東方神聖魔   作:東来

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何か、いきなり高校でやったクレペリン検査の結果がこれだった。

・負けず嫌い(良い意味で買い負けにこだわり、上を目指すこと)

・機敏さ(素早く状況を掴んで、効果的な対応ができること)

・旺盛な好奇心(南緯でも興味がわき、実際に体験しようとすること)

うわぁお……まさに俺。( ・´ー・`) ドヤァ・・・

感想ありがとうございました。
では、ごゆっくり。




月移住計画護衛任務

会議が終わった後、妖怪が攻め込んでくる時間帯までは少し時間があったため、護衛任務の配置と集合時間、護衛時間などといったことを訊いてから、想雅とノエルはその部屋を後にした。

会議が終わって間もないのに先ほどまで静かだった都市はすでに騒ぎ出している。今まで見ることが無かった移住のためのロケットが地上に姿を現していた。

妖怪が来る前にロケットに避難していても、後1、2時間の量では間に合わないだろう。だからそのための護衛任務だ。

想雅たちは避難中の人の波をかき分けながら前へと進んでいく。そして、目的の場所に到着するも「もういないだろう……」ということを空を仰ぎ呟きながら部屋へと入って行った。

しかし、誰かの帰りを待っていたのかと永琳が玄関まで出迎えてくれた。

 

「遅いじゃない。もうすぐ妖怪が攻めてくるのに……」

 

「すまんすまん、少し野暮用があってな」

 

「そんなことより早く準備しなさい」

 

永琳は急ぎながらそんな言葉を後にして身支度を整えて行った。しかし、想雅たちには身支度するのは不要だった。彼らは神の迎えを待っているからだ。

想雅はとりあえず玄関から居間へと向かった。そこには輝夜が寝転がっており、ふすまが空いたのに気付いたのかその方向に首を動かした。

 

「そーが、おかえりー」

 

想雅が帰ったのか、むくっと立ち上がり走っていくと想雅に抱き着いた。

 

「ただいま、輝夜」

 

そんな輝夜に対して想雅は優しく頭を撫でた。このようなやり取りも今日で最後か、寂しいねぇ……

後から入ってきたノエルは想雅が撫でるのをやめると、ガバッと輝夜に抱き着いた。

 

「ど、どうしたの?ノエルちゃん……」

 

「しばらくギュっとさせてください……」

 

やはり、ノエルも寂しいのだった。このような行動を見てしまうとノエルは刀ではなく正真正銘の人と同じで感情を持っていること、つまり彼女はすでに……いや、最初から人間なのではないのか?と思わせられることもある。しかし、このことを知っているのは俺を加え、チャラ神か四大天使の皆さんと一応人間と思っているツクヨミ様ぐらいしか知らないことだ。

しかし、その感情を感心するうえで少しの恐怖も思えた。

俺はノエルを人として、1つの存在として見ているが、もしも俺が物と見ていたら今のノエルの感情表現は無いだろう。挙句の果てにただ利用されるだけのものに……もう、これ以上は考えたくない。自分の心が痛んできやがった……

 

「どうしたの?早くしなさい」

 

永琳が居間の中に入って来た。想雅は彼女の方を向くがノエルはまだ離れたくないのか輝夜にずっと抱き着いたままだった。

そして、彼は彼女に告げた……

 

「今から俺たちは都市の護衛任務をしに行く」

 

その言葉を聞いた永琳は初めは嘘でしょ?と思ったが、先ほどの緩い表情は見せずにずっと真剣そのものの顔だったため彼女は信じる他なかった。

 

「そ、そんなこと……死にに行くと同じじゃないッ!」

 

「あぁ、そうだな。死にに行くだけだったらただの馬鹿野郎だ……だが、人を助けない方がクソッタレの大馬鹿野郎だッ!」

 

想雅は永琳に向け言った。

だけどよぉ……俺はそれ以上の馬鹿野郎だ。アイツを泣かせてしまった。いつもは本当に闇の妖怪なのかと思わせるぐらいの明るい笑顔を俺は崩しまった。

だが、そんな馬鹿野郎でも約束は守る……男には二言は無いからなッ!

