東方神聖魔   作:東来

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来週、英単語テストがある。しかも600個も覚えろと……殺す気かッ!

感想ありがとうございました。
では、ごゆっくり。


放り出されて森の中

「次は……何だ……えーと……どこだここ……?」

 

さて、俺はどこに出たでしょーか?正解は森の中でしたーってこんな呑気な事言っている場合じゃねぇぞ。ここがどこか分からないとあまり行動できないし、第一、まず人一人っ子いない。情報を訊こうにも訊けるはずがない。チャラ神のやつ……もっといい場所選びやがれ……

 

「動こうにも動けねぇな……少しそこで待っててくれ、ノエル」

 

「はい」

 

その場にノエルを残し、想雅は上空へと上がって行った。

うわぁお……東西南北四方八方、森と山しか見えない。何ここ?都市に出たという方が珍しいのか?どちらにしろ人がいるところに行かなければどうにもならない。小屋でも人が住んでいたところでこちらとしたら大収穫だ。

想雅は上空から地上に降りた。

 

「どうでしたか?」

 

「どこも山や森だらけだ……ホントどうしよっか……」

 

そんなことを考えていた矢先だった。想雅の嗅覚にほのかに水の匂いがした。

 

「ちょっと確認のために行ってみるか……」

 

想雅はノエルを連れて水の匂いがした方向に行った。その途中に匂いが強くなっていき、水の流れる音も想雅の耳にもノエルの耳にも聞こえた。次第にその音が近づいて行き、木しか見えなかった視界にやっと水が流れる川が流れていた。

目視で川幅が五メートル、深さは数センチぐらいだろう……その水は調理にでも使えるぐらい透き通った美しい水で、川魚が水面から跳ねる姿が見える。

 

「うん、美味い」

 

綺麗な水なため想雅は川の水をすくいそれを口元まで運んだ。やはり美味かった。水道水のような味は消毒臭くはなく、大地の恵みが滴ったように感じた。ふと視線を上に向けると川の中に脚をつけてはしゃいでいるノエルの姿が見えた。

 

「こういうゆっくりしたことが毎日だったらいいな……」

 

ノエルの姿を見ると、今までの忙しさがまるで夢のようだった。チャラ神の奴め……いつになったら過去に飛ばすのをやめるんだ。一回で充分だろ。何が「一回だけじゃ足りない。あと数回やって確実のものにする」だ。

何で俺が過去まで遠征しなきゃならないんだよ……お前が行けよ。

今更ながらも想雅はチャラ神に愚痴をぶちまけた。

 

「険しい顔してどうしましたか?マスター?」

 

想雅は「いや、なんでもない……」と呟き、その場に立ち上がった。

にしても……人がいない。こんな美しい川にいると思ったんだが予想が外れたか。まぁ、川が流れていく下流の方に行けば人住んでいるところにたどり着けるだろう……

 

「とりあえず、行動にうつるか」

 

その場から動こうと思った時だった。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

どこからか女の子の叫び声がした。

周りを見渡し声の主を探すが、この付近にはいなかった。

 

「マスター、こっちの方から聞こえました」

 

ノエルは川の中からすでに出ており、川の下流の方角に指を指した。

確かに下流の方から鳥がバサバサと飛んできているのが見えている。森が騒いでいるようにも思えた。

想雅たちはやっとのことで聞くことができた人の声のする方向に走って行った。

 

 

 

 

 

 

-----○●○-----

 

 

 

 

 

川の下流の方に走って行き、だいぶその声が聞こえたところまで来たと思う。そこで少し止まって周りを確認する。

そして川の下流の方に4,5体の妖怪に囲まれている女の子がいた。

 

「ぐへへへ、久しぶりに女が食えるなぁ」

 

「おい、これを見つけたのは俺だぞッ!」

 

「どちらにしろ食い物は食い物だ」

 

涎を垂らしながら女の子を見ている妖怪たち。

 

「や、やめてください……この籠にある野菜を差し上げますので……」

 

「んあッ!?野菜ごときに人間の価値があるかッ!」

 

妖怪が女の子にむけ怒鳴った。

 

「そんなことより早く食べようぜ」

 

そんなことを言った妖怪がお先に女の子に手を出そうとしていた。

 

 

ドゴッ!

 

 

「カハッ!」

 

鈍い音がその場にいる全員に聞こえた。

その鈍い音と共にその妖怪は森の中を突きぬけていくように飛んで行った。

 

「第3群と第4群の野菜はビタミン、カロテンが豊富なんだぜ?肉ばっか食っていると太るぞ?」

 

馬鹿にしたような口調である少年が少女を抱きながら言った。

茶髪の青の双眼を持つ少年と、雪のように美しい銀髪の碧い瞳を持つ少女……想雅とノエルだった。

想雅はノエルをその場に降ろした。

おっ、第一村人発見。服装から考えると……どうなんだろう?町民か、商人だろうと思う。時代は平安時代から鎌倉ぐらいだろうと推測しよう。というと900年から1000年ぐらいだな。

一人想雅が考えていると1人の妖怪がドスの効いた声で言った。

 

「おい、貴様。アイツをやったのはお前か?」

 

「ん?あぁそうだ」

 

その返答を聞いた妖怪は騒ぎ始めた。

「こんな山ん中に陰陽師だと……」「いや、服装がおかしいだろ。あいつらはもっと貴族っぽいぞ」「じゃぁ何だよ、こいつらは……」「あの人間が連れてきた女も美味そうだなぁ」「どちらにしろ食い物が増えただけだろ」

