漆黒の英雄譚   作:おしるこをしるこ

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E.T<6.--十三英雄--真の仲間と(ノロイ)の果て--後編>

かつて『十三英雄』と呼ばれた者たちがいた。

 

 

 

 

誰よりも弱かったが傷つきながらも剣を振るい続け最後には誰よりも強くなった『リーダー』、カイズ。

 

四本の魔剣を使いこなした悪魔との混血児とされる暗黒騎士と呼ばれる『彼』。

 

死霊術を司り、死者を操る老婆リグリット。

 

白銀の鎧を操り彼らと旅を共にしたツアー。

 

その他多くの仲間たちがいた。

 

『十三英雄』の中には人間種以外、亜人種や異形種もいた。

 

 

 

 

全ては【魔神】の登場から始まった。

 

ある者は故郷を守る為に

 

ある者は故郷を奪い返す為に

 

ある者は滅ぼされた故郷の仇の為に

 

そして集まった集団は傭兵の如く各地を転々とした。やがて彼らは『英雄』と呼ばれるようになる。

 

 

 

 

数多くの魔神を倒した。その中には『蟲の魔神』などという印象的な存在もいた。

 

 

 

「もう【魔神】は全員倒せた。これで終わったんだね」

 そうツアーは語った。封印しか出来ない(・・・・・・)彼は【魔神】の気配などを敏感に察知することが出来る。それが魔法によるものかタレントといった特別なものが理由かは結局語ることは無かったが。

 

 

「………そうか。だったら俺たちの旅はここで終わりだな」

「…そうだな。リーダー(・・・・)

 リーダーの言葉に暗黒騎士が頷く。

 

 

 

 

「……帰ったら国の上の奴らから話を聞いてみるかのう」

「ババァ、何する気だ?」

 リグリットとイジャニーヤが何やら会話を始める。

 

「あぁジジィ。ワシは今回の【魔神】発生にはスレイン法国が関わっていると睨んでおる」

「いいのか?ババァの国じゃろう。まさかワシの暗殺対象になったことを忘れた訳ではあるまいな?」

 

「無論じゃ。だが今回の一件、ワシらのサポートを周辺諸国がしたのも……それまでの過程もまるで最初から(・・・・)知っていたような手腕に思える。少なくとも他の国よりは何か知っている可能性が高いじゃろう」

「……もしそれが事実ならババァ、お前死ぬぞ」

 

「構わん。老い先短いこの命。こんな命でよければいくらでもくれてやるさ。無論わざわざ死にに行くつもりはないがのう」

「……そうか。だったらワシも行こう。暗殺対象であったババァがワシ以外の奴にやられてほしくはないからのう」

 

「ほう……それはありがたい。背中は任せたぞ」

「えぇぞ。えぇぞ。感謝しろ。だがまだ足りんのう。そもそも『感謝』というのは……」

 

「話長いんじゃ。まだ続けるようならその髭むしり取るぞ」

「ほっほっほ」

 

 

 

 

「お前はどうする?小人」

「その呼び名はいい加減やめぃ。この脳筋」

 エアジャインアントのニッグとドワーフの魔法工が話す。

 

「むっ。すまんな。どうも言い慣れ過ぎたようだ」

「はぁ。まぁいいわ。ワシはこれから国に戻るつもりじゃ」

 

「例の【ルーン】を発展させるのか?」

「そのつもりじゃ。旅は十分した。そろそろ戻って国の立て直しでもしようと思ってのう……」

 

「きっと上手くいくさ。あの【ルーン】には俺たちも何度も助けられた」

「使い手が良いからのう…」

 

「そうか。なぁドワーフの王よ」

「なんじゃエアジャイアントの戦士長よ」

 

「俺たちの国家で手を取り合えないか?」

「……出来なく……はないが恐らく時間が掛かるぞ。元々殺し合いしていたような同士だぞ」

 

「でも出来るんだろう?だったら俺たちの国からお前たちの国を支援することも可能なはずだ」

「それは嬉しいが、お前さんの立場はどうなる?『戦士長』という役職のお前さんは戦士の長であって国のトップではないじゃろう」

 

「頭を下げるさ。それでも無理なら……」

「無理なら?」

 

「王をぶっ飛ばして俺が王になってお前らの国を支援するさ」

「……お前さんならやりかねんな」

 

「そうだ。王に進言する際に何かを持ってこさせようと思うんだがどうしたらいい?」

「そこワシに丸投げするのか……そうじゃなぁとりあえず酒を頼む。ドギツイのを頼むぞ」

 

「おう。任せろ。俺たちの国には『巨人殺し』と呼ばれる酒があってな…」

「ほう…巨人ですら酔える酒か。相当ドギツそうじゃのう。詳しく聞かせろもらいたいのう」

 

 

 

 

「カイジャリ……君はどうするんだい?」

「ツアー!俺は兄貴に助けられたからな。兄貴と旅をしようと思うぞ。勿論兄貴が何かをしようと思うなら俺も同じことをしたい!」

 

