東方神聖魔   作:東来

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戦闘シーンがやっと出てきた。
あと今回は長いです。




忘れ去られていた能力

目を覚ましたとき、想雅はどこかの部屋で目覚めた。

昔ながらの敷き布団、木とイグサの匂いが香り、壁には掛軸がかかっている。

どうやら和室らしい。

枕元には、忘れられていた神刀「風牙」が置いてあった。

布団の上で想雅は上体を起こした。滝に落ちて死んだと思っていたが、チャラ神が言ったことは本当だったらしい。

 

「助かったか……」

 

九死に一生を得た、と想雅はほっとした。

布団から出て刀を取ろうとした時だった。

 

「痛ッ!!!」

 

右肩に激痛が走ったのだ。

右肩を触ると、手に血がついていた。滝に落ちたとき、岩に当たったのだろう。

しかし、肩には包帯が巻かれており、幸い出血死は免れた。

誰かが俺をここに連れて来て、傷の治療までしてもらったらしい。いったい誰が……。

あの場にいたのは、俺とあの獣耳っ娘、まさかあの子にここまで連れてきてもらったのだろうか。

もしそうなら、後で謝罪とお礼をしておこう。

左手で刀を取り、和室を後にするのだった。

 

 

 

 

-----○●○-----

 

 

 

 

「ここは山の中だったのか」

 

想雅は縁側を歩いてきた。森だと思いこんで迷っていたが、本来は森ではなく山だったらしい。

ここから遠くても紅葉(こうよう)が美しい。いつか紅葉(もみじ)狩りでもしたいものだ。

想雅が紅葉(こうよう)を見ていると、奥のほうから何やら話し声が聞こえてきた。

 

「椛、どういうことだ」

 

奥の部屋を覗き込むと、そこには、獣耳っ娘と、漫画とかで見たことある天狗が居たのだった。

獣耳っ娘のとなりにもう一人の少女が居た。少女も同じように頭に耳が生えており、尻尾も顕在だった。

 

「妖怪の山の中腹まで人間を侵入させ、あろうことか命まで助ける……。なぜだ」

 

「……」

 

ん?人間……。俺のことか?

話し聞く限り、俺であることは確かだ。

天狗?らしきおっさんに獣耳っ娘はだんまりだった。

 

「それほど言いたくないのか」

 

天狗はため息をついた。

 

「なら、それなりの処分を下そう」

 

なんかこれ、俺のせいじゃねぇ。すごく罪悪感が……。

想雅が罪悪感に浸っていると、

 

「大天狗様!考えを改めてください!」

 

(かえで)は黙っておれ!これは妖怪の山の問題だ!」

 

楓と呼ばれた少女は考え直しを申し出たが、大天狗は聞く耳を持っていなかった。

大天狗とやら、あれはコスプレの一種かと思ったが、違ったのか。

想雅は自分に責任を感じたのか、もう立ち聞きはようそと思った。

 

「すこしいいか」

 

想雅は大天狗の前に姿を現した。

 

「なんじゃ」

 

大天狗は立ち聞きしていたのを知っていたかのように、冷静だった。

 

「さっきまで話を聞いていたが、なんか俺のせいでこうなっていないか?」

 

「無論そうじゃ」

 

「なら彼女じゃなく、俺にその処分は下されないか?」

 

「まぁそうじゃな」

 

大天狗は難なく頷いた。

 

「しかし、強引に突破したのは大目に見るが、誰にも見つからずに妖怪の山の中腹まで侵入したのは別じゃ」

 

「侵入?ここはそんなに人が来ないのか?」

 

「ここは妖怪の山じゃからな」

 

妖怪の山、道理で天狗や犬の妖怪もいるんだな。

 

「しかし、これは妖怪の問題だ。人間の問題ではない」

 

「処分は決定事項だ」

 

な・ん・だ・と……。

 

「何が決定事項だ。ただの強引にしかすぎねぇじゃねぇか」

 

「今、何と言った……」

 

大天狗は形相な目で想雅を睨みつけた。しかし不思議と恐怖は無かった。

 

「何が決定事項だ。ただの強引にしかすぎねぇじゃねぇかって言ったんだよ!」

 

想雅は怒った。そんな理不尽な事あってたまるかってんだ。

椛、楓は焦っていた。なんせ大天狗は彼女らの上司に当たるからだ。それが人間なら命も無い。

 

