初コラボが来たァァァァァッ!
今回は島夢さんが筆記している『東方戦愛禄』から、影神晴夢くんと影神龍桜ちゃんをご招待です。
これを読むときは先に島夢さんの『東方戦愛禄』を呼んでからだとありがたいです。
いやぁ……テスト後に書きはじめて、テストからの病み上がりでしたので時間がかかってしまいました。だけど、時間に見合った文字数となっていると思います。
え?文字数がどれぐらいだって?約20000文字ですよ奥さん。
感想ありがとうございました。
では、ごゆっくり。
「ったく何だよ、人が読書中に……」
想雅は神話を解読中にガブリエルから「支長がお呼びですよ」と言われ、解読を済ませた後にチャラ神がいる執務室へと向かった。
想雅曰く「解読とはただの読書」と言うまで、普通に読んでいるらしい。
もちろん、俺の隣りには相棒であるノエルがいる。先ほどまで俺の膝の上に寝ていたせいか少しポケ~……としている。ホントこの子寝付くのに10秒もかからないよ。
先週までこの世界と異なる世界……そう異世界に行ってきた。いや、行ったというより気付いたらそこにいたといえばいいだろうか?
そこには髪は黒…これ以上ないほどの漆黒と艶があり絹のように美しい腰まである長い黒髪。そして、美しい…そうとしかいいようのない容姿に可愛い……そんな言い方には一切当てはまらない美貌を持っていた。綺麗で美しい…しかし、触れれば自分が壊れてしまう…いや、喰われるような危険な美……実際喰われかけたんですがね……
想雅はその女性を思い出しながら苦笑いをした。
本当なら
まさか、女性の方と殺り合いと思っていなかったため、心の準備とやらが間に合わないまま殺り合いが始まってしまった。
結果は敗北。やはり年期の差と実力の差だったのか……いや、単に俺が女性だからといって無意識に手を抜いたのかもしれない。
しかし、結果は結果だ。
某アニメで「この世に残るのは『結果』だけだッ!『結果』だけが残るッ!」と、とある二重人格のスタンド使いも言った。
自分は敗北した。だが、その敗北をかてにして俺は次の道へと歩む。新たな出会いこそが始まりであり、新たなる続きだ。
「マスター、何かいい事でもありましたか?」
「いいや、ある人のことを思い出してな……」
嬉しそうな想雅の顔をジッとと見ているノエルと、ある女性の事を思い出し終わった後、先ほどまで読んでいた神話の解読文をまとめ、『言霊』にしている。
「うしっ、これで完成だ」
これでいつでも『言霊』の詠唱が可能だ。
そんなことをやっている間にチャラ神の執務室までたどり着いてしまった。あー、めんどいな、アイツが呼ぶといったらロクなことが無いからあまり期待しないでおこう……うん、それがいい。
想雅は大きな扉の片方の取っ手を掴み、扉を開いた。
「何か用か?チャラが……み……って、え……?」
想雅を呼び出した張本人チャラ神は想雅から見て右側のソファに座って、先ほど来た想雅に「よっ。(・∀・*)ノ ィョゥ」と紅茶を飲みながら片腕を軽く振った。その隣りには秘書のガブリエルさんが座っていた。
うん、その2人はいい。だけど……
想雅はチャラ神とガブリエルの2人から視線を逸らして、左側のソファに座っている男性と女性を見た。
「よお、遅かったな。想雅」
そのソファに座っている男性はチャラ神と同様に片腕を軽く振った。
漆黒の黒いショートの髪に、黒い双眼。体系はガッチリとしているわけでもなく、ヒョロとしているわけでもなく普通だった。しかし、身長は自分よりは高く感じた。顔立ちは整っておりイケメンと言えるぐらいのカッコよさもあった。
彼はどこかで会っているような会っていないような感じで、どこか久しいような感じもあった。
「おいおい、忘れたのか?俺だよ俺、晴夢だ」
晴夢と名乗った男性はやれやれと言わんばかりに残念な表情をした。
「え?あ、あぁ……どこか久しぶりに感じたのはそういうことだったのか……」
想雅は一瞬戸惑いながらも今までの口調考えると晴夢自身考えようがなかった。
「まぁ、俺の顔が分からないのも無理はない、俺が戻る前にお前が気絶していたからな。さて……元気にしていたか?ノエル」
「はい、晴夢さんもお元気で何よりです」
晴夢は想雅と同じく、片手を軽く振り挨拶をした。ノエルはペコリとお辞儀をした。
「ノエル、晴夢さんとずいぶん仲がいいな」
「はい、一度お話したので」
あー、俺が気絶している時ね。
あの時、ノエルを奪われたときはヤバいなと思ったな。ホントノエルがいないと俺って無力だな……
晴夢さんとノエルが話している間に想雅は隣りにいる女性に視線を移した。
桃色の長いストレートの髪、顔立ちはとても整っており、美しい、綺麗などといった感じの言葉が似合う美人さんだ。もし街中を歩けば10人中1000人は振り返るレベル……ってどこから湧いて出てきた990人ッ!?
スタイルもかなりよく、傍から見たらどこかのモデルさんと間違われるぐらいの良さだ。胸は見る限り大きすぎず小さすぎず、でも大きい方だと思う……って、煩悩卍退散ッ!煩悩卍退散ッ!
