漆黒の英雄譚   作:四季 春夏

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※※※注意書き※※※


読者の方へ。
もし今回の内容に「アレ?どういうこと」と思われた方は
申し訳ありませんが、作者の『活動報告』を先にお読み下さることをお勧めいたします。もしくは今回の内容を見終えてからお読み頂いても結構です。


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第7章【ただ一つの正義】
第七章・あらすじやキャラ紹介のみ


 

 

≪ストーリー≫

 

 

ナーベ脱退後、モモン冒険者組合に全て報告。素直に魔導国にナーベが下った理由を語る。

 

それからの話。

 

 

 

 

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 物語はモモンが帝国へ向かった時間にまで遡る。

 

 

 

 エ・ランテルから遠く離れた国家、ローブル聖王国の話に焦点が当たる。

 

 この国は半島の形の国土を持っており、その入り口に北から南まで全長百キロは超える城壁がある。これは聖王国の東側にスレイン法国。その間に丘陵地帯があってそこに亜人部族たちが住んでおり、その者たちからの襲撃に備えるためである。

 

 そこに駐屯所が複数建設されており、その内の一つである砦、中央部拠点。そこにいる二人の男の会話から始まる。

 一人はオルランド=カンパーノ。聖王国の兵士階級の中では下から数えた方が早い立場の人間だが、実力のみで『九色』という九人しか存在できない名誉を授与された程の男。

 もう一人はパベル=パラハ。オルランドと同じ『九色』の一つを授与された男。

 

 二人は亜人たちの襲撃に備えながら会話をしていた時、亜人たちの軍勢を発見。過去に同じような襲撃は何度もあった。だが今回は今までとは違うと二人は感じた。数は今までの比ではなくその動きは統制されていた。そこで二人は亜人たちにとって何が一番重要視されるか、その答えにたどり着いた時に今回のは襲撃ではなく『侵攻』だと認識を改めた。そしてその背後にいる巨大な力を持つ『何者か』の存在に気付く。

 

 そして二人は『何者か』の姿を見た後……。

 

◇ ◇ ◇

 

 

 『何者か』……ヤルダバオトは城壁を破壊した後、聖王国への侵攻を本格的に開始するために多種族からなる亜人の軍勢を集める。このグループは二つの軍勢に別れていた。大まかに分けるとヤルダバオトへの強さから従っているのと、恐怖から従っているものたち。

 ヤルダバオトは後者のグループに【役割は終わった。逃げていい。ただし一日経てば残った者たちに襲わせる】と伝える。後者のグループの半分は逃げた。ヤルダバオトは残ったグループを集めて【聖王国を滅ぼし、スルシャーナ様に魂を捧げよ】と告げた。破壊された城壁から亜人たちは侵攻していく。それを見るヤルダバオトの傍らに【十二人】の人間が立っており、【隊長】と呼ばれる人間の指揮で他の十一人も活動を開始した。その中には【第四席次】で、かつて【ソーイ】と呼ばれた冒険者の女の姿があった。

 

 

 城壁破壊の報を聞いた聖王国のトップ聖王女カルカは国家総動員を要請、それと同時に二つの大きな政策を打ち出す。一つは侵攻してきた亜人たちと戦える者を他国から連れてくること、もう一つは逃げた亜人たちの行方を追うこと。そしてそのために『使節団』兼『調査団』として人を派遣することを決定した。

 

 派遣された聖王国の副団長グスターボ、その傍らには団長レメディオスの従者ネイア・バラハもいた。

 

 

 法国、帝国は断られ、王国にも断られ周辺諸国で残す所は魔導国のみとなった。グスターボ率いる団は【魔導国に向かう前に駄目元でエ・ランテルの『漆黒』に依頼を出す】ことを決める。だがエ・ランテルに到着した時、一同が目にしたのはヤルダバオトの元から逃げて生き延びた亜人の群れが正門の前にいた場面であった。一同はこれに驚くも運良く気付かれずに先に発見できたため、国家の緊急事態につき説明することを前提にエ・ランテルに不法侵入し冒険者組合に依頼を出すことを決め、場合によっては正門前の亜人を挟み撃ちし討伐すると決める。そしてグスターボとネイアは侵入、冒険者組合に到着。そこで冒険者組合、魔術師組合、この都市のそれぞれの長。そしてモモンと出会い、事の顛末を語る。

 

 モモンは語る。今いる亜人の群れを『冒険者』とし、城壁破壊の責任を追及しない代わりに共闘を持ち掛けるように提案(冒険者は国家に属さないため、亜人たちの身柄の安全を確保する代わりに罪の清算として『共闘』させる)。

