東方神聖魔   作:東来

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さて、ツクヨミの登場です。
これで想雅が会った神様の数は3人目……って少なくない?もっとこう多い気がしたんだがな……
そういえば皆さんどのようにゴールデンウィークを過ごしますか?自分はたぶん1日中部屋にこもっているかもです。まれに外に出るかもです。

感想ありがとうございました。
では、ごゆっくり。




月の神と月の神

永琳に「ツクヨミ様が呼んでいる」と言われてた想雅たちは何かやらかしたのかと思ったが、外では買い物、散歩ぐらいしかしていないためそんな大事(おおごと)なことはしていないと思ったが、永琳の実験台よりマシだと思った想雅はノエルを連れてそのツクヨミとやらが住んでいる大きな屋敷に来ている。

っていうよりツクヨミってあのツクヨミだよな。漢字では月夜を見ると書いて月夜見だったな。簡単に解釈して言えばホルスの月の眼と同じ『闇を監視するもの』と考えた方がいいだろう。あとはツクヨミは『月を読む』ということから暦と結びつける由来説がある。

想雅はまだリハビリ途中の時に、病室にいるだけではつまらないので神様に関しての書籍を貸してもらったことがあったため、だいたい(・・・・)の事は頭の中に入っている。しかし、完全(・・)というわけではないため『言霊』として使用するのはまだ無理というわけだ。その間でまだ完全とは言えないが神様の神格を数体頭に叩き込んである。

想雅はノエルと、永琳、そして輝夜を連れ、今は長い階段を上っている。輝夜はそのまま家でお留守番するはずだったがそれがどうも本人には気に入られず駄々を捏ねたためしょうがなく連れて行くことにしたのだ。

そして、博麗神社より長くなかったため1、2分ぐらいで着いた。その途中で輝夜が「もう動けない……」と泣き語みたいなことを言ったため想雅は輝夜を背負って上っていたのだ。

 

「あぁ……夕日が綺麗だ……」

 

階段を上り終えた後、ふと後ろを振り向くとそこにはどこまでも続く高原の地平線に沈み行く太陽の姿があった。

 

「輝夜、今からツクヨミ様に会うから早く降りてくれ」

 

「えー、もっとそーがおんぶしてー」

 

「今は無理だが、ツクヨミ様と会った後ならいいぞ」

 

「わかった、約束ね」

 

輝夜は素直に想雅の背中から降りた。今まで気にしてはいな……いや気にしてはいたがノエルがずっと無表情のジト目で見てくるのはなんでだろう?何かしたか、俺は……?

 

「お持ちしておりました」

 

奥から1人の男性が出てきた。永琳がその男性に近づきいろいろと説明をして、男性は「こちらです」と想雅たちを案内した。移動している途中で縁側から見える庭は、日本文化のような雰囲気を醸し出していた。日本の風習ができる前にはすでに出来たいたのか……

そして案内人の男性がある障子の前で止まり「ここです」と言い、障子を開けた。そこには一人の女性が座布団の上に正座して座っていた。

漆黒に染まっている黒髪はまさに夜を現しているのかと思うぐらい美しく艶があり、先ほどまで目を瞑っていたため瞳の色が分からなかったが、想雅が部屋に1歩入ったことに気付いたのか、閉じていた目を開きその白く、月を現している黄色い瞳が露わになった。服装は黒と黄色を基調とした着物で月や星、雲といった装飾が施してあった。

 

「よく来ましたね、天上想雅くん並びにノエルちゃん」

 

その黒髪の女性は想雅とノエルの名を呼び、彼らを用意してあった座布団の上に座らせた。想雅は目の前の女性と同じ正座で座り、ノエルは正座の足が横に崩れた女座りをした。

 

「そう固くならなくてもいいわ、気楽にしてもいいのよ」

 

想雅は女性がそう言ったため正座からあぐらへと座り方を変えた。

 

「えーと、ツクヨミ様。何か俺たちに用があるのですか?」

 

「いいえ、何もないわ。少し永琳のところで住んでいる兄妹はどんな人なのか見たかっただけ」

 

何だよそれ……たったのそれだけで呼び出されるなんて思いもしなかった。何ですか?神様の威厳という奴ですか?そんだけで呼び出すなんて神様どんなけ暇人なんですか……

想雅が苦笑いしながらツクヨミの話を聞いていると、何やらか重要なことを話し始めた。

 

「君たちは月に行くことは決まった?」

 

「え?それはどういう……」

 

ツクヨミの口から予想外の言葉が出た。俺たちをただ見たいだけだったのにいきなりこんな重要な話しっぽいことを言い始めたし、この人は話の重要性という原理が無いのか?