「そうか。まぁ達者でね」

「おう!ありがとう」

 元気よく他の仲間たちの元へ駆け寄るゴブリンを見てツアーはため息を一つ吐いた。こんな良いやつに慕われて君は幸せ者だね。と思ったからである。そしてその当人は『彼』と話している。

 

 

 

 

「これで俺たちの旅は終わりだな……」

「あぁ…そうだな」

 

 

 

 

 全ての魔神を倒した時点で彼らの旅は本来終わるはずであった。

 

 

 

 

「故郷に帰ろう」

 そう誰かが言った。多くの者はそれに賛成した。中には故郷を失った者を誘い自身の故郷に連れ帰ろうとした者もいた。そう言って去っていた仲間の中に一人の少女もいた。とても泣き虫なことが印象的な少女だ。少女は一同と別れる際にとあるアイテムをプレゼントされた。そして少女はそれを片時も手放さなかったという。

 

「私アンデッドになってよかった」

 そう少女は言った。かつて「目的のためにアンデッドになるべきではない。精神がそれに引っ張られる」と忠告してくれた一人の仲間、暗黒騎士に。それを聞いた暗黒騎士は何故か笑っていた。理由は分からないが、悪い意味で笑った訳じゃないのは少女にも分かった。

 

 

 

 

 多くの者が故郷に帰っていった。残ったのは三人の人物だけとなった。リーダーを兄貴と慕うカイジャリの説得は大変であったが何とか元いた故郷へと帰っていった。

 

そのため残ったのはリーダー、暗黒騎士(スルシャーナ)、ツアーである。

 

 

 

 

「スルシャーナ……お前はこれからどうするんだ?」

「……」

 リーダーが口を開くも彼は黙ったままだ。

 

「……まさかとは思うがお前……」

「それ以上は言うな……」

 

「……」

 カイズは分かっていた。今のダアク……もといスルシャーナの心境を。かつて自分も体験したから分かる。理解、いや共感できる。

 

「お前死ぬ気だろう」

「……」

「スルシャーナ、そうなのか?」

 

 

「図星か……」

「……」

 

「なぁ。スルシャーナ」

「……」

 

「お前はかつて俺に言ったよな。『夢を守れ』って。そしてお前は結局それが何なのか言わなかったが…。お前の夢って何だ?」

「……お前になら話してもいいか……。俺みたいな奴が語る資格が無いのは分かっているが、かつての夢は……『誰もが一緒にいれる国を作ること』だった。人間だけじゃない、亜人や異形種もみんなが共にいれる国を作りたかった」

 

「アインズ・ウール・ゴウンみたいにか?」

「あぁ。その通りだ……」

 

「……この旅の途中でツアーから聞いたよ。お前かつて亜人の友を殺したことを未だに後悔しているって」

「……あぁ。ザリュースという気のいい戦士だった。少々変わり者であったが人間に危害を加える奴じゃなかった。でも人間は……」

 

「それでも『五人』の友が残したものを守るために、お前は人間からアンデッドになったとも聞いている」

「……あぁ」

 

「そしてそこまでしたお前に人間が見せたもの、それによって人間を愛せなくなったとも……」

「ツアー、お前そこまで言ったのか……」

「すまない。だが必要なことだと判断した」

 

「まぁ言ったことに関しては許してやってくれ。こいつもお前のことが心配だったんだろう」

「……どうだかな」

 

「なぁ。スルシャーナ。お前の夢、もう一度だけ叶えてみないか?」

「……リーダー、私は……」

 

「俺がお前の夢を守る!だからお前はもう一度だけ夢を叶えてみないか?」

「……」

 

 

 

 

 

 かつてカイズ…もといリーダーが【八王】と【竜王】の戦争の切っ掛けを意図せず作ってしまい、

 

 戦争は起きてしまった。

 

 戦争による被害、戦地となった場所、被害を受けた罪なき者たち。

 

 それらを見て絶望していた……

 

 自分のせいだ、自分のせいだと……何度も後悔と絶望を繰り返し

 

 それでも何度も誰かを救おうとするも、誰も救えず……

 

 自らを罰するために、殺してくれと頼み、

 

 二百年の歳月を経て蘇生、

 

 そして………。

 

 

 

 

「リーダー……私は……もう疲れたよ。長生きし過ぎたのかもしれない。なぁリーダー」

「……」

 

「私を殺してくれ」

「断る」

 

「……」

「俺を助けてくれた……救ってくれたお前をどうして俺の手で殺さなくてはならないんだ」

 リーダーは声を荒げるが大声を出すことはしなかった。それは冷静さを保てたからではない。かつての自分と同じ心境になってしまっている恩人に対して理解・共感していたからだ。怒りだけじゃない。何があっても自分の恩人を死なせてなるものか。まるでかつて自身が言われたことを言い返した。それはまるでかつての恩義を返すように。

 

 