 

「だがな、俺は死なない。あの日交わした約束を果たさないまで死ぬことは許されない……それが、馬鹿野郎とクソッタレの大馬鹿野郎以上の男が成さなければならないことだからだッ!」

 

彼の目は真っ直ぐだった。ただただその約束を果たすために生きようとする想いが……

 

「……わかったわ……だけど、生きて帰ってきて頂戴……」

 

「あぁ、必ずだ」

 

想雅は真面目の表情から緩くなり、「わかった」という笑顔の表情で言った。そんか会話をしている最中に想雅の服の裾をひっぱる輝夜の姿があった。

 

「どうした?」

 

想雅はしゃがみ、輝夜と目線を同じぐらいにした。

上からでは分からなかったが目線を同じにした瞬間、輝夜の瞳から涙が溢れ出ていた。後ろにいたノエルにふと目線をやると彼女の瞳からも涙が溢れていた。

この状態を見た想雅は「ノエルが輝夜に言ったのか……」と感じた。

 

「いっしょに……いかないのぉ……?」

 

輝夜は想雅に抱き着き、自分の顔を見せないように言った。しかし、すでに想雅に見られている。

 

「あぁ、そうだな……輝夜たちを避難させるまではな……」

 

想雅は輝夜を抱きながら頭を撫でた。

 

「ほんとぉ……かぐやたちをひなんさせてからいっしょにいくのぉ……?」

 

輝夜が返してきた言葉に想雅は口を噤んだ。

 

「あ……あぁ」

 

彼は自分の心を殺しながら言った。

想雅がそう言うと輝夜が自分から離れ明るい笑顔を見せた。それを見た瞬間こころの奥底がズキッと痛む感覚が想雅を襲った。想雅は自分の胸を押さえながら立ち上がった。

 

「ぐずぐずしていると逃げ遅れるぞ。妖怪が来るまで後数十分だ」

 

想雅はそう2人に告げ早く逃げるように指示をした。そして彼女らが玄関前まで行くと、想雅とノエルの2人は永琳と輝夜が人ごみの中に消えていくのを見送っていった。

 

「なぁ、ノエル」

 

「なんでしょう、マスター」

 

ノエルの顔は少し赤いが涙はすでに止まっていた。

 

「嘘より重い罪なんてあると思うか……?」

 

想雅が言った言葉にノエルは答えなかった。いや、答えようがなかったからだ。2人は今その状況に立っている、想雅にもノエル自身にも言えた義理が無いからだ。そして、想雅は「大丈夫だ、大丈夫だ」とノエルの頭を撫でた。

2人は心を落ち着かせてから、ツクヨミに指定された場所へと向かった。

 

 

 

 

 

-----○●○-----

 

 

 

 

 

想雅たちが指定された場所は妖怪たちが進んでくる門の近くだった。今は門の城壁に上り妖怪の現在位置を確認している。

 

「目標……100メートル圏内姿無し、200メートル圏内姿無し、300メートル圏内姿無し、400メートル……」

 

想雅の隣りに仰向けになって双眼鏡を覗いている男性が呪文のようにブツブツ言っていた。彼は頭にフードを被っていたためあまり顔を見ることができなかった。背中には大型のスナイパーライフルが備わっていた。

 

「そのスナイパーライフルは?どのような種類で?」

 

想雅は少し興味があったのか恐る恐る聞いた。

 

「NTW-20……」

 

NTW-20……やっぱり聞いてもわからない。スナイパーの男性はひょいと想雅に双眼鏡を渡した。そして、「見てみろ」と言われた為想雅は双眼鏡を近づけた。

しかし、平原だったどこも平原だった。妖怪の影や形すらなく美しいほどのぺったんこだった。

 

「10時の方向……約2300メートル付近に敵の姿確認……予想到着時間……約15分……」

 

10時の方向だから……今向いているのが北の12時の方向だから少し西に……2300メートル……うーん、見えない。影や姿も見えない。そして、予想到着時間が15分。やっぱ避難には間に合わないか……

 

「どう?妖怪は確認できたかしら?」

 

後ろの方から女性の声が聞こえてきた。想雅はふと後ろを見ると、階段を上ってきている女性の姿が見えた。その後ろから先ほどまで想雅の近くにいなかったノエルが上ってきた。

 

「目標……約2300メートル……いや、2200メートル……予想到着時間……約15分……」

 

想雅がその場に置いた双眼鏡を手に取り、素早く予想距離と予測時間を言った。

その間にノエルはトテトテと想雅の近くに寄り添った。

 

「何していたんだ?」

 

「中尉とお話をしていました」

 

何……だと……

こんな非常事態というのに呑気におしゃべりなんて……まぁ、女の子同士だし当たり前の事かな?

