1 / 36
修正が完了し次第、随時投稿を行います
第四次聖杯戦争一つの終わり
薄暗い空の下の、表面が一度高熱で溶けて固まったような地面。その上に立つ一人の人間。その風貌は、アストラの上級騎士が使う鎧で身を固め、左手には紋章の描かれた青い盾を、右手には同じアストラの地で鍛えられたロングソードが握られている。その風貌は、まさしく騎士だ。
岩の広間に立つ彼の目の前には、人間よりも一回り大きい人間が冷たい岩の地面の上に大の字になって倒れており、その身なりはどこかの王族のように立派なものだ。しかし、その肌はミイラのように干からびており、目があるべき場所は吸い込まれるような暗闇がはまっている。
王はうめくように人の言葉を一度だけ出し、ピクリとも動かなくなった。
「■■■■■■■■」
そして、騎士がそれに答えるように何かを言った途端、その王の体は緑の粒子となって空気に溶けるように消えた。騎士はそれを当然のように見守り、剣を納めると、王のいた場所から握り拳ほどのソウルを拾い上げると懐にしまった。
騎士は数秒ほど鉛色の空を仰いだ後、何かを振り切ったように歩き出す。その先には、歪な形をした一本の剣が、今にも消えそうな種火を包む藁の塊に突き刺さっている。
それが何か知っている様子の騎士は、そこへ辿り着くなり右手をその剣の柄の先にかざし、動きを止めた。
「■■■■」
騎士は先ほど倒した王の名を、そしてかの王を安心させるような言葉を口にした。
それと同時に、種火が燃え上がり、同様に騎士の右手にも炎が燃え盛る。しかし、騎士は自分の胸の前で左手を右手の炎の中に入れ、それを燃え移らせる。
彼のソウルを、彼の人間性を、彼を人間足らしめている物を燃料にして、足元の火が急速に広がる。それと同時に彼の持ち物の一つが発光し、炎はそのままに彼だけが忽然と姿を消した。