想雅は女性を見ながら頭の煩悩と戦っていると、こちらを見ていることに気付いたのかニッコリと笑いながら想雅に向け言った。
「顔を合わせるのは初めてだったな、私は影神龍桜だ」
口調は魔理沙、ウリエルと同じく男っぽい話し方だった。
「は、初めまして、天上想雅と言います。以後お見知りおきを」
想雅は先ほどまで煩悩を頭の中からアインストールをしていたためか、落ち着きのないまま自己紹介した。
想雅の異変に気付いたのか龍桜は想雅に声をかけた。
「ん?どうした?少し顔色が悪いぞ」
「い、いえ……お構いなく……」
「少しやましいことを考えていましたー」何てさすがに言えない。もし言ったら晴夢さんに殺されかねないし……命に関わることを言うほど俺はバカ正直じゃない。
チャラ神が紅茶を飲み終わり、ティーカップを目の前のテーブルに置くと「さて紅茶も飲み終わったし本題本題、と……( ´,_ゝ`)」一息つき終わったためかその場に立ち、自分の執務席の前に立ち、本題を告げた。
「えー、君たちをここに呼んだのは他でもない。察している者もいると思うが今回は想雅と晴夢君の一対一の殺り合いを行うためだ。щ(゚▽゚щ)」
「ちょ、待てッ!晴夢さんとは先週戦ったばかりだぞッ!」
想雅は晴夢がこの場にいる理由はだいたい察しがついていたのか、言葉に若干のブレがあったもののチャラ神が言ったことに反論した。
「お前が殺り合ったのは咲晴ちゃんだ。咲晴ちゃんは咲晴ちゃん、晴夢君は晴夢君だ。m9っ`・ω・´)シャキーン」
「そうだ、俺はお前と殺り合うためにここまで来た。俺は俺で、咲晴は咲晴だ」
晴夢はチャラ神が言ったことに頷きながら言った。
マジですか……俺の意見無視じゃないですかーヤダー。
「さすがに逃げると言ったら、男としての恥でもあり、自分を蔑むことだ」
うわぁお……最後のトドメの『男としての恥』……
咲晴さんの時と同じことを言われているような……まぁ、性格は似ているし言葉も似ているのもわかるだろう。しかし、先週にも戦って今日も戦う……結構ハードなことだな……それより先週負けてるし、ま、まぁ……トドメが来たなら受ける他ないよな。
「わかりました。だけど殺さないでくださいよ?」
「わかってるさ、だが、手が誤って喰らっちまうかもな」
「ぶ、物騒な事言わないでください……」
晴夢は「相変わらずのヘタレっぷりだな」と少し笑いながら言った。それに釣られたのか、龍桜、ガブリエルはクスリと笑ったが、なぜかチャラ神だけが異様にテンションが高い笑い声をあげた。
「HA☆HA☆HAッ!お前のヘタレは異世界にも認められるぐらいの偉大さかッ!
。゚(゚^∀^゚)゚。ギャーハッハッハッハッハッハハッハッハッハッハッハ !!」
「なぜかお前
「HA☆HA☆HAッ!ワロスッ!( ・´ー・`) ドヤァ・・・」
「うぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!」
客人が来たとしてもチャラ神のウザさは変わらず平常運転。
「まっ、想雅をいじるのはここまでにして、もう用意してあるフィールドに移動スッゾ。準備はいいかなー?(*^o^*)」
チャラ神は想雅たちに自分の耳を傾けながら言った。
「おいおいどうした君たち?『いいともー』はどこ行った?『いいともはー』?щ(゚▽゚щ)」
想雅との戦闘でもやった笑って○いともと同じような発言をチャラ神は求めていた。
「なぁ、想雅」
「はい?」
「お前……大変だな……」
「晴夢さんが常識人で助かります……」
そんなことを2人がやり取りしていると、チャラ神が神パッチンをした瞬間、執務室に人影は1秒もかからずに消失した。
-----○●○-----
チャラ神の能力の1つ、3次元『空間』を使い彼が今回のために用意したフィールドに執務室にいた全員が空間移動して来た。
目線に広がるのは大平原。その平原に霧なのか雲なのか分からないものがところどころ漂っており、どこか神秘的なように感じる。
ふと目線の先を空に向けると、空中には2つの太陽、そして太陽の光を遮らない程度に透き通っているガラス状の浮遊島が浮いている。そのガラスの浮遊島から太陽の光が反射するようになっておりより輝きを増している浮遊島さえあった。
その浮遊島の上の方にリング状の輪っかが浮いており、その色はまさに神々が住んでいる神域だと思わせるように黄金色に輝いていた。
「さて、想雅と晴夢君は定位置に着いた着いた。(σゝ∀・)σ」
チャラ神は彼らを自分の能力を使い定位置に空間移動させた。一瞬の出来事なので晴夢は少し驚いた素振りを見せたがいつもの冷静さだけはぶれることが無かった。
晴夢はあることに気付きチャラ神に言った。
「おい、この距離だと結構近くないか?」
2人から見たチャラ神たちの場所はだいたい目で見て約300メートル。近すぎては巻き込まれる可能性が多いからだ。しかし、それ以外のことを考えるとまさに今から行われる殺り合いを観賞するような距離でもあった。
「あー、そのことは心配ないさ。俺は神様だぜぇ?( ・´ー・`) ドヤァ・・・」
自分の実力に相当自信あるのかドヤ顔の顔文字交えて晴夢に言った。晴夢は「そうか……」と呟き、今回の目標である想雅に目線を動かした。
「さてと……始めようか想雅」
「2度も戦うなんてハードルが高すぎでしょ……」
「まぁ、そんな野暮なことをいうなよ。俺はこれでも楽しみにしていたんだぜ」
「そうですか……」
「まぁ、何だかんだ言ってお前は結局受けたってくれたじゃねぇか?そういうところはお前らしいぜ」
少し笑いながら晴夢は戦闘態勢を取りいつでも準備万端の体勢になった。
「ノエル」
「私はマスターの剣、マスターの想うがままに……」
ノエルが白く光るとともに刀へと変わった。想雅は目の前に浮いているノエルを左手で掴み、右手で振り払い刃を晴夢に見せ、戦闘態勢を取った。
