星のカービィ28周年、そしてカービィお誕生日おめでとうございます。
友人から「星で年一投稿とか七夕伝説みたいだな」と謎の煽りを受けたので初投稿です。
流石に短すぎるから後で書き加えるかも
月が高く登り、時刻も夜遅くを過ぎた頃のこと。
村外れの断崖に居を構えるデデデ城はにわかに騒がしくなっていた。
レン村長の牧場の羊飼いを筆頭に、村の若い者達が押し寄せた為である。
「何?巨大な怪物が羊を食ったでゲスと?」
遅めの夕食をとっていた城主のデデデ大王に代わって彼らを迎えたのは、プププビレッジの宰相エスカルゴンだった。
エスカルゴンは村人達の言葉に眉根を潜め、不機嫌だと言わんばかり背中に背負う大きな殻と口髭を震わせている。
「は、はい!その怪物は確かにこのお城に──」
「ハンッ、だまれい! そんな怪物がこのデデデ大王様のお城の何処に居ようぞ!」
衛兵のワドルディから分捕った槍を使い村人を威すエスカルゴン。今夜に限り幾度か繰り返されたその口論をいよいよ終わらせようとばかりに語気を強め、その剣幕に村人達も一人一人と口を閉ざし始めていた。
「待ちなさいよドクターエスカルゴン!少しは話を聞いてあげたら?」
「そうだ、偉そうに!」
と、諦めて踵を返そうとする村人達はエスカルゴンを諌める少女の声で足を止める。
騒ぎを聞きつけてやってきたのだろう、エスカルゴンを制止させる様に隣に並び立った少女の名前はフーム。このプププビレッジの大臣であるパーム大臣の子女であった。
「生意気なフームにチビのブン。お前らの出る幕ではないわ!子供は子供もらしくさっさと寝るでゲスな」
「ぬぬぬ……パパ、何とか言ってやってよ!」
エスカルゴンは姉の言葉に元気よく合いの手を打つブン共々横目で見やると、下卑た笑いを浮かべて一蹴する。
突き放す様なエスカルゴンの言に返す言葉が見つからなかったのか、フームは同じく騒ぎを聞きつけてやって来ていた父親──パーム大臣へ助けを求めた。
「怪物かあ、多分陛下の仕業だろうなあ」
「それしかないわねぇ」
「こっこの!仮にも陛下にお仕えする大臣の癖に!大王様、コイツラは皆極刑でゲスな!」
「ぐあっはっはっはっは!まあ待てゾイ。その怪物とはこいつのことか?」
パーム一家の言動に思わずいきり立つエスカルゴン。そんな彼を止めたのは食事中のデデデ大王であった。
デデデ大王は右手に肉の塊を刺したナイフを掲げ、左手に持ったフォークで行儀悪くも部屋の壁に設置された水槽へ指し示す。
水槽の中にはフーム握りこぶし2つ分ほどの小さな赤いタコが浮かんでいた。
「あっアイツだ!アイツが羊を食べたんだ!」
「ぐあっはっはっはっは!これはワシの可愛いペットのオクタコちゃんゾイ。ほ〜らおいちいシシャモでちゅよ〜」
食器を置き椅子から立ち上がったデデデ大王が猫なで声で懐からシシャモを取り出しオクタコに餌をやる。
甘えた顔でシシャモを口にするオクタコは、村人達から見てサイズ的にも基質的にも羊を食うようには見えなかった。
「こんな可愛いペットがどうやって羊を食べると言うゾイ、でゅあははははは!」
「全くでゲスな。ほら、早く下がらんと裁判抜きで極刑的でゲスよ!」
エスカルゴンは今度こそ話は終わりだと今度はパーム一家も含めてまた衛兵の槍を使って村人を追い立てる。
その槍の合間を掻い潜りデデデの目を盗んで水槽に近づいたフームはじっとオクタコを見つめた。
(またぞろデデデとエスカルゴンが悪巧みにしてるに決まってるわ)
プププビレッジの住民なら共通認識である大王への不信感を込めて睨みつける様に見つめ続ける。
オクタコは焦げたようにくすんだ赤い体色に呑気そうな顔が特徴的だ。だがフームには何処か自分を睨み返しているようにも見えていた。
結局エスカルゴンに見つかり追い出されるまでフームはオクタコから目を離す事ができなかった。