白銀の鎧を砕いた。
男は笑い、その口元に三ケ月を浮かばせた。それはまるで男にとって一つの"星"などその程度だと言わんばかりであった。だがすぐに男は興味を失い鎧から視線を外す。顔から感情が一切消える。そして自身の左手に持ったものに目を向けた。
「また戦いたいな……」
左手に握られたそれは先ほど破壊した鎧とは比べ物にならないほど強く、光り輝く銀色の鎧の持ち主であった。そのことを思い出し無邪気な少年の如く笑った。
(あぁ……また戦いたいな……)
思い出し右手を伸ばす。それはまるで友人と手を取り合うように。
(また戦いたいな……)
思い出し右手を胸に当てる。それはまるで初恋に胸を躍らす少女の様に。
(ま……でもいいか…)
(もうすぐ
瓦礫の中から足音がした。男が振り向くとそこに一人の…悪魔がいた。
「……見つけたんだね」
男の言葉に答えるように瓦礫の中から足音がする。それと同時に床から炎が吹き上がる。全身を燃やし炎の翼を持つ。その顔はあらゆるものを睨みつけていた。傍から見れば全身で怒りを表現しているように思えた。まさに『憤怒』の炎と呼ぶに相応しい出で立ちであった。その者は【七大罪】の一柱であり、ヤルダバオトの最側近の一人である【
「貴様が都市守護者たちを全滅させたからな……退屈であったぞ」
「また
「……」
ラースは会話の通じなさに黙った。この男のその言葉に特に反応を示すことをしなかったのもあえてだ。この者の言うアレとは一人の人物だ。そしてその人物は今……。だが今はそんなことを考えている場合ではない。
「まぁいい。例のアイテムは見つかったしな」
そう言うと右手には小さな何の飾りもされてない目立たない箱が一つ乗っていた。
何の変哲も無く、飾りも無いガラスで作られたのかの如く透明な正方形の小箱。人間の手に丁度収まるくらいの大きさであり、ガラスのような見た目に反し中身は一切見えていない。傍から見れば何の脅威も感じない。だが【憤怒】はこの箱の脅威を知っている。そしてその利用価値の大きさも。だからこそだろう。思わず呟いたのは。
「等価交換の箱……」
かつて【八欲王】…【雲を泳ぎし者】たちのリーダーを除き、残り七人が争った原因の一つとなったアイテムである。否、そうなるようにヤルダバオトが仕組んだのだが……今のラースにはどうでもいいことであった。ラースにとって大事なのはこの箱が世界一つと同等の価値があり強大である。その一点のみであった。
「見つけたんだね」
「………」
(帰るのが先だな。この【等価交換の箱】を持ち帰らねばな……)
憤怒が持っているその箱は【等価交換の箱】。本来ならば【雲を泳ぎし者】の正当な"権限"を受け継ぐ者しか使用できない。だが……。
(かの薬師の【あらゆるマジックアイテムを使用可能】の
ラースがその場を去ろうと翼を広げた。
「帰るぞ。既に目的は果たした」
そう言った時、既に男はいなかった。周囲を感知してみるもどうやらいないようだ。動いた気配すら感じなかった。だがそれにラースが驚く様子は無かった。
「勝手な奴め……だがいい。目的は果たした」
そしてエリュエンティウから飛び去った。さの際にキラリと光るものを見つける。それば砕け散った白銀の鎧であった。
「アレは白金の竜王の……。成程…奴にやられた訳か。あれが相手じゃなければ良い勝負になっただろうに」
ラースはその場を後にした。そこには何も無い荒野の如き景色だけが広がっていた。
とある深い領域
光さえ届かない深い大きい円柱状の部屋…その領域にて二人の人物がいた。
巨大なガラスの円柱の中で逆さまに立って眠っている【眠り姫】。その外で膝をつき異形の容姿をした騎士。
【眠り姫】は長い黒髪、ボロボロのローブの上から全身に拘束具を巻き付けて局部を隠しており所々見える白い肌を見るとただの人間にしか見えない。眠っていることで目は閉じられている。そのせいで本当にただの眠れる美女にしか見えないだろう。
騎士の方は頭部はとある甲殻類を想像させるものでありその右手にはトライデントが置かれている。いかにも異形種といった容姿をしている。だが騎士は自らの容姿を誇っていた。主である姫により創造された自身を。
騎士が姫に何やら報告しているようであった。だがそれは毎日行われる光景であった。
「我が姫、報告します」
「……」
姫は話さない。眠っているゆえに。
「エリュエンティウにて【世界の敵】が観測されました」
「……」
姫は眠ったままだ。だから会話が繋がることは決してない。
「姫様……私はかつて姫が仰ったように静観するつもりです」
「……」
姫は眠ったままだ。だから意思が通じることは無い。
「ですので姫様……『待ち人』が来られるまでは我々がお守りいたします」
「……」
そして騎士の想いが姫に届くことも無い。
(姫様…………貴方様の待ち人は本当に来るのでしょうか。私には分かりませぬ。このアンモには分かりませぬ)
異形の騎士アンモ=ディープス。彼は【眠り姫】を守り続ける。いつか来る【眠り姫】が【待ち人】と再会できるように……。
(夢見るままに待ちいたり………か。いっそのこと、自ら待ち人を探してもいいかもしれない)そうアンモは考えた。待ち人の名前と容姿は知っているからだ。
そしてその待ち人の名前は_________。
こんな感じですいません。
これから頑張ります。
それとこの章を早く終わらせたいと思っています。
『消えた美姫』編終わらて次の章に行きたい。
今更ながらこの作品完結できるのか心配になってきました。
特にオバロ四期を見てる内に次の章に行きたい……。
あー。誰か私にモチベを分けておくれぇぇぇ!