想雅は手元を見て霊力、『聖』の力、『魔』の力が安定しているか調べた。不老不死になる前と比べたらだいぶそれらしい能力になってきたと思うが、まだまだ調子は良いとは言えない。

 

「想雅……くんですよね?」

 

「え?あ、はい。天上想雅です」

 

急に声をかけられたため少し驚いたが、気を緩めないように言った。

 

「そんなに固くならなくていいわよ。何せあのツクヨミ様に勝った人ですから」

 

「いえいえ、滅相もございません」

 

想雅は頭を横に振りながら言った。

何だろう……中尉が誰かに似ているような気が……あぁ、ガブリエルさんと性格が似ているのか。おっとりしていているところがね。

 

「だけど、協力してくれてありがとう。本来ならあなたたちには関係なかったことなのに、巻き込んでしまって……」

 

中尉は申し訳なさそうに言った。

 

「気にしないでください。指をくわえて見てるぐらいならまだ行動した方がいいと思いましてね」

 

想雅は隣りにいるノエルを見ながら言った。

 

「おーい、オメェらーーーーーッ!そろそろ準備しろぉぉぉぉぉッ!」

 

高台の下から大佐の大きな声がその場にいる人たちの耳に響いた。

 

「あらあら、大佐がすでに張り切っていますね」

 

「大佐、凄く五月蠅すぎる……俺、疲れる……」

 

部下から愚痴が出ていますよ大佐さん。確かにこのテンションの高さには気がやられそうだしな。スナイパーの人には同感する。

スナイパーの人以外は高台から降りて戦闘の準備を始めた。まぁ、俺は準備するものは無いしな。しいといえば心を落ち着かせるぐらいだからな。しかし……

 

「マスター、大丈夫ですか?顔色が悪いようですが……」

 

落ち着かせようとしても落ち着けない。

ツクヨミ様が見た未来予知で俺が死ぬと予測されたこともあったが、それより怖いものが……

 

――――――そう、命を奪うことだ。

 

今回の護衛任務で妖怪たちの命を奪ってしまうという恐怖があるからだ。

別に殺そうとする気は無いはずなのだが、手が誤って殺してしまうということがあるかもしれないからだ。

勝利の塔の最上階で会った黒騎士も言っていた。

 

――――――初めは怖かったさ。痛いのも、死ぬのも、殺すのも……しかしよぉ、何回も戦場に赴き、過酷な戦火の中を駆けていくうちに、慣れちまったよ。痛みにも、死ぬのも、殺すのも……そこから俺はすでにおかしくなってきたんだ……

 

――――――殺戮に手を染め、残虐のことをした……だけど、そんなこと俺は知らない、殺らなきゃ殺られる、そんだけだったんだよ。そして自分を見失なった……

 

もし、今回妖怪を殺してしまったら狂気に染まった黒騎士みたいになるかもしれない。

俺は死ぬという恐怖より、狂気に染まる恐怖感が今心の中で勝っている。

死んだなら恐怖感もなく何も感じないままいられる。しかし、狂気に染まるということは生きたままただ本能の赴くまま、自分の意識がある中で殺戮を好む……そのようなことがあるかもしれない、だから怖いのだ、誰かの命を奪うというのは……

恐怖に脅えている想雅の両手をノエルがそっと手を添えた。

 

「私はマスターの剣、マスターが思うがままに……私はいつもあなたの傍にいます。だから、あまり一人で抱え込まないで」

 

「すまないな……みっともない姿を見せて、我ながらダメだな俺は……」

 

ノエルの顔を見ながら想雅は「ははは……」と苦笑いした。

 

「全員、集合しろッ!」

 

またもや大佐の大きな声が耳に響いた。ふと壁にかかっていた時計を見ると妖怪が攻めてくる5分前だった。想雅は急いで大佐のところまで行った。すでに大佐、中尉、スナイパーの人が集まっていた……って、え?

