しばらく創作意欲が消失していました。正直言って今回はリハビリで書いた所あります。ご不快な思いをさせるかもしれません。申し訳ありません。
書いてある内容はアレですが、もしよければ見ていただけたらと思います。
モモンは闘技場の中にいた。今回の参加者は百人以上いたらしく、それらが闘技場の中心に立っている。その様は外から見れば中々な眺めだろう。
(しかし…何で参加者は全員、ここに集められた?まさか試合前の挨拶か?いや油断すべきではないな。乱戦でも始めさせるつもりだと考えておこう。いつでも戦えるよう身構えておくべきだろうな)
モモンは気を張り詰めた。警戒すべきは主に二人、一人はシメイ。もう一人はアガネイアだ。
モモンは考える。
シメイとアガネイア……。どちらを最優先で警戒すべきか。
(……個人的にはアガネイアの方が危険だろうな。奴は【流星の子】の存在を知っていた。そのことから奴自身ももしかしたら……【流星の子】である可能性が高い)
流星の子
モモンにとっては未知なる情報であり、詳細は何も知らない。もしかしたらミータッチやアインズ・ウール・ゴウンならば何か知りえるのではと思うが今となっては確認しようがない。
(あくまで可能性だが……。あるいは…)
それはもう一つの可能性。
(【神人】か……)
かつてミータッチから聞いた話では、スレイン法国は【六大神】の子孫を秘匿しているらしい。それが確かならばあの強さも納得だ。正確には六大神と呼ばれた流星の子の血を覚醒させた者がそう呼ばれるとか……正直言ってモモンからすれば呼称うんぬんは別にどうでもいいことであった。
(アガネイア……シメイ、二人とも【流星の子】、もしくは【神人】の可能性がある……か。【神人】ならばスレイン法国と何かしらの関係を持つことを意味する。謎の多いあの国ならば見たことのない強大なアイテムが存在してもおかしくはないだろう)
モモンは冷静に分析していく。
(いや……本当に重要なのは二人が自分などより遥かに強いことだろう)
モモンには何があっても優勝しないといけない事情がある。
モモンは大剣を強く握りしめた。
正直言ってアルシェの一件を皇帝に直訴するのはついでの意味合いが強い。モモンは可能ならば助けが必要なものを助けたいとは思う。しかしそれ以上に大事なものに比べて優先するようなものではない。
(【漆黒の英雄】が聞いて呆れるな。……あの方ならこんなこと考えなかったのだろう…か。【誰かが困ってたら助けるのが当たり前】……並みの者ではまず言えない。だが彼は違った。誰よりも強く、力に溺れることもなく優しくあり続けた)
そこでモモンは思い出す。エメラルドタブレットを通して見た過去の出来事を。
(そう……【六大神】の様に特定の種族だけに認め認められる存在でなく、【八欲王】のように力をただ振り回したり振り回されたりする存在4でもない。……そんな彼にこそ【英雄】の名は相応しいだろう。少なくとも私などよりは……いや比べることすらおこがましいだろうな)
モモンは自嘲が過ぎるなと鼻で笑った。
(私は【英雄】などと呼ばれるに相応しくないだろう。だがほんの少しくらい彼に……【英雄】に近づきたいと思うのは構わないだろう?)
『漆黒』の名は守る。だが少しくらい寄り道は許してくれ。
「?」
モモンは違和感を覚える。
それは冷たいものでもなかった。だが暖かいものでもない。そこに関心以外の情は一切なく獲物を「観察」するかの如きものであった。違和感の正体は視線であった。
それに気付き、モモンは思わず視線の元となる場所に顔を向けた
最初は何者か分からなかった。だがそのものいるであろう部屋の外観を見て貴賓室らしき場所だと判断、ある一定の地位にいる存在だと瞬時に把握した。そして窓から見える上半身の情報を基にその人物が何者か理解した。
一目見たモモンの感想は……
(流石だな。あぁいうのを王の器とでも言うのだろうか)
王国で出会った王は『支配者』ではなく『象徴』だとモモンには思えた。いや思わされたという方が正しいか。
それは男から発するオーラとでも呼ぶべき不思議な雰囲気。
王威をそのまま纏ったような独特で高貴なものを感じさせる。
眉目秀麗。金髪に、濃い紫で切れ長の瞳をしていた。全身こそ見えないが高貴さを感じさせるオーラを纏っている。それらを総合的に考えてモモンの脳裏に再び『支配者』という単語がよぎる。
その表情はモモンからの視線に気付くと笑顔を見せた。思わず好感を持ってしまいそうになる程に様になっている。
いや…様になり過ぎていた。
モモンはそれが偽りの表情だと理解する。
(顔は知らないが……あの感じ間違いない!!あの男が『鮮血帝』ジルクリフ=エルニクス=ファーロードだ!)
