自分の日課、すなわち寝る前の感謝の正拳突きの成果を証明してくれた無惨な倒木という犠牲を踏み越え、クチバジムに入るとめちゃくちゃ眩しいライトアップの光がレッドの眼球を貫いた。眩しすぎて半分涙目になりながら瞼を押さえて思わず喉元にまでせり上がってきたあのジブリの名台詞を必死にこらえること数十秒、近くにいたジムトレーナーさんに声をかけた。「…………初見殺しですか?」と。
ちなみに正拳突きを始めたきっかけは勿論あの会長の出てくるハンターなハンターの漫画ではあるが、流石に最初は素振りでしたよ?最近は物理的になってきましたけど(目逸らし)
そんな私がいつか定食屋に行った時に店員さんに言ってみたいワード第一位は『ステーキ定食、弱火でじっくり』伝われこの想い(ロマン)
とりあえずジムトレーナーさんを一掃してからゴミ箱を漁り始めたけど、はっきり言いますとばっちいです。誰だよポテチ(激甘豆板醤味)の袋捨てたの!油でベッタベタすんだろうが!!つーか激甘と豆板醤って矛盾してるやんけ!!企画担当の人徹夜続きで疲れてたの!?とか、からしねぎわさび味~薬味風~と記されたパッケージのチョコレートの空き箱を見つけて絶対これくそ不味いだろとなぜ買ったのか疑問に思ったり、挙句の果てには
「……………………ダークマター味、だと……?」
そもそも何を基準にしたのかわからない物体Xの飴玉の袋を発見することになった。とりあえずクチバジムに来た記念に写真撮っておこうと手持ちのカメラで撮影しておくことにする。周囲のトレーナーに何やってるんだこいつという視線がザクザクに刺さるけど、そもそも発端は
ジムバトル?勝手に飛び出してきたカメールがワンパンで退場したあとにピカチュウ先輩が奮闘してギリギリ、真面目にギリギリ僅差で勝利した。
勝因はカメールが序盤にハイドロポンプであたり一面を泥にして即退場→からのピカチュウ先輩の即席で作った泥団子を尻尾で関節や背中狙いでフルスイング、穴を掘るで錯乱、泥団子でライチュウに目潰ししたりと正々堂々という言葉とはかけ離れた戦い方で勝ちました。いぇーい(死んだ目)
おかげさまで泥まみれですよハッハッハ。……軽く洗ってからポケセン行こうな(なお泥臭いのは落ちにくい模様)
ジム戦前日にカメールとピカチュウがなんか話し合いしてたのはこれの事だったのかなと頭痛が痛い案件である。頭が痛いではなく頭痛が痛い。
そして半日でジム戦を終えたレッドは豪華客船に乗り込むにあたり流石に今の服装はいかんよな、と急遽フォーマル寄りの服装を買いに近くのフレンドリィショップに立ち寄った。ショップにはトレーナー御用達のポケモンフーズの他にも一般向けの娯楽用品や生活品も売られているので職種問わず色々な人が出入りするものである。
なので──
「あ、博物館で会った子だよね!」
──こういう事もあるのだ。
そして少女は数時間後に何故か一緒に豪華客船にめちゃくちゃ不本意ながら乗り込むこととなってしまったのである。
しばらくすると「うんうん、やっぱり女の子はこういうときにおしゃれするといつもと違う可愛さがあっていいよね」と自己完結している大誤算と緋色と裾にかけて紫のグラデーションの端々に
彼とエンカウントする時はだいたい想定外の事情が爆誕するので作者的にはとても助かる(メタ発言)