 

「すみません、これで全員ですか?」

 

「あぁ、そうだが……どうした?」

 

いやいや、どうしたじゃありませんよ。どう見ても人数が少なすぎるではありませんかッ!これで時間を稼ぐことができるのかよッ!

 

「ん?あぁ、そういうことか……確かに俺を含め、中尉と少尉そして小僧たちしかいない。あまりにも人数が少なすぎるといったところか……」

 

大佐は想雅が言いたいことがわかったのか、頷きながら言った。

 

「まぁ、人数は少ないが実力は本物だ。妖怪の数千、数万ぐらいは何とかなるしな」

 

大佐は豪快に笑いながら言った。

ま、まぁ、大佐の服越しからでもわかる屈強な筋肉を見れば大佐の実力はわかるが、中尉は女性だし、スナイパーの人……少尉はミステリアスで2人とも実力が分からない。ま、俺みたいなガキとノエルみたいな少女がツクヨミ様に勝ったって言ったら信じてもらえるのかと同じだな。

外見はともあれ大佐が言うのなら実力は本当だろう。

 

「さて……お前らついに時が来たッ!」

 

大佐はみんなに気合を入れるように張り切って叫んでいる。

 

「俺たちは戦をしに行くわけでは無いッ!あくまで時間稼ぎだッ!奴らを殺さなくてもいいッ!あくまで時間稼ぎだからだッ!我らと奴らの被害を最小にして時間稼ぎをするッ!被害を最小に収めるには一人ひとりの状況判断、行動力にかかっているッ!そこんところを忘れるなッ!」

 

大佐のカリスマが溢れながらみんなに言い聞かせていた。

 

「そして……皆、生きて帰還するようにッ!以上ッ!」

 

大佐はこれ以上話すことが無いため、想雅たちに背中を向けて前へと歩いて行った。その後に中尉が続いていき、少尉は門の高台へと上って行った。

 

「私はマスターの剣、マスターの想うがままに」

 

刀へと変化したノエルを想雅は掴み、大佐と中尉の後をついて行った。

 

 

 

 

 

-----○●○-----

 

 

 

 

 

地平線が目視できるぐらいの広い平原に目視できるぐらいの妖怪の大軍がこちらに向け攻めてきている。

都市との距離は約1500メートル。

 

『あーあー、マイクテストマイクテスト』

 

想雅の耳元から大佐の声が聞こえてきた。

ノエル以外の全員が耳にインカムを装着しており、お互いの状況や情報を伝えることができるようになっている。

 

『少尉、今の進行状況は?』

 

大佐がインカム越しで少尉に話しかけた。

 

『大佐たちとの接触予想時間……約1分半……避難状況……70%を切った……』

 

避難状況は問題なしか……だが、接触時間がもうすぐで来る……奴らが……

 

『このまま問題なく事が運べればだいたい15、20分……多くて30分だな』

 

だが、戦闘をするということはそれ以上の時間がかかることだってある。

大佐は今までの妖怪との戦闘で経験している。奴らは欲のままに動いている分、何も考え無しで真正面から突っ込んでくるだろう。しかし、この予測はあくまで予測だ。完全とは言い切れない。

 

『例え奴らが残ったとしても我らは時間が経てば引き下がる。いいなッ!」

 

『りょうかーい』

 

『了解……』

 

『わかりました』

 

全員の了承を確認したと同時に大佐は腕に巻いてある時計を見た。

30、29、28と接触時間まで迫ってくる。

大佐は自分の拳と拳を同時に合わせ気合を入れた。

 

『想雅くーん』

 

『あ、はい』

 

インカム越しから中尉の声が聞こえた。

そういえば、中尉の武器ってなかったような……大佐みたいに肉弾戦ではまず無いし、変わったところといえば戦闘服なのか大きな白いコートを着ていたような……

 

『一緒に頑張りましょうね』

 

『はい、お互い頑張りましょう』

 

中尉は想雅と自分に向けて応援をした。

話をしている間に妖怪の大軍はすでに想雅たちを捕らえたのか走ってくる者がいた。

 

