今年も『東方神聖魔』をよろしくおねがいします。
春冬異変と言いましたが、時が流れ過ぎていたため、急遽物語を変更しました。すみません。
春冬異変は次の章となります。
感想ありがとうございました!
では、ごゆっくり。
謎の塔は現れた
僕には大好きな両親と、生まれた時からずっと一緒にいるペットがいた。
フランス料理が作るのも食べるのも好きで、本場フランスで修行をして、日本でもシェフをしていた面白く真面目な父さんと、何にも優しく、涙もろいところがあるが明るいフランス人の母さん。そして、幼いころ、よく一緒に遊んだり、昼寝したり、食事を取ったり、兄みたいな存在だった大きな犬。
しかし、その記憶は失った。あの日の出来事で……
僕は一人で初めて飛行機に乗った。小学生になったお祝いに、フランスに住んでいる爺ちゃん、婆ちゃんに会いに行く途中だった。そのときに悲劇が起こった。
急に機体が揺れだし、緊急のアナウンスが聞こえた。
『みなさん、この便のエンジンにトラブルが発生しました!至急、安全な体勢をお取りください!』
みんながパニックになった。その中に自分も含まれている。
泣き、怒り、恐怖、意識を失う人もいた。しかし、その状態はほんの数秒、本当の恐怖の始まりにしかなかった。機体が急に降下始めたのだった。降下していくにつれ機体の部品が外れ、扉までもが外れてしまった。そして恐怖が起こった。
僕は扉の近くの席に座っていた。そこから吸い込まれるように扉があった近くまで飛んでいき、そして、外に出てしまった……
数秒後、予想もしていなかった奇跡が起きた。
飛行機が光の翼に包まれた。しかし、それだけではなかった。包まれたのは飛行機だけではなく、外に出ていった人たち、そう僕もその翼に包まれていたのだ。
そして、
みんなは喜び、抱き合いなどと歓喜の声がそこらじゅうに聞こえたということ『だった』。
『だった』……そう、これは両親や、テレビに映っていた人、お巡りさんから聞いた話なのだ。
その事故のことは僕は知らない。なんせ僕は記憶を失っちゃったんだから……
-----○●○-----
ペルセウス戦で使った『言霊』のことで、その決闘にいた人たちが家に押しかけてきた。
みんなが同時に何か言うから耳に入ってこない。聖徳太子じゃないからまとめて聞くことはできない。そのことでみんなに話し合い、代表として紫が訊いてきた。
「想雅、あの決闘の時に使ったアレは何?」
「アレ……あぁ、『言霊』のことね。まぁ、自分でも初めて使ったからなんて言えばいいかわからない。まぁ、わかっていることだけは言う。あれは一時的に自分を神格化させる『言霊』らしい。それには条件があるらしく『神話を理解しないと使えない』と、『その神話に登場する神様の能力しか使えない』ということだな。詳しいことはわからんが、神様になるのではなく、あくまでも一時的な感じかなぁ……」
「一時的な感じねぇ……だけど、あの時感じられた神力はどこから湧いて出てきたの?」
「自分が倒れたのでだいたいは予測がついたのだが、たぶん霊力を代償にして神力ができたんじゃないかと思う」
「それで人間に戻るとき十分な霊力が足りずに倒れたと」
「まぁ、そういうところかな」
紫は理解したのか、理解していないのかわからない素振りを見せた。俺でも理解しかねるものだからなぁ……
「で、今回の決闘で使った神様は?」
「ダーナ神族の王、ヌアダ」
と、想雅は言い、質問攻めは終わった。そして秋が終わり、雪が降る季節がやってきた。
-----○●○-----
先日、大みそかが終わり新年を迎えた。今日は日の出と共に覚めた。今日は久しぶりに早く起きた気がしたなぁ、いつも寒いため布団に包まってばかりだったからな。まぁ、遅くても9時ぐらいに起きる。
身を起こそうとするが、何か柔らかいものが手に当たった。
「ん?なんだこの感触は?」
確認のため、もう一度触った。
「っん……あんっ……」
待て待て待て!この声はなんだ。この柔らかいものの主か!?いやいや、そんなことない。ここに住んでいる女の子はルーミアだけのはず、あいつは昨日自分の部屋に行って、すぐに寝ていたということは確認した。じゃぁいったい何なんだ。これは……
想雅は恐る恐る布団の中を覗いた。
「なああぁぁあああぁあぁぁぁああぁぁぁぁ!」
想雅の声が家中に響き渡った。
想雅は布団から飛び起き、後ろへと後ずさった。自分の後ろにあるタンスに運悪く頭をぶつけた。
「いってぇぇぇぇぇ!」
また響き渡った。
いてぇよ……マジで……まさかタンスの取っ手の金具にぶつけるとは、面積狭いから圧力が集中してより一層痛い……新年早々不幸なことが起こりやがった。いや布団の中でルーミアが寝ていたのはご褒美だったけど……って新年早々煩悩が凄いなぁ!俺!