「……今のお前は間違いなく【英雄】だよ。リーダー」

「そういうお前はどこまで行っても人間だ(神じゃない)よ。スルシャーナ」

 その言葉にスルシャーナはリーダーの顔を改めて見た。

 

 

(あぁ……今のこいつなら俺の夢を託せる。もう十分だ。こいつは十分罪を償った。その上で戦った。こいつはもう自分の罪に押しつぶされるだけの人間じゃない。誰かの夢を守れる強い戦士だ)

 ふと思い出す。

 

 談笑し合う仲間たち。共に笑い、共に悲しみ、共に戦った者たち。

 

 あらゆる種族が集まり、人間種・亜人種・異形種と幅広い集団。

 

 

 

 

(こいつはみんなの夢を守った。……凄い奴だ。だが私とは違う。私一人なら無理だったが、こいつとならもしかしたら……)

 

 

 

 

「そうだな。もう一度だけ夢を叶えてみるか。悪いがこれから忙しくなるぞ。よろしく頼む相棒」

「あぁ。俺を好きに使えよ。相棒」

 そう言って二人は握手した。リーダーとスルシャーナ。この二人が本当の意味で友、仲間となった姿を見てツアーはふと思う。

 

 

(不思議と悪い気分じゃないね。かつて【六大神】と呼ばれた者と【八欲王】と呼ばれた者……それぞれのリーダーが手を取り合った。今までとは違い、本当の意味で理解し合い、互いの孤独を埋めあう仲間(・・・)となった。でも世界と敵対する可能性が消えた訳じゃない訳だけど……)

 

「喜ばしいことだね」

 

 

 

「あぁ。それでこれからどうするつもりだカイズ?」

「あ……特に考えていなかったな」

 

「…お前なぁ。はぁ……まぁいいか」

 そこでふとスルシャーナは自身の第一の従者たるヨミの言葉を思い出した。

 

 

『旅をしたら?』

 

 

(あぁ……そうだなヨミ。ようやく……本当の意味で私の旅が始まる……。始めることが出来る!)

 

 

「時間はたっぷりあるんだ。各地を見て回ろう。【冒険者】らしくな」

「そうだな。一先ず世界を見て回ろうか。俺たちは【冒険者】なんだからさ」

「見届けさせてもらうよ。君たちの夢の続きを……」

 

 

 

 こうして【十三英雄】の【魔神】討伐の旅は終わった。

 

 

 

 いつの日か、夢が叶うという希望を残して。

 

 

 


 

 

 

 

それからいくつかの月日が経った頃であった。

 

 

 

 

スレイン法国 最奥の聖域にて

 

 

 

 

 

スルシャーナの第一の従者たるヨミは一人の人間から報告を受けていた。

 

 

 

 

「どういうことかしら!?何があったの」

「はっ。報告します。調査に出した陽光聖典が全滅しました」

 

「確か例の件を調査させていたわね」

「はっ。そこを中心に螺旋状に被害が出ています。これがその地図です」

 そう言って伝令が渡してきた報告書を受け取る。その中に被害が出た地域の地図があった。

 

「それ程の規模の被害を出すには組織的に動かないと無理でしょうけど……まさか他国の者かしら」

「いえ、それが他国へ送った間者の情報通りであるならばその可能性は低いかと…」

 

「何故?」

「他国の者も同じように調査隊を出しこれらが全滅してるとのことです」

 

「……まるでとぐろを巻いているようね。いや死の竜巻のようね。竜巻……?竜!?」

「どうされましたか?」

 

「……まさか……これは竜!……【破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)】の復活?」

「!?姫様…だとすればこれは…」

 

「急ぎ緊急会議を行います。彼らを呼ぶ際にこう言いなさい。【魔神】が復活したと!」

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

周辺諸国のトップ同士が集まる。各国は再び【魔神】が出現したのではと不安を覚えた。

 

そこで語られるスレイン法国のトップの付き添いで現れた女性により言葉が紡がれる。

 

 

 

 

最後の【魔神】、仮に【魔神王】とでも呼ぶべき存在が現れました。と。

 

 

 

 

各国は騒ぎ出す。【冒険者】たちが討ち漏らしたのでは?いや【魔神】側についたのでは?と。憶測が憶測を呼び、それは尾ひれをつけて収集がつかなくなっていく。このままでは不味いと感じ、ヨミは語る。

 

 

 

 

「【冒険者】たちを再び集めましょう。彼らの力を借り、今度こそ全てを終わりに致しましょう」

 

 

 

 

反対意見が無かった訳ではない。だが誰もが分かっていた。【魔神】の暴走により各国は危機的状況に陥った。未だに復興していない国も多い。そんな中再び脅威が現れたと知ったら次こそ収集がつかなくなる。国民の不満が爆発し自分たちの国で国家転覆が起きてもおかしくはないのだ。ゆえに何のしがらみも、表向きは国家に不干渉な【冒険者】を使うのが最もダメージが少なく得るものが多いのだ。それに万が一は彼らを切り捨てる、もしくは敵として扱い国家をコントロールしてもいい。

 

