さて、今回が『春冬異変』の最終話です。
想雅の奴はどうなるんかな……まぁ、どちらにせよ。それが運命というやつだな。
まぁ、俺は誰かが引いたレールの上を走るわけにはいかないからな。それ以前に出発と同時に、暴走して脱線だな。
感想ありがとうございました。
では、ごゆっくり。
想雅の足元に紅く染まった液体が広がるようにして、大地に滴っていた。白く染まっていた雪も紅く染まり、グチュグチュといった雪が液体になる音も聞こえた。
「カハッ!」
紅く、ドロドロした液体を想雅の口から漏れるようにして出てきた。一瞬クラッとなったが、『聖』なる鎖のおかげで何とか体勢を崩さずにいられた。
「そ……う……が……?」
ルーミアは青ざめたような表情をし、その場で力が抜けたように地面に崩れた。それもそのはずだ。目の前で人が死ぬような真似をしているからだ。人食い妖怪であるルーミアは人を喰らうのは問題ない。しかし、その人間に関してのことを知らないからであったからだ。しかし、想雅の場合は違う。彼とはもうすぐで1年の付き合いになる。ここまで彼のことを知った。彼がどのような人間なのか知った。
「想雅ぁぁぁぁぁッ!」
ルーミアはそこで叫ぶ他なかった。想雅のもとに行こうとするとまた「来るなッ!」と言われるのが目に見えているのだった。彼女はただ、「想雅……生きて帰ってきて」と念じるしかなかった。
『何をやると思たが、ただ自分の体に我を押しとどめただけではないか?貴様が死んだところで死んだあとの貴様の体を貰うだけだッ!』
「お前は俺を成仏させる気は無いのかよ……」
想雅は血を口から垂らしながら言った。ったく、こんな状況になるとはな……予想外だった……
平将門は「くくく……」と苦笑しながら言った。
「っかと言って貴様は我を押しとどめとどうする?浄化するとでもぉ?カッ!笑止ッ!」
平将門は甲高い声で笑った。こいつ……もとは人間のくせに人間をなめやがって……
「こうするんだよぉぉぉぉぉッ!『聖』の力よッ!」
想雅は刀の刃にありったけの『聖』の力を流し込む……!
「フンッ!所詮この程度か……貴様の浄化能力では我を浄化させるなど無理にひとs……グギャラァァァァァァァァァァッ!」
平将門は苦しそうに激昂した。それもそのはずだ。何せ『聖』の力が通常よりも強い力を発揮しているからだ。
「俺が自分の腹に刀をただ刺した愚か者と思ったかッ!『聖』は即ち光ッ!反射するものがあればそれはより輝き、人を導き、邪悪を砕くッ!俺が意識を取り戻せば簡単に貴様に抗えるという事だぁぁぁぁぁッ!……ゴフッ!」
想雅は叫び、その反動でまたもや血を吐いた。平将門は苦しそうながらも叫びをあげた。
『人間風情がぁぁぁぁぁッ!平民風情がぁぁぁぁぁッ!我に刃向うというのか……新王に反逆するのカァァァァァッ!』
「下剋上だよッ!新王ォォォォォッ!」
平将門は想雅に、想雅は平将門に向け、叫びながら言った。
「マダダ……マダ我ノ野望ハ……マダ……諦メハセヌゾォォォ……ォォ……ォォォォ……ォ……」
-----○●○------
声が少しづつ聞こえなくなり、やがて奴の声は想雅の口から聞こえなくなっていった。そのことを感じ取った想雅は『聖』なる鎖を自分の体から外し、鎖は消えていった。腹に刺さっていた刀も力いっぱいで引き抜き、その衝撃だったためか抜いた瞬間、刀の刃は「ピキッ……」と小さな音を立てた。その音はもう意識が遠い想雅には聞こえるはずがなかった。そして、彼の体は支えが無くなったかのように、後ろに倒れた。
「そぉぉぉぉぉがぁぁぁぁぁッ!」
ルーミアは倒れた想雅のところまで行き、想雅の体を支えた。そしてゆっくりルーミアはしゃがみ、想雅を自分の膝の上に寝かせるように楽な体勢を取った。
千切れた雲の隙間から、この春、初めての満月が映った。それは解けた帯に似ており、淡い花模様のようだった。
「そうがぁ……そーがぁ……」
彼女の瞳から熱い水滴がこぼれ始めた。それは悲しく、
「そーがぁ……」
しかし、拭いても涙はあふれ出てくる。なぜルーミアは泣いているのに俺は泣かないのだろうか……
「そんなに泣くな……ルーミア。お前の可愛い顔が台無しだぞ……」
想雅は意識が遠くなっても、普通に話しかけるような口調で言った。
「だ、だってぇ……そーががぁ……そーががぁ……」
ルーミアの口調が幼児のような甘える声を出していた。いつもと状態が違うルーミアに戸惑いながら、想雅は話を続けた。
