちも無理だ、すまんな。
何故かポケモンだいすきクラブの本拠地の客間で紅茶を飲みつつ、部屋の片隅で未だにガン飛ばす相棒を視界の隅に入れながら茶請けのクッキーをポリポリ食べ始めるレッド。本人は「(このクッキー美味いな……さては高いやつだな?)」とまあいいかと楽観視しながら居座っていた。
「まあワシのギャロップちゃんが世界で一番可愛いんじゃけどな!!是非もないな!!」
「は?」
会長のその言葉を聞くまでは。
(回想開始)
少しだけ時間を遡ろう
地下通路を走りつつ、途中トレーナーの財布をカツア……もといバトルによる正当報酬を巻き上げやってきましたクチバシティ。それにしても地下通路、アイテム結構落ちてるんですなとホクホクしてます私。ピカチュウは特性ものひろいあったっけ?と思いつつ何故か落ちてる『なんでもなおし』『むしよけスプレー』、それから『きんのたま』etc……いやいやいやいやいやいやいやいやおちてるの豪華すぎない?普通落ちてなくない?
えっ、私は落としてない?大丈夫?と鞄をがっつり両腕で抱きしめて地下通路を通り抜け、クチバシティに辿りついた時の感想はこちら。
「……磯臭い」
「ピィカァ……」
港町だからね、仕方ないねというのはわかるけどさぁ……砂浜がある海辺じゃなくて漁に出るとかそういう系の港町だから海水浴できないやつ。せつなみ。ピカチュウにいたっては森育ちという事もあり潮風がちょっと気になるらしく顔をブンブン時たま振り回している。
さて、どうしたものか……ん?
「ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ピカチュウたん可愛すぎてマジやばたんんんんんんんん」
目の前にやばい変態がいた(レッドは後に語る「出会うべくして出会った」のだと)(そしてくっそどうでもいい運命と出会ったと一部のトレーナーに言われることになる)
(中略)
無言でカップを置き、両肘を卓の上につき、両手の指を組み目線と同じ高さにする。これは俗にいうゲン〇ウポーズというやつである。そしてここに(ある意味どうでもよさげな)譲れない信念を貫く戦いの火蓋が切って落とされたのだ。
「~~~~が、~~~~~~だからこその至高であり~~であるのがやはり最高で……」
「甘いですよ、あえてここは~~~という風にしつつ~~~~~で、こう抑えるからこその素晴らしさがあり……」
「ぬぬぬ……しかし~~であるということは~~をおざなりにしてはおらんか?」
「普通に考えればそうかもしれませんが、逆説的に考えればすなわち~~する事で~~のよさを最大限に引き出すことが……」
そして双方が熱く硬い握手を交わすことになったのは出会ってから数時間後のことであり、相棒は「だめだこいつらなんとかしないと」と「無理だろうな」という顔でその論争の終結を見届けていた。ちなみにレッドは名誉会員の称号(と会員証)を手に入れると共に普段より数十倍酷使された喉元を気にしつつ、センターに宿泊予約をするべく足を進めた。
(回想終了)
その次の日ショップで買ったハッカ飴を口に突っ込みながらクチバジムに自生する、通り抜けるには邪魔な木をレッドはほんの少しだけ眉間に皺を寄せながら考え事をしていた。
「(これ、素手でいけそうな気がするんだよなあ)」
やっていいのかなあ、ストーリー的にいいのかなと悩みはしたが、でもこれ素手でいけるわ試しにやってみっかと軽い気持ちで腰を低くして重心を意識し、掌底を思い切り叩き込んでみた。
するとなんということでしょう。ヒビが入り、倒壊直前にまで体力ゲージの削られた木に軽く蹴りを入れると音を立てて倒れてしまった。
定番の脳内テロップが脳内を駆け巡る。
こうか は ばつぐん だ ! ▼
メンタルにもこうかはばつぐんだ!(白目)
マサラ人補正ならグリーンもできんのかなという現実逃避をしたくなった爽やかな朝のことである。
サントアンヌ号いかなくてよくない?
グリーンさんはできません(できません)