『ただいまから都市護衛任務を開始するッ!諸君、心してかかれ!』

 

インカム越しの大佐の声が聞こえると大佐の近くにすで3体の妖怪たちが囲んでいた。そして1体の妖怪が大佐に向け襲い掛かってきた。

 

「フンッ!」

 

大佐の実力は想像を絶するぐらいだった。

向かって来た妖怪を自分の拳で腹に打ち込んだ。その衝撃が大きな音を出して妖怪はその場に倒れた。

しかし、倒れた妖怪を見たとしても残り2体の妖怪は止まらない。

2体目の妖怪が向かてきた。しかし、動作もなく大佐は小回りが効くと思わない巨体を動かしその攻撃を避けた。向かってきた妖怪が後ろを振り向こうとして瞬間、重みがかかった拳が顔面に直撃した……ッ!その妖怪は回転しながら飛んでいき地面に刺さった。

攻撃し終わった後を狙って3体目の妖怪が大佐の背中を自分の鋭い爪で攻撃した。しかし、大佐の軍服だけが切り裂かれたが、彼の肉体に目立った外傷はない……つまり、無傷だった。

確かに爪は入ったはずだが、彼の肉体に傷が一つもついていない。

 

「俺の筋肉はァァァァァッ!鋼よりも頑丈だァァァァァハッハッハッ……ハァッ!!!」

 

叫んだと同時に大佐は攻撃した妖怪のアゴに下からアッパーを捻じ込んだ。しかし、それだけでは治まらなかった。

上空に飛んで行った妖怪を追撃するかのように大佐は己の脚で地面を蹴り妖怪の近くまで飛んで行った。そして、その妖怪の顔を自分の手で鷲掴みにしそのまま地面に叩きつけた。その衝撃で妖怪は地面から浮き、その瞬間で大佐は妖怪の腹に向け己の剛腕の腕を打ち込んだ。

妖怪は弾丸のように飛んでいき目の前にいた妖怪たちを蹴散らしていき、地面に到着すると轟音と砂煙と共にクレーターができるぐらいの速度だった。

その光景を見た想雅はある言葉を溢した。

 

「ぶ、ブ○リーがいる……目の前にリアルブロ○ーがいる……」

 

目の前にリアル伝説の超サイヤ人らしき大佐がいるのだ。もう惑星破壊できるんじゃないかな。

 

「例え複数で来ようとも、このオレを超える事はできぬぅ!」

 

気を一気に放出するかのように妖怪たちに向け叫んだ。

 

「あらあら、いつも通りですね」

 

いつの間にか隣りにいた中尉が笑いながら言った。

アレがいつも通りなんですか?もう戦闘狂にしか見えませんけど……

想雅は苦笑いしながら後ろを振り向いた。そこには4体の妖怪たちが戦闘態勢をとっている。そして、想雅たちに向け1体の妖怪が地面を蹴った……がッ!

 

 

バシュゥゥゥゥゥン……ッ!

 

 

遠くから銃声が聞こえた。その瞬間妖怪の片腕が原型を止めないままはじけ飛んだ。

 

「グギャラァァァァァァァァァァッ!」

 

その妖怪はその場に倒れもがき苦しんでいる。その光景を見た3体の妖怪はキョロキョロとその弾丸が飛んできた方向を探している。

しかし、奴らの視力と動体視力では弾丸が飛んできた場所なんてわかりはしない。ましてやその姿さえ捉えることができないのだ。

 

「目標命中……誤差約0.8……風速0.4……」

 

そのスナイパーは距離が1500メートル地点にいる妖怪を狙撃した。

目標の誤差は肉眼、風速は感覚でとらえた。

彼は目標の誤差と風速を言うと同時にシリンダーの後部に親指を添えてそのまままっすぐ後ろにシリンダーを引き、弾丸を撃ち終わった薬莢を外に排出し、シリンダーを押し込みリロードをした。

その速さたったの4秒。

そして、目標たる妖怪に狙いを定め……打ち出すッ!

 

 

バシュゥゥゥゥゥン……ッ!