「これは、俺が望んでやったことだ……だから、悔やまなくていい……」
想雅は徐々にルーミアの頬に手を持っていき、さするように触った。その手をルーミアがギュっと握った。しかし、彼の手にはほのかな温もりしか感じることができなかった。
視界には異変が解決したはずなのだが、月と一緒に雪が降ってきている。月光で白銀にきらめく雪は美しかった。だが、これもいずれかは消える。
「うぅ……だけどぉ……」
ルーミアはいやだいやだと顔を振るばかり……
「大丈夫だ……ちょっくら、ヴァルハラに行ってくるだけだから……」
想雅はこんな時でも冗談を交えて言った。しかし、『ヴァルハラ』といった言葉はルーミアは聞いたことは無い。しかし、その意味はだいたい把握していた。天に上っていくと……
「気を落さないでくれ。見てみろ、今宵の空はなんと綺麗なのだろう。俺はあそこへ少し休憩しに行くんだよ。最近、いろいろなことがありすぎて体を思うように休めていないからさ……」
想雅は空いている片方の手を上げ、輝いている月を指しながら言った。しかし、ルーミアの視線は想雅から離れなかった。
「なら……どうやってそーがに会いに行けばいいの?どうやって会えるの……?」
ルーミアは頬をリンゴのような赤色に染め言った。
「そうだな……その時は俺からルーミアに会いに行く……」
想雅はルーミアの顔を見ながら言った。
「だから、待ってくれ。俺の体が休み終わるま……で……」
想雅の意識が少しづつ遠くなっていった。ルーミアの手から離れそうになった手を、彼女は離れないようにギュっとしっかりと掴んだ。
「死んじゃやぁ……私を1人にしないで……」
「死ぬとか俺がさっきから言ってないことを先に口走りやがって……」
ルーミアは「ご、ごめんなさい……」と謝った。想雅は「そんな顔をするな……」とルーミアに聴かせた。
「お前は1人じゃない。霊夢に魔理沙、数えきれないぐらい人がいるだろ?お前を1人になんてしないさ…………俺は必ずまた会いに来る。例え死んだとしてもだ。どんな形で会いに行こうとも俺は行く。神様の言葉でも俺は抗い、会いに行く……」
想雅は最後の力を振り絞り、泣いているルーミアを抱いた。そして、彼は一呼吸を置き言った。その言葉はなぜか確信を持てるものだった。これのせいだろうか?俺が泣けないのが……
「俺はこの世に
想雅が言った言葉に反応したのか、想雅の体が白く光り、少しづつ足から消えていった。その光はシャボン玉のような形をしており、フワフワと天に向かうようにして上って行った。
そして……時は来た……
「安心して待っててくれよ、ルーミア……」
その言葉を告げ、想雅の体は完全に光の泡と共に消え、光のシャボン玉はフワフワと上へ上へと上って行った。ルーミアの横にあった刀も想雅の命が尽きたせいなのか、ヒビが入ったところから「パリィィィィィン……」と静かに折れた。
ルーミアは想雅がいなくなったことを悟ると、その場に蹲り、声にならない悲鳴を上げた。
「想雅……私は……ルーミアは……あなたの事が……」
その言葉は彼が消える前に言うはずだったもの、しかし、言う前に彼は光となって消えていった。
それは、彼が目の前にいて言うのが恥ずかしかったという恥じらいがあったからだ。だから、伝えられなかった。
失くしてからわかる大切さ―――――
だから、この愛を永久に、捧ぐ―――――
彼が行ってしまった天に向けて―――――
「大好き……」
『だった』とは言わなかった。言ってはならなかった。この愛を過去のものにしたくなかったからだ。そして、彼が言った「待ってろ」という言葉も信じて――――――
彼女はまた1人、夜の中で泣くのであった……
その日、私は想雅を失った―――――
-----○●○-----
「簡単には死なんぞォ……ォォォ……」
幻想郷上空、1人の怨霊がフラフラ飛んでいた。
「小僧を少し侮っていた……不覚……」
彼はどこかで休息を得ようと、さ迷っていた。
「あらあら、こんにちは。怨霊さん」
彼の後ろから女性の声が聞こえた。バッっと振り向くとそこには、見覚えがある桃色の髪をした女性、人間か幽霊なのか分からなかった銀髪の少女が立っていた。
「何の用だ?」
桃色の髪をした女性は「ふふふ……」と笑った。
「平将門公、あなた様を成仏させようと参っただけですわ」
怨霊―――――平将門は「ハハハッ!」と笑い、戦闘態勢を取った。