モモンはほんの数秒、ジルクリフを見ていた。
ジルクリフもまたモモンを見ていた。
二人の視線が交差する。
だがやがてジルクリフは窓から腕を伸ばし、指を差した。その先には……。
進行役らしき人物が現れる。だが現れた男は何故か仮面を被っている。
「………………」
だが進行役の人物は喋らない。闘技場内が沈黙に支配された。
「皆さまお待たせしました。これより武術大会を開催します。進行はこの私、ハイユ―が務めさせていただきます!」
そう言ってオーバーリアクションで語り出す男は進行役にはうってつけなのだろう。それが演技の類かは分からないが随分と様になっている。何やら手には声を拡張するマジックアイテムが握られていた。そこから声のボリュームが大きくなり観客席の末端にまで広がった。先ほどまで沈黙の影響か、より強烈な印象を与えた。
「今回は残念ながら『武王』の参加はありません!」
観客席の中からブーイングが上がる。中には「金返せ!」などと叫ぶ者もいる。
ブーインングの嵐の中、男はただ一言「ですが!」そう言った観客たちを黙らせた。
「…今回の催しはいつもとは違います!何と!最初は参加者全員で戦ってもらいます!そこで残った四人だけが本戦に参加という形です!」
観客席の中から戸惑いの声も上がる。しかしそれ以上に喜びの声が上がる。基本的に闘技場での大会はトーナメント形式であり、勝ち上がった者同士が争うというもの。ゆえに基本的に一対一、もしくはチーム対抗のようなものだ。確かにそれは楽しめるのだがここ最近は同じような形式が多く、観客の中では半年に一度くらいの頻度で見るのが丁度いいと思っている者も少なくはない。ゆえに進行役に「分かっているじゃねぇか」などと口を開く者もいる。
「ルールは簡単。殺害禁止で相手を降伏させるか気絶させればよし!さて生き残るは一体誰でしょう?」
観客席が静まり返る。いつもと違う大会が開かれることが決まったことで固唾を呑んだ。闘技場内で緊張感が走る。視線が参加者たちに集まる。
青い髪で髭がボサボサの刀使い……ブレイン=アングラウス
『白銀』の鎧を着こむ謎の戦士……アガネイア
白と黒の奇抜な格好のの鎌使いの女……シメイ
そして漆黒の戦士……モモン
その四人の傍らで多くの参加者が目をギラつかせる中で密かに差別意識の高い刀使いの男はモモンの方ばかりチラチラと見ていた。だが四人の誰もその剣士の存在に気付くことはなかった。
「それでは始め!!」
モモンは背中の大剣を抜くと武技を使い周囲を感知する。
その瞬間、モモンの武技の感知から二人が飛び出した。
「モモンの奴め……面白い男だ。噂以上の男かもしれんぞ。これは今回の大会が楽しみだな。なぁバジウッド」
『鮮血帝』ことジルクリフ=エル二クス=ファーロードは微笑んだ。それにつられる形で隣にいた護衛であり、『四騎士』筆頭"雷光"バジウッド=ペシュメルは笑う。
「そうですね。陛下。今回の大会は『武王』が参加しないと公言しているにも関わらずこれですぜ。あの『漆黒』に、アングラウスもいるとはこりゃ楽しみですね」
「お前の言う通りだな。しかし予想以上の賑わいで私は嬉しいぞ」
「もしかしてあの白銀の鎧を着こんでいる戦士のことですかい?それとも鎌使いの女ですか?」
「両方だな。まぁ今言った四人が全員帝国に来てくれたら喜ばしいがな」
「そうなったら大変ですぜい。陛下俺たち『四騎士』は解雇ですか?」
「馬鹿言うな。お前たちを解雇だと?そんな馬鹿な奴なのか?『鮮血帝』という男は」
「いやーどうですかね。俺の知る限りだと帝国のためならば平気でしそうですがね。まぁ…『四騎士』が問題でも起こさない限りは心配しなくいていいでしょうが」
「違いないな」
お互い皇帝とその護衛の騎士という役職ではるもこの二人の間にはこんな冗談を言い合える関係であった。それはお互いがお互いを認めあっていたからだ。ジルクリフは『皇帝』としてバジウッドを認め、バジウッドも『臣下』としてジルクリフを認めていた。
「モモンか……流石はかの大悪魔を退けただけはある。素晴らしいな」
(欲しいな。アレが欲しい。この国にはあのような者が必要だ。だが
『四騎士』筆頭であるバジウッドの見立てでは単独での実力ではガゼフには勝てない。複数で戦えば勝機はあるだろうが最低でも死者が二人出るだろうとジルクリフは考えていた。それは過去にガゼフにより『四騎士』の二人を討ち取られたことがあるからだ。ゆえにジルクリフは圧倒的な実力を持つ"強者"を求めていた。
「バジウッド、アレをどう思う?」
「……俺じゃ勝てないでしょうね。『四騎士』全員で戦っても負けるでしょうね」
貴賓室のドアがノックされる。恐らく新しく雇った護衛たちだろう。とある事情で一時的に雇った護衛たちだ。
「陛下、来客です」
そう言って報告をしたのは『ヘビーマッシャー』のグリンガムであった。
「そうか……通してくれ」
ジルクリフが許可を出すと先程の護衛とは別に雇ったパルパトラだという男とそれが率いるチームのメンバーだ。その男たちの背後にローブで姿を隠している怪しげな男たちを引き入れる。
「……」
「やぁ。久しいな。神官長たち」
「あの話の結論を聞きに来た。返答は如何に」
「本題に入る前に少し試合でも見て行かないか。面白いものが見れそうぞ」
「ふざけているのか?これは人類にとって大事なことなのだぞ。早く答えを聞かせてもらおうか」
「実は決めかねているのだ」
「何を悩むのだ?人類にとって利益になる選択肢は一つしかないではないか!」
「だからこそだ……」
「我が国とスレイン法国が同盟を結ぶ……それが本当に正しい選択なのか?」
沈黙が流れる貴賓室の外から観客たちの歓声が響き渡った。
あとがき
???「うわぁ…ハイユーってそのままじゃんか。おいぃぃ!」
評価・感想頂けたら励みになります。過去にそれらを送って下さった方、本当に感謝致します。