 

「あれ?永琳から聞いていないの?そう、なら1からそのことについて教えるね」

 

その少し抜けているツクヨミ様からその月に行く計画について想雅たちに話し始めた。

 

「私の未来予知では今から3日後、この都市は数千、数万の妖怪によって壊滅するわ」

 

うわぉ……いきなりすぎる爆弾発言。ツクヨミは「このことはまだ永琳と部下たちにしか言っていない極秘情報よ」と言い、想雅たちに口止めをかけた。しかも、3日後といえば俺たちが元の世界に帰還する時間帯だ。

 

「ツクヨミ様、その未来予知とは?」

 

「私の能力『月を読む程度の能力』よ。月を見るということは暦上の未来だって見ることができるわ」

 

要するに未来予知の能力……戦闘になると厄介な能力になりそうだ。しかし、想雅は戦いを好まない基本的平和主義のヘタレなためそんなことしか考えていなかった。

 

「話を続けるよ。それで私が提案した誰1人も死なさず、安全に出来る計画、それは―――――『月面移住計画』よ」

 

「『月面移住計画』……」

 

その言葉を聞いた想雅はだいたいの意味をそれだけで理解することができた。

 

「要するに俺たちにその計画について協力しろと……」

 

「うん、そういうことよ。どう?協力してくれるかな?」

 

想雅は自分だけの意見ではどうしようもないためノエルの方を向いた。そのノエルの表情は「私はマスターについていきます」という表情だったため言葉を交わさずにその計画について協力することを約束した。しかし、計画に協力するとしか言っていないため月に行くということはまだツクヨミに言っていない。

 

「協力はありがとう。だけど君たち月に行かないとこのままだと死ぬよ(・・・・・・・・・・・・・・・)?」

 

一瞬想雅の眉がピクリと動いた。

 

「い、今何と言いましたか?」

 

「だから、月に一緒に行かないとこのままだと死ぬよ(・・・・・・・・・・・・・・・)って……」

 

彼女の顔は以前変わらないまま笑顔だった。笑顔でそんな物騒なことを言えるツクヨミ様マジパネェッス……そんなことを言えたのもツクヨミ様の能力の未来予知だろう。暦上の未来だけじゃなく個人の未来までを視ることができるというのは個人情報、プライバシーの侵害にあたりそうなものだった。しかし、そんなことはどうでもいい。

 

「月に行かないと死ぬと……?」

 

「そう、ノエルちゃんを庇った想雅くんが妖怪の攻撃で心臓をズバッ!……っとね」

 

ツクヨミは座ったまま手刀を斜めに斬り落とした。

 

「そんなリアリティ溢れるところまで見えるんですか……」

 

怖すぎる……怖すぎるわッ!未来予知。んなグロ映像みたいに見えるってツクヨミ様の精神は鋼のように堅い精神なんですか。俺だったら見た瞬間バッタンキューですよ。

 

「で、そう?一緒に行く気になった?」

 

ツクヨミは初めに想雅のその後の未来について話し、脅すように選択肢を絞っていく。しかし、想雅の思いは変わらない。

 

「いいえ、俺はこの地に残ってやることがありますので……」

 

「ふぅ~ん、滅びゆくこの都市にやることねぇ……」

 

ツクヨミは笑いながら想雅の目を見た。ツクヨミの能力は個人の未来を予知するためにはその人の目を見なければならないのだ。だからこうやって感心している素振りを見せながらちゃっかり想雅の未来を見ている。しかし、彼が死なない未来は月に行くこととある一部(・・・・)を除いて1つもなかった。そしてそのある一部とはそこだけがなぜか見ることができない。今までこのような体験が無かったため対処の方法が分からなかった。

 

「そうね……なら簡単なゲームをしようか」

 

「ゲーム……」

 

「そうそう、想雅くんが私に勝てたら協力だけで月に行かなくてもいい、だけど、負けた時は両方とも協力してもらうよ」

 

この状況、前にもあったな……チャラ神の賭け勝負だっけな。アイツの口車に乗ったおかげで過去にとばされたということがあった。しかし、今回はそんな無理難題な要求は無い。むしろ生き残れるというありがたいものだった。

 

「分かりました、受けて立ちましょう」

 

「わかったよ、じゃぁ夕食を食べ終わった後にここに集合でいい?」

 

想雅は頷き、ノエルと共に部屋を後にした。彼らを見送ったツクヨミは1人ボソリと呟いた。

 

