東方神聖魔   作:東来

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フランとの戦闘シーンです。





『狂気』は故に、弱いのである

扉の向こうは、やっぱり赤が中心とした壁だった。

奥には、お姫様が眠るようなベットがありその上には、棺桶らしき物が置いてあった。十字架を模ったデザインが入っており、十字架の真ん中にはバラのデザインが入っていた。

吸血鬼って言うのに十字架のデザインが付いた棺桶かよ。

部屋中にぬいぐるみの散乱しており、どのぬいぐるみも綿が出ている状態だった。

部屋の真ん中に、少女が立っていた。

濃い黄色の髪をサイドテールにまとめ、その上からナイトキャップを被っている。 瞳の色は真紅。服装も真紅を基調としており、半袖とミニスカートを着用しており、 またその背中からは、一対の枝に七色の結晶がぶら下ったような特殊な翼が生えている。さらに、手には先端にトランプのスペードのようなものが付いた、グネグネと折れ曲がった黒い棒のようなものを持っている。足元はソックスに赤のストラップシューズを履いている。

 

「君がフランドールかい?」

 

「そうよ。あなたは人間?新しいおもちゃかしら」

 

「おもちゃ言うな。フランドール、君を助けに来た」

 

「助けに?私を?……アハハハハハ」

 

フランドールから紅黒い、オーラが立ち込めてきた。それは、レミリアの発したオーラにはなかった、悪意が出てきた。想雅はこれを『狂気』と感じた。

 

「そんなことより、私と遊びましょ!ね!」

 

フランドールは、瞳を紅く光らせ、笑った。しかし、その笑いは、普通の笑いではなかった。

 

「遊ぶ?なにして?」

 

「こ・わ・し・あ・い!」

 

「い!」と同時に、弾幕が飛んできた。

 

「ちょ、待て!」

 

しかし、弾幕は待ってくれない。

想雅は右に避けた。分厚い扉に弾幕が当たり、穴が開かない程度にへこんだ。

 

「避けた避けた!キャハハハハハ!」

 

フランドールは笑いながら、手を拍手させた。

 

「これなら、少しは楽しめそうね」

 

「こっちは死にかけるんだが……」

 

「簡単に壊れないでね。禁忌『クランベリートラップ』」

 

部屋端に数個の魔法陣を出現させ、縦横に移動させつつ想雅を狙い撃ちにしてきた。

 

「クッ、やるしかないのか。無双『斬月』」

 

斬撃が弾幕を斬り、魔方陣までもが斬撃によって斬られた。

 

「スペカを切り刻んじゃうなんて、おもしろいよ!」

 

弾幕ごっこ中でも、フランドールの笑いは絶えない。

 

「でも、これはどうかしら、禁忌『フォーオブアカインド』」

 

フランドールが4人に分身した。

そして、4人から弾幕が放たれた。

 

「これは、ヤバいかもな……」

 

フランドールを傷つけるわけにはいかない。

ましてや、フランドールたちは動くため、よくシャッフルされている。どれが本物なのか、わからないまでに。

想雅はスペル詠唱を行わずに、ただただ、避けることに専念した。

 

「アハハハハ、避けてばかりじゃつまらないわ!人間!」

 

しかし、避けてばかりだと人間である想雅は、息を切らしていた。

 

「クッ、このままだと……何か策はn……グッ!」

 

想雅の左足にフランドールの弾幕が掠った。それにより、バランスを崩し、床へと倒れてしまった。

フランドールは弾幕を放つのをやめ、想雅に言った。

 

「あ~、やっぱりつまらない。もういいわ、死んじゃえ。禁忌『レーヴァテイン』」

 

スペードのような形をした、グネグネと折れ曲がった黒い棒のようなものから真紅の炎が吹き上がり、大きな剣の形となった。

今まで、笑っていた顔が歪み、瞳から涙を零した。

 

「ご……めんな……さい……」

 

想雅はその言葉を聞き逃さなかった。

 

「『魔』よ!」

 

刀身に『魔』の力を込め、薙ぎ払うように迫ってくる炎の剣を刀で受けとめた。

刀身にだけではなく、自分の体全体に『魔』を送り込み、体を強化した。そのおかげで想雅の体はピクリとも動かず、その場に止まった。

 

「フランドール!聴こえるか!……って熱っ!めっさ熱っ!」

 

しょうがない、炎だもの。

 

「俺はお前を助けに来たって言ったよな。つまりここから出れると言うことだ」

 

「外に出たとしてもお姉様は私を仲間外れにするわ!そしてまた地下おくりよ!」

 

「そんなことはない!レミリアは君を地下に閉じ込めたことを悔やんでいる」

 

「嘘よ!」

 

「違う!レミリアはもっと君と居たいと言った。君に謝りたいと言った。レミリア……君のお姉様は助けてほしいと言った!君を!君の『狂気』から!」

 

「お姉様が……」

 

『狂気』がみりみる消えていき、炎の剣も消えた。やっと言葉が届いたのだろう。

 

『惑わされたらダメですよ。お嬢ちゃん。』

 

男の声が部屋から聞こえた。

 

「だ、だけど……お姉様が……」

 

『すべては人間が言うことなんですよ。嘘に決まっているじゃありませんか』

 

「誰だ!」

 

しかし、想雅の声は部屋にこだまするだけ、男には届かなかった。

 

『もしかしたら、お嬢ちゃんのお姉さんが送り込んできた、刺客かもしれませんよ』

 

「そんなことをレミリアがするか!」

 