 

 

弾丸が打ち出させる音と反動ともに妖怪に向け一直線に向かって行った。またもや命中。そして、10秒もかからないまままた1体、2体と仕留めていった。

 

『調子がいいですね、少尉』

 

『前線を援護するのが自分の役目……当たり前……』

 

少尉はNTW-20のスコープを覗きながら言った。

想雅はまたある言葉を溢した。

 

「ゴ○ゴがおる……ゴル○13が……」

 

何この部隊……個性が強い人が2人もいるやないか……

○ロリー、○ルゴ13……このながれで行くと中尉も……

想雅が隣りにいる中尉を見ようとしたが、その中尉はすでに想雅の目の前に立っており、先ほどと比べ物にならないほどの数の妖怪が周りを囲んでいた。

想雅は援護に向かおうとしたが何やら鎖みたいな物体が地面に垂れていた。先をたどっていくと先端に剣みたいな刃が備わっていたためその一歩手前で止まった。そして1歩づつ後ずさりしていき、インカムから中尉の声が聞こえてきた。

 

『想雅くーん、その場から動かないでくださいね~』

 

先ほどまで垂れていた鎖が螺旋を描くように動きだし、周りにいた妖怪たちを蹴散らしていった。その動きはまさに生き物。その中心に中尉の姿が見えた。

長く白いコートの袖口から片袖に3本づつの鎖が垂れていた。想雅はそれと似た束縛『レイジング・グレイプニル』を思い出したためか自分の腹に手を添えた。自分を縛り、そして刀で刺したものだからだ……

鎖は中尉の袖口の近くまで戻っていく指と指のスキマに剣の刃らしきものを挟むと、近くにいた妖怪に向け放った。右脚、左わき腹、左腕に刺さるとその妖怪は鎖の力によって宙に浮き、妖怪が複数いる場所に投げられていった。

 

「なぁ、ノエル……」

 

『なんでしょうか?』

 

想雅はふと何かを思いノエルに話しかけた。

 

「俺たち要らなくね?」

 

今までの光景を見て想雅は思った。人数は少ないが実力は予想以上だった。ブロリ○、ゴルゴ○3、そして、鎖を自由自在に操る中尉……この中だと俺が1番の空気だと思う……

そんなことを思っていた時だった。インカム越しから少尉の声が聞こえた。

 

『ロケット1機目発射確認……2機目発射確認……護衛予想時間まであと7分……』

 

その情報を聞いた瞬間、想雅は後ろを振り向いた。上空にはすでに4機のロケットが月に向け発射されていた。

 

『よし上出来だ、そろそろ撤退の準備をしろ』

 

大佐の命令で想雅たちは後ろに少しづつ退却しながら戦闘を続けている。しかし、そううまくはいかない。

少尉から連絡が入った。

 

『緊急事態……ロケットに妖怪が向かっている……ロケットに近づけられたら狙撃不可能……』

 

上空を見ると鳥型の妖怪がロケットに向けて飛んで行っている。

 

『チクショウッ!鳥型の妖怪だとッ!?』

 

妖怪を調査していた大佐も驚きが隠せなかった。

 

『私の鎖でもあの距離は無理だわ……』

 

中尉もお手上げの状態だった。

上空では少尉の狙撃により撃ち落とされている妖怪がいるが、ロケットに難なく近づいている妖怪もいた。

 

『俺が向かいますッ!大佐たちは撤退の準備をッ!』

 

インカム越しから先ほどまで空気だった想雅の声が聞こえた。想雅は早く妖怪たちを落とすべく脚に『魔』の力を流し込み、上空に向け飛んだ。その速さは少尉の撃ちだす弾丸並、数秒もかからず目標の妖怪に近づいた。

 

「落ちろッ!」

 

想雅は刀で妖怪の翼を斬り落とした。翼を失った妖怪はバランスを失い地面に落下して行く。近くにいた妖怪たちが想雅に向け翼から羽の弾丸を飛ばしてくる。

 

「龍は偉大である。あらゆるものを凌駕する覇気を持つがために。覇気『龍王の威圧』」

 

自分に向かってくる羽の動きを拘束し、周りにいた妖怪の自由させ拘束した。

 

「ハッ!」

 

威圧を1段階強くし、より拘束を深めた。強さに耐えられなかったのか羽の弾丸たちは想雅に当たることなく儚く散った。

 

「もういっちょッ!」

 