「私はこの勝負で彼の可能性……未来を変える力があるのかをを見極める」

 

 

 

 

 

-----○●○-----

 

 

 

 

 

想雅とノエルは永琳の家で夕食をとり、少しお腹を落ち着かせてから家を出た。永琳と輝夜の動向は無く、2人だけでツクヨミに会いに行っている。階段を上った後、家の中ではなくすでに家に出ているツクヨミを見つけ、彼女は2人を連れてこの都市の外に出た。

やはりどこもかしこも平原でところどころに木が生えており、どこかサバンナを思わせるぐらいの風景だった。時はすでに夜を指している。ツクヨミの後ろから上っている今宵の月が満月で狼男が活発化するぐらいの美しさだと思えた。しかし、夜と満月を狙ってこのゲーム……いや、戦闘を行ったに違いないと想雅は思った。完全に俺に勝利して意地でも月に連れて行くというわけだな。

しかし、このような風景を前にも見た気がする……あぁ、ペルセウスの時か。アイツは月の光とその腹が立つほどの美しい顔で戦闘に挑まれたっけな?

 

「ここなら、人々の睡眠を邪魔することが無いよね?」

 

「これだけ離れていれば聞こえないと思いますよ」

 

3人に映る都市は豆のように小さくほのかに光が放っている。

 

「わかったわ。じゃぁ始めようか」

 

ツクヨミは普通にその場に棒立ちではないが戦闘態勢を取らずにその場に止まり、一方の想雅たちはノエルが光に包まれ刀となり想雅の手元へと自ら動いた。

 

「あれ?ノエルちゃんは……人間じゃなかったの?」

 

「いや、人間だ」

 

『そうです、私は人間です』

 

「そういうことにしておくわ」

 

想雅は刀を構え、戦闘態勢を取った。

ホント何でこう戦闘沙汰になることが多いんだよ……ここの人たちは話し合いという言葉を知らないのか?いや、話し合いが成立しないということを最初から分かっているからこんなことをするのか?どちらにせよ、こんなことになったのは俺の責任だ。別にそのまま月に行ってもよかったのだが、チャラ神の4次元『時間』の指定範囲がわからない。月に行っても使えるのなら行ってもいいが、そのことに関してチャラ神から何も聞いていない。

 

「すまないな、ノエル。俺のせいでこんなことに……」

 

『マスターのせいではありません。マスターの想いは誰よりも立派ですから』

 

「そうか……ありがとう」

 

想雅はノエルにフォローしてくれたお礼を言って、ツクヨミを見た。

―――――今から戦闘を始めることに驚くぐらい美しい今宵の月は彼らの戦闘を見届ける。

―――――果てが見えない地平線には先ほどまでいた都市が見える。

―――――そして、月以外にも星も美しく、大都市では見ることができないぐらいの美しさ。

―――――彼は月に行くことを拒み、地に残ることを決めるのか?

―――――彼女は彼の可能性を見極め、この後をどうするか?

 

「始めッ!」

 

ツクヨミの掛け声がかかると想雅は手始めに霊力槍をツクヨミに向け投げた。しかし、簡単にそれらの槍は避けられてしまった。だが、それは予測していたことだ。ツクヨミの意識が槍たちに行っている時、想雅は足に『魔』の力を込めツクヨミに向け一直線に突っ込むッ!

 

「んー、こっち」

 

ツクヨミが槍たちを避けきった後、すぐにその方向に光の壁を展開させた。しかし、そちらの方向に想雅はいない。想雅の姿はツクヨミの後ろに出現し斬りかかる。しかし、斬りかかったツクヨミは光となり消え、彼の後ろからツクヨミが姿を現した。

 

「……ッ!」

 

想雅はツクヨミの光の剣の攻撃をノエルで防ぎ、そのまま空中でサマーソルトキックを繰り出した。しかし、それも簡単に避けられまた彼らの距離が遠のいた。すると、ツクヨミが手元に光の弓を創り出しその弓の弦を引いた。その中心に光が集まりその姿はもう一度ペルセウスと対決しているようにも捉えられた。その光の矢は想雅に向け飛んできた。1つの矢が円を描くように動き、5本の弓へと増えたのだった。想雅はそれらをノエルで防ぎながら避けていく。だが、その矢は狙いが別々なため払いきれなかった矢が想雅の右足、顔に掠り、ツーっと血を流した。

その傷がついた2ヵ所に『聖』の力を流し込み、傷を防いだ。

 

「想雅くん……君は本当に人間?」

 

「あぁ、生まれたころから人間だ」

 