「おはよー。想雅」
「おはよーじゃねぇよ!なんで俺の布団の中にいた!」
ルーミアはまだ眠たい目を擦りながら、想雅の方へと近づいてきた。
「んー、想雅と寝たかったから」
「寝たかったら……じゃねぇぇぇぇぇよ!こっちは新年早々ドッキリ企画にあった気分だよ!」
ホントびっくりするわ……なんでそんな理由で布団の中に入ってくるかなぁ……こいつは……
「はぁ……朝食の準備をしてくる」
「想雅」
「なんだ?」
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「あぁ、あけましておめでとう」
さすがにルーミアの万遍な笑みで、想雅は笑って新年のあいさつを返した。
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新年ということで、人里はどの店も賑わっていた。しかし、今日の目的は買い物ではない。
「元旦なのに賑わっていないな……」
「いつものことよ」
想雅とルーミアは博麗神社へと赴いた。しかし、人が誰一人いない。人里はあんなに賑わっているのにこの寂しい感じ、温度が違いすぎる。
「ま、まぁ、神社と言ったら幻想郷で知っている中では博麗神社しかないからな……神社だから参拝したら何かご利益はあるだろう……たぶん」
「たぶんって何よ。文句有るの?」
「いや、ありません」
霊夢が神社の中から出てきた。しまった、聞かれていたのか……
とりあえず、想雅とルーミアは参拝をした。賽銭箱に多めにお札や銅貨を入れた。ルーミアにも渡したから……結構な額になったんじゃないかな。先ほどルーミアに止められたが、「まぁ、金なんて霊力があるかぎりいくらでも創れるし、別に困ること無いしなぁ」と想雅は言い、ルーミアは何も言わないまま賽銭箱に投げ込んだ。
チャリン、チャリン、チャリン、チャリン、ガラガラガラガラ……
お金の音が鳴り終わり、一礼、二拝二拍手一拝、一礼とし想雅とルーミアは参拝し終わった。え?何願ったって?それは、『不幸なことがおこりませんように』と、へ?ルーミアは?知らない。聞くつもりもない。聞くほど馬鹿じゃない。女の子には1つや2つ隠し事はあるということ、それを聞き出そうとする男たる恥だ。
霊夢が何やら驚くように近づいてきた。
「ねぇ!?今凄いお金が入る音したけど、いくら入れたの?」
「なぁ、ルーミアいくら入れたっけ?」
「さぁ?」
「入れた本人たちもわからないってどのくらい入れたのよ……って凄く多ッ!」
霊夢は賽銭箱の中を見て、驚いたいや、驚きが隠せないほど衝撃だった。
「おみくじでも引いていく?タダで」
珍しいな。霊夢からタダという言葉が出てくるとは。
「じゃぁ遠慮なく。ルーミアは?」
「うん、引く」
霊夢は、いったん神社の中に消え、手にみくじ筒を抱きながらやってきた。
最初に想雅が振り、10番が出た。次にルーミアが振り、7番が出た。
「はい。これが想雅のおみくじで、こっちがルーミアの」
霊夢からおみくじが渡され、さっそく中身を見た。えーと、まずは中吉か、まぁ、いいほうだろう。っていうかここで運勢使ったとかは無いよな。書かれていることはと……なになに……
「『失くしたものは戻れぬが、道を決めたのならその姿は前に現さず、しかしそれ以上の境地へとは踏み出すな。己までもが失う形となるであろう』……と、なんだこれ」
こんな文、今までおみくじを引いたがこんな文は初めて見たな。俺がいた外の世界とは違った者だろうか……
「ルーミアはどうだった?」
「悪くも無く、良くも無く」
「つまり、普通ということか」
おみくじに普通という言葉はあるのか?まぁ、兎に角、無事参拝は終了した。長い階段を下り、人里の方へと歩いて行った。時間は経つが賑わいは変わっておらず、より一層人が多くなっていた。
「ん?どうしたルーミア?」
ルーミアが立ち止り、ある1点を見つめていた。
「想雅、あの塔前からあった?」
「塔?」
ルーミアに言われ、その方向へと視線をずらす。そこには、先ほどまでなかった塔がそびえ立っていた。しかし、龍神の石像の目は赤く染まってはおらず。白く染まっていた。
「もういちど、霊夢のところに行くか……」
想雅が使った『言霊』の神様はダーナ神族の王、ヌアダでした。
ヌアダは一騎打ちで右腕を斬り落とされた。ケルトの掟として肉体の欠損は王権の喪失を意味するためヌアダは王の座を降りた。しかし後に、医神によりヌアダの右腕は、銀の腕の義手を得て力を回復する。そして王の座に君臨した。
『不敗の剣』というのは、ヌアダが使ったとされている宝剣クラウ・ソラスこと。
さまざまな名前があるがヌアザの場合だと、『不敗の剣』勝利し続ける剣という。
まさに神様と戦う想雅にぴったりな名前。
感想待っています!
次回もお楽しみに!