ふと想雅は気になるのかチャラ神たちがいるところに目線を逸らした。
想雅たちに背中を見せているチャラ神が能力の2次元『図形』を使い、白い丸いテーブルと白い椅子を3つ創り出した。そして、3人が椅子に座るとガブリエルが空間移動と共に持っていた袋に包まれているものをテーブルの上に置くと、そこから3個のティーカップとスコーンなどといったお菓子が入っているケーキスタンドが入っていたらしい。
何するためにここに来たんですか……戦闘を観賞しながらティータイムって前代未聞のチャレンジみたいのかよ……これじゃ、全力が出しきれないじゃないですかーヤダー
想雅は内心心配しながらも目の前の事に集中した。
「それじゃ、行くぜ?想雅」
「はい、俺も行きますよ……」
彼らはお互いに睨め合い、相手がどう出るかと考えている。しかし、どちらかが動かないと何も始まらない。
――――――両者の脚に雲のようなものが通り抜けるごとにひんやりと涼しく感じる。
――――――ガラスの浮遊島が動くごとに光が反射していき光のカーテンを創り出していく。
――――――捕食者は楽しそうに表情を動かし、神殺しは苦笑いしながらも真剣そのままの表情。
「天上想雅ッ!いざ、押して参るッ!」
「影神晴夢ッ!いざ、尋常に勝負ッ!」
先手は想雅が晴夢に向け地を蹴った。その瞬間に脚には『魔』の力を込めていたため、想雅以外の全員からは想雅が消えたとしか見えなかった。しかし、晴夢は冷静でどこから想雅が来るのかを見計らっていた。
だが、想雅自身も晴夢に見計らせることをさせない。
想雅は晴夢の後ろに姿を現し、『魔』の力を込めた足で蹴りかかる。
捉えたッ!と思った想雅だが、視線に晴夢の頭が消えた。視線を下に向けるとそこにはしゃがんでいる晴夢の姿が……
晴夢はニヤリと微笑し、己の右腕で想雅に殴りかかろうとする……
想雅は蹴りを入れていない足で空気を蹴った。ギリギリ晴夢の拳は想雅に届かず、先ほどと同じぐらいの距離が開いた。
「
「今回はって……先週の咲晴さんとの殺り合いが手を抜いていたみたいじゃないですか……」
「違うのか?」
「え?手を抜いていたように見えましたか?俺は本気を出してやったはずなのですが……」
「無意識で手を抜いていたのか?ハハッ!怖ぇな無意識はッ!」
晴夢は笑いながら言った。
後から咲晴に何か言われるぞ、想雅。だが……これはこれで面白そうな展開になりそうだな。
表情だけではなく内心でも笑っていた。いや、この後に起こりそうなことに楽しんでいた。
想雅は何か感ずいたのか、「はは……」とぎこちない笑みを浮かべるだけだった。
「だがな……楽しみなのは今だッ!」
晴夢はそう叫ぶと、地面を蹴ると想雅に向かって行った。想雅は来るかッ!と刀を構えた。しかし、晴夢は向かっている途中に能力で想雅との距離を喰らい、想雅の目の前に移動した。
彼の目からは他人から見る『魔』の力の速度と同じ、瞬間移動したと感じた。
いきなりの出来事だったため、想雅は守りに入ろうと『魔』の力を込めた刀で防御しようと思ったが、すでに晴夢の拳は想雅の懐に入り込もうとしていた。
想雅はダメージを受ける覚悟で体に『魔』の力を流し込み……拳をくらった。
「ガ……ッ!」
流石に完全にとはダメージを防ぐことができなかった。
反動で一瞬体が浮き、拳から離れたところに晴夢が体を捻り、また想雅の懐に自分の脚で蹴る。
「ガァハッ!」
2度の衝撃をくらい想雅は一直線に飛んで行った。さすがに意識は飛ばなかったが腹あたりがジンジンする。これ『魔』の力を展開しないと内臓と骨もろどもグチャグチャのミックスジュースになるところだった。
「ノエルッ!」
想雅は叫ぶと、目の前に鞘が現れそれを手に取り『魔』の力を流し込んだ刀を一気に鞘に押し込む。
ゴォォォォォォォォォォッ!
轟音と暴風が現れ、周りに浮いていた雲らしきものが吹き飛ばされた。その暴風は晴夢のところまでとどいた。
「すげぇ風だな……」
そうつぶやく晴夢と……
「ん?あぁ、ただの微風か……( ´_ゝ`)フーン 」
と、別に驚きもせずただ聞こえる音に耳を傾けながら美女2人とティータイムを楽しんでいるチャラ神……
「本当に頑丈だな、この空間とやらは……」
龍桜が紅茶を飲みながら言った。
自分たちを覆うようにチャラ神が創り出した3次元『空間』はどこから見ても紙のような薄っぺらさ、増してや先ほど起きた暴風に耐えられるはずがないと思っていた。しかし、耐えきったのだ。あの暴風を崩れることもなくただただそこに固定されているように……
「そりゃぁ、ガルヴォルンだからな。( ゚Д゚)ウマー」
チャラ神はケーキスタンドに置いてあるスコーンを食べながら答えた。
「が、がる……?」
龍桜は頭の上に?を浮かべるような表情をした。
「ガルヴォルンですよ。ガルヴォルンはあらゆる攻撃を通すことが無い鉱物なの」
龍桜に丁寧にガブリエルが教えた。
そのようなやり取りをやっている3人のほかに先ほどの暴風により砂煙が上がった場所から想雅の姿が見えた。
「―――――ッ!痛てぇ……」
晴夢に殴られ蹴られたお腹をさすりながら想雅は立ち上がった。あー、せっかくミカエルさんに買ってもらった服に穴が空いちまった……結構お気に入りだったのにな……
想雅はしょんぼりとしたが目の前の事に集中した。とりあえず、晴夢さんが見えるところまで移動、と……
想雅は脚に『魔』の力を流し込み、晴夢が見えるところまで移動する。
「おっ、戻ってきt……ブッ!」
想雅の姿を見つけた晴夢は目線をそちらに向けた瞬間に吹き出してしまった。
「ど、どうしました?」
想雅は晴夢が笑っている原因が分からないため少しおどおどしている。それより先ほどは腹のところだけスースーしていたけど、今はなぜか体全体がスースーする。あれ?こんな通気性バッチリな服だっけ?
