一同はカルネ村へと向かっていた。理由としては宿泊場所にするためである。
ミスリル級冒険者チーム『虹』『天狼』『クラルグラ』それとモモンたち(この時はまだ冒険者チームを名乗っていなかったので便宜上モモンたちと表記する)である。
(トブの大森林だけでなくカルネ村もか・・・
モモンはそう思う。
(それにアインズ殿に聞きたいことがあるしな・・・・)
聞きたいことは『アンデッド』に関すること。それともう一つである。
(『英雄』とは一体どういったものだろうか?)
「確か、モモン殿はトブの大森林やカルネ村に来るのは初めてでは無かったよな?」
「えぇ。そうです。モックナックさん」
「『森の賢王』を従わせたのは事実なのか?」
「えぇ。今はハムスケという名前ですが」
モモンはこのモックナックという男に対して好感を持っていた。最初に会った時の丁寧な対応、それに今も周囲を気にしながら話してくれている。
(ぺテルとはまた違う意味で好青年?なのかもしれない)
疑問形になったのはモックナックの年齢が分からなかったからだ。年上なのは確かだろうが・・・
(かといって相手に年齢に関することを聞くのは失礼な気がするし・・・・)
モモンがそんなことを考えながらモックナックと会話していた時であった。
イグヴァルジが口を開く。
「けっ・・・少し前まで
そのキツい言い方にベロテが口を開いた。
「よせ!イグヴァルジ・・」
「ふん・・事実だろ?エ・ランテルでは『漆黒の英雄』だとか言われて調子こいてるみたいだが・・ここじゃお前はただの新人なんだ。あまり調子に乗るなよ」
「そんなつもりは無かったんだが・・・不快にさせたなら謝るよ」
モモンは謝罪する。
(一体何が気に入らなかったんだ?)
「けっ!モモンもナーベも聞いたことの無い名前だしな。どこの馬の骨だか・・」
そう言ってその辺りの小石を蹴っ飛ばした。
「いい加減にしろ!イグヴァルジ。同じ依頼を受ける仲間なんだ。そんな言い方はないだろ」ベロテが口調を荒げて話す。
「構いませんよ。確かに彼の言う通り、いきなりミスリル級に昇格されていきなり仲良くは出来ないでしょう。ですが一つだけ訂正をお願いします」
「あん!?」
「私の仲間を馬鹿にするのは止めてもらいたい」
それは冷たい声だった。凍り付くような感覚。
それはモモンが出した闘気がイグヴァルジを襲っていたからだ。
「があっ!!?」
(何だこれ!?一体何のトリックだ!?身体が動かねぇ・・)
イグヴァルジとは違い、闘気を当てられていない『虹』『天狼』、『クラルグラ』の他のメンバーもかなりの
(私たちですらここまで重圧を感じるのだ。直接当てられているイグヴァルジは・・・ヤバいだろうなぁ)
『天狼』のベロテはそう思う。
(この感じ・・・・カッツェ平野で遭遇して私たちが撤退した幽霊船よりヤバい)
『虹』のモックナックは過去を思い出していた。だが今まで遭遇した中で一番ヤバいのは確かだった。
「・・・・」
モックナックは冷や汗を流す。
(敵対すれば私たちは終わりだ・・・・だが・・
今までの彼の言動などを考えると・・・
私たち『虹』やベロテ率いる『天狼』は問題ない)
(問題は・・・・仲間を馬鹿にしたイグヴァルジだな)
そこでモックナックはイグヴァルジに目線を向ける。
(だが・・このままではいかないな)
「くっ・・」
「訂正してくれないのか?」
「待ってくれ!モモン殿!」
そう言ってモックナックは二人の間に入りモモンに顔を向けた。
「ぐっ・・」
イグヴァルジが受けていた重圧を受けて身体が沈みそうになる。
「モックナックさん!??」
モモンは間に入ったモックナックに気が付くとすぐに闘気を引く。
「話をしている間に失礼する。モモン殿」
モックナックは倒れそうになる身体を何とか立たせて会話する。
「すみません。大丈夫ですか!?」
モモンは慌ててモックナックに尋ねる。
「大丈夫だ。もしよければ私の話を聞いて頂けないか?無論イグヴァルジ・・お前も聞け」
「はい」
モモンはすぐさま返事をする。モックナックに対して申し訳ない気持ちもあったからだ。
「・・」
イグヴァルジは無言であった。だがこの場を切り抜けられるならと話を聞くつもりで一度頷いた。
「我々は今回『合同』で依頼を受けている。ここで大事なのは『合同』であるということだ。つまり一緒に依頼を果たさなければならない。だからチーム同士が争うようなことがあってはならない。そうだな?イグヴァルジ」
「あ・・・あぁ」
「そういうことでモモン殿。イグヴァルジも反省している様だし『今回だけは』許してやってくれないだろうか?」
「・・わかりました。私も大人げなかったです。申し訳ありません。皆さん」
モモンは頭を下げて謝罪する。その態度は誠実そのものであった。
それを見たイグヴァルジはプライドが許さなかったのか謝罪に反応することが出来なかった。
それを見た『虹』と『天狼』はやはりと思った。
(やはりイグヴァルジは謝らないか・・・)
想像通りの反応だったため彼らの中でイグヴァルジの評価は一段階下がった。
そのことをイグヴァルジは知る由も無かった。
そういったことはありつつも一同の目にカルネ村が映った。