 

「国民への説明は……すべきではないでしょうな」

「えぇ。その通りです。間違いなくパニックになるでしょうね」

 

 

「偶然にも彼らのリーダーは我がスレイン法国に滞在しています。まずはリーダーに呼びかけ仲間たちを集めてもらいましょう」

「しかしそれでは全てが終わってしまう可能性があるのでは?」

 

 

「そうならないように最善策を打ち出すのです。迅速に行動致しましょう」

 

 

 


 

 

 

 それからの各国の動きは早かった。

 

 各地に散らばった英雄たち。

 

 彼らを全力で支援するという名目で送り出した(・・・・・)

 

 

 

 英雄と呼ばれた彼らは集まり、その数は最後に魔神を討伐した数とほとんど(・・・・)変わらなかった。

 

 三十人を超えるあらゆる種族による集団。

 

 そんな彼らは【神竜】と呼ばれた(スレイン法国では何故か破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)と呼ばれていた)存在を討伐するために、リーダーの提案と導きによってある場所(・・・・)へと向かった。

 

 それは【八欲王】の伝承で語られる天空に浮かぶ巨大な城塞エリュエンティウであった。

 

 そこで彼らの多くは疑問に思ったことを口に出した。

 

「どうしてリーダーはここに来れたんだ?」

「…俺はお前たちに言わなきゃいけないことがある……」

 

 リーダーは自らの正体を語った。即ち自身が【八欲王】のリーダーであることを。【八欲王】と【竜王】の戦争の切っ掛けを作ってしまったことを。

 

「騙していたのか!俺たちを!」

「………」

 

「俺の国は【八欲王】のせいで滅びかけた!」

「私の種族はお前たちと同じ種族というだけで迫害を受けた!馬鹿にしてるわ!」

「【魔神】を討伐したい同志だと信じたからこそだ!お前を殺してやる!」

 

 

「悪いがリーダー一人の責任ではない。私のせいでもある」

 そう言って暗黒騎士が仲間たちの動きを抑えた。それを見たツアーは溜息を一つ吐くと尋ねる。

 

「君も自らの正体を見せるつもりかい?」

「あぁ。もう私の正体など彼らには関係ないだろう……」

 そう言って暗黒騎士はヘルムを脱いだ。そこに現れた顔を見て一同は驚きを隠せなかった。

 

「アンデッド……お前アンデッドだったのか!?」

「あぁ。そして本当の名前は……私の本当の名前はスルシャーナだ」

 

「はっ!?えっ……どういうことだ?」

「やはりそういうことじじゃったか。通りで【魔神】にやたらと詳しかった訳じゃな」

「あぁ。その通りだ、イジャニーヤ。みんなには長い話になるが話そう」

 

 スルシャーナも自身の正体を隠していたことを侘び、謝罪する。そこで話が終わろうとした時であった。

 

 

「そしてついでに言うがツアーの正体は……」

「!?スルシャーナ!?君!?」

 スルシャーナの口から語られるはツアーの正体。それに驚く仲間たち。「騙された」とチクチク言う老婆もいた。

 

 

 

スルシャーナがツアーの正体をバラしたのはリーダーへの関心を逸らすためであったのだがそれはどうやら思うようにいったようであった。既に場は怒りや悲しみよりも衝撃が上回っており、ある意味では悪い雰囲気はリセットされたようだった。

 

 

 

「まぁ……この際もうお前たちが何者であったかなんてどうでもいい。今回の一件は【魔神】とは関係無いんだろう?」

「あぁ。今回の一件は私の国では【破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)】と呼ばれている脅威が原因だ」

 

「?聞いたことない存在だが、そんな竜王が本当に存在するのか?」

「あぁ。正確には竜王、もしくはそれに匹敵するような脅威を指す単語だ。お前たちも嵐や地震を『天災』と表現するだろう。アレと同じだ。私たちの国では天災を起こせる程の力を持ち、話し合いで解決できない存在、それをそう表現している。だから正確には【破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)】の一体、もしくは一人とでも表現するのが妥当だ」

 

「成程な。それならお前たちは何故ここまで連れてきた?」

「リーダー……そろそろい話せ」

「あぁ。今からお前たちにこのエリュエンティウにあるマジックアイテムを貸し出す。だから俺たちと共に戦ってほしい」

 

 

 


 

 

 

 【十三英雄】最後の敵【神竜】。

 

 強大な力を持つその竜王は【十三英雄】の多くを亡き者にした。

 

 ある者は尻尾による打撃で、

 

 ある者は爪による斬撃で、

 

 ある者は全てを消し去るブレスによって。

 

 それでも彼らは戦った。自分たちの大事なものの為に。

 

 

 

 ブレスを受けて鎧ごと吹き飛んだツアー。

 

 神竜の操るアンデッドを使役しようと試み反撃を受けて気絶したリグリット。

 

 

 トネリコの杖を振るい多大なダメージを与えたカイジャリ。

 

 だが彼は神竜による打撃で気絶してしまう。

 