想雅は不思議に思いながらも晴夢が何故笑っているのか考えていた。
「想雅、気付いていないのか?」
笑いが収まったのか晴夢は想雅に指摘した。
「お前……
晴夢の言ったことに疑問を持ったが、確認のため一度自分の体を見てみた。
「服が無い……っていうより破れたのか……」
今まで『魔』の力を使って服が脱げたことなんてなかった。なら、どうして服が無いだろうか?可能性と言えば晴夢さんの攻撃により服に穴が開いた時に、『魔』の力を使い移動したせいで無駄な無駄な空気抵抗がかかったせいなのか勢いで敗れてしまったとしか考えられない。
しかし、今は戦闘中。服が無いからと恥ずかしがる場合ではない。
「気にしないでください。目の前の事に集中しましょう」
想雅は服が無くなったからといって別に恥ずかしがっていられない。相手はあの晴夢さんだ。
そんなことを考えている想雅にノエルが言った。
「マスター、カッコいいです」
フォローありがとう、ノエル。
想雅の肉体は別にムッキムキではなく、出ているところは出ていて貧弱な感じは見せない。その体を見た晴夢は感心するように言った。
「結構鍛えているな……肉体では俺の負けだな……」
肉体ならね、肉体なら。今回は実力、ボディービルダーの選手権ではないんです。
「さて、想雅も戻ったことだし続きでも始めるか……」
そう呟くと地面を蹴った晴夢が想雅に向かって行く。
想雅は先ほどのようなことにならないようにいつでも準備万端な体勢で晴夢が来るのを待つ。しかし、先ほどと違い距離を捕食しないまま想雅に向かって行き、左腕で想雅の腹に捻じ込もうとした。
想雅は空いている左腕で晴夢の拳を払い、下から刀を斬り上げる。
晴夢は払われた威力をかり、そのまま後ろに下がり刀を避けた。そして尽かさず想雅はスペルカードを詠唱した。
「龍は偉大である。あらゆるものを凌駕する覇気を持つがために。覇気『龍王の威圧』」
想雅の目が紅く光り、晴夢の動きを拘束した。しかし、動きを拘束しただけで彼の能力までは拘束できていない。
先ほどまで拘束されていた晴夢だったが、ガラスが砕けるような儚い音が聞こえたと同時に晴夢の動きが自由になった。だが、想雅は晴夢に向かって霊力槍を投げた。
彼は光速に動く槍を見て、左に避けた。
「おいおい、咲晴を縛れなかったのに俺を縛れると思ったか?」
「予想はしていましたが、晴夢さんと咲晴さんの前じゃ無力ですね」
「はは……」と言わんばかりに引きつった表情をする想雅。しかし、想雅は諦めない、某アニメのバスケ部の監督が言っていた。『諦めたら、試合終了』と諦めなければ例え一握りのチャンスに巡り合えるはずという希望を望んで……
「英雄の魔となる奇怪の槍よ。稲妻の如く鋭き鏃と成り、確実なる勝利を遣わせ。
魔槍『ゲイ・ボルグ・レイン』」
自分の左腕に『魔』の力によって作り出された槍を出現させた。想雅は投げると同時に自分の腕にも『魔』の力を流し込み、そのまま亜音速を超える速さで投げる。
槍は30の
不思議に思った晴夢だったが、意味もなく消滅させる意味がどこにあるのだと警戒しながら視野を広げた。だが、視野を広げても意味が無い。なぜなら……空間を貫いて向かってくるのだからだ。
「―――――ッ!」
自分の右足に何かが掠ったことに気付いた。
晴夢はその場から後ろに下がるが、その掠ったものに相手の距離なんて関係ない。空間と空間を貫きのは距離がいらないからだ。残り29の鏃が晴夢を襲う。それを晴夢は喰らおうとしたが……
(能力が使えねぇ……まさか、あの鏃の影響か?)
晴夢は何故能力が使えないのか考えながら鏃を避けていく。
自分に向かってくる鏃は確実に自分の体の一部を狙ってくる。心臓じゃないというのが想雅の優しさか……?一度ぐらい殺してもいいんだぜ?想雅。
ギリギリに避け、向かってくる鏃を霊力弾を撃ちだし相殺させる。そのような作業をやっている間に10秒が経った……
「ハッ!」
晴夢は残った鏃を喰らった。
鏃が消えたことにより、目の前にいる想雅に集中でき……どこいった?
晴夢の目の前には先ほどまでいた想雅の姿が無かった。
「こっちですよッ!」
想雅の声が聞こえた方向……自分の頭上を見るとそこには刀を腰に構えて斬りかかろうとする想雅の姿が……
晴夢は後ろに下がり、想雅の攻撃を避ける。しかし、想雅の狙いは攻撃するためではなかった。刀が地面に触れた瞬間、轟音と爆風と共に晴夢が吹き飛ばされた。しかし、飛ばされている途中に自分の速度を喰らいそう遠くには飛ばされなかった。
想雅がいる思われる砂煙は徐々に晴夢のところまでとどいていた。視界の邪魔だったため砂煙も喰らい、想雅の姿を確認しようとしたがまたそこにはいない。
「我は円卓を束ねる君臨せし王なり。11の騎士を従えし我は故に何を求め、勝利するのか。それは勝利を求める己にも分からぬ。聖王剣『エクスカリバー・コールブランド』」
晴夢の後ろから想雅のスぺル詠唱が聞こえた。
後ろを振り向くと、想雅を中心とした周りに11の『聖』なる剣が出現した。ノエルの刃も通常より二倍に伸びたが重さは変わっていない。
「さっきから逃げてばっかじゃね?」
「そう見えます?まぁ……実際逃げることも兵法の1つですよ」
想雅は刀を晴夢に向けるようにして11の剣を向かわせた。
「あの剣が『聖』の力か……捕食してやるッ!」
新たな力なのか楽しげに晴夢が叫んだ。
11の剣に自らと身の投げだし捕食しようとしたが、剣が生きているかのように散開され捕食は出来なかった。晴夢の後ろを取った剣が刃先を背中に向け攻撃しようとした。
「あまいぜッ!」
脚に力を入れ自分の体を捻り、それを捕食しようとした。しかし、その剣が捕食されないように違う剣ががら空きになった晴夢の背中を斬る。
「ガッ!」
バランスを崩し、その場にひざまずいた。その瞬間を狙って3の剣が晴夢に向かって行く。完全に体に入ったと思った瞬間、その剣たちは晴夢の体に吸い込まれるように消えて行った。
「これが『聖』の力か……何か安らぐな……」
本当に何ていうか……戦闘中なのに心が安らぐんですけど……何これ捕食して心が落ち着くのって意外と初めてじゃね?
そう内心思っていたが、今は戦闘中。安らぐならもっと暇の時にした方がいい。
3の剣が捕食されたことにより残りは8。数が少なくなったためか次は想雅自身も戦闘に介入した。
8の剣を駆使しつつ、想雅は晴夢に攻撃をしていく。
1の剣、2の剣、と先ほど喰われた剣の行動もどこかでフォローしないといけないため先ほどより剣のスピードが速い。
「ハッ!」
想雅は晴夢の目の前まで来て、構えた刀で斬撃を入れようとする。当然の如く避けられ、晴夢の右ストレートが想雅のお腹を捕らえた。しかし……
「――――――ッ!」
一瞬想雅の表情がニヤッと変わったことに気付き、攻撃を中止して後ろに下がる。その行動を見た想雅は展開されている剣に晴夢に攻撃するように誘導させた。自分は脚に『魔』の力を流し込み悟られないようにその場から動く。
晴夢は飛んで斬る剣を狙い喰らおうとするが、生き物のような奇妙な動きを見せ喰うことができない、霊力弾を放っても同じ。
後退中に背中の後ろから想雅の姿が出現した。しかし、彼と自分の距離は刀の刃が届く距離にはなかった。これも想雅の考えだ。
想雅は刀を薙ぎ払い無数の斬撃を繰り出し、晴夢へと追加攻撃を始める。
目の前からは剣が迫って、視界外からは無数の斬撃……面白れぇじゃねぇかよ……ククク……クハハハ……
「いいぞぉ……いいぞいいぞいいぞォォォォォォォォォォッ!おもしれェェェェェじゃねェェェェェかよォォォォォッ!想雅ァァァァァァァァァァッ!」
ボォォォォォォォォォォンッ!