もう一度威圧を強くした。今まで宙に浮いていた妖怪のほとんどは次々と白目を剥きながら気絶していった。残った妖怪は想雅自ら赴き、『魔』の力を込めた拳で腹に打ち込み気を失わせた。

そして、拘束を解くと同時に気を失った妖怪たちは地面へ落ちて行った。

 

『ロケット8機目発射確認……護衛予想時間まであと4分……』

 

そのことを聞いた大佐は張り切って皆に伝えた。

 

『よく耐えてくれた、少尉は続けて我らの護衛をッ!中尉、小僧、退却だッ!』

 

大佐の指示通りに少尉は想雅たちの護衛を続ける。想雅も地上に降りようとして地面を見ようとした瞬間だった。

 

「クエェェェェェェェェェェッ!」

 

想雅の頭上上空にまだ1体残っていたようだ。

しかも、その妖怪は先ほどの鳥形妖怪のような感じではなく、6枚の翼をもつ大型の鳥形妖怪だった。そいつは今打ちあがったロケット目がけて飛んでいた。

 

『緊急事態発生、上空に大型の妖怪が現れたりッ!大型妖怪を目標とし、ただいまから目標を駆逐するッ!』

 

『待てッ!小僧。無茶だッ!』

 

大佐は想雅を引き留めようとしたが、彼は見捨てることができずそのまま脚に『魔』の力を込め、即座にその大型の怪鳥に向かって行った。

 

「ハァァァァァァァァァァッ!」

 

想雅は『魔』の力を込めた刀で斬りかかろうとしたが、図体に似合わず細かい動きにより攻撃は避けられてしまった。

 

「クエェェェェェェェェェェッ!」

 

怪鳥は想雅に向け奇妙な声で叫んだ。

その声は想雅の耳を揺るがし船酔いのような目眩のような感覚に襲われた。一瞬バランスが崩れかけたが何とか耐えきり、体勢を戻すが目の前にはこちらに向かってくる怪鳥の姿が……ッ!

 

「マズイ……ッ!」

 

想雅は当たる範囲が少ない下側に避けようとしたが……

 

「ガァッ!」

 

奴の狙いは想雅自身だった。

怪鳥は下に避ける想雅を視界内に収め、自分の脚の爪で攻撃した。想雅は右肩をやられてしまい今度こそ体勢を崩してしまい落下していった。しかし、想雅は諦めなかった。

 

「英雄の魔となる奇怪の槍よ。稲妻の如く鋭き鏃と成り、確実なる勝利を遣わせ。魔槍『ゲイ・ボルグ・レイン』」

 

負傷している右腕ではなく手ぶらだった左腕に『魔』なる槍を出現させ怪鳥に向け投げた。

投げられた槍が30の鏃となり、多彩な動きを見せて怪鳥を貫いていくッ!

 

「クエェェェェェッ!クキュラァァァァァッ!」

 

6の翼を貫き、腰も貫き、足も貫いた。

怪鳥もバランスを崩し地面へ落下して行く……

 

「ノエルッ!」

 

『はいッ!』

 

想雅が呼ぶと左腕に鞘が出現しそれを掴んだ。そして、鞘を腰に構え、刀の刀身に『魔』の力を込めて……押し込むッ!

 

 

ゴォォォォォォォォォォッ!

 

 

暴風と轟音が起こり、そのまま地面へと落下していった。それと同時に轟音に紛れて怪鳥も落下した。

想雅は鞘から出た暴風により落下速度を抑え、衝撃を吸収させた状態で着地した……が……

 

「カハ……ッ!」

 

右腕から多量な出血を起こしその場に仰向けになって倒れた。

 

「マスターッ!」

 

ノエルが刀から少女に変化し、倒れている想雅に寄り添った。

想雅は右肩を集中的に『聖』の力を送り込み傷を癒やしている。

 

「だ、大丈夫だ……それより早く撤退を……」

 

先ほどの衝撃でインカムが壊れたのかザァァ……と通信が途絶えたままだった。五月蠅かったため耳から引き抜き、そこらへんに投げた。

その時、想雅の頭にある言葉がよぎった。夕暮れの日、ある一室の中で予知された言葉だった。

 

―――――月に一緒に行かないとこのままだと死ぬよ。

 