「我を成仏だとぉ?笑止ッ!我は日ノ本を治めるまでは満足せぬ。ここで成仏させたら困る。だが、どうしてもと言うのならやってみろ。お前たちにその力があるのならばなッ!カカカッ!」
「幽々子様」
「分かっているわ、妖夢」
幽々子は妖夢に平将門に攻撃の指示を出した。
「さぁ来るのかァ?ヤルノカァ?ハハハハh……ヌォォォォォッ!」
その速さ、たったの3秒。平将門の体を妖夢の刀が一閃をしていた。
「この楼観剣は一振りで幽霊10匹分の殺傷力を持つッ!」
幽々子は「お見事」と妖夢に賛美した。
「ククク……クハハハハハッ!例え我が死んだところで怨念は消えぬッ!怨念は人の欲の塊ッ!決してなくならない欲の塊ッ!欲は罪である。決して誰にも理解されないが定めなのだからなァァァァァ……ァァァ……ァァァァ……ァァ……ァ……ッ!」
平将門は最後、幽々子たちの手によって倒されたのであった。その咆哮は幻想郷全土に響き渡るほどの声量だったという―――――
-----○●○-----
そして、春雪異変が解決した次の日、博麗神社で宴会が行われた。そこにはここの神社の巫女の霊夢、魔法の森から魔理沙、アリス。紅魔館のみなさん、今回の異変の首謀者えある幽々子、妖夢も集まった。この宴の中にはまだまだ沢山の人、妖怪、妖精が楽しんでいる。ごく一部は少し重たいような雰囲気だった。
「やっぱりルーミアは来ていないの?」
霊夢はレミリアに訊いた。今は想雅の家が倒壊したため紅魔館へルーミアは住んでいる。しかし、レミリアは顔を縦に動かした。
「アイツは部屋に閉じこもって返事も無いのよ。想雅が目の前で死んじゃったのが心に穴を開けたんだと思うわ」
レミリアは「いつものアイツじゃ無いと調子が狂うわ」と愚痴のように言った。それを聞いた霊夢たち苦笑した。魔理沙の奴は少しニヤニヤしていた。すると3人の目の前にスキマが開き中から紫と藍が出てきた。
「少し引っ掛かっていたことを確認してきたわ」
どうやら、紫はルーミアの
「想雅が光になって消えていったという事は完全に幻想郷から体が消滅したことだとわかったわ。閻魔様のところにも行ってきて、「天上想雅ですか……地獄には来ていませんねぇ……」と言われたわ」
「冥界にも想雅の姿は見当たらなかったよ~」
紫が話している間に幽々子も入ってきた。
「想雅は最後、刀を腹に刺したはずだわ。その時は『聖』の力で傷を治すことは不可能な状態だったとルーミアからやっと聞き出せたし……」
「つまり、何が言いたいわけよ……」
「つーまーり、想雅は肉体ごと外の世界に引っ張られ、そこで死んでしまったのか。あとは、間一髪助かり、どこか生きているかという2つの答えが出たわ」
「どちらにせよ、不可解な答えだな」
「私だって生きていた中で初めてのケースなのよ」
魔理沙の答えに紫は言い返せる言葉が無かった。そして、話しているうちに宴会は終りを迎えた。結局、ルーミアは姿を現さなかった。
そして、想雅の家が建っていた平地にはたびたび、ルーミアの姿が目撃されることもあった。霊夢たち一同は「外に出れるまでは落ち付いてよかったわ」と安心した。妖怪は精神が最も弱く、貧弱なのだからだ。それといつもそばにいた人が目の前で突然の死となれば壊れてしまうのだろう。しかし、ルーミアは想雅に言われた言葉を覚えているからこそ、そこに立てている。
「『安心して待っててくれよ、ルーミア……』……ね。待ってるわ、想雅……」
心地よい風がルーミアの金色の髪をなびかせ、黄金のように輝いていた。
-----○●○-----
神界ではある男が仕事に追われていた。建物はベルサイユ宮殿のような洋風な雰囲気を出しており、その中央では噴水があり、そこの仕事場の人たちが休憩をしていた。その男はそれを羨ましそうにみていた。
「支長、あと100枚ですよ」
「うっはー、スパルタだねぇ……ガブリエル。(。-`ω-)ンー」
「いつもどうりですよ」
ガブリエルはニッコリしながら支長に言った。
支長と呼ばれた男、チャラ神は秘書のガブリエルから資料の確認を迫られていた。チャラ神はどんどんと書類にハンコを押していく。ガブリエルはチャラ神がちゃんとハンコを押しているか確認した。
「相変わらずお早いですね。ちゃんと見ていますか?」
「部下が優秀だから俺はハンコ押すだけで十分なんだよ。あと、面倒くさいしー。┐(’~`)┌」
「あらあら、初めのお言葉は嬉しく受け取りますね~」