→この時、非戦闘員である亜人はエ・ランテルで身柄を保護すると告げる。聖王国側はこれを共闘を強制させるための人質として認識しこれを認める。だが実際はモモンは言葉通り保護するのが目的であった。これに気付いた一部の賢い亜人たちは死地へ向かうことよりも家族や友人を守ってくれたモモンへ感謝した。それに対してモモンは「こうすることしか出来なかった。すまない」と告げる。

 

 色々あって提案を受け入れたグスターボたち。しかし条件としてモモンが聖王国へ行き亜人たちを率いて戦うことを求めた(帝国でワーカーを率いた件をケラルトの口からグスターボは聞いていたため)。モモンは背後にヤルダバオトの存在に気付くき自身が行くことを告げるが、冒険者組合長たちの反対により身動きが取れなくなってしまう。組合長たちは代案としてシズとハムスケを聖王国へ派遣させることを約束し、これをモモンだけでなく冒険者組合長アインザックが実力を認めていると告げたことで聖王国側が折れて、二人が派遣されることになる。

 

 そして聖王国のメンバーが去った後、エ・ランテルで保護するとしてどこで保護するかと組合長たちから聞かれたモモンはかつてズーラノーンと戦った墓地、そこにあった隠し地下空間を利用することを提案し、受け入れ体制が出来次第宿屋などに割り当てていくつもりだと話した。

 

 聖王国で色々ありながらもシズとハムスケが活躍する話。そしてそこでシズとネイアが仲良くなり、ネイアなりの『正義』を見つける話。

 

 そして亜人たちの保護、聖王国への対応、それらを密かに見ていた【十三英雄】リグリットはツアーの元へ報告しモモンは信用できると告げる。それでも【流星の子】に対しての嫌悪感を払拭しないツアーの元へ一人の少女が現れる。そして【モモン様は信用できる】と告げる。そこでようやくツアーはモモンに六つ目の過去を教えることを決意し、自らの胸中を明かすことを決めた。

 

 亜人たちの説明を終え、保護や宿屋への手配などを終えたモモンは一休みする。そんな中モモン宛に一通の手紙が届く。差出人はシズであり、内容は【聖王国からエ・ランテルへ戻るのはまだしばらく時間が掛かること、そしてその間何も出来ないことへの謝罪。そしてヤルダバオトの元から新たに逃亡してきた亜人たちがエ・ランテルへ向かっていること】であった。モモンは笑って受け入れた。だが自分以外誰もいなくなった家の中を見渡し、自分が一人であることを嫌でも認識させられた。

 

 そしてモモンの元を訪ねる二人がいた。ツアーとリグリットであった。ツアーはモモンを信用することを告げ、そして六つ目のエメラルドタブレットを渡す。それを見てリグリットは苦い顔を見せる。そしてモモンは【十三英雄】の真実を知ってしまう。

 

 

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【十三英雄】過去・後半へ進む。

 

 

 

 


 

 

 

 

≪キャラクター紹介≫

 

 

モモン

 【漆黒】と呼ばれるアダマンタイト級冒険者。現在は一人で活動している。

 ナーベ脱退後、エ・ランテルでシズやハムスケと共に過ごすも心のどこかで孤独を感じていた。それとふとした瞬間にシャルティアとの戦闘を思い出し、自らの無力感に追い込まれていた。そんな中、亜人の群れがエ・ランテルにやってくる。亜人から事情を聴いたモモンは彼らを助けるべく行動を起こす。そこでモモンは亜人たちを一人でも多く助けるために冒険者組合長アインザックと都市長パナソレイを説得し、亜人たちを『冒険者』として登録させて階級プレートを渡した(冒険者は国家に属さない。これを逆手に取った形で聖王国からの討伐を防ぎ、なおかつ王国と聖王国との外交問題に発展させないように考えたためである)。このまるで最初から来るのが分かっていたかのような迅速な行動のおかげで聖王国の使節団兼調査団が訪れた時は亜人の引き渡しを拒否し、折衷案として『共闘』という形を取ることで非戦闘員であった亜人たちを保護することに成功する。その後シズに【とある弓】を渡し必要とあらば使うように告げた。そしてこの一連の出来事によりモモンはある人物たちの信頼を得ることになるのだが、本人はそうなることまでは予測していなかった。

 

 