想雅の背中に寒気が生じた。

そして、その原因となる予知の言葉もだ……

 

――――――そう、ノエルちゃんを庇った想雅くんが妖怪の攻撃で心臓をズバッ!……っとね

 

俺……ノエル……妖怪……俺の方を切り裂いた爪。そう、ここに全てのピースが当てはまったのだ。

想雅はバッと顔をあげ、何も考えずに横を見た。そこには先ほど地面に落下し血だらけとなった怪鳥の姿が……

不意な出来事だったため、想雅は『聖』の力を流し込むことを中断し、ノエルを押し出した。

 

「きゃッ!」

 

押し出されたノエルはお尻から地面につき、急いで想雅の方を向く。

 

「逃げろ……ガッ!」

 

想雅もその場から逃げようとしたが、ノエルを押し出したため右肩の傷口が開いてしまい。その場に崩れた。

 

「キュエェェェェェェェェェェッ!」

 

怪鳥の奇妙な声によりより一掃逃げることが不可能になってしまった。船酔い、目眩、貧血、吐き気、幻聴……さまざまな症状が想雅を苦しめる。

そして、動けなくなった想雅を見て怪鳥は己の脚の爪を使い想雅に斬りかかるッ!

 

「マスターーーーーーーーーーッ!」

 

ノエルの叫び声が聞こえる中、想雅はこんなことを思っていた。

これが未来を予知するツクヨミ様の力か……チートなレベルだろこれ……ふざけんな……未来、未来、未来……何が未来だッ!未来は自分で進むものだ。誰が何と言おうとも自分の道だ。それが予知に世的丸だと?誰かが敷いたレールの上を大人しく走る義理なんて無いッ!

想雅は自分の甘さ、無力さに屈辱を味わっていた。

だがよ……アイツとの……アイツとの約束を……

 

「破るわけにはいかねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんだよッ!クソッタレがァァァァァァァァァァッ!」

 

想雅は自分に向け激昂した。

想雅が吼えたことにより怪鳥の動きが一瞬だけ止まった。その時だった。

 

「グキャラァァァァァァァァァァッ!」

 

怪鳥が一瞬のうちにして燃え下がる炎に燃やされた。

 

「まったく、世話を焼く弟がいると苦労するものだな……」

 

怪鳥が塵になっていく時、その間から見たことのある少女が見えた。

 

「ウリエル……」

 

桃色をしたセミロングの髪型に、桃色の瞳。どこか神々しさを感じさせられる。彼女しかいない特徴だった。

想雅に押されたノエルは怪鳥が消えたと同時に想雅のもとに駆け寄った。

 

「マスタぁ……」

 

「すまないな、また心配かけて……」

 

その光景を見たウリエルは「ま、いいか……」と呟いた。

 

「早く来い。魔方陣が閉じるぞ」

 

ウリエルは魔方陣の場所を示すと、1人先に魔方陣の中に入った。

ふとあたりを見ていると大佐たちの姿が無く、すでに退却の後のようだった。

大佐たちは大丈夫だろうか……まぁ、あの人たちだ何とかしているだろう……そして、永琳、輝夜。今までありがとう、また会える日を楽しみにしているよ。

想雅はそんなことを思いながら魔方陣の中へと入り自分の元の世界に帰還した。

 

 

 

 

 

 






何かまた10000文字超えたし……なんだろう話数重ねるうちにどんどんと長くなっている気が……

前書きに書いたクレペリン検査の結果の最後にこんなものが……

『千里の道も一歩から』

え?なにこれ……急がずに行けと……ふん、無理だね。俺は速いことに意味がある。
三大兄貴の一人、クーガー兄貴ッ!使わせてもらうぜッ!

「この世の理はすなわち速さだと思いませんか、物事を速くなしとげればそのぶん時間が有効に使えます、遅いことなら誰でも出来る、20年かければバカでも傑作小説が書ける!有能なのは月刊漫画家より週刊漫画家、週刊よりも日刊です、つまり速さこそ有能なのが、文化の基本法則!そして俺の持論でさ-------ァ!」

「ああ…2分20秒…! また2秒、世界を縮めた…ァ!」

感想待っています!
次回もお楽しみに!

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