晴夢を中心とした場所から衝撃波のようなものが広がり、向かってくる剣と斬撃を相殺した。想雅は『魔』の力を込めた刃で迫ってくる衝撃を斬り自分には被害が無かった。しかし、何ていうか寒い……上裸だからか?
衝撃を斬った後、視界を晴夢に戻した想雅だったがその晴夢はすでに目の前まで走ってきており、右腕の拳を握っている。
自分の体全体に『魔』の力を流し込もうとするが、間に合わず。結局腹だけしか『魔』の力が流れなかった。その腹を捕らえ思いっきり殴る。
ガスッ!
「グァッ!」
衝撃に耐えられなかったのか、先ほどは1度だけその場に止まったはずだったが全体に流れ込まなかったため、風を切るような速さで飛んで行った。飛んでいる間に地面についた衝撃に備えるために体全体に『魔』の力を流し込んだ。そして、刀にも『魔』の力を流し込み、鞘を出現させそれを掴み鞘に刃を押し込む。
ゴォォォォォォォォォォッ!
風圧のおかげで先ほどまでの速度が落ち、難なく地面に着地した。目線を目にやるとすでに晴夢がニヤとした表情を見せ、左腕で殴りかかる。
想雅は『魔』の力を込めた刀でそれを防いだ。
「楽しいな、想雅」
「こっちは命の危険性大ですよ……」
晴夢が防がれてもなお無理やり蹴りこもうとしているため、想雅は刀を少しずらし脚が自分の体に当たらない軌道を取らせた。
その行動は成功し、そのまま脚は地面に衝突。結構な量の砂煙が舞い上がった。
想雅は後ろに思いっきり飛び、砂煙の中から逃げ出した。
「まだだぜッ!」
しかし、晴夢の追撃は終わらない。
想雅が逃げたと同時に距離をとられないように、そのまま砂煙から姿を現す。
「月は隠され、再び闇が始まった。だが、光は闇に
連続で攻撃されることが危ないと思ったのか、想雅は最後のスペルカードを詠唱した。
想雅から『聖』の力が部分的に散布され霧状となり、それを纏った。
晴夢は何かの防御系の力だろうと予測してそのまま想雅に殴りかかった。しかし、予測は不発。
触れた瞬間に目の前に存在していた想雅が霧となり散った。その瞬間、背中に激痛が走った。
「ガッ!」
バランスを崩しそのまま地面に落下して行った晴夢。彼の目の前から想雅が下りてくるのが見せた。彼の体の周りには霧状の物はなくスペルカードの使用か終わったと感じさせた。
「大丈夫ですか?」
「戦闘中に相手に気遣いする馬鹿がどこにいるんだ」
軽くツッコみを入れながらも服に着いた土などを払った。
「しかしなぁ……本当に咲晴の時とは比べ物にならないほど小回りは効いてるし、頭の回転も速いな……」
先週の戦闘とは比べ物にならないほど動きや実力が違った。やはり、
晴夢はそう感じた。
アイツの性格と言いい、人の良さは、戦闘中にもあるらしく。完全に平和主義者らしかった。
(少し想雅くんにはお話が必要ね)
自分の心の中から妹の咲晴の声が聞こえた。
「こりゃぁ、お話確定だな」
顔に手を当てながら笑っている晴夢の姿を見ている想雅は心の中で「戦闘狂が始まった……」と思い込んでいた。
そして、笑いが収まると、「ふぅ……」と息を吐いた。
「そろそろ、とっておきの
晴夢がニヤと笑いながら想雅に言った。想雅は晴夢が言いたいことが分かり「そうですね」と呟いた。
「それでは、やらせてもらいます……」
想雅は「すぅ~」と息を吸い、チャラ神たちに会う前に創った『言霊』を詠唱した。晴夢は肩を動かしながら戦闘態勢を取っていく……
「神々の王たる英雄よ、我は全てを見通し偽りを見破り、全てを聴き取り真実を視る。我炎の如く侵略し、我水の如く恵み、我大地の如く動かず、我風の如く速き、我雷の如く
ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!
想雅の身体から多大の神力が溢れ始めた。
「――――――ッ!」
ガルヴォルンの空間の中にいる龍桜がビクッと体を震わせた。
「ん?どした。( ゚Д゚)ウマー」
そのことに気付いたチャラ神はガブリエルに紅茶を貰うと龍桜に目をやった。
「いや、そんな大したことではないのだが……本能が
龍桜は自分の体を抱きながら言った。
「ん?あぁ……そゆことか。なら……( ´_ゝ`)」
龍桜が何について恐れているのかに気付いたチャラ神は彼女の傍に近寄り、耳に話しかけるように言った。
「君の中から恐怖を一時的に消去。( ・´ー・`) ドヤァ・・・」
チャラ神は11次元『法則』を使用し、龍桜に先ほど存在していた恐怖が先ほどからなかったかのように消え去った。
「恐怖心が……消えた……」
「あぁ、一時的に消させてもらった。(σゝ∀・)σ」
チャラ神は龍桜の傍から離れ、紅茶を飲み始めた。疑問に思った龍桜がチャラ神に質問した。
「しかし、先ほどの恐怖心は一体なんだったんだ?」
チャラ神の能力の事ではなく、先ほど感じた恐怖心の方が謎だったらしい。
「まぁ、アイツらの殺り合いが終わってから説明するさ……( ゚Д゚)ウマー」
龍桜は気になるままティータイムを続けながら、愛する恋人の戦闘を観賞した。同じく「そろそろ終盤か……(・∀・*)」と言いながらチャラ神も観賞し、ガブリエルも続いて愛する弟の戦闘を見守った。
「先週より美味そうな神力じゃねぇかよ、オイ」
晴夢は嬉しそうに言った。
「まだまだ解読は必要ですが、晴夢さんの期待には添えられると思いますよ」
想雅が笑顔で言うと、上裸だった体に光輝く神の
その衣はなんだか力が湧いてくる感じがあった。さて……行きますか……
「行きますッ!晴夢さんッ!」
「どっからでも来いッ!想雅ッ!」
戦闘態勢をとった想雅に晴夢は拳と拳を合してその言葉に応じた。
想雅が地面を蹴った瞬間、想雅の姿が消えた。先ほどからの動きを考えるとこれも高速で移動していると晴夢は感じた。
晴夢はその場から動こうとした。しかし……
(動けない……ッ!?)