 

 スレイン法国から派遣された女、彼女に貸し出された角笛。

 

 彼女はそれを吹いた。すると曇天の雲が開いて光が差し、九体の女神がたちまち現れた。

 

 

 

 

「ふん、女神?……下らん」

 だが神竜は目を見開いた。九体の女神の姿がたちまち九人の戦士に変化したからだ。

 

 いや正確にはその内の二人の戦士を見て驚愕を隠せなかったからだ。

 

 

「まさか……何故……お前たちは……」

 視線の先にいたのはかつて六柱の神と評された者たち含む七人の戦士ではなく、残った二人の戦士。つまり【純銀】の戦士と【黄金】の戦士がいたからであった。

 

 

神竜に周りを飛び交う九人の戦士の姿を模した女神。その者たちの放つ最大の攻撃が神竜はその身に受けた。二人の戦士を警戒し過ぎたゆえに脳裏から消えてしまっていた。

 

 

「次元断切」

「次元断切」

「次元断切」

「次元断切」

「次元断切」

「次元断切」

「次元断切」

 

 

左の翼、右の翼、尻尾、左腕、右腕、左足、右足、それぞれを切り落とすように究極の斬撃が振るわれる。巨大だったはずの肉体はあっという間に小さくなった。翼を失い地上へと落下していく体。それが重量感ある肉体を地面に容赦なく突き落とす。

 

 

「ぐぉぉぉぉっ!」

 だが神竜が最大に警戒したのはやはり【純銀】と【黄金】の二人の戦士だ。地上へと落下した神竜はその戦士が振るう武器を警戒したが既に遅かった。自身の感知よりも早いその二つの一撃を何の抵抗もなく受けてしまう。

 

 

「次元断切!」

「次元断切」

 

 

 

純銀の鎧の戦士の剣が神竜の上半身と下半身を引き裂くように横に振るい、それに合わせるように黄金の戦士の大剣が左右を引き裂くように一撃を振るった。それは巨大な十字架を描くようにした斬撃。それによって神竜の視界がズレる。

 

 

「がっ!何故奴らが!?奴らは五百年前に!」

自身の肉体をバラバラにされた神竜だったが辛うじて生きていた。既に致命傷とでも言うべきダメージを受けていたがそれでも生きていたのはドラゴンの肉体によるものが大きいだろう。

 

 

 

「汚物めぇぇぇっ!!」

 神竜はあらゆるものを消し去る自身の最強のブレスを吐いた。召喚された戦士の九人が消え去る。そのブレスの先にいたのはリーダーであった。リーダーは神竜に止めを刺そうと最強の一撃を振るおうとしていた。

 

 

 

「カイズ!」

 その間に入ったスルシャーナ。兜は既に砕けその正体が露わになっていた。

 

 

「次元断層!」

 万物を防ぐそれが神竜のブレスを防ぐ。だがブレスを吐く時間が長すぎる。

 

 

(くっ……こいつ相打ち覚悟でブレスを連続して吐いてやがる!このままじゃ全滅だ!)

 スルシャーナの背後には仲間たち。このブレスを通してしまえば全滅してしまう局面であった。

 

 

「貴様ぁ!スルシャーナぁぁぁ!」

「やれぇぇっ!カイズ!」

 

「けど!」

「相棒!」

 

 

 

 リーダーは涙を流しながら剣を振り下ろした。

 

 それは巨大な緋色に輝く一閃。

 

 その最後の一撃は間に入ったスルシャーナを飲み込み、そのままブレスを押していき……。

 

 

(あぁこれで……やっと……)

 そう思って微笑んだ。目の前にいる存在のことすら忘れていた。『神竜』と共に緋色の光に飲み込まれる。スルシャーナの肉体が緋色の光に飲み込まれていく。肉体が吹き飛び上半身が後ろへと回転する。そこで見た景色は……

 

 

 

 

(……そうか。そうだったんだ)

視界に映るは仲間たち。涙を流すリーダー、額から血を流し気絶しているリグリット、この場にいないツアー、その他大勢の仲間たち。

 

 

(みんな一つに、集まって生きて、必死に抗って………)

人間種、亜人種、異形種と多く……。

 

 

(もう十分だ。とても小さいが確かにそこに国はあったんだ)

 夢は叶わない。人間を愛せない自分ではもう不可能だと、ずっとそう考えていた。だが今なら……今だからこそ分かった。

 

 

(俺の夢はもう……叶ってたんだ。)

緋色の光に飲み込まれていく。自身の体の崩壊が加速していく。

 

 

 

 

そこにあった理想郷(十三英雄)を見てスルシャーナは微笑んだ。

 

 

(ありがとう。カイズ。俺の(十三英雄)を守ってくれて……ありが…)

 

 

 


 

 

 

 意識を失っていたリグリットが目を覚ました。

 

「終わった?『神竜』を倒したのか!?」

 

「……」

 

