この世界ではトレーナー同士目と目が合ったらバトルをするのは誰もが知ってる常識なのだが、博士からポケモンを受け取ったその場でバトルしようぜ!なんて言われても「えっ今この瞬間に成立しちゃうわけそのルール」とか考えてしまう前世持ちの私が反応に困って狼狽えてしまうのは仕方が無い。でも断ろうにもこの男、今やろうすぐやろうとゴリ押ししてくるうえ、周囲もゴーサイン出してるし残念ながら私に逃げ道はないとみた。
個人的な意見としては、気になって仕方ない外野の助手の皆さんは仕事終わり次第はよ寝て欲しい。どう見ても生ける屍になってるビジュアルで夜中に見かけたら本気でガチ泣きしそうになる……クタクタの白衣に青白い不健康な肌色、トドメにまだ俺はやれると言わんばかりのギラつく瞳、これは致命的に、ヤバい。寝ろ。
まあこの場で泣くのは私くらいしかいなさそうだけどな!幼馴染姉弟は慣れすぎて違和感感じてなさそうだし!こっちが周りを見てるだけで胃がキリキリしてつらい!脳裏にはぎりぎりぶっちぎりデッドライン目前の納期に、血走った目で対応していたあの頃がほんのり浮かんできてメンタル試されてるような気がして目が離せなくなるからな!あのとき朝日を何度迎えたかはもう数えたくない(切実)
お仕事お疲れ様です……
ここに来る前、出かける際に母さんがトレーナーカードを持たせてきた理由はきっとバトルしたい彼が根回ししていた一つなのだろう、悲しいことだ。実に悲しい。具体的に言うとこのカードに使われている証明写真、私は撮られた覚えがない、そうつまりはそういうことだよ明智くん(盗撮疑惑)
旅に出るということなので、手始めにまだ勝負すらしていないというのに既に勝った気がしているのかドヤ顔を披露するバカワイイ幼馴染を、どこか気に食わないとジト目で見つめる相棒と共にフルボッコタイムと洒落込む事にした。このピカチュウ、攻撃がなかなか手慣れているというか、妙に喧嘩慣れしているような戦い方をしている。目潰しに挑発、グリーンをチラ見しては鼻で笑うなどをしているが私はそんなものを一切指示してはいない。思わずサムズアップはしたがな!
ところで相棒よ、どさくさに紛れてトレーナーを狙うのはやめなさい。下手すると私がジュンサーさんにタイーホされちゃうから。狙うならバトルじゃなくてフリーの日常生活の時にしなさい。レッドさんが全力で応援してあげよう。さあ狙うはお腹、唸れ相棒の渾身の頭突きィ!あ、あとさっきの叩きつけるなんだけどキミの尻尾の先端が一瞬銀色になってなかった?気のせいだよね?さてはおめー初心者向けポケモンのレベルじゃないな?元ヤン?元ヤンなの?
「次のバトルはこうはいかねーんだからな!ばーかばーか!!」と叫んで走り去った彼を見送ったあと、渋々ながらも荷物まとめようと仕切り直して自宅に帰ろうとしたら、玄関で母から四次元空間もどきのリュックサックを、お隣に住むグリーンのお姉さんのナナミさんからはタウンマップを手渡されてあっさり追い返されたので、根回しをしていたであろう、先に突っ走って旅立った諸悪の根源グリーンは次会ったらただで済まさねえとレッドは激怒した。
不本意ながらてくてく歩きながら肩に乗せたピカチュウに色々と芸を仕込みながらポケセンから歩くこと30分、とりあえずわかったことがある。
「……………………虫除けスプレーとズボン用意しよ」
予想していたよりも草タイプと虫ポケモンがいかにも大量生息してますよ!という自己主張の激しい森林だったので、もう既に帰りたくなってきた。が、帰れそうにないのでうんざりしつつ目標地点のニビシティを目指す。
ポケセンは手持ちポケモンの回復、トレーナー宿泊施設も兼ねてることを私はトキワで初めて知ったので着替えしてから森に向かうことにした私はポケモンセンターに向かって歩き始めることにした。
トキワの森編も、1話で簡潔に終わることは無いのでぶつ切りペースで投稿していきます。