想雅はフッと笑いながら言った。

人間の速さを超えた移動力、そして回復力。これらを見て誰もが人間じゃないと疑ってもおかしくない。

想雅は服の胸ポケットからスペルカードを取り出し詠唱を始めた。

 

「月は隠され、再び闇が始まった。だが、光は闇に勝った。隙間から地を照らす月は今宵も美しく、光と闇が交わる時、幻想の世界へと誘うであろう。夢想『朧月』」

 

想雅から『聖』の力が散布され霧状となり、それを纏った。チャラ神に使った全体を囲むことは効率が悪かったため、部分的に自分を覆うことにしたのだ。

ツクヨミは尽かさず矢を放つ。しかし、想雅に当たると思われた瞬間、想雅の姿が霧状となりその場から消えた。しかし、ツクヨミには想雅の居場所が分かる。後ろに振り向き、そこに弓を放つ。そこには想雅の姿が確認されたが矢に触れる前に消え、また姿を隠した。だが、どこからか斬撃を撃ってくる。しかし、撃ってくるのは彼の分身だった。

個人の未来を予知するには目を見ることが必要。しかし、あの時に彼の目を見た。しかし、未来を予知することができなかった。次の行動がどうなのかはわからない。

 

 

「それなら私の分身に頼るしかないかな……」

 

ツクヨミはすぅ~と息を吸い、『言霊』を唱え始めた。

 

「かりそめの姿を暴き、本来の姿を現し給え」

 

頭上に光る月が光のカーテンらしきものを地上に降ろし、想雅の姿を捜索する。そして、彼の姿が確認されるとツクヨミは弓を引き矢を放った。その矢は正真正銘想雅の右足を突き刺した。

 

「グッ……!」

 

先ほどまで散布された『聖』の力が想雅に集中し突き刺された矢を引き抜き、傷をふさいだ。その間にツクヨミは欠かさず彼の目を見た。次の行動は……覇気『龍王の威圧』?というものを使うらしい。それがどんなものなのかツクヨミは知らないがだいたいの事は把握した。簡単に言えば逃げることができない拘束術といったところか……と

想雅はツクヨミの姿を確認すると次のスペカを取り出した。

 

「龍は偉大である。あらゆるものを凌駕する覇気を持つがために。覇気『龍王の威圧』」

 

想雅の目が紅く輝き、ツクヨミの動きを拘束した。しかし、彼女の表情は冷静でまた『言霊』を唱えた。

 

「自由を奪えし邪眼を祓え給え」

 

パリィィィィィン……と彼の拘束は儚く解かれた。

 

「未来予知にこの能力を破る力……まさにチートだ」

 

「月はあらゆるものを監視し、それに見合った裁きを下す……これが闇を監視するものよ」

 

ツクヨミは笑いながら想雅に説明した。

はぁ……また神様相手に俺は『言霊』を使うのか……しかも今回は女性だ。しかも早くもピンチになってしまった。相手が女性だったから少し手を抜いてしまったかもしれないな。だが、未来予知だからなんだ?能力を破る力だからなんだ?どこにも勝てないという文字は無いじゃないか。なら、俺は勝利のために使おう。己の未来を変えるためにこの『言霊』を使おう。

想雅は頭上に上る月を見ながら『言霊』を詠唱した。

 

「我求めるは決して貫くことを約束さえれた一矢を必中させん。悪しきものに一矢の対価を下し、裁きを与えん。我が望むは一片の悪も無き秩序なり」

 

 

ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!

 

 

想雅から強大な神力があふれ出した。

そのことによりツクヨミは驚きを隠せずにいられた。何せ人間と言い張っていた男がいきなり神力を溢れ出し、神になろうとしていたためだからだ。力を貸してもらうぞ『アルテミス』……

 

「もう一度訊くわ。あなたは本当に人間?」

 

「ツクヨミ様、この力はただ借りているだけのものです。決して俺が神様というわけじゃありません」

 

想雅は苦しそうながらもツクヨミに笑顔で答えた。想雅はノエルを腰に収め、ツクヨミと同じ目の前に弓を出現させ、矢を放った。

ツクヨミも同じくその矢を迎撃しながら想雅に攻撃を繰り出す。しかし、簡単に迎撃されてしまう。なぜならツクヨミは月の神であり決して弓が得意ではない。それに違い想雅は月の神でありながら狩猟の神でもある神の神格を使っているため弓の扱いは想雅の方が上手だった。

ツクヨミは迎撃することができなかった矢たちを避けながら想雅に向け撃っている。しかし、その矢も想雅にたどり着く前に迎撃されてしまった。

 