脚の方に何かが絡みついているように感じた。目線を下に向けるとそこには地面から生えてきたツタのような物が話す素振りも見せず晴夢に絡みついていた。
晴夢はそのツタを喰らい自分の動きを自由にしたが……
「グ……ッ!」
晴夢の右わき腹から痛みが走った。
そこに手を当ててみると手には赤いドロドロとした血がついていた。これは自然にできた傷ではない。明らかに鋭利なもので斬られた傷だ。そう考えていた矢先、またもや地面からツタが生えてきた。
晴夢はそのツタたちを捕食するが数が多くむしろ増えてく一方。そして、忘れたころにやってくる……
「ガ……ッ!」
次は左肩に痛みが走った。
どう考えても想雅が斬っているしか思い当らなかった。
「これが神格化か……やるじゃねぇか、想雅」
晴夢は嬉しそうに三日月のような笑顔を浮かべた。しかし、先ほどから増えているツタは攻撃を惜しまない。
ツタたちが一まとまりになり、ツタによって造りだされた緑の龍が現れた。その龍は当たり前のように晴夢を狙って突進する。
「面白いッ!」
晴夢は脚に力を入れ、自ら緑の竜に突っ込んだ。
手刀の形に拳を取り、まさに刃物という切れ味を見せる手。それが龍の口に到達すると……
ズザザザザザザザザザザァァァァァァァァァァッ!
葉と葉がこすれ合うような音を出しながら綺麗に真っ二つになった。そのツタがまとまったものが地面に落ちると同時にそこから木と草などが生え、野菜やフルーツ、木の実が実った。
晴夢は着地すると近くに生えていたフルーツに手を伸ばした。
「い、意外と美味い……」
興味本心で手に取ったフルーツだが、それが意外と美味い。
みずみずしく、戦闘後の水分補給の方が望ましいが今はまだ殺り合い途中。相手にスキを見せているのと同じだ。
「確かにおいしい……」
晴夢は振り返ると先ほど姿を消した想雅が近くに実っていたフルーツを手に取って言っていた。すぐさま手元に持っていたフルーツを捨て、想雅に向け走った。
想雅は手に持っていたフルーツを一かじりした瞬間、想雅を中心にして水が波となって晴夢に襲い掛かった。流れてくる水を喰らい目の前の視界を開けたが、そこにはまた想雅の姿が無い。
「……ッ!またかッ!」
左足を斬られた。
バランスを崩しかけたが何とか耐えこんだ晴夢。そして晴夢は後ろに振り向き右腕の拳で目の前に殴った。
ガキィィィィィンッ!
金属に当たった音がした。
「―――――ッ!読まれましたか……」
「さすがに同じ手は通用しないぜ……」
残念そうな表情をする想雅と、笑う晴夢……
晴夢は拳を自分の近くに戻し、右足で蹴ったが想雅にしゃがまれそれを避けられた。避けた想雅はそのまま晴夢の顎にアッパーを捻じ込もうと拳を上げるが晴夢がいち早く気づき、体を後退させた。
「あまいですよッ!」
想雅はそのまま腕を上に上げると共に、指を鳴らした。すると……
轟ッ!轟轟轟ッ!轟轟ッ!轟轟轟轟ッ!
荒れ狂う雷が想雅の後方から降り注ぎながら晴夢に進んでいった。雷が落ちるごとに地面はえぐられ、一撃でも当たればひとたまりもないぐらいの破壊力だった。
驚くのは破壊力だけではない。
空が光った瞬間すぐ落ちる。光った瞬間落ちるというとてつもない速さで落ちてきているのもわかる。
「マジでやべぇぞ、これぇッ!」
晴夢は落ちてくる雷を捕食しながら後ろへと下がっていく。
ピチャ……
「ん?」
足元が少し冷たかった。ふと足元を見ると……そこには……
(水ッ!)
気付くより先に雷が水面に到着した。
「ガァァァァァァァァァァッ!」
到達したと同時に水を捕食したため1、2秒だけ感電した。しかし、感電力は強かった。思わず意識がどこか逝きそうだった……そのまま晴夢は重力に逆らえず背中から倒れて行った。
「はぁ……はぁはぁ……」
やべぇ……疲れる……アイツ……俺を本気で殺しに来ないからこれはこれで辛すぎる……意外とこれ拷問に近い感じだな……いや、生き地獄というやつなのか……?
何かを考えながら晴夢は息を整えていた。そして立ち上がるとそこには先ほどと同じ息切れをしている想雅の姿が……
「ガタが来たか……」
人間の身でありながらあれだけの神力を使ったため息切れしてもおかしくない。想雅は疲れた表情を見せながら晴夢を見た。
「はぁはぁ……さすがにキツイ……しかも、調子に乗って神力使いすぎた……」
晴夢の考えていたことが的中した。
「おいおい、俺はお前の優しさで死にたくても死にきれない生き地獄状態だぜ?」
苦しい表情を見せながらも嬉しそうに笑っている。彼は今を楽しんでいる。
「ははは……すみません……犯罪者にはなりたくないんですよ……」
「それだと……俺が犯罪者だと言ってるじゃねぇか……」
「訂正します……犯罪者ではなく殺人者で……」
「どちらにしろ同じじゃねぇかよ……」
そう言いかえされると、想雅は「はは……」と苦笑するばかりだった。
晴夢は「さて……」といい三日月の笑顔を浮かべて言った。
「じれったい……全力で来い。俺も全力を出す……」
そう呟くと晴夢は腰を下げ戦闘態勢を取った。若干呼吸に乱れが生じているが、ほとんど問題なし。
「では、後悔はしないでくださいよ?」
「後悔?んなもんするかッ!さっさと来いッ!」
晴夢は手元をクイクイと動かし想雅を誘った。
轟ッ!轟轟ッ!轟轟轟ッ!轟轟轟轟ッ!