想雅の言葉と、男の言葉がフランドールの頭の中をグルグル回り、フランドールはどうすればいいのかわからなくなっていた。

 

『はぁ……もうすこし『狂気』高めるしかなさそうですね』

 

「アグッ!」

 

フランドールは頭を抱え、その場にうずくまった。消えかけていた『狂気』が、フランドールの体から溢れてきた。

 

「まだ終わっていないよ!まだまだ楽しみましょ!」

 

フランドールの『狂気』が、異常に高まった。

想雅は悟った。

フランドールの異常に『狂気』が増えたことそれは、あの男によって高められたもので、フランドール自身が望んだものではないと言うこと。

 

「これで消えなさい!秘弾『そして誰もいなくなるか?』」

 

フランの姿が消えて部屋に想雅だけが残り、弾幕だけ想雅を狙いに襲いかかってきた。

 

「早く『狂気』をどうにかしないとな……」

 

『狂気』があれば、あの男に異常に増やされてしまう。『聖』の力があれば、消滅させることはできる。しかし、『狂気』を一気に消滅させなければならない。フランドールに傷をつけたら逆効果になり、『狂気』を消滅しずらくなる。なら説得しかない。

 

『この弾幕に触れ、居なくなりなさい!私の前から消えなさい!』

 

「君の前で、居なくなるものか!消えるものか!」

 

『そんなの嘘よ!』

 

部屋端に弾幕が出現し、部屋の中心に向かうように、展開した。

 

「痛ッ!」

 

想雅の脇腹に弾幕が被弾した。

 

『ほら当たった。あなたは避けられずに、消えていくのよ!』

 

「俺は消えない……、君を助けるまでは、『狂気』を消すまでは……」

 

今まで姿を消していたフランドールが部屋の真ん中に出てきた。

 

「どうして……どうしてどうしてどうして!お姉様にお願いされたから!」

 

「違う……」

 

「だったら……!」

 

「泣いている女の子を見捨てるほど俺は堕ちていないんでね」

 

「……!!!」

 

フランドールは自分が泣いていたことに気付いていなかった。気付けば涙がボロボロ零れてきた。

 

「な、なんで涙が……」

 

「その答えは、とっくに出ているはずだ」

 

「答えが……出ている……」

 

フランドールの中に『狂気』以外の感情あった。

この嫌な物から助けてほしい。これは自分の望んだものじゃない。その思いは、異常な『狂気』が自分の中に入ってきた時だった。しかし、その思いは叶わなかった。お姉様がやってきたけど、自分じゃない物がお姉様を追い返した。本当は助けてほしいのに……

新しい人間がやってきた。自分じゃない物は追い返そうとせず、次は、殺そうとした。

何度も、何度も、殺そうとした。しかし、殺そうとしているにもかかわらず、人間は私を殺そうとしない。むしろ助けようとした。相手は人間、私との実力の差がありすぎる。しかし、この人なら助けてくれるかもしれない。この嫌な物から助けてくれるかもしれない。

 

「……て」

 

「言いたいことがあるならはっきりと言え!」

 

「助けて!!!」

 

「承知した!」

 

想雅は走ってフランドールとの距離を詰める。

 

「だ、ダメ!近づいちゃ……アグッ!」

 

フランドールが頭を抱えた。

 

「馬鹿ね、近づいたら消えちゃうのに。恐怖で頭がおかしくなっちゃのね。QED『496年の波紋』」

 

円形に並んだ弾幕を低速で発射させ、 円形の弾幕は部屋中の様々な位置から次々と発射され、部屋端で反射する。 その光景は水面の『波紋』のようにも見える。

 

「『恐怖』?バカ言え!これは『勇気』だ!」

 

想雅は、波紋使いの男爵の言葉を思い出した。

 

「『勇気』とは『怖さ』を知ることッ!『恐怖』を我が物とすることッ!」

 

ノミのように、自分より遥かに巨大な人間にところかまわず攻撃をしかけて戦いを挑むのは『勇気』と呼べるのか?

 

「『恐怖』を支配した時、心は鋼のように乱れないッ!」

 

答えは否である。それは『勇気』とは呼べない。

 

「人間賛歌は勇気の賛歌!人間のすばらしさは勇気のすばらしさ!」

 

ノミのそれは、恐怖を知らない愚かな行動である。

 

「いくら強くても、『狂気』!お前は『勇気』を知らん!」

 

『勇気』とは、『恐怖』を知った上でそれを克服し、立ち向かうことを言う!

 

「これが俺の『勇気』の形だぁぁぁぁぁ!」

 

弾幕を避けて、フランドールの目の前までたどり着いた。途中弾幕に当たりながらも突っ走ってきた。そしてフランドールを抱いた。

 

「クッ、離せ!」

 

「『狂気』!フランドールの中から消えてもらうぞ!『聖』の力よ!」

 

フランドールの体は暖かい光に包まれていった。体から赤黒いオーラが噴出してきた。

そして、ガスが切れたようにオーラはでなくなり、フランドールは倒れかかり、想雅の胸の中で眠った。

 

「よくがんばったな」

 

想雅は、運良く残っていたベットにフランドールを寝かした。

 

「さぁ、出てきてもらおうか」

 

想雅の後ろで、燃え上がる炎が出現し、しばらくすると、手に燃え盛る長槍を持った男が姿を現した。

 

 

 

 

 

 






『狂気』は、人間の『勇気』には敵わなかったのです。


次回は、フランに異常な『狂気』を与えた人物との弾幕ごっこ……いや、完全の戦闘です。


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