「少し……押されているわ……」

 

ツクヨミは苦し紛れに呟いた。しかし、呟いたから現状が変わることなんてない。行動するからこそ変わるものだ。それを今想雅がやっている。自分の未来を変えるため、曇りなき瞳でツクヨミを見つめる。ツクヨミも同じく想雅の目を見つめた。しかし、彼の未来は死ぬことに変わりが無かったが、その未来が一つづつ変わっていき初めは2つしかなかった生きる未来だったが、行動したことにより次々と変って行く。

 

「つ、ツクヨミ様……これで終わらせますッ!」

 

想雅は先ほどと違う『言霊』を詠唱した。

 

「獣よ。汝らは百の打撃を(もっ)て千を、千の打撃を以て万を、万の打撃を以て幾万を討つ者なり。秩序により立つ我のために、今こそその力を揮い給え」

 

月から光が想雅に向け降り立ち、想雅の周りに輝く数匹の獣が君臨した。ある獣は美しき毛並を持ち、まさに神の化身と呼べる白馬。ある獣は鋭い牙を持ち、悪しきものを喰らう聖狼。ある獣は上空を飛び、その速さを生かし敵に攻撃をする鳳。他にも牡牛、猪といった動物たちも想雅を守るように展開している。

想雅は白馬にまたがり、ツクヨミに向け走り始めた。

 

「我に続けッ!神の化身たちよ」

 

想雅の指示により獣たちが大きく鳴き初め、想雅の後をついて行った。

 

「牡牛よ。汝の角を使い我敵を屠り給え」

 

想雅が言うと牡牛がツクヨミに向け突進を始めた。一直線だったためツクヨミは余裕に空中に避けることができた。だからといって想雅は止まらない。

 

「鳳よ。汝の鋭き口で我敵を貫き給え」

 

複数の鳳がツクヨミに向け突進を始めた。しかし、1匹1匹が速き閃光と成りてツクヨミに攻撃をする。空中ではあまり避けるという行動がしにくいため、体勢を整えながら鳳の攻撃を避けていく。

 

「猪よ。汝の牙を使い我敵に鉄槌を下し給え」

 

猪がツクヨミの着地を狙い攻撃をする。それと同時に想雅は違う獣に指示を出した。

 

「狼よ。汝らの多彩な動きを使い我敵を喰らい給え」

 

猪の後ろから複数の狼が横に広がるように展開されていき、狩りの体勢をとっているように見える。ツクヨミは突っ込んでくる猪の背中に手を置き、そのまま空中へ逃げるがまだ鳳がツクヨミを狙っていたため、猪の攻撃を避けたとしても状況は変わらない。下を見ると狼たちが輪を描きながらグルグルと回っており、降りてきたときにいつでも捕らえることができる動きだった。彼女は獣たちに気を取られ過ぎており彼の存在を忘れていた。

 

「……ッ!」

 

自分の目の前をいきなり矢が通った。ふと飛んできた方向を見るとそこには忘れかけていた想雅の姿が見えた。その目を逸らした瞬間に鳳たちはツクヨミに攻撃を始めた。想雅に気を取られてしまったツクヨミは反応に遅れ、空中でバランスを崩してしまい地上に落ちて行った。

 

「ッ~。痛った~いッ!」

 

落ちて行ったツクヨミは背中をさすりながら立とうとしたが、彼女の目の前には白馬に乗って、弓を構えている想雅の姿と、彼女を逃がさないために狼たちが周りで見張っていた。

 

「俺の勝ちですね」

 

「正真正銘、想雅くんの勝ち」

 

想雅は神格化を解き、消えていく白馬から降りた。着地と同時にグラっと意識が揺らいだが何とか耐えることに成功した。今まで刀に変化していたノエルが彼を支えるようにして元に戻った。

 

「これで君たちの可能性がわかって、未来も変わりつつあるよ」

 

ツクヨミは着物についている砂を払いながら想雅たちに言った。こうして人間対月の神の戦いは幕を閉じた。

しかし、ツクヨミは彼の未来に不安を抱いていた。その不安は『月移住計画』についてのものではない。今は何者かによって封印されているが、いずれその闇が復活してしまうという未来が見えた。

そのことは想雅には告げずにただただ心の奥底に閉まってしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 





月の女神でもあり狩猟、淑女の神でもあるアルテミスの神格化。月の神対月の神ねぇ……もうごっちゃだな。
さて地上に残ることを決めた想雅、さて彼の未来は死の道か?それとも生きる道なのか?

感想待っています!
次回もお楽しみに!

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