リーダーの無事を確認し一先ず安心した。だがすぐに違和感を覚える。どこを見てもツアーや暗黒騎士がいないのだ。意識を失う前は確かにいたはずだ。ツアーは分かる。だが暗黒騎士は……。

 

 

 

 

「兄貴!やったんだな」

「……」

 先ほどまで気絶していたカイジャリがリーダーに駆け寄る。背中しか見せていないリーダーの肩を叩く。

 

 

「リーダー?」

 何故リーダーは背中しか見せない。微動だにしていなかった。それにその横で血塗れで倒れている仲間である聖魔術師に視線を向けた。妙な違和感を覚える。彼女はまだ生きていたはずだ。彼女のその姿はまるで袈裟切りを受けたような傷跡があって……。しかもその手には蘇生用のマジックアイテムが握られていて……。

 

 

「カイジャリ!離れろ!」

「どうしたんだ?リグリット。なぁ兄……っ」

 リグリットは目を疑った。百年以上共に生きた己の目をかつてない程疑ったのだ。悪寒を感じた瞬間、すぐに仲間を引き離すべきだったのだ。

 

 

 

 

 目の前にいるリーダーが……

 

 

 

 

 

 

 

 

仲間の(・・・)カイジャリの胴体を切断したからだ。

 

鮮血が吹き出し、周囲一帯を赤く染めた。周囲一帯に飛び散った鮮血はまるで大きな疑問符のようであった。

 

 

 

 

「リー…ダー?」

 震える声のリグリット。その呼び掛けに反応するようにリーダーは身体をこちらへと向けた。

 

 

 

 

----『お前の夢を守らせてくれ。カイジャリ』----

 

かつて優しい笑みを浮かべキザなセリフを言った自分に照れたのか頬は赤かった。

 

だが今は顔に噴き出た鮮血を浴び赤く染まっていた。

 

 

 

 

(リーダー…お前…)

 

口元は笑い、表情は歪み、瞳からは涙が溢れていた。

 

それはかつていたスレイン法国、そして【魔神】たちが見せていた表情でもあった。

 

 

 

 

(ぬし、心が壊れてしまって……)

 

 

 

 

 

「あぁ……あぁ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!!」

 突然奇声を上げた者がいた。それはリグリットの目の前にいた人物であった。

 

 

 

 

----『俺たちと来るか?リグリット』----

 

 かつて自分たちに差し伸べられた手。その優しい手によって多くの仲間たちは救われた。

 

だが今やその手には剣が握られ、無慈悲にリグリットの腹部を突き刺した。

 

 

 

 

「あぁあぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

 もうそれは誰の叫びかすら分からなかった。

 

 

 

 

誰よりも弱く傷つきながら剣を振るい誰よりも強くなった英雄。

 

そんな強くなった彼が今や自分たちに剣を振るっていた。

 

 

 

「全員逃げろぉぉぉ!!!」

 リグリットは叫んだ。反射的に横に動いたおかげで内臓を避けて致命傷は避けていた。だが腹部に走る様々な感覚が冷静さを奪う。今思えばこの時自分は叫ぶべきではなかったかもしれない。その声に反応した様にリーダーがリグリットに向かって再び剣を振り上げた。

 

何度も見た袈裟切りの構え。【魔神】との戦闘の際に必ず見たその動きは仲間たちの意識を高揚させ鼓舞した。さならが希望の象徴であった。

 

だが今やその構えは……。

 

 

 

「ぬしは一人で背負い過ぎたんじゃ」

 リグリットは瞳を閉じた。

 

 

 

「<デスナイト>ぉぉ!!」

 デスナイトがリグリットの影から現れ召喚主であるリグリットを守ろうとフランベルジュを振るった。

 

 

 

 

 だがその攻撃を何も握られていない左手で掴まれた。その直後デスナイトの上半身が吹き飛んだ。

 

 

 

「あが……あぁぁ……あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 リーダーの喉が避けたのか口から叫びと共に鮮血が飛び出る。

 

 

 

その背後に一人の巨人がいた。

 

 

「止まれ!!」

 エアジャイアントの戦士長は斧を振るう。巨大な旋風がリーダーを襲い意識を刈り取ろうとした。

 

「止まってくれぇぇぇっ!!!」

 何度も斧を振るい、意識を奪おうとする。だがリーダーは背後からの攻撃に意識を向けそちらを振り向く。何も映さないその瞳がニッグを捉えた。

 

 

「仲間を殺すなぁぁぁ!!!」

 振るう。とにかく振るった。武技も含めて全てを出し切る。だがそれらは全て無情にも……。

 

 

「あが……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 リーダーの叫び声のみで旋風がかき消された。ニッグはそれでも斧を振るおうとして……。

 

「がっ!」

 ニッグの喉元を剣が貫いた。だが手放しそうになる意識を何とか保ち、剣を掴むその腕を掴んだ。

 

 

(放すか!絶対に放さない!お前の腕を折るまでは!)