ガブリエルはチャラ神が押し終わった書類を一つづつ丁寧に重ねていった。
「ねー、ガブリエル。トイレ行っていいかな?( ゚д゚ )ノ」
「そう言って逃げ出すつもりなんでしょう?」
「ねー、ガブリエル。ハンコの朱肉のインクが出にくくなったから、取り換えに行ってもいいかな?( ゚д゚ )ノ」
「予備はちゃんと机の引き出しにありますよ」
「ねー、ガブリエル。後ろの窓から飛び出していいかな?( ゚д゚ )ノ」
「弁償代と自分で後片づけができるならいいですよ。それと、サボった分の給料分は引いておきますよ」
「逃げることができないという絶望感、マジワロタ。orz」
と、何気に無駄話が多いと思っていたが何とかすべての書類にハンコを押し終わった。チャラ神は「ふぅ……(;・∀・)」机に置いてあった紅茶を飲んだ。ガブリエルは最後の確認として、チャラ神が座っている机の前にソファとテーブルがあったのでそこで確認し始めた。
「今日も平和だなー。こんなことがずっと続けばいいのになぁ。(*^o^*)」
チャラ神は後ろにある大きな窓から外を眺めて言った。眺めと言ってもそこに大地が広がっているわけではない。途切れ途切れに浮遊島があり、各島に神様が住んでいる。ガブリエルなどといった天使たちは天界という、神界より下の地域で暮らしている。
「さて、久しぶりに他の神様にでも会ってこようk「逃げないでくださいよ?まだ、仕事が山ほど残っていますから」……ガブリエル、俺をいじめて何が楽しいんだ?( ;∀;) カナシイナー」
チャラ神はガブリエルを見て言った。
「支長がサボってばかりだからですよ。自覚を持ってください」
「(´・ω・`)ショボーン」
チャラ神は椅子を座りながらしょげている。
「前々から言おうと思っていましたが、話の最後に顔文字をつけること気に入っているのですか?」
「うん、そーだよ。(゚∀゚)アヒャ」
チャラ神は先ほどのブルーな気持ちから一気に明るい気持ちへと切り替わった。そして、ガブリエルからの質問を軽く返した。
「はぁ……まだ仕事が残っているのか……面倒くさいn……ッ!」
頭の中にニュータイプのような電撃が走った。チャラ神はそのことに気付き、バッと立ち上がった。
「どうかしましたか?」
「すまないが少しの間だけ出かけてくるッ!少しだけだからなッ!サボりじゃないからなッ!出かけるだけだからなッ!逃げないからなッ!ヾ(・ω・´;)ノ」
「そこまで言うのなら、本当に少しの間だけですよ」
「サンキューッ!」
チャラ神は身支度を整え、いざどこかへ行こうとした。そして、チャラ神は思い出したかのようにガブリエルに言った。
「忘れんうちに言っておく。ラファエルにベットの準備をするようにと言っておいてくれ。それじゃ、アデゥ~!!(`・д・´)ゞ 」
チャラ神はエ○シャダイのルシ○ェルが使う神パッチンをした。その音と共に室内にはチャラ神の姿が消えた。
ついにアイツが死んだか……そして、頭に電撃が走ったからにはアイツはあそこで転がっているな。
チャラ神は空間を移動し、『アストラル界』まで瞬時に出現した。
「やっぱ俺の能力って便利だな。(*゚∀゚)*。_。)*゚∀゚)*。_。)ウンウン」
チャラ神はその場から動き、何かを探し始めた。
せっかく能力与えたんだから簡単に死なれたらこちとら困るんでね。おっ、いたいた。
チャラ神は真っ白な空間で1人の少年を見つけた。
「後は戻るだけだな……(v^ー゚)」
チャラ神はなぜVサインをやったのかは誰も知らない。チャラ神自身も分からない。ただやりたいからやった。別に後悔していない。むしろ清々しい気分だという感じだった。
よし、心拍数あり。保険でつけておいた『加護』はちゃんと働いてくれた。
「さぁて、コイツはどんな反応するのかなぁ?オラ、ワクワクすっゾ。((o(^∇^)o))わくわく」
チャラ神はその少年を担いだ。
「こいつを助ける俺、マジイケメンだわ-。(*゚∀゚)*。_。)*゚∀゚)*。_。)ウンウン」
チャラ神はまた神パッチンを行い、1秒もかからずにその場から消えた。
想雅の奴……逝っちまったか……あとの事はチャラ神に任せるか。落ちてた少年のことを……だいたいの人はこの少年が誰かってわかっていると思いますね。
前書きに書いたとうりに最終回です。次回は……オリジナル展開です。ご期待くださいッ!
感想待ってます!
次回もお楽しみに!