そんなことを言い始めていた。それよりちゃんと言葉が伝わるんだな。人間も進歩して、妖怪もちゃんと進歩しているのか……

 

「んなことはどうでもいいッ!さっさと殺るぞッ!」

 

そう言って1人の妖怪が想雅に襲い掛かってきた。

想雅は手元に霊力槍を創りだし、妖怪の懐に投げ込む。

 

「グッ!」

 

妖怪はその場に崩れ、丁度肺らへん入ったのか呼吸がまともに呼吸ができていない。ここら辺で妖怪たちが退いてくれるとありがたいんだけどな……無駄な殺生しないですむ。

 

「貴様ァッ!」

 

後ろに控えていた妖怪が想雅に自慢の爪で攻撃しようと襲い掛かってくるが、想雅がその攻撃の軌道を読み左に避け、『魔』の力を流し込んだ右脚で蹴りこんだ。

 

 

ゴスッ!

 

 

「グギャッ!」

 

妖怪は川の中へと高速で飛び込むように突き抜けた。

水しぶきが上がり、そこらへん一帯がビチャビチャになった運が良かったのか想雅たちがいる川岸は濡れなかったため、風邪をひく心配が無かった。

 

「そこらへんで退いてくれないか?無駄なやり合いはやりたくない」

 

苦笑した。早くやめてくれないか?と言わん口ぶりでその場に残っている妖怪に言った。

 

「そうしてやりたいのは山々だが、俺たちは生きることに人間を襲う。生きるためにやることだ」

 

想雅の言ったことに反論するかのように妖怪は言った。

そうだよな、生きるためにやることは例え罪であったとしても罪ではない。自分の命がかかっているからだ。そんな理屈は自分を正当化しているだけだ。

なら、俺が妖怪を殺そうとも人を助けるため、自分を守るという生き残るためにしょうがなくやったということにもなる。

だが、まぁ、俺は妖怪であっても殺しはしない。例え罪でがなくてもその殺した人の重みを背負ってい生きていく覚悟なんてできない。

 

生きるための食材があればいいんだな(・・・・・・・・・・・・・・・・・)?」

 

そう言うと想雅は手を目の前に突き出し『言霊』を詠唱した。

 

「太陽よ。大地よ。雨よ。我らに恵みを与えたまえ。我らに生きる意を与えたまえ」

 

詠唱後、想雅たちの目の前が急に光り出した。

目を瞑る者もいれば、驚くものもいる。想雅とノエル以外の人たちは当たり前の反応だ。

そして、光が次第に輝きを失っていき、その場には大量の肉や魚、野菜などが出現していた。

しかも、肉は血が滴っており、魚はピチピチと跳ねている。野菜も太陽の光に反応してみずみずしさが感じられた。

 

「こんぐらいあればいいだろ?」

 

想雅はニッコリと笑顔を浮かべ妖怪たちに言った。

一瞬言葉を失っていた妖怪が数秒して、想雅の言葉に気付き「あ、あぁ……」と絶句するような口調で言い、近くにいる女の子を解放した。

 

「あ、ありがとうございます……」

 

女の子は深々とお辞儀をした。

 

「いやいや、当たり前のことをしただけですよ」

 

想雅はいやいやと手を動かしながら言った。

 

「お、お礼はどうすれば……お金は持っていませんし……」

 

「お金はいらないよ。その代わりと何だけど……人がいるところまで案内してくれるかな?」

 

「迷ったのですか?」

 

「あぁ、そうらしい……」

 

想雅は頭をかきながら言った。それもそうだよ、いきなり森に放り出されたから方位磁針なんて持っていないし、太陽が昇る方向が分かればどちらが東で西ということが分かるが、どちらの方向に人が住んでいる町や村がわからない。

 

「わかりました」

 

そう女の子が言うと「こちらですよ」と言って想雅たちを連れて行こうとした。

 

「ちょっといいか?」

 

想雅の後ろから先ほど絶句していた妖怪が想雅に話しかけた。

 

「なんだ?」

 

想雅は振り向いた。

先ほどの女の子は少し驚いてビクビクしていた。

 

「お前は人間だよな?」

 

「あぁ、そうだ。人間以外の何者でもない」

 

「そうか……ならなぜ俺たちにそこまで優しい。人間は妖怪を退治し、妖怪は人間を喰らう。それが当たり前だ。しかし、お前は俺たちを殺さなかった。人間の女を襲っていたというのにだ……俺たちは退治してもいいはずだ」

 

想雅は「はぁ……」とため息をつき、その妖怪に向けこう言った。

 

「俺は無益な殺生をしない。人は当たり前だが、妖怪もだ。例え人に害を加えるのにもお前たちなりの理由があるはず。全ての行動には理由がある。理由が無い行動はただの馬鹿がやることだ。単に俺が誰かを殺す勇気が無いということになるな」

 

その答えを聞いた妖怪は「ククク……」と笑いたそうな声を出した。

 

「お前はどこか他の陰陽師と違うな」

 

「ん?俺は陰陽師じゃねぇぞ」

 

「なら神様か?俺たちに余るぐらいの食い物を何もないところから出したし……」

 

「神様でもねぇよ」

 

「ならなんだ?それ以外思いつくもんが無いんだが……」

 

その場で考える妖怪を余所に想雅は言った。

 

「しがない旅人さ」

 

 

 

 

 

 

 





もう六月か……速いな。夏休みまであと一か月だよ。やった。

感想待っています。
次回もお楽しみに。

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