 ニッグの抵抗にリーダーは剣を両手で抜こうとする。しかし巨人の優れた腕力によって動きが止まってしまう。

 

 

 

(不味い……このままじゃ)

ニッグが腕力に全精力を込めたと同時に急激に意識が失いそうになる。だがリーダーの背後にいる存在に気付くと再び腕力に全てを込めた。

 

 

リーダーの背後にいたのはイジャニーヤ。イジャニーヤの持つ刀がリーダーの脳天めがけて振り下ろされる。

 

だがリーダーは剣を持つ左腕を放す。そのまま背後に飛んでいたイジャニーヤの首を掴む。奇襲に失敗したイジャニーヤはすぐさま刀を引いた。リーダーの左腕の血管が浮き出る。

 

 

(こやつ!わしの首の骨を折る気か!)

イジャニーヤはリーダーの狙いに気付き自身に残された時間は少ないことを察した。すると持っていた刀でリーダーの左目を貫いた。

 

 

「あがぁぁぁぁ…あぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 激痛からか叫ぶリーダーはそのままイジャニーヤの首の骨を折った。ボキっと不快な音が二つ同時に(・・・・・)に周囲に広がる。

 

 

「!!」

 ニッグは最後の力を込めてリーダーの腕の骨を折ることに成功した。だがリーダーは叫ぶとニッグを持った腕をそのまま地面に叩きつけた。まだ辛うじて意識を保っていたニッグを使い物にならなくなった右腕とイジャニーヤを掴んだままの左腕で殴りつけた。

 

何度も……何度も……。

 

血が吹き出し、肉が裂け、骨が見えても……。

 

何度も何度も……。

 

ニッグが死に、至る所が折れていたイジャニーヤを投げ捨てた。そして左腕で剣を掴んだ。

 

 

 

 

そんなリーダーに向かって鎌を振るう女が一人いた。スレイン法国から派遣された彼女のその一撃にリーダーは回避しようとするも左耳にかすりそのまま左腕が空中には弾けるようにして飛んでいく。だがそんな状況になってもリーダーは叫び剣を振るう。

 

 

「くっ…殺すぞ」

女は鎌で防御するように構えたが遅かったのだ。

 

リーダーが剣を振るって切断しようとしたのは両足であった。

 

 

女はそれに気付き激痛を緩和しようと叫び太腿より上の部分だけで鎌を振り上げた。

 

だがリーダーは今度はその両腕を切断するように横に一閃。

 

女は両腕両足を僅か数秒で失った。腰にぶら下げていた角笛が地面に落ちる。

 

 

 

「あぁぁぁぁぁ!!」

 女の叫びに反応したのは女の近くにいたエルフの王族の仲間であった。

 

 

「落ち着くのだ。俺が貴様を助ける」

 そう言って軽くなった(・・・・・)女をエルフの男は大事そうに抱きしめると一言叫んだ。

 

 

「リグリット!!」

「わかっておる!」

 

リーダーに向かって剣を振るうリグリットがいた。だがその奇襲も失敗。リーダーの意識は完全にリグリットに向かった。

 

 

「あやつらだけでも助かればよいが……」

「あががががっぁぁぁぁ」

 

 

リーダーはリグリットに向かって剣を振るう。それを見て構えたリグリットは何とか彼らだけでも逃そうと時間稼ぎをすることを決める。

 

 

それから十秒にも満たない攻防が繰り返された。他の仲間たちが凶刃の前にバタバタと倒れていく。

 

召喚する。攻撃される。消滅する。もう体力も魔力も限界になったリグリットは地面に伏した。

 

 

 

再び剣を振るうリーダー。倒れたリグリットに目も向けず、既に周囲に誰も立ってない(・・・・・・)のに剣を振り回す姿はまるで何かを探しているよう(・・・・・・)だった。

 

 

そんなリーダーに飛んでいく三本の武器。

 

 

刀。リーダーの左肩を貫いた。

 

大剣。リーダーの腹部を貫いた。

 

ハンマー。リーダーの頭蓋を砕いた。

 

リーダーが地面に両膝を着いた。持っていた剣が地面に当たりカランと金属音を響かせる。

 

 

 

 

「リーダー!」

「?……っ!」

 先程のツアーからの攻撃によりリーダーの瞳に光が戻る。だがそれは……。

 

理性を失っていたリーダーが自分の犯したことに気づいてしまった。

 

周囲を見ても血や死体が溢れていた。

 

 

 

「あ……あ……あっぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 リーダーの瞳から大粒の涙が溢れ出す。その瞳に冷たい何かが宿ったのをツアーは見逃さなかった。

 

 

(あぁなってはおもう手遅れだ。このままでは【世界の敵】になってしまう。僕が世界を守らなくては!)