シズ

 モモンのメイド。

 かつてはヤルダバオトの配下『メイド悪魔』の一人であった。だがエ・ランテルにモモンの元へ諜報活動させられた際にモモンとナーベやハムスケといった人物により良心に目覚める。その後、王都でヤルダバオトへ謀反を起こすも自らの心臓に仕掛けられた魔法により死亡。王都動乱後、ナーベが密かに魔導王にシズの蘇生を頼むことで、再び生を得た。だがナーベが去った後、その理由が自らの蘇生が原因なのではと思っており密かに責任を感じている。しかしそれをモモンに伝えると心優しいモモンが傷つくと思い話せずにいることで苦悩していた。そんな中、聖王国へハムスケと共に行く時はモモンへの恩返しの為にも必ず生きて帰ると【指切り】を行い、かの地へと向かった。

 聖王国の使節団兼調査団として派遣されていたメンバーの一人ネイア・バラハとは互いに信頼関係を築き、国土を奪還していく。その時の二人を知る者からは『戦友』や『親友』同士のように見えたという。最終的にエ・ランテルに戻るにはかなりの時間を要することに気付き、モモンへの手紙を送り自身は聖王国で亜人たちの対応をすることを決意した。

 

 

ハムスケ

 モモンの騎獣。かつては『森の賢王』と呼ばれた。

シズと共にモモンの苦悩や孤独に気付きながらも何も出来ないことを嘆いていた。そんなある日シズと共に聖王国へ向かってほしいと主人であるモモンから告げられこれに従った。

亜人への対応の際はシズと共に最前線に立ち、勇敢に戦い続けた。そんな中でシズが新たに得た友人ネイアの存在に感謝し、同時に羨ましくもなった。やがて聖王国からエ・ランテルへ帰還するにはかなりの時間を要するとシズに告げられた際は、シズから「ハムスケは戻るべき」と提案されるも「殿の心配事(シズの安全)を一つでも減らすためにも某がシズ殿についていなくてはならないでござる」と返答した。そのためハムスケはシズと共に聖王国に残ることが決まった。実は聖王国へ来た当初容姿が獣であるハムスケはどこか聖王国のレメディオス団長をはじめ兵士たちからは警戒されていたが、これをネイアが何とか説得したのを見てそこにモモンの姿を重ねネイアを『英雄』と呼ぶに相応しいと思ったと後にシズに告げた。

 

 

ネイア・バラハ

 聖王国の聖騎士見習い。弓兵。

自身と同じ聖騎士であった父親を失って間もないことで精神的に参っていた。エ・ランテルに使節団兼調査団として派遣された際にモモンと出会い【正義】について考えるようになる。シズと出会い色々と教えてもらっていくことで徐々に自信や心の支えを持っていき戦場で活躍していく。道中シズから貸し与えられた【とある弓】を使い、亜人たちへの対応を行っていく。後に周囲からはシズの『戦友』『親友』のように見えたと告げられ嬉しさからか赤面する様子を見せる。今章の終盤ではシズとハムスケが聖王国に残ると聞いて安心感よりも嬉しさが勝っていたと内心で気付く。

 

 

グスターボ=モンタニェス

 聖王国の副団長。

聖女王カルカにより使節団兼調査団の責任者として派遣された男。苦労人。

今章で一番胃を痛めた人。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ヤルダバオト

 聖王国で『大侵攻』を起こした張本人。

王国でモモンと戦闘し逃走後、今度は聖王国を襲う。前回とは違い亜人の群れに聖王国を襲わせて全国民の魂を得ることを目的としている。どういう訳か【十二人】からなるメンバーを率いている。

 

 

隊長

 ヤルダバオトの率いる【十二人】又は【十二使徒】の隊長。古びた槍を武器としている。ヤルダバオト曰くこの槍は【罪の象徴】らしい。ソーイの見立てでは難度二百以上らしい。

 

 

ソーイ

 隊長率いる【十二人】又は【十二使徒】の第四席次の女性。二つ名はまだ無い。

盗賊職であり、軽装に身を包む。何故かヤルダバオトやその配下をよく観察している。

かつては冒険者だったらしいが、その正体は………。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ツアー

 白銀の鎧に身を包む【竜帝】の子。

リグリットともう一人の説得もあってモモンを信用し、エメラルドタブレットの六つ目及び自身の過去を告げることを決意する。

 

 

リグリット=ベルスー=カウラウ

 【十三英雄】の一人。自身の友人であるツアーにエ・ランテルで見たモモンの人柄などを伝えた。その場にもう一人の人物を連れて……。

 

 


 

 

《裏話》

 

???「あーあ。冒険者って人間種ばっかだなぁ。亜人とか異形種の冒険者も欲しいなぁ」

???「成程。そういうことですか。かしこまりました」

 

 

???「もしや……全て御身の計画通りだったのですか!?」

???「そうだ。その通りだ(どうしてあの一言からこうなった?)」

 

 

 

 

 


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