想雅のちょうど後ろに大きな雷が落下した。それに続きさまざまなところに雷が落ちて行く……
想雅の足元からは水が竜巻のように巻き上がり、想雅の刀、左手に炎が宿り、周りの地面からはツタが生えてきて龍の形をかたどって行く……それに続き暴風も吹き始めた……
「スサノヲより……あらぶっていらっしゃる……」
想雅と晴夢はお互いに走り出した。
-----○●○-----
「がぁ……はぁ……はぁ……」
つ、疲れる……アイツはホント殺してこねぇから、息切れがヤバい……
晴夢は目の前の風景を見た。
雷で落ちたところには大きなクレーターのようなものが複数できており、その中には水が溜まっており一種の池、湖になっていた。
真っ二つになっているツタで出来た龍はそこらへんに複数転がっており、そこからやはり野菜とフルツー、木の実が生えていることによりここら辺一帯が果樹園と化していた。
そうこのような光景を創ったのは想雅と晴夢の2人だ。短い戦闘の中でチャラ神が作り出した空間は初めの原型を止めておらず、逆に減ったというより増えてしまったと言った方がいいと思う。
「晴夢さん……そろろそ降伏してください……」
「想雅こそ……そろそろ倒れねぇか?」
二人はお互いに言い合った。
晴夢が想雅に向けダッシュすると想雅もそれに続き走って行った。想雅は刀を構え……晴夢は拳を構え……お互い打ち合った――――――
ゴッ!
鈍い音が響いた。
「ガハッ!」
想雅の刀は晴夢の身体には当たらず、晴夢の拳は想雅の腹を捕らえていた。そのまま押し込むように想雅を吹き飛ばした。
「ガッ!痛ッ!オウッ!カ……ッ!」
想雅は地面に転がっていった。
流石の晴夢ももう立たないだろうと思っていた矢先……フラフラしながら想雅が立ち上がった。
「ホントしぶてぇな……」
晴夢は半分呆れながらもその半分は嬉しさもあった。想雅に向け晴夢が走った。しかし、目の前に自分を立ちふさがるかのように一人の男が現れた。
「はいはい、ストップストォォォォォップッ!(・∀・)カエレ!!」
だが、晴夢にとっては戦闘の邪魔をしてきたと思った。そのままチャラ神に殴りかかろうとする晴夢……
「動くなッ!( ・´ー・`) ドヤァ・・・」
晴夢の動きが11次元『法則』により止められた。しかし、動きを止めただけでは……能力は縛れない。
「鬱陶しいッ!」
晴夢は11次元『法則』を喰らおうとするが……
パリィィィィィン……
ガラスが砕けたような儚い音が二人の耳に届いた。
「はい、よっと……よし、逮捕ッ!||Φ|(|゜|∀|゜|)|Φ||」
チャラ神は晴夢が殴りかかろうとした腕を掴み、それを後ろに移動させ関節技を決めた。
「痛いッ!痛痛痛痛痛ッ!」
流石に関節技を決められ、痛みが無いはずがない。チャラ神は空いている左腕で神パッチンをし、想雅の目の前までに晴夢を連れて行った。そして、晴夢の拘束を解いた。
「―――――ッ!何しやがるッ!」
「まぁまぁ落ち着けって……(」゚ロ゚)」オオオオオッッッ」
チャラ神は晴夢の機嫌を直しながら、想雅の胸板に触れて……押した。
想雅の身体はすでに意識が無いようにバタ……ッ!と倒れた。そういえば、神力が想雅の身体から感じにくかったのはすでに意識が無かったからなのか……
「ったく、このまま殴りかかっとったらコイツ……良くても全治5日間、悪くて……わかるよな?( ・´ー・`) ドヤァ・・・」
チャラ神の言葉に一瞬震えた。不老不死と言っても完全な不老不死じゃない。寿命の概念だけがなくなった不老不死だった。もうすぐで想雅を殺すところだったと……
「ヘタレの癖にしてホント根性だけはあるよな……(。*´Д`*)」
チャラ神は「おーい、起きろー」と言いながら想雅の頭に手を置いた。すると……
「ここは……」
想雅の意識が戻った。5次元『意識』を使いこの場に想雅の意識を戻したのだ。
「お前の負けだ……( ・´ー・`) ドヤァ・・・」
チャラ神自ら想雅の敗北を知らせた。想雅はその知らせを聞くと「はぁ……」とため息をつき立ち上がった。
「やっぱり、負けたか……」
想雅は頭をかきながら言った。
戦闘が終了したためか刀だったノエルは少女の姿へと戻った。
「しかし……まぁ……よく俺の空間を果樹園にしたな……( ´,_ゝ`)」
周りに生えているフルーツを見ながらチャラ神は言った。想雅本人もチャラ神が言うまでは周りを見ていなかったため改めて見るとこの神格化の規模に絶句した。
チャラ神に遅れ、ガブリエルと龍桜もその場に到着した。
「皆さん集まったことだし……そういや、龍桜ちゃんから法則消去。。(*´∀`)ノ」
そういうと、チャラ神は龍桜の恐怖心を消していた『法則』を消去した。龍桜自体には『法則』が自分から消えたということはわからない。
「ここで龍桜ちゃんが感じた恐怖心について教えよう。(´ー`)フッ」
晴夢は戦闘でわからなかった龍桜の状態を初めて知り、想雅は「あー」と何か思い当るところがあった。
「想雅が使った神格化は、英雄神マルドゥーク。古代バビロニアで信仰されていた神様でその実力は他の神様の2倍の権能を持ち、10倍の輝きを持つといわれている。炎を吐き、水、雷、風すらも操る神……元々、農耕神であるがためにこのような果樹園もできたというわけだ。(*゚∀゚)*。_。)*゚∀゚)*。_。)ウンウン」
英雄神マルドゥーク……そう言われても晴夢と龍桜の頭の中にはそのようなマニアックな神様の名前をあまり知らなかった。知っていたとしても名前ぐらいだ。
「その神とやらに私の恐怖心に何が関係あるんだ?」
龍桜はマルドゥークが英雄神と呼ばれている理由を知らないため聞くほかがなかった。
「まぁ、話すと長くなるが……ε=( ̄。 ̄;)フゥ」
「手短に頼む」
晴夢も彼女の龍桜が恐怖心を抱いていたことが気になっていたらしい。まぁ、恋人として当然の反応だ。
「マルドゥークは冒険心の強く、風を縄で縛ったり、神々の住居を守護するドラゴンに口枷をはめたりとイタズラを繰り返した問題児だった。そのことでバビロニアでもっとも古い地母神ティアマトはマルドゥークを倒そうとした。(*´∀`)ノ」
地母神ティアマト……また新たな神様の名前が出てきた。
ここまで聞いて龍桜がなぜ恐怖心が感じられたのかはまだ分からない。ただ想雅はだいたい初めからわかって、ガブリエルはティアマトの名前が出た時にわかった。