 ツアーは覚悟を決めてリーダーに接近する。

 

 その瞬間、ツアーの鎧が血に染まった。

 

 

「えっ……」

 それは誰の声だっただろうか。少なくともリーダーでないのは確かだった。何故ならリーダーの喉には自身の武器が突き刺さっていたからだ。そこから噴水の如くの鮮血が辺り一面を赤く染めた。血の勢いに流されて剣が地面に落ちた。

 

リグリットはそんなリーダーの顔を、口元を見てしまった。

 

幻聴の類かもしれない。だが確かに裂けた喉でそう言ったのだ。

 

 

 

 

「スルシャーナぁ……」

 

 

 

ツアーは剣を拾い上げると、鎧を震わせながら剣を振り下ろした。

 

 

リーダーの首が切り落とされた。

 

 

 

 

辺りに静寂が広がる。

 

 

 

「………」

「………」

ツアーもリグリットも、他の生き残ったメンバーも誰も何も言わなかった。

いや言えなかった。

 

 

 

【英雄】の物語がこんな形で幕を閉じるなどと誰が想像できただろうか。

 

 最大の英雄が魔神と化し、それを討伐した者たち。

 

 そこに希望はないのだ。

 

 

 

 

 夢が壊れて、絶望だけが残されたなんて。

 

 この場にいる(・・・・・・)誰が想像できただろうか。

 

 

 


 

 

 

スルシャーナの亡き後、第一の従者たるヨミは眠った。

 

「スルシャーナ様がお帰りになるまでは起こさないで下さい」

 

スルシャーナのために用意されていた棺の中に彼女は眠った。

 

せめて夢の中で会えることを祈るだけだ。

 

 

 

 

 

スレイン法国から派遣された彼女とエルフの仲間が【十三英雄】の元に帰ることは決して無かった。

 

二人が無事なのかすら分からない。

 

だが二人が無事だろうが、事の顛末を告げるのは心苦しかった。

 

何も知らない方が幸せかもしれないのだから。

 

 

 

 

【十三英雄】の仲間たちの中には蘇生を拒否する者も多かった。それは絶望ゆえからだろう。

 

もうこれ以上の絶望を見たくない。彼らの多くが目を覚ますことは無かった。

 

 

 

残った者たちは全ての真相を語ることはしなかった。だが皆、一つだけ共通していることがあった。リーダーと暗黒騎士の秘密とその最期であった。

 

 

 

 

一通りの事を終えたツアーとリグリット。多くの仲間を故郷に戻るように告げた。

 

彼らはただ黙して帰郷した。

 

 

 

「リグリット……」

「何じゃツアー」

 

「……これからは僕が世界を守るよ」

「リーダーやスルシャーナの代わりにか」

 

「いや……彼らの代わりとしてではなく、ただ一体の竜王としてだ」

「そうか……【英雄】として守る訳ではないのか」

 

「あぁ。僕は【英雄】じゃない。神や王でもない。ただのドラゴンだ」

「……おぬしまで背負い過ぎるなよ。ツアー、必要とあらばわしを使えよ」

 

「あぁ。その時は頼らせてもらうよ。リグリット」

「あぁ。それまではしばしの別れじゃな。ツアー」

 去っていく仲間の姿を見てツアーは一言呟く。

 

 

 

「そうだ。僕が世界を守るしかないんだ。リーダーもスルシャーナもいないのだから………」

 白銀の鎧のツアー。その右腕にはリーダーの遺品である剣が握られていた。

 

 

 

「世界を守るんだ。悪しき【流星の子】から。リーダーとスルシャーナが守ろうとしたこの世界を!」

 

 

 

◆ ◆ ◆ 

 

◆ ◆ ◆ 

 

 

とある教会 壊れたステンドグラスがある場所

 

 

 

 そこで赤い服に身を纏う仮面の男と全身を白い貴人服に包む女がいた。

 

 

 

「『神竜』が討たれました」

「そうですか……所詮は失敗作でしたか」

 

 

「えぇ。ですがこれでよかったのですか?」

「何がですか?」

 

 

「計画通り【八欲王】と【六大神】の生き残りを完全に排除できました。あの例の角笛の効果も確認出来ました」

「というとやはり効果は私の言った通りでしたか?」

 

「えぇ。九人の戦士の姿を確認しました。その中に我らにとって最大の脅威たる戦士の姿もありました」

「…【純銀の聖騎士】。やはり世界に選ばれた戦士である彼は……未だに祝福を失ってはいない。その証拠にあの角笛で彼を模した戦女神が召喚された。それが確認できただけでもよしとしますか」

 

「…【黄金】の戦士の方はよろしいので?見たところ【純銀】とほぼ同格に見えましたが…」

「そちらは問題ありません。アレが敵になる(・・・・・・)ことは絶対にありえせまんから」

 

「あの戦士は確か……あぁ、そうでしたね。そういうことですか。ヤルダバオト様」

「えぇ。その通りです。ラスト。何も問題ありません」

 

 

「それでは、いよいよ次の段階に移るのですか?」

「えぇ。邪魔な第一の従者は眠りました。そろそろスレイン法国を影から支配いたしましょう。【新世界】の為に」

 

 

 そこで世界は消失した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





※注意※

十三英雄関連の情報は次回に書きます。
すみません。投稿するペースを上げるためです。
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