「これは妖怪の問題だと言ったはずだ。人間は口を出すな」

 

大天狗は冷静のまま、形相な目で睨んでいる。

 

「俺は人間としてではなく、一人の男として、天上想雅としてその処分に議論する!」

 

言いたいこと言えた、と想雅は思った。それが人間相手ならまだしも、相手は妖怪だ。どう受け取るかはあいつ次第だ。やばい、やばい、ついカッとなって言ってしまった。まさかここで死ぬか。

想雅は先のことを考えていなかった。

 

「ハハハハハハッ!」

 

大天狗は大いに笑った。なんか俺、変なこと言ったか。

 

「まさか、人間としてではなく、一人の男としてくるとは」

 

「な、なんかおかしかったか?」

 

「すまぬ、すまぬ」

 

謝りながらも、大天狗は言った。

 

「男として言うのならば、断ることはできぬな」

 

大天狗は何か思いついたようだった。

 

「小僧、一つ賭けをしてみないか?」

 

「賭けだと」

 

「あぁ、もしお前が儂に勝ったら、椛の処分のことは水に流そう。しかしお前が儂に負けた場合は、」

 

「煮るなり焼くなり、好きにしろ」

 

「ハハハッ、そう来なくて面白くない」

 

なんか大天狗は楽しそうだ。ついやけくそになって言ってしまったが、まぁ悪くない。負けたら死ぬけどな。

 

「なら小僧、こっち来い。賭けの準備だ。せいぜい楽しませてくれよ」

 

「おっさん、あんたもな」

 

「おっさん?」

 

「俺にしたらあんたはおっさんに分類される」

 

「その減らず口はいつまで続くか楽しみだな」

 

やはり楽しそうだな。想雅は大天狗の後に着いていくと、後ろからつままれた。

 

「ん?どうした」

 

「なんで?」

 

「なんでって、そりゃぁ……」

 

想雅は考えた。しかし、

 

「なんでだろうな」

 

「え?」

 

「だけどな、俺のせいで誰かが罰を受けるのは、まっさら御免だ」

 

自分が犯したことは自分で償う、想雅の心にはそう決めていたのだ。

 

「後な、こんなに可愛い子(・・・・)が罰を受けるなんて、俺には到底無理だ。だからおっさんの意見に反対したんだ。それでは不満か?」

 

「……!!!//////」。

 

「顔が真っ赤だぞ。具合でも悪いのか」

 

「な、何でもありません!」

 

椛は想雅から離れた。

なんだろう、この感じは……。

初めての気持ちを感じながら椛は、大天狗が待つ場所まで行った。

 

 

 

 

-----○●○-----

 

 

 

 

山の開けた場所で決闘は行われた。

 

「ルールは簡単だ。どちらかが戦闘不能、もしくは降参したら負けとなる」

 

確かに簡単だ。しかし、相手は妖怪だ。人間の俺が勝てるのかわからない。

しかも利き手の右肩は負傷中、今回は左手でやるしかない。

想雅は左手で刀を構え、戦闘態勢をとった。

 

「そういえば小僧、右肩負傷していたのだったな。ハンデを付けてやろうか?」

 

「これは男と男の決闘だ。ハンデなしで頼む」

 

「あいやわかった」

 

想雅は断った。ハンデ付けてもらったら勝てるという希望が見えたかもしれない。

しかし、これは決闘だ。あいまいな気持ちでは男は名乗れない。

 

「この小石が地面に落ちたら、決闘開始だ」

 

大天狗が小石を拾いそれを空に向かって投げた。

そして、

 

コンッ

 

決闘の幕が今、切って下ろされた。

 

「うおぉぉぉぉ!」

 

想雅が斬ってかかる。

大天狗はひらりとかわした。さすが妖怪だと言うだけはあるか。

しかし、想雅にはそのような余裕はなかった。

利き手である右肩を負傷しては、本気を出せないからだ。

 

「利き手である右腕を負傷してなお、この太刀筋とはあっぱれじゃ。しかし!」

 

「この大天狗も、負けてはおらぬ!」

 

刀を振り、それを想雅はガードする。

 

「くっ!」

 