「ティアマトは、その姿は蛇とも竜とも言われ巨大、生み出した竜や蛇は数多いが最後にはマルドゥークに引き裂かれ、その身体は天と地になった。ティアマトは創造神として神話の中で数多くの竜を産み落とした。しかし、ティアマトは英雄神マルドゥークに倒されてしまう。マルドゥークに倒される竜の構成は世界中に散らばるドラゴン退治の物語に
先ほどまで何を言っているか分からなかった2人だったがだいたい察することができた。
「わかってきたようだな……マルドゥークが英雄と呼ばれている理由……即ち龍殺しの英雄。絶対的な権能を持つマルドゥークには相応しい呼び名だ。龍桜ちゃんはその龍殺しのマルドゥークに龍の本能から恐怖心を抱いたんだ。わかったかな?( ・´ー・`) ドヤァ・・・」
「あぁ、だいたいは……」
龍桜は考え込みながらもうなずいた。
「すみません、まさか龍桜さんを怯えさせてしまうなんて……」
想雅は申し訳ない顔で龍桜に謝った。
「気にしないでくれ、本気を出さなければ想雅が大事に至らないことも、それに晴夢が満足でき無いしな」
「晴夢さん思いなんですね」
龍桜は恥ずかしそうに俯いた。想雅本人はなぜ俯いているのかがわからなかった。何かしたか、俺は……
「想雅くん」
「はい?」
後ろを振り向くと、先ほどまで晴夢さんだったのがいつの間に変わっていたのか咲晴さんになっていた。
「無意識に手加減、ね……」
「あ、いや……そんなつもりは無かったんですけど……」
「私の初めてを奪った人なのに……」
「誤解を招くようなことを言わないでくださいッ!」
想雅は手を動かしながら言った。
「わかっているわ、想雅くんは優しい。それも無意識でするほどのお人好しさん。私としたら満足いかない事だけど、女性としたら嬉しい事よ」
満足いかない顔をするも、その反面は嬉しそうな表情だった。
「Si je n'étais pas dur, je ne serais pas à la vie. Si je ne pouvais jamais être tendre, je ne serais pas digne d'être à la vie」
咲晴の口から想雅が聞き覚えがある言語……フランス語が聞こえた。
「『タフでなければ生きてゆけない。 優しくなくては生きている資格がない』まさに想雅くんだわ……」
「俺ですか……」
この言葉はアメリカの小説家、レイモンド・チャンドラーの探偵小説『プレイバック』の中で出てくる、主人公フィリップ・マーロウの言葉である。この言葉は特に日本で人気を博しており、フランスやアメリカでは、座右の銘としては一般的ではない。それは自分という『個』が主体の欧米文化ではあらゆる衝突を幼いころから繰り返し経験しているためであるからだと想雅は思う。
日本人とフランス人のハーフである想雅はどちらの文化も把握しているため自分の考えも混じった。
「Français, et avez-vous parlé……(フランス語、話せたんですか……)」
想雅は本当に話せるのか確かめた。
「Je me demande blâmer Eh bien, frère avait une trace de l'autre langue en la réincarnation avant?(えぇ、兄さんが転生前にいろいろな言語を覚えていたせいかしら?)」
発音やアクセントは完璧とは言えないが、フランス人のハーフである想雅でも複雑な言葉では無ければ普通に伝わるほどの正確さ。
神様であるチャラ神と天使のガブリエル、想雅の相棒であるノエルには2人が何言っているかわかるが、龍桜だけが2人が何を話しているのかがわからなかった。
「Il semble que les gens de lettres originales.(元文芸人らしいですね)」
想雅が言った言葉に心の中から「元ってなんだッ!元ってッ!」と聞こえる晴夢の声が。当然想雅には聞こえない。咲晴だけが知っていること。
「Quand je vois M. Soga ce, sentant son frère ont été quelque part.(こう想雅君を見ていると、どこか弟の感じがしてきたわ)」
少し女狐の笑みを浮かべながら想雅に言った。想雅は「はは……」と苦笑いするばかり。
俺は後何人姉を持てば気が済むんだよ……怖いな、一人っ子の寂しさというのは……
「戦闘も終わったことだし、そろそろ帰らせて」
咲晴はチャラ神に頼むように言った。
「OKOK。じゃ、龍桜ちゃんも準備して。(●´∀`)σ」
そう言われると龍桜が咲晴の近くに駆け寄った。
「ちょっと待ってくれ」
チャラ神が3次元『空間』で2人を元の世界へ帰らせようとした矢先、想雅が止めるように入ってきた。
「咲晴さん、失礼します」
想雅が咲晴の名前を呼ぶと、彼女の手を握り『聖』の力を流し込んだ。
「女性の痛々しい姿は見たくありませんので……」
晴夢が戦闘で傷を複数負ったおかげで咲晴の体もボロボロ。例え人が変わっても同じ肉体。
「ふふ……本当に優しいのね」
『聖』の力を流し込むと共に彼女の肉体はみるみると回復していった。
「ありがとう」
「いえいえ」
微笑む咲晴と同じく微笑む想雅……その間にチャラ神が割って入るように言った。
「あ、そうそう……(゚∀゚)アヒャ」
チャラ神が神パッチンをやると、全員の目の前に野菜やフルーツといった食べ物がいきなり現れた。
「結構美味かったんだろ?想雅産の野菜とフルーツをみんなのお土産に持っていきな。
m9っ`・ω・´)シャキーン」
「お前が作ったような口ぶりをするな」
軽くツッコむように想雅が言った。
「まっ、そんなどうでもいいことはほっといて、準備はいいかな~?щ(゚▽゚щ)」
「言わないからな。いや、言わせねぇよ」
「(´・ω・`)ショボーン」
そんな表情を見せながらもチャラ神は2人を元の世界に帰す準備をした。
「想雅くん、今より強くなって私ともう一度殺り合ってくれるかしら?」
「えぇ、わかりました。今度こそは勝ちますよ」
「ふふ、期待して待っているわ」
その言葉を継げると咲晴と龍桜、野菜とフルーツの山が地面に展開された魔方陣により一瞬にして消え去った。
「De je Sakuha s'il vous plaît attendre…… je vais vous montrer qu'il est plus fort qu'il ne l'est maintenant.(俺は今より強くなって見せますよ……待っていてください咲晴さん)」
ざっとこんな感じかな……疲れた……
島夢さん、修正箇所等がございましたら、お気軽にメッセージをお送りください。
感想待っています!
次回もお楽しみに!