ガードしたのはいいが両腕で刀を支えているため、右肩には大きな負担が掛かっていた。

肩から血が滲み出ていることが包帯越しでもわかった。

 

「やはりハンデは必要だったか?」

 

「余計なお世話だ!」

 

刀をはじいた。両者下がったかと思われたが、

 

「あまい!」

 

大天狗が漆黒の翼を広げ、想雅に突進してきた。

想雅は思いもよらない動きに驚きを隠せなかった。

そして、

 

ガシッ

 

想雅は大天狗に頭を鷲掴みにされた。

そのまま、上空へ上がり、

 

「それは反則だろぉぉぉぉぉ!」

 

「男なら小さいこと気にするな」

 

「気にするわぁぁぁぁぁ!」

 

そして、

 

「終わりだぁぁぁぁぁ!」

 

大天狗の咆哮と同時に、上空から急降下し、

想雅は地面に叩きつけられた。

 

「クハッ!」

 

想雅は血ヘドを吐き、気を失った。

 

 

 

 

-----○●○-----

 

 

 

 

「ここは……」

 

想雅が目覚めたところは、見覚えのある白い空間ではなかった。

そこには、自分が空から落ちている瞬間だった。

落ちているのは自分だけではなく、飛行機にのっていた乗客も落ちてきた。

飛行機?なぜ俺は飛行機から落ちたということ知っているのだろう。

だめだ思い出せない。

 

「もしかしたらこれは、失った過去の記憶か?」

 

真上から何やら光が飛んできた。その光は想雅を包んだ。

 

『少年よ。汝は何のために力を(ほっ)する』

 

力……。

俺はこの時なんて答えたのだろう。失った記憶だ、わかりはしない。

 

『僕は……』

 

なんだこれは、口が勝手に。

 

『みんなを守るため力を欲する』

 

『よくぞ答えた少年よ。なら受け取るがよい、汝が望む力を!』

 

想雅はここで記憶が途切れた……。

 

 

 

 

-----○●○-----

 

 

 

 

「小僧、動かぬな……」

 

大天狗はつまらなそうに想雅を見ている。

もうすこしやると思ったんだが、見込み違いか……。

 

「これは儂の勝ちか」

 

大天狗は想雅に背を向けた。

私のせいであの人が、死んでしまった。

椛はそう思った。隣にいた楓が泣き始めてしまった。

彼女は人が死ぬのを初めて見るからだ。

椛は楓を抱いた。

私のせいで……、私のせいで……。

椛も泣きそうだった。

 

ガラッ

 

「まったく、女を泣かせるなんて男が廃るぜ」

 

がれきの中から想雅が出てきた。

体はボロボロのはず、肋骨が数本、いや肋骨以外も折れているだろう。

しかし想雅は立つ。守るべきもののため、己のせいで人を傷つけないために。

 

「その体でまだ立つか」

 

「あきらめが悪いもんでね」

 

たとえ、がれきの中だろうが、地獄の果てだろうが、はいつくばってでも、女を泣かせやさせない。

 

「だがこれで終わりだ!」

 

大天狗がまたもや漆黒の翼を広げ、想雅に突進を仕掛けた。

 

『我は誓おう、(つるぎ)のような鋭さを、光のような速さを、鋼のような折れぬ意志を、我は、我行く道を突き通そうぞ!』

 

想雅は何かを唱えそして……

 

「なにぃ!?」

 

大天狗は驚いた。すでにそこには想雅はいない(・・・)のだから。

 

「どこに消えた!?」

 

あたりを見渡すが想雅の姿はどこにもない。

 

「どこを見ている!」

 

「な!」

 

大天狗が気付いた瞬間はもう遅かった。

想雅は斬りかかった。

斬、斬、斬。無数の斬撃が大天狗を襲う。

 

「人間の小僧に出し抜かれるとは、参った」

 

大天狗はその場に倒れた。

決闘の結果、

 

想雅の勝利。

 

大天狗が降参し決闘は終わった。

想雅のところに椛、楓が走ってきた。

 

「だ、大丈夫ですか」

 

「大丈夫だ、問題ないぃぃぃぃぃ!?……」

 

右肩から大きな血の噴水が噴き出た。

おいおい、俺は何回意識を失ったら気が済むんだ。

椛、楓の声が聞こえていくさなか、想雅の意識は遠くなっていった。




能力キターーーーー!!!

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